JP2015170549A - セラミックメタルハライドランプ - Google Patents
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Abstract
【課題】高いランプ効率と良好な光色を得ることができる、ランプ出力180〜400Wのセラミックメタルハライドランプを提供する。【解決手段】セラミックメタルハライドランプは、発光部と細管部を有する放電容器と、前記発光部に封入された希ガスと水銀と添加物と、を有する。前記発光部の有効長さLと有効内径Dの比L/Dは、1.8≰L/D≰2.2であり、点灯時における前記発光部の最高温度部の温度が1200℃以下であり前記発光部の最低温度部の温度が800℃以上となるように前記発光部の形状及び寸法が設定されており、前記添加物は、ヨウ化ナトリウムNaI、ヨウ化ツリウムTmI3、ヨウ化セリウムCeI3及びヨウ化タリウムTlIを含み、ヨウ化ナトリウムNaIの含有量をM(NaI)とし、ヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIの含有量の和をM(CeI3+TlI)とし、両者のモル比をαと表すとき、次の式、α=M(CeI3+TlI)/M(NaI)、0<α≰0.124を満たす。【選択図】 図1A
Description
本発明は、セラミックメタルハライドランプに関し、特に、屋外又は高天井に使用して好適なセラミックメタルハライドランプに関する。
近年、セラミック製の放電容器を用いるセラミックメタルハライドランプが広く普及している。特に、ランプ出力100W以上のセラミックメタルハライドランプは、工場、体育館等の高天井の照明装置、又は、屋外の照明等に用いられる。
このようなセラミックメタルハライドランプでは高いランプ効率(発光効率)が求められる。しかしながら、高いランプ効率を追求すると、良好な光色が得られなくなる可能性がある。即ち、高いランプ効率と良好な光色を同時に実現することは一般に困難である。
光色を規定するパラメータとして、相関色温度、平均演色評価数Ra、色度偏差Duv等が知られている。これらのパラメータに影響を与える要因は様々である。従って、これらのパラメータの最適値を同時に実現することは困難である。例えば、相関色温度、及び、平均演色評価数Raを所望の値に設定し、それを達成しようとすると、色度偏差Duvの値が好ましくない値となる場合がある。
本発明の目的は、高いランプ効率と良好な光色を得ることができるセラミックメタルハライドランプを提供することにある。
本願の発明者は、高いランプ効率と良好な光色を得ることができるセラミックメタルハライドランプの開発に際して、既存の高効率タイプのセラミックメタルハライドランプと高演色タイプのセラミックメタルハライドランプを参照した。本願の発明者は、ランプ効率、色度偏差Duv、相関色温度、平均演色評価数Ra等の目標値を設定した。次に、本願の発明者は、発光物質の添加物の成分、及び、組成を変化させて試験を行った。その結果、上述の目標値が達成できるランプの仕様と添加物の成分及び組成を得ることができた。
本発明の実施形態によると、発光部と細管部を有する放電容器と、前記発光部に封入された希ガスと水銀と添加物と、該放電容器を収納する透光性外管と、を有するセラミックメタルハライドランプにおいて、
前記発光部の有効長さLと有効内径Dの比L/Dは、1.8≦L/D≦2.2であり、
点灯時における前記発光部の最高温度部の温度が1200℃以下であり前記発光部の最低温度部の温度が800℃以上となるように前記発光部の形状及び寸法が設定されており、
前記添加物は、ヨウ化ナトリウムNaI、ヨウ化ツリウムTmI3、ヨウ化セリウムCeI3及びヨウ化タリウムTlIを含み、
ヨウ化ナトリウムNaIの含有量をM(NaI)とし、ヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIの含有量の和をM(CeI3+TlI)とし、両者のモル比をαと表すとき、次の式
α=M(CeI3+TlI)/M(NaI)
0<α≦0.124
を満たす。
前記発光部の有効長さLと有効内径Dの比L/Dは、1.8≦L/D≦2.2であり、
点灯時における前記発光部の最高温度部の温度が1200℃以下であり前記発光部の最低温度部の温度が800℃以上となるように前記発光部の形状及び寸法が設定されており、
