JP2015169178A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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真典 嶋田
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真典 嶋田
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Abstract

【課題】排気通路に触媒とDPFとが直列に配置された後処理システムを備える内燃機関の制御装置において、リファレンスガバナを用いて制御出力の目標値を修正するにあたり、目標値の妥当性の評価の精度を向上させる。
【解決手段】制御出力の目標値に基づき、予測モデルを用いてDPF温度の予測値を順次計算する。そして、DPF温度の予測値とDPF温度に課せられた制約とに基づき、予め定義された評価関数と各時刻に対する重みとを用いて目標値の評価値を計算する。重みの計算においては、DPF温度が定常値の許容誤差範囲内に収束するまでの整定時間を推定し、整定時間までの時刻に対しては重みに大きさを与え、整定時間以降の時刻に対しては重みの大きさをゼロとする。そして、評価値に基づいて目標値を修正する。
【選択図】図3

Description

本発明は、排気通路に触媒とDPFとが直列に配置された後処理システムを備える内燃機関の制御装置に関し、詳しくは、リファレンスガバナを用いて後処理システムの制御出力の目標値を修正する制御装置に関する。
ディーゼルエンジンの排気通路には、触媒(詳しくはディーゼル酸化触媒(DOCともいう))とDPF(ディーゼル粒子フィルタの略)とが直列に配置された後処理システムが備えられる。触媒には、排気ガス中のエミッションを効率的に浄化できる温度範囲が存在する。また、DPFには、捕捉したPMを効率的に燃焼させることができる温度範囲が存在する。このため、後処理システムの制御では、触媒温度或いはDPF温度を後処理システムの制御出力とし、制御出力を目標値に近づけるようにフィードバック制御によって後処理システムの制御入力を決定することが行われる。後処理システムの制御入力は、例えば、内燃機関が排気行程噴射を行う場合にはその噴射量であり、排気通路に燃料添加弁を備える場合には燃料添加弁から供給される燃料量である。
一方、DPF温度が上昇し続けるとDPFの溶損に至るおそれがある。このため、後処理システムには、信頼性の観点からの制約がDPF温度に対して課せられる。具体的には、溶損を防いでDPFの信頼性を担保することのできる上限温度がDPF温度に対する制約として設定される。よって、後処理システムの温度制御には、DPF温度に課せられた制約を満たしつつ、触媒温度及びDPF温度をそれぞれ適正に保つことが求められる。
このような要求を満たすための1つの手段がリファレンスガバナである。リファレンスガバナは、制御対象及びその制御系をモデル化した予測モデルを使用して制約が課せられている状態量の将来値を予測し、予測した将来値が制約に抵触する場合には制約が満たされるように制御出力の目標値を修正するようにプログラムされた装置である。下記の特許文献に開示されているとおり、リファレンスガバナは内燃機関の制御に適用することができる。内燃機関の制御では、制御出力の目標値は運転条件によって刻々と変化することから、リファレンスガバナによる目標値の修正はオンライン計算によって行われる。
後処理システムの温度制御も内燃機関の制御の1つであることから、リファレンスガバナによるオンライン計算は後処理システムの温度制御に用いても好適である。リファレンスガバナを後処理システムに適用する場合、制御出力である触媒温度或いはDPF温度の目標値を予測モデルに入力し、将来のDPF温度の予測値を予め設定された有限の予測時間(予測ホライズン)にわたって計算すればよい。そして、予測モデルで得た将来のDPF温度の予測値とDPF温度に課せられた制約である上限値との関係に基づいて制御出力の目標値の妥当性を評価し、より高い評価が得られるように目標値を修正すればよい。
特開2013−084091号公報
