JP2015173625A - 顆粒状ウスターソース類調味料及びその製造方法 - Google Patents

顆粒状ウスターソース類調味料及びその製造方法 Download PDF

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康宏 三浦
Yasuhiro Miura
康宏 三浦
細谷 康人
Yasuto Hosoya
康人 細谷
啓介 筒井
Keisuke Tsutsui
啓介 筒井
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Abstract

【課題】顆粒であることの利点を生かしつつ、液状のものよりもウスターソース類本来の風味を濃くすることができ、吸湿による顆粒同士の固着を抑制する。【解決手段】ウスターソース類と、食用油脂と、糊料、澱粉、寒天及びゼラチンからなる群より選ばれた少なくとも一種の材料とを配合したものを凍結乾燥し、次いでこれ粉砕して顆粒状にする、顆粒状ウスターソース類調味料の製造方法である。顆粒状ウスターソース類調味料に含まれる脂質の割合は、3.0〜28.0重量%の範囲にあることが好ましい。このような製造方法によって得られた顆粒状ウスターソース類調味料は、液状のものと比較した場合はもちろん、他の乾燥方法を採用した場合によりも、ウスターソース類本来の風味を濃くすることができる一方、吸湿による顆粒同士の固着が生じないため、液状のものや粉末のものにはないカリカリとした食感を得ることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、顆粒状のウスターソース類調味料及びその製造方法に関し、詳しくは、既存の料理にふりかけるだけで簡単に風味付けをすることができる新規な顆粒状ウスターソース類調味料及びその製造方法に関する。
近年の日本人の生活・趣向の多様化に伴い、食品分野においても、種々の目新しい商品が開発されている。この傾向は、長らく受け継がれてきた既存の食品の分野においても例外ではなく、これまであまり変わることのなかった食材や食品が新たな形態を装うことにより、あるいは、新たな用途に応用されることにより、再び脚光を浴びるといったことも珍しいことではない。
このような傾向の下、本発明者は、すでに我が国に定着した感のあるウスターソース類の新たな形態・用途の開発に着手した。具体的には、これまでは液状のものが主流であったウスターソース類について、顆粒状にすることにより、ウスターソース類本来の風味は維持しつつ、液状のものによっては得られないカリカリとした食感や歯応えを味わうことができる新規な調味料の開発を目指した。
なお、かかる試みは文献公知発明ではなく、また、出願人は、かかる試みについて記載した公知文献を知らないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
しかしながら、ウスターソース類を顆粒状にした場合、時間の経過とともに吸湿により顆粒同士が固着するという問題が生じた。吸湿により顆粒同士が固着すると、そもそもの目的である食感や歯応えが失われるだけでなく、粉体と比較した場合の顆粒の利点である扱い易さや利便性が失われることになる。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、顆粒であることの利点を生かしつつ、ウスターソース類本来の風味を濃くすることができ、吸湿による顆粒同士の固着を抑制することができる新規なウスターソース類調味料を提供することを目的とする。
本発明者は、原料となるウスターソース類に対し、食用油脂と、糊料や澱粉、あるいは寒天やゼラチンを加えて凍結乾燥処理し、これを粉砕することにより顆粒状にした場合は、吸湿による固着を抑制することができることを知見した。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、以下のように構成したことを特徴とする。
すなわち、本発明は、ウスターソース類と、食用油脂と、糊料、澱粉、寒天及びゼラチンからなる群より選ばれた少なくとも一種の材料とを配合したものを凍結乾燥し、次いでこれ粉砕して顆粒状にする、ことを特徴とする顆粒状ウスターソース類調味料の製造方法である。
