JP2015175956A - 保護層付凹凸パターン形成体およびそれを用いた組み立て方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材と該基材の表面の少なくとも一部に形成された凹凸パターンを有する凹凸パターン形成体と、ガラス転移温度または融点が60°C以上200°C以下であって、ガラス転移温度または融点を超える温度領域において粘度が650mPa・s以下である材料を主成分とし、前記凹凸パターンを充填するように前記基材の少なくとも一部に設けられた保護層とを有する保護層付凹凸パターン形成体。
【選択図】なし
Description
前記微細凹凸構造が付いたシート状部材は、通常、光学機器に組み込まれて使用されるが、組み込み作業までに微細凹凸構造が微細なパーティクルや液体、粘性体によって汚染されると、反射防止性能や光拡散性能などの光学性能が低下する問題がある。
特許文献1の保護フィルムでは、粘着剤は、微細凹凸構造と保護フィルムを再剥離できる程度の強さで接着しているものであり、微細凹凸構造の隙間を完全に埋めるものではない。その為、フィルム付き成形体の端面に油や水などの液体が接触すると、粘着剤で埋まっていない微細構造体の隙間から液体が浸入することを防止できない。
[1]基材と該基材の表面の少なくとも一部に形成された凹凸パターンを有する凹凸パターン形成体と、融点または溶融範囲が30°C以上200°C以下の範囲にあり、融点または溶融範囲を超える温度領域において粘度が650mPa・s以下である材料を主成分とし、前記凹凸パターンを充填するように前記基材の少なくとも一部に設けられた保護層とを有する保護層付凹凸パターン形成体。
[2]前記凹凸パターンは凸部または凹部が前記基材表面上に配列して成り、凸部または凹部の平均ピッチに対する平均高さまたは平均深さの比が0.1〜20である[1]に記載の保護層付凹凸パターン形成体。
[3]前記凸部または前記凹部の平均ピッチが50nm〜2000nmである[1]又は[2]に記載の保護層付凹凸パターン形成体。
[4]基材と該基材の表面の少なくとも一部に形成された凹凸パターンを有する凹凸パターン形成体の前記凹凸パターンを、30°C以上200°C以下の温度条件で加熱溶融して粘度が650mPa・s以下の状態にした熱可塑性材料で被覆した後、冷却固化して前記凹凸パターンを被覆する保護層を形成する保護層付凹凸パターン形成体の製造方法。
[5][4]で得られた保護層付凹凸パターン形成体を切断して、複数の保護層付凹凸パターン形成体を得る保護層付凹凸パターン形成体の製造方法。
[6][4]または[5]に記載の製造方法で得られた保護層付凹凸パターン形成体を部品として、少なくとも前記保護層が露出した状態で他の部品と結合した後、保護層付凹凸パターン形成体の保護層を加熱溶融して、保護層を凹凸パターン形成体から除去する組み立て方法。
前記凹凸パターンは、複数の凸部または凹部が前記基材表面上に配列して成るものである。
前記複数の凸部または凹部は、略等間隔に配置されていても、ランダムに配置されていても良い。
前記複数の凸部または凹部が等間隔に配置されていることにより、前記複数の凸部または凹部が密に配置され、同じ面積でより効果の高い反射防止特性または光拡散特性を得ることができる。
本発明の凹凸パターンの形成方法は、例えば、凹凸パターンを有する射出成形型に液状の樹脂を充填し、樹脂が固化した後、型から離型して凹凸パターン形成物として得る射出成形法を採用することもできる。
本発明の凹凸パターンは、例えば、紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂を基材の上に塗布した後、塗布面に凹凸パターンを有する型を押し当てて凹凸パターンを転写し、紫外線または電子線硬化させて樹脂が固化して得ることができる。
更に、前記粒子膜をエッチングマスクとしてエッチングして凹凸パターンを形成した基材を型として前述の射出成形法や転写法により凹凸パターンを形成する方法も好適である。
ラングミュアー・ブロジェット法を採用することにより、凸部または凹部が六方格子状に配列した凹凸パターンが形成でき、高性能の反射防止構造または光拡散構造が得られる。
融点または溶融範囲が30°C未満の場合は、常温環境で軟化して、保護層表面にゴミが付着し易くなるため、保管温度や作業環境温度の管理が必要となる。融点または溶融範囲が200°Cを超えると凹凸パターン形成体を組み込む装置や他の部品の耐熱温度を超えてしまう可能性が高くなる。