前記添加物は、ヨウ化ナトリウムNaI、ヨウ化ツリウムTmI3、ヨウ化セリウムCeI3及びヨウ化タリウムTlIを含み、
ヨウ化ナトリウムNaIの含有量をM(NaI)とし、ヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIの含有量の和をM(CeI3+TlI)とし、両者のモル比をαと表すとき、次の式
α=M(CeI3+TlI)/M(NaI)
0<α≦0.124
を満たす。
本実施形態によると前記セラミックメタルハライドランプにおいて、全添加物の含有量を100mol%とするとき、ヨウ化ナトリウムNaIの含有量は75〜81mol%であってよい。
本実施形態によると前記セラミックメタルハライドランプにおいて、前記放電容器の発光部の壁面負荷は15〜25W/cm2であり、アーク長は15〜25mmであってよい。
本実施形態によると前記セラミックメタルハライドランプにおいて、全添加物の含有量を100mol%とするとき、ヨウ化ツリウムTmI3の含有量は14〜15mol%であってよい。
本実施形態によると前記セラミックメタルハライドランプにおいて、前記透光性外管の内部は真空であってよい。
本実施形態によると前記セラミックメタルハライドランプにおいて、
ヨウ化ナトリウムNaIの含有量をM(NaI)とし、ヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIの含有量の和をM(CeI3+TlI)とし、両者のモル比をαと表すとき、次の式
α=M(CeI3+TlI)/M(NaI)
0.062≦α≦0.123
を満たしてよい。
ヨウ化ナトリウムNaIの含有量をM(NaI)とし、ヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIの含有量の和をM(CeI3+TlI)とし、両者のモル比をαと表すとき、次の式
α=M(CeI3+TlI)/M(NaI)
0.062≦α≦0.123
を満たしてよい。
本実施形態によると前記セラミックメタルハライドランプにおいて、
前記発光部の最高温度部の温度は1050℃以下であり、前記発光部の最低温度部の温度は900℃以上であってよい。
前記発光部の最高温度部の温度は1050℃以下であり、前記発光部の最低温度部の温度は900℃以上であってよい。
本発明によれば、高いランプ効率と良好な光色を得ることができるセラミックメタルハライドランプを提供することができる。
以下、本発明に係るセラミックメタルハライドランプの実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同一の要素に対しては同一の参照符号を付して、重複した説明を省略する。
図1Aを参照して本実施形態に係るセラミックメタルハライドランプの一例の概略を説明する。セラミックメタルハライドランプ100は、透光性外管111と、端部の口金112と、透光性外管111の内部のほぼ中央に配置された放電容器130を有する。透光性外管111の内部は圧力10Pa以下の高真空に保持される。尚、透光性外管111の内部に窒素などの不活性ガスを封入する場合もある。
放電容器130の周囲に透光性スリーブ108が設けられ、その外側に、金属製のフレーム109が設けられている。放電容器130の上側には、始動器110が設けられている。フレーム109の上端には、ゲッタ113が装着されている。
フレーム109は、下端のマウント支持板114と上端のステム115の導入線と接続しており、それによって、位置固定される。フレーム109は位置固定用の部材であると同時に電気的接続用の部材を兼ねており、図示しない外部給電システムからの電力をステム115の導入線を介して放電容器130に供給する。
図1Bを参照して放電容器130の構造を説明する。放電容器130は中央の発光部130Cとその両側の細管部(キャピラリ部)130A、130Bを有する。本例の放電容器130は、略回転楕円体形状の発光部130Cとその両側の細管部130A、130Bが一体的に形成された、所謂一体型である。しかしながら、発光部130Cの両側に、別個に製造した細管部130A、130Bを接続することによって放電容器130を形成してもよい。
