JP2015174892A - 親水性塗料組成物及び熱交換用アルミニウムフィン材 - Google Patents

親水性塗料組成物及び熱交換用アルミニウムフィン材 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐水性、親水持続性、特にヒートサイクル試験後の親水持続性に優れた熱交換器用アルミニウムフィン材を提供すること。【解決手段】 親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)、並びにタンニン酸、没食子酸、アスコルビン酸及びその塩類の中から選ばれる少なくとも1種の化合物(D)を含有する親水性塗料組成物であって、親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の固形分合計100質量部に対して、親水性重合体微粒子(A)50〜86質量部、ポリアクリルアミド樹脂(B)7〜30質量部、ポリオキシアルキレン化合物(C)7〜20質量部の割合で、化合物(D)を0.1〜10質量部含有する親水性塗料組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、耐水性、親水持続性、特にヒートサイクル試験後の親水持続性に優れた塗膜を形成できる親水性塗料組成物及び熱交換器用アルミニウムフィン材に関する。
エアコン室内機の熱交換器におけるアルミニウムフィン材は、夏場の冷房運転では、冷やされたアルミニウムフィン材上で水が結露し、濡れた状態となる(所謂、ウェット/クール状態)。さらに結露した水が成長して水滴になるとフィン間にブリッジを形成し、空気の通風路を狭めることがある。これによって通風抵抗が大きくなり、電力の損失、騒音の発生、水滴の飛散などの不具合が発生する。一方、エアコン室内機の熱交換器におけるアルミニウムフィン材は、冬場の暖房運転では、加熱されて乾いた状態となる(所謂、ドライ/ヒート状態)。
また、エアコン室外機の熱交換器におけるアルミニウムフィン材は、室内機の場合とは逆の状態となり、夏場の冷房運転時では、加熱されて乾いた状態となる(所謂、ドライ/ヒート状態)。エアコン室外機の熱交換器におけるアルミニウムフィン材は、冬場の暖房運転時では、冷やされて濡れた状態となる(所謂、ウェット/クール状態)。特に、外気温が低い場合には、結露水が霜となってアルミニウムフィン材表面に固着し、熱交換効率を低下させる原因となる。
このようにエアコン用の熱交換器用のアルミニウムフィン材は、ウェット/クール状態とドライ/ヒート状態を繰り返し受けている。
また従来からアルミニウムフィン材(以下、フィン材という)の表面を親水性処理を施して、上記のようなフィン材上に溜まった凝集水の影響を軽減する処置が採ってきた。
例えば、特許文献1には、親水性処理組成物として、ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物(A)、親水性重合体微粒子(B)、必要に応じて、架橋剤(C)を含有する親水性処理用組成物、該親水性処理組成物からの塗膜が形成された熱交換器用のアルミニウムフィン材が開示されている。
また、特許文献2には、水溶性ないしは水分散性ポリアミド樹脂(A)、ポリオキシアルキレン鎖を有する化合物(B)、ポリアクリルアミド系樹脂(C)及び親水性重合体微粒子(D)を含有することを特徴とする親水性処理組成物が開示されている。
しかし、これら特許文献1又は2に記載のアルミニウムフィン材は、ウェット/クール状態とドライ/ヒート状態を繰り返し受けると、アルミニウムフィン材上に形成した塗膜が劣化して、耐水性、親水持続性、特にヒートサイクル試験後の親水持続性が低下することがあった。このような背景から、耐水性、親水持続性、特にヒートサイクル試験後の親水持続性において、優れた塗膜が得られる親水性塗料組成物が要求されていた。
特開平9−87576号公報 特開2000−328038号公報
発明が解決しようとする課題は、耐水性、親水持続性、特にヒートサイクル試験後の親水持続性に優れた塗膜を形成できる親水性塗料組成物を見出し、上記塗膜性能に優れる熱交換器用アルミニウムフィン材を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、樹脂成分として、特定の親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)、並びにタンニン酸、没食子酸、アスコルビン酸及びその塩類の中から選ばれる少なくとも1種の化合物(D)を含有する親水性塗料組成物によって、課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
「1.親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)、並びにタンニン酸、没食子酸、アスコルビン酸及びその塩類の中から選ばれる少なくとも1種の化合物(D)を含有する親水性塗料組成物であって、親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の固形分合計100質量部に対して、親水性重合体微粒子(A)50〜86質量部、ポリアクリルアミド樹脂(B)7〜30質量部、ポリオキシアルキレン化合物(C)7〜20質量部、化合物(D)を0.1〜10質量部含有する親水性塗料組成物、
2.親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の固形分合計100質量部に対して、非イオン性界面活性剤(E)を固形分合計量で0.1〜10質量部含有する1項に記載の親水性塗料組成物、
3.親水性重合体微粒子(A)が、ポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有する重合性不飽和モノマー(a1)2〜50質量%、(メタ)アクリルアミド(a2)11〜60質量%、N−メチロール(メタ)アクリルアミド又はN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(a3)3〜65質量%、1分子中に2個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物(a4) 0.1〜5質量%、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a5)2〜50質量%、上記(a1)、(a2)、(a3)、(a4)及び(a5)以外の、1分子中に1個の重合性不飽和基を有するその他モノマー(a6)0〜71.9質量%からなるモノマー混合物の共重合体である1項又は2項に記載の親水性塗料組成物、
4.プライマー塗膜を有していてもよいアルミニウム又はアルミニウム合金上に、1〜3項のいずれか1項に記載の親水性塗料組成物を塗装し、加熱乾燥して硬化塗膜を形成する熱交換器用アルミニウムフィン材の塗膜形成方法、
