JP2015175868A - 光量調整装置、レンズ鏡筒、光学機器および撮像装置 - Google Patents

光量調整装置、レンズ鏡筒、光学機器および撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】不要な駆動負荷を増すこと無しに簡単な構成で高精度な絞りの開口径制御が可能であり、駆動騒音の低減が可能な光量調整装置を提供する。【解決手段】回転駆動手段105を備えるベース部材101と、ベース部材101に対して光軸を中心に相対回転可能に設けられ、回転駆動手段105を用いて回転させることによって絞り羽根を駆動する回転部材102とを備え、ベース部材と回転部材のうち、一方には光軸を中心とする2箇所の円弧状被係合部(101a、101b)を設けると共に、他方には円弧状被係合部のそれぞれに沿って案内されるように嵌合される2つの係合部(102a、102b)を設けた。【選択図】図3

Description

本発明は、絞りの開口径を変化させることによって光量を調整する光量調整装置、これを搭載するレンズ鏡筒等に関する。
カメラ用交換レンズのような光学機器には、撮影画像の明るさを適正にする、もしくは被写界深度を変化させる目的で、光学系内に配置された光量調整装置により絞りの開口径を制御するものがある。このような光量調整装置としては、例えば光路中に設けられ、光軸を中心に回転自在に設けられた回転リングを回転させることによって、絞り羽根を駆動して絞りの開口径を変化させることにより、その絞りの開口部を通過する光量を調整するものがある。このように絞り羽根を駆動する回転リングなどは、モータなどの駆動力を、歯車を介して伝達して回転させるものが多い。ところが、歯車機構を用いると、歯車のバックラッシュや動作音が発生する。これらは絞り開口制御の精度などにも影響するため、歯車のバックラッシュや動作音をできる限り低減することが望まれている。特に、撮影の際に被写体の明るさ変動に応じて絞り口径が制御されると、絞り込み方向と絞り開放方向の両方向への駆動が必要となり、撮影中にモータの反転駆動が度々行なわれ、歯車のバックラッシュや動作音の発生が大きくなってしまう。
そこで、特許文献1は、歯車のバックラッシュや動作音を抑えるため、モータの出力歯車と、回転させる風車の歯車との間に中間歯車を配置し、中間歯車を所定の方向に付勢する構成を開示している。また、特許文献2は、回転させる駆動リングに弾性歯車を重ねて設け、この弾性歯車の弾性変形によりバックラッシュに起因する作動音を低減する構成を開示している。
特開2003−121901号公報 特開2009−133440号公報
ところで、上述したような従来の技術では特許文献1、2にも示すように、絞り羽根を駆動するための回転リングは回転し易いように、その中心で支持されているのではなく、その外周に配置された複数の凸部によって回転を案内するように嵌合支持されている。特にこのような回転リングでは、温度や湿度等による寸法変化や組立による変形等が生じても回転できるように、一定の寸法公差を確保すべく、回転リングとそれを支持する複数の凸部との間に隙間が設けられる。このような嵌合の隙間があるために、回転リングの中心はより偏心し易い状態にある。しかも、このような回転リングに設けられる歯車機構は、回転リングの周縁に設けられた従動歯車に、これを駆動させる歯車を噛合させて構成される。このため、回転リングの周縁にある従動歯車から、これを駆動させる歯車が離れる方向に回転リングが偏心すると、噛合のバックラッシュがより一層大きくなってしまう。したがって、その分、歯車の噛合が遅れるため、絞り開口径変化の遅れが生じ、絞り開口径制御の精度が低下してしまう。
しかしながら、特許文献1、2では、このような回転リングを回転支持する際の嵌合の隙間による絞り開口径変化の遅れについては何ら考慮されていない。また、上述したような従来の技術に用いられる歯車のバックラッシュを低減させるための構成では、それを追加することで駆動負荷が増してしまうだけでなく、装置の大型化や消費電力が増大するおそれがある。