細管部130A、130Bには、電極システム120a、120bがそれぞれ装着されている。電極システム120a、120bは、タングステン電極123、電流供給導体122、及び、リード線121を有する。タングステン電極123の先端にはタングステンコイルが装着されている。タングステン電極123の先端は放電容器130の発光部130Cに配置されている。
電流供給導体122は、耐ハロゲン性中間材122aと導電性サーメット棒122bを含む。タングステン電極123、電流供給導体122、及び、リード線121は突き合わせ溶接によって接続される。
放電容器130の発光部130Cの内部には、不活性ガス及び水銀に加えて、発光物質である添加物が封入されている。添加物には、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属のハロゲン化物等が含まれる。添加物については後に詳細に説明する。不活性ガスは例えば希ガスであるが本実施例ではアルゴンである。
放電容器130の内側寸法として、有効長さLと有効内径Dを定義する。有効長さLは、発光部130Cと細管部130A、130Bの境界に形成された遷移曲面L1、L1の外端間の距離で定義される。尚、発光部130Cが円筒形の場合には、有効長さLは発光部130Cの両端面間の距離である。有効内径Dは、発光部130Cにおける電極123間中央部の最大内径で定義される。放電容器の有効長さLと有効内径Dの比L/Dをアスペクト比と称することとする。放電容器130の電極の寸法として、アーク長を定義する。アーク長ALは、2つの電極123間の距離で定義される。
セラミックメタルハライドランプを点灯させると、発光部130C内における放電により、水銀及び添加物が加熱され、その一部が蒸発して放電により励起され、発光する。残りの部分は、発光部130Cの底部に液相状態でプールされる。液相の一部は蒸発し、発光部130Cの内部を対流により循環し、底部に戻る。ランプの点灯中はこのようなサイクルが繰り返される。垂直点灯の場合には、下側となる発光部130Cの端部に最低温度部が形成され、上側の電極123付近に最高温度部が形成される。最低温度部と最高温度部における温度差は出来るだけ小さいほうがよい。
発光部130Cの各部の温度は、ランプ出力の他、放電容器の壁面負荷、透光性外管内のガス圧力、放電容器材質、放電容器のアスペクト比(L/D)、アーク長AL、発光部130Cの寸法等によって決まるが、特に壁面負荷に大きく依存する。壁面負荷は、ランプ出力(電力)を発光部130Cの全内面積で除した値で定義される。
本願の発明者は、高効率且つ光色が良好なセラミックメタルハライドランプの開発に際して、既存の高効率タイプのセラミックメタルハライドランプと高演色タイプのセラミックメタルハライドランプを参考にした。本願の発明者は、先ず目標値を設定し、次に試作した実施例を用いて試験を行い、目標値を達成することができるランプの仕様と添加物を設定した。
先ず、ランプ効率(発光効率)の目標値を設定した。一般に高効率とは、ランプの定格出力により異なるが、ランプ効率(発光効率)が100lm/W以上のことをいう。本願の発明者は、定格出力180〜400Wのセラミックメタルハライドランプにおいて、ランプ効率の目標値を「120lm/W以上」とした。尚、定格出力が180Wより小さい場合、例えば、定格電力が100〜150W程度のセラミックメタルハライドランプでは、ランプ効率の目標値を「100lm/W以上」とする。
次に、本願の発明者は、良好な光色の条件として、色度偏差Duv、平均演色評価数Ra、相関色温度の目標値を設定した。色度偏差Duvは、色度図上における黒体軌跡(BBL)からのずれを表す。色度図上における黒体軌跡は、太陽光の自然な色味を表す。Duv=0は、色度が黒体軌跡上にあることを表し、太陽光による自然色と同様な光色を表す。一般に、太陽光による自然色が好まれる場合には、色度偏差Duvは小さい方が良い。しかしながら、用途に応じて太陽光による自然色よりも人工色が好まれる場合もある。そのような場合には、色度偏差Duvは必ずしも小さい必要はない。そこで、色度偏差Duvの目標値として「10未満」とした。尚、色度偏差Duvは正負の値を有するが、ここではその絶対値を意味するものとする。従って、色度偏差Duvの目標値が「10未満」とは、その絶対値が10未満の意味である。