上記の特許文献に開示された技術では、リファレンスガバナにおける予測時間を予測モデルにおけるむだ時間と2次振動系の振動周期の半分の時間との合計時間、すなわち、予測値が最初の極大値に達するまでの時間に設定している。これは、予測値が上限値を超える可能性が最も高いのは最初の極大値であるからである。予測時間を予測値が最初の極大値に達するまでの時間に限定すれば、予測値が上限値を超えるかどうか確実に判断しつつ、予測値の演算に要する演算負荷を軽減することができる。
しかしながら、上記の従来技術には課題がある。上記従来技術では、車載の制御装置に掛かる演算負荷を軽減するため、予め特定されたむだ時間と振動周期を用いて予測時間が決定されている。ところが、フィードバック制御にかかる閉ループ系の動特性は、制御対象の運転条件によって変化する。後処理システムの場合には、排気ガスの流速に応じて制御入力に対するDPF温度の応答特性は変化する。このため、後処理システムに上記の従来技術を適用した場合、予測モデルにおいて予測値が最初の極大値に達するまでの実際の時間と、予め特定された予測時間との間にずれが生じる可能性がある。予測値が最初の極大値に達するまでの時間よりも予測時間が短くなった場合、目標値の妥当性について正しい評価を行うことができない。その結果、目標値を適正に修正することができず、DPF温度が制約に抵触してしまうおそれがある。
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたもので、排気通路に触媒とDPFとが直列に配置された後処理システムを備える内燃機関の制御装置において、リファレンスガバナを用いて制御出力の目標値を修正するにあたり、目標値の妥当性の評価の精度を向上させることを目的とする。
本発明に係る制御装置は、フィードバックコントローラとリファレンスガバナとを備える。フィードバックコントローラは、後処理システムの制御出力を目標値に近づけるようにフィードバック制御によって後処理システムの制御入力を決定するように構成される。リファレンスガバナは、フィードバックコントローラに与えられる目標値を修正するように構成され、少なくとも予測モデル演算処理と時間重み算出処理と評価関数計算処理と目標値更新処理とを実行することができる。
予測モデル演算処理では、リファレンスガバナは、制御出力の目標値に基づきDPF温度の予測値を有限の予測時間にわたって順次計算する。この計算には、後処理システムとフィードバックコントローラとを含む閉ループ系がモデル化された予測モデルが用いられる。
時間重み算出処理では、リファレンスガバナは、予測時間内の各時刻に対する重みを算出する。詳しくは、リファレンスガバナは、まず、DPF温度の整定時間を推定する。整定時間は、DPF温度が定常値の許容誤差範囲内に収束するまでの時間として定義される。定常値はDPF温度がフィードバック制御によって最終的に収束する値である。整定時間には排気ガスの流速が影響するから、その推定には排気ガスの流速の計測値或いは計算値を用いることができる。リファレンスガバナは、整定時間までの時刻に対しては重みに大きさを与え、整定時間以降の時刻に対しては重みの大きさをゼロとする。
評価関数計算処理では、リファレンスガバナは、予測モデル演算処理で計算された予測値とDPF温度に課せられた制約とに基づき、予め定義された評価関数と各時刻に対する重みとを用いて目標値の評価値を計算する。1つの例として、評価関数による計算では、まず、離散時刻ごとに評価値が計算され当該離散時刻に対する重みが係数として同計算値に掛けられる。そして、重みを掛けられた離散時刻ごとの評価値の予測時間にわたる積算値が最終的な評価値として算出される。
目標値更新処理では、リファレンスガバナは、評価関数計算処理で計算された評価値に基づいて制御出力の目標値を修正する。予測モデル演算処理から目標値更新処理までの各処理は複数回繰り返し実行することが好ましい。リファレンスガバナは、修正された目標値を制御出力の最終目標値としてフィードバックコントローラに出力する。
