JP6187337B2 - 保護層付凹凸パターン形成体 - Google Patents

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Description

本発明は、表面に微細凹凸構造が形成された凹凸パターン形成体の該凹凸構造を被覆する保護層が付いた保護層付凹凸パターン形成体に関する。
表面に微細凹凸構造が形成された凹凸パターン形成体は、例えば、可視光の波長以下のピッチで配列されたモスアイ構造を表面に有する反射防止構造付シート状部材や波状の凹凸構造をランダムに並べた光拡散構造付シート状部材である。
前記微細凹凸構造が付いたシート状部材は、通常、光学機器に組み込まれて使用されるが、組み込み作業までに微細凹凸構造が微細なパーティクルや液体、粘性体によって汚染されると、反射防止性能や光拡散性能などの光学性能が低下する問題がある。
このような汚染を防止するために、前記微細凹凸構造の上を粘着剤付き保護フィルムで覆ったフィルム付き成形体が提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1の保護フィルムでは、粘着剤は、微細凹凸構造と保護フィルムを再剥離できる程度の強さで接着しているものであり、微細凹凸構造の隙間を完全に埋めるものではない。その為、フィルム付き成形体の端面に油や水などの液体が接触すると、粘着剤で埋まっていない微細構造体の隙間から液体が浸入することを防止できない。
特開2012−143936号公報
本発明は、機器に組み込まれて使用される表面に微細凹凸構造が形成された凹凸パターン形成体において、組み込み工程において、微細なパーティクルや液体、粘性体によって微細凹凸構造が汚染されることを防止した保護層付凹凸パターン形成体を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]基材と凸部または凹部が該基材の表面の少なくとも一部に配列して形成された凹凸パターンを有する凹凸パターン形成体と、熱可塑性材料および/または溶媒可溶性材料および/または紫外線硬化性材料および/または熱硬化性材料を主成分とし、前記凹凸パターンを充填するように前記基材の少なくとも一部に設けられた保護層とを有する保護層付凹凸パターン形成体であって、
前記凸部または前記凹部の平均ピッチに対する平均高さまたは平均深さの比が1.5〜20である保護層付凹凸パターン形成体。
[2]前記保護層は、低級アルコール類、グリコールエーテル類、グリコールエステル類、およびケトン類から選ばれるいずれか1つまたは2つ以上の混合液から成る溶媒A100gに10質量%の濃度で溶解したときの溶液の粘度が100mPa・s以下である材料を主成分とするものである[1]に記載の保護層付凹凸パターン形成体。
[3]前記保護層は、140°Cにおける溶融粘度が650mPa・s以下である[1]又は[2]に記載の保護層付凹凸パターン形成体。
[4]前記紫外線硬化性材料は、硬化前の粘度が650mPa・s以下である[1]〜[3]のいずれかに記載の保護層付凹凸パターン形成体。
[5]前記熱硬化性材料は、硬化前の粘度が650mPa・s以下である[1]〜[4]のいずれかに記載の保護層付凹凸パターン形成体。
[6]前記凸部または凹部の平均ピッチが50nm〜2000nmである[1]〜[5]のいずれかに記載の保護層付凹凸パターン形成体。
本発明の保護層付凹凸パターン形成体は、機器に組み込まれて使用される表面に微細凹凸構造が形成された凹凸パターン形成体において、組み込み工程において、微細なパーティクルや液体、粘性体によって微細凹凸構造が汚染されることを防止した保護層付凹凸パターン形成体である。
本発明の凹凸パターン形成体は、基材と該基材の表面の少なくとも一部に形成された凹凸パターンを有する凹凸パターン形成体である。
前記凹凸パターンは、複数の凸部または凹部が前記基材表面上に配列して成るものである。