5.4項に記載の塗膜形成方法により得られた熱交換器用アルミニウムフィン材」に関する。
本発明の親水性処理組成物を施した熱交換器用のアルミニウムフィン材は、冷暖房時においてウェット/クール状態とドライ/ヒート状態を繰り返し受けても、耐水性、親水持続性、特にヒートサイクル試験後の親水持続性に優れた性能を得ることができる。
本発明は、樹脂成分として、親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)、並びにタンニン酸、没食子酸、アスコルビン酸及びその塩類の中から選ばれる少なくとも1種の化合物(D)を含有する親水性塗料組成物に関する。以下、詳細に説明する。
[親水性塗料組成物]
親水性重合体微粒子(A)
本発明の親水性塗料組成物における親水性重合体微粒子(A)は、塗料組成物中で安定に微粒子の状態で存在し、この微粒子を配合した塗料組成物から得られる塗膜表面に親水性を付与するために使用される。
例えば、親水性重合体微粒子(A)は、例えば、ポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有する重合性不飽和モノマー2〜50質量%及びその他モノマー50〜98質量%からなるモノマー混合物の共重合体を使用できる。
例えば、親水性重合体微粒子(A)は、ポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有する重合性不飽和モノマー(a1)2〜50質量%、(メタ)アクリルアミド(a2)11〜60質量%、N−メチロール(メタ)アクリルアミド又はN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(a3)3〜65質量%、1分子中に2個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物(a4) 0.1〜5質量%、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a5)2〜50質量%、上記(a1)、(a2)、(a3)、(a4)及び(a5)以外の、1分子中に1個の重合性不飽和基を有するその他モノマー(a6)0〜71.9質量%からなるモノマー混合物の共重合体を使用できる。なお、本明細書において、(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミドとメタクリルアミドの総称である。
上記、ポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有する重合性不飽和モノマー(a1)は、1分子中に少なくとも1個の重合性二重結合と、ポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有する化合物であり、その代表例としては、下記式(1)、式(2)又は式(3)で示される化合物を挙げることができる。
Figure 2015174892
式(1)
(式(1)中、R、RおよびRは同一又は相異なり、それぞれ水素原子又はメチル基を表わし、Rは−OH、−OCH、−SOH又は−SO−Mを表わし、ここでMはNa、K、Li、NH4+又は有機アンモニウム基を表わし、nは10〜200の数であり、そしてn個の式
Figure 2015174892
の単位における各Rは同一であってもよく或いは互に異なっていてもよい、ここで、上記有機アンモニウム基は、1級、2級、3級および4級のいずれであってもよく、その窒素原子には少なくとも1個の有機基と0〜3個の水素原子が結合したものであり、上記有機基としては、O、S、N原子などを含有していてもよい炭素原子数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基などを挙げることができる)
Figure 2015174892
式(2)
(式(2)中、R、Rおよびnはそれぞれ前記と同じ意味を有する)
Figure 2015174892
式(3)
(式(3)中、RおよびRは前記と同じ意味を有し、XはO、S又はN原子を含有してもよい炭素原子数5〜10の二価の有機基を表わし、mは10〜100の整数である)
上記式(3)において、Xによって表わされる「O、S又はN原子を含有してもよい炭素原子数5〜10の二価の有機基」の具体例としては、下記式で表わされる基などを挙げることができる。
Figure 2015174892
上記式(1)、式(2)又は式(3)で示される化合物は一種を単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記モノマー(a1)としては、分散安定性等の観点から、nが50〜200である式(1)又は式(2)で表される化合物が好ましい。
N−メチロール(メタ)アクリルアミド又はN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(a3)におけるN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミは、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキソキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソヘキソキシメチル(メタ)アクリルアミドを挙げることができる。
1分子中に2個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物(a4)としては、例えば、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、得られる重合体微粒子の分散安定性および親水性等の観点から、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミドが好適である。
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a5)としては、1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基と1個の重合性不飽和基を有する化合物であれば特に制限なく使用でき、その代表例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸モノブチル、マレイン酸モノブチルなどを挙げることができる。カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a5)は、親水性処理用組成物の硬化性に寄与するものである。1分子中に1個の重合性不飽和基を有する上記(a1)、(a2)、(a3)、(a4)及び(a5)以外の、他のモノマー(a6)は、1分子中に1個の重合性不飽和基を有し、前記モノマー(a1)、(a2)、(a3)、(a4)及び(a5)と共重合可能な、前記モノマー(a1)、(a2)、(a3)、(a4)及び(a5)以外の化合物であり、必要に応じて使用されるものである。
