JP2015172492A - 多孔質媒体を利用したアッセイ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高感度化・高精度化を実現させたマイクロ流路を備えたアッセイ装置を提供すること。
【解決手段】アッセイ装置(10)は、マイクロ流路(74)と、マイクロ流路(74)の先端部の付近に配置された収容空間(84)に収容された吸収紙(44)と、マイクロ流路(74)と収容空間(84)との間に配置された空間部(82)と、マイクロ流路(74)の途中でマイクロ流路(74)から分岐して収容空間(84)まで延びる側路(75)とを備える。マイクロ流路(74)の分岐部(74c)を介してマイクロ流路(74)は第1流路部(74a)と先端部を含む第2流路部(74る。とに分けられる。ラテラルフローに基づいてマイクロ流路内を移動してきた流体は、空間部を超えて吸収紙(44)と接触して吸収され、第1流路部(74a)と第2流路部(74b)とに分離され、空間部(82)により第2流路部(74b)と吸収紙(44)とに分離された後、第2流路部(74b)内に留置される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、アッセイ装置に関し、より詳しくは多孔質媒体を利用したマイクロ流体デバイスに関する。
微量の液を用いて生物学的・化学的スクリーニングを行うマイクロ流体デバイスは、一般的に高価な半導体製造装置を用いて作製され、煩雑な操作及びポンプ等の外部装置も必要とするため、費用、耐久性、使い易さが実用化の障害になっている。これに対し、多孔質媒体を用いて作製されるラテラルフローやフロースルー型の紙製アッセイデバイスは、毛細管現象により多孔質媒体内を検出対象物が移動して、対象物の有無を判読するため、煩雑な操作やポンプ等の外部装置を要さず、上記の障害が克服される。そのため、医療診断のPoint Of Care Testing(POCT)や、発展途上国等の低コストが要求される環境において強く注目されている。
これまで、親水性多孔質媒体内部に重合フォトレジスト又は硬化性ポリマーから形成された流体不浸透性バリアを設け、複雑な流路パターン及び反応を実現させる方法(特許文献1)が開示されている。
特開2010-515877公報
特許文献1では、多孔質媒体のパターン化と積層化により、複雑な流体通路を多孔質媒体上に集積化する事を実現しているが、作製時に重合フォトレジスト等の煩雑で費用のかかる操作を必要とする。また、アッセイ領域に至る流体通路が長いため、多量に試薬を要し、非特異的吸着のリスクが増大し、かつ効果判定までの時間がかかる等の問題が発生する。さらに、高感度化のための手法は明示されていない。
そもそも、殆どの紙製アッセイデバイスでは、親水性多孔質媒体上を検体が移動し、媒体上で反応・変色・発光等を行うため、透明基板で硬いマイクロ空間から成るガラスやプラスチックのデバイスに比べ、低感度で、バラつきが大きく、定量が困難という問題がある。その上、同じ親水性多孔質媒体上の流体通路に、連続して複数の液体を繰り返し流動・停止させる事は極めて困難なため、多段階のアッセイは困難で、殆どはシングルステップのみのアッセイに限定される。
従って、本発明の一つの目的は、多孔質媒体を用いつつも、汎用で確実な高感度化・高精度化を実現させた、マイクロ流路を備えたアッセイ装置を提供することにある。
本発明の別の目的は、マイクロ流路内での流体の乾燥を防止することにある。
本発明のまた別の目的は、マイクロ流路内の検体濃度を高濃度に維持することにある。
本発明の別のさらに目的は、多段階のアッセイを可能とするアッセイ装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題の解決のために鋭意検討し、マイクロ流路の途中に側路を設けることで流体がマイクロ流路の2つの流路部分に分かれ、特に下流側の第2流路内に留置される構成とすることで、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
項1.アッセイ装置であって、
先端部を有するマイクロ流路と、
マイクロ流路の先端部の付近に配置された収容空間に収容された多孔質媒体と、
前記マイクロ流路と前記収容空間との間に配置された空間部と、
マイクロ流路の途中でマイクロ流路から分岐して収容空間まで延びる側路とを備え、
前記マイクロ流路の分岐部を介してマイクロ流路は第1流路部と前記先端部を含む第2流路部とに分けられ、
ラテラルフローに基づいてマイクロ流路内を移動してきた流体が、前記第1流路部と前記第2流路部とに分離され、かつ空間部により前記第2流路部と吸収紙とに分離された後、第2流路部内に留置されるように構成されている、アッセイ装置。
項2.前記側路の底面には疎水性部材が配置される項1に記載のアッセイ装置。
項3.前記分岐部の底面の位置は第1流路部の底面の高さ及び第2流路部の底面の高さよりも低い項1又は2に記載のアッセイ装置。
項4.第2流路部内にアッセイ試薬をさらに備える項1〜3のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
項5.前記空間部が前記収容空間に向かって複数の空間部に分岐している項1〜4のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
項6.前記空間部が、前記マイクロ流路と前記収容空間との間に延びる直線状のメイン空間部と、メイン空間部から両側方に分岐してメイン空間部とは異なる前記収容空間の位置まで延びるサブ空間部とを備え、メイン空間部及びサブ空間部の流路幅は第2流路部の流路幅よりも小さく、かつサブ空間部の流路幅は前記側路の幅よりも小さい項5に記載のアッセイ装置。
項7.メイン空間部及びサブ空間部の流路幅は第2流路部の流路幅の1/2以下であり、かつサブ空間部のメイン空間部との分岐点におけるサブ空間部と多孔質媒体との間の距離は第2流路部の流路幅以下である項5又は6に記載のアッセイ装置。
項8.前記第2流路部の途中で第2流路部から突出して延びる、前記アッセイ試薬を収容するための凹部を備える項3〜7のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
項9.前記マイクロ流路における前記側路との分岐部に隣接する前記第1流路部の部分の幅が、該部分の両側の第1流路部の幅及び分岐部の幅に対して狭くなっている項1〜8のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
項10.前記流体は第1液体及び第2液体であり、
マイクロ流路から前記空間部へ移動した第1液体は前記空間部により分離されて、一方はマイクロ流路に留置され、他方は多孔質媒体に吸収され、
次に、マイクロ流路内を移動した第2液体は、マイクロ流路内に留置されていた第1液体を多孔質媒体へ押し出し、マイクロ流路における第1液体と第2の液体が交換される項1〜9のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
項11.前記空間部は親水処理されている項1〜10のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
項12.マイクロ流路の流体導入部に配置された第2の多孔質媒体をさらに備える項1〜11のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
本発明によれば、多孔質媒体を用いたアッセイ装置での試料液中の検体の測定の、汎用で確実な高感度化・高精度化が可能となる。また、第2流路内に試料液が留置されるため、検体測定箇所における試料液の乾燥も防止される。