示差走査熱量計で測定した値とJIS規格、K0064に記載の方法で得られた値との間にずれが生じた場合は、示差走査熱量計で測定した値を採用する。
その為、機器に組み込まれた後、前記保護層を再び加熱して、溶融状態にしてから取り除くことが必要である。
更に、本発明の保護層は、凹凸パターンに負荷をかけることなく除去できるため、壊れやすい構造、例えば高アスペクト比の構造でも、欠損することなく保護層を除去することができる。
クラックは前述の保護層のピンホールや欠落部分と同様に油状や液状の汚染物が進入し易いため、クラックを防ぐことは油状や液状の汚染物の侵入し難い保護層が得られ好ましい。
まず、凹凸パターンにおける無作為に選択された領域で、一辺が凹凸パターンの凸または凹が30〜40個分の正方形の領域について、原子間力顕微鏡イメージまたは走査型電子顕微鏡イメージを得る。そして、このイメージをフーリエ変換により波形分離し、FFT像(高速フーリエ変換像)を得る。ついで、FFT像のプロファイルにおける0次ピークから1次ピークまでの距離の逆数を求める。このような処理を無作為に選択された合計5カ所以上の同面積の領域について同様に行い、各領域における0次ピークから1次ピークまでの距離を求める。こうして得られた5カ所以上の領域における0次ピークから1次ピークまでの距離の逆数を平均したものが平均ピッチである。なお、この際、各領域同士は、少なくとも1mm離れて選択されることが好ましい。
測定した距離A、Bからから、山部の各頂と谷部の最深部の標高差を算出することを前記断面プロファイルに現れた複数の山部すべてに対して行い平均高さを算出する。
平均高さ平均ピッチ同様に、5カ所以上の同面積の領域について測定し、平均値を算出することが好ましい。尚、凹凸パターンに方向性がある場合は、平均高さ測定値が最も大きくなる方向で測定した値を採用する。
基材と該基材の表面の少なくとも一部に形成された凹凸パターンを有する凹凸パターン形成体の前記凹凸パターンを、60°C以上200°C以下の温度条件で加熱溶融して粘度が650mPa・s以下の状態にした熱可塑性材料で被覆した後、冷却固化して前記凹凸パターンを被覆する保護層を形成することにより、保護層付凹凸パターン形成体を製造した後、保護層付凹凸パターン形成体を部品として、少なくとも前記保護層が露出した状態で他の部品と結合した後、保護層付凹凸パターン形成体の保護層を加熱溶融して、保護層を凹凸パターン形成体から除去する組み立て方法である。
接着による固定は、保護層付凹凸パターン形成体を他の部品の両方に接着するように、液状の接着剤を塗布した後、接着剤を固化し、保護層付凹凸パターン形成体と他の部品とを接着層を介して結合するものである。
前記接着層の特性を上記範囲とすることによって、保護層を凹凸パターン形成体から容易に残渣なく除去することができる。
保護層付凹凸パターン形成体をブレードで切断する場合、基材の細かな破片が発生するが、本発明の方法では、保護層が凹凸パターンの隙間を埋めているため、凹凸パターンの隙間に破片が入り込み、凹凸パターンの発揮する効果を妨げることがない。
[実施例1]
(凹凸パターン形成体の作製)
石英基板(50mm×50mm×1.0mm)に、ノボラック・ジアゾナフトキノン系レジストを厚さ2μmとなるように塗布し、110℃で2時間プリベーク処理して石英基板上にレジスト膜を形成した。
真円状のドットが六方最密充填したマスクパターンを準備し、前記レジスト膜上においてドット径が395nmとなるように、ステッパを用いて縮小投影露光した。
その後、TMAH溶液により現像し、リンス液で洗浄してフォトレジストマスクを形成した。
上記で求めた値から算出される、平均ピッチpに対する平均高さhの比は2.4であった。
形成された保護層の表面を顕微鏡で観察したところ、表面は、モスアイ微細構造に沿って僅かに凹凸が見られたが、微細な異物や液状物が侵入できるような隙間は、見られなかった。
また、前記石英基板のモスアイ微細構造面の反射率を測定したところ、0.8%であった。
尚反射率の測定は以下のようにして行った。
サンプル垂直入射反射率をOcean Optics社製USB2000用いて、400nmから800nmまで20nm刻みで測定し、得られた測定値の平均値を反射率とした。
ポリオレフィンワックスAの代わりにポリオレフィンワックスB(商品名:420P、三井化学社製、融点(DSC法測定値):118°C、140°Cにおける粘度(B型粘度計測定値):650mPa・s)を用いた以外は実施例1と同様にして保護層が除去された凹凸パターン形成体を得た。