必要に応じて使用される上記他のモノマー(a6)としては、水酸基含有重合性不飽和モノマー等の親水性を有するモノマーを使用することが好ましい。水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の如きアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステルを挙げることができる。
上記水酸基含有重合性不飽和モノマー以外のモノマー(a6)の代表例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の如きアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜24のアルキル又はシクロアルキルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの重合性不飽和ニトリル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8の含窒素アルキルエステル;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン;ブタジエン、イソプレンなどのジエン化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテルなどのビニルエーテル、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどのN−アルコキシメチル基を有する不飽和化合物;N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミドなどを挙げることができる。
また、1分子中に加水分解性シリル基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも1個の官能基と1個の重合性二重結合とを有する化合物を使用することもできるが、上記化合物は反応性を有する基を有しているため、粒子の製造安定性が低下したり粒子内架橋が進みすぎて親水性が低下したりすることがあるため使用には注意する必要がある。上記化合物の代表例としては、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シランなどの加水分解性シリル基を有する不飽和化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基を有する不飽和化合物;などを挙げることができる。
これらの化合物は1種で又は2種以上の混合物として使用することができるが、疎水性の化合物を多く用いると重合体粒子の親水性が損なわれるため注意が必要である。
ここで、親水性重合体微粒子(A)は、例えば、以上に述べたポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有する重合性不飽和モノマー(a1)、(メタ)アクリルアミド(a2)、N−メチロール(メタ)アクリルアミド又はN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(a3)、1分子中に2個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物(a4)、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a5)並びに必要に応じて1分子中に1個の重合性不飽和基を有する上記(a1)、(a2)、(a3)、(a4)及び(a5)以外の他のモノマー(a6)からなるモノマー混合物を、該モノマー混合物は溶解するが生成する共重合体を実質的に溶解しない水混和性有機溶媒中又は水混和性有機溶媒/水混合溶媒中で重合することにより製造することができる。
その際の各モノマーの使用割合は、ポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有する重合性不飽和モノマー(a1)2〜50質量%、好ましくは10〜40質量%、(メタ)アクリルアミド(a2)11〜60質量%、好ましくは15〜55質量%、N−メチロール(メタ)アクリルアミド又はN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(a3)3〜65質量%、好ましくは3〜40質量%、1分子中に2個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物(a4) 0.1〜5質量%、好ましくは1〜5質量%、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a5)2〜50質量%、好ましくは3〜30質量%、並びに上記(a1)、(a2)、(a3)、(a4)及び(a5)以外の他のモノマー(a6)を0〜71.9質量%、好ましくは0〜68質量%の範囲内である。
ポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有する重合性不飽和モノマー(a1)の量が2質量%未満であると、一般に、生成する重合体粒子を充分に安定化することが困難となり、重合中又は貯蔵中に凝集物が生成しやすくなり、一方、50質量%を超えると、生成する重合体粒子が反応溶媒に溶解しやすくなり、重合体の多くが溶解してしまうため重合体微粒子を満足に形成することができなくなる。
(メタ)アクリルアミド(a2)の量が11質量%未満であると、塗膜の耐水性が経時で低下し、一方、60質量%を超えると親水性が低下する。N−メチロール(メタ)アクリルアミド又はN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(a3)の量が3質量%未満であると、塗膜の耐水性が経時で低下し、一方、65質量%を超えると親水性が低下する。
1分子中に2個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物(a4)の量が0.1質量%未満であると、一般に、生成する重合体微粒子の架橋度が小さくなり、有機溶剤型塗料に配合した場合、微粒子がその溶剤に溶解、膨潤しやすくなる。一方、5質量%を超えると、重合時に凝集物の生成が多くなり、所望の重合体微粒子を安定に製造することが極めて困難になる。
カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a5)の量が2質量%未満であると、得られる塗膜の硬化性が不十分となり、一方、50質量%を超えると、得られる親水性処理用組成物の安定性が悪くなる。
