JP2015172229A - 段付き環状部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】浸炭焼入れ後の内周面の寸法精度を高める段付き環状部材の製造方法を提供する。
【解決手段】本実施形態による段付き環状部材1の製造方法は、環状の厚肉部2と、厚肉部2の端面上に厚肉部と同軸に配置され、厚肉部よりも肉厚が薄い環状の薄肉部3とを備えた段付き環状部材1に対して浸炭処理を実施する工程と、浸炭処理後の段付き環状部材1を、薄肉部側3から冷却液10に浸漬させ、薄肉部3及び厚肉部2の途中までが冷却液10に浸漬し、厚肉部2の残りの部分が冷却液10に浸漬していない状態で段付き環状部材1を所定時間保持して焼入れする第1焼入れ工程と、所定時間経過後、段付き環状部材1全体を冷却液10に浸漬して焼入れする第2焼入れ工程とを含む。
【選択図】図10B

Description

本発明は、段付き環状部材の製造方法に関し、浸炭焼入れ処理を実施する段付き環状部材の製造方法に関する。
自動車や産業機械に使用される歯車等は、高い応力を繰り返し受ける。したがって、これらの部材は、耐疲労性及び耐摩耗性を求められる。これらの部材は、JIS規格のSCr420やSCM420等の機械構造用合金鋼鋼材を用いて製造される。具体的には、機械構造用合金鋼鋼材からなる部材に対して浸炭焼入れ処理を実施して表面を硬化する。この場合、部材の耐疲労性と耐摩耗性が向上する。
浸炭焼入れ処理は、次の方法で実施される。初めに、部材をオーステナイト変態温度以上まで加熱する。そして、部材表面から炭素を拡散浸透させて表面の炭素濃度を高める(浸炭処理)。その後、部材を急冷する(焼入れ処理)。これにより、部材表面にマルテンサイトが生成する。浸炭焼入れ処理により、表面硬度が高く、高靱性の部材が得られる。
しかしながら,浸炭焼入れを実施した部材には歪が生じやすい。特に、部材の形状が、歯車に代表されるような、段付き環状部材である場合、部材の内径に歪が生じる。その結果、段付き環状部材をシャフト等に嵌め合いにくくなる。
浸炭焼入れ処理より内径が均一に変化するのであれば、その寸法変化量をあらかじめ予測できる。この場合、浸炭焼入れ前の部材に対して、熱処理歪分だけあらかじめ加工することができる。しかしながら、段付き環状部材の場合、浸炭焼入れ処理により、内径の中心軸方向に偏差が生じる。この場合、内周面の軸方向にテーパが生じるため、熱処理歪分だけあらかじめ加工することは困難である。
浸炭焼入れ後、機械研削を実施して内径を均一にする方法もある。しかしながらこの場合、表面硬さや残留応力にむらが生ずやすい。
浸炭焼入れ処理後の熱処理歪を低減し、寸法精度を高める技術が、特開平5−222445号公報(特許文献1)及び特開2010−174289号公報(特許文献2)に提案されている。
特許文献1に開示された浸炭焼入れ方法では、浸炭処理された被処理部材をオーステナイト温度から当該被処理部材の内部非浸炭部のマルテンサイト変態開始温度直上に保持した第1の熱浴に浸漬した後、さらに被処理部材の浸炭部表面のマルテンサイト変態開始温度直上に保持した第2の熱浴に浸漬し、その後冷却する。
特許文献2に開示された熱処理歪み防止焼入れ方法では、熱処理歪みによる変形を防止すべく、焼入れ対象の部材において冷却が進行しやすい部位には熱伝達率低減手段を設け、及び/又は、焼入れ対象の部材において冷却が遅れる部位には熱伝達率促進手段を設けて、焼入れ対象の部材の焼入れ処理を行う。具体的には、焼入れ対象部材のうち、冷却が進行しやすい部位には、熱伝達率低減手段として断熱材を被覆する。冷却が遅れる部位には冷却促進被膜材を被覆する。
