JP2015168694A - エポキシ樹脂多孔質膜、それを用いた蓄電デバイス用セパレータ及びそれらの製造方法 - Google Patents

エポキシ樹脂多孔質膜、それを用いた蓄電デバイス用セパレータ及びそれらの製造方法 Download PDF

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洋佑 山田
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Abstract

【課題】強度の高いエポキシ樹脂多孔質膜を提供する。
【解決手段】膜厚が5〜50μmの範囲にあるエポキシ樹脂多孔質膜の製造方法であって、エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を調製する工程と、エポキシ樹脂組成物の硬化体をシート状に成形する工程と、エポキシ樹脂シートから溶剤を用いてポロゲンを除去して多孔化する多孔化工程と、具備し、硬化剤がアミン系硬化剤であり、硬化剤の質量を硬化剤のアミン当量で除した値(A)に対する、エポキシ樹脂の質量をエポキシ樹脂のエポキシ当量で除した値(E)の比が1.0未満となるように調製する、エポキシ樹脂多孔質膜の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、エポキシ樹脂多孔質膜、それを用いた蓄電デバイス用セパレータ及びそれらの製造方法に関する。
エポキシ樹脂は耐薬品性、耐腐食性等に優れ、比較的安価である。このような利点を有するエポキシ樹脂を用いた多孔質膜について、その用途を広げるべく様々な検討がなされている。エポキシ樹脂多孔質膜の用途としては、例えば、電池用セパレータ、水処理膜等が検討されている(例えば、特許文献1)。用途によっては、エポキシ樹脂多孔質膜にはさらに強度の向上が望まれる。
特開2013−004210号公報
従って、本発明では、強度の高いエポキシ樹脂多孔質膜を提供することを目的とする。
本発明者等が鋭意検討した結果、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤とを特定の比で混合することによって、強度の高いエポキシ樹脂多孔質膜が得られることが見出された。
従って、本発明は、
膜厚が5〜50μmの範囲にあるエポキシ樹脂多孔質膜の製造方法であって、
エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を調製する工程と、
エポキシ樹脂組成物の硬化体をシート状に成形する工程と、
エポキシ樹脂シートから溶剤を用いてポロゲンを除去して多孔化する多孔化工程と、
を具備し、
前記硬化剤がアミン系硬化剤であり、
前記エポキシ樹脂組成物を、E/A比が1.0未満となるように調製する、
エポキシ樹脂多孔質膜の製造方法、を提供する。
ここで、E/A比は、前記硬化剤の質量を前記硬化剤のアミン当量で除した値(A)に対する、前記エポキシ樹脂の質量を前記エポキシ樹脂のエポキシ当量で除した値(E)の比、であり、
エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含む前記エポキシ樹脂の質量を意味し、
アミン当量とは、前記硬化剤に含まれるアミノ基において窒素と結合した水素原子あたりの前記硬化剤の質量である。
さらに、本発明は、
本発明のエポキシ樹脂多孔質膜の製造方法により得られた、エポキシ樹脂多孔質膜、を提供する。
別の側面から、本発明は、
本発明のエポキシ樹脂多孔質膜を備えた、
蓄電デバイス用セパレータ、を提供する。
本発明によれば、強度の高いエポキシ樹脂多孔質膜の製造方法を得ることができる。また、この製造方法によって得られたエポキシ樹脂多孔質膜を得ることができる。さらに、このエポキシ樹脂多孔質膜の優れた特性を活かした蓄電デバイス用セパレータを得ることができる。
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電デバイスの概略断面図
以下は、本発明の実施形態を例示する説明であって、本発明を以下の実施形態に制限する趣旨ではない。以下において、常温とは、5℃〜35℃の温度範囲を意味する。また、「エポキシ当量」とは、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量を意味し、「アミン当量」とは、硬化剤に含まれるアミノ基において窒素と結合した水素原子あたりの硬化剤の質量である。
(エポキシ樹脂多孔質膜の製造方法)
本実施形態のエポキシ樹脂多孔質膜の製造方法は、例えば、下記(A)(B)及び(C)のいずれかの方法を用いることができる。方法(A)及び(B)は、エポキシ樹脂組成物をシート状に成形した後で硬化工程を実施する点で共通している。方法(C)は、エポキシ樹脂のブロック状の硬化体を作り、その硬化体をシート状に成形することを特徴としている。
方法(A)
エポキシ樹脂組成物のシート状成形体が得られるように、エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を基板上に塗布する。その後、エポキシ樹脂組成物のシート状成形体を加熱してエポキシ樹脂を三次元架橋させる。その際、エポキシ樹脂架橋体とポロゲンとの相分離により共連続構造が形成される。その後、得られたエポキシ樹脂シートからポロゲンを洗浄によって除去し、乾燥させることにより、三次元網目状骨格と連通する空孔とを有するエポキシ樹脂多孔質膜が得られる。基板の種類は特に限定されず、プラスチック基板、ガラス基板、金属板等を基板として使用できる。
方法(B)
エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を基板上に塗布する。その後、塗布したエポキシ樹脂組成物の上に別の基板を被せてサンドイッチ構造体を作製する。なお、基板と基板との間に一定の間隔を確保するために、基板の四隅にスペーサー(例えば、両面テープ)を設けてもよい。次に、サンドイッチ構造体を加熱してエポキシ樹脂を三次元架橋させる。その際、エポキシ樹脂架橋体とポロゲンとの相分離により共連続構造が形成される。その後、得られたエポキシ樹脂シートを取り出し、ポロゲンを洗浄によって除去し、乾燥させることにより、三次元網目状骨格と連通する空孔とを有するエポキシ樹脂多孔質膜が得られる。基板の種類は特に制限されず、プラスチック基板、ガラス基板、金属板等を基板として使用できる。特に、ガラス基板を好適に使用できる。
方法(C)
エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を所定形状の容器内に充填する。その後、エポキシ樹脂を三次元架橋させることによって、円筒状又は円柱状のエポキシ樹脂組成物の硬化体を作製する。その際、エポキシ樹脂架橋体とポロゲンとの相分離により共連続構造が形成される。その後、エポキシ樹脂組成物の硬化体を円筒軸又は円柱軸を中心に回転させながら、硬化体の表層部を所定の厚さに切削して長尺状のエポキシ樹脂シートを作製する。そして、エポキシ樹脂シートに含まれたポロゲンを洗浄によって除去し、乾燥させることにより、三次元網目状骨格と連通する空孔とを有するエポキシ樹脂多孔質膜が得られる。
以下、方法(C)を例として取り上げつつ、エポキシ樹脂多孔質膜の製造方法についてさらに詳細に説明する。なお、エポキシ樹脂組成物を調製する工程、エポキシ樹脂を硬化させる工程、ポロゲンを除去する工程等は、各方法に共通している。また、使用できる材料も各方法に共通である。
方法(C)によれば、エポキシ樹脂多孔質膜は、以下の主要な工程を経て製造されうる。
(i)エポキシ樹脂組成物を調製する。
(ii)エポキシ樹脂組成物の硬化体をシート状に成形する。
(iii)エポキシ樹脂シートからポロゲンを除去する。
まず、エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲン(細孔形成剤)を含むエポキシ樹脂組成物を調製する。具体的には、エポキシ樹脂及び硬化剤をポロゲンに溶解させて均一な溶液を調製する。
エポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂及び非芳香族エポキシ樹脂のいずれも使用可能である。芳香族エポキシ樹脂としては、ポリフェニルベースエポキシ樹脂、フルオレン環を含むエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートを含むエポキシ樹脂、複素芳香環(例えば、トリアジン環)を含むエポキシ樹脂等が挙げられる。ポリフェニルベースエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンベースエポキシ樹脂等が挙げられる。非芳香族エポキシ樹脂としては、脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂肪族グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルエステル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フルオレン環を含むエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートを含むエポキシ樹脂、脂環族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環族グリシジルアミン型エポキシ樹脂及び脂環族グリシジルエステル型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つが好適であり、これらの中でも6000以下のエポキシ当量を有するものを好適に使用できる。これらのエポキシ樹脂を使用すると、均一な三次元網目状骨格及び均一な空孔を形成できるとともに、エポキシ樹脂多孔質膜に優れた耐薬品性及び高い強度を付与できる。
本発明の一実施形態では、エポキシ樹脂組成物は、グリシジルアミン型エポキシ樹脂を含み、例えばエポキシ樹脂B(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)とエポキシ樹脂A(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、フルオレン環を含むエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートを含むエポキシ樹脂、脂環族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び脂環族グリシジルエステル型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つのエポキシ樹脂)とを含む。
エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂A、エポキシ樹脂Bの含有量は、エポキシ樹脂の全重量に対し、例えば、エポキシ樹脂Aが50〜99重量%、エポキシ樹脂Bが1〜50重量%であり、特にエポキシ樹脂Aが70〜99重量%、エポキシ樹脂Bが1〜30重量%である。エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂Aとエポキシ樹脂Bの配合比率を変えると、このエポキシ樹脂組成物から形成されるエポキシ樹脂多孔質膜の強度と平均孔径の調整が容易になる。
