JP2015174904A - フッ素樹脂混合物の製造方法及びシート状のフッ素樹脂複合体の製造方法 - Google Patents

フッ素樹脂混合物の製造方法及びシート状のフッ素樹脂複合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】より簡便に、フッ素樹脂に充填剤が均一に混合されたフッ素樹脂混合物を製造できる方法を提供する。
【解決手段】本発明のフッ素樹脂混合物の製造方法は(I)カーボンブラック及び活性炭から選ばれる少なくともいずれか1種を含む炭素系充填剤粒子と水性分散媒とを混合し、得られた混合物を前記炭素系充填剤粒子の少なくとも一部が解砕される程度まで攪拌して、前記炭素系充填剤粒子の水性分散液を得る工程と、(II)ポリテトラフルオロエチレンを含むフッ素樹脂粒子の水性分散液と、前記工程(I)で得られた前記炭素系充填剤粒子の水性分散液とを混合して、前記フッ素樹脂粒子及び前記炭素系充填剤粒子を含む水性分散液中で、前記フッ素樹脂粒子及び前記炭素系充填剤粒子を共凝集させる工程と、(III)前記工程(II)で得られた凝集物を液体成分と分離して乾燥させる工程と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、フッ素樹脂混合物の製造方法と、前記フッ素樹脂混合物を用いた、シート状のフッ素樹脂複合体の製造方法とに関する。
フッ素樹脂の1種であるポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記載する。)は、耐熱性、耐光性、耐薬品性、電気絶縁性及び摺動性など各種の特性に優れており、機械、化学及び電気分野を中心に幅広い用途に用いられている。PTFEの原料としては、モールディングパウダー、ファインパウダー及びディスパージョンが市販されている。PTFEに充填剤が添加されたフッ素樹脂混合物を得るには、PTFEファインパウダー又はモールディングパウダーと充填剤とを混ぜる乾式法と、PTFEディスパージョンと充填剤とを水性分散液中で混合する湿式法とが知られている。
特許文献1には、充填剤とPTFEとを水性分散液中で混合し、混合時に機械的シェアをかけたり、凝集剤(アルコール、酸など)を別途添加したりして、充填剤とPTFE粒子とを共凝固させ、この凝固物をろ過及び乾燥し、PTFE混合物を得ることが記載されている。
特公平8−32792号公報
特許文献1に記載されている方法では、PTFEに充填剤を混ぜること自体が目的とされているため、PTFEと充填剤とを共凝固させるための特別な処理(添加剤の添加等)が必要となるという課題が存在する。さらに、この方法には、PTFEと充填剤との均一な混合という点でも、改善の余地があった。
そこで、本発明は、より簡便に、フッ素樹脂と充填剤とが均一に混合されたフッ素樹脂混合物を製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明は、
(I)カーボンブラック及び活性炭から選ばれる少なくともいずれか1種を含む炭素系充填剤粒子と水性分散媒とを混合し、得られた混合物を前記炭素系充填剤粒子の少なくとも一部が解砕される程度まで攪拌して、前記炭素系充填剤粒子の水性分散液を得る工程と、
(II)ポリテトラフルオロエチレンを含むフッ素樹脂粒子の水性分散液と、前記工程(I)で得られた前記炭素系充填剤粒子の水性分散液とを混合して、前記フッ素樹脂粒子及び前記炭素系充填剤粒子を含む水性分散液中で、前記フッ素樹脂粒子及び前記炭素系充填剤粒子を共凝集させる工程と、
(III)前記工程(II)で得られた凝集物を液体成分と分離して乾燥させる工程と、
を含む、フッ素樹脂混合物の製造方法を提供する。
また、本発明は、
(i)上記本発明の製造方法によって得られたフッ素樹脂混合物と成形助剤とを混合して、ペースト状混合物を得る工程と、
(ii)前記ペースト状混合物をシート状に成形して、前記成形助剤を除去する工程と、
を含む、
フッ素樹脂複合体の製造方法も提供する。