より好ましくは、リファレンスガバナは、時間重み算出処理において、DPF温度の行過ぎ時間を推定する。行過ぎ時間は、DPF温度が最初の極大値に到達するまでの時間として定義される。リファレンスガバナは、行過ぎ時間までの時刻に対しては重みに所定の大きさを与え、行過ぎ時間から整定時間までの時刻に対しては重みの大きさを徐々に減少させる。
本発明によれば、制御出力の目標値の妥当性を評価するための評価値の計算は整定時間までの予測値に基づいて行われる。DPF温度が定常値の許容誤差範囲内に収束するまでの時間である整定時間は、DPF温度が最初の極大値に到達するまでの時間よりも確実に長い。このため、制御入力に対するDPF温度の応答特性に変化があったとしても、DPF温度が極大値に達する時刻付近での予測値は必ず目標値の妥当性の評価に反映される。その一方で、整定時間以降の時刻における予測値は評価値の計算には用いられないので、予測値が一旦収束した後に予測値が急変したとしても、それは目標値の妥当性の評価には一切反映されない。よって、本発明によれば、制御出力の目標値の妥当性を高い精度で評価することができる。
本発明の実施の形態1に係る制御装置が適用される内燃機関の後処理システムの構成を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る制御装置の目標値追従制御構造を示す図である。 本発明の実施の形態1で採用されたリファレンスガバナのアルゴリズムを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1で採用されたリファレンスガバナによる予測モデル演算処理を説明するための図である。 本発明の実施の形態1で採用されたリファレンスガバナによる時間重み算出処理を説明するための図である。 本発明の実施の形態1で採用されたリファレンスガバナによる評価関数計算処理を説明するための図である。 本発明の実施の形態2で採用されたリファレンスガバナによる時間重み算出処理を説明するための図である。 本発明の実施の形態2で採用されたリファレンスガバナによる時間重み算出処理の効果を説明するための図である。 図8に対する比較例を示す図である。
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1について図を用いて説明する。
本実施の形態に係る制御装置は、自動車に搭載される内燃機関、より詳しくは、ディーゼルエンジンの後処理システムを制御対象とする制御装置である。図1はディーゼルエンジンの後処理システムの構成を示す概略図である。後処理システムは、排気通路に触媒(ディーゼル酸化触媒)とDPF(ディーゼル粒子フィルタ)とを備え、シリンダヘッドの排気ポートに燃料添加弁を備えている。触媒とDPFとの間には、触媒温度(詳しくは、触媒の出口ガス温度)を計測するための触媒温度センサが取り付けられ、排気通路におけるDPFの下流には、DPF温度(詳しくは、DPFの出口ガス温度)を計測するためのDPF温度センサが取り付けられている。
本実施の形態に係る制御装置は、DPF温度に課せられた制約を満足させながら、触媒温度を目標値に追従させるための制御構造を備えている。その制御構造が図2に示す目標値追従制御構造である。本実施の形態に係る目標値追従制御構造は、目標値マップ(MAP)、リファレンスガバナ(RG)、及び、フィードバックコントローラを備える。
目標値マップは、制御対象である後処理システムの運転条件を示す外生入力dが与えられると、制御出力である触媒温度の目標値rを出力する。外生入力dには、排気ガスの質量流量や大気温度等が含まれる。外生入力dに含まれるこれらの物理量は計測値でもよいし推定値でもよい。排気ガスの質量流量について言えば、これは吸気通路に配置されたエアフローメータにより計測される新気量から推定することができる。
リファレンスガバナは、触媒温度の目標値rが与えられると、DPF温度に課せられた制約が満たされるように目標値rを修正し、修正された目標値wを出力する。図2中に示すzは制御入力や制御出力のうち制約のある信号を表現している。ここでは、制約のある信号zはDPF温度を意味するものとする。DPF温度には制約として上限値が設けられている。DPF温度が上昇し続けるとDPFの溶損に至るおそれがある。制約として設定された上限値は、溶損を防いでDPFの信頼性を担保することのできる値とされている。