前記モノマー混合物の共重合は、通常、ラジカル重合開始剤の存在下に行なわれる。ラジカル重合開始剤としては、それ自体既知のものを使用することができ、その使用量は、通常、モノマーの合計量に対して0.2〜5質量%の範囲内が好ましい。
重合温度は、使用する重合開始剤の種類等によって変えることができるが、通常、約50〜約160℃、さらには90〜160℃の範囲内の温度が適当であり、反応時間は0.5〜10時間程度とすることができる。また、重合反応後にモノマー(a4)による架橋を進行させるために、より高温に加熱してもよい。さらに、重合反応中や重合反応後における粒子内架橋反応をより速やかに進行させるために、必要に応じて、架橋反応触媒を加えてもよい。架橋反応触媒としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の強酸触媒;トリエチルアミンなどの塩基触媒などを挙げることができ、架橋反応種に応じて適宜選定すればよい。
以上に述べたように製造される親水性重合体微粒子(A)の粒子径は、特に限定されるものではないが、親水性重合体微粒子(A)の安定性、凝集物の発生抑制などの点から、一般に0.03〜1μm、好ましくは0.05〜0.6μmの範囲内の平均粒子径を有することが適当である。この平均粒子径は、粒子径測定装置、例えばコールター(coulter)モデルN4MD(コールター社製)によって測定することができる。
上記親水性重合体微粒子(A)は、モノマー(a1)に由来するポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖が重合体微粒子表面に化学的に結合した状態で外側に向って配向しているため、分散安定剤の不存在下であっても、重合安定性及び経時での分散安定性(貯蔵安定性)が極めて優れており、しかも表面が親水性に富んでいる。
また、親水性重合体微粒子(A)は、モノマー(a4)成分の存在により、粒子内架橋されており、有機溶剤型塗料中においても、その形態を保持し、また、加熱によっても容易に溶融せず、塗料から処理膜を形成した際に処理膜に微細な凹凸を形成することができる。なお本発明の親水性塗料組成物に、親水性重合体微粒子(A)を配合することによって耐水性を向上することができる。
ポリアクリルアミド樹脂(B)
本発明の親水性塗料組成物に用いるポリアクリルアミド樹脂(B)は、該樹脂(B)を構成するラジカル重合性モノマーの合計質量に対して、(メタ)アクリルアミドを70質量%以上含むラジカル重合性モノマーの混合物を重合反応して得られた重合体であれば使用でき、例えば、(メタ)アクリルアミドの単独重合体、又は(メタ)アクリルアミドとその他のラジカル重合性モノマーとの共重合体のいずれであってもよい。
詳細には、ポリアクリルアミド樹脂(B)は、例えば、(メタ)アクリルアミド、必要に応じて、その他のラジカル重合性モノマーとの混合物を重合開始剤(アゾ系、過酸化物系、酸化還元型など)の存在下で、水、有機溶剤などの溶媒中で重合反応させることによって得ることができる。上記重合温度は、使用する重合開始剤の種類等によって変えることができるが、通常、約50〜約200℃、さらには90〜160℃の範囲内の温度が適当であり、反応時間は0.5〜10時間程度である。
なおポリアクリルアミド樹脂(B)の粘度(注1)は、50〜9,000mPa・秒、好ましくは3,000〜8,000mPa・秒の範囲が、塗料安定性、耐水性、親水持続性、特にヒートサイクル試験後の親水持続性向上のために望ましい。
(注1)粘度:粘度は、ポリアクリルアミド樹脂(B)を固形分20%に調整し、25℃にて、B型粘度計(RE-80U型粘度計、東機産業社製、回転粘度計法による粘度測定器)を用いて、回転数60rpmでの粘度(mPa・s)を求めた。
なおポリアクリルアミド樹脂(B)は、市販品も使用することができ、例えば、ハリコートG−50(3,500mPa・秒)、ハリコートG−51(4,000mPa・秒)、ハリコート1057(5,000mPa・秒)(以上、ハリマ化成、商品名)、ポリマセット305(5,500mPa・秒)、ポリマセット500(4,000mPa・秒)、ポリマセット512(3,500mPa・秒)(以上、荒川化学工業(株)、商品名)などが挙げられる。
なおポリアクリルアミド樹脂の製造に使用できるその他のラジカル共重合性モノマーは、例えば、カチオン性ビニルモノマー(b1)、アニオン性ビニルモノマー(b2)、N−置換(メタ)アクリルアミド(b3)、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム(b4)及びビニルモノマー(b5)等が挙げられる。
上記カチオン性ビニルモノマー(b1)は、例えば、アリルアミンの他、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの第三級アミノ基を有するビニルモノマーまたはそれらの塩類等である。
上記アニオン性ビニルモノマー(b2)は、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム(b4)以外の少なくとも1つのアニオン性官能基及び1つのビニル基を有するものであれば特に限定されず公知のものを用いることができ、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ムコン酸、シトラコン酸等のジカルボン酸;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などの有機スルホン酸;またはこれら各種有機酸のナトリウム塩、カリウム塩等である。
上記N−置換(メタ)アクリルアミド(b3)は、カチオン性ビニルモノマー(b1)以外のN−置換(メタ)アクリルアミドであれば特に限定されず公知のものを用いることができ、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド等である。
上記ビニルモノマー(b5)は、(b1)〜(b4)成分以外であれば特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルエステル類;アリルアルコール等のアリル基を含有するアリル系モノマー類;(メタ)アクリロニトリル;メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビスアクリルアミド系モノマー類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジアクリレート系モノマー類;ジアリルアミン、ジビニルベンゼン;1,3,5-トリアクロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルアミン、テトラメチロールメタンテトラアクリレートなどの多官能ビニルモノマー類である。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、「アクリルアミド又はメタクリルアミド」を意味する。