本発明の第1実施形態のマイクロ流体デバイスの分解斜視図。 (a)図1のマイクロ流体デバイスの略断面図、(b)略平面図。 (A)−(E)第1実施形態のマイクロ流体デバイスに青インクを流した時の状態を示した写真。 本発明の第2実施形態のマイクロ流体デバイスの略平面図。 (A)−(F)第2実施形態のマイクロ流体デバイスに青インクを流した時の状態を示した写真。 (A)本発明の第3実施形態のマイクロ流体デバイスの略平面図。(B)図6(A)の点線四角で囲んだ6BCにおける略拡大平面図。(C)図6(A)の点線四角で囲んだ6BCにおける略拡大断面図。(D)図6(A)の点線四角で囲んだ6DEにおける略拡大平面図。(E)図6(A)の点線四角で囲んだ6DEにおける略拡大断面図。 (A)−(G) 第3実施形態のマイクロ流体デバイスに青インクを流した時の状態を示した写真。(H)メニスカスが低減されている様子を示す拡大写真。 本発明の第4実施形態のマイクロ流体デバイスの略平面図。 (A)−(D) 第4実施形態のマイクロ流体デバイスにリン酸緩衝液を流した時の状態を示した写真。 本発明のマイクロ流体デバイスの別の実施形態の略断面図。 (A)実施例1におけるマイクロ流体デバイスにおける試料液の移動を説明する略平面図。(B)実施例1におけるマイクロ流体デバイスの写真。(C)比較例1におけるマイクロ流体デバイスにおける試料液の移動を説明する略平面図。(D)比較例1におけるマイクロ流体デバイスの写真。 溶液交換の例を示すグラフ。横軸は時間、縦軸は蛍光強度を示す。 本発明のデバイスと、比較例のデバイス(negative control)とを比較したアッセイの5回のデータの平均を相対標準偏差で示したグラフ。左側は本発明のデバイス、右側は比較例のデバイスである。縦軸は化学発光の強度を示す。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態のアッセイ装置を、図1〜3を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「上」「下」「右」及び「左」は、各図面における「上」「下」「右」及び「左」に対応する。
本明細書において、「ラテラルフロー」とは、重力沈降が駆動力となって移動する流体の流れのことを指す。ラテラルフローに基づく流体の移動とは、重力沈降による流体の駆動力が支配的であることを指し、これは界面張力が支配的(優位)に作用する毛細管現象による流体の移動とは異なる。
本明細書において、「マイクロ流体デバイス」とは、μlオーダー、すなわち1μl以上1,000μl未満の流体で検体の検出又は測定が可能な、チャネル内で化学的又は生化学的反応を行う装置を指す。
本明細書において、「マイクロ流路」とは、μlオーダー、すなわち1μl以上1,000μl未満の流体での検体の検出又は測定を可能とするマイクロ流体デバイス中の流路空間部を指す。
本明細書において、「液体試料」とは、化学的に純粋な液体の試料のみならず、液体に気体、別の液体又は固体が溶解、分散、又は懸濁した試料も指す。
本明細書において、「検体」とは、液体試料から検出又は測定される化合物又は組成物を指し、例えば糖類(例えばグルコース)、タンパク質又はペプチド(例えば血清タンパク質、ホルモン、酵素、免疫調節因子、リンホカイン、モノカイン、サイトカイン、糖タンパク質、ワクチン抗原、抗体、成長因子、又は増殖因子である)、脂肪、アミノ酸、核酸、ステロイド、ビタミン、病原体及びその抗原、天然又は合成化学物質、汚染物質、治療目的の又は違法な薬物、並びにこれらの物質の代謝物又は抗体が含まれる。
本明細書において、「プラスチック」とは、重合しうる材料又はポリマー材料を必須成分として使用して重合又は成形したものであって、軟化温度以上に加熱すると塑性物質になるものを指す。プラスチックには、2種類以上のポリマーを組み合わせたポリマーアロイも含まれる。
本明細書において、「フィルム」とは200μm以下の厚さの膜状物を指し、「シート」はそれよりも厚いものを指す。
本明細書において、流体不浸透性部材が「軟らかい」とは、液体試料を通過させたときに液体試料の圧力で変形し得る程度の硬さであることを指す。
図1は、本発明の第1実施形態のアッセイ装置としてのマイクロ流体デバイス10の分解斜視図である。マイクロ流体デバイス10は、第1の流体不浸透性部材12と、第2の流体不浸透性部材20とを備えている。また、第2の流体不浸透性部材20は上側部材21と下側部材22の2つの部材からなる。
第1の流体不浸透性部材12及び第2の流体不浸透性部材20(上側部材21と下側部材22)は、本実施形態では、透明かつ軟らかいシート又はフィルムである。第1及び第2の流体不浸透性部材12,20の材料は、例えばプラスチックであり、好ましくは、親水性の液体試料のラテラルフロー(後述)を促進する、接触角90度以下のプラスチックである。
そのようなプラスチックとして、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリ塩化ビニール(PVC)、ポリオレフィン(PO)、ナイロン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート(PC)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ乳酸(PLA)を初めとする生分解性プラスチック若しくはその他のポリマー又はそれらの組み合わせが挙げられる。
理論に束縛されることは望まないが、プラスチックの軟らかいシート又はフィルムである第1の流体不浸透性部材12と第2の流体不浸透性部材20が対面していると、部分的に接着していても、ラテラルフローによってこれが引き剥がされて流体不浸透性部材12,20の向かい合う面に剥離帯電が生じることにより流体不浸透性部材12,20の表面に水分子が引き寄せられる。このことと、液体試料の表面張力とで、液体試料は移動速度を大きく減少されることなく流れ、ポンプ等の外部装置を使わずとも自律的なラテラルフローにより液体試料が移動できると考えられる。第1の流体不浸透性部材12と第2の流体不浸透性部材20の間には、介在部材としての接着テープ28が配置される。接着テープ28は、上下面に接着面を有し、流体不浸透性部材12,20は、互いに略平行かつ略水平になるように、接着テープ28の上下面にて接着テープ28とそれぞれ接着される。
第1の流体不浸透性部材12は基端部14及び先端部16を有し、接着テープ28は基端部29及び先端部30を有し、第2の流体不浸透性部材20は基端部23及び先端部24を有する。本実施形態では、3つの部材12,20,28はそれぞれの基端部14,23,29と先端部16,24,30とで互いに積み重ねたときに対応する形状及び寸法に構成されている。
接着テープ28の基端部29には第2の多孔質媒体、特に親水性多孔質媒体である展開紙42が嵌め込まれる開口部32が設けられ、先端部30には第1の多孔質媒体である吸収紙44が嵌め込まれる開口部34が設けられ、開口部32と開口部34とは、開口部32,34より幅狭な、直線状に延びる間隙35を介して互いに接続されている。間隙35は、途中(図1では間隙35のほぼ中間位置)で両側方の側方間隙36,37へと分岐しており、側方間隙36,37の各々は、間隙35から間隙35の長手方向に対して垂直に分岐した後、垂直に曲がり、間隙35の長手方向に平行に開口部34まで延びている。
第2の流体不浸透性部材20の、第2の流体不浸透性部材20の間隙35の分岐位置及び側方間隙36,37と対応する位置にはコの字の溝75が設けられており、溝75の底面には疎水性の接着剤、フィルム又はシート等である疎水性部材38,39(図2(b)も参照)が設けられている。マイクロ流体デバイス10の組み立て時には、疎水性部材38,39が後述の側路75(図2(a),(b)参照)の底面に配置される。
第2の流体不浸透性部材20の先端部24には吸収紙44を収容するための凹部25が設けられ、吸収紙44の厚み(高さ)が接着テープ28の高さよりも大きい時にもマイクロ流路74を水平に維持することを可能にする。また、凹部25の基端側には間隙35の幅と一致する幅の基端凹部26が設けられており、マイクロ流体デバイス10の組み立て時には、基端凹部26は後述する空間部82(図2(a)参照)を構成する。
展開紙42は、液体試料を浸透及び展開させるよう作用する。展開紙42の先端側には突出部が設けられ、該突出部が間隙35内に配置され、展開紙42に浸み込んで展開された液体試料はマイクロ流路74に誘導される。また、展開された液体試料を吸収する吸収紙44は、それを嵌め込む開口部34において、後述する空間部82(図2(a)参照)によりマイクロ流路74と隔てられた位置に設けられる。
