JP2015175061A - 引張最大強度780MPaを有する衝突特性に優れた高強度鋼板、高強度溶融亜鉛めっき鋼板、並びに、高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板とそれらの製造方法。 - Google Patents

引張最大強度780MPaを有する衝突特性に優れた高強度鋼板、高強度溶融亜鉛めっき鋼板、並びに、高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板とそれらの製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】引張最大強度(TS)780MPa以上で衝突時の衝撃吸収部材に適用可能な高強度鋼板、高強度溶融亜鉛めっき鋼板、並びに、高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供する。
【解決手段】ミクロ組織が、体積分率で主相としてフェライトを30%以上含有し、第二相としてマルテンサイト及びベイナイトの1種又は2種以上を合計で10〜70%以下含有し、残留オーステナイト体積率を10%未満に制限する鋼板であって、バウシンガ試験における順方向の変形応力σ(z)と逆方向の変形応力σ(−z)との比が下記(1)式を満たすことを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板。
|σ(−z)|/|σ(z)|≦0.85 (1)
【選択図】なし

Description

本発明は、引張最大強度(TS)が780MPa以上で、衝突時の衝撃吸収能に優れた自動車用の構造用部材、補強用部材、足廻り用部材に特に適した高強度鋼板、高強度溶融亜鉛めっき鋼板、並びに、高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関するものである。本発明におけるめっき鋼板とは、亜鉛めっき鋼板及び合金化溶融亜鉛めっき鋼板であり、めっき層中には、純亜鉛に加え、Fe、Al、Mg、Mn、Si、Cr、Ni、Cuなどを含有しても構わない。
自動車のフロントサイドメンバー、クロスメンバーやサイドメンバー等の部材は、近年の燃費向上の動向に対応すべく軽量化が検討されており、材料面では、薄肉化しても強度および衝突安全性が確保されるという観点から鋼板の高強度化が進められている。一口に、自動車の構造部材と言っても、部材によって機能が異なることからそれぞれの性能に合わせた高強度鋼板の開発が望まれている。
例えば、キャビン周りの部材は、衝突時の部材変形抑制による運転者や同乗者の安全空間の確保を目的とすることから、キャビン周りの部材は、変形しないことが求められる。 このことから、鋼板に求められる性能としては、高強度や優れたプレス成形性が求められる。このような背景から、590〜980MPa以上の高強度鋼板の開発が行われてきた。
一方、フロントサイドメンバーやリアサイドメンバーなどの衝撃吸収部材は、部材の塑性変形により衝突時のエネルギーを吸収することから、大変形しても延性破壊しないことが求められる。即ち、非特許文献1乃至3に示すように、衝突時にフロントサイドメンバー等の部材は、蛇腹状に折りたたまれる。これら折りたたまれた部分の塑性変形は、密着曲げに近い状態となり、一般的な高強度鋼板の曲げ性の指標である90°V曲げに比較し、かなり大きな変形となる。この結果、プレス成形は可能であっても、衝突時に蛇腹状に折りたたまれた曲げ部にて延性破壊することから、高強度鋼板の衝撃吸収部材への適用が難しいという問題を有していた。特に、衝突時、蛇腹状に折り曲げられた曲げ部が大変形となることから、この曲げで割れが生じないことが求められる。このような衝突時の割れ抑制には、優れた曲げ性を具備することが求められる。
一口に、曲げ性と言っても、様々な特性が曲げ性に影響を及ぼすことが知られている。例えば、非特許文献4や5にて、引張試験により測定される均一伸びが小さな場合、曲げ部にネッキングが生じ、曲げ性を劣化させることが知られている。一方では、穴広げ性や絞りに代表される鋼板の局部延性が低いと、形成した亀裂が伝播し易くなって、曲げ性が劣化することが知られている。このことから、曲げ性に優れた鋼板の開発が進められてきた。
これらの課題を解決する鋼板として、特許文献1に記載の鋼板は、主相をマルテンサイト組織とすることで、優れた曲げ性を得ているものの、想定する部品がキャビン周りの構造部材であり、衝突時に大変形を伴わない。この結果、部材の形状への成形は可能なものの、衝突時のような成形時の歪を大きく超える部材への適用は難しいという課題を有していた。
一方、延性に優れた鋼板として、特許文献2に記載の残留オーステナイトを含有するTRIP鋼が存在する。この鋼板は、鋼中に存在する残留オーステナイトを成形時にマルテンサイトへと変態させることで、優れた高伸びを得ている。しかしながら、鋼板中に含まれる残留オーステナイトは、成形時にマルテンサイトへと変態することから、衝突時の曲げ性向上に活用し難い。一方、成形時にマルテンサイトへと変態しない残留オーステナイトを鋼板中に分散させることで、衝突時の成形性向上に活用する方法も考えられるが、成形時に残留オーステナイトからマルテンサイトへの変態誘起塑性が起こらないため、成形性向上の効果が得難い。
更には、成形性の改善と衝突特性の改善を行った鋼板として、特許文献3に記載の衝突時の曲げ性に優れた鋼板が存在する。これは、鋼板中の主相であるフェライトの粒径を1μm以下にすることと、残留オーステナイト体積率を10%以上とすることで優れた曲げ性を具備し、衝突時の大変形下でも割れを抑制している。しかしながら、体積率10%以上の残留オーステナイト体積率を確保するために、Mnを3.5%以上添加する必要があり、合金コストが高いという問題を有していた。加えて、高合金となることから、スラブや熱延板が割れやすいという製造上の課題が存在した。
このように耐食性、高強度並びに延性を同時に具備することは、極めて難しい。
特公平7−74412号公報 特開2001−130444号公報 特開2012−251239号公報
「衝突安全車体設計のための材料・構造最適化技術」上西ら:新日鐵技報 第393号(2012) p32-38. 「衝撃荷重下における薄肉円筒部材の塑性座屈屈挙動とその制御」日下ら、日本機械学会M&M材料力学カンファレンス Vol.2008 「高強度鋼板による衝撃エネルギー吸収能の向上(第2報)鋼材の高速変形特性を利用した部材形状の最適化技術」吉田ら:自動車技術学術講演会前刷集(2002),P5−83. 「超高強度鋼板の曲げ性に及ぼす金属組織の影響―超高強度鋼板の曲げ性に及ぼす影響」山崎ら:塑性と加工,36−416(1995),973. 「980MPa級超高強度鋼板の曲げ加工性に及ぼす金属組織の影響」長谷川ら:CAMP−ISIJ Vol.20(2007),P437. 「超ハイテンの材料因子に及ぼす材料因子の影響」村上ら:第62回塑性加工連合講演会,(2011)P365.