ポリオキシアルキレン化合物(C)
本発明の親水性塗料組成物に用いるポリオキシアルキレン化合物(C)としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン鎖とポリオキシプロピレン鎖とがブロック状に結合したブロック化ポリオキシアルキレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、及び前記化合物にメトキシなどの低級アルコキシル基が結合したエーテル化合物が挙げられる。
上記のポリオキシアルキレン化合物(C)の中でも、塗料安定性、親水持続性、塗装作業性の点からポリエチレングリコール(C1)が好ましい。ポリエチレングリコール(C1)としては、PEG−200、PEG−300、PEG−600、PEG−1000、PEG−2000、PEG−4000、PEG−6000、PEG−20000(以上、三洋化成社製、商品名)が挙げられる。
また、ポリオキシアルキレン化合物(C)としては、ポリオキシアルキレン基を有する重合性不飽和モノマー、及び必要に応じてその他の重合性不飽和モノマーを(共)重合反応して得られるポリオキシアルキレン化合物(C2)も使用できる。
なお前記親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の配合割合は、親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の固形分合計100質量部に対して、固形分で、親水性重合体微粒子(A)を50〜86質量部、好ましくは55〜80質量部、ポリアクリルアミド樹脂(B)を7〜30質量部、好ましくは10〜25質量部、ポリオキシアルキレン化合物(C)を7〜20質量部、好ましくは10〜17質量部であることが、耐水性、親水持続性、特にヒートサイクル試験後の親水持続性に優れた塗膜を得るために必要である。
タンニン酸、没食子酸、アスコルビン酸及びその塩類の中から選ばれる少なくとも1種の化合物(D)
本発明の親水性塗料組成物は、親水持続性、特にヒートサイクル試験後の親水持続性の向上を目的として、タンニン酸、没食子酸及びアスコルビン酸並びにその塩類から選ばれる少なくとも1種の化合物(D)を配合する。
これらの中でも特に、没食子酸が塗料安定性の面からも好ましい。以下、タンニン酸、没食子酸及びアスコルビン酸並びにその塩類から選ばれる少なくとも1種の化合物(D)を化合物(D)と称することがある。
上記化合物(D)の配合量は、親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の固形分合計100質量部に対して、化合物(D)の固形分合計量で0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜8.0質量部、さらに好ましくは1.0〜5.0質量部の範囲内であることが、親水持続性、特にヒートサイクル試験後の親水持続性の面から望ましい。
非イオン性界面活性剤(E)
本発明の親水性処理組成物は、必要に応じて、親水持続性、特にヒートサイクル試験後の親水持続性の向上を目的として、非イオン性界面活性剤(E)を配合することができる。非イオン性界面活性剤(E)としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテルなどのエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系などが挙げられる。
上記非イオン性界面活性剤(E)は、HLBが13.0〜14.2、好ましくは13.0〜13.9の範囲であることが、親水持続性、特にヒートサイクルの向上の為に好ましい。なおHLBとは、親水性−親油性バランスの略称で、両親媒性物質の親水性と親油性の比を0〜20の間の数値で表したもので、HLB値が大きいほど親水性は大きくなる。HLBの計算方法の一例として、質量分率に基づくグリフィン式:
HLB値=20×(MH/M)
(式中、MHは両親媒性物質である化合物中の親水基部分の分子量を示し、Mは化合物そのものの分子量を示す。)によって値を算出することができる。例えば、アルキルエーテル型の非イオン性界面活性剤で、その分子中に親水基であるポリオキシエチレン基が80質量%、疎水基であるアルキル基が20質量%を占める界面活性剤は、HLB値=20×0.8=16 として算出される。
非イオン性界面活性剤(E)の市販品としては、ノイゲンEA−137(HLB=13.0)、ノイゲンSD−70(HLB=13.2)、ノイゲンXL−70(HLB=13.2)、ノイゲンLF−60X(HLB=13.3)、ノイゲンTDS NL−90(HLB=13.4)、ノイゲンET−158(HLB=13.4)、ノイゲンTDX−1000(HLB=13.5)、ノイゲンXL−80(HLB=13.8)、ノイゲンTDS NL−100(HLB=13.8)、ノイゲンLF−80X(HLB=13.9)(以上、第一工業製薬);ノニオンE−212(HLB=13.3)、ノニオンE−215(HLB=14.2)(以上、日本油脂社製);ニューコール2308(HLB=13.2)、ニューコール1006(HLB=13.4)、ニューコール1310(HLB=13.7)、ニューコール2306Y(HLB=13.7)、ニューコール2310(HLB=14.0)(以上、日本乳化剤社製、商品名)等が挙げられる。
本発明の親水性塗料組成物において、非イオン性界面活性剤(E)を配合する場合、その配合量は、親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の固形分合計100質量部に対して、非イオン性界面活性剤(E)が固形分量で0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部、さらに好ましくは0.3〜1.8質量部の範囲内であることが、塗料安定性の面から好ましい。
また、本発明の親水性塗料組成物は、さらに必要に応じて、架橋剤(メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などのアミノ樹脂やポリイソシアネート化合物)、水性有機樹脂(カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリグリセリンなど)、着色顔料、それ自体既知の防錆顔料(たとえばクロム酸塩系、鉛系、モリブデン酸系など)、フイチン酸、ホスフィン酸などの有機リン酸、重リン酸の金属塩類、亜硝酸塩などを含有することもできる。
上記架橋剤を配合する場合は、親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の固形分合計100質量部に対して、架橋剤を固形分量で0.1〜15質量部、好ましくは0.2〜12質量部、さらに好ましくは0.3〜10質量部配合することが、密着性向上と塗料安定性の面から望ましい。