特開平5−222445号公報 特開2010−174289号公報
しかしながら、特許文献1では、第1及び第2の熱浴を準備する必要がある。熱浴はソルトバス又はメタルバスである。これらの熱浴は人体に好ましくない。さらに、熱浴を用いた場合、段付き環状部材を洗浄しなければならない。
特許文献2では、焼入れを実施する前に、断熱材や冷却促進被膜材を対応する部位に被覆しなければならない。
本発明の目的は、浸炭焼入れ後の内周面の寸法精度を高める段付き環状部材の製造方法を提供することである。
本発明による段付き環状部材の製造方法は、環状の厚肉部と、厚肉部の端面上に厚肉部と同軸に配置され、厚肉部よりも肉厚が薄い環状の薄肉部とを備えた段付き環状部材に対して浸炭処理を実施する工程と、浸炭処理後の段付き環状部材を、薄肉部側から冷却液に浸漬させ、薄肉部及び厚肉部の途中までが冷却液に浸漬し、厚肉部の残りの部分が冷却液に浸漬していない状態で段付き環状部材を所定時間保持して焼入れする第1焼入れ工程と、所定時間経過後、段付き環状部材全体を冷却液に浸漬して焼入れする第2焼入れ工程とを含む。
本発明による段付き環状部材の製造方法では、第1焼入れ工程で薄肉部及び厚肉部の一部を焼入れし、その後、第2焼入れ工程で段付き環状部材全体を焼入れする。これにより、焼入れ後の歪みのばらつきを低減でき、内周面の寸法精度が高まる。
好ましくは、第1焼入れ工程では、厚肉部の高さ中央よりも薄肉部側の任意の位置まで冷却液に浸漬した状態で、段付き環状部材を保持する、製造方法。
この場合、内周面の寸法精度がさらに高まる。
図1は、任意の合金元素における鋼材の等温変態曲線を示す図である。 図2は、Ac3点以上まで加熱した後、急速冷却した結果、主にマルテンサイト変態が発生した場合の温度と歪の関係を示す図である。 図3は、Ac3点以上まで加熱した後、冷却時に一定の応力を負荷した場合の温度と歪との関係を示す図である。 図4Aは、本実施形態の段付き環状部材の斜視図である。 図4Bは、焼入れ後の段付き環状部材の内径の偏差を説明するための模式図である。 図4Cは、図4Bと異なる、焼入れ後の段付き環状部材の内径の偏差を説明するための他の模式図である。 図5は、浸炭焼入れ処理のシミュレーションに用いた二次元軸対称モデルの模式図である。 図6は、浸炭焼入れシミュレーションのヒートパターンを示す図である。 図7は、浸炭焼入れシミュレーションにより得られた、焼入れ後の段付き金属間の内径を示す図である。 図8は、段付き環状部材全体を均一に冷却した浸炭焼入れ後の段付き環状部材の断面における塑性歪と変態塑性歪との和の分布を示す図である。 図9Aは、段付き環状部材の厚肉部の内部における温度、応力、塑性歪、変態塑性歪の履歴を示す図である。 図9Bは、段付き環状部材の薄肉部の内部における温度、応力、塑性歪、変態塑性歪の履歴を示す図である。 図10Aは、本発明による段付き環状部材の製造工程中における焼入れ処理の準備工程を示す図である。 図10Bは、本発明による段付き環状部材の製造工程中における焼入れ処理の第1焼入れ工程を示す図である。 図10Cは、本発明による段付き環状部材の製造工程中における焼入れ処理の第2焼入れ工程を示す図である。 図11は、実施例で得られた各試験番号の段付き環状部材での内径差を示す図である。 図12は、本発明例と、従来法とでの、焼入れ後の塑性歪と変態塑性歪との和の分布を示す図である。 図13は、本発明例と、従来法とでの、冷却中の、薄肉部における引張応力が最も大きい時刻における引張応力の分布を示す図である。 図14は、本発明例と、従来法とでの、冷却中の、厚肉部における引張応力が最も大きい時刻における引張応力の分布を示す図である。 図15は、本発明例と、従来法とでの、冷却中の、厚肉部における圧縮塑性歪が最も大きい時刻における圧縮塑性歪を示す図である。 図16は、段付き環状部材の断面における焼入れ後の硬さ分布を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