エポキシ樹脂Bは、アミン化合物のアミノ基の水素原子がグリシジル基で置換された構造を有するエポキシ樹脂であり、グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、特に高い架橋性の観点から2個以上のジグリシジルアミノ基を有することが好ましい。このようなエポキシ樹脂Bの具体例としては、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学株式会社から商品名「TETRAD(登録商標)−C」として市販されている)、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(三菱ガス化学株式会社から商品名「TETRAD(登録商標)−X」として市販されている)等の2個のジグリシジルアミノ基を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂Bを使用すると、均一な三次元網目状骨格及び均一な空孔を形成できるとともに、硬化後の架橋密度が向上し、エポキシ樹脂多孔質膜に高い強度と耐熱性及び耐薬品性を付与できる。エポキシ樹脂Bは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化剤としては、アミン系硬化剤を用い、芳香族硬化剤及び非芳香族硬化剤のいずれも使用可能である。芳香族硬化剤としては、芳香族アミン(例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルベンゼン)、芳香族酸無水物(例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸)、フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、複素芳香環を含むアミン(例えば、トリアジン環を含むアミン)等が挙げられる。非芳香族硬化剤としては、脂肪族アミン類(例えば、エチレンジアミン、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン(1,6−ジアミノヘキサン)、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン、ポリメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ポリエーテルジアミン)、脂環族アミン類(例えば、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、これらの変性品)、ポリアミン類とダイマー酸とを含む脂肪族ポリアミドアミン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、分子内に一級アミンを2個以上有する硬化剤を好適に使用できる。具体的には、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ポリメチレンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、及びテトラエチレンペンタミンからなる群より選ばれる少なくとも1つを好適に使用できる。これらの硬化剤を使用すると、均一な三次元網目状骨格及び均一な空孔を形成できるとともに、エポキシ樹脂多孔質膜に高い強度を付与できる。得られるエポキシ樹脂多孔質膜の架橋密度の高さ、より高い化学的安定性、並びに入手及び取り扱いの容易さから1,6−ヘキサンジアミンが好ましい。
エポキシ樹脂と硬化剤との組み合わせとしては、芳香族エポキシ樹脂と脂肪族アミン硬化剤との組み合わせ、芳香族エポキシ樹脂と脂環族アミン硬化剤との組み合わせ、又は脂環族エポキシ樹脂と芳香族アミン硬化剤との組み合わせが好ましい。これらの組み合わせにより、エポキシ樹脂多孔質膜に優れた耐熱性を付与できる。
本発明においては、エポキシ樹脂と硬化剤との配合比率である、E/A比に特徴がある。ここで、E/A比は、硬化剤の質量を硬化剤のアミン当量で除した値(A)に対する、エポキシ樹脂の質量をエポキシ樹脂のエポキシ当量で除した値(E)の比、を表す。
一般に、アミン系硬化剤とエポキシ基との反応によって生成される三級アミンが、エポキシ基の開環縮合反応を促進する。従って、アミン系硬化剤とエポキシ樹脂との反応は、理論値より少ないアミン量で実施することが可能である。また、硬化剤の割合が過多であると、エポキシ樹脂組成物の硬化不良が生じたり、エポキシ樹脂多孔質膜の耐熱性が低下したりすることがある。
本発明においては、エポキシ樹脂と硬化剤との配合比率は、E/A比が1.0未満であり、0.6超であることが好ましく、0.7〜0.95の範囲にあることがより好ましく、0.8以上0.95未満の範囲にあることが特に好ましく、0.8〜0.9の範囲にあることがさらに好ましい。
E/A比が1.0〜1.1の範囲にあるエポキシ樹脂多孔質膜に比べると、E/A比が1.0未満の範囲にある本実施形態のエポキシ樹脂多孔質膜は、エポキシ樹脂多孔質膜の強度、形状安定性が向上する。これは、エポキシ樹脂多孔質膜に含まれるアミン系硬化剤の割合が多くなることによって、エポキシ樹脂多孔質膜の靱性が向上したためと思われる。また、E/A比が1.0未満の範囲にあると、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤との反応速度が向上する。また、E/A比を変更することによって、エポキシ樹脂多孔質膜の強度の調整が容易になる。