本発明の親水性塗料組成物は、例えば、上記親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)及び化合物(D)、必要に応じてその他の成分を水性媒体中に溶解ないしは分散することにより調製することができる。水性媒体は、水を主成分とするものであり、さらに有機溶剤や中和剤などを含有していてもよい。
熱交換器用アルミニウムフィン材の塗膜形成方法について
塗膜形成方法は、プライマー塗膜を有していてもよいアルミニウム又はアルミニウム合金上に、本発明の親水性塗料組成物を塗装し、加熱乾燥して硬化塗膜を形成する方法である。
上記アルミニウム又はアルミニウム合金は、表面が脱脂され、必要に応じて化成処理されたアルミニウム又はアルミニウム合金板(熱交換器に組立てられたものであってもよい)を用いることができる。なお表面が化成処理されていることが、付着性、耐食性などの点から好適である。
必要に応じて塗装するプライマー塗料組成物は、例えば、基体樹脂として、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル変性エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオキシアルキレン樹脂、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体、エチレンアイオノマー樹脂、塩化ビニル樹脂などの有機化合物系のプライマー塗料組成物が挙げられる。プライマー塗料組成物は、水系塗料であっても有機溶剤系塗料であってもよい。
また、プライマー塗料組成物は、無機化合物系のプライマー塗料組成物であってもよく、例えば、特開2006−22370号公報に記載されている塗料組成物(チタン含有水性液/有機リン酸化合物/水溶性又は水分散性有機樹脂/メタバナジン酸塩/ジルコニウム弗化塩/炭酸ジルコニウム塩)が使用できる。
本発明に用いるプライマー塗料組成物は、必要に応じて、架橋剤、顔料、防錆剤、フェノール樹脂、レオロジーコントロール剤、表面調整剤、消泡剤、造膜助剤などの塗料用添加剤を適宜含有せしめることができ、また希釈溶媒として水または適当な有機溶剤を用いることができる。
プライマー塗料組成物の塗装は、それ自体既知の方法、例えば浸漬塗装、シャワー塗装、スプレー塗装、ロール塗装、電気泳動塗装などによって行うことができ、通常、乾燥膜厚が0.2〜20μm、好ましくは0.5〜10μmとなるように塗布され、常温によるセッティング又は焼付け乾燥などによってプライマー塗膜が形成される。プライマー塗膜の焼付け温度、時間は素材到達最高温度が約80〜約250℃、好ましくは190〜240℃で、焼付時間が6秒間〜約30分間、好ましくは8秒間〜10分間の条件下で行なわれる。
また、本発明の親水性塗料組成物の塗装は、それ自体既知の方法、例えば浸漬塗装、シャワー塗装、スプレー塗装、ロール塗装、電気泳動塗装などによって行うことができ、通常、乾燥膜厚が0.2〜20μm、好ましくは0.5〜10μmとなるように塗布され、常温によるセッティング又は焼付け乾燥などによって親水性塗膜が形成される。
なお親水性塗膜の焼付け乾燥は、通常、素材到達最高温度が約150〜約250℃、好ましくは190〜240℃、焼付け時間が10秒間〜約20分間、好ましくは11秒間〜10分間の条件下で行われる。
以下、製造例、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。各例中の「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
[親水性塗料組成物の製造]
親水性重合体微粒子(A)の製造例
製造例1 親水性重合体微粒子No.1分散液の製造例
窒素導入管、玉入りコンデンサ、滴下ロート及びメカニカルスターラーを備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル200部を入れ、118℃に昇温した。次に、フラスコ内に下記モノマー、溶媒及び開始剤の混合物を5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間118℃に保持して親水性重合体微粒子No.1分散液を得た。
ブレンマーPME−4000(注3) 30部
アクリルアミド 15部
N−メチロールアクリルアミド 37部
メチレンビスアクリルアミド 3部
アクリル酸 13部
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 2部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 200部
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 1.5部
得られた分散液は乳白色の固形分20%の安定な分散液であり、樹脂粒子の粒子径は336nmであった。
(注3)ブレンマーPME−4000:BASFコーティングス ジャパン(株)社製、商品名、ポリオキシアルキレン基含有モノマー、式(6)におけるオキシエチレン基の繰り返し単位数n=9
Figure 2015174892
式(6)
製造例2 親水性重合体微粒子No.2分散液の製造例
製造例1においてモノマー、溶媒及び開始剤の混合物を下記の組成とする以外は製造例1と同様にして製造し、親水性重合体微粒子No.2分散液を得た。
ブレンマーPME−4000(注3) 22部
アクリルアミド 50部
N−メチロールアクリルアミド 10部
メチレンビスアクリルアミド 3部
アクリル酸 13部
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 2部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 200部
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 1.5部
得られた分散液は乳白色の固形分20%の安定な分散液であり、樹脂粒子の粒子径は258nmであった。
製造例3 親水性重合体微粒子No.3分散液の製造例
製造例1においてモノマー、溶媒及び開始剤の混合物を下記の組成とする以外は製造例1と同様にして製造し、親水性重合体微粒子No.3分散液を得た。
ブレンマーPME−4000(注3) 20部
アクリルアミド 62部
N−メチロールアクリルアミド 2部
メチレンビスアクリルアミド 3部
アクリル酸 13部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 200部
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 1.5部