一般に、平均演色評価数Raが80以上であれば高演色であると言われる。そこで、平均演色評価数Raの目標値を「80以上」とした。次に、相関色温度の目標値を「3600〜4600K」とした。相関色温度は、光色を表す。相関色温度が高いと青色系に近づき、相関色温度が低いと黄色系又は赤色系に近づく。これらのパラメータの目標値と本願の発明者が行った試験に用いたランプのパラメータを表1に纏めた。
表1の比較例1、2は、本願の発明者が既に実施している既存のセラミックメタルハライドランプである。比較例1は、高演色タイプのセラミックメタルハライドランプであり、比較例2は、高効率タイプのセラミックメタルハライドランプである。本願の発明者は、比較例1、2に基づいて多数のセラミックメタルハライドランプの実施例を試作し、点灯実験を行った。表1の実施例は、これらの多数の試作品のうち、目標値に達したものから選択した代表例である。表1の最良の実施例は、実施例のうちの最良値である。
表1に示すように、比較例1の場合、色度偏差Duv、平均演色評価数Ra、及び、相関色温度については目標値に達しているが、ランプ効率については、目標値に達していない場合もあった。一方、比較例2の場合、ランプ効率、平均演色評価数Ra、及び、相関色温度は目標値に達しているが、色度偏差Duvについては目標値に達していない。ここでは相関色温度の目標値を「3600〜4600K」としたが、相関色温度の目標値を「3900〜4100K」としても、実施例は目標値を達成していた。比較例1、2、実施例、及び、最良の実施例の仕様を表2に示す。
表2に示すように、試験に使用した実施例の定格出力は180〜400Wであり、壁面負荷は15〜25W/cm2である。従って、発光部130Cの内壁面を構成する材料と添加物の間の化学反応速度を低く抑えることができ、ランプを長寿命化することができる。アーク長ALは、実施例において、15〜25mmであった。アスペクト比L/Dは、比較例1、2及び実施例において、1.8〜2.2であった。
更に、本願の発明者は、放電容器に封入する添加物について鋭意検討した。上述のように、添加物として金属ハロゲン化物が用いられる。金属ハロゲン化物として、一般に、アルカリ金属のヨウ化物、アルカリ土類金属のヨウ化物、及び、希土類金属のヨウ化物が用いられている。比較例1、2、実施例、及び、最良の実施例の添加物の組成を表3に示す。
比較例1、2では、添加物として、ヨウ化ツリウムTmI3、ヨウ化ナトリウムNaI、ヨウ化セリウムCeI3、及び、ヨウ化タリウムTlIを含む。比較例1の添加物の残余は、ヨウ化ジスプロシウムDyI3を含み、更に、ヨウ化ホルミウムHoI3、ヨウ化カルシウムCaI2等を含む。実施例では、添加物として、ヨウ化ツリウムTmI3、及び、ヨウ化ナトリウムNaIを含み、更に、ヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIの少なくとも一方を含んでよい。実施例の添加物の残余は、比較例1と同様に、ヨウ化ホルミウムHoI3、ヨウ化カルシウムCaI2等を含んでよいが、ヨウ化ジスプロシウムDyI3を含まない。但しその含有量は11mol%以下である。尚、表3において、M(CeI3+TlI) /M(NaI)は、ヨウ化ナトリウムNaIの含有量に対するヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIの含有量の和のモル比を表すが、これについては後に説明する。
ヨウ化ツリウムTmI3、ヨウ化セリウムCeI3、及び、ヨウ化タリウムTlIは、ランプ効率(発光効率)の向上に寄与する。そこで本願の発明者が試作したセラミックメタルハライドランプの実施例では、添加物として、ヨウ化ナトリウムNaI、ヨウ化ツリウムTmI3、ヨウ化セリウムCeI3、及び、ヨウ化タリウムTlIを用いることとした。表3に示すように、実施例では、ヨウ化ナトリウムNaIの含有量は75〜81mol%とし、ヨウ化ツリウムTmI3の含有量は14〜15mol%とした。ヨウ化ジスプロシウムDyI3は、演色性を向上させるが、ランプ効率を下げる機能を有する。そこで、本願の発明者が試作した実施例では、ヨウ化ジスプロシウムDyI3を用いないこととした。尚、インジウム、バリウム等は用いていない。
