JP2015171246A - 電力変換器 - Google Patents

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雅哉 加地
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Abstract

【課題】本明細書は、昇降圧コンバータ回路のスイッチング素子が短絡故障した場合にバッテリの短絡を防止しつつインバータ回路からの出力を継続することができる電力変換器を、低コストで実現することができる技術を提供する。【解決手段】本明細書が開示する電力変換器2は、昇降圧動作を行う電圧コンバータ回路3と走行用のモータに電力を供給するインバータ回路4aを含んでいる。この電力変換器2は、インバータ回路の上アーム用の3個のスイッチング素子を収容する第1パワーカードPC1と、インバータ回路の下アーム用の3個のスイッチング素子を収容する第2パワーカードPC2と、電圧コンバータ回路の降圧用のスイッチング素子と昇圧用のスイッチング素子と昇圧用のスイッチング素子への電流を遮断する電流遮断用のスイッチング素子を収容している第3パワーカードPC3を備えている。これらパワーカードは複数の冷却器21と交互に積層されている。【選択図】図2

Description

本発明が開示する技術は、電動車両に搭載される電力変換器に関する。ここで、「電動車両」とは、走行用のモータを備えるがエンジンは備えない電気自動車のほか、走行用のモータとともにエンジンを備えるハイブリッド車及び燃料電池車を含む。
電動車両の電力変換器は、バッテリからの直流電力を交流電力に変換し走行用の三相交流モータに交流電力を供給するインバータ回路を備える。電動車両の電力変換器の中には、インバータ回路だけでなく、バッテリの電圧を昇圧してインバータ回路に供給する電圧コンバータ回路も備えるタイプがある(例えば特許文献1)。電動車両では回生電力でバッテリを充電するため、上記の電圧コンバータ回路は、バッテリの電圧を昇圧してインバータ回路に供給する昇圧動作と、インバータ回路から供給される回生電力を降圧してバッテリに供給する降圧動作を行えるようになっている。なお、特許文献1の電圧コンバータは、チョッパ型の昇降圧コンバータ回路である。
インバータ回路や電圧コンバータ回路は、多数のスイッチング素子を備える。また、走行用のモータに電力を供給する電力変換器は、扱う電流が大きいため発熱量が大きい。そのため、複数のスイッチング素子を集約して効率よく冷却するユニットが例えば特許文献2に開示されている。特許文献2ではスイッチング素子を収容した複数のパワーカードと平板状の複数の冷却器を交互に積層した積層ユニットを採用している。
特開2013−188106号公報 特開2006−210605号公報
前述したように電動車両の電力変換器は扱う電力が大きい。トランジスタには大きな電流が流れ、その負荷は大きい。そのため、トランジスタが故障する虞がある。特に、チョッパ型の昇降圧コンバータ回路は、バッテリにリアクトルとスイッチング素子が直列に接続されているため、スイッチング素子が短絡故障すると、バッテリが短絡してしまう。そのような場合、単純に電力変換器をバッテリから切り離してしまえばよいが、それではバッテリを使用した走行ができなくなってしまう。スイッチング素子が短絡故障した場合、走行性能が低下してもバッテリを使用して走行を続けれられることが望ましい。
本明細書は、チョッパ型の昇降圧コンバータ回路を含む電動車両用の電力変換器に関し、昇降圧コンバータ回路のスイッチング素子が短絡故障した場合にバッテリの短絡を防止しつつインバータ回路からの出力も継続することができる電力変換器を提供する。しかも本明細書が開示する技術は、スイッチング素子を収容した複数のパワーカードと平板状の複数の冷却器を交互に積層した積層ユニットの構造を巧みに利用し、低コストで上記した機能を実現する。
チョッパ型の昇降圧コンバータ回路は、2個のスイッチング素子の直列回路と、一端がその直列回路の中間点に接続されているリアクトルを有する。リアクトルの他端は、昇降圧コンバータ回路のバッテリ側の高電位端に繋がっている。昇降圧コンバータ回路は、直列回路の高電位側のスイッチング素子の導通と遮断を繰り返すことでインバータ回路から送られる電力を降圧する。一方、直列回路の低電位側のスイッチング素子の導通と遮断を繰り返すことでバッテリの電圧を昇圧する。本明細書が開示する技術は、この低電位側のスイッチング素子と直列に別のスイッチング素子を挿入する。以下、説明の便宜上、そのスイッチング素子を緊急遮断スイッチング素子と称する。緊急遮断スイッチング素子は、通常は導通状態(オン状態)に保持される。低電位側のスイッチング素子が短絡故障した場合、緊急遮断スイッチング素子を開放状態(オフ状態)に切り換える。そうすると、昇降圧コンバータは機能しなくなるが、バッテリとインバータ回路が直結状態となり、バッテリの電力がそのままインバータ回路へと供給される。こうして昇降圧コンバータの低電位側のスイッチング素子が短絡故障した場合にバッテリの短絡を防ぐとともに、モータに供給する電力をインバータ回路から出力できる。
先に述べたように、電力変換器は、スイッチング素子を効率よく冷却するために、スイッチング素子を収容した複数のパワーカードと平板状の複数の冷却器を交互に積層した積層ユニットが採用される。既存の積層ユニットに上記した緊急遮断スイッチング素子を組み込む場合、緊急遮断スイッチング素子を収容した新たなパワーカードを追加するのではコストが嵩む上、積層ユニットの体格も大型化する。そこで、本明細書が開示する技術は、次の構成の新しい積層ユニットを採用する。