本発明は、最大引張強度(TS)780MPa以上で衝突時の衝撃吸収部材に適用可能な高強度鋼板、高強度溶融亜鉛めっき鋼板、並びに、高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することを目的とする。
前述したように、自動車の衝突部材に使用する鋼板として、高強度鋼板を使用すると、同一強度の部品を薄肉化することができるので、自動車全体の軽量化が達成できる一方、高強度化によって一般に延性が低下することが知られており、衝撃吸収部材などの、衝突時に大変形が予定される部材に使用した場合に、破断が生じて、衝撃吸収特性が劣化する懸念がある。どのような特性を具備した鋼板が衝撃吸収部材に適用できるかについては従来不明確であった。
自動車等の衝撃吸収部材に利用する場合には、該部材はプレス成形法などで成形加工されるので、その成形履歴(変形経路)は複雑なものとなる。従って、引張試験における伸びの測定値や穴広げ試験の測定値(λ値)のように単純な比例経路での特性評価だけでは不十分である。このような状況から本発明者らが着目したのは製品化された部材において、最後の変形である衝突変形時の加工硬化能を向上することである。加工硬化能を向上できれば、衝突の大変形時の破断を回避して、所望の変形性能を発揮することが期待できる。
本発明者らは鋭意検討した結果、上述したような、複雑な加工履歴を経た後の加工硬化特性に優れる高強度鋼板とするためには、
(1)バウシンガ試験において、順方向の変形応力と、反転直後の逆方向の変形応力との比を規定する、
(2)バウシンガ試験によって算出した、等方硬化成分と移動硬化成分との比率を規定する、
(3)フェライト相を主組織とする軟質相における平均転位密度分布と最大密度分布との比で規定する(具体的には、複雑な組織の中からフェライト相を抽出し、その平均転位密度と最大転位密度の比を算出し、この比の値が一定以上であれば移動硬化成分が所定値より大となって、衝突時に破断せずに変形することが保障される)、
のいずれかの方法で、衝突変形部材が、破断せずに所期の変形能を維持して衝撃力吸収効果を奏することを確認した。
なお、本発明に係る高強度鋼板の性能は、表層に溶融亜鉛めっき層或いは合金化溶融亜鉛めっき層を施しても維持されるので、耐食性が要求される用途においては、高強度鋼板の表面に、これらのめっき層を形成することができる。
すなわち、本発明は、引張最大強度(TS)780MPa以上で、衝突特性に優れる高強度鋼板、高強度溶融亜鉛めっき鋼板、及び、高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板とそれらの製造方法であって、その要旨は以下の通りである。
(1)質量%で、C:0.05〜0.14%未満、Si:0.05〜3.0%、Mn:1.5〜3.5%未満、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Al:2.0%以下、N:0.01%以下、O:0.006%以下、を含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなり、ミクロ組織が、体積分率で主相としてフェライトを30%以上含有し、第二相としてマルテンサイト及びベイナイトの1種又は2種以上を合計で10〜70%以下含有し、残留オーステナイト体積率を10%未満に制限する鋼板であって、バウシンガ試験における順方向の変形応力σ(z)と反転後の変形応力σ(−z)との比が下記(1)式を満たすことを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板。
|σ(−z)|/|σ(z)|≦0.85 (1)
σ(z): 順方向の変形応力
σ(−z):逆方向の変形応力
(2)前記(1)に記載の鋼板において、反転後の変形応力として0.2%歪応力を採用することを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板。
(3)質量%で、C:0.05〜0.14%未満、Si:0.05〜3.0%、Mn:1.5〜3.5%未満、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Al:2.0%以下、N:0.01%以下、O:0.006%以下、を含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなり、ミクロ組織が、体積分率で主相としてフェライトを30%以上含有し、第二相としてマルテンサイト及びベイナイトの1種又は2種以上を合計で10〜70%以下含有し、残留オーステナイト体積率を10%未満に制限する鋼板であって、バウシンガ試験によって算出した等方硬化成分Rsatと移動硬化成分Xsatの比が下記(2)式を満たすことを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板。
Xsat/Rsat≧0.25 (2)
(4)質量%で、C:0.05〜0.14%未満、Si:0.05〜3.0%、Mn:1.5〜3.5%未満、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Al:2.0%以下、N:0.01%以下、O:0.006%以下、を含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなり、ミクロ組織が、体積分率で主相としてフェライトを30%以上含有し、第二相としてマルテンサイト及びベイナイトの1種又は2種以上を合計で10〜70%以下含有し、残留オーステナイト体積率を10%未満に制限する鋼板であって、該フェライト相においてEBSD測定の結果得られる各フェライト粒の平均IQ値IQavと最小IQ値IQminとの比の平均値が下記(3)式を満たすことを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板。
(IQav/IQmin)av≧1.2 (3)
(5)さらに、鋼中に質量%でCr:0.05〜1.0%、Mo:0.01〜1.0%、Ni:0.05〜1.0%、Cu:0.05〜1.0%、の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)の何れか1項に記載の引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板。
(6)さらに、鋼中に質量%でNb:0.005〜0.3%、Ti:0.005〜0.3%、V:0.005〜0.5%、の1種又は2種以上を含有することを特徴とする前記(1)〜(5)の何れか1項に記載の引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板。
(7)さらに、鋼中に質量%でB:0.0001〜0.01%、及びCa、Mg、REMの3種から選択される1種又は2種以上を合計で0.0005〜0.04%含有することを特徴とする前記(1)〜(6)の何れか1項に記載の引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板。
(8)前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の冷延鋼板の表面に、Fe7質量%未満を含有し、残部がZn、Alおよび不可避的不純物からなる溶融亜鉛めっき層を有する引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
(9)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の冷延鋼板の表面に、Fe質量7%以上15%以下を含有し、残部がZn,Alおよび不可避的不純物からなる合金化溶融亜鉛めっき層を有する引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