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、例えば、不要な駆動負荷を増すこと無しに簡単な構成で高精度な絞り開口径制御を可能とし、駆動騒音の低減を可能とする光量調整装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、光路中に設けられ、絞り羽根を駆動して絞りの開口径を変化させることによって光量を調整する光量調整装置であって、回転駆動手段を備えるベース部材と、ベース部材に対して光軸を中心に相対回転可能に設けられ、回転駆動手段を用いて回転させることによって絞り羽根を駆動する回転部材と、を備え、ベース部材と回転部材のうち、一方には光軸を中心とする2箇所の円弧状被係合部を設けると共に、他方には円弧状被係合部のそれぞれに沿って案内されるように嵌合される2つの係合部を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、例えば、不要な駆動負荷を増すこと無しに簡単な構成で高精度な絞り開口径制御が可能であり、駆動騒音の低減が可能な光量調整装置を提供することができる。
第1実施形態に係る光量調整装置を搭載可能な一眼レフカメラおよび交換レンズの要部断面図である。 図1に示す絞りユニットの斜視図である。 図2に示す絞りユニットの分解斜視図である。 第1実施形態に係る絞りユニットの配置を説明するための図であり、同図(a)は絞り開放の状態を示しており、同図(b)は最小絞りの状態を示している。 回転ガイドピンと回転ガイド溝の嵌合の隙間による偏心を説明するための図である。 回転ガイドピンと回転ガイド溝の嵌合の隙間による偏心量を説明するためのグラフであり、同図(a)および(b)はそれぞれ図5(a)および(b)に対応している。 第2実施形態に係る絞りユニットの分解斜視図である。 図7に示す絞りユニットの配置を説明するための図であり、同図(a)は絞り開放の状態を示しており、同図(b)は最小絞りの状態を示している。
以下、本発明を実施するための形態について図面などを参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態に係る光量調整装置を搭載可能な撮像装置(光学機器)の具体例について説明する。ここでは、このような撮像装置(光学機器)として、レンズ交換式デジタル一眼レフカメラを挙げる。図1は、本実施形態に係る光量調整装置を搭載したレンズ交換式デジタル一眼レフカメラおよび交換レンズの構成を示す要部断面図である。図1に示すデジタル一眼レフカメラは、カメラ1と、交換レンズ(レンズ鏡筒)2とを備える。カメラ1に設けられたカメラマウント部1aと、交換レンズ2に設けられたレンズマウント部2aとは、いわゆるバヨネット結合により機械的に着脱可能となっている。カメラ1と交換レンズ2はマウント部を介して電気的な通信を行なう。カメラ1は、メインミラー3、ペンタプリズム4、ピント板5、ファインダレンズ6、測光ユニット7、サブミラー8、焦点検出ユニット9、フォーカルプレーンシャッターユニット10、撮像素子11、ディスプレイパネル12、およびマイクユニット13を備える。このようなデジタル一眼レフカメラによれば、交換レンズ2により結像される被写体像がメインミラー3で反射され、ピント板5上に結像し、ペンタプリズム4で正立像となり、ファインダレンズ6により観察可能となる。測光ユニット7は、複数の受光部からなる測光センサと、ピント板5上に結像した被写体像を測光センサ上に再結像させる測光レンズとから成り、被写体像の輝度が検出される。交換レンズ2により結像される被写体像は、メインミラー3で透過された一部の光束がサブミラー8で反射され、焦点検出ユニット9へ導かれる。焦点検出ユニット9は、フィールドレンズ、二次結像レンズ、一対のAFセンサよりなり、いわゆる位相差方式により焦点検出を行なう。撮像素子11は、CCDやCMOSなどの光の量を電気信号として取りだすことが可能な光電変換素子である。撮像素子11のセンサ面と焦点検出ユニット9のAFセンサのセンサ面とは、共役の位置にあり、焦点検出ユニット9により撮像素子11での合焦状態を予め検出することが可能である。ディスプレイパネル12は、撮像素子11から得られた被写体像の確認が可能であり、その他の様々な撮影情報の確認やカメラのモード設定が図示しない操作手段により行なわれる。マイクユニット13は、被写体の音を取得する。