上記した電圧コンバータ回路(昇降圧コンバータ回路)は、3個のスイッチング素子の直列回路を含むことになる。他方、3相交流モータに交流電力を供給するインバータ回路は、上アーム用の3個のスイッチング素子と、下アーム用の3個のスイッチング素子の合計6個のスイッチング素子を含む。昇降圧コンバータ回路の3個と併せて電力変換器は9個のスイッチング素子を含むことになる。そこで、本明細書が開示する技術は、一つのパワーカードに3個のスイッチング素子を収容することで、3枚のパワーカードにスイッチング素子を過不足なく収容し、上記した電圧コンバータ回路とインバータ回路を実現する。緊急遮断スイッチ用の独立したパワーカードを備える必要がないので、低コストであり、また、積層ユニットの体格もコンパクトにすることができる。さらに、パワーカードの数を多くしないことは、複数のパワーカード間を接続するバスバを短くできることになる。このことは、バスバのインダクタを小さくすることに貢献する。
本明細書が開示する新たな電力変換器の一態様は次の通りである。その電力変換器は、電気回路としては、バッテリの電力を昇圧する昇圧動作と走行用の三相交流モータが発生した回生電力を降圧する降圧動作を行うチョッパ型の電圧コンバータ回路と、電圧コンバータ回路によって昇圧された電力を交流に変換して上記三相交流モータに供給するインバータ回路を含む。その電力変換器は、ハードウエアとしては、夫々が3個のスイッチング素子を収容した第1、第2、及び、第3パワーカードと、それらのパワーカードと交互に積層されている複数の冷却器を備える。第1パワーカードには、インバータ回路の上アーム用の3個のスイッチング素子が収容される。第2パワーカードには、インバータ回路の下アーム用の3個のスイッチング素子が収容される。そして、第3パワーカードには、電圧コンバータ回路の3個のスイッチング素子が収容される。この3個のスイッチング素子は、電圧コンバータ回路の降圧用のスイッチング素子と昇圧用のスイッチング素子とその昇圧用のスイッチング素子への電流を遮断するスイッチング素子(緊急遮断スイッチング素子)である。
なお、2個の三相交流モータに電力を供給する電力変換器を実現する場合には、第2モータのインバータ回路のために、上記した第1及び第2パワーカードと同じ構造のパワーカードを積層ユニットに追加すればよい。
各パワーカードの構成の一例を概説する。上アーム用のスイッチング素子を収容する第1パワーカードは、それら3個のスイッチング素子の高電位側の電極に共通に接続している正極端子と、各スイッチング素子の低電位側の電極に個別に接続している3個の出力端子を備える。下アーム用のスイッチング素子を収容する第2パワーカードは、それら3個のスイッチング素子の低電位側の電極に共通に接続している負極端子と、各スイッチング素子の高電位側の電極に個別に接続している3個の出力端子を備える。第3パワーカードは、収容されている3個のスイッチング素子が内部で直列回路を構成し、その直列回路の高電位端と低電位端に夫々接続している正極端子と負極端子を備える。
緊急遮断スイッチング素子を含むチョッパ型の電圧コンバータ回路を概説する。説明の便宜のため、第3パワーカードの直列に接続された3個のスイッチング素子を、高電位側から、第1、第2、第3スイッチング素子と称する。第1スイッチング素子は降圧用のスイッチング素子であり、第2と第3のスイッチング素子の一方が昇圧用のスイッチング素子であり他方が上記した緊急遮断スイッチング素子である。説明の便宜のため、第2スイッチング素子を昇圧用スイッチング素子とし、第3スイッチング素子を緊急遮断スイッチング素子とする。電圧コンバータ回路は、上記の直列回路に加え、一端が第1、第2スイッチング素子の中間点に接続し、他端がバッテリ側の高電位端に接続するリアクトルも備える。なお、電力変換器のバッテリ側の低電位端とインバータ回路側の低電位端は直結しており、その線をグランド線と称する。また、電圧コンバータ回路のバッテリ側の高電位端と低電位端の間にはコンデンサが接続され、インバータ回路側の高電位端と低電位端の間にもコンデンサが接続される。前者のコンデンサをフィルタコンデンサと称し、後者のコンデンサを平滑コンデンサと称する。電力変換器はさらにコントローラを備えており、そのコントローラは、第3スイッチング素子(緊急遮断スイッチング素子)を導通状態に保持したまま、第2スイッチング素子の導通と遮断を切り換えてバッテリの電圧を昇圧する。また、コントローラは、第2スイッチング素子(昇圧用スイッチング素子)が短絡故障した場合には、第3スイッチング素子を導通状態から遮断状態に切り換える。第3スイッチング素子を遮断状態とすることで、バッテリとインバータ回路が直結状態となり、バッテリの短絡が防げるとともに、インバータ回路がモータに電力を供給し続けることができる。
なお、第3パワーカードの第2スイッチング素子と第3スイッチング素子は機能を逆にしてもよい。また、パワーカード内の全てのスイッチング素子に逆流用のダイオードが逆並列に接続されている。
本明細書が開示する技術によれば、昇降圧コンバータ回路のスイッチング素子が短絡故障した場合にバッテリの短絡を防止しつつインバータ回路からの出力を継続することができる電力変換器を、低コストで実現することができる。本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
実施例の電力変換器を備えた電動車両の電力系のブロック図である。 電力変換器に備えられる積層ユニットの斜視図である。 インバータ回路の上アームに用いられるパワーカード内部の回路配線図を含む模式的正面図である。 インバータ回路の下アームに用いられるパワーカード内部の回路配線図を含む模式的正面図である。 電圧コンバータ回路に用いられるパワーカード内部の回路配線図を含む模式的正面図である。 電圧コンバータ回路に用いられるパワーカード内部の端子板を示した模式的断面図である。 電力変換器における電圧コンバータ回路に用いられるパワーカード内部の1つの端子板を示す正面図である。 電力変換器における電圧コンバータ回路に用いられるパワーカード内部の他の端子板を示す正面図である。 電力変換器のシステム起動時のフローチャート図である。 電力変換器が実施する短絡チェック処理のフローチャート図である。