本発明のフッ素樹脂混合物の製造方法では、フッ素樹脂粒子及び炭素系充填剤粒子を共凝集させて凝集物を得る際に、まず、炭素系充填剤粒子と水性分散媒との混合物を炭素系充填剤粒子の少なくとも一部が解砕される程度まで攪拌し、次に、それによって得られた炭素系充填剤粒子の水性分散液をフッ素樹脂粒子の水性分散液と混合させる。このような工程を経て炭素系充填剤粒子とフッ素樹脂粒子とを混合することで、炭素系充填剤粒子とフッ素樹脂粒子とを均一に共凝集させることが可能となる。また、炭素系充填剤粒子は、カーボンブラック及び活性炭から選ばれる少なくともいずれか1種を含んでおり、最終的に得られるフッ素樹脂混合物に導電性を付与する充填剤として機能すると共に、フッ素樹脂粒子と自分自体とを共凝集させるための凝集剤としても機能する。
以上のように、本発明の製造方法によれば、予め攪拌されて得られた炭素系充填剤粒子の水性分散液をフッ素樹脂の水性分散液と混合することによる効果と、炭素系充填剤粒子の凝集剤としての機能とによって、簡便に、炭素系充填剤粒子とフッ素樹脂粒子とを均一に共凝集させることができると共に、得られるフッ素樹脂混合物はそれに含まれる炭素系充填剤粒子によって導電性が付与され得る。
本発明のフッ素樹脂混合物の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の記載は本発明を限定するものではない。
本実施形態のフッ素樹脂混合物の製造方法は、
(I)カーボンブラック及び活性炭から選ばれる少なくともいずれか1種を含む炭素系充填剤粒子と水性分散媒とを混合し、得られた混合物を前記炭素系充填剤粒子の少なくとも一部が解砕される程度まで攪拌して、前記炭素系充填剤粒子の水性分散液を得る工程と、
(II)ポリテトラフルオロエチレンを含むフッ素樹脂粒子の水性分散液と、前記工程(I)で得られた前記炭素系充填剤粒子の水性分散液とを混合して、前記フッ素樹脂粒子及び前記炭素系充填剤粒子を含む水性分散液中で、前記フッ素樹脂粒子及び前記炭素系充填剤粒子を共凝集させる工程と、
(III)前記工程(II)で得られた凝集物を液体成分と分離して乾燥させる工程と、
を含む。
以下、図1のフローチャートを参照しながら、各工程について具体的に説明する。
工程(I)の例について説明する。
工程(I)では、まず、炭素系充填剤粒子の水性分散液を準備する。
炭素系充填剤粒子は、カーボンブラック及び活性炭から選ばれる少なくともいずれか1種を含んでいればよい。炭素系充填剤粒子は、カーボンブラック及び活性炭から選ばれる少なくともいずれか1種のみからなっていてもよいし、さらに、ファイバー状、ウィスカー又はナノチューブといった炭素系材料を含んでいてもよい。炭素系充填剤粒子は、10m2/g以上の比表面積を有することが好ましく、50m2/g以上の比表面積を有することがより好ましくい。炭素系充填剤粒子の比表面積が小さすぎると、炭素系充填剤粒子とフッ素樹脂粒子との共凝集物が得られにくくなる。一方、炭素系充填剤粒子の比表面積は、700m2/g以下であることが好ましく、500m2/g以下であることがより好ましく、300m2/g以下であることがさらに好ましい。炭素系充填剤粒子の比表面積が大きすぎると、炭素系充填剤粒子とフッ素樹脂とを共凝集させることによって得られたフッ素樹脂混合物をシート化する際に、シート化のための成型が困難になる場合がある。特に、炭素系充填剤粒子が40質量%以上含まれるフッ素樹脂混合物の場合、この傾向が顕著となる。
炭素系充填剤粒子の粒径は、特には限定されない。しかし、炭素系充填剤粒子の平均1次粒径は、0.01〜200μmであることが好ましく、0.02〜50μmであることがより好ましい。炭素系充填剤粒子の平均1次粒径をこのような範囲内とすることにより、炭素系充填剤粒子がフッ素樹脂粒子と共凝集しやすくなり、さらに、炭素系充填剤粒子とフッ素樹脂とを共凝集させることによって得られたフッ素樹脂混合物のシート化も容易となる。なお、ここでの平均1次粒径とは、TEM(Transmission Electron Microscope)又はSEM(Scanning Electron Microscope)による観察によって少なくとも100個の1次粒径を測定し、その平均値を求めることで得られる値である。
