JP2015173068A - アルカリ蓄電池用の水酸化ニッケル水酸化ニッケルおよびアルカリ蓄電池 - Google Patents
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Abstract
Description
α型水酸化ニッケル粒子とβ型水酸化ニッケル粒子とを含有しており、
前記β型水酸化ニッケルの割合が水酸化ニッケルの総量に対して50質量%以下であることを特徴とするアルカリ蓄電池用の水酸化ニッケル。
β型水酸化ニッケル粒子の平均粒径は、α型水酸化ニッケル粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とする、[1]に記載の水酸化ニッケル。
[1]または[2]に記載の活物質を含むアルカリ蓄電池。
本発明のアルカリ蓄電池は、α型水酸化ニッケル粒子と、β型水酸化ニッケル粒子と、の混合粉体を活物質として含有するニッケル電極を正極として備えている。α型水酸化ニッケル粒子及びβ型水酸化ニッケル粒子の同定は、X線回折ピークの測定によって行うことができる。ニッケル電極は、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の材料を適宜含んでいてもよい。
本発明において、「α型水酸化ニッケル粒子」とは、当該粒子が主にα型水酸化ニッケルで構成されていることを意味するが、本発明の合成方法に従ってα型水酸化ニッケル粒子を合成した際に粒子中に付随して含まれる非晶質水酸化ニッケルやβ型水酸化ニッケル、添加金属元素、あるいは不可避の不純物等を排除する趣旨ではない。当該粒子中にはα型水酸化ニッケルが50質量%以上含まれることが好ましく、80質量%以上含まれていることがより好ましい。粒子中におけるα型水酸化ニッケルの含有比率が高いほど、反応電子数が増加するため好ましい。また、水酸化ニッケルの粒子内におけるα型水酸化ニッケルとβ型水酸化ニッケルとが混在状態の確認及びその定量は、1つの粒子に対してTEM(透過電子顕微鏡)による制限視野電子回折をおこない、焦点面に現れる逆格子点に相当する回折スポット像を解析し、面間隔、面方位等の結晶パラメータを算出することにより、確認することができる。
なお、水酸化ニッケル粒子におけるβ型水酸化ニッケルの定量は前述したのと同様であるため説明を省略する。
また、他にもα型水酸化ニッケルに3価のカチオンが含有している場合は、このカチオンの量をICP等をもちいて定量し、その量からα型水酸化ニッケルとβ型水酸化ニッケルとの質量比を計算することも可能である。
本発明に係るアルカリ蓄電池の負極には、水素吸蔵合金電極やカドミウム電極、亜鉛電極などを使用することができる。例えば、水素吸蔵電極として、Mm1.0Ni4.0Co0.7Al0.3Mn0.3組成の合金を用いることができる、ここで、Mmは、希土類元素の混合物であるミッシュメタル[ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)など]を意味する。なお、本発明は、このような水素吸蔵合金電極の使用に限定されるものではなく、任意の負極を適宜使用することができる。例えば、MmNi5合金のNiの一部を、Al、Mn、Co、Ti、Cu、Znのような元素で置換した多元素系のものや、または、TiNi系、TiFe系の合金を適用することができる。
本発明で用いるセパレータとしては、例えば、アクリル酸グラフト重合させることによって親水性を付与したポリプロピレン(PP)繊維からなる不織布を用いることができる。ただし、本発明は、これに限定されるものではなく、任意のセパレータを適宜使用することができる。例えば、ポリプロピレンを含むポリオレフィン繊維やポリアミド繊維の不織布や、これらの繊維にスルホン基などの親水性官能基を付与したものを適用することができる。
電解液の組成も特に限定されるものではない。通常使用される水酸化カリウム水溶液の他、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを単独で、またはこれら3種のうち少なくとも2種を含む水溶液を適用することができる。
NiSO4の水和物とAl2(SO4)3の水和物との混合水溶液を調製する。この際、Ni2+イオン濃度とAl3+イオン濃度の和を0.5〜2.5mol/L、好ましくは1.0〜2.0mol/Lとすることが望ましい。
また、Ni(OH)2とAl(OH)3と、を共沈させる前に、NiSO4とAl2(SO4)3の混合水溶液に対してアンモニウムイオンを含む水溶液を混合することで、Ni2+イオンをNi2+イオンのニッケルアンミン錯体に変化させておいてもよい。
NiSO4の水和物の水溶液を調製する。この際、Ni2+イオン濃度を1.0〜2.0mol/Lとすることが好ましい。この水溶液を撹拌しながら、20〜80℃好ましくは40〜60℃のアルカリ水水溶液に滴下し、Ni(OH)2を沈殿させ、沈殿を濾過洗浄し、乾燥することでβ型水酸化ニッケルを得る。ニッケル電極のタップ密度(タッピングを施した後の体積密度)を高くするため、アルカリ水溶液のpHは好ましくは10以上、特に好ましくは11〜13とする。NiSO4は任意の水溶性のニッケル塩に変えることができる。
また、Ni(OH)2を沈殿させる前にNi水溶液に対しアンモニウムイオンを含む水溶液を混合させることで、Ni2+イオンをアンミン錯体に変化させておいてもよい。
合成したα型水酸化ニッケル粒子と、β型水酸化ニッケル粒子とを、結着剤及び水とともに混合してペーストを作製する。結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの良く知られた任意の結着剤を用いることができる。この混合ペーストを集電体に塗布して乾燥させることで、本発明の混合粉体を得ることができる。