図面を参照して実施例の電力変換器2を説明する。図1に、実施例の電力変換器2を搭載する電動車両400の電力系のブロック図を示す。電動車両400は、2個の走行用モータ7a、7bを備えている。そのため、電力変換器2は、2個のインバータ回路4a、4bを備えている。なお、2個のモータ7a、7bの出力は、動力分配機構5で合成または分配され車軸6(即ち駆動輪)へ伝達される。
電力変換器2は、システムメインリレー13を介してバッテリ14と接続されている。電力変換器2は、バッテリ14の電圧を昇圧するチョッパ型の電圧コンバータ回路3と、昇圧後の直流電力を交流に変換する2セットのインバータ回路4a、4bを含んでいる。電力変換器2を介して変換された電力によりモータ7a、7bが駆動する。また、モータ7a、7bからの回生電力を電力変換器2を介してバッテリ14に蓄電することもできる。この場合、電圧コンバータ回路3は、降圧回路として動作する。つまり、モータ7a、7bからの回生電力がインバータ回路4a、4bにより直流電力に変換された後、電圧コンバータ回路3により降圧され、バッテリ14に蓄電される。
電圧コンバータ回路3の回路構成について説明する。電圧コンバータ回路3の高電位側のラインにおける出力側と入力側の間には、リアクトル12及びスイッチング素子T7が接続されている。そして、低電位側のラインは、電圧コンバータ回路3の入力側と出力側を直結している。以下、低電位側のラインをグランド線Gと称する。即ち、電圧コンバータ回路3の入力側(バッテリ14側)の低電位端と出力側(インバータ回路4a、4bの側)の低電位端を直結するラインがグランド線Gに相当する。リアクトル12の一端は、入力側(バッテリ14側)の高電位端に接続され、その他端(出力側)にはスイッチング素子T7が接続されている。また、電圧コンバータ回路3は、スイッチング素子T8、T9の直列回路を含んでいる。その直列回路の一端は、リアクトル12とスイッチング素子T7の間(リアクトル12の出力側)に接続され、他端は、グランド線Gに接続されている。つまり、電圧コンバータ回路3には、3個のスイッチング素子T7、T8、T9の直列回路が備えられており、リアクトル12がスイッチング素子T7とT8の接続点に接続されている。夫々のスイッチング素子の動作及び機能については後述する。また、リアクトル12の入力側とグランド線Gの間には、フィルタコンデンサ8が接続されている。他方、電圧コンバータ回路3のインバータ回路側の高電位端とグランド線Gの間には平滑コンデンサ9が接続されている。なお、各スイッチング素子T7、T8、T9には、逆並列にダイオードD7、D8、D9が接続されている。また、電圧コンバータ回路3の各スイッチング素子には、コントローラ15からパルス信号が送られ、各スイッチング素子のオンオフが制御される。ここで、スイッチング素子を「オン」の状態にするとは、スイッチング素子を「導通状態」にすることを示し、「オフ」の状態にするとは、スイッチング素子を「遮断状態」にすることを示す。
従来のチョッパ型の昇降圧コンバータ回路は、高電位側と低電位側に2個のスイッチング素子が有れば十分にその機能を得ることができる。本明細書で開示する電圧コンバータ回路3は、従来のチョッパ型の昇降圧コンバータ回路の低電位側のスイッチング素子と直列に別のスイッチング素子を挿入したものである。別言すれば、電圧コンバータ回路3において、スイッチング素子T9を取り除き、その取り除いた箇所を短絡すれば、従来のチョッパ型の昇降圧コンバータ回路と同様の回路構成となる。挿入された1個のスイッチング素子を後述する緊急遮断スイッチとして利用することで、電圧コンバータ回路に新しい機能を追加することができる。その新しい機能についても後述する。
インバータ回路4aの回路構成について説明する。インバータ回路4aは、三相交流モータ7aに電力を供給すべく、三相交流を出力する。それゆえ、インバータ回路4aは、2個のスイッチング素子の直列回路が3セット並列に接続された構成を有している(T1とT4、T2とT5、T3とT6)。各スイッチング素子にはダイオードが逆並列に接続されている。3セットの直列回路の高電位側がインバータ回路4aの高電位側の入力端に接続されており、3セットの直列回路の低電位側がインバータ回路4aの低電位側の入力端に接続されている。3セットの直列回路の中点から三相交流(U相、V相、W相)が出力される。
インバータ回路において、直流電力の高電位入力側からモータまでの電流経路は上アームと呼ばれており、モータから直流電力の低電位入力側までの電流経路は下アームと呼ばれている。つまり、インバータ回路4aの上アームは電圧コンバータ回路3の高電位側の出力端と接続され、インバータ回路4aの下アームは電圧コンバータ回路3のグランド線Gと接続される。図1のスイッチング素子T1、T2、T3は「上アーム」に含まれ、スイッチング素子T4、T5、T6は「下アーム」に含まれる。なお、以下では、説明の便宜のため、インバータ回路4a、4bの高電位側のラインと、電圧コンバータ回路3の出力側高電位端とを結ぶ線を高電位ラインPLと称する。反対に、インバータ回路4a、4bの低電位側のラインと、電圧コンバータ回路3のグランド線Gとを結ぶ線を低電位ラインNLと称する。
インバータ回路4bは、三相交流モータ7bに電力を供給すべく、三相交流を出力する。インバータ回路4bの回路構成は、インバータ回路4aの回路構成と同じであるため、図1では具体的な回路の図示は省略している。インバータ回路4bも、インバータ回路4aと同様に、2個のスイッチング素子の直列回路が3セット並列に接続された構成を有している。コンバータ回路4a、4bの各スイッチング素子には、電圧コンバータ回路3と同様にコントローラ15からパルス信号が送られ、各スイッチング素子のオンオフが制御される。なお、インバータ回路4a、4bの動作はよく知られている技術であるので、説明は省略する。