本発明で用いる基材は、如何なる材質であっても良いが、光学部品として用いられる場合は、無機または有機の透明材料や少なくとも表層が反射率の高い材料から成る材料が基材として好ましく用いられる。
前記複数の凸部または凹部は、互いに形状または大きさが異なっていても良く、略同じ形状および/または略同じ大きさであっても良い。
前記複数の凸部または凹部は、略等間隔に配置されていても、ランダムに配置されていても良い。

凸部または凹部の平均ピッチに対する平均高さまたは平均深さの比が1.5〜20である凹凸パターンである。また、前記凸部または前記凹部の平均ピッチは、50nm〜2000nmであることが好ましい。
前記凸部または凹部の平均ピッチに対する平均高さまたは平均深さの比を上記範囲とすることにより、毛管現象により前記液状の保護層形成材料を前記凹凸パターンの隙間を充填することが容易となる。ピンホールや前記隙間の充填されない部分を非常に少なくすることができる。
前記液状の保護層形成材料により前記隙間の充填されない部分を非常に少なくすることによって、硬化後、油状や液状の汚染物が侵入し易い保護層のピンホールや欠落部分を非常に少なくすることができる。
前記保護層は、凸部または凹部によって、細かな区画に区切られているため、保護層が硬化する際に、応力歪によるクラックが生じにくい。
クラックは前述の保護層のピンホールや欠落部分と同様に油状や液状の汚染物が進入し易いため、クラックを防ぐことは油状や液状の汚染物の侵入し難い保護層が得られ好ましい。
前記凹凸パターンが凸部または凹部が六方格子状に配列した凹凸パターンである場合には、樹脂が硬化する際に歪の発生がより抑えられるため特に好ましい。
凹凸パターンが反射防止構造または光拡散構造である場合には、等間隔に配置されていることが樹脂が硬化する際に歪の発生がより抑えられるため好ましく、六方格子状に配列されている場合には、間隔が密になり、樹脂が硬化する際に歪の発生が更に抑えられるため特に好ましい。
平均ピッチは、具体的には次のようにして求められる。
まず、凹凸パターンにおける無作為に選択された領域で、一辺が凹凸パターンの凸または凹が30〜40個分の正方形の領域について、原子間力顕微鏡イメージまたは走査型電子顕微鏡イメージを得る。そして、このイメージをフーリエ変換により波形分離し、FFT像(高速フーリエ変換像)を得る。ついで、FFT像のプロファイルにおける0次ピークから1次ピークまでの距離の逆数を求める。このような処理を無作為に選択された合計5カ所以上の同面積の領域について同様に行い、各領域における0次ピークから1次ピークまでの距離を求める。こうして得られた5カ所以上の領域における0次ピークから1次ピークまでの距離の逆数を平均したものが平均ピッチである。なお、この際、各領域同士は、少なくとも1mm離れて選択されることが好ましい。
平均高さは次のように求められる。平均ピッチの測定で用いた原子間力顕微鏡イメージ正方形の領域の断面プロファイルを作製する。そして、基材の凹凸パターン形成面に平行で断面に沿った基準線を描き、前記断面プロファイルに現れた複数の山部の各頂点から基準線までの距離Aと各山部の右隣の谷の最深部から基準線までの距離Bを測定する。
測定した距離A、Bからから、山部の各頂と谷部の最深部の標高差を算出することを前記断面プロファイルに現れた複数の山部すべてに対して行い平均高さを算出する。
平均高さ平均ピッチ同様に、5カ所以上の同面積の領域について測定し、平均値を算出することが好ましい。尚、凹凸パターンに方向性がある場合は、平均高さ測定値が最も大きくなる方向で測定した値を採用する。
本発明の凹凸パターンは、例えば、基材にパターンマスクを施した後、エッチング処理を行うことにより基板に直接形成することができる。
本発明の凹凸パターンの形成方法は、例えば、凹凸パターンを有する射出成形型に液状の樹脂を充填し、樹脂が固化した後、型から離型して凹凸パターン形成物として得る射出成形法を採用することもできる。