(10)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の化学成分からなる鋼を鋳造するにあたり、1600〜1400℃でのスラブ表面での平均冷却速度を200℃/秒以下とし、その後熱間圧延、冷間圧延及び熱処理することを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板の製造方法。
(11)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の化学成分からなる鋼塊またはスラブを前記(10)の条件で鋳造を実施した後、直接または一旦冷却した後1100℃以上に加熱し、Ar3変態点以上で熱間圧延を完了し、700℃以下の温度域にて巻き取り、酸洗後、圧下率30〜80%の冷間圧延を施し、次いで、連続焼鈍ラインを通板するに際し、750℃以上かつ900℃以下で焼鈍し、その後、500〜750℃まで0.5〜200℃/秒で冷却し、1℃/秒以上の冷却速度にて、100〜450℃まで冷却し、再加熱、保持、あるいは、冷却を行い、300〜450℃間で10〜1000秒の保持を行った後、室温まで冷却することを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板の製造方法。
(12)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の化学成分からなる鋼塊またはスラブを前記(11)の条件で鋳造を実施した後、直接または一旦冷却した後1100℃以上に加熱し、Ar3変態点以上で熱間圧延を完了し、700℃以下の温度域にて巻き取り、酸洗後、圧下率30〜80%の冷間圧延を施し、次いで、連続溶融亜鉛めっきラインを通板するに際し、750℃以上かつ900℃以下で焼鈍し、その後、500〜750℃まで0.5〜200℃/秒で冷却し、1℃/秒以上の冷却速度にて、(亜鉛めっき浴温度―40)℃〜(亜鉛めっき浴温度+50)℃に冷却後、室温まで冷却することを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(13)前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の化学成分からなる鋼塊またはスラブを前記(10)の条件で鋳造を実施した後、直接または一旦冷却した後1100℃以上に加熱し、Ar3変態点以上で熱間圧延を完了し、700℃以下の温度域にて巻き取り、酸洗後、圧下率30〜80%の冷間圧延を施し、次いで、連続溶融亜鉛めっきラインを通板するに際し、750℃以上かつ900℃以下で焼鈍し、その後、500〜750℃まで0.5〜200℃/秒で冷却し、1℃/秒以上の冷却速度にて、500℃〜室温間まで冷却した後、(亜鉛めっき浴温度―40)℃〜(亜鉛めっき浴温度+50)℃に加熱、あるいは、冷却後、亜鉛めっきした後、室温まで冷却することを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(14)前記(12)又は(13)の何れかに記載の方法で、熱処理及びめっきを行った後、460〜600℃の範囲で合金化処理を施した後、室温まで冷却することを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(15)前記(12)又は(13)のいずれかに記載の方法で、熱処理及びめっきを行った後、100℃以下まで冷却した後、150〜600℃の温度域に再加熱を行い、1〜1000秒の熱処理を行った後、室温まで冷却することを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
本発明は、自動車用の衝突部材に好適な引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れる高強度鋼板、高強度溶融亜鉛めっき鋼板及び高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板とそれらの製造方法を提供することができる。
鋼板においては、最初に順方向に応力を加えた後に該応力を除去し、次いで逆方向に力が負荷され再降伏する際に、反転後の変形応力が反転直前の変形応力に比べて低下する、いわゆるバウシンガ効果が存在することが知られている。
この効果は、金属材料一般に生ずることが知られているものの、鋼板を高強度化していくことによってどのように変化するかは従来知られていなかった。
衝撃吸収部材等は、その製品化のためにプレス成形過程を経ており、完成した部材には、部材各所に複雑な変形履歴が加わっている。衝撃吸収部材として衝突等に際して大きな変形負荷が生じると、材料はその変形を加工硬化能を用いて分散させる。しかしこの加工硬化能が十分でないと変形の局所化が生じ最終的に破断に至ってしまい優れた衝撃吸収特性を得ることができない。これは通常の引張試験で一様伸びと加工硬化能の指標であるn値が良く対応することと原理的には同じであるが、複雑な変形経路を経た場合に加工硬化能を担保する方法は従来知られていなかった。
これまで高強度材は主に変形を抑える部位(たとえばキャビン)に使用されてきたが、衝突変形時に大きな変形を受けて衝撃を吸収する部材への適用によりさらに飛躍的に軽量化に貢献することができる。しかしながらそのためには大変形時の破断を回避する必要がある。実際の衝突変形を考察すると、部材各部は、プレス成形等により、変形を受けた後で、衝突による変形を受けるので、変形経路が複雑に変化する。このような複雑な変形履歴を受けた後にも最後の変形である衝突変形時に加工硬化能を確保できれば、破断を回避することができることに思い至った。
本発明者らは、鋭意検討した結果、複雑な変形経路変化を受けた後の加工硬化特性を向上すれば、衝突時の変形能力に優れた鋼板とすることができることに想到し、本発明に至った。
具体的には、(a)材料の変形応力は、その源が異なるものが複数存在するが、それらの合算で構成され、(b)それらは、等方硬化成分Rsatと移動硬化成分Xsatからなることに鑑み、移動硬化成分に着目した。この移動硬化成分Xsatがあることがバウシンガ効果の生ずる原因である。
移動硬化成分Xsatは、変形に対して早く応答する成分であり、移動硬化成分が多いほど、複雑な変形経路を経た後でも加工硬化能が優れており、大変形時の破断を回避できることが判った。すなわち移動硬化成分の多い変形特性を持つ材料を用いることにより、従来破断発生の懸念から高強度材の適用が難しかった衝撃吸収部位のさらなる軽量化が可能であることが分かった。
このような移動硬化成分の多い材料の規定には、複数の方法があり、本発明では、以下の3つの規定方法を採用した。
(1)バウシンガ試験(ある方向に変形を負荷し、その後、負荷方向を反転させる)で順方向の反転前の変形応力σ(z)と、反転直後の逆方向での変形応力σ(−z)との変形応力の比で規定する。
(2)バウシンガ試験を行って、移動硬化成分Xsatと、等方硬化成分Rsatとをモデルを用いて求めた上で、それら2つの成分の比Xsat/Rsatの比で規定する。
(3)EBSD測定を行い、フェライト相において測定の結果得られる各フェライト粒の平均IQ値IQavと最小IQ値IQminとの比の平均値(IQav/IQmin)avで規定する。
最初にバウシンガ試験について説明する。先に述べたようにバウシンガ試験とは変形方向を途中で反転させる試験である。変形特性の評価には引張試験が用いられることが多いが、薄板材料の場合引張後圧縮を加えることになるが、その場合座屈が生じやすいため測定が難しい。本発明者らは面内にせん断を加えることにより変形特性を測定する単純せん断試験法を用いてバウシンガ試験を行った。せん断方向を反転させることで容易にバウシンガ挙動を測定でき、また引張試験で見られるくびれなどの変形局所化が生じないため大変形域までの測定が可能である。バウシンガ試験における反転時の変形量は任意に選択可能であり、実際のプレス成形と対応させることが好ましいが、せん断ひずみで10〜30%程度の値を選択すると良い。