ここで、上述した交換レンズ2は、図1に示すようなカメラのみならず、撮像素子を備えたデジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、または銀塩フィルムを使用するスチルカメラなどの撮像装置(光学機器)に対して着脱可能な交換レンズとする。ただし、交換レンズ2は、撮像装置に内蔵するものであってもよいし、撮像装置に限らず、例えばいわゆるプロジェクターなどの投射装置に着脱する交換レンズ、または投射装置に内蔵するものであってもよい。交換レンズ2は、第一レンズ群L1、第二レンズ群L2、第三レンズ群L3、第四レンズ群L4、第五レンズ群L5、および第六レンズ群L6の6つのレンズ群からなる光学系を含む。第一レンズ群L1、第三レンズ群L3、第五レンズ群L5、および第六レンズ群L6は、光軸方向に固定のレンズ群である。第二レンズ群L2および第四レンズ群L4は、合焦動作を行うものであり、光軸方向に移動する。図1においては、光軸(図中一点鎖線)の上側と下側には、動作が分かり易いように異なる動作状態を示して説明する。具体的には、光軸(図中一点鎖線)の上側には、第二レンズ群L2と第四レンズL4が無限の被写体に合焦している状態を示しており、光軸の下側には、第二レンズ群L2mと第四レンズL4mが最至近の被写体に合焦している状態を示している。
カメラ1の交換レンズ(レンズ鏡筒)2には、本実施形態にかかる光量調整装置が絞りユニット100として設けられている。絞りユニット100は、交換レンズの光路中に設けられ、絞り羽根を駆動して絞りの開口径を変化させることにより、その絞りの開口部を通過する光量を調整する。すなわち、絞りユニット100は、撮影画像の明るさを適正にする、もしくは被写体のピントが合っているように見える範囲(被写界深度)を変化させる目的で、絞り開口径が制御される。なお、絞り開口径の調整は、撮影者の手動操作によるもの、または撮像装置側からの動作指令に基づく自動動作によるものを問わない。
次に、このような絞りユニット100の具体的な構成について説明する。図2は、絞りユニット100の斜視図であり、図2(a)および図2(b)は、それぞれ逆方向からの斜視図である。図3は、絞りユニット100の分解斜視図であり、図3(a)および図3(b)は、それぞれ図2(a)および図2(b)と同一方向からの分解斜視図である。絞りユニット100は、絞り地板(ベース部材)101、絞り駆動リング(回転部材)102、カム板103、絞り羽根104、およびステッピングモータ(回転駆動手段)105を有する。ステッピングモータ105は、絞り地板101に位置決めの上でビス固定されている。絞りユニット100は、さらにピニオンギア(駆動歯車)106、絞り開放を検出する開放スイッチ107を有する。絞り地板101とカム板103との間に、光軸を中心に相対回転可能に設けられた絞り駆動リング102と、7枚の絞り羽根104とが収容されている。さらに、絞り地板101とカム板103とを3本の固定ビス108で位置決めの上で締結することで絞りがユニット化されている。絞り羽根104には、回転ピン104aとカムピン104bとが設けられている。絞り駆動リング102には、回転ピン104aと係合する回転穴102cが周方向に均等に7個設けられ、7枚の絞り羽根104が回転ピン104aに対して回転自在に支持されている。カム板103には、カムピン104bと係合するカム溝103aが周方向に均等に7個設けられている。絞り駆動リング102が回転させられると、カム溝103aに係合しているカムピン104bは、カム溝103aに沿って回転ピン104aを中心に絞り羽根104を回転させる。7枚の絞り羽根104は、同じ支持構成で周方向に均等に配置されているので、絞り駆動リング102の回転により所望の絞り開口径の設定が可能である。絞り地板101には、2つの回転ガイド溝(円弧状溝部、円弧状被係合部)101a、101bが光軸を中心とする円弧形状に設けられている。絞り駆動リング102には、2つの回転ガイドピン(支持ピン、係合部)102a、102bが光軸を中心とする同一半径の周上に設けられている。回転ガイドピン102a、102bは、それぞれ回転ガイド溝101a、101bに適切な隙間を有する嵌合公差で係合しており、絞り駆動リング102の光軸を中心とする回転のガイドになっている。絞り駆動リング102の周縁部には、ピニオンギア106と噛合するリングギア(従動歯車部)102dが設けられており、ステッピングモータ105の回転が絞り駆動リング102に伝えられる。なお、ここでの回転ガイド溝(円弧状溝部、円弧状被係合部)101a、101bは、貫通していてもよく、また貫通していなくてもよい。