炭素系充填剤粒子を分散させる水性分散媒としては、例えばイオン交換水等の水を用いることが好ましく、分散性を向上させるために非イオン性界面活性剤などがさらに添加されてもよい。
以上のような炭素系充填剤粒子と水性分散媒とを混合し、得られた混合物を攪拌して炭素系充填剤粒子の水性分散液を作製する。この水性分散液は、炭素系充填剤粒子の少なくとも一部が解砕される程度に強攪拌されることによって作製される。炭素系充填剤粒子の少なくとも一部が解砕されることにより、分散液中での炭素系充填剤粒子の表面積が増加するとともに、さらに炭素系充填剤粒子の新表面や格子欠陥等が生成してその表面が活性になるので、次の工程(工程(II))でフッ素樹脂の水性分散液と混合された際に、フッ素樹脂粒子との共凝集が生じやすくなると考えられる。ここで、炭素系充填剤粒子の少なくとも一部が解砕された状態であることは、分散液の粘度の変化によって確認し得る。したがって、攪拌によって分散液の粘度の不連続的な上昇が確認されたとき(急な粘度増加が確認されたとき)を、炭素系充填剤粒子の少なくとも一部が解砕された状態であると判断することが可能である。なお、この攪拌によって、炭素系充填剤粒子の一部が粉砕や微細化されてもよい。
このとき用いられる攪拌装置として、例えばホモジナイザー等の公知の装置を挙げることができる。炭素系充填剤粒子の少なくとも一部が解砕されるように水性分散液を攪拌できればよいので、攪拌の具体的な条件は特には限定されないが、例えば回転数1000rpm以上の強攪拌であることが好ましい。回転数は、3000rpm以上がより好ましく、5000rpm以上がさらに好ましい。これにより、水性分散液中の炭素系充填剤粒子をより簡単に解砕することが可能となり、粒子の分散性及び微細化がさらに促進されるので、フッ素樹脂粒子と凝集効果がさらに高まる。その結果、得られたフッ素樹脂混合物を用いて形成されるシート状のフッ素樹脂複合体は、より高い機械特性を得ることができる。なお、攪拌の回転数の上限は、特には限定されないが、例えば10000rpm程度とするとよい。また、攪拌時間も特には限定されないが、例えば5〜30分程度とすることが好ましい。
次に、工程(II)が実施される。工程(II)では、まずフッ素樹脂粒子の水性分散液を準備する。
フッ素樹脂粒子は、PTFEのみを含んでいてもよいし、PTFE以外の他のフッ素樹脂等をさらに含んでいてもよい。他のフッ素樹脂には、例えばテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、PFAと記載する。)や、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、FEPと記載する。)等の、PTFEと相溶性の良い溶融系フッ素樹脂を用いることが好ましい。そこで、フッ素樹脂粒子は、例えば、
(A)PTFEのみからなる、
(B)PTFE及びPFAからなる、又は、
(C)PTFE及びFEPからなる、
が好適である。PTFEに加えて他のフッ素樹脂が含まれる場合は、フッ素樹脂成分全体に対するPTFEの含有量が5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上であることがより好ましい。
フッ素樹脂粒子の水性分散液の分散媒としては、水又は界面活性剤を含む水が挙げられる。この水性分散液において、フッ素樹脂粒子の含有量は例えば0.5〜20質量%である。この水性分散液は、例えば市販品のPTFEの水性分散液(例えば、PTFE水分散液)を準備し、これを水で希釈することによって作製できる。水性分散液におけるPTFEの粒径は、例えば0.2〜0.5μmである。PTFE以外に他のフッ素樹脂も含まれる場合は、PTFE粒子と他のフッ素樹脂粒子とを含む水性分散液を準備する。