ナトリウムNaを添加すると光色は橙色系に遷移する、即ち、相関色温度が下がる。しかしながら、ヨウ化セリウムCeI3、及び、ヨウ化タリウムTlIを添加すると、光色が緑色系に遷移する。そのため、本願の発明者が試作した実施例では、相関色温度を所望の範囲に収めることができる。
本願の発明者は、色度偏差Duvを小さくする手段を検討した。上述の添加物のうち、色度偏差Duvの値に影響を与えるのは、ヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIである。ヨウ化セリウムCeI3、及び、ヨウ化タリウムTlIを添加すると、光色が緑色系に遷移するが、色度偏差Duvの数値が大きくなる方向にずれることが知られている。
図2〜図5を参照して、本願の発明者が行った実験について説明する。本願の発明者は、上述の比較例1、2及び実施例を用いて、ランプの点灯試験を行った。その結果からランプ効率(発光効率)が120lm/W以上であり、且つ、色度偏差Duvが14未満であった例を選択してグラフにプロットしたものが図2〜図5である。
図2はヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIのモル比(横軸)とランプ効率(縦軸)の関係を示す。ランプ効率が目標値120lm/W以上となったのは11件である。比較例2の場合、ランプ効率は130lm/Wとなった。図2の結果から、ヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIのモル比とランプ効率の間には明確な相関関係は認められない。
図3はヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIのモル比(横軸)と色度偏差Duv(縦軸)の関係を示す。色度偏差Duvが14未満となったのは12件であり、目標値である「10未満」を満たしたのは11件である。比較例2の場合、色度偏差Duvは略14であった。図3の結果から、ヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIのモル比と色度偏差Duvの間には明確な相関関係は認められない。
そこで、本願の発明者は、更に、ヨウ化ナトリウムNaIの添加量に着目した。即ち、ヨウ化ナトリウムNaIに対するヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIの和のモル比をパラメータとして、ランプ効率及び色度偏差Duvを検討した。ここで、ヨウ化ナトリウムNaIの含有量をM(NaI)と表し、ヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIの含有量の和をM(CeI3+TlI)と表す。両者のモル比をαとする。αは次の式1によって表される。
α= M(CeI3+TlI)/M(NaI) 式1
図4は式1のモル比α(横軸)とランプ効率(縦軸)の関係を示す。パラメータαとランプ効率の間に相関関係が見出される。即ち、モル比αが0〜0.20の範囲では、モル比αが増加するとランプ効率が増加すると言える。ランプ効率が目標値である「120lm/W以上」となるのは、モル比αが少なくとも正であればよく、より確実には、モル比αが0.062以上であればよい。
図4は式1のモル比α(横軸)とランプ効率(縦軸)の関係を示す。パラメータαとランプ効率の間に相関関係が見出される。即ち、モル比αが0〜0.20の範囲では、モル比αが増加するとランプ効率が増加すると言える。ランプ効率が目標値である「120lm/W以上」となるのは、モル比αが少なくとも正であればよく、より確実には、モル比αが0.062以上であればよい。
図5は式1のモル比α(横軸)と色度偏差Duv(縦軸)の関係を示す。パラメータαと色度偏差Duvの間に相関関係が見出される。即ち、モル比αが0〜0.20の範囲では、モル比αが増加すると色度偏差Duvが増加すると言える。尚、実施例では、ヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIの和はゼロではない。色度偏差Duvが目標値である「10未満」となるのは、モル比αが0<α≦0.124であればよく、より確実には、モル比αが0.062≦α≦0.123である。