展開紙42及び吸収紙44の材料は同じであっても異なっていてもよい。例えば、展開紙42及び吸収紙44は、液体試料が疎水性の場合、疎水性材料であることが好ましく、液体試料が親水性の場合、親水性材料であることが好ましい。展開紙42及び吸収紙44が親水性多孔質媒体の場合、例えばセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、濾紙、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル、又は布地、若しくは水を透過する親水性多孔質ポリマーのうちの1つであってよい。
展開紙42は、液体試料中の被験物質やアッセイ試薬の吸着が殆ど起こらないか全く起こらない材料から形成されていることが好ましい。なお、展開紙42がなくても、液体試料が注入口からマイクロ流路74へ流動するような形状と、親水性処理・疎水性処理が施されている状態であれば良い。このような形状とは、注入口からマイクロ流路74へ至るアッセイ装置の構造において、液体試料の流動を妨げるよう完全にマイクロ流路74へ至る空間が塞がれていない形状であることである。
また、液体試料のマイクロ流路74への流動は、主として液体試料のマイクロ流路74内での略水平方向のラテラルフローが作用するため、液体試料が展開紙42に達する前の一次側圧と、液体試料が展開紙42を通って流動した後の二次側圧の差圧が小さい事が望ましく、かかる差圧がマイクロ流路中の液体のラテラルフローが停止する未満の差圧であるよう、展開紙42が選択される必要がある。
さらに、展開紙42に浸透する液体試料の量は、注入口から導入する液体の全量よりも少ない量である必要がある。流動速度を遅くする影響を回避するため、浸透可能な液体の量が少ない展開紙42である事が望ましい。
液体試料の量は通常マイクロ単位、すなわち約1μl以上約1ml未満であり、好ましくは約1.5μl、より好ましくは約3.0μl以上であると検出感度が安定し検出が容易となる。液体試料の上限の量は、例えば通常数μl〜数百μl以下である。よって、多くの場合、一滴の液体試料でも検出が可能である。液体試料の量はマイクロ流路74の容積よりも少ないか、同じ程度でもよいが、液体試料の量がマイクロ流路74の容積よりも多い場合には、後述する空間部82(図2(a)参照)がバルブ機構として良好に機能する。
液体試料には、特には親水性の液体試料であり、これにはヒト又は動物の全血、血清、血漿、尿、糞便希釈液、唾液、又は脳脊髄液等の生体由来の液体試料が含まれる。この場合、妊娠検査、尿検査、便検査、成人病検査、アレルギー検査、感染症検査、薬物検査、又はがん検査等の用途で、液体試料中の診断上有効な検体が測定され得る。また、液体試料には、食品の懸濁液、飲用水、河川の水、土壌懸濁物等も含まれ、食品や飲用水の中の病原体を測定したり、河川の水の中や土壌中の汚染物質を測定したりすることもできる。
第1の流体不浸透性部材12、接着テープ28、及び第2の流体不浸透性部材20は、展開紙42を開口部32に配置し、吸収紙44を開口部34に配置し、かつ吸収紙44と第1の流体不浸透性部材12との間に任意選択の一対の両面接着テープ46,48を設けた状態で、互いに接続される。
図2(a)に示されるように、第1の流体不浸透性部材12と、第2の流体不浸透性部材20と、接着テープ28とにより液体試料が通過する流路72が形成される。また、第1の流体不浸透性部材12と、第2の流体不浸透性部材20と、一対の側方延在部36,38により、直線状のマイクロ流路74が区画形成され、展開紙42は、流体または液体試料の導入部としてのマイクロ流路74の基端部78及びその付近に配置される。マイクロ流路74の先端部80は、空間部82と接続し吸収紙44はマイクロ流路74の先端部80から空間部82を挟んだ位置に配置されている。本実施形態では、空間部82の断面積はマイクロ流路74の断面積よりも大きい。また、空間部82とマイクロ流路74の幅は同じであり、空間部82の高さはマイクロ流路74よりも底面の高さよりも低い。空間部82の体積は、特に限定されないが、通常0.001μl以上10,000μl以下である。また、マイクロ流路74に対する空間部82の容積比も特に限定されないが、例えば0.01以上である。
本実施形態では、流路72の構成は、右から左へ連続して、展開紙42を収容する基端部の空間、マイクロ流路74、マイクロ流路74の途中の側路75、バルブ機構としての空間部82、吸収紙44を収容する先端部の収容空間84からなり、マイクロ流体デバイス10の組み立て時には展開紙42を収容する基端部の空間と吸収紙44を収容する先端部の収容空間84はほぼ塞がれる。また、図2(b)に示されるように、マイクロ流路74は、側路75との分岐部74cにより、基端部78の側の第1流路部74aと先端部80の側の第2流路部74bとに分けられる。
本実施形態では、分岐部74cの底面と側路75の底面の高さは同じであり、分岐部74の底面c及び側路75の底面の位置は第1流路部74aの底面の高さ及び第2流路部74bの底面の高さよりも低い。
空間部82及びマイクロ流路74は、好ましくは液体試料と接する表面の親水性を高めるために親水処理される。空間部82の親水処理を特に符号83で示す。空間部82に親水処理83を施すことにより、空間部82におけるマイクロ流路74と吸収紙44との間での液体試料の分離が促進される。また、マイクロ流路74に親水処理を施し、側路75の底面に疎水性部材38,39を設けることにより、マイクロ流路74を上流から下流に流れる液体試料は凹部である分岐部74cに溜まった後、液体試料は側路75よりも親水性である第2流路部分74bに流動し、側路75に流入しにくい構成となっている。
親水処理には、液体試料中の特異的結合体が流路へ非特異的に吸着するのを防ぐブロッキング剤による処理が含まれ、これにはBlock Ace等の市販のブロッキング剤、ウシ血清アルブミン、カゼイン、スキムミルク、ゼラチン、界面活性剤、ポリビニルアルコール、グロブリン、血清(例えばウシ胎仔血清又は正常ウサギ血清)、エタノール、及びMPCポリマー等が挙げられる。かかるブロッキング剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
マイクロ流路74の高さは、例えば約15μm以上1,000μm(1mm)以下である。マイクロ流路74の幅は、例えば約100μm以上約10,000μm(1cm)以下である。マイクロ流路74の長さは、例えば約10μm以上約10cm以下である。マイクロ流路74の体積は0.1μl以上1,000μl以下、好ましくは1μl以上500μl未満である。
マイクロ流路74の第2流路部74b内には、液体試料中の検体と反応して検出可能な結果を生じさせるアッセイ試薬を備えたアッセイ領域76が設けられる。この検出可能な結果は、肉眼で観察できるものであってもよいし(例えば色の変化)、分光計又は他の測定手段でのみ検出できるものであってもよい。
アッセイ試薬は、検体との反応により呈色する鉄(III)イオン等の化学物質や呈色試薬であってもよいし、酵素、抗体、エピトープ、又は検体と反応して検出可能な結果を生じさせる任意の他の物質であってよい。アッセイ試薬は物理吸着法や化学吸着法等の周知の固定化技術によりアッセイ領域76に固定され、好ましくは第1の流体不浸透性部材12又は第2の流体不浸透性部材20、特に好ましくは第1の流体不浸透性部材12に固定され得る。また、アッセイ試薬は、検出シグナルを増幅させるために、放射性同位元素、酵素、金コロイド、ラテックス等の着色分子、色素、蛍光物質、又は発光物質等の任意の標識物質が結合されてもよい。
図2(a)に示されるように、アッセイ試薬が2種類以上存在する場合、アッセイ領域76は第1アッセイ試薬の固定位置86と、第2アッセイ試薬の固定位置88とを備え、液体試料中の検体は第2アッセイ試薬と反応し、検体と第2アッセイ試薬の複合体が移動した後、該複合体が第1アッセイ試薬と反応し、通常、第1アッセイ試薬の固定位置86で検体と第2アッセイ試薬の複合体と第1アッセイ試薬とがさらなる複合体を形成し、その複合体のシグナルが周知の方法より検出される。