次に移動硬化成分と、等方硬化成分の求め方について説明する。これらの成分は様々な求め方があるが、ここでは一般的に知られているルメートル−シャボーシュのモデルにおいて移動硬化成分と等方硬化成分の飽和値をあらわす材料パラメータであるXsatとRsatによって求めた。
ルメートル−シャボーシュのモデルは以下の式で表現される。
(1)f=J2(σ−X)−R−Y=0
(2)dR=CR(Rsat−R)dεP
(3)dX=Cx(XsatdεP/dεP−X)dεP
ここで、f:降伏関数
2:偏差応力の第二不変量
σ:変形応力
X:変形応力の移動硬化成分(テンソル)
R:変形応力の等方硬化成分
Y:初期降伏応力
R:等方硬化成分の時定数
X:移動硬化成分の時定数
εP:相当ひずみ
Rsat:等方硬化成分の飽和値
Xsat:移動硬化成分の飽和値
バウシンガ試験を行った後に上記のルメートルシャボーシュのモデルを適用し材料定数(Y、CR、CX、Rsat、Xsat)を求めることができる。RsatやXsatは十分大きな変形を加えた際に、等方硬化成分Rや移動硬化成分Xが到達する値であり、材料の変形能の中で、どの程度等方硬化や移動硬化の成分があるかの指標である。
さらにEBSD測定による平均IQ値IQavと最小IQ値IQminの求め方について説明する。EBSD測定を行った場合に、菊池線によりその測定点での結晶方位が決定できることはよく知られているが、IQ(Image Quality)値とは菊池線の鮮明度を数値化した値である。菊池線が鮮明であればIQ値は高くなる。逆にIQ値が低い場合にはその場所に結晶方位の乱れがあることを示している。
本発明者らはバウシンガ効果を発現させるメカニズムについて鋭意検討し、軟質相であるフェライト相の結晶粒内で転位の分布に粗密がある場合にその効果が大きくなり、ひいては衝突変形時の加工硬化が大きく、破断の回避が可能であることを見出した。しかしながら一般に転位の観察は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いねばならず材料中の極小領域の観察にとどまるためマクロな情報との対応が付け難いことと、TEM観察時の試料厚により転位密度の絶対値の測定精度に難があること、から代替手段について検討した。
EBSD測定は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いるため比較的簡便であり、ある程度の大きな領域を測定することが可能であるため好ましいと考えた。IQ値は結晶方位の乱れを反映すると述べたが、転位が多く存在することは結晶方位の乱れと同義であり、IQ値によって結晶粒内の転位分布を測定することに思い至った。IQminは結晶粒内で一番多く転位が集まった部分での乱れの指標で、結晶粒内のIQ値の平均値IQavとのかい離が大きいほど当該結晶粒内での転位分布の粗密が大きいことになる。材料全体での転位分布の粗密をあらわす(IQav/IQmin)aveは具体的には以下のようにして算出した。
(a) EBSD測定を行う。
(b) フェライト相を抽出する。
(c) フェライト相である各結晶粒の平均IQ値IQavをそれぞれ算出する。
(d) 同様に各結晶粒において最小IQ値IQminを得る。このIQminについては測定データをそのまま用いても良いが各測定点の測定誤差の影響を受けやすいため平均化処理を行った後の値を用いるのが好ましい。具体的にはフェライト相の平均結晶粒径の1/20程度の正方形領域で平均化したものを用いるのが良い。
(e) 各結晶粒で比IQav/IQminを算出する。
(f) さらに(e)の値を平均して(IQav/IQmin)aveを算出する。
さらなる高強度鋼板の衝撃吸収部材への適用を進めるに当たっては種々の変形を受けた後の衝撃変形時に破断を回避することが必要であるが、そのためは材料の変形応力を構成する種々の源の中で変形に対して応答の早い移動硬化成分を確保することが重要である。このような特性を保証するためには、バウシンガ試験における順方向の変形応力と逆方向の変形応力の比|σ(−z)|/|σ(z)|の値を直接所定値以下に規定する他、加工硬化能の向上に繋がる等方硬化量に対する移動硬化量の比Xsat/Rsatを所定値以上にすること、あるいは、フェライト相において測定の結果得られる各フェライト粒の平均IQ値IQavと最小IQ値IQminとの比の平均値(IQav/IQmin)avを所定値以上とすることを規定することによっても可能である。
バウシンガ試験における順方向の変形応力σ(z)に対する逆方向の変形応力σ(−z)の比を0.85以下に規定したのは、この値以下であれば、移動硬化成分を確保でき、種々の変形後の衝突に際して、優れた加工硬化能を示し、破断等の発生を防ぐことを可能とするためである。
移動硬化量Xsatの等方硬化量Rsatに対する比の値を0.25以上に規定したのは移動硬化成分を確保でき、種々の変形後の衝突に際して、優れた加工硬化能を示し、破断等の発生を防ぐことを可能とするためである。
軟質相であるフェライト相において測定の結果得られる各フェライト粒の平均IQ値IQavと最小IQ値IQminとの比の平均値(IQav/IQmin)avを1.2以上に規定したのは、移動硬化成分を確保でき、種々の変形後の衝突に際して、優れた加工硬化能を示し、破断等の発生を防ぐことを可能とするためである。
次に、本発明における各組織の体積率限定理由に関して述べる。
主相であるフェライトの体積率を30%以上とする。フェライト体積率を30%以上とするのは、良好な伸びを確保するためである。フェライト体積率が30%未満では、加工硬化が低くなりすぎてしまい、曲げ成形時にネッキングが生じることから、割れを生じる懸念がある。一方、フェライト体積率が90%超となると、780MPa以上の強度確保が難しい。このことから、フェライト体積率は、30〜90%とする必要がある。
強化組織であるマルテンサイトあるいはベイナイトの体積率を10〜70%とするのは、780MPa以上の引張最大強度を確保するためである。体積率が10%未満では、引張最大強度が780MPa未満となり、十分な変形能を有することで、軸圧潰時の割れ発生を引き起こさないことから10%以上とした。980MPa以上の引張最大強度を確保するのであれば、マルテンサイトあるいはベイナイト組織の体積率を30%以上とすることが望ましい。一方、体積率が70%超では、マルテンサイトあるいはベイナイトの体積率が大きすぎてしまい、一様伸びが低くなりすぎてしまう。この結果、曲げ部にネッキングが生じ、曲げ性が劣化してしまう。このことから、マルテンサイトあるいはベイナイトの体積率は、70%以下とする必要がある。
マルテンサイトは、その内部に鉄基炭化物(セメンタイトやε炭化物など)を含む焼き戻しマルテンサイト、あるいは、炭化物を含まないフレッシュマルテンサイトのいずれであっても、本発明の条件である三次元形状や体積率を満たすのであれば、本発明の効果を得ることが出来る。
ベイナイト組織は、ベイナイト組織を構成するラス状のフェライト間にセメンタイトを有する上部ベイナイト、ラス内に鉄基炭化物を有する下部ベイナイト、あるいは、ラス状のフェライトとオーステナイトの混合組織のいずれであっても、本発明の条件である体積率を満たすのであれば、本発明の効果を得ることが出来る。
残留オーステナイト体積率は、10%未満に制限する必要がある。残留オーステナイトは、プレス成形時にマルテンサイトへと変態することで、優れた加工硬化と高い均一伸びをもたらす。しかしながら、成形時にマルテンサイトへと変態することから、衝突時には加工硬化の向上に寄与し難い。加えて、残留オーステナイトから変態したマルテンサイトは、極めて硬質であり、変形の集中により、ボイドや割れの発生起点になりやすい。そこで、残留オーステナイト体積率を10%未満に制限する必要がある。
フェライト、マルテンサイト、あるいは、残留オーステナイト以外の組織として、パーライトやセメンタイトなどの鉄基炭化物を含有しても良い。