次に、本願の発明者は、ランプ寿命、外管111の内部空間の条件、及び、放電容器の発光部130Cの温度について考察した。中ワット及び高ワットタイプのセラミックメタルハライドランプの寿命は、24000時間程度である。従って、定格寿命の目標値を24000時間以上とした。本願の発明者が行った実験によると、比較例1、2、実施例、及び、最良の実施例のランプ寿命はいずれも24000時間を超えていることが判った。
図1Aを参照して説明したように、外管111の内部空間は真空であってもよいが、不活性ガスを封入してもよい。比較例1では、外管111内は真空であるが、比較例2では、外管111内に不活性ガスが封入されている。そこで本願の発明者は、外管111内を真空にしたセラミックメタルハライドランプと外管111内にガスを封入したセラミックメタルハライドランプを試作し、点灯実験を行って比較した。
その結果、外管111内を真空にしたほうが、ランプ効率(発光効率)が高くなり、良好な結果が得られることが判った。外管111内を真空にしたほうが放電容器の温度を高温に保持するのに有利である。発光部の温度を高温に保持することによって、比較的蒸気圧が低い希土類金属のヨウ化物の蒸発を促進させることができる。従って、本実施形態では、外管111内を真空にすることとした。
図1Bを参照して説明したように、垂直点灯の場合には、上側となる放電容器の発光部130Cの端部に最低温度部が形成され、上側の電極123付近に最高温度部が形成される。最低温度部と最高温度部における温度差は出来るだけ小さいほうがよい。本願の発明者が行った点灯実験において、放電容器の発光部130Cの最低温度部と最高温度部における温度を測定した。その結果、実施例では、最高温度部の温度は1200℃以下であり、最低温度部の温度は800℃以上であった。最良の実施例では、最高温度部の温度は1050℃以下であり、最低温度部の温度は900℃以上であった。従って、実施例では、最高温度部と最低温度部の温度差は400℃以下となり、ランプ効率(発光効率)及びランプ寿命を向上させることができる。比較例1、2、実施例、及び、最良の実施例のランプ寿命、外管111の内部空間の条件、及び、放電容器の発光部130Cの温度を表4に示す。
以上の本願の発明者が実施した実験とその結果を説明したが、この知見に基づいて本発明の実施形態を説明する。表2に示すように、本発明の実施形態では、壁面負荷は15〜25W/cm2であり、アスペクト比L/Dは1.8〜2.2である。但し、アスペクト比L/Dが1.8〜2.2であれば、放電容器の大きさは限定されない。即ち、L/D=1.8〜2.2を満たす相似形の放電容器は本発明の実施形態に含まれるものとする。本発明の実施形態では、アーク長は15〜25mmである。
表4に示すように、本発明の実施形態では、放電容器の最高温度部の温度は1200℃以下であり、最低温度部の温度は800℃以上であり、最高温度部と最低温度部の温度差は400℃以下である。本発明の実施形態では、好ましくは、放電容器の最高温度部の温度は1050℃以下であり、最低温度部の温度は900℃以上であり、最高温度部と最低温度部の温度差は250℃以下である。
表3、図4及び図5のグラフから、本発明の実施形態では、式1のモル比αは、0<α≦0.124であってよく、好ましくは、0.062≦α≦0.123である。即ち、ヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIの和はゼロとはならない。全添加物の含有量を100mol%とするとき、ヨウ化ナトリウムNaIの含有量は75〜81mol%であってよく、好ましくは、75〜80mol%である。ヨウ化ツリウムTmI3の含有量は14〜15mol%であってよい。
本発明の実施形態によると、定格出力180〜400Wのセラミックメタルハライドランプにおいて、ランプ効率が120lm/W以上、平均演色評価数Raが80以上、相関色温度が3600〜4600K、色度偏差Duvが10未満、放電容器の最高温度部と最低温度部の温度差が400℃以下、ランプ寿命が24000時間以上、を実現することができる。