ここで、本明細書にいう「ウスターソース類」とは、日本農林規格で定められた「ウスターソース類」、すなわち、「ウスターソース」、「中濃ソース」及び「濃厚ソース」を意味する。また、「お好みソース」、「焼きそばソース」、「たこ焼きソース」等というように使用目的を明示したものについても、これらは一般に上記のいずれかに分類されることから、ここでいう「ウスターソース類」に含まれるものとする。
また、本発明は、上記製造方法において、前記顆粒状ウスターソース類調味料中の脂質の割合が3.0〜28.0重量%の範囲にある、ことを特徴とするものである。
さらに、本発明は、上記製造方法において、凍結乾燥後、目開き1〜8mmの範囲のスクリーンを備えた粉砕機を用いて粉砕することにより顆粒状にする、ことを特徴とするものである。
さらに、本発明は、上記製造方法により製造したことを特徴とする顆粒状ウスターソース類調味料である。
本発明によれば、吸湿による顆粒同士の固着を抑制することができるため、液状のものや粉末のものによっては得られないカリカリとした食感を得ることができる。また、液状のものよりもウスターソース類本来の風味に富んでいる上、顆粒状であることから、粉末のものよりも取り扱い易く、利便性が高い。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明に係る顆粒状ウスターソース類調味料は、(1)ウスターソース類と、(2)食用油脂と、(3)糊料、澱粉、寒天及びゼラチンからなる群より選ばれた少なくとも一種の材料と、を配合したものを凍結乾燥し、次いでこれ粉砕して顆粒状にする、ことにより得られる。
(1)ウスターソース類(原料ウスターソース類)
本発明において原料として使用するウスターソース類は、特に制限はなく、種々のものを使用することができる。但し、濃縮したものを使用した場合は、固形分の量が多くなり過ぎて、後述する凍結乾燥処理を行う際に支障が生じるおそれがあるため、なるべく濃縮していないものを使用することが好ましい。
(2)食用油脂
本発明に使用する食用油脂としては、動物性油脂、植物性油脂を問わず、食用のものであれば広く使用することができる。動物性油脂としては、豚脂、牛脂等を例示することができる。また、植物性油脂としては、パーム油、オリーブ油、コーン油、ひまわり油、米油、大豆油、菜種油、サラダ油、ごま油、えごま油、綿実油、ベニバナ油、アマニ油、ピーナッツオイル、アーモンドオイル等を例示することができる。これらを単独で使用してもよいし、また、複数のものを混合して使用してもよい。
さらに、食用油脂としては、脂質100%に精製されたものだけでなく、バターのように脂質(油脂成分)以外のものを含んでいるものを用いてもよい。
本発明においては、最終製品である顆粒状ウスターソース類調味料に含まれる固形分としての脂質の割合が3.0〜28.0重量%の範囲にあることが好ましい。この脂質の割合は、3.5〜25.0重量%の範囲がより好ましく、さらに好ましくは4.0〜23.0重量%の範囲である。
かかる脂質は、必ずしも上記食用油脂に由来するものに限られるわけではなく、例えば、後記(4)に記載するその他の原材料に由来するものであってもよい。
(3)糊料、澱粉、寒天、ゼラチン
本発明においては、さらに、糊料、澱粉、寒天及びゼラチンからなる群より選ばれた少なくとも一種の材料を使用する。糊料としては、キサンタンガム、グアーガム、タマリンドシードガム、ジェランガム等のガム類を例示することができるが、増粘多糖類であれば広く使用することができる。澱粉としては、食用のものであれば、原料を問わず広く使用することができる。寒天やゼラチンについても、食用のものであれば、原料を問わず広く使用することができる。
本発明においては、これら糊料、澱粉、寒天及びゼラチンを単独で使用してもよいし、これらのうちの複数のものを使用してもよい。本発明の顆粒状ウスターソース類調味料に対するこれらの材料の配合割合は、好ましくは0.1〜30.0重量%の範囲であり、より好ましくは0.2〜25.0重量%の範囲である。より詳細にいえば、糊料の場合は、好ましくは0.1〜6.0重量%の範囲であり、より好ましくは0.2〜4.0重量%の範囲である。澱粉の場合は、好ましくは3.0〜30.0重量%の範囲であり、より好ましくは5.0〜25.0重量%の範囲である。寒天の場合は、好ましくは0.1〜8.0重量%の範囲であり、より好ましくは0.3〜6.0重量%の範囲である。ゼラチンの場合は、好ましくは0.1〜8.0重量%の範囲であり、より好ましくは0.3〜6.0重量%の範囲である。