得られた分散液は乳白色の固形分20%の安定な分散液であり、樹脂粒子の粒子径は185nmであった。
製造例4 親水性重合体微粒子No.4分散液の製造例
モノマー、溶媒及び開始剤の混合物を下記の組成とする以外は製造例1と同様にして製造し、親水性重合体微粒子No.4分散液を得た。
ブレンマーPME−4000(注3) 30部
アクリルアミド 7部
N−ブトキシメチルアクリルアミド 45部
メチレンビスアクリルアミド 3部
アクリル酸 13部
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル 2部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 200部
2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル) 1.5部
得られた分散液は乳白色の固形分20%の安定な分散液であり、樹脂粒子の粒子径は285nmであった。
ポリオキシアルキレン化合物(C)の製造
製造例5 ポリオキシアルキレン化合物C溶液の製造例
温度計、サーモスタット、還流冷却器、モノマー槽No.1とモノマー槽No.2、攪拌機、水分離器等を備えた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテル70部を仕込み、窒素気流下で110℃に加熱して保持し、
「アクリル酸10部、2−ヒドロキシエチルアクリレート10部、2−エチルヘキシルアクリレート25部、メチルメタクリレート5部、ラジカル重合開始剤t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.7部」からなる混合物をモノマー槽No.1に仕込み、ブレンマーPME−400(注3)の50質量%水溶液を100部(モノマー量で50部)と酢酸エチル5部」からなる混合物をモノマー槽No.2に仕込んだ。
モノマー槽No.1とモノマー槽No.2内のモノマー混合物を同時に、2時間かけて反応槽内に滴下した。滴下終了後、さらに同温度で0.5時間保持してから、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5部とプロピレングリコールモノメチルエーテル5部との混合物を0.5時間かけて滴下した。その後、同温度で1時間保持してから50℃まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈し固形分50%のポリオキシアルキレン化合物C溶液を得た。
なお重合中は水分離器により、系中の水分を酢酸エチルと共沸し、分離除去した。得られたポリオキシアルキレン化合物Cは、酸価78mgKOH/g、水酸基価48mgKOH/g、重量平均分子量21,000を有していた。
[プライマー塗料組成物の製造]
製造例6 チタン系水性液の製造例
テトラiso-プロポキシチタン10部とiso-プロパノール10部の混合物を30%過酸化水素水10部と、脱イオン水100部の混合物中に20℃で1時間かけて撹拌しながら滴下した。その後25℃で2時間熟成し、チタン系水性液を得た。
製造例7 アクリル樹脂溶液の製造例
窒素封入管、玉入りコンデンサー、滴下ロート及びメカニカルスターラーを備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル200部を入れ、90℃まで加熱した後、温度を90℃に保持した状態で、フラスコ内にスチレン55部、n−ブチルアクリレート5部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、N−メチルアクリルアミド20部及びアゾビスイソブチロニトリル1部の混合物を3時間かけて滴下し、滴下終了後さらに90℃に2時間保持した後、室温まで冷却してアクリル樹脂溶液を得た。
製造例8 プライマー塗料組成物の製造例
ガラス製容器に、製造例6で得たチタン系水性液を10部、1−ヒドロキシエタン
−1,1−ジホスホン酸を10部、製造例7で得たアクリル樹脂溶液を2部、メタバナジン酸アンモニウムを10部、ジルコニウムフッ化アンモニウム20部、炭酸ジルコニウムアンモニウム15部を仕込み十分に攪拌し、脱イオン水で固形分を調整して固形分20%のプライマー塗料組成物を得た。
[親水性塗料組成物の製造]
実施例1 親水性塗料組成物No.1の製造
親水性重合体微粒子No.1分散液を65.0部(固形分)、ポリアクリルアミド(注4)を20.0部(固形分)、PEG−6000(注8)を15.0部(固形分)及び没食子酸1.0部の水溶液を混合攪拌し、脱イオン水で調整して、固形分10%の親水性塗料組成物No.1を得た。
実施例2〜23 親水性塗料組成物No.2〜No.23の製造
表1〜表2に示す配合とする以外は、実施例1と同様にして、固形分10%の親水性塗料組成物No.2〜No.23を得た。
Figure 2015174892
Figure 2015174892
比較例1〜10 親水性塗料組成物No.24〜No.33の製造
表3に示す配合とする以外は、実施例1と同様にして、固形分10%の親水性塗料組成物No.24〜No.33を得た。
Figure 2015174892
(注4)ポリアクリルアミド:アルドリッチ社製、商品名、ポリアクリルアミド(B)、100mPa・秒(25℃・粘度)
(注5)ハリコート1057:ハリマ化成社製、商品名、ポリアクリルアミド(B)、5,000mPa・秒(25℃・粘度)
(注6)ポリマセット305:荒川化学社製、商品名、ポリアクリルアミド(B)、
5,500mPa・秒(25℃・粘度)
(注7)PEG−4000:三洋化成社製、商品名、重量平均分子量4,000、ポリエチレングリコール(C1)
(注8)PEG−6000:三洋化成社製、商品名、重量平均分子量6,000、ポリエチレングリコール(C1)
(注9)PEG−20000:三洋化成社製、商品名、重量平均分子量20,000、ポリエチレングリコール(C1)
(注10)ノイゲンEA−137:第一工業製薬社製、商品名、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、界面活性剤(E)、HLB=13.0
(注11)ニューコール2308:日本乳化剤社製、商品名、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、界面活性剤(E)、HLB=13.2
(注12)ノニオンE−212:日油株式会社製、商品名、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、界面活性剤(E)、HLB=13.3
(注13)ニューコール1006:日本乳化剤社製、商品名、ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル、界面活性剤(E)、HLB=13.4