検体が抗原である場合、一般に、第1アッセイ試薬は一次抗体、第2アッセイ試薬は二次抗体であり、一次抗体と二次抗体は検体の2つの異なるエピトープに結合するか、二次抗体は検体のエピトープに結合すると共に一次抗体は二次抗体に結合するかのいずれかであり、一次抗体と二次抗体のうちの少なくともいずれか一方が標識され、一次抗体は固定位置86に固定され、二次抗体は液体試料の流れに従って固定位置88から移動し、抗原、一次抗体及び二次抗体の複合体が固定位置86で検出される。検体が抗体である場合、アッセイ試薬は抗原を含み、抗原抗体反応により生じた複合体のシグナルが同様に検出される。検体が酵素の場合、アッセイ試薬を基質とし、酵素基質反応の特異性を利用して同様に検出又は測定を行うことができる。検体が基質の場合、第1アッセイ試薬を酵素とし、任意選択で第2アッセイ試薬を呈色試薬としてもよい。
任意選択で、マイクロ流路74内のアッセイ試薬が設けられた箇所より下流側(先端側)に、アッセイ領域に検体が十分な量で到達していることを確認するための対照領域が設けられてもよい。対照領域には、液体試料中の検体に結合しつつ液体試料の流れと共に移動するアッセイ試薬(例えば上記の第2アッセイ試薬)とは結合できるが、検体とは結合しない対照試薬が設けられる。対照試薬は当該技術分野で周知の任意の分子または組成物であってよい。対照試薬に、アッセイ試薬との反応が起こると色の変化等を生じる試薬を用いることで、観察者はアッセイが信頼できる状態で行われたことを確認できる。
図1に戻ると、第1の流体不浸透性部材12の上には、マイクロ流体デバイス10に丈夫さ(robustness)又は剛性(rigidity)を与えるための第1ケーシングとしてのカバー部材50が設けられ、第2の流体不浸透性部材20の下にも、マイクロ流体デバイス10の丈夫さ又は剛性を与えるための第2ケーシングとしてのベース部材51が設けられる。カバー部材50とベース部材51は、接着テープ28と同一の接着テープ又は同様な部材を用いて、流体不浸透性部材12と流体不浸透性部材20に接続される。
カバー部材50は基端部54と先端部56を備え、先端部56よりも基端側には一対の側方延在部58,60が、自身の長手方向に延び、長手方向と垂直な互いに幅方向に離間して並んで配置されている。よって、カバー部材50の長手方向の大部分には、一対の側方延在部58,60の間に、アッセイ領域76を観察するための開口部としてのスリット62が貫通形成されている。スリット62はアッセイ領域76に対応する位置にあるため、図2(b)に示されるように、本発明のマイクロ流体デバイス10にて液体試料中の検体を分析したとき、スリット62及び透明な第1の流体不浸透性部材12を介して観察者はアッセイ領域76を目視で観察できる。
カバー部材50の基端部54よりも基端側には接着テープ64が配置され、接着テープ64の上には全血から血漿成分を分離する血漿分離紙67が接着される。血漿分離紙67の上にはさらに接着テープ68が接着される。接着テープ64,68には円形の穴66,69が形成されている。この円形の穴66,69は、マイクロ流体デバイス10を組み立てた時に第1の流体不浸透性部材12の円形の穴18と整列する。全血等の液体試料を穴69を介して血漿分離紙67に適用すると、適用された液体試料は血漿分離紙67を通過して下方へ移動し、穴66及び穴18を経て展開紙42に到る。
接着テープ64,68は疎水性であり、液体試料が円形の穴66から外に漏れ広がらせないよう機能すると共に、血漿分離紙67を接着テープ64,68で挟むことにより、血漿分離紙67の密閉度が高まり、血漿分離紙67を湿潤している液体試料の乾燥を低減でき、流路72内の液体試料が揮発しにくくなる。また、接着テープ68は疎水性のため、穴69の上に置かれた液体試料が穴69の外に漏れ広がることが抑制され、再現率よく展開紙42へ流動していく事が可能となる。
カバー部材50及びベース部材51は金属、プラスチック、紙等の任意の材料から形成されてもよいが、費用低減とマイクロ流体デバイス10の製造容易性の点では、好ましくは紙、特に厚紙から形成される。色の変化により検体を検出する場合、ベース部材51を白色にすると、変色による色のコントラストをクリアに判読できる。
図1及び図2(b)に示されるように、カバー部材50と第1の流体不浸透性部材12には、これらを貫通する空気抜き穴70(70a及び70b)が形成され、アッセイ時に液体試料が流路72を基端側から先端側へ流れるときに流路72からの空気をマイクロ流体デバイス10外へ抜くように作用する。
次に、本発明の第1実施形態のマイクロ流体デバイス10の作用について図3を参照しながら説明する。
図3A〜Eは、マイクロ流体デバイス10のバルブ機構の作用を確認するための青色インク溶液を用いた実験を示す。マイクロ流路74の先端側に吸収紙44を配置し、マイクロ流路74内に、液体試料としての青色インク溶液を注入した。すると、マイクロ流路74に流入したインク溶液は、ラテラルフローにより親水処理したマイクロ流路74の中央付近の分岐部74cを流れ、側路75には殆ど又はまったく流入しない(図3A)。次に、インク溶液はラテラルフローで下流方向へ移動し(図3B)、マイクロ流路74の先端側の吸収紙44により吸引される(図3C)。インク溶液は吸収紙44によりさらに下流へ引っ張られるが、側路75から空気が供給されているため、インク溶液はマイクロ流路74の分岐部74c付近で第1流路部74aと第2流路部74bに分離し始める(図3D)。空間部82では、マイクロ流路74から移動してきたインク溶液の滴が例えば球体状等に成長しては吸収紙44と接触して破壊される。つまり、空間部82はバルブ機構として作用し、インク溶液は第2流路部74bと吸収紙44とに分離され、つまりインク溶液の一方は吸収紙44内に吸収され、もう一方はマイクロ流路74の第2流路部74b内に留置される(図3E)。なお、空間部82はこの実験ではマイクロ流路74と同じ幅かつマイクロ流路74よりも底面の高さが低く設計され、ブロッキング剤による親水処理83が施されている。
このように、マイクロ流路74から側路75を設け、マイクロ流路74と吸収紙44との間を空間部82で隔てたことにより、液体試料は第2流路部74b内に留置される。仮にインク溶液が第1流路部74aと第2流路部74bで分離しない場合、インク溶液は時間と共に入口66の側から蒸発するが、上記構成によれば液体試料は第2流路部74b内に留置されることにより乾燥の影響をうけにくくなる。また、第2流路部74bにおいてアッセイ試薬を含む液体試料の濃度を維持できるため、高精度な測定が可能となる。
このマイクロ流体デバイス10では、2種類以上の異なる溶液を流し、デバイス10内の溶液を交換することも可能である。
まず、液体試料である第1液をマイクロ流体デバイス10の入口66に適用する。すと、第1液は毛細管力により展開紙42内に浸透し、展開紙42の先端部を伝わってマイクロ流路74に流入する。第1液はマイクロ流路74内を下流に流れ、下流部に設置された吸収紙44の前のバルブ機構である空間部82により、第1液の流れは多孔質媒体44に吸収された後2つに分離され、1つは吸収紙44内に、もう1つはマイクロ流路74内に留置され、さらには側路75の作用によりマイクロ流路74内に留置された第1液体は第1流路部74bと第2流路部74bとに分離され、各々に留置される。そして、第1液は、展開紙42上(血漿分離紙67がある場合は血漿分離紙67上、展開紙42が無い場合は注入口の上面)の余剰浸透液が無くなるまで安定に流動し、第1液は全量がマイクロ流路74内に引き込まれる。
次に、アッセイに必要な試薬を含む溶液である第2液を滴下すると、再びラテラルフローにより第2液がマイクロ流路74内を移動し、予め充填されていた第1液が吸収紙44へ押し出され、第2液と溶液交換される。第2液をマイクロ流体デバイス10に適用した場合、空間部82は第2液の流れを2つに分離し、マイクロ流路74内に留置された第2液がマイクロ流路74内のほぼ全体積を満たすよう第2液をマイクロ流路74内に留置し、かつ第1液と第2液の溶液交換を実現するよう作用する。よって、ELISA法のような多段階の抗原抗体反応も容易に可能である。この場合にも、側路75の作用によりマイクロ流路74内に留置された第2液体は第1流路部74bと第2流路部74bとに分離され、各々に留置される。