本発明者らは、浸炭焼入れ後の段付き環状部材の内部に生じる応力、塑性歪、変態塑性歪の履歴を、有限要素法を用いたシミュレーションにより求めた。
初めに、熱処理シミュレーションの計算式について説明する。
[相変態について]
温度Tに保持した場合の組織Iにおける相変態開始後の時間τI、変態率ξIの関係は、次の式(1)〜式(3)で定義される。
式中のI=Fはフェライト、I=Pはパーライト、I=Bはベイナイト、I=Mはマルテンサイトを意味する。Gはオーステナイト粒度である。C、Si、Mn、Cr、Ni、Moにはそれぞれ、対応する元素の質量%が代入される。Qは拡散変態の活性化エネルギー、Rは気体定数である。
無拡散変態であるマルテンサイト変態の変態率は、式(4)で表される。
式(1)〜(4)を用いれば、任意の温度Tにおける任意の変態率ξIに達するまでの時間τIを求めることができる。したがって、ξI=0.01を変態開始線、ξI=0.99を変態終了線とすれば、図1に示すように、任意の合金元素における鋼材の等温変態曲線を予測することができる。
さらに、式(1)〜(3)を変態率で微分し、ある微小時間の間は温度が一定であると仮定して加算則を適用すれば、連続冷却変態を予測できる。
変態温度は次の式(5)〜(8)で定義される。
[熱歪について]
組織Iの密度ρIは式(9)〜式(11)に基づいて計算できる。式中のI=γはオーステナイトを意味する。
したがって,温度Tにおける組織Iの熱歪増分dεT Iは以下の式で表される。
[変態歪について]
相変態を考慮する場合、通常の熱弾塑性解析における弾性歪、塑性歪、熱歪の他に変態歪と変態塑性歪とを計算する必要がある。
図2は、Ac3点以上まで加熱した後、焼入れ(急速冷却)した結果、主にマルテンサイト変態が発生した場合の温度と歪の関係を示す図である。図2を参照して、冷却時にオーステナイトからマルテンサイトに変態すると、密度が減少し、体積が増加する。この相変態に伴う体積変化に起因する歪が変態歪である。
オーステナイトから組織Iへの温度Tにおける変態歪増分dεTRは式(13)で定義される。
[変態塑性歪について]
図3は、Ac3点以上まで加熱した後、冷却時に一定の応力を負荷した場合の温度と歪との関係を示す図である。図3を参照して、変態の進行時に応力が負荷されている場合、非弾性の歪が発生する。この歪が変態塑性歪である。変態塑性歪は、偏差応力に比例して発生する。変態塑性歪増分dεTRは以下の式で計算される。
ここで,KIは組織Iの変態塑性係数であり、Sは偏差応力である。偏差応力Sは応力から等方成分を差し引いたものであり、式(15)で定義される。
ここで、σは応力である。σijは応力のij成分である。Iは単位テンソルである。σmは静水圧応力であり、式(16)で定義される。
以上の式で定義される熱歪、変態歪、変態塑性歪の計算部分を、アプリケーションソフトであるAbaqus(商品名)のユーザサブルーチンに追加する。これにより、相変態を考慮した熱弾塑性解析が可能になる。式(1)〜(11)は炭素濃度の項を含んでいる。そのため、浸炭による炭素濃度の変化を考慮した解析ができる。
[従来の浸炭焼入れ方法における熱弾性塑性解析]
従来の段付き環状部材の浸炭焼入れ方法は次のとおりである。段付き環状部材に対して、浸炭処理を実施する。続いて、浸炭処理された段付き環状部材に対して、均熱処理を実施する。均熱処理温度は、浸炭処理温度よりも低い。均熱処理後、段付き環状部材を冷却液浴に一定速度で浸漬して段付き環状部材全体を冷却液中に浸漬する。これにより段付き環状部材を急冷する。冷却液はたとえば、水、油等である。