次に、フッ素樹脂粒子の水性分散液と、工程(I)で得られた炭素系充填剤粒子の水性分散液とを混合して、フッ素樹脂粒子及び炭素系充填剤粒子を含む水性分散液中で、フッ素樹脂粒子及び炭素系充填剤粒子を共凝集させる。このとき用いられる装置は、特に限定されず、例えばディスパーといった公知の攪拌機を用いることができる。また、炭素系充填剤粒子は、フッ素樹脂混合物にある特定の性能(ここでは例えば導電性)を付与する充填剤としての機能に加え、水性分散液中でフッ素樹脂粒子とを凝集させる凝集剤としても機能する。したがって、本実施形態の製造方法では、特に、共凝集を生じさせるための処理を別途施す必要はない。なお、本実施形態のフッ素樹脂混合物の製造方法では、水性分散液に他の凝集剤を添加する、及び、水性分散液に含まれる界面活性剤を失活させるために温度を上昇させる、等の共凝集を生じさせるための他の処理をさらに施してもよいが、簡便にフッ素樹脂混合物を得るためには他の処理を特に施さないことが望ましい。
フッ素樹脂粒子と炭素系充填剤粒子との合計質量に対する炭素系充填剤粒子の質量は、10〜90質量%程度の範囲内で、用途に応じて適宜選択するとよい。フッ素樹脂混合物が、高い導電性が要求される用途に利用される場合には、炭素系充填剤粒子が高い割合で含まれることが望ましい。炭素系充填剤粒子の含有割合は、フッ素樹脂粒子と炭素系充填剤粒子との総量に対して40質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましい。炭素系充填剤粒子の含有割合の上限値は、90質量%程度である。本発明の製造方法によれば、炭素系充填剤粒子が40質量%以上混合されても、シート化に適したフッ素樹脂混合物が得られやすくなる。すなわち、本発明の製造方法による効果は、炭素系充填剤粒子が40質量%以上混合されるフッ素樹脂混合物を製造する場合に、特に顕著となる。
次に、工程(III)が実施される。具体的には、共凝集によって得られた凝集物を液体成分から分離し、さらに乾燥させることによって、フッ素樹脂混合物(混合粉体)を作製する。凝集物の分離方法は、特には限定されず、上澄み液の除去、ろ過及び脱水等の公知の方法を利用できる。乾燥方法も、特には限定されず、公知の方法を利用できる。
以上の方法によって、フッ素樹脂混合物が得られる。
次に、得られたフッ素樹脂混合物を用いてシート状のフッ素樹脂複合体を製造する方法について説明する。本実施形態のフッ素樹脂複合体の製造方法は、
(i)本実施形態のフッ素樹脂混合物の製造方法によって得られたフッ素樹脂混合物と成形助剤とを混合して、ペースト状混合物を得る工程と、
(ii)前記ペースト状混合物をシート状に成形して、前記成形助剤を除去する工程と、
を含む。
工程(i)においてペースト状混合物を得る方法には、例えばPTFEを含むフッ素樹脂混合物と成形助剤とを混合してペースト状混合物を得る公知の方法を用いることが可能であり、特には限定されない。例えば、PTFEの繊維化を極力抑制する条件でやんわりと混合する(具体的には、PTFEにせん断力を加えないように回転数を小さくし且つ混合時間を短くして混練せずに混合する)ことが好ましい。
成形助剤の種類及び量も、公知の方法の中から適宜選択できる。例えば、成形助剤としてドデカンやデカン等の飽和炭化水素を使用できる。成形助剤は、例えば、全重量に対して20〜80重量%となるように添加するとよい。
工程(ii)の工程においてペースト状混合物をシート状に成形する方法には、PTFEを含むペースト状混合物をシート状に成形する公知の方法を用いることができる。例えば、カレンダ成形及びペースト押出成形等を用いることができる。例えば、ペースト状混合物を予備成形した後、ダイなどから押出成形といった公知の方法を利用できる。また、フッ素樹脂混合物に炭素系充填剤粒子が非常に高い割合で含まれている場合(例えば40質量%以上、好ましくは50質量%以上)には、例えば、ペースト状混合物を押出し及び圧延によってシート状に成形して得られるシート状成形体を複数準備し、これらシート状成形体を複数重ね合わせて圧延する方法によって、シート状のフッ素樹脂複合体を形成してもよい。このとき、複数のシート状成形体を重ね合わせて圧延する処理を複数回繰り返してもよく、好ましくは繰り返すごとに圧延方向を変更することである。
次に、加熱して成形助剤を除去することによって、シート状のフッ素樹脂複合体を得ることができる。なお、フッ素樹脂複合体の厚さ等の形状は、特には限定されず、用途に応じて適宜決定される。