本発明における糊料、澱粉、寒天及びゼラチンの作用機序は明確ではないが、これらの材料は、油脂成分を原料ウスターソース類中に均一に分散する作用を果たしているものと推測される。
特に、糊料を使用した場合は、比較的少量で必要な粘度を付与できるため、固形分の割合が多くなり過ぎることがなく、後述する凍結乾燥処理を行う上で支障が出るおそれがない。
(4)その他の原材料
本発明では、上記(1)〜(3)の原材料に加えて、さらに他の食材ないし食品原材料を使用することができる。例えば、風味という観点からみた場合には、調味料としての付加価値を高めるものであれば適宜使用することができる。特に、一般的なウスターソース類に原材料又は添加物として用いられているもの、例えば、食塩、砂糖類、食酢、香辛料、トマト、たまねぎ、にんじん、にんにく、セロリ等の野菜、りんご、プルーン、デーツ等の果実、さらには、それ以外の具材や、スープ、ブイヨン等を加えてもよい。
また、本発明では、さらにデキストリンを付加することもできる。但し、上記(3)の原材料に代えてデキストリンを使用することは好ましくない。上記(3)の原材料をデキストリンで代用した場合は、油脂成分を原料ウスターソース類中に均一に分散する上で固形分が多くなり過ぎ、後述する凍結乾燥処理を行う際に支障が生じるおそれがある上、味覚上もデキストリンの影響が現れてウスターソース類の風味が損なわれるからである。
本発明は、上記(1)〜(3)の原材料を均一に混合・溶解し、液状の調味料ベースを調製する。その際、加熱しながら撹拌混合することが好ましい。また、これらの原材料に水を加えることが好ましい。加水しない場合は、固形分の割合が高くなり過ぎて、後述する凍結乾燥処理を行う上で支障が生じるおそれがある。
上記(4)に記載したその他の原材料を使用する場合は、この段階で加えてもよいし、後述する予備凍結を行う前のトレーにおいて調味料ベースと合わせてもよい。
このようにして得られた液状の調味料ベースをトレーに充填して、−40℃程度に冷却して予備凍結させる。そして常法により減圧下で凍結乾燥処理を行う。これにより、ブロック状の凍結乾燥品が得られる。
次に、このブロック状の凍結乾燥品を粉砕機等で粉砕して、顆粒状にする。顆粒の大きさは特に問わないが、目開き1〜8mm程度のスクリーンを有する粉砕機を使用して粉砕した場合は、粉末状にならず、適度な大きさの顆粒が得られるので、口に入れたときにカリカリとした食感を楽しむことができる。粉砕機のスクリーンの目開きは、好ましくは2〜7mmであり、さらに好ましくは3〜5mmである。
以上の製造工程を経て得られた顆粒状ウスターソース類調味料は、長時間放置しても、吸湿による固結が生じにくく、また、ベチャっとした食感にならないため、液状ウスターソース類の代わりに料理にパラパラとふりかけるだけで簡単に風味付けをすることができる。また、液状のものや粉末のものでは得られないカリカリとした食感や歯応えを得ることができる。
特に、本発明の顆粒状ウスターソース類調味料は、凍結乾燥処理によって乾燥させているので、熱風乾燥や真空ベルト乾燥、ドラムドライ乾燥と比較して、熱による風味の劣化がなく、液状のもの以上にウスターソース類本来の風味が濃厚に出た調味料を得ることができる。また、凍結乾燥した後粉砕することによって顆粒状にしているため、スプレードライによって製造した場合のように粒度の小さい粉末状にならず、適度な大きさのものが得られるため、カリカリとした食感を味わうことができる。
さらに、本発明の顆粒状ウスターソース類調味料は、シーズニングやふりかけのように手軽にサラダやバーベキュー、おかず類等にふりかけることができるため、液状ウスターソース類の代用品として既存の用途に用いることができるだけでなく、液状のものとは異なる新規な用途(例えば、ごはんやパン、アイスクリームのトッピング等)にも使用することができる。
このように、本発明の顆粒状ウスターソース類調味料は、液状のものよりもウスターソース類本来の風味が強い上、顆粒状であることから、カリカリとした食感を楽しむことができ、さらに、粉末のものよりも取り扱い易く、利便性が高いといった利点がある。