なお、上記ミクロ組織の各相、フェライト、マルテンサイト、ベイナイト、オーステナイト、パーライトおよび残部組織の同定、存在位置の観察および面積率の測定は、ナイタール試薬および特開昭59−219473号公報に開示された試薬により鋼板圧延方向断面または圧延方向直角方向断面を腐食して、1000倍の光学顕微鏡観察及び1000〜100000倍の走査型および透過型電子顕微鏡により定量化が可能である。
また、シリアルセクショニングによるマルテンサイト粒やベイナイト粒の三次元組織観察の際に、100μm×100μm×100μmの代表体積内に含まれる各組織の体積率を本発明の鋼板に含まれる各組織の体積率としても良い。
鋼板強度は、引張最大強度が780MPa以上である必要がある。これは、引張最大強度が780MPa未満の鋼板であれば十分な変形能を有し、衝突時に蛇腹状に変形したとしても割れを生じず、優れた衝突特性を有する事から問題を生じない。このことから、引張最大強度780MPa以上とした。しかしながら、引張最大強度780MPa未満であっても、本発明が採用する加工硬化能とすることで、更なる特性向上が引き起こされることから、特性向上のためには望ましい。
次にめっき層について説明する。
鋼板にめっき層を有すことで耐食性が高まるため、めっきをしても良い。
スポット溶接性や塗装性が望まれる場合には、合金化処理によってこれらの特性を高めることができる。具体的には、Znめっき浴に浸漬した後、合金化処理を施すことで、めっき層中にFeが取り込まれ、塗装性やスポット溶接性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得ることができる。合金化処理後のFe量が7質量%未満ではスポット溶接性が不十分となる。一方、Fe量が15質量%を超えるとめっき層自体の密着性を損ない、加工の際、めっき層が破壊・脱落し金型に付着することで、成形時の疵の原因となる。したがって、合金化処理を行う場合のめっき層中のFe量の範囲は7〜15質量%とする。
また、合金化処理を行わない場合、めっき層中のFe量が7質量%以下未満でも、合金化により得られるスポット溶接を除く効果である耐食性と成形性や穴拡げ性は良好である。
めっき付着量については、特に制約は設けないが、耐食性の観点から片面付着量で5g/m2以上であることが望ましい。本発明の溶融Znめっき鋼板上に塗装性、溶接性を改善する目的で上層めっきを施すことや、各種の処理、例えば、クロメート処理、りん酸塩処理、潤滑性向上処理、溶接性向上処理等を施しても、本発明を逸脱するものではない。
また、めっき密着性をさらに向上させるために、焼鈍前に鋼板に、Ni、Cu、Co、Feの単独あるいは複数より成るめっきを施しても本発明を逸脱するものではない。
さらには、めっき前の焼鈍については、「脱脂酸洗後、非酸化雰囲気にて加熱し、H2及びN2を含む還元雰囲気にて焼鈍後、めっき浴温度近傍まで冷却し、めっき浴に浸漬」というゼンジマー法、「焼鈍時の雰囲気を調節し、最初、鋼板表面を酸化させた後、その後還元することによりめっき前の清浄化を行った後にめっき浴に浸漬」という全還元炉方式、あるいは、「鋼板を脱脂酸洗した後、塩化アンモニウムなどを用いてフラックス処理を行って、めっき浴に浸漬」というフラックス法等があるが、いずれの条件で処理を行ったとしても本発明の効果は発揮できる。
また、めっき浴は、純亜鉛に加え、Fe、Al、Mg、Mn、Si、Crなどを含有しても構わない。また、めっき層の合金化を行う場合には、460℃以上で行う。合金化処理温度が460℃未満であると合金化の進行が遅く、生産性が悪い。上限は特に限定しないが、600℃を超えると、炭化物が形成し硬質組織(マルテンサイト、ベイナイト、残留オーステナイト)体積率を減少させ、優れた延性の確保が難しくなるので、これが実質的な上限である。
また、合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合、めっき層の特性を制御するため、めっき浴中の有効Al濃度を0.05〜0.500質量%の範囲に制御することが望ましい。ここでめっき浴中の有効Al濃度とは、浴中のAl濃度から、浴中のFe濃度を引いた値である。
有効Al濃度を0.05〜0.500質量%に限定する理由は、有効Al濃度が0.05質量%よりも低い場合にはドロス発生が顕著で良好な外観が得られない。一方、有効Al濃度が0.500質量%よりも高い場合には、合金化が遅く、生産性に劣る。このことから、浴中の有効Al濃度の上限は、0.500質量%とすることが望ましい。
めっき層中のFe及びAlの含有量を測定するには、めっき層を酸で溶解し、溶解液を化学分析する方法を用いればよい。例えば、30mm×40mmに切断した合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、インヒビタを添加した5%HCL水溶液で、鋼板母材の溶出を抑制しながらめっき層のみを溶解し、溶解液をICP発光分析して得られた信号強度と、濃度既知溶液から作成した検量線からFe及びAlの含有量を定量する方法を用いればよい。また、各試料間の測定ばらつきを考慮して、同じ合金化溶融亜鉛めっき鋼板から切出した、少なくとも3つの試料を測定した平均値を採用すればよい。
次に、成分の限定理由について説明する。なお、%は質量%を意味する。
C:Cは、鋼板の強度を上昇できる元素である。しかしながら、0.05%未満であると780MPa以上の引張強度と加工性を両立することが難しくなる。一方、0.14%以上となるとスポット溶接性の確保が困難となる。このため、その範囲を0.05〜0.14%未満に限定した。
Si:Siは、強化元素であり、鋼板の強度を上昇させることに有効である。また、セメンタイトの析出や粗大化の抑制を通じて、高強度化や曲げ性の向上に寄与する。しかしながら、0.05%未満であると高強度化の効果が小さく、また3.0%を超えると加工性が低下する。従って、Si含有量は0.05〜3.0%の範囲に制限した。
Mn:Mnは、強化元素であり、鋼板の強度を上昇させることに有効である。しかしながら、1.5%未満であると780MPa以上の引張強度を得ることが困難である。逆に多いとP、Sとの共偏析を助長し、加工性の著しい劣化を招くことから、3.5%未満とする。より好ましい範囲は、1.8〜3.0%である。
O:Oは、酸化物を形成し、伸び、曲げ性や穴拡げ性を劣化させることから、添加量を抑える必要がある。特に、酸化物は介在物として存在する場合が多く、打抜き端面、あるいは、切断面に存在すると、端面に切り欠き状の傷や粗大なディンプルを形成することから、穴拡げ時や強加工時に、応力集中を招き、亀裂形成の起点となり大幅な穴拡げ性あるいは曲げ性の劣化をもたらす。これは、Oが0.006%を超えると、この傾向が顕著となることから、O含有量の上限を0.006%以下とした。0.0001%と未満とすることは、過度のコスト高を招き経済的に好ましくないことから、これが実質的な下限である。
P:Pは鋼板の板厚中央部に偏析する傾向があり、溶接部を脆化させる。0.04%を超えると溶接部の脆化が顕著になるため、その適正範囲を0.04%以下に限定した。Pの下限値は特に定めないが、0.0001%未満とすることは、経済的に不利であることからこの値を下限値とすることが好ましい。
S:Sは、溶接性ならびに鋳造時および熱延時の製造性に悪影響を及ぼす。このことから、その上限値を0.01%以下とした。Sの下限値は特に定めないが、0.0001%未満とすることは、経済的に不利であることからこの値を下限値とすることが好ましい。また、SはMnと結びついて粗大なMnSを形成することから、曲げ性や穴拡げ性を劣化するため、出来るだけ少なくする必要がある。
Al:Alは、フェライト形成を促進し、延性を向上させるので添加しても良い。また、脱酸剤としても活用可能である。しかしながら、過剰な添加はAl系の粗大介在物の個数を増大させ、穴拡げ性の劣化や表面傷の原因になる。このことから、Al添加の上限を2.0%とした。下限は、特に限定しないが、0.0005%以下とするのは困難であるので、これが実質的な下限である。