この方法によって得られるシート状のフッ素樹脂複合体は、1×106Ω・cm以下の体積抵抗を有している。用途に応じて、さらに低い体積抵抗を有するフッ素樹脂複合体を実現することも可能であり、10Ω・cm以下のものも好ましく用いることができる。また、このフッ素樹脂複合体の気孔率は40〜95%であり、用途に応じて適宜調整するとよい。
次に、本発明のフッ素樹脂混合物の製造方法及びフッ素樹脂複合体の製造方法について、実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
炭素系充填剤粒子としてのカーボンブラック粒子(東海カーボン株式会社製、品番「トーカーブラック#4500」)を、カーボンブラックの濃度が5質量%となるようにイオン交換水に投入し、これをホモジナイザー(プライミクス株式会社製、品名「オートミクサー 40型」)を用いて回転数7000rpmで15分間攪拌して、カーボンブラック水分散液を作製した。なお、この攪拌によってカーボンブラックの少なくとも一部が解砕されたことを、水性分散液の粘度の上昇によって確認した。一方、フッ素樹脂粒子の水性分散液として、PTFE水分散液(旭硝子株式会社製、品番「AD938E」)を準備した。PTFE水分散液とカーボンブラック水分散液とを、PTFEとカーボンブラックとの質量比が50:50の割合になるよう湿式混合し、ミキサー(佐竹化学機械工業株式会社製、品番「A510」)を用いて回転数1450rpmにて10分間攪拌して共凝集させた。得られた凝集物を、乾燥機で150℃で乾燥し、フッ素樹脂混合物を得た。
得られたフッ素樹脂混合物に、成形助剤として「アイソパーM」(エクソンモービル社製)を47質量%となるように添加した。次に、これを予備成形機でペレット化し、得られたペレットを押出機でダイから押出して幅4.5cmのシートを得た。このシートを、さらに2本ロールを用いて圧延して、シート状のフッ素樹脂複合体を得た。
(実施例2)
PTFE水分散液とカーボンブラック水分散液とを、PTFEとカーボンブラックとの質量比が40:60の割合になるよう湿式混合した点、さらに、フッ素樹脂混合物に成形助剤を50質量%となるように添加した点以外は、実施例1と同様の方法で、フッ素樹脂混合物及びフッ素樹脂複合体を作製した。
(比較例1)
PTFEファインパウダー(ダイキン工業株式会社製、品番「F104(f−rank)」)と、炭素系充填剤粒子としてのカーボンブラック粒子(東海カーボン株式会社製、品番「トーカーブラック#4500」)とを、質量比が50:50の割合になるよう乾式混合して、フッ素樹脂混合物を得た。得られたフッ素樹脂混合物に、成形助剤として「アイソパーM」(エクソンモービル社製)を47質量%となるように添加した。次に、これを予備成形機でペレット化し、得られたペレットを押出機でダイから押出して幅4.5cmのシートを得た。このシートを、さらに2本ロールを用いて圧延して、シート状のフッ素樹脂複合体を得た。
(比較例2)
PTFEファインパウダーとカーボンブラックとを、PTFEとカーボンブラックとの質量比が40:60の割合になるよう乾式混合した点、さらに、フッ素樹脂混合物に成形助剤を50質量%となるように添加した点以外は、比較例1と同様の方法で、フッ素樹脂混合物及びフッ素樹脂複合体を作製した。
(比較例3)
カーボンブラックの代わりにカーボンナノチューブ(昭和電工社製 品名「VGCF−H」)を使用して、実施例1と同様の方法でカーボンナノチューブ水分散液を作製した。このカーボンナノチューブ水分散液を、実施例1と同様に、PTFE水分散液と湿式混合した。しかし、PTFEとカーボンナノチューブとは共凝集しなかった。
<体積抵抗の測定>
実施例1,2及び比較例1,2で得られたシート状のフッ素樹脂複合体(試料)の体積抵抗を測定した。試料を面積S(S=1cm2)の2枚の銅板の間に配置し、荷重2kgf(圧力0.2MPa)を加え、100mAの電流を流した時の銅板間の電圧から抵抗値R1(Ω)を算出した。以下の式(1)に示すように、抵抗値R1から、試料が無い場合の銅板間の接触抵抗R0を差し引いて、これに測定面積(S)乗じ且つ試料の厚さ(t)で除して、試料の体積抵抗Rを求めた。