スイッチング素子T1からT9としては、トランジスタが利用される。本実施例では、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が用いられる。しかし、このトランジスタは、他のトランジスタ、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であってもよい。あるいは、将来的には異なるタイプのスイッチング素子が電力変換器に用いられるかもしれない。本明細書が開示する技術は、スイッチング素子のタイプに依存しない。
電圧コンバータ回路3の動作について説明する。電圧コンバータ回路3は、バッテリ14の電圧を昇圧してインバータ回路4a、4bに電力を供給する昇圧動作と、インバータ回路4a、4bから入力された直流電力を降圧してバッテリ14に電力を供給する降圧動作の双方を行うことができる。典型的なチョッパ型の昇降圧コンバータ回路は、グランド線Gとリアクトル12の間に接続されるスイッチング素子は一つである。本明細書で開示する電圧コンバータ回路3をその昇降圧コンバータ回路と同様の動作を行うようにするためには、グランド線Gとリアクトル12の間に接続されたスイッチング素子T8、T9のどちらかを常時オンの状態にする。以下の説明では、スイッチング素子T9を常時オンの状態にする。スイッチング素子T9を常時オンの状態とし、コントローラ15のパルス信号によりスイッチング素子T8のオンオフ(導通と遮断)を切り換えることにより、典型的な昇圧コンバータ回路と同様の昇圧動作をすることができる。また、スイッチング素子T7のオンオフを切り換えることにより典型的な降圧コンバータ回路の降圧動作をすることができる。つまり、スイッチング素子T8を昇圧用のスイッチング素子として利用し、スイッチング素子T7を降圧用のスイッチング素子として利用すれば、典型的な昇降圧コンバータ回路と同様の昇圧動作及び降圧動作をすることができる。その昇圧動作及び降圧動作はよく知られた技術であるので、本明細書ではその説明を省略する。なお、スイッチング素子T8、T9のどちらか一方を常時オンとし、他方のオンオフを切り換えても電圧コンバータ回路3は同様の動作をすることができることに留意されたい。また、常時オンの状態とするスイッチング素子T9のことを、説明の便宜上、以下では緊急遮断スイッチT9(あるいは、緊急遮断スイッチング素子T9)と称する場合がある。
上記の電圧コンバータ回路3の短絡故障時の動作について概説する。上記の電圧コンバータ回路3において、昇圧用のスイッチング素子T8が短絡故障した場合、そのスイッチング素子T8を介してバッテリ14が短絡してしまう。その際、緊急遮断スイッチT9をオフ(遮断状態)に切り替える。そうすると、短絡故障したスイッチング素子T8により導通状態となったリアクトル12とグランド線Gの間が遮断される。よって、バッテリ14の短絡を防止することができる。また、緊急遮断スイッチT9をオフにすると電圧コンバータ回路3は昇圧動作ができなくなる。しかし、バッテリ14とインバータ回路4a、4bが直結状態となり、バッテリ14の電力がそのままインバータ回路4a、4bへと供給される。よって、インバータ回路4a、4bからモータ7a、7bへの電力供給が継続され、電動車両400のバッテリ14を使用した走行を維持することが可能となる。なお、電圧コンバータ回路3の短絡故障時の動作アルゴリズムについては、図9、10を参照して後述する。また、緊急遮断スイッチT9にはダイオードが逆並列に接続されているが、そのダイオードは、アノードがバッテリ14の低電位端に接続しており、カソードがバッテリ14の高電位端に接続しているので電流が流れることがない。スイッチング素子T9とダイオードの逆並列回路はバッテリ14の短絡を防止するスイッチとして機能する。
実施例の電力変換器2のハードウエア構成について説明する。電動車両400に搭載される走行用モータ7a、7bに電力を供給するため、電力変換器2に備えられるスイッチング素子には大電流が流れ、その発熱量も大きい。複数のスイッチング素子を効率よく冷却するため、電力変換器2は、5個のパワーカードPC1からPC5と複数の冷却器21を交互に積層した積層ユニット200を備える。図2に積層ユニット200の模式的斜視図を示す。ここで、パワーカードとは、複数のスイッチング素子を樹脂でモールドしたパッケージである。そのパッケージには、その内部に収容されたスイッチング素子を外部の素子と接続するための端子が設けられている。なお、各端子は図1に示す回路構成となるように互いに接続されるが、図2では、その接続構造が省略されていることに留意されたい。また、リアクトル12、フィルタコンデンサ8、平滑コンデンサ9の図示が省略されていることに留意されたい。
図2に示されるように、各パワーカードはその両側を冷却器21により挟まれている。各冷却器21の内部は冷媒が通る空洞である。各冷却器21の長手方向(図中のX軸方向)の両側に孔が設けられており、隣接する冷却器21が連結管24a、24bで連結されている。積層方向の端に位置する冷却器21には冷媒供給管22と冷媒排出管23が接続されている。冷媒供給管22から供給された冷媒は、連結管24aを通じて全ての冷却器21に分配される。冷媒は、各冷却器21の内部を通過する間に隣接するパワーカードの熱を吸収し、他方の連結管24bを通じて冷媒排出管23へと送られる。なお、冷媒は、液体であり、例えば、水、あるいは、LLC(Long Life Coolant)である。