本発明の実施形態によると、定格出力が180Wより小さい場合、例えば、定格電力が100〜150W程度のセラミックメタルハライドランプにおいて、ランプ効率が100lm/W以上、平均演色評価数Raが80以上、相関色温度が3600〜4600K、色度偏差Duvが10未満、放電容器の最高温度部と最低温度部の温度差が400℃以下、ランプ寿命が24000時間以上、を実現することができる。
上述の実施例では、添加物としてヨウ化ナトリウムNaI、ヨウ化ツリウムTmI3、ヨウ化セリウムCeI3、及び、ヨウ化タリウムTlIを挙げたが、本発明の実施形態では、他の元素又はヨウ化物を添加することを妨げるものではない。しかしながら、他の元素又はヨウ化物は11mol%以下とする。
以上、本実施形態に係るセラミックメタルハライドランプについて説明したが、これらは例示であって、本発明の範囲を制限するものではない。当業者が、本実施形態に対して容易になしえる追加・削除・変更・改良等は、本発明の範囲内である。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の記載によって定められる。
100…セラミックメタルハライドランプ、108…透光性スリーブ、109…フレーム、110…始動器、111…透光性外管、112…口金、113…ゲッタ、114…マウント支持板、115…ステム、120a、120b…電極システム、121…リード線、122…電流供給導体、122a…耐ハロゲン性中間材、122b…導電性サーメット棒、123…タングステン電極、130…放電容器、130A、130B…細管部、130C…発光部
Claims (7)
- 発光部と細管部を有する放電容器と、前記発光部に封入された希ガスと水銀と添加物と、該放電容器を収納する透光性外管と、を有するセラミックメタルハライドランプにおいて、
前記発光部の有効長さLと有効内径Dの比L/Dは、1.8≦L/D≦2.2であり、
点灯時における前記発光部の最高温度部の温度が1200℃以下であり前記発光部の最低温度部の温度が800℃以上となるように前記発光部の形状及び寸法が設定されており、
前記添加物は、ヨウ化ナトリウムNaI、ヨウ化ツリウムTmI3、ヨウ化セリウムCeI3及びヨウ化タリウムTlIを含み、
ヨウ化ナトリウムNaIの含有量をM(NaI)とし、ヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIの含有量の和をM(CeI3+TlI)とし、両者のモル比をαと表すとき、次の式
α=M(CeI3+TlI)/M(NaI)
0<α≦0.124
を満たすことを特徴とするセラミックメタルハライドランプ。 - 請求項1記載のセラミックメタルハライドランプにおいて、全添加物の含有量を100mol%とするとき、ヨウ化ナトリウムNaIの含有量は75〜81mol%であることを特徴とするセラミックメタルハライドランプ。
- 請求項1又は2記載のセラミックメタルハライドランプにおいて、
前記放電容器の発光部の壁面負荷は15〜25W/cm2であり、アーク長は15〜25mmであることを特徴とするセラミックメタルハライドランプ。 - 請求項1〜3のいずれか1項記載のセラミックメタルハライドランプにおいて、全添加物の含有量を100mol%とするとき、ヨウ化ツリウムTmI3の含有量は14〜15mol%であることを特徴とするセラミックメタルハライドランプ。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のセラミックメタルハライドランプにおいて、
前記透光性外管の内部は真空であることを特徴とするセラミックメタルハライドランプ。 - 請求項1〜5のいずれか1項記載のセラミックメタルハライドランプにおいて、
ヨウ化ナトリウムNaIの含有量をM(NaI)とし、ヨウ化セリウムCeI3とヨウ化タリウムTlIの含有量の和をM(CeI3+TlI)とし、両者のモル比をαと表すとき、次の式
α=M(CeI3+TlI)/M(NaI)
0.062≦α≦0.123
を満たすことを特徴とするセラミックメタルハライドランプ。 - 請求項1から6のいずれか1項記載のセラミックメタルハライドランプにおいて、
前記発光部の最高温度部の温度は1050℃以下であり前記発光部の最低温度部の温度は900℃以上であることを特徴とするセラミックメタルハライドランプ。
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