本発明の凹凸パターンは、熱硬化性樹脂または液体状のガラス形成材料を基材の上に塗布した後、凹凸パターンを有する型を押し当てて、熱硬化性樹脂または液体状のガラス形成材料に凹凸パターンを転写し、加熱硬化させる転写法により量産することもできる。
本発明の凹凸パターンは、例えば、紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂を基材の上に塗布した後、塗布面に凹凸パターンを有する型を押し当てて凹凸パターンを転写し、紫外線または電子線硬化させて樹脂が固化して得ることができる。
凹凸パターンが反射防止構造または光拡散構造である場合には、以下の方法が適用できる。例えば、基材上にフォトレジスト膜を形成した後、マスクパターンを縮小投影露光し、現像してパターン部以外のフォトレジスト膜を除去してエッチングマスクを作製、該エッチングマスクにより部分エッチングを行い基材に直接凹凸パターンを得る方法がある。
別の方法としては、基材上に粒子径の均一な多数の粒子から成る略一層の粒子膜を形成し、該粒子膜をエッチングマスクとしてエッチングを行い基材に直接凹凸パターンを得る方法がある。
更に、前記粒子膜をエッチングマスクとしてエッチングして凹凸パターンを形成した基材を型として前述の射出成形法や転写法により凹凸パターンを形成する方法も好適である。
本発明の保護層付凹凸パターン形成体は、前記凹凸パターンの隙間を充填するように前記基材の少なくとも一部に設けられた保護層を有する。
凹凸パターン形成体の凹凸パターンが形成された面に、前記凹凸パターンの隙間を充填するように液状の保護層形成材料を塗布した後、硬化させることによって前記保護層を形成することができる。
前記保護層を形成する主成分としては、溶媒可溶性材料、熱可塑性材料、紫外線硬化性材料の硬化物、熱硬化性材料の硬化物などが挙げられる。
前記保護層は、前記保護層形成材料を溶媒に分散した液、熱可塑性材料を加熱溶融した液、未硬化の熱硬化性材料、未硬化の紫外線硬化性材料などを凹凸パターン形成体の凹凸パターンが形成された面の上に塗布することによって、形成することができる。
前記保護層を形成する主成分は、前記凹凸パターン形成体に塗布するときの粘度が300mPa・s以下であることが好ましく、200mPa・s以下であることがより好ましく、100mPa・s以下であることが更に好ましい。
前記保護層を形成する主成分の粘度を上記範囲とすることにより、凹凸パターンの隙間を充填することが容易となる。
前記保護層を形成する主成分が溶媒可溶性材料である場合は、溶媒可溶性材料の分子量や分散に使用する溶媒の種類を選択することによって、塗布するときの粘度を上記範囲とすることができる。
前記保護層を形成する主成分が熱可塑性材料である場合は、溶融粘度が低い材料を選択することによって、塗布するときの粘度を上記範囲とすることができる。
前記保護層を形成する主成分が紫外線硬化性材料または熱硬化性材料熱可塑性材料である場合は、硬化前の粘度が低い材料を選択することによって、塗布するときの粘度を上記範囲とすることができる。
前記保護層は、低級アルコール類、グリコールエーテル類、グリコールエステル類、およびケトン類から選ばれるいずれか1つまたは2つ以上の混合液から成る溶媒から選ばれる溶媒100gに対する溶解度が10g以上であることが好ましい。
本発明の凹凸パターン形成体がその性能を発揮するためには、機器に組み込まれた状態で前記保護層が除去されている必要がある。
その為、前記保護層は、低級アルコール類、グリコールエーテル類、グリコールエステル類、およびケトン類から選ばれるいずれか1つまたは2つ以上の混合液から成る溶媒から選ばれる特定の溶媒によって洗浄除去できることが好ましい。
前記保護層は、低級アルコール類、グリコールエーテル類、グリコールエステル類、およびケトン類から選ばれるいずれか1つまたは2つ以上の混合液から成る溶媒から選ばれる溶媒A100gに対する溶解度が10g以上であることが好ましい。