R=(R1−R0)・S/t(単位はΩ・cm) …(1)
<気孔率の測定>
実施例1,2及び比較例1,2で得られたシート状のフッ素樹脂複合体の重量と体積とを測定し、その結果から見かけ密度を求めた。この見かけ密度と真密度とを用いて、以下の式(2)により気孔率を求めた。
気孔率(%)=(1−見かけ密度/真密度)×100 …(2)
実施例1,2及び比較例3のフッ素樹脂混合物作製時の共凝集の結果、並びに、実施例1,2及び比較例1,2のフッ素樹脂複合体の体積抵抗及び気孔率を、表1に示す。
Figure 2015174904
表1に示すように、実施例1と比較例1、実施例2と比較例2の結果をそれぞれ比較すると、本発明の製造方法によって得られた実施例のフッ素樹脂複合体は、本発明の製造方法とは異なる製造方法によって得られた比較例のフッ素樹脂複合体よりも、カーボンブラックの含有割合及び気孔率が同程度であるにも関わらず、低い体積抵抗を実現できた。これは、本発明の製造方法によって得られたフッ素樹脂混合物では、PTFEとカーボンブラックとがより均一に混合されていたためであると考えられる。すなわち、本発明の製造方法によれば、簡便に、フッ素樹脂粒子と炭素系充填剤粒子とが均一に混合されたフッ素樹脂混合物を得ることができ、さらにそのフッ素樹脂混合物を用いて炭素系充填剤粒子の性質を効果的に発現させたフッ素樹脂複合体を得ることができる。
本発明のフッ素樹脂混合物の製造方法は、フッ素樹脂粒子と炭素系充填剤粒子とが均質に混合されたフッ素樹脂混合物を簡便に提供できるので、機械、化学及び電気分野を中心に幅広い用途に用いられるフッ素樹脂混合物の製造に利用できる。

Claims (6)

  1. (I)カーボンブラック及び活性炭から選ばれる少なくともいずれか1種を含む炭素系充填剤粒子と水性分散媒とを混合し、得られた混合物を前記炭素系充填剤粒子の少なくとも一部が解砕される程度まで攪拌して、前記炭素系充填剤粒子の水性分散液を得る工程と、
    (II)ポリテトラフルオロエチレンを含むフッ素樹脂粒子の水性分散液と、前記工程(I)で得られた前記炭素系充填剤粒子の水性分散液とを混合して、前記フッ素樹脂粒子及び前記炭素系充填剤粒子を含む水性分散液中で、前記フッ素樹脂粒子及び前記炭素系充填剤粒子を共凝集させる工程と、
    (III)前記工程(II)で得られた凝集物を液体成分と分離して乾燥させる工程と、
    を含む、フッ素樹脂混合物の製造方法。
  2. 前記工程(I)において前記水性分散媒に混合される前記炭素系充填剤粒子の比表面積が、50〜700m2/gである、
    請求項1に記載のフッ素樹脂混合物の製造方法。
  3. 前記フッ素樹脂粒子と前記炭素系充填剤粒子との合計質量に対する、前記炭素系充填剤粒子の質量が、40〜90質量%である、
    請求項1又は2に記載のフッ素樹脂混合物の製造方法。
  4. 前記フッ素樹脂粒子が、
    (A)ポリテトラフルオロエチレンからなる、
    (B)ポリテトラフルオロエチレンとテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体とからなる、又は、
    (C)ポリテトラフルオロエチレンとテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体とからなる、
    請求項1〜3の何れか1項に記載のフッ素樹脂混合物の製造方法。
  5. (i)請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法によって得られたフッ素樹脂混合物と成形助剤とを混合して、ペースト状混合物を得る工程と、
    (ii)前記ペースト状混合物をシート状に成形して、前記成形助剤を除去する工程と、
    を含む、
    フッ素樹脂複合体の製造方法。
  6. 前記フッ素樹脂複合体は、1×106Ω・cm以下の体積抵抗を有し且つ40〜95%の気孔率を有する、
    請求項5に記載のフッ素樹脂複合体の製造方法。
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