N:Nは、粗大な窒化物を形成し、曲げ性や穴拡げ性を劣化させることから、添加量を抑える必要がある。これは、Nが0.01%を超えると、この傾向が顕著となることから、N含有量の範囲を0.01%以下とした。加えて、溶接時のブローホール発生の原因になることから少ない方が良い。下限は、特に定めることなく本発明の効果は発揮されるが、N含有量を0.0005%未満とすることは、製造コストの大幅な増加を招くことから、これが実質的な下限である。
Mo:Moは、強化元素であるとともに焼入れ性の向上に重要である。しかし、0.01%未満ではこれらの効果が得られないため下限値を0.01%とした。逆に、1.0%超含有すると製造時および熱延時の製造性に悪影響を及ぼすため、上限値を1.0%とした。
Cr:Crは、強化元素であるとともに焼入れ性の向上に重要である。しかし、0.05%未満ではこれらの効果が得られないため下限値を0.05%とした。逆に、1.0%超含有すると製造時および熱延時の製造性に悪影響を及ぼすため、上限値を1.0%とした。
Ni:Niは、強化元素であるとともに焼入れ性の向上に重要である。しかし、0.05%未満ではこれらの効果が得られないため下限値を0.05%とした。逆に、1.0%超含有すると製造時および熱延時の製造性に悪影響を及ぼすため、上限値を1.0%とした。加えて、濡れ性の向上や合金化反応の促進をもたらすことから添加しても良い。
Cu:Cuは、強化元素であるとともに焼入れ性の向上に重要である。しかし、0.05%未満ではこれらの効果が得られないため下限値を0.05%とした。逆に、1.0%超含有すると製造時および熱延時の製造性に悪影響を及ぼすため、上限値を1.0%とした。加えて、濡れ性の向上や合金化反応の促進をもたらすことから添加しても良い。
Bは、0.0001質量%以上の添加で粒界の強化や鋼材の強度化に有効であるが、その添加量が0.01質量%を超えると、その効果が飽和するばかりでなく、熱延時の製造製を低下させることから、その上限を0.01%とした。
Ti:Tiは、強化元素である。析出物強化、フェライト結晶粒の成長抑制による細粒強化および再結晶の抑制を通じた転位強化にて、鋼板の強度上昇に寄与する。添加量が0.005%未満ではこれらの効果が得られないため、下限値を0.005%とした。0.3%超含有すると、炭窒化物の析出が多くなり成形性が劣化するため、上限値を0.3%とした。
Nb:Nbは、強化元素である。析出物強化、フェライト結晶粒の成長抑制による細粒強化および再結晶の抑制を通じた転位強化にて、鋼板の強度上昇に寄与する。添加量が0.005%未満ではこれらの効果が得られないため、下限値を0.005%とした。0.3%超含有すると、炭窒化物の析出が多くなり成形性が劣化するため、上限値を0.3%とした。
V:Vは、強化元素である。析出物強化、フェライト結晶粒の成長抑制による細粒強化および再結晶の抑制を通じた転位強化にて、鋼板の強度上昇に寄与する。添加量が0.005%未満ではこれらの効果が得られないため、下限値を0.005%とした。0.5%超含有すると、炭窒化物の析出が多くなり成形性が劣化するため、上限値を0.5%とした。
Ca、Mg、REMから選ばれる1種または2種以上を合計で0.0005〜0.04%添加できる。Ca、MgおよびREMは脱酸に用いる元素であり、1種または2種以上を合計で0.0005%以上含有することが好ましい。REMとは、Rare Earth Metalである。しかしながら、含有量が合計で0.04%を超えると、成形加工性の悪化の原因となる。そのため、含有量を合計で0.0005〜0.04%とした。なお、本発明において、REMはミッシュメタルにて添加されることが多く、LaやCeの他にランタノイド系列の元素を複合で含有する場合がある。不可避不純物として、これらLaやCe以外のランタノイド系列の元素を含んだとしても本発明の効果は発揮される。 ただし、金属LaやCeを添加したとしても本発明の効果は発揮される。
鋳造に先行する製造方法は特に限定するものではない。すなわち、高炉や電炉等による溶製に引き続いて、各種の二次製錬を行っても良い。次いで、鋳造時のスラブ表面の平均冷却速度は、200℃/秒以下にする必要がある。鋳造時のスラブ表面の平均冷却速度は、本発明の鋼板において最も重要な条件の一つである。即ち、マルテンサイトやベイナイトを(1)で定義された形状に制御するには、鋳造時のMnのミクロ偏析を制御し、これを用いてマルテンサイトやベイナイトの形状を制御する必要がある。
ただし、780MPa以上の高強度鋼板は、多量の合金元素を含むため、ブレイクアウトと呼ばれる連続鋳造時のスラブ割れを抑制する目的で、鋳造時のスラブ表面の平均冷却速度を200℃/秒以上とし、速やかに凝固させる必要があった。しかしながら、大きな冷却速度での製造は、連続鋳造時のブレイクアウトのリスクを小さくするものの、凝固時に形成するデンドライト組織の一次樹間を減少させてしまう。この結果、マルテンサイトやベイナイトは、単純な形態となり、(1)式を満たさず、曲げ性が劣化する。このことから、鋳造時の1400〜1200℃でのスラブ表面での冷却速度は、200℃/秒以下とする必要がある。
鋳造したスラブは、一度低温まで冷却したのち、再度加熱してから熱間圧延しても良いし、鋳造スラブを連続的に熱延しても良い。原料にはスクラップを使用しても構わない。
また、圧延後の冷却については特に規定はせず、それぞれの目的にあった組織制御を行うための冷却パターンをとっても本発明の効果は得られる。巻き取り温度は800℃以下にする必要がある。800℃を超えると熱延組織中に粗大なフェライトやパーライト組織が存在するため、焼鈍後の組織不均一性が大きくなり、最終製品の材質異方性が大きくなる。焼鈍後の組織を微細にして強度延性バランスを向上させる。
また、800℃を超える温度で巻き取ることは、鋼板表面に形成する酸化物の厚さを過度に増大させるため、酸洗性が劣るので好ましくない。下限については特に定めることなく本発明の効果は発揮されるが、室温以下の温度で巻き取ることは技術的に難しいので、これが実質の下限となる。なお、熱延時に粗圧延板同士を接合して連続的に仕上げ圧延を行っても良い。また、粗圧延板を一旦巻き取っても構わない。
このようにして製造した熱延鋼板に、酸洗を行う。酸洗は鋼板表面の酸化物の除去が可能であることから、めっき性向上のためには重要である。また、一回の酸洗を行っても良いし、複数回に分けて酸洗を行っても良い。また、冷間圧延を容易とするために酸洗後あるいは酸洗前にバッチ焼鈍などの軟質化処理を行ってもよい。これは冷間圧延時に材料にひずみを与え材料中に転位を蓄積させることが重要であるためである。
酸洗した熱延鋼板を圧下率30〜80%で冷間圧延して、連続溶融亜鉛めっきラインを通板する。圧下率が40%未満では、形状を平坦に保つことが困難である。また、最終製品の延性が劣悪となるのでこれを下限とする。一方、80%を越える冷延は、冷延荷重が大きくなりすぎてしまい冷延が困難となることから、これを上限とする。40〜70%がより好ましい範囲である。圧延パスの回数、各パス毎の圧下率については特に規定することなく本発明の効果は発揮される。
めっきラインを通板する場合の加熱速度は、特に定めることなく本発明の効果は発揮される。0.5℃/秒未満の加熱速度は、生産性が大きく損なわれることから好ましくないことから、これが下限となる。一方、加熱速度を100℃/秒超とすることは、過度の設備投資を招き、経済的に好ましくないことから、これが実質的な上限である。