なお、限定ではないが、溶液交換を確実にするためには、第2液の量をマイクロ流路74内に満たされている第1液の量と同じかそれより多くする。第2液の量がマイクロ流路74内に満たされている第1液の量よりも少ないと、第2液をマイクロ流路に流しても第1液がマイクロ流路74の先端部80で球体等の滴になって残っている第1液と第2液がうまく分離されない。或いは、先端部80で第1液からなる球体が壊れて吸収紙44に吸収されても、マイクロ流路74内に満たされている第1液の全量を確実に溶液交換する事はできない。
このように、煩雑な操作やポンプ等の外部装置を要さず、液体試料をマイクロ流路へ安定に流動させつつ、マイクロ流路での溶液交換が可能である。 なお、毛管力による流体の移動では、マイクロ流路の壁面と液体との間に働く界面張力が支配的に作用し、液体の表面張力に依って液体を引っ張り上げるように流体が移動する。流動する過程では、流体の先端部は空間に対して凹に湾曲しており、液体の表面張力は表面積を小さくするように作用するため、凹の面が平らになるように力が作用する。平らになるには流体の先端部が水平になる必要があるため、その結果、液体が流動していく。この毛管力によって液体が流動していく場合、マイクロ流路の先端部は、液体が空間に対して凸に球体を形成することはない。従って、ラテラルフローより毛管力が流体に対して支配的に作用している場合は、流体が先端部から漏出していく現象は起こらない。
次に、上記第1の実施形態の効果を説明する。
(1)マイクロ流路74から分岐した側路75と、吸収紙44の毛細管力と、バルブ機構としての空間部82とが設けられている。空間部82は、主としてラテラルフローに基づきマイクロ流路74内を移動してきた流体は、先端部80において空間部82内で滴に成長し、空間部を超えて吸収紙44と接触した滴が破壊されて多孔質媒体44に吸収される。このため、マイクロ流路内へ液体試料を「流す・止める」動作を自律的に行うことができる。また、側路75から空気が供給されるため、マイクロ流路74内の流体は分岐部74cで分離し、第2流路部74b内に留置される。よって、液体試料は乾燥の影響をうけにくくなり、第2流路部74bでの高精度な測定が可能となる。
(2)複数の液体試料を連続的に繰り返して流し、第1の液体試料を第2流路部74bに留置させた後、第2の液体試料をマイクロ流路74に流して第2の液体試料を第2流路部74bに留置させることが可能であるため、多項目の測定も高精度で行うことも可能である。
(3)分岐部74cを親水性の凹部とし、かつ側路75に疎水性部材38,39を配置しているため、側路75はマイクロ流体74及び収容空間84と気体連通して液体試料の分離を促進しつつ、側路75に液体試料が流入することは防止又は抑制される。
(4)アッセイ試薬を備えたアッセイ領域76が第2流路部74b内にあるため、第2流路部74bでの高精度な測定が可能となる。
(5)空間部82に親水処理83が施されているため、空間部82におけるマイクロ流路74と吸収紙44との間での液体試料の分離が促進される。
(6)流路72の基端部に、親水性多孔質媒体である展開紙42を設けたため、血漿分離紙67を通過した液体が、展開紙42からマイクロ流路74内へ確実な再現率で吸い込まれ、流動される。一般に、分離膜や微細流路を用いた血漿分離では、血球の凝集・目詰まりにより分離の流れが停止したり、またはポンプなどの強い圧力で溶血或は血球成分が混入するなどの問題が多発していたが、本構造の最適化を実現する事により、血漿分離紙67とソフトな圧力であるラテラルフローにより、全血から血漿成分だけをマイクロ流路74に確実な再現率で流動させる事ができる。
(7)マイクロ流路74の側壁が接着テープ28から構成されているため、マイクロ流路74の高さを一様に容易に維持できる。また、熱圧着に比べて安価で簡便にマイクロ流路74を構成できる。
(8)第1の流体不浸透性部材12及び第2の流体不浸透性部材20が透明なシート又はフィルムであるため、マイクロ流路74内のアッセイ領域76を目視で観察できる。(9)血漿分離紙67を設けたことにより全血もその場で診断できるため、疾患の早期発見、新薬の開発に対し、飛躍的な迅速化・効率化が期待できる。
(10)展開紙及び/又は前記多孔質媒体が、セルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテート、濾紙、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル、布地、及び多孔質ポリマー等であり、市販のものを安価に入手し、簡便に使用できる。
(11)市販の安価な多孔質媒体、透明フィルム又は、接着テープ、及び紙等を用いてマイクロ流体デバイス10を非常に安価かつ簡便に作製できるため、発展途上国の病院等、これまで購入出来なかった層への展開できる他、国内及び先進国OTC市場へも展開可能でき、世界中の人々の生活の質(QOL)の向上に貢献できる。
(12)マイクロ流体デバイス10の構成要素の材料が、特に第1及び第2の流体不浸透性部材12,20の材料がプラスチック、介在部材が接着テープ28、カバー部材50及びベース部材51が紙より構成されており、このようにすべて軟らかい材料であるため、鋏やカッター等でカットし、マイクロ流路74中の試料を回収できる。このため、遺伝子解析等の次フェーズの生命科学研究支援ツールとしても活用できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態のアッセイ装置を図4及び5を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と異なる点を説明し、第1実施形態と同じ構成についての説明は省略する。
図4は、本発明の第2実施形態のアッセイ装置としてのマイクロ流体デバイス10の略平面図である。第2実施形態では、マイクロ流路74の途中に側路75が一つのみ設けられている。この場合も、マイクロ流路74は、側路75との分岐部74cにより、第1流路部74aと第2流路部74bとに分けられる。分岐部74c及び側路75の底面の位置は第1流路部74aの底面の高さ及び第2流路部74bの底面の高さよりも低いが、側路75の底面に疎水性部材39が配置されているため、側路75とマイクロ流体74及び収容空間84は気体連通しているが、マイクロ流路74内を流れる液体試料は側路75に流入しにくい構成となっている。
図5A−Fは、第2実施形態のマイクロ流体デバイスに青インクを流した時の状態を示した写真である。マイクロ流体デバイスにおける青インクの挙動は図3A−Eで説明したのと同様である。
つまり、マイクロ流路74に流入したインク溶液は、ラテラルフローにより親水処理したマイクロ流路74の中央付近の分岐部74cを流れ、側路75には殆ど又はまったく流入しない(図5A)。次に、インク溶液はラテラルフローで下流方向へ移動し(図5B)、マイクロ流路74の先端側の吸収紙44により吸引される(図5C)。インク溶液は吸収紙44によりさらに下流へ引っ張られるが、側路75から空気が供給されているため、インク溶液はマイクロ流路74の分岐部74c付近で第1流路部74aと第2流路部74bに分離し始め(図5D)、さらにインク溶液が吸収紙44によりさらに下流へ引っ張られ、インク溶液は分岐部74cにおいて第1流路部74aと第2流路部74bに分離する(図5E)。空間部82では、マイクロ流路74から移動してきたインク溶液の滴が成長しては吸収紙44と接触して破壊される。つまり、空間部82はバルブ機構として作用し、インク溶液は第2流路部74bと吸収紙44とに分離され、つまりインク溶液の一方は吸収紙44内に吸収され、もう一方はマイクロ流路74の第2流路部74b内に留置される(図5F)。なお、空間部82はこの実験ではマイクロ流路74と同じ幅かつマイクロ流路74よりも底面の高さが低く設計され、ブロッキング剤による親水処理83が施されている。