解析において、図4Aに示す段付き環状部材1を想定する。段付き環状部材1は、厚肉部2と薄肉部3とを含む。厚肉部2は環状であり、外周面と、端面21と端面(底面)22とを有する。厚肉部2の外径をOD2,内径をID0と定義する。
薄肉部3は、厚肉部2の端面21上に配置される。薄肉部3は厚肉部2と同軸に配置される。薄肉部3も環状であり、外周面と、端面とを有する。薄肉部3の肉厚は厚肉部2の肉厚よりも薄い。薄肉部3の外径をOD3と定義する。このとき、OD3<OD2である。一方、薄肉部3の内径は、厚肉部2の内径と同じであり、ID0である。
なお、薄肉部3及び厚肉部2の外周面には歯車用の歯が形成されていてもよい。要するに、外周面は平坦でなくてもよい。
段付き環状部材1に対して浸炭焼入れを実施した場合、段付き環状部材1の内周面がテーパ形状になる。この原因として次の事項が推定される。急冷時、段付き環状部材1の冷却速度が部位により異なる。そのため、熱収縮及び相変態のタイミングが、部位によって異なる。その結果、段付き環状部材の周方向における塑性歪及び変態塑性歪の分布が不均一になる。
図4Bを参照して、厚肉部2及び薄肉部3をそれぞれリングR2及びR3であると仮定する。リングR2は厚肉部2の高さ中央に配置され、その径はID0+(OD2−ID0)/2である。リングR3は薄肉部3の高さ中央に配置され、その径はID0+(OD3−ID0)/2である。リングR2はリングR3と同軸に配置される。
リングR2の周長をL2、リングR3の周長をL3とする。熱処理(浸炭処理及び均熱処理)後、熱処理歪により、リングR2及びリングR3にそれぞれΔε2、Δε3の永久歪が発生したと仮定する。図4Cに示すとおり、Δε3=Δε2であれば、段付き環状部材1の内周面にテーパ形状は生じない。一方、Δε3>Δε2であれば、内周面に上開きのテーパ形状が形成される。Δε3<Δε2であれば、内周面に下開きのテーパ形状が形成される。以上より、厚肉部2と薄肉部3とにおける熱処理による周方向の永久歪の差分が、段付き環状部材1の内周面にテーパ形状を形成する原因であると考えられる。
全歪は、弾性歪、塑性歪、熱歪、変態歪及び変態塑性歪の和で定義される。これらの歪のうち、熱歪は焼入れ前後で0になる。したがって、熱処理によって発生する永久歪は、塑性歪、変態歪及び変態塑性歪の和で定義される。段付き環状部材1内での組織が均一である場合、つまり、段付き環状部材1内で組織分率が大きく変化しない場合、変態歪の影響は小さい。したがって、周方向の塑性歪と周方向の変態塑性歪との和が、段付き環状部材1の内周面のテーパ形状形成に大きく関係していると考えられる。以降の説明では、特に断りがない限り、歪及び応力は、段付き環状部材1の周方向の歪、及び応力を意味する。
以上の予測に基づいて、浸炭焼入れ中の段付き環状部材1内部の応力及び歪をシミュレーションにより検証した。具体的には、図5に示す二次元軸対称モデルを準備した。図5中の数値は寸法(mm)を意味する。シミュレーションでは、図6に示す熱処理条件で、二次元軸対称モデルの段付き環状部材1を浸炭焼入れした。具体的には、浸炭処理での熱処理温度は930℃、カーボンポテンシャルCPは0.7、熱処理温度での保持時間は100分とした。浸炭処理後、均熱処理を実施した。均熱処理での熱処理温度は870℃、保持時間は65分とした。均熱処理後、油焼入れを実施した。浸炭焼入れ後(シミュレート後)の段付き環状部材1において、底面22からの高さH=5〜25mmの範囲における内径変化量の最大値と最小値との差分を、熱処理歪の指標とした。