フィードバックコントローラは、リファレンスガバナから触媒温度の目標値wが与えられると、触媒温度の現在値を示す状態量xを取得し、目標値wと状態量xとの偏差eに基づくフィードバック制御によって後処理システムに与える制御入力uを決定する。後処理システムの制御入力uには、燃料添加弁によって排気ガス中に添加される燃料量、すなわち、燃料添加量が用いられる。フィードバックコントローラの仕様に限定はなく、公知のフィードバックコントローラを用いることができる。例えば、比例積分フィードバックコントローラを用いることが可能である。
リファレンスガバナは、プログラムされたアルゴリズムに従って動作する。このアルゴリズムによれば、リファレンスガバナは、予測モデルを用いてDPF温度の将来の予測値を計算する。予測モデルは、図2において破線で囲まれた閉ループ系、すなわち、後処理システムとフィードバックコントローラとを含む閉ループ系がモデル化されたものである。予測モデルには、触媒の温度モデルとDPFの温度モデルとが含まれる。触媒の温度モデルは、触媒から排気ガスへの熱伝達率、触媒から外部への熱伝達率、及び、触媒内での熱発生率と触媒温度の変化率との関係を規定した微分方程式で表すことができる。DPFの温度モデルは、DPFから排気ガスへの熱伝達率、DPFから外部への熱伝達率、及び、DPF内での熱発生率とDPF温度の変化率との関係を規定した微分方程式で表すことができる。リファレンスガバナに与えられる外生入力dは、予測モデルのパラメータとして用いられる。
リファレンスガバナのアルゴリズムは、詳しくは、図3のフローチャートと付随する図4−図6の説明図とによって説明することができる。以下、図3のフローチャートに沿ってリファレンスガバナのアルゴリズムの詳細を説明する。
図3のフローチャートに示すリファレンスガバナのアルゴリズムは、閉ループ系のサンプル時間ごとに繰り返し実行される。ステップS1では、触媒温度の目標値が初期化される。目標値の初期値Ttrg_iniには、前回の離散時刻k-1においてフィードバックコントローラに対して最終的に出力された目標値Ttrg_fin(k-1)が用いられる。また、ステップS1では、目標値の修正を反復して行った回数(反復回数)jが初期値の1に初期化される。なお、以下では、反復回数jにおける修正目標値をTtrg_mod(j)と表記する。
ステップS2では、予測モデルを用いたDPF温度の予測回数iが初期値の1に初期化される。なお、予測回数iはリファレンスガバナの予測周期に対応した離散時刻を意味し、i=1に対応する離散時刻からi=Pendに対応する離散時刻までの期間が予測時間である。Pendは予測モデルによる演算の反復回数の設定値であって、予測時間の最終の離散時刻に対応する。
ステップS3では、予測モデル演算処理、すなわち、予測モデルを用いたDPF温度の予測値の計算が行われる。予測モデル演算処理によれば、DPF温度の今回の修正目標値候補Ttrg_mod(j)に基づき、予測モデルを用いて予測回数iにおけるDPF温度の予測値T(j,i)が計算される。なお、予測モデルの離散時刻の間隔、つまり、予測周期は任意に設定することができる。図4は、予測モデル演算処理のイメージを示す図であって、離散時刻ごとにDPF温度の予測値が演算されている様子が描かれている。また、現在から20秒後、40秒後、及び60秒後の予測値が例示されている。
ステップS4では、予測回数iが設定回数Pendに達したかどうか判定される。
予測回数iが設定回数Pend未満の場合、処理はステップS5に進む。ステップS5では、予測回数iがインクリメントされる。そして、処理は再びステップS3に進み、予測モデルを用いて今回の予測回数iにおけるDPF温度の予測値T(j,i)が計算される。そして、予測回数iが設定回数Pendに達するまで、ステップS3−S5の処理が繰り返し実行される。