さらに、上述した絞りユニットの回転ガイドピン102a、102b、およびピニオンギア106の配置について説明する。図4(a)は、絞りユニット100が絞り開放の状態を表し、図4(b)は、絞りユニット100が最小絞りの状態を表している。図4(a)および図4(b)は、絞り地板101側からの図であり、説明を容易にする為にステッピングモータ105は省略している。回転ガイドピン102a、102bは、光軸を中心として90度の角度で絞り駆動リング102に設けられている。図4(a)の絞り開放の状態では、ガイドピン102aは、ピニオンギア106に対して時計回りの方向に20度の角度に位置しており、図4(b)の最小絞りの状態では、反時計回りの方向に20度の角度に位置している。つまり、絞り開放から最小絞りまでの絞り駆動リング102の回転角度は、40度であり、例えば回転角度範囲の中央で回転ガイドピン102aとピニオンギア106の光軸を中心とする角度が同じになる配置になっている。このように、回転ガイドピン(支持ピン、係合部)の1つは、光軸を中心として駆動歯車を配置する角度に合うような角度で配置することが好ましい。これにより、絞り駆動リング(回転部材)102の中心が、ピニオンギア(駆動歯車)106と絞り駆動リング102のリングギア(従動歯車部)102dとの中心を結ぶ方向に、偏心することを極力抑えることができる。この方向での偏心抑制効果を大きくできるので、バックラッシュと動作音の発生を的確に抑制できる。
このように、本実施形態における絞り駆動リング102は、回転ガイドピン102a、102bを回転ガイド溝101a、101bに嵌合させてその回転を案内させることができる。これによれば、リング外周を複数の凸部に嵌合させてその回転を案内するだけの従来の構成に比して、絞り駆動リング102の中心の偏心を大幅に抑えることができる。このため、絞り駆動リング102の周縁のリングギア102dとそれを駆動するピニオンギア106との離隔を抑制できるので、これらの噛合のバックラッシュや動作音の発生を大幅に抑制することができる。これにより、歯車の噛合の遅れによる絞り開口径変化の遅れなどを抑制することができるので、絞り開口径制御の精度を大幅に向上させることができる。具体的には、絞り羽根を駆動するリング外周を複数の凸部に嵌合させてその回転を案内するだけの従来の構成では、リング外周の径は非常に大きいので、リング外周と凸部の嵌合部分の公差設定(隙間の設定)も大きくしなければならない。このため、その分、絞りを駆動するリングの中心の偏心量も大きくなり易い。これに対して、本実施形態における絞り駆動リング102の中心の偏心量は、回転ガイドピン102a、102bと回転ガイド溝101a、101bとの嵌合の公差設定(隙間の設定)に応じたものになる。このため、回転ガイドピン102a、102bの径は、絞り駆動リング102の外周の径に比べて非常に小さいので、これらの嵌合の公差設定も非常に小さくすることが可能となる。従って、上述したように、本実施形態では、リング外周を複数の凸部に嵌合させてその回転を案内するだけの従来の構成に比して、絞り駆動リング102の中心の偏心を大幅に抑えることができる。それによって絞り開口径制御の精度を従来よりも大幅に向上することができる。このような絞り駆動リング102の偏心量と、その回転を案内する嵌合部分の公差設定(隙間の設定)との関係についての詳細は後述する。
ここで、絞り駆動リング102の偏心量と、その回転を案内する嵌合部分の公差設定(隙間の設定)との関係について図面を参照してより詳細に説明する。ここではまず、本実施形態での具体的な説明に先立ち、上述の様な係合により可動部材の動きを案内(ガイド)する場合の隙間の設定について説明する。一般に、工業製品では複数の部品を組み合わせて所望の機能を達成するように作られているので、個々の部品の各部の出来あがり寸法には許容される幅、いわゆる公差が設定されている。形状寸法には、その部品の加工方法に応じて適切な公差を許容しないと加工時間およびコスト面などで製作が困難になってしまう。また、一般に形状寸法が大きくなると実現可能な出来あがり寸法の幅も広くなってしまうので十分な考慮が必要となる。例えば2つの部品を係合し、両者の相対的な動きを円滑に案内させるには、隙間となる部分の公差の設定が重要となる。係合部分の寸法がオーバーラップして部品が出来あがると、そもそも両者を組み合わせることは出来ない。また、隙間が無い状態の出来あがりで両者を辛うじて組み合わせることが出来たとしても、温度や湿度等による寸法変化や組立による変形等が生じて隙間が詰まってしまうと動かなくなる可能性がある。従って、係合部分の寸法公差設定は必要最小限の隙間を確保して、隙間が大きくなる方向に公差の幅を規定することになる。必要最小限の隙間についても、形状寸法が大きいと温度や湿度等による寸法変化や組立による変形等も大きくなるので、より大きな最小隙間設定にする必要がある。