図7は、図5の段付き環状部材全体を均一に冷却した浸炭焼入れ後の段付き環状部材の内径変化を示す図である。図7を参照して、薄肉部3(高さH=15〜30mm)の内径減少量は、厚肉部2(高さH=0〜15mm)の内径減少量よりも大きい。したがって、段付き環状部材1の内周面は、下開きのテーパ形状となる。
図8は、段付き環状部材全体を均一に冷却した浸炭焼入れ後の段付き環状部材の断面(図5に示す二次元軸対称モデル)における塑性歪と変態塑性歪との和TSの分布を示す。図中の色が濃い部分は、塑性歪と変態塑性歪との和TSが大きいことを意味する。図8を参照して、薄肉部3における和TSは、厚肉部2における和TSよりも小さい。つまり、Δε3<Δε2となり、内周面が下開きのテーパ形状になったことを意味する。
図9Aは、厚肉部2の内部(図8中の点A)における応力、塑性歪、変態塑性歪の履歴を示す図である。図9Bは、薄肉部3の内部(図8中の点B)における応力、塑性歪、変態塑性歪の履歴を示す図である。
[厚肉部2及び薄肉部3の履歴]
図9A及び図9Bを参照して、従来の浸炭焼入れでは、図9A及び図9Bのグラフ上部に記載された期間1〜期間5において、次の変形機構が現れる。
[期間1]
期間1では、段付き環状部材1(以下、単に部材という)の表層部分は、冷却液(油)との接触により温度が下がり、体積が減少する。一方、部材の内部は表層部分と比べると、あまり温度が変化しない。したがって、表層部分は、内部の拘束を受ける。そのため、表層部分には引張応力が発生し、内部には圧縮応力が発生する(図中のA)。温度が低下した部分(表層部分)は降伏応力が上昇する。そのため、温度があまり変化しておらず、降伏応力が低い内部において、塑性変形が生じ、圧縮塑性歪が発生する(図中のB)。
[期間2]
期間2では、内部においても温度が低下して体積の減少が生じる。上述のとおり、内部では圧縮塑性歪が生じて周長が減少している。そのため、先に冷却された表層部分に拘束されて、内部には引張応力が生じる(図中のC)。一方で、冷却速度の速い表層部分では圧縮応力が発生する。
[期間3]
期間3では、内部において相変態が生じる。図中において、ベイナイト変態開始点イ及びマルテンサイト変態開始点ロを示す。変態により、体積が膨張する。そのため、引張応力が減少する(図中のD)。相変態が開始した時点から変態塑性歪が発生する。このとき、内部には引張応力が負荷されている。そのため、引張方向に変態塑性歪が増加する(図中のE)。
[期間4]
期間4では、相変態がさらに進行する。相変態の進行に伴い、内部応力が負になる。つまり、圧縮応力に変わる(図中のF)。そのため、引張方向の変態塑性歪が減少し圧縮方向に変化する(図中のG)。
[期間5]
相変態の進行が停止する。このとき、変態塑性歪みはほとんど変化しない(図中のH)。そして、温度低下による熱収縮により、内部の引張応力が徐々に増加する。
以上の変形機構は、厚肉部2(図9A)及び薄肉部3(図9B)で共通である。しかしながら、厚肉部2の内部と、薄肉部3の内部とで、冷却速度は異なる。したがって、厚肉部2及び薄肉部3において、期間1〜期間5のタイミングがずれる(図9A及び図9B参照)。そのため、厚肉部2の内部と、薄肉部3の内部とで、各期間で生じる歪値及び応力値に違いが生じる。
具体的には、薄肉部3の冷却速度は、厚肉部2よりも大きい。そのため、薄肉部3では、ベイナイト発生までの期間(期間2)が短い。そのため、相変態開始時(点イ)における引張応力は小さい。この場合、相変態後に引張応力が急激に減少し、応力が負になるのが早い。以上のメカニズムにより、厚肉部2では引張塑性歪が発生するのに対し、薄肉部3では圧縮変態塑性歪となる。そのため、薄肉部3での永久歪が厚肉部2の永久歪と大きく異なり、テーパが発生する。