このように、第2実施形態でも、マイクロ流路74から側路75を設け、マイクロ流路74と吸収紙44との間を空間部82で隔てたことにより、液体試料は第2流路部74b内に留置される。仮にインク溶液が第1流路部74aと第2流路部74bで分離しない場合、インク溶液は時間と共に入口66の側から蒸発するが、上記構成によれば液体試料は第2流路部74b内に留置されることにより乾燥の影響をうけにくくなる。また、第2流路部74bにおける液体試料の濃度を維持できるため、高精度な測定が可能となる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態のアッセイ装置を図6A〜7Hを参照しながら説明する。なお、第1及び第2実施形態と異なる点を説明し、第1及び第2実施形態と同じ構成についての説明は省略する。
図6Aは本発明の第3実施形態のマイクロ流体デバイスの略平面図、図6B及び図6Cは、それぞれ図6Aの点線四角で囲んだ6BCにおける略拡大平面図及び略拡大断面図、図6D及び6Eは、それぞれ図6Aの点線四角で囲んだ6DEにおける略拡大平面図及び略拡大断面図である。
図6A,Bを参照すると、第3の実施形態のアッセイ装置としてのマイクロ流体デバイス10では、マイクロ流路74における側路75との分岐部74cに隣接する第1流路部74cの部分に幅狭部74dが設けられており、幅狭部74dの幅eは、幅狭部74dの両側の第1流路部74aの幅a及び分岐部74cの幅aに対して狭くなっている。また、図6A,Dを参照すると、第3実施形態では、空間部82が収容空間84に向かって複数の空間部に分岐している。つまり、空間部82は、マイクロ流路74と収容空間84との間に延びる直線状のメイン空間部82aと、メイン空間部82aから両側方に分岐してメイン空間部82aとは異なる収容空間84の位置まで延びる一対のサブ空間部82bとを備える。空間部82にはブロッキング剤による親水処理83が施されている。
また図6B及びDにおいて、側路75の幅cは第1流路部74aの流路幅aよりも小さく、メイン空間部82aの流路幅b及びサブ空間部82bの流路幅dは第2流路部74bの流路幅aよりも小さく、かつサブ空間部82bの流路幅dは側路75の幅cよりも小さくなっている。また、メイン空間部82aの流路幅b及びサブ空間部82bの流路幅dは第2流路部74bの流路幅aの1/2以下であり、かつサブ空間部82bのメイン空間部82aとの分岐点におけるサブ空間部82bと吸収紙44との間の距離gは第2流路部74bの流路幅a以下である。このような構成により、第3実施形態では、液体試料をマイクロ流路74に流した時に、メニスカスの影響が殆どなく液体試料を第2流路部74bに留置させることが可能となる。これに関しては図7A−Gに参照しながら以下に説明する。
図7A−Gは、第3実施形態のマイクロ流体デバイスに青インクを流した時の状態を示した写真である。マイクロ流路74に流入したインク溶液は、ラテラルフローにより親水処理したマイクロ流路74の中央付近の分岐部74cを流れ、側路75には殆ど又はまったく流入しない(図7A)。次に、インク溶液はラテラルフローで下流方向へ移動し(図7B,C)、マイクロ流路74の先端側の吸収紙44により吸引される(図7D)。インク溶液は吸収紙44によりさらに下流へ引っ張られるが、側路75から空気が供給されているため、インク溶液はマイクロ流路74の分岐部74c付近で第1流路部74aと第2流路部74bに分離し始める(図7E)、さらに、空間部82のメイン空間部82aとサブ空間部82bのT字形の分岐部の位置でもインク溶液は第2流路部74bと吸収紙44とに分離し始める(図7F)。空間部82のT字形の分岐部では、吸収紙44側へインク溶液が引っ張られると同時に、側方から空気も供給されており、第2流路部74bのインク溶液はメニスカスの影響を殆ど受けずに第2流路部74bから滴状に広がらない状態で分離されて第2流路部74b内にとどまる(図7G,H)。このように、第3実施形態では、空間部82がバルブ機構として作用するのに加え、第2流路部74bから出るインク溶液のメニスカスを低減することが可能である。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態のアッセイ装置を図8〜9Dを参照しながら説明する。なお、第1〜3実施形態と異なる点を説明し、第1〜3実施形態と同じ構成についての説明は省略する。
第4実施形態のアッセイ装置としてのマイクロ流体デバイス10は、第2流路部74bの途中で第2流路部74bから側方に突出して延びる、アッセイ試薬を収容するための凹部79を備えている。凹部79は通常、第2流路部74bから第2流路部74bの長手方向に対して略垂直方向に延びている。また、凹部79にはアッセイ試薬が例えば水溶性ゲル等で固定される。このような構成により、第4実施形態では、アッセイ試薬を備えたアッセイ領域76が凹部79に設けられるため、測定における検体濃度を高濃度に維持することが可能となる。これに関しては図9A−Dに参照しながら以下に説明する。
図9A−Dは、第4実施形態のマイクロ流体デバイスに透明液体試料であるリン酸緩衝液を流した時の状態を示した写真である。凹部79には試薬としての青インクを混ぜた水溶性ゲルが予め配置されている。1ステップアッセイにより、透明液体試料のリン酸緩衝液と、凹部79のチャンバー内に担持された青色のメチレンブルーを含むトレハロースゲルによって、2種類の試薬が混合・流動していく様子を説明する。
ラテラルフローにより入口から流れてくる透明液体試料101は下流の吸収紙44に向かって流動し、凹部79内の水溶性ゲルと混ざる。このとき、水溶性ゲルは凹部79の中にあるため、マイクロ流路74の上流から下流に向かって連続的に流動している液の長手方向の移動の影響を殆ど受けない。したがって、透明液体試料と混ざったゲル内の試薬は下流部の吸収紙44には殆ど移動しない(図9A)。下流の吸収紙44に液が吸収された後、マイクロ流路74中の液体試料は第1流路部74aと第2流路部74bとに分離し、また第2流路部74b内に液体試料が留置され、凹部79内の水溶性ゲル内の試薬(青インク)が第2流路部74b中に拡散する(図9B)。第1流路部74a内の液は液の先端部101の図面上側への移動にて示されるように(図9B−C)、流路入口からの乾燥により液量が少なくなっていくが、第2流路部74b中では試薬(青インク)が拡散し続ける(図9C)。第1流路部74a内の液はさらに乾燥がすすみ液量が少なくなるが、第2流路部74b中の液は乾燥の影響を殆ど受けない。試薬(青インク)は第2流路部74bでほぼ均一になるまで拡散し続ける(図9D)。このように、第4実施形態では、アッセイ領域76における試薬の濃度を高濃度に維持することが可能である。
ここまで、本発明を第1〜4実施形態を例にとって説明してきたが、本発明はこれに限られず、以下のような種々の変形が可能である。
○第1〜4実施形態では、第1流路部74aの幅と第2流路部74bの幅を同じとしたが、必ずしも同じでなくてもよい。
○第1〜4の実施形態では、空間部82の底面の高さはマイクロ流路74の底面の高さよりも低くなっていたが、空間部82の底面の高さとマイクロ流路74の底面の高さが同じでもよい。空間部82の底面の高さとマイクロ流路74の底面の高さが同じ場合、空間部82の断面積をマイクロ流路74の断面積よりも大きくするために、空間部82の幅をマイクロ流路74の幅よりも大きくすることが好ましい。
○第1〜4の実施形態では、分岐部74c及び側路75の底面の位置を第1流路部74aの底面の高さ及び第2流路部74bの底面の高さよりも低くしていたが、側路75はマイクロ流体74及び収容空間84と気体連通して液体試料の分離を促進しつつ、側路75に液体試料が流入することは防止又は抑制される限り、分岐部74cの高さを第1流路部74aの底面の高さ及び第2流路部74bと同じとし、側路75の底面の位置を第1流路部74aの底面の高さ及び第2流路部74bと同じかそれより高い位置にしてもよい。
○疎水性部材38,39を構成する材料は、市販の接着剤、接着テープ、フィルム、シート等、疎水性を付与する任意の材料であってよい。
○第1及び第2の流体不浸透性部材12,20及び介在部材のうちの少なくともいずれかが、半透明又は不透明であってもよいし、プラスチック以外に、樹脂、ガラス又は金属等、流体が浸透しない他の材料から形成されてもよい。また、第1及び第2の流体不浸透性部材12,20及び介在部材の材料は同じであっても異なっていてもよい。第1及び第2の流体不浸透性部材12,20及び介在部材の材料が異なる場合、第1の流体不浸透性部材12のみが透明な材料であってもよく、又は、第1の流体不浸透性部材12のみが軟らかいシート又はフィルムであってもよい。