予測回数iが設定回数Pendに達した場合、処理はステップS6に進む。ステップS6では、時間重み算出処理、すなわち、予測時間内の各離散時刻に対する重みの算出が行われる。時間重み算出処理によれば、まず、DPF温度の整定時間が推定される。整定時間は、DPF温度が定常値の許容誤差範囲内に収束するまでの時間である。定常値はDPF温度がフィードバック制御によって最終的に収束する値である。制御入力に対するDPF温度の応答特性は排気ガスの流速への依存が高いことから、前記のように定義される整定時間は排気ガスの流速の関数として表すことができる。ただし、本実施の形態に係る後処理システムは、排気ガスの流速を直接計測する手段は備えていない。このため、リファレンスガバナは、吸気通路に配置されたエアフローメータによって計測される新気量に基づいて整定時間を推定する。少なくとも定常状態では排気ガスの流速は新気量に対応しており、過渡状態では新気量に一次遅れ処理を施すことで排気ガスの流速を得ることができる。リファレンスガバナは整定時間と新気量とを関連付けるテーブルを備え、このテーブルを参照して整定時間を推定する。
時間重み算出処理によれば、次に、DPF温度の整定時間を基準にして各離散時刻に対して重みが設定される。図5は、時間重み算出処理のイメージを示す図であって、現在よりも将来の時間に対する重みの設定が表されている。図5に示すように、現在から整定時間までの時刻に対して与えられる重みは一定の大きさとされ、整定時間以降の時刻に対して与えられる重みは大きさをゼロとされる。
ステップS7では、評価関数計算処理、すなわち、予め定義された評価関数を用いて今回の修正目標値Ttrg_mod(j)の評価値J(j)を計算することが行われる。評価値J(j)の計算では、ステップS6で算出された各離散時刻に対する重みW(i)が用いられる。評価値J(j)はゼロが最も望ましい値であり、評価値J(j)が大きいほど修正目標値Ttrg_mod(j)の評価は低くなる。評価値J(j)を与える評価関数は、具体的には以下の式で表される。Tlimitは制約として設定されたDPF温度の上限値である。
Figure 2015169178
図6は、評価関数計算処理のイメージを示す図である。評価関数計算処理では、図6において、DPF温度の予測値T(j,i)を示す曲線と、DPF温度の上限値Tlimitを示す横線と、整定時間を示す縦線とで囲まれた領域の面積が計算されることになる。よって、図6において斜線が付けられた領域の面積が小さいほど評価値J(j)は小さい値となり、修正目標値Ttrg_mod(j)の評価は高くなる。
DPF温度は最初の極大値において最高温度に達することから、DPF温度が最初の極大値に達する時刻付近での予測値は、修正目標値Ttrg_mod(j)の妥当性を正しく評価する上で重要度の高い情報である。この点に関し、ステップS7では、評価値J(j)の計算は整定時間までの予測値に基づいて行われる。図6に示すように、DPF温度は、フィードバック制御の作用により、一旦最高温度までオーバーシュートした後、振動を繰り返しながら最終的な定常値へと収束していく。このため、整定時間はDPF温度が最初の極大値に到達するまでの時間よりも確実に長い。よって、整定時間までの予測値に基づいて評価値J(j)を計算することにより、制御入力に対するDPF温度の応答特性の変化によってDPF温度が極大値に達する時刻にずれが生じたとしても、同時刻付近での予測値は必ず目標値の妥当性の評価に反映される。
一方、予測モデルによる計算では、一旦収束した予測値が外乱の影響によってその後急変する場合がある。この点に関し、ステップS7では、整定時間以降の時刻に対する重みは大きさをゼロにされるため、整定時間以降の時刻における予測値は評価値J(j)の計算には用いられない。このため、一旦収束した予測値がその後に急変したとしても、それは目標値の妥当性の評価には一切反映されない。よって、ステップS7で計算される評価値J(j)によれば、修正目標値の妥当性を高い精度で評価することができる。
ステップS8では、ステップS7で計算された評価値J(j)に基づいて目標値更新処理、すなわち、離散時刻kにおいて最終的に出力すべき目標値Ttrg_fin(k)の更新が行われる。例えば、今回計算された修正目標値Ttrg_mod(j)の評価値J(j)の大きさに応じて補正量を決定し、補正量の分だけ目標値Ttrg_fin(k)を下方修正することが行われる。