なお、本発明の顆粒状ウスターソース類調味料は、顆粒ゆえに口中において食感を楽しむことができるものではあるが、このことは必ずしも喫食する段階で顆粒状を保っていなければならないことを意味するわけではない。必要に応じて、本発明の顆粒状ウスターソース類調味料を液体に溶解させ、液状にして使用してもよいことはもちろんである。
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《1》試験体1〜9
《1-1》試験体1〜9の調製
ウスターソース、パーム油(脂質100%)、デキストリン、キサンタンガム、及び水を、表1の試験体1〜9に記載した分量でそれぞれ混合し、加熱しながら撹拌して溶解させ、それぞれについて液状の調味料ベースを調製した。これをトレーに充填し、冷凍庫において−40℃で凍結させた。次いで、常法により減圧下で凍結乾燥させてブロック状の凍結乾燥品を得た。これを、目開き3.36mmのスクリーンを備えた粉砕機で粉砕し、顆粒状のウスターソース調味料を得た。この顆粒状ウスターソース調味料から5gずつを取り出して、それぞれを試験体1〜9とした。
Figure 2015173625
なお、表1中の「ソース調味料(顆粒)中の脂質の割合」は、顆粒状態の各ウスターソース調味料に含まれる脂質(固形分)の割合を示しており、また、「ソース調味料(顆粒)中のキサンタンガムの割合」は、顆粒状態の各ウスターソース調味料に含まれるキサンタンガムの割合を示している。
次に、このようにして得た試験体1〜9について、吸湿による固結の有無を観るために、相対湿度75%、22℃の環境下に放置して、一定時間経過ごとにその状態を観察し、固結の有無及びその程度について評価した。評価基準は表2のとおりである。
Figure 2015173625
《1-2》試験体1〜9の評価
パーム油とキサンタンガムをともに使用していない試験体1や、パーム油は使用しているがキサンタンガムを使用していない試験体2、さらには、パーム油を使用せずキサンタンガムのみ使用している試験体3は、いずれも、24時間経過後において、吸湿による固結が観察された。
他方、両者をともに含有している試験体4〜9については、24時間経過後においても、軽く振ればサラサラになり、吸湿による固結はほとんど認められなかった。
但し、パーム油の含有量が多い試験体7〜9においては、粉砕時にスクリーンの目に詰まりやすいという難点があった。
《2》試験体10〜15
《2-1》試験体10〜15の調製
上記試験体1〜9では食用油脂としてパーム油を使用したが、それに代えてバターを使用して同様な試験を行った。試験体10〜15の配合は表3のとおりである。試験体10〜15の製造方法及び手順は試験体1〜9と同様である。なお、この試験に使用したバターに含まれる脂質(固形分)の割合は83重量%であった。
Figure 2015173625
《2-2》試験体10〜15の評価
表3に示すとおり、パーム油に代えてバターを用いた場合であっても、24時間経過後において、吸湿による固結は認められなかった。
但し、バターの含有量が多い試験体14及び15では、粉砕時にスクリーンの目に詰まりやすいという難点があった。
以上のことから、食用油脂としてバターを使用した場合でも、パーム油を使用した場合と同様の結果が得られることが分かる。

Claims (4)

  1. ウスターソース類と、食用油脂と、糊料、澱粉、寒天及びゼラチンからなる群より選ばれた少なくとも一種の材料とを配合したものを凍結乾燥し、次いでこれ粉砕して顆粒状にする、ことを特徴とする顆粒状ウスターソース類調味料の製造方法。
  2. 前記顆粒状ウスターソース類調味料中の脂質の割合が3.0〜28.0重量%の範囲にある、ことを特徴とする請求項1に記載の顆粒状ウスターソース類調味料の製造方法。
  3. 凍結乾燥後、目開き1〜8mmの範囲のスクリーンを備えた粉砕機を用いて粉砕することにより顆粒状にする、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の顆粒状ウスターソース類調味料の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造したことを特徴とする顆粒状ウスターソース類調味料。
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