最高加熱温度は、750〜900℃の範囲である。最高加熱温度が750℃未満になると、熱延時に形成した炭化物が再固溶するのに時間がかかりすぎてしまい炭化物、あるいは、その一部が残存することから、780MPa以上の強度が確保し難い。このことから、750℃が最高加熱温度の下限である。一方、過度の高温加熱は、コストの上昇を招くことから経済的に好ましくないばかりでなく、高温通板時の板形状が劣悪になったり、ロールの寿命を低下させたりとトラブルを誘発することから、最高加熱温度の上限を900℃とする。この温度域での熱処理時間は特に限定しないが、炭化物の溶解のために、10秒以上の熱処理が望ましい。一方、熱処理時間が600秒超となると、コストの上昇を招くことから経済的に好ましくない。熱処理についても、最高加熱温度にて等温保持を行っても良いし、傾斜加熱を行い最高加熱温度に到達した後、直ちに、冷却を開始したとしても、本発明の効果は発揮される。
上記焼鈍終了後、めっき浴浸漬温度まで冷却する。最高加熱温度から650℃までの平均冷却速度は、0.1〜200℃/秒とすることが望ましい。冷却速度を、0.1℃/秒未満とすることは、生産性が大きく損なわれることから望ましくない。過度に冷却速度を上げる事は、製造コスト高を招くこととなるので、上限を200℃/秒とすることが好ましい。650〜500℃での冷却速度は、3〜200℃/秒とする必要がある。冷却速度が小さすぎると、冷却過程においてオーステナイトがパーライト組織へと変態することから、3%以上のオーステナイト体積率の確保が困難となるので、下限を3℃/秒以上とした。冷却速度を大きくしたとしても、材質上なんら問題はないが、過度に冷却速度を上げることは、製造コスト高を招くこととなるので、上限を200℃/秒とすることが好ましい。冷却方法については、ロール冷却、空冷、水冷およびこれらを併用したいずれの方法でも構わない。
その後、500〜350℃間にて10〜1000秒間で保持することで、ベイナイト変態を起こさせ、残留オーステナイトを安定化する。保持温度の上限を500℃とするのは、この温度以下でベイナイト変態が起こるためである。一方、350℃未満の温度での保持は、ベイナイト変態に長時間を要することから、設備が過大となり、生産性に劣る。このことから、保持温度は、500〜350℃とする必要がある。下限を10秒としたのは、10秒未満の保持では、ベイナイト変態の進行が十分でなく、残留オーステナイトを安定化することができず、優れた成形性を得ることが出来ない。一方、1000秒を超える保持は、生産性が低下することから好ましくない。なお、保持とは、等温保持のみを指すのではなく、この温度域での徐冷や加熱も含む。また、合金化を低温で行う場合、合金化処理をベイナイト変態の促進に活用できる。めっき浴浸漬板温度は、溶融亜鉛めっき浴温度より40℃低い温度から溶融亜鉛めっき浴温度より50℃高い温度までの温度範囲とすることが望ましい。
浴浸漬板温度が(溶融亜鉛めっき浴温度−40)℃を下回ると、めっき浴浸漬進入時の抜熱が大きく、溶融亜鉛の一部が凝固してしまいめっき外観を劣化させる場合があることから、下限を(溶融亜鉛めっき浴温度−40)℃とする。ただし、浸漬前の板温度が(溶融亜鉛めっき浴温度−40)℃を下回っても、めっき浴浸漬前に再加熱を行い、板温度を(溶融亜鉛めっき浴温度−40)℃以上としてめっき浴に浸漬させても良い。
また、めっき浴浸漬温度が(溶融亜鉛めっき浴温度+50)℃を超えると、めっき浴温度上昇に伴う操業上の問題を誘発する。また、めっき浴は、純亜鉛に加え、Fe、Al、Mg、Mn、Si、Crなどを含有しても構わない。
また、めっき層の合金化を行う場合には、460℃以上で行う。合金化処理温度が460℃未満であると合金化の進行が遅く、生産性が悪い。600℃を超えると、炭化物が形成し、オーステナイト体積率を減少させるため、780MPa以上の引張最大強度と優れた延性の確保が難しくなるので、これが上限である。
熱処理後のスキンパス圧延の圧下率は、0.1〜2.0%の範囲が好ましい。0.1%未満では効果が小さく、制御も困難であることから、これが下限となる。0.5%を超えると生産性が低下するがフェライト相内に転位分布の粗密を持たせるためにはスキンパス圧延は有効な手段であるので材料中のフェライト相の体積率を勘案しつつ、転位の粗密が所定の値となるように調整していく必要がある。2.0%を超えると生産性が著しく低下するのでこれを上限とする。スキンパスは、インラインで行っても良いし、オフラインで行っても良い。また、一度に目的の圧下率のスキンパスを行っても良いし、数回に分けて行っても構わない。
また、本発明の780MPa以上の引張最大強度を有し、材質の異方性が小さく優れた成形性を有する高強度高延性溶融亜鉛めっき鋼板の素材は、通常の製鉄工程である精錬、製鋼、鋳造、熱延、冷延工程を経て製造されることを原則とするが、その一部あるいは全部を省略して製造されるものでも、本発明に係わる条件を満足する限り、本発明の効果を得ることができる。
(実施例)
次に、本発明を実施例により詳細に説明する。
表3に示す成分を有するスラブを、1240℃に加熱し、表4及び5に記載の熱延条件にて熱間圧延を行い、水冷帯にて水冷の後、表6及び7に示す温度で巻き取り処理を行った。熱延板の厚みは、2.5〜3.0mmの範囲とした。熱延板を酸洗した後、冷間圧延後の板厚が1.2mmとなるように、所定の冷延率で冷延を行い、冷延板とした。
Figure 2015175061
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その後、これらの冷延板に表6及び7に示す条件で連続合金化溶融亜鉛めっき設備にて、熱処理と溶融亜鉛めっき処理を施した。焼鈍温度から500〜750℃までを表6及び7の冷却速度で冷却し、その後、500〜350℃の温度範囲で5〜300秒保持を行った後、所定の条件に制御した亜鉛めっき浴に浸漬し、その後室温まで冷却した。めっき浴中の有効Al濃度は、0.09〜0.17質量%の範囲とした。一部の鋼板については、亜鉛めっき浴に浸漬後、各条件にて合金化処理を行い、室温まで冷却した。その際の目付け量としては、両面とも約35g/m2とした。最後に、得られた鋼板について0.4%の圧下率でスキンパス圧延を行った。
引張試験は、1.6mm厚の板から圧延方向に直角方向及び平行にJIS5号試験片を採取し、引張特性を評価した。衝突変形時の破断特性に関してはハット型部材(50mm角、300mm長さ、スポット溶接間隔30mmにて部材と同素材の背板を接合)の軸圧潰試験を行った。部材を下部に固定し、5mの高さから質量300kgの落錘を衝突させた。衝突後試験体を観察し破断の有無を調査した。結果は以下のように整理した。
◎:破断発生無し
○:軽微な割れ(板厚方向貫通無し)
×:割れ発生
780MPa以上の引張強さを持つことが衝撃吸収特性の絶対値の確保に重要であるが、それに加えて破断の発生は部材としての衝撃吸収特性を極端に劣化させると考えられるため、引張強さと落重試験での破断発生状況の二つで材料を評価した。
めっき性、合金化反応はそれぞれ下記のように評価した。
<めっき性>
○:不めっきなし
△:不めっき若干あり
×:不めっき多数あり
測定した引張特性、めっき性及びめっき層中のFe%を表5及び6に示す。本発明の鋼板はいずれも衝突特性、めっき性に優れていることがわかる。
本発明は、自動車用の構造用部材、補強用部材、足廻り用部材で衝突時に大変形し衝撃吸収させるのに好適な、引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板を安価に提供するものであり、自動車の軽量化に大きく貢献することが期待でき、産業上の効果は極めて高い。

Claims (15)

  1. 質量%で、
    C:0.05〜0.14%未満、
    Si:0.05〜3.0%、
    Mn:1.5〜3.5%未満、
    P:0.04%以下、
    S:0.01%以下、
    Al:2.0%以下、
    N:0.01%以下、
    O:0.006%以下、
    を含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなり、ミクロ組織が、体積分率で主相としてフェライトを30%以上含有し、第二相としてマルテンサイト及びベイナイトの1種又は2種以上を合計で10〜70%以下含有し、残留オーステナイト体積率を10%未満に制限する鋼板であって、