ステップS9では、反復回数jが予め設定された予定反復回数Lendに達したかどうか判定される。
反復回数jが予定反復回数Lend未満の場合、処理はステップS10に進む。ステップS10では、ステップS8で更新された目標値Ttrg_fin(k)が次回の反復回数j+1における修正目標値Ttrg_mod(j+1)として設定される。また、ステップS10では、修正目標値の更新が行われた後、反復回数jがインクリメントされる。そして、処理は再びステップS2に進み、予測モデルを用いたDPF温度の予測回数iが初期値の1に初期化される。そして、反復回数jが予定反復回数Lendに達するまで、ステップS2−S9の処理が繰り返し実行される。
反復回数jが予定反復回数Lendに達した場合、処理はステップS11に進む。ステップS11では、S8で更新された目標値Ttrg_fin(k)が最終的な目標値として正式決定され、フィードバックコントローラに出力される。今回出力された目標値Ttrg_fin(k)は次回の離散時刻k+1において目標値の初期値Ttrg_iniとして用いられる。
以上のリファレンスガバナアルゴリズムが実行されることによって、フィードバックコントローラに与えられる触媒温度の目標値はDPF温度に課せられた制約が満たされるように修正される。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について図を用いて説明する。
本実施の形態に係る制御装置は、実施の形態1と同じくディーゼルエンジンの後処理システムを制御対象とする制御装置であって、実施の形態1と同じく図2に示す構成の目標値追従制御構造を有する。本実施の形態と実施の形態1との違いはリファレンスガバナのアルゴリズムである。より詳しくは、時間重み算出処理の内容に違いがある。
本実施の形態に係る時間重み算出処理によれば、DPF温度の整定時間が推定されるとともに、DPF温度の行過ぎ時間が推定される。行過ぎ時間は、DPF温度が最初の極大値に到達するまでの時間である。行過ぎ時間は、試験結果に基づいて予め設定してもよいし、予測モデルの動特性がむだ時間と2次振動系とで近似できるのであれば、むだ時間と2次振動系の振動周期の半分の時間との合計時間を行過ぎ時間として設定してもよい。
本実施の形態に係る時間重み算出処理によれば、次に、DPF温度の整定時間と行過ぎ時間とを基準にして各離散時刻に対して重みが設定される。図7は、時間重み算出処理のイメージを示す図であって、現在よりも将来の時間に対する重みの設定が表されている。図7に示すように、現在から行過ぎ時間までの時刻に対して与えられる重みは一定の大きさとされ、行過ぎ時間から整定時間(許容誤差範囲内に収束する時間)までの時刻に対して与えられる重みは時間に応じて徐々に減少させられる。図7に示す例では、時間に対して一定の減少率でゼロまで減少させられている。そして、整定時間以降の時刻に対して与えられる重みは大きさをゼロとされる。
本実施の形態に係る時間重み算出処理は、行過ぎ時間までは一定の重みを与えるが、行過ぎ時間以降は重みを小さくする点に特徴がある。これは、DPF温度が制約に抵触する可能性が最も高いのはDPF温度が最高温度に到達したときであり、その時刻付近の予測値に重きを置くことによって評価精度をより向上させるためである。ただし、行過ぎ時間以降の重みを直ぐにはゼロにせず、整定時間まで徐々に減少させてからゼロにしている。時刻に対する重みの設定をこのように行うことにより、評価の精度において以下に述べる効果を得ることができる
図8は、本実施の形態に係る時間重み算出処理の効果を説明するための図であり、図9は、本実施の形態に対する比較例である。図8の中段のチャートには、本実施の形態に係る時間重み算出処理による重みの設定が示されている。行過ぎ時間は予め定められているものとする。また、整定時間は実際には新気量に応じた値がテーブルから読み出されるが、ここでは説明を簡単にするために整定時間は一定と仮定する。図9の中段のチャートには、比較例による重みの設定が示されている。比較例では、現在から行過ぎ時間までの各時刻に対して一定の大きさの重みを与え、行過ぎ時間以降の時刻に対しては重みの大きさをゼロとしている。ここでも、行過ぎ時間は予め定められているものとする。