以上のとおり、テーパ形状(厚肉部2及び薄肉部3の永久歪の差分)は、厚肉部2及び薄肉部3の冷却速度の違いに起因する。したがって、表面を均一に冷却する従来の浸炭焼入れ方法では、テーパが発生する。
[本発明による段付き環状部材の製造方法]
そこで、本発明による段付き環状部材の製造方法では、浸炭焼入れ処理において、薄肉部3と厚肉部2との冷却工程を変更する。これにより、薄肉部3と厚肉部2との永久歪の差分を減少させ、テーパ形状の発生を抑制する。
図9A及び図9Bに示すとおり、焼入れ後の厚肉部2の変態塑性歪は引張変態塑性歪であり、薄肉部3の変態塑性歪は圧縮変態塑性歪である。厚肉部2と薄肉部3の変態塑性歪の差分を低減すれば、浸炭焼入れ後の厚肉部2及び薄肉部3の内径差を低減できる。
変態塑性歪増分は、偏差応力に比例する。そこで、冷却後に圧縮変態塑性歪が分布する薄肉部3では、相変態中の応力を引張方向に増加させ、冷却後に引張変態塑性歪が分布する厚肉部2では、相変態中の応力を圧縮方向に増加させる。この場合、厚肉部2と薄肉部3とにおける変態塑性歪の差分を小さくすることができる。
本発明の段付き環状部材1が機械構造用合金鋼鋼材を用いて製造される場合、焼入れ工程において、フェライト及びパーライトの発生は無視できるほど小さい。したがって、ベイナイト変態及びマルテンサイト変態を考慮すれば足りる。図9A及び図9Bを参照して、ベイナイトの発生とともに、変態塑性歪と応力とが、引張方向から圧縮方向へと急激に変化する。したがって、ベイナイトの発生直前における薄肉部3の引張応力を大きくし、厚肉部2の引張応力を小さくすれば、薄肉部3及び厚肉部2の変態塑性歪の差分を小さくできる。
ベイナイトの発生直前における薄肉部3の引張応力を大きくし、厚肉部2の引張応力を小さくするために、次の方法により焼入れを実施する。
図10A〜図10Cは本発明による段付き環状部材の製造工程を説明するための模式図である。
本発明による製造方法では初めに、段付き環状部材1を準備する。段付き環状部材は鍛造、熱間押出加工、切削等の機械加工等により製造される。好ましくは、段付き環状部材1の素材は、機械構造用合金鋼鋼材である。機械構造用合金鋼鋼材はたとえば、JIS規格のSCr420、SCM420等である。
準備された段付き環状部材1に対して、浸炭焼入れ処理を実施する。浸炭焼入れ処理のうち、浸炭処理及び均熱処理は周知の方法で実施すればよい。浸炭処理及び均熱処理後の段付き環状部材に対して、焼入れ処理を実施する。
焼入れ処理では、図10Aに示すとおり、段付き環状部材1のうち、薄肉部3を下方に向ける。つまり、薄肉部3を、冷却液10を貯めた浴の液面に向ける。
次に、図10Bに示すとおり、段付き環状部材1を薄肉部3から冷却液10に浸漬する。そして、厚肉部2の途中まで冷却液に浸漬させた状態で、段付き環状部材1を保持する。具体的には、薄肉部3と、薄肉部3と隣接する厚肉部2の端面21を含む厚肉部2の一部を浸漬し、厚肉部2の残りの部分を浸漬させずに所定時間保持する(第1焼入れ工程)。続いて、図10Cに示すとおり、段付き環状部材1全体を冷却液10に浸漬する(第2焼入れ工程)。
以上のとおり、2段階の焼入れを実施することにより、焼入れ後の段付き環状部材1の内周面がテーパ形状になるのを抑制できる。そのメカニズムは次のとおりである。
[焼入れ処理における厚肉部2の変形挙動]
図9Aで示したとおり、期間1において、表層部分と内部との冷却速度差によって発生した圧縮塑性歪により、厚肉部2内部の周長は減少する。そして、先に冷却され圧縮塑性歪があまり発生していない表層部分からの拘束を受け、ベイナイト発生直前において厚肉部2の内部では引張応力が発生する。