作製したニッケル電極を用いてアルカリ蓄電池を作製する方法については、特に制限はなく、当業者に知られた任意の方法を用いることができる。
NiSO4の水和物とAl2(SO4)3の水和物との混合水溶液を調製し、Ni2+イオン濃度とAl3+イオン濃度の和を1mol/Lとした。この混合水溶液を激しい撹拌下で、50℃、pHが11(NaOH水溶液によりpHを11に調整)のアルカリ水溶液に滴下し、NiとAlとを共沈させた。その後、沈殿を濾過洗浄し、得られた濾過残渣を80℃で16時間乾燥することで、平均粒径10.8μmのα型水酸化ニッケルを得た。
X線回折(リガク社製MiniFlex2、CuKα線を用い管電流15mA、加速電圧30kV、測定角度範囲5°〜85°、掃引速度4°min-1)から、2θ=10°〜12°のα相の(003)ピークを確認し、α型水酸化ニッケルが得られていることを確認した。
平均粒径測定は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(Mictrotrac社MT3000)をもちいて、粒子径の積算分布を測定し、算出した。
また、NiSO4の水和物とAl2(SO4)3の水和物との混合水溶液におけるNi2+イオンとAl3+イオンとの比率を変化させることで、Al含有量が10mol%および20mol%の水酸化ニッケルをそれぞれ作製した。
NiSO4の水和物の水溶液を調製し、Ni2+イオン濃度を1mol/Lとした。この水溶液を激しい撹拌下で、50℃、pHが11(NaOH水溶液によりpHを11に調整)のアルカリ水溶液に滴下し、Ni(を沈殿させた。その後、沈殿を濾過洗浄し、得られた濾過残渣を80℃で16時間乾燥することで平均粒径9.8μmのβ型水酸化ニッケルを得た。
X線回折(リガク社製MiniFlex2、CuKα線を用い管電流15mA、加速電圧30kV、測定角度範囲5°〜85°、掃引速度4°min-1)から、2θ=18〜22°のβ相の(001)ピークを確認し、β型水酸化ニッケルが得られていることを確認した。
平均粒径測定は、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(Mictrotrac社MT3000)をもちいて、粒子径の積算分布を測定し、算出した。
得られた水酸化ニッケルに、導電助剤として水酸化コバルトを10重量%添加した。これに、濃度が1質量%のカルボキシルメチルセルロース(CMC)水溶液とPTFEとを混合し、ニッケル電極ペーストとした。ニッケル電極ペースト中の固型分の組成は、水酸化ニッケル(α型水酸化ニッケル粒子およびβ型水酸化ニッケル粒子の混合):α−Co(OH)2:PTFE+CMC=89.5:10:0.5である。α−Co(OH)2とPTFE+CMCの量は、特に指摘する場合を除いて一定とし、水酸化ニッケル中のα型水酸化ニッケル粒子とβ型水酸化ニッケル粒子との混合割合を表1に示す割合となるように段階的に変化させて複数のペーストを作製した。
Mm1.0Ni4.0Co0.7Al0.3Mn0.3(Mmはミッシュメタル)の組成で原料を混合し、不活性雰囲気中で高周波誘導加熱により合金インゴットを作製し、1000℃で7時間熱処理した後、平均粒径50μmに粉砕し、水素吸蔵合金粉末を作製した。この粉末を、スチレンブタジエンラバー(SBR)の分散液及びメチルセルロース(MC)水溶液と混合して、水素吸蔵合金ペーストとした。厚さ45μmのFe基材に1μm厚のニッケルメッキを施した基材に、このペーストを塗布して乾燥し、原板とした。原板を45mm×65mmのサイズに裁断し、電極容量が500mAh以上の水素吸蔵合金電極(負極)を作製した。
作製した各ニッケル電極の両側に合成樹脂製のセパレータを配置し、2枚の水素吸蔵合金電極で挟み、容器にセットした。また参照電極としてHg/HgO電極を設けた。6.8mol/Lの水酸化カリウム(KOH)を含むアルカリ電解液を、電極が充分浸される程度に注ぎ、開放型のセルを作製した。ニッケル電極中のα−Co(OH)2粒子は、充放電時に電解液中での溶解を経て、アルミニウム固溶の水酸化ニッケル表面に再析出しているものと推定される。
0.1ItA(25mA)の電流でセルを15時間初期充電した。ここで、「ItA」とは、蓄電池の充放電電流の大きさを表し、電池の定格容量を表した数値の倍数に、Itと電流の単位を付けたものである。初期充電中にα−Co(OH)2粒子はCoのオキシ水酸化物に酸化されたと推定される。初期充電後に1時間休止し、0.2ItA(50mA)で正極電位が参照極の電位と等しくなるまで放電した。このサイクル充放電をを10回繰り返した。
サイクル充放電後の評価セルから、各ニッケル電極を取り出し、蒸留水で水洗し、10時間、室温で真空乾燥させた。乾燥後の各ニッケル電極から基材を除去し、得られた粉末にX線回折(リガク社製MiniFlex2、CuKα線を用い管電流15mA、加速電圧30kV、測定角度範囲5°〜85°、掃引速度4°min-1)をおこない、α型水酸化ニッケルとβ型水酸化ニッケルとの存在比を求めた。
Claims (3)
- α型水酸化ニッケル粒子とβ型水酸化ニッケル粒子とを含有しており、
前記β型水酸化ニッケルの割合が水酸化ニッケルの総量に対して50質量%以下であることを特徴とするアルカリ蓄電池用の水酸化ニッケル。 - α型水酸化ニッケル粒子の平均粒径は、β型水酸化ニッケル粒子の平均粒径よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の水酸化ニッケル。
- 請求項1または2に記載の活物質を含むアルカリ蓄電池。
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