実施例の電力変換器2では、図1の破線で囲んだように、3個のスイッチング素子を1セットとして収容する5セットのパワーカードPC1からPC5が備えられる。1つのパワーカードには、3個のスイッチング素子とこれに付随する3個のダイオードが収容されている。具体的には、3個のスイッチング素子と3個のダイオードが樹脂で封止されており、その樹脂パッケージの内部でスイッチング素子が接続されていると共に、各スイッチング素子にダイオードが逆並列に接続されている。スイッチング素子のパワーカード内部での接続は、各パワーカードにより異なる。
パワーカードPC1について説明する。図3にパワーカードPC1の外形状と、内部の回路配線図を含む積層方向(Z軸方向)から見た模式的正面図を示す。図3の回路配線と図1の回路配線を対比しつつ、説明する。図1において符号PC1が示す破線の範囲が、パワーカードPC1に含まれる回路に相当する。パワーカードPC1には、インバータ回路4aの上アーム側に接続されるスイッチング素子T1、T2、T3が収容されている。なお、図3では、各スイッチング素子に逆並列に接続されるダイオードの図示は省略している。以下、図4、図5においても同様に省略されている。パワーカードPC1には、図1に示した高電位ラインPLと接続される正極端子P1、P2が設けられている。正極端子P1、P2には、スイッチング素子T1、T2、T3の高電位側の電極(IGBTのコレクタ側であり、ダイオードのカソード側)が接続されている。即ち、スイッチング素子T1、T2、T3の高電位側の電極(IGBTのコレクタ側であり、ダイオードのカソード側)は、正極端子P1、P2に対して共通に接続されている。また、パワーカードPC1には、モータの各相(U相、V相、W相)と個別に接続される出力端子QU、QV、QWが設けられている。出力端子QUにはスイッチング端子T1の低電位側の電極(IGBTのエミッタ側であり、ダイオードのアノード側)が接続されている。出力端子QV、QWにも夫々、スイッチング素子T2、T3の低電位側の電極が接続されている。また、パワーカードPC1の下側からは、各スイッチング素子T1、T2、T3のゲート電極に通じる信号端子QGが延出している。なお、次に説明するように、出力端子QU、QV、QWと信号端子QGという呼称は、他のパワーカードでも用いる。図3に示される各端子、P1、P2、QU、QV、QWは、図2に示されるパワーカードPC1の上面から突出する5本の端子に対応する。図2では、図面の見易さのため、正極端子P1、P2にハッチングを施してある。後述するパワーカードPC2の負極端子N1、N2及びパワーカードPC3の正極端子P、負極端子Nについても同様にハッチングを施してある。
パワーカードPC2について説明する。図4にパワーカードPC2の外形状と、内部の回路配線図を含む積層方向から見た模式的正面図を示す。図4の回路配線と図1の回路配線を対比しつつ、説明する。図1において符号PC2が示す破線の範囲が、パワーカードPC2に含まれる回路に相当する。パワーカードPC2には、インバータ回路4aの下アーム側に接続されるスイッチング素子T4、T5、T6が収容されている。パワーカードPC2には、インバータ回路4aの下アームと接続される負極端子N1、N2が設けられている。負極端子N1、N2には、スイッチング素子T4、T5、T6の低電位側の電極(IGBTのエミッタ側であり、ダイオードのアノード側)が接続されている。即ち、スイッチング素子T4、T5、T6の低電位側の電極(IGBTのエミッタ側であり、ダイオードのアノード側)は、負極端子N1、N2に対して共通に接続されている。また、パワーカードPC2には、モータの各相(U相、V相、W相)と個別に接続される出力端子QU、QV、QWが設けられている。出力端子QUにはスイッチング端子T1の高電位側の電極(IGBTのコレクタ側であり、ダイオードのカソード側)が接続されている。出力端子QV、QWにも夫々、スイッチング素子T2、T3の高電位側の電極が接続されている。図4に示すパワーカードPC2は内部の回路構成が異なるが、各端子の構成は図3に示したPC1の正極端子P1、P2を負極端子N1、N2に入れ替えたものと同じである。
インバータ回路4bのスイッチング素子もインバータ回路4aと同様に、上アームに接続される3個のスイッチング素子がパワーカードPC4の中に収容され、下アームに接続される3個のスイッチング素子がパワーカードPC5の中に収容される。パワーカードPC4、PC5の構成は、夫々パワーカードPC1、PC2と同様であり、パワーカードPC4、PC5の出力端子は夫々モータ7bの各相に接続されている。
パワーカードPC3について説明する。図5にパワーカードPC3の外形状と、内部の回路配線図を含む積層方向から見た模式的正面図を示す。図5の回路配線と図1の回路配線を対比しつつ、説明する。図1において符号PC3が示す破線の範囲が、パワーカードPC3に含まれる回路に相当する。パワーカードPC3には、スイッチング素子T7、T8、T9が収容されている。スイッチング素子T7、T8、T9は高電位側からこの順番に直列に接続されている。パワーカードPC3には、電圧コンバータ回路3の出力側高電位端と接続される正極端子Pと、グランド線Gと接続される負極端子Nと、リアクトル12の出力側と接続される中間端子Lが設けられている。正極端子Pはスイッチング端子T7の高電位側の電極(IGBTのコレクタ側であり、ダイオードのカソード側)と接続されている。負極端子Nはスイッチング素子T9の低電位側の電極(IGBTのエミッタ側であり、ダイオードのアノード側)と接続されている。そして、中間端子Lはスイッチング素子T7の低電位側の電極とスイッチング端子T8の高電位側の電極の間の接続点に接続されている。なお、正極端子Pと中間端子Lの間、及び負極端子Nの隣に別の端子が存在する。これはパワーカードPC3が、各パワーカードPC1等と同様の工程により製造されることによるダミーの端子であり本実施例では使用していない。また、パワーカードPC3の下側にはパワーカードPC1等と同様に信号端子QGが3個延出している。各信号端子QGは、各スイッチング素子T7、T8、T9のゲート電極に夫々接続されている。