前記保護層は、前記溶媒Aに10質量%の濃度で溶解したときの溶液の粘度が100mPa・s以下である材料を主成分とすることが好ましい。
前記保護層中に紫外線硬化性材料または熱硬化性材料熱可塑性材料を主成分として含む場合は、1分子中の架橋基の数を調整する、溶媒可溶性材料を混合するなどの方法により、溶解度または保護層溶解時の粘度を上記範囲に調整することができる。
前記保護層は、140°Cにおける溶融粘度が650mPa・s以下であることが好ましい。前記保護層中に紫外線硬化性材料または熱硬化性材料熱可塑性材料を主成分として含む場合は、1分子中の架橋基の数を調整する、熱可塑性材料を混合するなどの方法により、溶解度または保護層加熱溶融時の粘度を上記範囲に調整することができる。
前記溶媒Aに対する前記保護層の特性を上述の範囲とすること、または保護層の加熱溶融字の特性を上述の範囲とすることによって、前記保護層を前記凹凸パターン上から容易に完全に除去することができ、凹凸パターン形成体の性能がその性能を十分に発揮することが可能となる。
更に、本発明の保護層は、凹凸パターンに負荷をかけることなく除去できるため、壊れやすい構造、例えば高アスペクト比の構造でも、欠損することなく保護層を除去することができる。
以下に本発明の実施の形態の一例を説明するが、本発明を実施例に限定するものではない。
[実施例1]
(凹凸パターン形成体の作製)
石英基板(50mm×50mm×1.0mm)に、ノボラック・ジアゾナフトキノン系レジストを厚さ2μmとなるように塗布し、110℃で2時間プリベーク処理して石英基板上にレジスト膜を形成した。
真円状のドットが六方最密充填したマスクパターンを準備し、前記レジスト膜上においてドット径が395nmとなるように、ステッパを用いて縮小投影露光した。
その後、TMAH溶液により現像し、リンス液で洗浄してフォトレジストマスクを形成した。
ついで、得られた粒子単層膜付き石英基板に対して、CHFガスによりドライエッチングを行い、モスアイ微細構造が表面に形成された石英基板を得た。
ドライエッチング後、得られた石英基板表面を原子間力顕微鏡(AFM)による観察したところ、六方格子状に配列したモスアイ微細構造(凹凸パターン)が形成されていることを確認した。このようにして基板表面に形成されたモスアイ微細構造における凸部の中心間の距離p’(格子定数)をレーザー回折法により測定したところ、3回の試験の平均値で395nmであった。
また、該モスアイ微細構造における凸部の平均高さhを、AFM像から無作為に選択された合計25カ所の5μm×5μmの領域における平均値を求め、それら25カ所それぞれの平均値をさらに平均することにより求めたところ、1382nmであった。
上記で求めた値から算出される、平均ピッチpに対する平均高さhの比は3.5であった。
(保護層の形成)
液状の保護層形成材料として、塗布後加熱により硬化する樹脂(商品名:HGX−153、ナガセケムテックス製、粘度3mPa・s)を前記石英基板の凹凸パターン形成面にスピンコート法により塗布した。
その後、150°Cで5分間乾燥し、樹脂(HGX−153)を硬化させて、保護層付凹凸パターン形成体を得た。形成された保護層の表面を顕微鏡で観察したところ、表面は、モスアイ微細構造に沿って僅かに凹凸が見られたが、微細な異物や液状物が侵入できるような隙間は、見られなかった。
(保護層付凹凸パターン形成体の組み込み)
ついで、保護層付凹凸パターン形成体を切断加工して20mm×20mmの正方形状サンプルを作成した。
正方形状サンプルを囲むアルミフレームを準備し、保護層付凹凸パターン形成体の正方形状サンプルの各辺の中央付近端面とアルミフレーム表面の両方に接着するように液状接着剤(商品名:M、アルテコ社製)を滴下して組み込み作業を行った。
(保護層の除去)
液状接着剤が硬化した後、正方形状サンプルの保護層をグリコールエーテル65質量%、2−アミノエタノール19質量%、水:16質量%から成る溶剤A1を用いて保護層を溶解洗浄し、保護層を除去してアルミフレームに組み込まれた石英基板を得た。