(注14)ニューコール1310:日本乳化剤社製、商品名、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、界面活性剤(E)、HLB=13.7
(注15)ノニオンE−215:日油株式会社製、商品名、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、界面活性剤(E)、HLB=14.2
(注16)ショーノールBKM−262:昭和高分子社製、商品名、フェノール樹脂
(注17)サイメル325:日本サイテックインダストリーズ社製、商品名、メチルエーテル化メラミン樹脂、固形分80%
(注18)塗料安定性:各塗料組成物を100mLのガラス容器に入れ、40℃の恒温室にて1ヶ月間貯蔵し、処理組成物の状態を目視で観察し、下記基準で評価した。
◎は、相分離、沈降、凝集のいずれも確認がみられず良好である
○は、わずかに沈降がみられるが、簡単な攪拌で戻る
△は、相分離、凝集のいずれかが発生する
×は、相分離、凝集のいずれかが著しく発生する。
試験板(1)の作成
アルミニウム板(A1050、板厚0.1mm)を、アルカリ脱脂剤(日本シービーケミカル社製、商品名「ケミクリーナー561B」)を溶解した濃度2%の水溶液を使用して脱脂を行った。次いで、各親水性塗料組成物を乾燥塗膜の塗布量が0.7g/mとなるように塗布し、素材到達最高温度が220℃で10秒間焼付けして試験板(1)を得た。
試験板(2)の作成
アルミニウム板(A1050、板厚0.1mm)を、アルカリ脱脂剤(日本シービーケミカル社製、商品名「ケミクリーナー561B」)を溶解した濃度2%の水溶液を使用して脱脂を行った。次いで、製造例8で得られたプライマー塗料組成物を1.0μmとなるように塗布し、素材到達最高温度が100℃で20秒間焼付けた。
さらに、各親水性塗料組成物を乾燥塗膜の塗布量が0.7g/mとなるように塗布し、素材到達最高温度が220℃で10秒間焼付けして試験板(2)を得た。
塗膜性能試験
下記の試験条件に従って塗膜性能試験に供した。結果を表1〜表3中に併せて示す。
(注19)耐水性:
各試験板(1)を用いて、3枚重ねのガーゼに水をしみ込ませてこすった時に、素地露出までの往復回数を下記基準で評価した。
◎は、30回以上で問題なし。
○は、20回以上でかつ30回未満であり、実用の範囲である
△は、10回以上で20回未満でありやや問題がある
×は、10回未満であり著しく不十分である。
(注20)親水持続性:
各試験板(1)を用いて、揮発性プレス油AF−2C(出光興産社製)を塗布し、180℃にて5分間乾燥させた。この試験板(1)を水道水の流水(流水量は、塗板1m当り15kg/時)に120時間浸漬し、80℃で5分間乾燥したのち、塗板と水との接触角を協和化学社製CA−X150型接触角計で測定して親水性を評価した。
◎は、接触角が20度未満。
〇は、接触角が20度以上でかつ40度未満であり実用の範囲である。
△は、接触角が40度以上でかつ50度未満である
×は、接触角が50度以上。
(注21)ヒートサイクル性:
各試験板(1)を用いて、揮発性プレス油AF−2C(出光興産社製)を塗布し180℃にて5分間乾燥させた。次いで、「水道水の流水(流水量は、塗板1m当り15kg/時)に17時間浸漬−80℃で7時間の乾燥」を1サイクルとして、10サイクル繰り返した。その後の塗板と水との接触角を、協和化学社製CA−X150型接触角計で測定することによって、親水持続性を評価した。
◎は、接触角が30度未満であり、親水性が良好である
〇は、接触角が30度以上でかつ40度未満であり、実用性の範疇である
△は、接触角が40度以上でかつ50度未満であり、親水持続性が不十分である
×は、接触角が50度以上であり、親水持続性が著しく不十分である。
(注22)密着性:
各試験板(1)又は各試験板(2)を用いて、試験板の素地に達するように鋭利な刃物で塗膜に大きさ1mm×1mmのゴバン目を100個作り、その表面に粘着テープで貼着し、それを急激に剥離した後の残存したマス目数を求めて下記基準で評価した。
◎は、残存個数/全体個数=100個/100個
○は、残存個数/全体個数=90個〜99個/100個
△は、残存個数/全体個数=70個〜89個/100個
×は、残存個数/全体個数=69個以下/100個。
耐水性、親水持続性、特にヒートサイクル試験後の親水持続性に優れた熱交換器用アルミニウムフィン材を提供できる。

Claims (5)

  1. 親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)、ポリオキシアルキレン化合物(C)、並びにタンニン酸、没食子酸、アスコルビン酸及びその塩類の中から選ばれる少なくとも1種の化合物(D)を含有する親水性塗料組成物であって、親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の固形分合計100質量部に対して、親水性重合体微粒子(A)50〜86質量部、ポリアクリルアミド樹脂(B)7〜30質量部、ポリオキシアルキレン化合物(C)7〜20質量部、化合物(D)を0.1〜10質量部含有する親水性塗料組成物。
  2. 親水性重合体微粒子(A)、ポリアクリルアミド樹脂(B)及びポリオキシアルキレン化合物(C)の固形分合計100質量部に対して、非イオン性界面活性剤(E)を固形分合計量で0.1〜10質量部含有する請求項1に記載の親水性塗料組成物。
  3. 親水性重合体微粒子(A)が、ポリオキシアルキレン鎖又はポリビニルピロリドン鎖を有する重合性不飽和モノマー(a1)2〜50質量%、(メタ)アクリルアミド(a2)11〜60質量%、N−メチロール(メタ)アクリルアミド又はN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(a3)3〜65質量%、1分子中に2個以上の重合性不飽和二重結合を有する化合物(a4) 0.1〜5質量%、カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー(a5)2〜50質量%、上記(a1)、(a2)、(a3)、(a4)及び(a5)以外の、1分子中に1個の重合性不飽和基を有するその他モノマー(a6)0〜71.9質量%からなるモノマー混合物の共重合体である請求項1又は2に記載の親水性塗料組成物。
  4. プライマー塗膜を有していてもよいアルミニウム又はアルミニウム合金上に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の親水性塗料組成物を塗装し、加熱乾燥して硬化塗膜を形成する熱交換器用アルミニウムフィン材の塗膜形成方法。
  5. 請求項4に記載の塗膜形成方法により得られた熱交換器用アルミニウムフィン材。
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