このような構成により、電圧コンバータ回路3の3個のスイッチング素子、インバータ回路4aの上アーム側に接続される3個のスイッチング素子、下アーム側に接続される3個のスイッチング素子を夫々1枚のパワーカードに収容することができる。よって、3個のスイッチング素子が収容されたパワーカードを3枚備えることで、電圧コンバータ回路3及びインバータ回路4aに必要なスイッチング素子を過不足なく各パワーカードに収容することができる。つまり、電圧コンバータ回路に用いられるスイッチング素子を3個としても、従来の昇降圧コンバータ回路から追加されたスイッチング素子に対応して独立したパワーカードを備える必要がない。したがって、積層ユニット200の体格をコンパクトにすることができ、低コスト化にも寄与することができる。さらに、パワーカードの数を多くしないことは、複数のパワーカード間を接続するバスバを短くできることになる。このことは、バスバのインダクタを小さくすることに貢献する。
なお、インバータ回路4bの上アーム用の3個のスイッチング素子及び下アーム用の3個のスイッチング素子が2枚のパワーカードPC4、PC5に収容されている。したがって、電圧コンバータ回路3とインバータ回路4aのスイッチング素子にインバータ回路4bのスイッチング素子を加えても、3個のスイッチング素子が収容されたパワーカードを5枚備えることで過不足なくすべてのスイッチング素子を電力変換器2で活用することができる。
図6から図8を参照して、パワーカードPC3内部の回路配線を物理的に実現する端子板について説明する。他のパワーカードPC1からPC4も、以下で説明するような端子板の構成により回路配線が構成されるが、代表してPC3について説明する。なお、端子板は、典型的には銅製である。図6は、積層方向(Z軸方向)から見たパワーカードPC3の断面図であり、パワーカードPC3のモールドされた樹脂部分のみを断面で表している。図6に示すように、各スイッチング素子T7、T8、T9及び夫々のスイッチング素子に対応したダイオードD7、D8、D9は、薄板状のチップであり、その表面に電極が露出している。各スイッチング素子とダイオードは、2枚の端子板に挟まれるように接続される。図6において、紙面奥側(Z軸負方向側)に位置する端子板を並べた図が図7であり、紙面手前側(Z軸正方向側)に位置する端子板を並べた図が図8である。図7に示すように紙面奥側の端子板としては、各スイッチング素子と対応するダイオードが接続されている端子板3枚と、それ以外の端子板2枚が存在する。説明の便宜上、各スイッチング素子の紙面奥側の表面がコレクタ電極(高電位側の電極)に相当し、紙面手前側の表面がエミッタ電極(低電位側の電極)に相当すると仮定する。各ダイオードは、紙面奥側の表面がカソード電極に相当し、紙面手前側の表面がアノード電極に相当する。また、各スイッチング素子のコレクタ電極が接続されている紙面奥側の端子板を第1端子板と称し、スイッチング素子に接続されていない紙面奥側の端子板を第2端子板と称する。符号31aが付された第1端子板には、スイッチング素子T7とそのスイッチング素子T7に逆並列に接続されているダイオードD7が接続されている。同様に第1端子板31bには、スイッチング素子T8とこのスイッチング素子T8に対応するダイオードD8が接続されており、第1端子板31cには、スイッチング素子T9とこのスイッチング素子T9に対応するダイオードD9が接続されいる。第1端子板と第2端子板は夫々、パワーカードPC3の上方に一端が延伸しており、その延伸した部分がパワーカードPC3の上面に突出する各種端子(正極端子P、負極端子N、中間端子L)となる。なお、パワーカードPC3の下側には信号端子QGが3個延出しており、各信号端子QGが各スイッチング素子と一対一で対応している。図中では、各スイッチング素子と各信号端子QGの接続構造が省略されていることに留意されたい。
一方、図6に示すように、紙面手前側に位置する端子板にも、各スイッチング素子(そのエミッタ電極)とこれらスイッチング素子に対応するダイオード(そのアノード電極)が接続されている。紙面手前側に位置する端子板を第3端子板と称する。符号33aが付された第3端子板には、スイッチング素子T7とそのスイッチング素子T7に逆並列に接続されているダイオードD7が接続されている。同様に第3端子板33bには、スイッチング素子T8とこのスイッチング素子T8に対応するダイオードD8が接続されており、第3端子板33cには、スイッチング素子T9とこのスイッチング素子T9に対応するダイオードD9が接続されいる。
上述したように、各スイッチング素子の高電位側の電極(コレクタ電極)は各第1端子板に接続されており、各スイッチング素子の低電位側の電極(エミッタ電極)は各第3端子板に接続されている。一方、各ダイオードD7、D8、D9のカソード電極は各第1端子板に接続されており、アノード電極は各第3端子板に接続されている。よって、図1に示す回路配線の通り、各ダイオードD7、D8、D9は各スイッチング素子T7、T8、T9に逆並列に接続されることになる。