このような隙間の設定(公差の設定)があるために、絞り羽根を駆動するリングの回転を案内する構成によっては、従来のようにリング中心の偏心量がより大きくなる。その分、これを回転駆動する歯車機構の歯車が離れ易くなり、バックラッシュや動作音が大きくなってしまう。本実施形態では、この絞り羽根を駆動するリングの回転を案内する構成を工夫することで、隙間の設定(公差の設定)をより小さくできるようにしたものである。これにより、リング中心の偏心量を抑えることができる。例えば、上述した従来技術では、絞り羽根を駆動するリングの外周を、複数の凸部に嵌合させてその回転を案内する構成である。この構成では例えばそのリング直径がφ15mm程度の場合、リング外周とその回転を案内する凸部の側面との隙間が最小20μmから最大80μm程度という大きな公差の設定(隙間の設定)が必要になる。これに対して、本実施形態は、絞り駆動リング102を、回転ガイドピン102a、102bを回転ガイド溝101a、101bに嵌合させてその回転を案内する構成である。この構成では例えばピンの直径をφ1.0mmとした場合、最小6μmから最大26μm程度、すなわち従来の略1/3以下という非常に小さい公差設定が可能となる。これにより、絞り羽根を駆動するリングの中心の偏心量を従来よりも非常に小さくことができる。
ここで、このような本実施形態にかかる回転ガイドピン102a、102bとそれぞれが係合する回転ガイド溝101a、101bとの隙間が、絞り駆動リング102の偏心量に及ぼす影響についてより具体的に説明する。図5(a)は、本実施形態の回転ガイドピン102a、102bが図4で示す様に光軸を中心に90度の角度で設けられ、それぞれが回転ガイド溝101a、101bに所定の隙間を有する嵌合公差で係合した状態の模式図である。図の中心に描かれている太線の円Aは、回転ガイドピン102a、102bを重ねて表現しており、周囲の太線の正方形Bは、回転ガイド溝101a、101bを表している。正方形Bは、溝形状を正確に描くと円弧の組合せとすべきであるが、円弧の半径が大きくなるにつれて直線に近づくことと、隙間が小さい場合には直線としても大きな誤差は生じないこととから正方形で評価する。円Aと正方形Bとの隙間gは、上述のピン直径φ1.0mmの隙間設定では最大値の13μm(最大隙間26μmの片側)とする。絞り駆動リング102を回転させずに隙間内での偏心だけを評価すると、円Aが正方形B内の隙間で動ける部分が各方向の偏心量となる。尚、中心からの放射方向の線は、45度の角度で均等に描かれている。図5(b)は、2つの回転ガイドピンを120度の角度で設けた場合の図5(a)と同様な模式図である。同等の構成には符号に(′:ダッシュ)を付して表現している。太線の円A′が偏心可能な範囲は、太線の菱形B′の範囲内である。中心からの放射方向の線は、30度の角度で均等に描かれている。隙間gの設定は、図5(a)と同じとする。図6は、嵌合の隙間による偏心量を説明するグラフである。図6(a)および(b)は、それぞれ図5(a)および(b)に対応している。横軸は、回転ピンの角度であり、回転ピン102aおよび102a′の角度を零として反時計方向への角度である。縦軸は、絞り駆動リングの偏心量であり、隙間gを1とした時の各角度方向への偏心量である。
図5(a)と図6(a)とを対応させて見ると、ピンと溝が直角に当接する0度、90度、180度、270度では偏心量は1であり、そこから45度ずれた正方形Bの対角方向が最大の偏心量で2の平方根である1.4142となっている。図4では、本実施形態での回転ガイドピン102a、102bとピニオンギア106との配置を説明する。ピニオンギア106で絞り駆動リング102を駆動する場合には、ピニオンギア106とリングギア102dとの隙間で決まるバックラッシュが多くなると歯の衝突音が大きくなる。また、ギアの噛合い部分から90度方向の隙間の大きさに応じて絞り開口径の変化が遅れてしまう。つまり、回転ピン102aに対してピニオンギア106の位置する角度での偏心量と、そこから90度の角度方向への偏心量が、反転時の衝突音の発生と絞り開口径の変化遅れに大きな影響を及ぼしている。図4(a)では、図6(a)のグラフで−20度の位置でピニオンギア106が絞り駆動リング102のリングギア102dと噛合っている。また図4(b)では、図6(a)のグラフで+20度の位置でピニオンギア106が絞り駆動リング102のリングギア102dと噛合っている。両位置での偏心量の最大値は、上述のピンの直径φ1.0mmとした場合の隙間設定の最大値26μmに対しては1.064倍の27.7μmとなる。それぞれの角度において90度の角度は、70度と110度の角度に対応しており偏心量は同じになる。