本発明による焼入れ処理の場合、第1焼入れ工程にて薄肉部3と、厚肉部2のうち、薄肉部3と隣接する部分とを先に冷却する。この場合、圧縮塑性歪が発生する時点(期間1)での厚肉部2内部の温度が従来法よりも下がる。したがって、厚肉部2内部の降伏応力が上昇する。そのため、圧縮塑性歪が従来法よりも減少する。
圧縮塑性歪が減少すれば、期間2において発生する引張応力を減少することができる。そのため、ベイナイトの発生(点イ以降)に伴う引張変態塑性歪を減少することができる。
[焼入れ処理における薄肉部3の変形挙動]
ベイナイト発生直前における薄肉部3の引張応力は、薄肉部3の表層部分と内部との冷却速度差によって発生した圧縮塑性歪によって発生する他、薄肉部3の内部と厚肉部2の内部との冷却速度差により、相対的に薄肉部の周長が短くなることによっても発生する。
本発明の第1焼入れ工程では、薄肉部3と厚肉部2との冷却速度差が従来法よりもさらに大きくなる。そのため、図9Bの期間2で発生する引張応力を従来法よりもさらに大きくすることができる。引張応力が大きくなれば、ベイナイト発生に伴う引張変態塑性歪を大きくすることができる。そのため、期間4及び期間5で発生する圧縮変態塑性歪を減少させることができる。
好ましくは、第1焼入れ工程では、厚肉部2の高さ中央よりも薄肉部3側の任意の位置まで冷却液に浸漬した状態で、段付き環状部材1を保持する。この場合、厚肉部2と薄肉部3との歪差がさらに小さくなり、内周面のテーパ形状を低減できる。
以上の製造工程により、段付き環状部材1を製造できる。焼入れ工程を2段階にすることにより(第1焼入れ工程及び第2焼入れ工程)、厚肉部2に発生する引張変態塑性歪を低減でき、薄肉部3の圧縮変態塑性歪を低減できる。そのため、厚肉部2の変態塑性歪と薄肉部3の変態塑性歪との差分が小さくなる。その結果、焼入れ後の段付き環状部材1の内周面にテーパ形状が形成されるのを抑制でき、焼入れ後の段付き環状部材1の内周面の寸法精度を高めることができる。
図5と同じ二次元軸対称モデルを用いて、本発明例の浸炭焼入れ処理のシミュレーションを実施した。段付き環状部材の素材は、JIS規格のSCr420に相当する化学組成とした。
[シミュレーション方法]
図10A〜図10Cに示すとおり、図5の段付き環状部材(厚肉部2の高さ15mm、薄肉部3の高さ15mmの段付き環状部材)を薄肉部3側から冷却液に向かって50mm/sで冷却液に浸漬させた。そして、図10Bに示すとおり、厚肉部2の途中まで浸漬した位置で段付き環状部材1を停止し、保持した(第1焼入れ工程)。
停止時の厚肉部2の底面22から冷却液の液面までの高さHは、試験番号1では15.01mm、試験番号2では14.99mm、試験番号3では12.5mm、試験番号4では10.0mm、試験番号5では7.5mm、試験番号6では5.0mm、試験番号7では2.5mmとした。
第1焼入れ工程での保持時間は5秒とした。5秒経過後、段付き環状部材を50mm/sでさらに浸漬させて、段付き環状部材全体を冷却液内に浸漬させた。以上の工程を含むシミュレーションを実施した。
[試験結果]
図11は、各試験番号1〜7及び従来法(試験番号8)での内径差を示す図である。図11を参照して、本発明例である試験番号2〜7では、試験番号1及び試験番号8と比較して、内径差が小さかった。したがって、本発明の浸炭焼入れ処理により、段付き環状部材の内周面の寸法精度が向上した。
試験番号2〜4では、第1焼入れ工程において、厚肉部2の高さ中央よりも薄肉部3側の任意の位置で、段付き環状部材1を保持した。そのため、厚肉部2の高さ中央よりも深く浸漬させた試験番号5、6及び7と比較して、内径差が小さかった。