また、前記石英基板のモスアイ微細構造面の反射率を測定したところ、0.9%であった。
ポリオレフィンワックスAの代わりにポリエステルA(商品名:TP219、日本合成化学社製、流動点(JIS2269):70°C、140°Cにおける粘度(B型粘度計測定値):35mPa・s)を用いた以外は実施例1と同様にして保護層が除去された凹凸パターン形成体を得た。
また、前記石英基板のモスアイ微細構造面の反射率を測定したところ、0.8%であった。
ポリオレフィンワックスAの代わりにポリエステルB(商品名:UE3320、ユニチカ社製、流動点(JIS2269):62.5°C、140°Cにおける粘度(B型粘度計測定値):500mPa・s)を用いた以外は実施例1と同様にして保護層が除去された凹凸パターン形成体を得た。
また、前記石英基板のモスアイ微細構造面の反射率を測定したところ、0.9%であった。
実施例において、溶融して液状となった保護層形成材料により保護層を設け、アルミフレームと接着後、再加熱により保護層を除去することに代えて、以下の操作を行った以外は、実施例1と同様にしてアルミフレームに組み込まれた石英基板を得た。
エッチングによりモスアイ微細構造が表面に形成された石英基板のモスアイ微細構造の上に保護フィルム(商品名:DGP−004FLAG、エルコム社製)を貼り付けた。
ついで、保護フィルム付凹凸パターン形成体を切断加工して20mm×20mmの正方形状サンプルを作成した。
また、モスアイ微細構造の一部に欠損が見られた。欠損は、保護フィルムを剥離したときに発生したものであった。
また、前記石英基板のモスアイ微細構造面の反射率を測定したところ、4.8%であった。
保護層の形成および除去を行わなかった以外は実施例1と同様にしてアルミフレームに組み込まれた石英基板を得た。
保護層フィルムが剥離除去された前記石英基板のモスアイ微細構造を顕微鏡で観察したところ、モスアイ微細構造の隙間の一部に異物が侵入していた。異物は、切断加工時に発生した石英のかけら、及び、液状接着剤が侵入し固化したものであった。
また、前記石英基板のモスアイ微細構造面の反射率を測定したところ、5.6%であった。
ポリオレフィンワックスAの代わりにポリオレフィンワックスC(商品名:720P、三井化学社製、融点(DSC法測定値):113°C、140°Cにおける粘度(B型粘度計測定値):6000mPa・s)を用いた以外は実施例1と同様にして保護層が除去された凹凸パターン形成体を得た。
また、前記石英基板のモスアイ微細構造面の反射率を測定したところ、4.3%であった。
更に、実施例の結果は、凹凸パターン形成体に保護層を形成し、保護層付凹凸パターン形成体を装置に組み込んだ後、保護層を除去する本発明の方法が、凹凸パターン形成体が装置に組み込まれた後にその性能を発揮するために有用なものであることを示した。
Claims (6)
- 基材と該基材の表面の少なくとも一部に形成された凹凸パターンを有する凹凸パターン形成体と、ガラス転移温度または融点が60°C以上200°C以下であって、ガラス転移温度または融点を超える温度領域において粘度が650mPa・s以下である材料を主成分とし、前記凹凸パターンを充填するように前記基材の少なくとも一部に設けられた保護層とを有する保護層付凹凸パターン形成体。
- 前記凹凸パターンは凸部または凹部が前記基材表面上に配列して成り、凸部または凹部の平均ピッチに対する平均高さまたは平均深さの比が0.1〜20である請求項1に記載の保護層付凹凸パターン形成体。
- 前記凸部または前記凹部の平均ピッチが50nm〜2000nmである請求項1または2に記載の保護層付凹凸パターン形成体。
- 基材と該基材の表面の少なくとも一部に形成された凹凸パターンを有する凹凸パターン形成体の前記凹凸パターンを、60°C以上200°C以下の温度条件で加熱溶融して粘度が650mPa・s以下の状態にした熱可塑性材料で被覆した後、冷却固化して前記凹凸パターンを被覆する保護層を形成する保護層付凹凸パターン形成体の製造方法。
- 請求項4で得られた保護層付凹凸パターン形成体を切断して、複数の保護層付凹凸パターン形成体を得る保護層付凹凸パターン形成体の製造方法。
- 請求項4または5に記載の製造方法で得られた保護層付凹凸パターン形成体を部品として、少なくとも前記保護層が露出した状態で他の部品と結合した後、保護層付凹凸パターン形成体の保護層を加熱溶融して、保護層を凹凸パターン形成体から除去する組み立て方法。
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