従って、上述したような絞り羽根を駆動するリングの外周を、複数の凸部に嵌合させてその回転を案内する構成では、直径φ15mm程度の係合での偏心量が全方向に最大値で80μmとなる。これに対して、本実施形態における、絞り駆動リング102の偏心量は、上述した従来と比べれば略1/3以下の程度まで低減することができることが分かる。しかも、図6(a)のグラフで分かるように、偏心量は、45度に近づくにつれ急激に増加する。このため、図4(a)、(b)のように回転ガイドピン102aとピニオンギア106との角度を、絞り駆動リング102の相対回転可能な角度範囲内、例えば絞り開口径の使用範囲内で、均等にすることで性能に影響する方向の偏心量をうまく低減出来る。
次に、図5(b)と図6(b)とを対応させて見ると、ピンと溝が直角に当接する0度、120度、180度、300度では偏心量は1であり、菱形B′の長軸方向の60度、240度での偏心量は2である。また短軸方向の150度、330度では2を3の平方根で割り算した1.1547である。図5(b)では、2つの回転ガイドピンを120度の角度で設けた場合を示しているが、回転ガイドピン102a′を180度の位置に変えて、2つの回転ガイドピンの角度を60度にしても回転ガイド溝との隙間の関係は変わらないことが分かる。なお、図5(b)において、240度の位置に回転ガイドピンと回転ガイド溝をもうひと組追加すると、60度毎に偏心量の最大値が2を3の平方根で割り算した=1.1547となり、より最適な配置のように見える。ところが、この場合には3つの回転ガイドピンが成す円の直径が、回転を案内する為の形状寸法に相当することになるので、上述の大きな直径で嵌合させた場合と同様な公差設定が必要となってしまい、偏心量をより小さく抑えることは出来ない。以上によれば、絞り駆動リングの偏心量を小さく抑える為には、2つの回転ガイドピンを設ける角度は、90度が最適であることが分かる。
このように、本実施形態によれば、絞り駆動リング102は、回転ガイドピン102a、102bを回転ガイド溝101a、101bに嵌合させてその回転を案内させることができる。これによれば、駆動負荷がかからず、しかも簡単な構成で、絞り駆動リング102の中心の偏心を大幅に抑えることができる。従って、不要な駆動負荷を増すこと無しに簡単な構成で高精度な絞り開口径制御が可能であり、駆動騒音の低減が可能となる。
なお、上述した第1実施形態では、回転ガイド溝と回転ガイドピンをそれぞれ、ベース部材(絞り地板)と回転部材(絞り駆動リング)に設けた場合について説明したが、これに限られるものではなく、逆に設けるようにしてもよい。すなわち、ベース部材と回転部材のうち、一方には回転ガイド溝を設けると共に、他方には回転ガイド溝のそれぞれに沿って案内されるように嵌合される係合部を設ければよい。具体的には以下の第2実施形態で説明する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る光量調整装置について説明する。第1実施形態では、回転ガイド溝101a、101bが絞り地板101に設けられ、回転ガイドピン102a、102bが絞り駆動リング102に設けられた。これに対して、本実施形態での回転ガイド溝202a、202bは、絞り駆動リング202に設けられ、回転ガイドピン201a、201bは、絞り地板201に設けられた。
図7は、第1実施形態における図3に対応し、本発明を適用した他の実施形態の絞りユニットの分解斜視図である。図7(a)および図7(b)は、それぞれ逆方向からの分解斜視図である。なお、第2実施形態の各構成要素のうち、第1実施形態と同一のものには同一の符号を付し、説明を省略する。第2実施形態における絞り地板101には、2つの回転ガイドピン(支持ピン、係合部)201a、201bが光軸を中心とする同一半径の周上に設けられている。絞り駆動リング102には2箇所の円弧状被係合部であるところの回転ガイド溝202a、202bが光軸を中心とする円弧形状に設けられている。回転ガイドピン201a、201bはそれぞれ回転ガイド溝202a、202bに適切な隙間を有する嵌合設定公差で係合しており、絞り駆動リング102の光軸を中心とする回転のガイドになっている。
図8は、第1実施形態における図4に対応し、回転ガイドピン201a、201b、およびピニオンギア106の配置について説明する図である。図8(a)は、絞りユニットが絞り開放の状態を表し、図8(b)は、絞りユニットが最小絞りの状態を表している。図8(a)および図8(b)は、カム板103側からの図であるが、説明を容易にする為にカム板103および絞り羽根104の一部は省略している。回転ガイドピン201a、201bは、光軸を中心として90度の角度で絞り地板201に設けられ、回転ガイドピン201aがピニオンギア106と同じ角度で配置される。