(評価)
HGX−153を150°Cで5分間乾燥し硬化させたサンプル10gを溶剤A1、100g中に浸漬して溶剤A1を攪拌しながら溶解させたところサンプルは完全に溶解した。
また、HGX−153を溶剤A1に溶かした10質量%溶液の粘度をB型粘度計で測定したところ100mPa・s以下であった。
保護層の除去された前記石英基板のモスアイ微細構造を顕微鏡で観察したところ、異物などによる汚れは見られなかった。
また、前記石英基板のモスアイ微細構造面の反射率を測定したところ、0.8%であった。
尚反射率の測定は以下のようにして行った。
サンプル垂直入射反射率をOcean Optics社製USB2000用いて、400nmから800nmまで20nm刻みで測定し、得られた測定値の平均値を反射率とした。
(実施例2)
実施例1の「保護層の形成」を以下のように変更し、「保護層の除去」を以下のように変更した以外は、実施例1と同様に行った。
(保護層の形成)
液状の保護層形成材料として、紫外線硬化処理前の紫外線硬化型樹脂(商品名:UV7620EA、日本合成製、粘度100mPa・s)、50部/メチルエチルケトン可溶性樹脂(商品名:BL−10、セキスイ社製)、15部/メチルエチルケトン35部から成る塗液を前記石英基板の凹凸パターン形成面にスピンコート法により塗布した。
その後、150°Cで3分間乾燥し、紫外線ランプで3分間硬化させて保護層付凹凸パターン形成体を得た。形成された保護層の表面を顕微鏡で観察したところ、表面は、モスアイ微細構造に沿って僅かに凹凸が見られたが、微細な異物や液状物が侵入できるような隙間は、見られなかった。
(保護層の除去)
液状接着剤が硬化した後、正方形状サンプルのメチルエチルケトンを用いて保護層を溶解洗浄し、保護層を除去してアルミフレームに組み込まれた石英基板を得た。
(評価)
紫外線硬化処理前の紫外線硬化型樹脂(商品名:UV7620EA、日本合成製、粘度100mPa・s)、50部/メチルエチルケトン可溶性樹脂(商品名:BL−10、セキスイ社製)、15部/メチルエチルケトン35部から成る塗液を150°Cで3分間乾燥し、紫外線ランプで3分間硬化させたサンプル10gを溶剤A1、100g中に浸漬してメチルエチルケトンを攪拌しながら溶解させたところサンプルは完全に溶解した。
また、この溶液(固形分10質量%溶液)の粘度をB型粘度計で測定したところ100mPa・s以下であった。
保護層の除去された前記石英基板のモスアイ微細構造を顕微鏡で観察したところ、異物などによる汚れは見られなかった。
また、前記石英基板のモスアイ微細構造面の反射率を測定したところ、0.8%であった。
(実施例3)
実施例1の「保護層の形成」を以下のように変更し、「保護層の除去」を以下のように変更した以外は、実施例1と同様に行った。
(保護層の形成)
保護層形成材料として、80°Cに加熱溶融したポリオレフィンワックスA(商品名:100PHP10A、三井化学社製、融点(DSC法測定値):116°C、140°Cにおける粘度(B型粘度計測定値):15mPa・s)を前記石英基板の凹凸パターン形成面に塗布した後、冷却して固化させ、保護層付凹凸パターン形成体を得た。
形成された保護層の表面を顕微鏡で観察したところ、表面は、モスアイ微細構造に沿って僅かに凹凸が見られたが、微細な異物や液状物が侵入できるような隙間は、見られなかった。
(保護層の除去)
液状接着剤が硬化した後、サンプルの凹凸パターン形成面が下向きとなるように前記アルミフレームを固定した状態で、保護層を加熱溶融し、液状のパラフィンワックスを滴下させることによって、保護層が除去された凹凸パターン形成体を得た。
(評価)
保護層の除去された前記石英基板のモスアイ微細構造を顕微鏡で観察したところ、異物などによる汚れは見られなかった。
また、前記石英基板のモスアイ微細構造面の反射率を測定したところ、0.8%であった。