図12〜図15は、ある時刻における、変形倍率50倍での段付き環状部材の形状を示す図である。
図12は、本発明例である試験番号3と、従来法である試験番号8とでの、焼入れ完了後の塑性歪と変態塑性歪との和の分布を示す図である。図12を参照して、本発明例では、塑性歪と変態塑性歪の和の薄肉部3における値が増加し、厚肉部2における値は減少した。その結果、本発明例では、焼入れ後の塑性歪と変態塑性歪の和が、従来法と比較して、被熱処理部材内で均一になった。そのため、薄肉部3と厚肉部2における周長変化量の差が減少し、内周面のテーパが低減された。
図13は、本発明例である試験番号3と、従来法である試験番号8とでの、冷却中の、薄肉部3における引張応力が最も大きい時刻における応力の分布を示す図である。図13を参照して、本発明例では、薄肉部3における引張応力が従来法と比較して大きくなった。そのため、薄肉部3における圧縮変態塑性歪が減少し,周長の減少が低減された。その結果、内周面のテーパが低減した。
図14及び図15は、本発明例である試験番号3と、従来法である試験番号8とでの、冷却中の、厚肉部2における引張応力が最も大きい時刻における応力の分布(図14)及び圧縮塑性歪が最も大きい時刻における圧縮塑性歪(図15)を示す図である。本発明例では、厚肉部2における引張応力及び圧縮塑性歪が従来法と比較して小さくなった。したがって、厚肉部2における引張変態塑性歪が減少し、焼入れ後の周長の増加が低減された。その結果、内周面のテーパが低減した。
図16は、(d)に示す段付き環状部材の線分ハニ、ホヘ、トチ上における焼入れ後の硬さ分布を示す図である。図16(a)〜(c)を参照して、本発明例である試験番号3の硬さ分布を実線で示し、従来法である試験番号8を破線で示す。本発明例と従来法とで、
表面部分の硬さ分布及び有効硬化深さはほぼ一致していた。
表1に、最表面における硬さ(ビッカース硬さ、HV)を示す。
表1を参照して、最表面硬さは本発明例と従来法とで違いが見られなかった。したがって、本発明例のように二段階の焼入れを実施しても、従来法と同等の硬さが得られることが確認できた。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
1 段付き環状部材
2 厚肉部
3 薄肉部

Claims (3)

  1. 環状の厚肉部と、前記厚肉部の端面上に前記厚肉部と同軸に配置され、前記厚肉部よりも肉厚が薄い環状の薄肉部とを備えた段付き環状部材に対して浸炭処理を実施する工程と、
    浸炭処理後の前記段付き環状部材を、前記薄肉部側から冷却液に浸漬させ、前記薄肉部及び前記厚肉部の途中までが前記冷却液に浸漬し、前記厚肉部の残りの部分が前記冷却液に浸漬していない状態で前記段付き環状部材を所定時間保持して焼入れする第1焼入れ工程と、
    前記所定時間経過後、前記段付き環状部材全体を前記冷却液に浸漬して焼入れする第2焼入れ工程とを含む、段付き環状部材の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法であって、
    前記第1焼入れ工程では、前記厚肉部の高さ中央よりも前記薄肉部側の任意の位置まで前記冷却液に浸漬した状態で、前記段付き環状部材を保持する、製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の製造方法であって、
    前記段付き環状部材は機械構造用合金鋼鋼材からなる、製造方法。
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