図5の回路配線と図6の端子板の構造を表す図とを比較しつつ、スイッチング素子T7、T8、T9の直列回路と各端子板の構成との対応関係を、この直列回路の高電位側から低電位側の並びに沿って説明する。図6に示すようにパワーカードPC3の正極端子Pは、第1端子板31aの一端が延伸して構成されている。そして、第1端子板31aにはスイッチング素子T7の高電位側の電極(コレクタ電極)が接続されている。よって、正極端子Pとスイッチング素子T7の高電位側の電極が接続されている。つまり、図5の符号31aを付した破線で囲んだ結線が第1端子板31aに相当する。さらに、スイッチング素子T7の低電位側の電極(エミッタ電極)と第1端子板31bの一端が第3端子板33aにより接続されている。図6に示すように、第3端子板33aの一端と第1端子板31bの一端が符号W1で示す箇所で接合される。典型的には溶接により接合される。上記のようにスイッチング素子T8の高電位側の電極は第1端子板31bに接続されている。したがって、スイッチング素子T7とスイッチング素子T8が直列接続される。つまり、図5の符号33aを付した破線で囲んだ結線が第3端子板33aに相当する。さらに、スイッチング素子T8の低電位側の電極と第1端子板31cの一端が第3端子板33bにより接続されている。図6に示すように、第3端子33bのスイッチング素子T9が位置する側の一端と第1端子板31cの一端が符号W2で示す箇所で接合される。上記のようにスイッチング素子T9の高電位側の電極は第1端子板31cに接続されている。したがって、スイッチング素子T8とスイッチング素子T9が直列接続されている。つまり、図5の符号33bを付した破線で囲んだ結線が第3端子板33bに相当する。さらに、図6に示すようにパワーカードPC3の負極端子Nは、第2端子板32bの一端が延伸して構成されている。図6に示すように第3端子板33cの一端と第2端子板32bの一端が符号W3で示す箇所で接合されている。上記のようにスイッチング素子T9の低電位側の電極は第3端子板33cに接続されている。したがって、スイッチング素子T9の低電位側の電極と負極端子Nが接続されている。つまり、図5の符号33cを付した破線で囲んだ結線が第3端子板33cに相当する。この構成により、スイッチング素子T7、T8、T9が正極端子Pから負極端子Nの間で直列に接続される。
また、パワーカードPC3は、リアクトル12に接続するための中間端子Lを備えている。図6に示すように、中間端子Lは、スイッチング素子T8の高電位側の電極が接続されている第1端子板31bの一端が延伸して構成されている。上記のように第1端子板31bには第3端子板33aによりスイッチング素子T7の低電位側の電極が接続されている。したがって、中間端子Lは、スイッチング素子T7の低電位側の電極とスイッチング素子T8の高電位側の電極の間に接続される。つまり、図5の符号31bを付した破線で囲んだ結線が第1端子板31bに相当する。
上記の説明の通り、図6から図8に示す端子板の構成により、図5に示すスイッチング素子の回路配線を実現することができる。なお、第1端子板31cの一端が延伸して設けられる端子と第2端子板32aの一端が延伸して設けられる端子は、共にパワーカードPC3では使用していないダミーの端子である。
このように、パワーカード内部では、3個のスイッチング素子が短い端子板で接続されるので、スイッチング素子間の結線に寄生するインダクタンスが小さい。
図9、図10のフローチャートを参照して、実施例のハードウエア構成で得られる電力変換器2において、緊急遮断スイッチT9を利用することで、バッテリ14の短絡を防止する具体的なアルゴリズムについて説明する。
図9を参照して、電力変換器2のシステム起動時に短絡故障が検出されたときの動作について説明する。先ず、電動車両400が停止している状態で、システムメインリレー13がオンされる(S1)。これにより、電力変換器2にバッテリ14から電力が供給される。次に、コントローラ15は、スイッチング素子T9(緊急遮断スイッチ)をオンにする(S2)。次に、コントローラ15は、昇圧用のスイッチング素子T8が短絡しているか否かを確認する(S3)。なお、トランジスタであるスイッチング素子の短絡は、トランジスタに設けられた電流検出用端子により検出される。実施例で用いられるトランジスタであるIGBTには、典型的には電流検出用端子として、センスエミッタ端子が設けられている。このセンスエミッタ端子を用いて短絡を検出することができる。この技術はよく知られているので詳細な説明は省略する。以下、スイッチング素子T8が短絡しているか否かで緊急遮断スイッチの動作を切り替える。
スイッチング素子T8が短絡していない場合、緊急遮断スイッチのオン状態は継続される(S4)。その後、電圧コンバータ回路3は上記で説明したように通常の昇降圧動作を行う(S5)。これにより、電動車両400は、通常の走行状態となる(S6)。
一方、スイッチング素子T8が短絡している場合、緊急遮断スイッチをオフにする(S7)。これにより、リアクトル12の出力側とグランド線Gの間は遮断される。したがって、スイッチング素子T8が短絡していても、バッテリ14の短絡が回避される。そして、電動車両400は、フェール走行のモードに設定される(S8)。ここで、フェール走行とは、バッテリ14の電力を昇圧しないで電動車両400を走行させる状態のことをいう。具体的には、アクセル開度等に基づいてモータの出力を決定するコントローラが、バッテリ14の出力電圧で対応可能な範囲にモータの出力を制限する。
緊急遮断スイッチをオフにした場合、高電位ラインPLに接続されたスイッチング素子T7に逆並列に接続されたダイオードにより、電圧コンバータ回路3の出力側には、バッテリ14の電力がダイレクトに出力することになる。したがって、バッテリ14の電圧により電動車両400の走行を継続することができる。
図10を参照して通常走行時に短絡故障が生じてないか確認する処理(短絡チェック処理)について説明する。通常走行では、電圧変換器2の内部で過電流(予定されている電流よりも大きい電流が流れること)が生じていないかコントローラ15が常に監視している。具体的には、コントローラ15は、先に述べたセンスエミッタを流れる電流を定期的に計測している。コントローラ15は、センスエミッタの電流値を計測し(S11)、昇圧用のスイッチング素子T8が短絡しているか否かを確認する(S12)。スイッチング素子T8が短絡していない場合、緊急遮断スイッチのオン状態は継続され(S13)、電動車両400の通常走行が継続される。一方で、スイッチング素子T8が短絡している場合、コントローラ15は緊急遮断スイッチをオフにする(S14)。上記と同様、リアクトル12の出力側とグランド線Gの間は遮断される。また、バッテリ14の電力は、ダイレクトに電圧コンバータ回路3の出力側に出力される。そして、電動車両400はフェール走行のモードに移行する(S15)。