(比較例1)
実施例において、液状の保護層形成材料により保護層を設け、アルミフレームと接着後、溶剤A1により保護層を除去することに代えて、以下の操作を行った以外は、実施例1と同様にしてアルミフレームに組み込まれた石英基板を得た。
エッチングによりモスアイ微細構造が表面に形成された石英基板のモスアイ微細構造の上に保護フィルム(商品名:DGP−004FLAG、エルコム社製)を貼り付けた。
ついで、保護フィルム付凹凸パターン形成体を切断加工して20mm×20mmの正方形状サンプルを作成した。
正方形状サンプルを囲むアルミフレームを準備し、保護フィルム付凹凸パターン形成体の正方形状サンプルの各辺の中央付近端面とアルミフレーム表面の両方に接着するように液状接着剤(商品名:M、アルテコ社製)を滴下して組み込み作業を行った。
液状接着剤が硬化した後、保護フィルムを剥離除去してアルミフレームに組み込まれた石英基板を得た。
保護層フィルムが剥離除去された前記石英基板のモスアイ微細構造を顕微鏡で観察したところ、モスアイ微細構造の隙間の一部に異物が侵入していた。異物は、液状接着剤が侵入し固化したものであった。
また、モスアイ微細構造の一部に欠損が見られた。欠損は、保護フィルムを剥離したときに発生したものであった。
また、前記石英基板のモスアイ微細構造面の反射率を測定したところ、4.8%であった。
(比較例2)
保護層の形成および除去を行わなかった以外は実施例1と同様にしてアルミフレームに組み込まれた石英基板を得た。
保護層フィルムが剥離除去された前記石英基板のモスアイ微細構造を顕微鏡で観察したところ、モスアイ微細構造の隙間の一部に異物が侵入していた。異物は、切断加工時に発生した石英のかけら、及び、液状接着剤が侵入し固化したものであった。
また、前記石英基板のモスアイ微細構造面の反射率を測定したところ、5.6%であった。
実施例の結果は、本発明の保護層付凹凸パターン形成体が、凹凸パターン形成体が装置に組み込まれた後にその性能を発揮するために有用なものであることを示した。
更に、実施例1の結果は、凹凸パターン形成体に保護層を形成し、保護層付凹凸パターン形成体を装置に組み込んだ後、保護層を除去する本発明の方法が、凹凸パターン形成体が装置に組み込まれた後にその性能を発揮するために有用なものであることを示した。

Claims (5)

  1. 基材と凸部または凹部が該基材の表面の少なくとも一部に配列して形成された凹凸パターンを有する凹凸パターン形成体と、溶媒可溶性材料および/または熱可塑性材料および/または紫外線硬化性材料の硬化物および/または熱硬化性材料の硬化物を主成分とし、前記凹凸パターンを充填するように前記基材の少なくとも一部に設けられた保護層とを有する保護層付凹凸パターン形成体であって、
    前記凸部または前記凹部の平均ピッチに対する平均高さまたは平均深さの比が1.5〜20であり、前記保護層は、低級アルコール類、グリコールエーテル類、グリコールエステル類、およびケトン類から選ばれるいずれか1つまたは2つ以上の混合液から成る溶媒A100gに10質量%の濃度で溶解したときの溶液の粘度が100mPa・s以下である材料を主成分とするものである保護層付凹凸パターン形成体。
  2. 前記保護層は、140°Cにおける溶融粘度が650mPa・s以下である請求項に記載の保護層付凹凸パターン形成体。
  3. 前記紫外線硬化性材料は、硬化前の粘度が300mPa・s以下である請求項1または2に記載の保護層付凹凸パターン形成体。
  4. 前記熱硬化性材料は、硬化前の粘度が300mPa・s以下である請求項1〜のいずれかに記載の保護層付凹凸パターン形成体。
  5. 前記凸部または凹部の平均ピッチが50nm〜2000nmである請求項1〜のいずれかに記載の保護層付凹凸パターン形成体。
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