図8,図9のそれぞれの上段のチャートには、時間に対するDPF温度の予測値の変化を示す曲線が3つ描かれている。予測モデルによる演算結果はパラメータとして用いられる外生入力の変化に応じて変化する。DPF温度の予測値が予め設定された行過ぎ時間と調和しているケース(標準ケース)を実線で示し、それよりも速い応答でDPF温度の予測値が変化するケースを点線で示し、遅い応答でDPF温度の予測値が変化するケースを破線で示している。
そして、図8,図9のそれぞれの下段のチャートでは、上段のチャートの各ケースに対応する評価値が標準ケースを基準にして比較されている。標準ケースよりも速い応答の場合には評価値は基準よりも若干大きくなり、標準ケースよりも遅い応答の場合には評価値は基準よりも若干小さくなる。ただし、本実施の形態と比較例とを対比させると、本実施の形態のほうが比較例よりも評価値の誤差が小さいことが分かる。比較例では、評価値がDPF温度の応答性に依存して安定しないのに対し、本実施の形態では、DPF温度の応答性のずれによって多少の誤差は生じるものの概ね安定した評価値を得ることができる。
このように、本実施の形態に係る時間重み算出処理によれば、DPF温度が最高温度に到達する時刻付近の予測値に重きを置いた評価を行いつつ、DPF温度の応答性のずれが評価値に与える影響を緩和することができる。
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上述の実施の形態では触媒温度を制御出力として触媒温度が目標値になるようにフィードバック制御を行っているが、DPF温度を制御出力としてDPF温度が目標値になるようにフィードバック制御を行うこともできる。また、上述の実施の形態では燃料添加弁から供給される燃料量を制御入力としているが、内燃機関が排気行程において燃料を噴射することができるならば、その排気行程噴射の燃料量を制御入力とすることもできる。

Claims (2)

  1. 排気通路に触媒とDPFとが直列に配置された後処理システムを備える内燃機関の制御装置において、
    前記後処理システムの制御出力を目標値に近づけるようにフィードバック制御によって前記後処理システムの制御入力を決定するフィードバックコントローラと、
    前記フィードバックコントローラに与えられる前記目標値を修正するリファレンスガバナとを備え、
    前記リファレンスガバナは、
    前記目標値に基づき、前記後処理システムと前記フィードバックコントローラとを含む閉ループ系がモデル化された予測モデルを用いて、DPF温度の予測値を有限の予測時間にわたって順次計算する予測モデル演算処理と、
    前記予測時間内の各時刻に対する重みを算出する時間重み算出処理と、
    前記予測時間にわたって計算された前記予測値と前記DPF温度に課せられた制約とに基づき、予め定義された評価関数と各時刻に対する前記重みとを用いて前記目標値の評価値を計算する評価関数計算処理と、
    前記評価値に基づいて前記目標値を修正する目標値更新処理と、を実行するように構成され、
    前記リファレンスガバナは、前記時間重み算出処理では、前記DPF温度が前記フィードバック制御によって最終的に収束する定常値の許容誤差範囲内に収束するまでの時間として定義される整定時間を推定し、前記整定時間までの時刻に対しては前記重みに大きさを与え、前記整定時間以降の時刻に対しては前記重みの大きさをゼロとすることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記リファレンスガバナは、前記時間重み算出処理では、前記DPF温度が最初の極大値に到達するまでの時間として定義される行過ぎ時間を推定し、前記行過ぎ時間までの時刻に対しては前記重みに所定の大きさを与え、前記行過ぎ時間から前記整定時間までの時刻に対しては前記重みの大きさを徐々に減少させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
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