○第1の流体不浸透性部材12の穴18や接着テープ64の穴66の形状や寸法は、展開紙42に通じる限り、特には限定されない。
○接着テープ28を初めとする介在部材は、マイクロ流路74の高さを調節するために、複数の介在部材を上下に積み重ねてもよい。また、介在部材は一つの部材に限らず、液体試料の漏れがないよう水平方向に接続された複数の部材から構成されてもよい。また、介在部材は接着テープ28に限定されるものではなく、マイクロ流路74や空間部82からなる流体が流動する空間部を密閉することができればプラスチックやフィルムの他の部材でもよい。
○液体試料は血液に限られず、種々の液体試料中の様々な検体を検出できる。
○液体試料が血液でない場合、接着テープ68と血漿分離紙67は省略されてもよく、血漿分離紙67の代わりに、アッセイに好ましくない液体試料中の物質を除去するためのフィルタが設けられてもよい。
○展開紙42の代わりに、又は展開紙42に加えて、親水性処理を施すために、第2の多孔質媒体としての親水膜が流路72の基端部又はその付近に設けられてもよい。親水膜は、液体試料中の特異的結合体が流路へ非特異的に吸着するのを防ぐブロッキング剤を意味し、これにはBlock Ace等の市販のブロッキング剤、ウシ血清アルブミン、カゼイン、スキムミルク、ゼラチン、界面活性剤、ポリビニルアルコール、グロブリン、血清(例えばウシ胎仔血清又は正常ウサギ血清)、エタノール、及びMPCポリマー等が挙げられる。かかるブロッキング剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
○カバー部材50及び/又はベース部材51は、紙以外の多孔質媒体、プラスチック、樹脂、ガラス、又は金属から形成されてもよい。
○ベース部材51にスリットを設けてもよい。例えば、発光や蛍光測定などにより検体を検出する場合、ベース部材51に図1のスリット62のようなスリットを設け、マイクロ流体デバイスを、光などを反射する鏡面やアルミ及びステンレス製の金属平板上に置いて測定を行ってもよい。
○ベース部材51の先端部52の凹部25は、吸収紙44の厚みが接着テープ28以下の場合は省略されてもよい。
○第1の流体不浸透性部材12及び/又は第2の流体不浸透性部材20自体がマイクロ流体デバイス10の構成に十分な丈夫さ又は剛性を与えている場合、カバー部材50及び/又はベース部材51が省略されてもよい。
○第1の流体不浸透性部材12、第2の流体不浸透性部材20、接着テープ28、及びカバー部材50、ベース部材51は形状及び寸法を合わせているが、マイクロ流路74が確保される限り、例えばカバー部材50、ベース部材51の寸法を他の部材より大きくしてカバー部材50とベース部材51を互いに接続する等、各部材の形状及び寸法は適宜変更してもよい。
○流路72の空気抜きのための穴70は、吸収紙44の上又はその周辺で流路72と空気連通する箇所であればどこに設けられてもよく、あるいは穴70が設けられなくてもマイクロ流体デバイス10が作動する限り省略されてもよい。
○マイクロ流体デバイス10は図10に示すように複数の流路を備えていてもよい。例えば、マイクロ流体デバイス10は4つの流路72を備え、4つの流路72を基端で互いに合一し、隣り合う流路72と略垂直の角度をなすよう放射状に配置される。この場合、血漿分離紙67に適用された液体試料は放射状に4つのマイクロ流路74を流れ、液体試料中の検体は各マイクロ流路74のアッセイ領域76で分析又は検出され、余分な液体試料は吸収紙44で吸収される。アッセイ領域76に異なるアッセイ試薬を配置すれば、一つの液体試料で同時に最大4つの項目が分析又は検出可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されないことは言うまでもない。
本明細書中に引用されているすべての特許出願及び文献の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
実施例1 − 液体試料の移動に対するマイクロ流体デバイスの側路の影響の確認
(材料と方法)
本発明の第2実施形態のアッセイ装置と同様の一つの側路75を備えた実施例1のマイクロ流体デバイス(図11A)と、側路75を備えない直線状態のマイクロ流路74を備えた比較例1のマイクロ流体デバイス(図11C)とを作製した。マイクロ流体デバイスの構成要素の寸法及び材料は以下のものとした。作製したマイクロ流体デバイスに青インクを流し、青インクを流し終えた後の吸収紙44から青インク液の先端までの長さを経時的(5、10、15、20分後)に測定した(実施例1−図11B,比較例1−11D)。
・マイクロ流路 幅500μm、長さ5-10mm。流路高さ50μm。入口の円の直径:300μm。
側路75の位置はマイクロ流路の長手方向のほぼ中央とした。分岐部74c及び疎水性部分38,39の深さは65-300μmとした。
・第1の流体不浸透性部材10(透明フィルム)
素材:PVDC、寸法:35mm×12mm×0.01mm(縦×横×厚み)、入手先:Asahi KASEI
・第2の流体不浸透性部材20(透明フィルム)
素材:PET、寸法:35mm×12mm×0.13mm(縦×横×厚み)、入手先:EPSON
・介在部材(接着テープ) 素材:A4接着転写シート(接着層25μm、フィルム層15μm、接着層25μmが順に重ね合わされたもの)、入手先:プランド産業
・側路75の疎水性部材 素材:接着テープの粘着剤表面、寸法:20mm×0.5mm×0.2mm(縦×横×厚み)、入手先:プランド産業
・空間部82の親水処理83 素材:接着テープの粘着剤表面、寸法:10mm×12mm×0.4mm(縦×横×厚み)、入手先:プランド産業、表面処理:ブロックエース、入手先:DSファーマバイオメディカル株式会社
(結果)
表1に示すように、側路75がある実施例1では20分後でもインク液はほとんど移動せず、マイクロ流体の入口からの乾燥が防止されていることがわかった。これに対し、比較例1では時間が経つにつれてインク液が大きく移動した。
実施例2 − バルブ機構によるマイクロ流路における溶液交換の確認
(材料と方法)
マイクロ流体デバイスの仕様は実施例1のマイクロ流体デバイスのものと同様とした。バルブ機構の空間部82と側路75とを備えた第2実施形態の本発明のアッセイ装置に、緩衝液5μl(0.1 M リン酸緩衝液 pH7.4)と蛍光試薬5μl(FITC溶液 10 nM)を交互に流過させ、マイクロ流路の先端から1mmの箇所に光学プローブ(No. 4040(Spot dia. : 0.4 mm、日本板硝子株式会社)を当て、光ファイバー型蛍光検出器 (FLE1100B、日本板硝子株式会社)にて蛍光強度を測定した。
(結果)
その結果、緩衝液と蛍光試薬が交互に流れ、マイクロ流路における溶液交換が良好に行われていることが確認された(図12)。特に、溶液が交換され、蛍光強度ピークの高さが時間が経っても平坦に保たれており、溶液交換を行なっても第2流路部74bに液体試料が良好に留置されることにより蛍光試薬の濃度が第2流路部で一定に保たれ、高精度に測定されることが示された。
実施例3 − 抗体を用いたアッセイ(材料と方法)
ヒト被験者から採取した全血を液体試料として用い、血中のアディポネクチンを検出した。本発明のアッセイ装置の仕様は以下の通りとした。アッセイ装置はバルブ機構の空間部82と側路75とを備えた第2実施形態のアッセイ装置の仕様とした。
・マイクロ流路 幅500μm、長さ5-10mm。流路高さ50μm。入口の円の直径:300μm。 側路75の位置はマイクロ流路の長手方向のほぼ中央とした。分岐部74c及び疎水性部分38,39の深さは65-300μmとした。
・第1の流体不浸透性部材(透明フィルム)
素材:PVDC、寸法:35mm×12mm×0.01mm(縦×横×厚み)、入手先:Asahi KASEI
・第2の流体不浸透性部材(透明フィルム)
素材:PET、寸法:35mm×12mm×0.13mm(縦×横×厚み)、入手先:EPSON
・介在部材(接着テープ) 素材:A4接着転写シート(接着層25μm、フィルム層15μm、接着層25μmが順に重ね合わされたもの)、入手先:プランド産業