このような本実施形態によっても、第1実施形態と同様に絞り駆動リング102の中心の偏心を大幅に抑えることができる。これにより、歯車の噛合の遅れによる絞り開口径変化の遅れなどを抑制することができるので、絞り開口径制御の精度を大幅に向上させることができる。さらに、本実施形態では、回転ガイドピン201aおよび201bが固定の絞り地板201に設けられるので、ピニオンギア206との相対的な位置関係は絞り開口径の開放から最小絞りの全域において変化しない。このため、図6(a)のグラフにおいて0度と90度での最小の偏心量の状態で絞り駆動リング202を駆動することができる。
なお、第1および第2実施形態では共に、回転駆動手段として、ステッピングモータを用いた場合を説明したが、これに限られるものではなく、DCモータやブラシレスモータやメーター等を用いてもよい。また、回転駆動手段と回転部材との駆動力伝達は、歯車の噛合いのような歯車機構を用いた場合について説明したが、これに限られるものではなく、メーターで揺動するピンと回転部材に設けられたピンと係合する溝のようなピン機構を用いた構成であってもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
101 絞り地板(ベース部材)
101a 回転ガイド溝(円弧状被係合部)
101b 回転ガイド溝(円弧状被係合部)
102 絞り駆動リング(回転部材)
102a 回転ガイドピン(係合部)
102b 回転ガイドピン(係合部)
104 絞り羽根
105 ステッピングモータ(回転駆動手段)

Claims (7)

  1. 光路中に設けられ、絞り羽根を駆動して絞りの開口径を変化させることによって光量を調整する光量調整装置であって、
    回転駆動手段を備えるベース部材と、
    前記ベース部材に対して光軸を中心に相対回転可能に設けられ、前記回転駆動手段を用いて回転させることによって前記絞り羽根を駆動する回転部材と、を備え、
    前記ベース部材と前記回転部材のうち、一方には前記光軸を中心とする2箇所の円弧状被係合部を設けると共に、他方には前記円弧状被係合部のそれぞれに沿って案内されるように嵌合される2つの係合部を設けたことを特徴とする光量調整装置。
  2. 前記2つの係合部は、前記光軸を中心として90度の角度を成すように配置したことを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
  3. 前記2つの係合部は、前記回転部材に設け、
    前記回転部材の周縁の一部に従動歯車を設け、この従動歯車に噛合するように前記回転駆動手段で駆動する駆動歯車を配置し、
    前記係合部の1つは、前記ベース部材に対する前記回転部材の相対回転可能な角度範囲で、前記光軸を中心として前記駆動歯車を配置する角度に合うような角度で配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光量調整装置。
  4. 前記2つの係合部は、前記ベース部材に設け、
    前記回転部材の周縁の一部に従動歯車を設け、この従動歯車に噛合するように前記回転駆動手段で駆動する駆動歯車を配置し、
    前記係合部の1つは、前記光軸を中心として前記駆動歯車を配置する角度に合うような角度で配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光量調整装置。
  5. 光量調整装置を有するレンズ鏡筒であって、
    請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の光量調整装置を備えたことを特徴とするレンズ鏡筒。
  6. 光量調整装置を有する光学機器であって、
    請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の光量調整装置を備えたことを特徴とする光学機器。
  7. 光量調整装置を有する撮像装置であって、
    請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の光量調整装置を備えたことを特徴とする撮像装置。
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