    バウシンガ試験における順方向の変形応力σ(z)と逆方向の変形応力σ(−z)との比が下記(1)式を満たすことを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板。
    |σ(−z)|/|σ(z)|≦0.85 (1)
    σ(z): 順方向の変形応力
    σ(−z):逆方向の変形応力
  2. 請求項1に記載の鋼板において、反転後の変形応力として0.2%歪応力を採用することを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板。
  3. 質量%で、
    C:0.05〜0.14%未満、
    Si:0.05〜3.0%、
    Mn:1.5〜3.5%未満、
    P:0.04%以下、
    S:0.01%以下、
    Al:2.0%以下、
    N:0.01%以下、
    O:0.006%以下、
    を含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなり、ミクロ組織が、体積分率で主相としてフェライトを30%以上含有し、第二相としてマルテンサイト及びベイナイトの1種又は2種以上を合計で10〜70%以下含有し、残留オーステナイト体積率を10%未満に制限する鋼板であって、
    バウシンガ試験によって算出した等方硬化成分Rsatと移動硬化成分Xsatの比が下記(2)式を満たすことを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板。
    Xsat/Rsat≧0.25 (2)
  4. 質量%で、
    C:0.05〜0.14%未満、
    Si:0.05〜3.0%、
    Mn:1.5〜3.5%未満、
    P:0.04%以下、
    S:0.01%以下、
    Al:2.0%以下、
    N:0.01%以下、
    O:0.006%以下、
    を含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなり、ミクロ組織が、体積分率で主相としてフェライトを30%以上含有し、第二相としてマルテンサイト及びベイナイトの1種又は2種以上を合計で10〜70%以下含有し、残留オーステナイト体積率を10%未満に制限する鋼板であって、
    該フェライト相においてEBSD測定の結果得られる各フェライト粒の平均IQ値IQavと最小IQ値IQminとの比の平均値が下記(3)式を満たすことを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板。
    (IQav/IQminav≧1.2 (3)
  5. さらに、鋼中に質量%で
    Cr:0.05〜1.0%、
    Mo:0.01〜1.0%、
    Ni:0.05〜1.0%、
    Cu:0.05〜1.0%、
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板。
  6. さらに、鋼中に質量%で
    Nb:0.005〜0.3%、
    Ti:0.005〜0.3%、
    V:0.005〜0.5%、
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板。
  7. さらに、鋼中に質量%で
    B:0.0001〜0.01%、
    Ca、Mg、REMの3種から選択される1種又は2種以上を合計で0.0005〜0.04%含有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の冷延鋼板の表面に、Fe7質量%未満を含有し、残部がZn,Alおよび不可避的不純物からなる溶融亜鉛めっき層を有する引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の冷延鋼板の表面に、Fe質量7%以上15%以下を含有し、残部がZn、Alおよび不可避的不純物からなる合金化溶融亜鉛めっき層を有する引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化学成分からなる鋼を鋳造するにあたり、1600〜1400℃でのスラブ表面での平均冷却速度を200℃/秒以下とし、その後熱間圧延、冷間圧延及び熱処理することを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化学成分からなる鋼塊またはスラブを請求項10の条件で鋳造を実施した後、直接または一旦冷却した後1100℃以上に加熱し、Ar3変態点以上で熱間圧延を完了し、700℃以下の温度域にて巻き取り、酸洗後、圧下率30〜80%の冷間圧延を施し、次いで、連続焼鈍ラインを通板するに際し、750℃以上かつ900℃以下で焼鈍し、その後、500〜750℃まで0.5〜200℃/秒で冷却し、1℃/秒以上の冷却速度にて、100〜450℃まで冷却し、再加熱、保持、あるいは、冷却を行い、300〜450℃間で10〜1000秒の保持を行った後、室温まで冷却することを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度鋼板の製造方法。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化学成分からなる鋼塊またはスラブを請求項10の条件で鋳造を実施した後、直接または一旦冷却した後1100℃以上に加熱し、Ar3変態点以上で熱間圧延を完了し、700℃以下の温度域にて巻き取り、酸洗後、圧下率30〜80%の冷間圧延を施し、次いで、連続溶融亜鉛めっきラインを通板するに際し、750℃以上かつ900℃以下で焼鈍し、その後、500〜750℃まで0.5〜200℃/秒で冷却し、1℃/秒以上の冷却速度にて、(亜鉛めっき浴温度―40)℃〜(亜鉛めっき浴温度+50)℃に冷却後、室温まで冷却することを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  13. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化学成分からなる鋼塊またはスラブを請求項10の条件で鋳造を実施した後、直接または一旦冷却した後1100℃以上に加熱し、Ar3変態点以上で熱間圧延を完了し、700℃以下の温度域にて巻き取り、酸洗後、圧下率30〜80%の冷間圧延を施し、次いで、連続溶融亜鉛めっきラインを通板するに際し、750℃以上かつ900℃以下で焼鈍し、その後、500〜750℃まで0.5〜200℃/秒で冷却し、1℃/秒以上の冷却速度にて、500℃〜室温間まで冷却した後、(亜鉛めっき浴温度―40)℃〜(亜鉛めっき浴温度+50)℃に加熱、あるいは、冷却後、亜鉛めっきした後、室温まで冷却することを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  14. 請求項12又は13の何れかに記載の方法で、熱処理及びめっきを行った後、460〜600℃の範囲で合金化処理を施した後、室温まで冷却することを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  15. 請求項12又は13のいずれかに記載の方法で、熱処理及びめっきを行った後、100℃以下まで冷却した後、150〜600℃の温度域に再加熱を行い、1〜1000秒の熱処理を行った後、室温まで冷却することを特徴とする引張最大強度780MPa以上を有する衝突特性に優れた高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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