上記のアルゴリズムを電圧コンバータ回路3に採用することで、昇圧用のスイッチング素子T8が短絡しても、バッテリ14が短絡することが回避される。また、昇圧用のスイッチング素子T8が短絡しても、電動車両400の走行は、バッテリを使用したフェール走行モードで継続することができる。この場合、バッテリ14の電圧がダイレクトに出力されるため、バッテリを切り離すことなく、車両を走行させることができる。
実施例における「パワーカードPC1」が「第1パワーカード」の一例であり、「パワーカードPC2」が「第2パワーカード」の一例であり、「パワーカードPC3」が「第3パワーカード」の一例である。また、実施例における「スイッチング素子T7」が「第1スイッチング素子」の一例であり、「スイッチング素子T8、T9」が「第2、第3スイッチング素子」の一例である。
以下、実施例で示した技術に関する留意点を述べる。実施例の電力変換器は、2個のインバータ回路を備えていたが、このような構成に限らない。本明細書で開示する技術は、1個のインバータ回路を備えた電力変換器若しくは3個以上のインバータ回路を備えた電力変換器に採用してもよい。インバータ回路が1個の場合、電力変換器に備えるインバータ回路用のパワーカードは2枚となる。インバータ回路が3個の場合、電力変換器に備えるインバータ回路用のパワーカードは6枚となる。
実施例の電力変換器では、リアクトルとグランド線の間に2個のスイッチング素子の直列回路を挿入し、一方のスイッチング素子の短絡故障が検知された場合、他方のスイッチング素子を開放してバッテリの短絡を防止する。2個のスイッチング素子が同じ性能を有する場合、一方のスイッチング素子が短絡故障したら他方のスイッチング素子のオンオフを繰り返すことにより昇圧を行うことも好適である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:電力変換器
3:電圧コンバータ回路
4a、4b:インバータ回路
5:動力分配機構
6:車軸
7a、7b:モータ
8:フィルタコンデンサ
9:平滑コンデンサ
12:リアクトル
13:システムメインリレー
14:バッテリ
15:コントローラ
21:冷却器
22:冷媒供給管
23:冷媒排出管
24a、24b:連結管
31a、31b、31c:第1端子板
32a、32b:第2端子板
33a、33b、33c:第3端子板
200:積層ユニット
400:電動車両
T1、T2、T3、T4、T5、T6、T7、T8、T9:スイッチング素子
D7、D8、D9:ダイオード
PC1、PC2、PC3、PC4、PC5:パワーカード
P1、P2、P:正極端子
N1、N2、N:負極端子
QU、QV、QW:出力端子
L:中間端子
QG:信号端子
G:グランド線
PL:高電位ライン
NL:低電位ライン

Claims (3)

  1. バッテリの電力を昇圧する昇圧動作と走行用の三相交流モータが発生した回生電力を降圧する降圧動作を行うチョッパ型の電圧コンバータ回路と、前記電圧コンバータ回路によって昇圧された電力を交流に変換して前記三相交流モータに供給するインバータ回路と、を含んでいる電動車両の電力変換器であって、
    3個のスイッチング素子を収容している第1、第2、及び、第3パワーカードと、
    前記第1、第2、及び、第3パワーカードと交互に積層されている複数の冷却器と、
    を備えており、
    前記第1パワーカードは、前記インバータ回路の上アーム用の3個のスイッチング素子を収容しており、
    前記第2パワーカードは、前記インバータ回路の下アーム用の3個のスイッチング素子を収容しており、
    前記第3パワーカードは、前記電圧コンバータ回路の降圧用のスイッチング素子と昇圧用のスイッチング素子と前記昇圧用のスイッチング素子への電流を遮断する電流遮断用のスイッチング素子を収容している、
    ことを特徴とする電力変換器。
  2. 前記第1パワーカードは、収容されている3個のスイッチング素子の高電位側の電極に共通に接続している正極端子と、各スイッチング素子の低電位側の電極に個別に接続している3個の出力端子を備えており、
    前記第2パワーカードは、収容されている3個のスイッチング素子の低電位側の電極に共通に接続している負極端子と、各スイッチング素子の高電位側の電極に個別に接続している3個の出力端子を備えており、
    前記第3パワーカードは、収容されている3個のスイッチング素子の直列回路の高電位端と低電位端に夫々接続している正極端子と負極端子を備えている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換器。
  3. 前記電圧コンバータ回路は、前記第3パワーカードに収容されている第1、第2、及び第3スイッチング素子がこの順序で高電位側から直列に接続している直列回路と、前記第1スイッチング素子と前記第2スイッチング素子の接続点に一端が接続しているリアクトルと、を含んでおり、
    前記電力変換器は、前記第2及び第3スイッチング素子の一方を導通状態に保持したまま、他方の導通と遮断を切り換えて前記バッテリの電圧を昇圧し、前記他方のスイッチング素子が短絡故障した場合に前記一方のスイッチング素子を導通状態から遮断状態に切り換えるコントローラを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換器。
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