・カバー部材 素材:プロ紙(セルロース)、寸法:35mm×12mm×0.33mm(縦×横×厚み)、入手先:株式会社青柳
・ベース部材 0.33mmの厚紙を3枚積層させたもの。2枚は開口部34と同じ形態の開口部があり、厚みが0.5mm程度の吸収紙44が十分に収まる空間を備えている。3枚目は開口部34の空間が無い。素材:プロ紙(セルロース)、寸法:35mm×12mm×0.99mm(縦×横×厚み)、入手先:株式会社青柳
・血漿分離紙 寸法:5mm×5mm(縦×横)、入手先:日本ポール株式会社 吸収紙 寸法:8mm×10mm(縦×横)、入手先:日本製紙クレシア株式会社製・側路75の疎水性部材 素材:接着テープの粘着剤表面、寸法:20mm×0.5mm×0.2mm(縦×横×厚み)、入手先:プランド産業
・空間部82の親水処理83 素材:接着テープの粘着剤表面、寸法:10mm×12mm×0.4mm(縦×横×厚み)、入手先:プランド産業、表面処理:ブロックエース、入手先:DSファーマバイオメディカル株式会社
検体を認識する界面の作製方法は以下の通りとした。第1の流体不浸透性部材12はPVDCとし、第2の流体不浸透性部材20はPETとし、第2の流体不浸透性部材20の抗体を固定すべき位置にマスキングテープ(ゴム系粘着剤)を施し、4% Block Ace 溶液(pH7.4 リン酸緩衝液)を塗布後、1時間静置して乾燥させ、その後マスキングテープを剥がした。検体である血中のアディポネクチンの検出にはCirculex社製のヒト・アディポネクチンELISAキット(96 assay、CY-8050)を用い、抗体及び抗原はキットに推奨された方法で調製した。すなわち、キットに推奨された方法で調製した一次抗体溶液にトレハロース1%を混合し、1μLの液滴をマスキングテープを剥がした位置に配置し、1時間静置し、第1の流体不浸透性部材12に一次抗体を固定した。なお、抗体の量やトレハロースの濃度は、抗体の種類とマイクロ流路76の大きさによって変化する。
本発明のアッセイ装置のアッセイ領域76に、物理吸着により第2の流体不浸透性部材20の直径1mmの円形領域に一次抗体を固定して界面を調製した実施例のアッセイ装置と、直径1mmの円形領域にニトロセルロース紙を配置した比較例のアッセイ装置とで化学発光の強度を測定した。ニトロセルロース紙はWhatman社製のPROTRAN Nitrocellulose Transfer Membraneを用いた。
溶液交換の順序は以下の通りとした。まず、生理食塩水10μLで洗浄し、20ng/mlの抗原10μLと10分間反応させ、次に生理食塩水10μLで洗浄し、200倍希釈のHRP標識2次抗体溶液10μLと10分間反応させ、生理食塩水10μLで洗浄し、さらに5μLのSuperSignal West Femto(Thermo Scientific社製)発光基質溶液と 30分間反応させた。測定装置はGE Healthcare社製のImageQuant LAS4000/4010を用いた。
(結果)
その結果、本発明のアッセイ装置(Positive control)では比較例のアッセイ装置(Negative control)に比べて液体試料での発光の値が大きく、抗体反応の結果の差が有意かつシャープに得られることが確認された(図13)。
本発明の多孔質媒体を用いたアッセイ装置は、液体試料中の検体を、空間であるマイクロ流路にて測定する点で、測定の汎用で確実な高感度化・高精度化が可能となり、有用である。また、マイクロ流路の途中で側路を設けたことにより、マイクロ流路内を移動してきた流体が、第1流路部と前記第2流路部とに分離され、空間部により第2流路部と吸収紙とに分離された後、第2流路部内に留置される。このため、アッセイ試薬を含む液体試料は乾燥の影響をうけにくくなり、第2流路部74bでの高精度な測定が可能となる。
10…アッセイ装置としてのマイクロ流体デバイス、38,39・・・疎水性部材、42・・・第2の多孔質媒体としての展開紙、44…多孔質媒体としての吸収紙、74…マイクロ流路、74a・・・第1流路部、74b・・・第2流路部、74c・・・分岐部、74d・・・幅狭部、75・・・側路、79・・・凹部、80…マイクロ流路の先端部、82…空間部、82a・・・メイン空間部、82b・・・サブ空間部、83・・・親水処理、84…収容空間、a・・・第2流路部の流路幅、b・・・メイン空間部の流路幅、c・・・側路の幅、d・・・サブ空間部の流路幅、g・・・サブ空間部のメイン空間部との分岐点におけるサブ空間部と多孔質媒体との間の距離。

Claims (12)

  1. アッセイ装置であって、
    先端部を有するマイクロ流路と、
    マイクロ流路の先端部の付近に配置された収容空間に収容された多孔質媒体と、
    前記マイクロ流路と前記収容空間との間に配置された空間部と、
    マイクロ流路の途中でマイクロ流路から分岐して収容空間まで延びる側路とを備え、
    前記マイクロ流路の分岐部を介してマイクロ流路は第1流路部と前記先端部を含む第2流路部とに分けられ、
    ラテラルフローに基づいてマイクロ流路内を移動してきた流体が、前記第1流路部と前記第2流路部とに分離され、かつ空間部により前記第2流路部と吸収紙とに分離された後、第2流路部内に留置されるように構成されている、アッセイ装置。
  2. 前記側路の底面には疎水性部材が配置される請求項1に記載のアッセイ装置。
  3. 前記分岐部の底面の位置は第1流路部の底面の高さ及び第2流路部の底面の高さよりも低い請求項1又は2に記載のアッセイ装置。
  4. 第2流路部内にアッセイ試薬をさらに備える請求項1〜3のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
  5. 前記空間部が前記収容空間に向かって複数の空間部に分岐している請求項1〜4のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
  6. 前記空間部が、前記マイクロ流路と前記収容空間との間に延びる直線状のメイン空間部と、メイン空間部から両側方に分岐してメイン空間部とは異なる前記収容空間の位置まで延びるサブ空間部とを備え、メイン空間部及びサブ空間部の流路幅は第2流路部の流路幅よりも小さく、かつサブ空間部の流路幅は前記側路の幅よりも小さい請求項5に記載のアッセイ装置。
  7. メイン空間部及びサブ空間部の流路幅は第2流路部の流路幅の1/2以下であり、かつサブ空間部のメイン空間部との分岐点におけるサブ空間部と多孔質媒体との間の距離は第2流路部の流路幅以下である請求項5又は6に記載のアッセイ装置。
  8. 前記第2流路部の途中で第2流路部から突出して延びる、前記アッセイ試薬を収容するための凹部を備える請求項3〜7のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
  9. 前記マイクロ流路における前記側路との分岐部に隣接する前記第1流路部の部分の幅が、該部分の両側の第1流路部の幅及び分岐部の幅に対して狭くなっている請求項1〜8のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
  10. 前記流体は第1液体及び第2液体であり、
    マイクロ流路から前記空間部へ移動した第1液体は前記空間部により分離されて、一方はマイクロ流路に留置され、他方は多孔質媒体に吸収され、
    次に、マイクロ流路内を移動した第2液体は、マイクロ流路内に留置されていた第1液体を多孔質媒体へ押し出し、マイクロ流路における第1液体と第2の液体が交換される請求項1〜9のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
  11. 前記空間部は親水処理されている請求項1〜10のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
  12. マイクロ流路の流体導入部に配置された第2の多孔質媒体をさらに備える請求項1〜11のいずれか一項に記載のアッセイ装置。
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