ポロゲンは、エポキシ樹脂及び硬化剤を溶かすことができる溶剤でありうる。ポロゲンは、また、エポキシ樹脂と硬化剤とが重合した後、反応誘起相分離を生じさせることができる溶剤として使用される。具体的には、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテル等のエーテル類をポロゲンとして使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、分子量600以下のポリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル及びポリオキシエチレンジメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1つを好適に使用できる。特に、分子量200以下のポリエチレングリコール、分子量500以下のポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群より選ばれる少なくとも1つを好適に使用できる。これらのポロゲンを使用すると、均一な三次元網目状骨格及び均一な空孔を形成できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、個々のエポキシ樹脂又は硬化剤と常温で不溶又は難溶であっても、エポキシ樹脂と硬化剤との反応物が可溶となる溶剤についてはポロゲンとして使用可能である。このようなポロゲンとしては、例えば、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製「エピコート5058」)が挙げられる。
エポキシ樹脂多孔質膜の空孔率、平均孔径及び孔径分布は、原料の種類、原料の配合比率及び反応条件(例えば、反応誘起相分離時における加熱温度及び加熱時間)に応じて変化する。そのため、目的とする空孔率、平均孔径、孔径分布を得るために、最適な条件を選択することが好ましい。また、相分離時におけるエポキシ樹脂架橋体の分子量、分子量分布、溶液の粘度、架橋反応速度等を制御することにより、エポキシ樹脂架橋体とポロゲンとの共連続構造を特定の状態で固定し、安定した多孔質構造を得ることができる。
硬化剤の他に、目的とする多孔質構造を得るために、溶液中に硬化促進剤を添加してもよい。硬化促進剤としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の3級アミン、2−フェノール−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェノール−4,5−ジヒドロキシイミダゾール等のイミダゾール類が挙げられる。
エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンの総重量に対して、一般には、40〜80重量%のポロゲンを使用することができる。適切な量のポロゲンを使用することにより、所望の空孔率、平均孔径及び通気度を有するエポキシ樹脂多孔質膜を形成しうる。
エポキシ樹脂多孔質膜の平均孔径を所望の範囲に調節する方法の1つとして、エポキシ当量の異なる2種以上のエポキシ樹脂を混合して用いる方法が挙げられる。その際、エポキシ当量の差は100以上であることが好ましく、常温で液状のエポキシ樹脂と常温で固形のエポキシ樹脂とを混合して用いる場合もある。
次に、エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンを含む溶液からエポキシ樹脂組成物の硬化体を作製する。具体的には、溶液を容器に充填し、必要に応じて加熱する。エポキシ樹脂を三次元架橋させることによって、所定の形状を有する硬化体が得られる。その際、エポキシ樹脂架橋体とポロゲンとが相分離することにより、共連続構造が形成される。
硬化体の形状は特に限定されない。円柱状又は円筒状の容器を使用すれば、円筒又は円柱の形状を有する硬化体を得ることができる。硬化体が円筒又は円柱の形状を有していると切削工程を実施しやすい。
硬化体の寸法は特に限定されない。硬化体が円筒又は円柱の形状を有している場合、エポキシ樹脂多孔質膜の製造効率の観点から、硬化体の直径は、例えば20cm以上であり、好ましくは30〜150cmである。硬化体の長さ(軸方向)も、得るべきエポキシ樹脂多孔質膜の寸法を考慮して適宜設定することができる。硬化体の長さは、例えば20〜200cmであり、取扱いやすさの観点から20〜150cmであることが好ましく、20〜120cmであることがより好ましい。
次に、硬化体をシート状に成形する。円筒又は円柱の形状を有する硬化体は、以下の方法でシート状に成形されうる。具体的には、硬化体をシャフトに取り付け、長尺の形状を有するエポキシ樹脂シートが得られるように、切削刃(スライサー)を用いて、硬化体の側面の表層部を所定の厚さで切削(スライス)する。詳細には、硬化体の円筒軸O(又は円柱軸)を中心として、切削刃に対して硬化体を相対的に回転させながら硬化体の表層部を切削する。この方法によれば、効率的にエポキシ樹脂シートを作製することができる。
硬化体を切削するときのライン速度は、例えば2〜70m/minの範囲にある。エポキシ樹脂シートの厚さは、エポキシ樹脂多孔質膜の目標厚さ(5〜50μm)に応じて決定される。ポロゲンを除去して乾燥させると厚さが若干減少するので、エポキシ樹脂シートは、通常、エポキシ樹脂多孔質膜の目標厚さよりも若干厚い。エポキシ樹脂シートの長さは特に限定されないが、エポキシ樹脂シートの製造効率の観点から、例えば100m以上であり、好ましくは1000m以上である。
さらに、エポキシ樹脂シートからポロゲンを抽出し、除去する(多孔化工程)。具体的には、溶剤にエポキシ樹脂シートを浸漬することによって、エポキシ樹脂シートからポロゲンを除去することが好ましい。これにより、エポキシ樹脂多孔質膜が得られる。溶剤としては、環境に対する負荷が大きくないハロゲンフリーの溶剤が好ましい。
エポキシ樹脂シートからポロゲンを除去するためのハロゲンフリーの溶剤として、水、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)及びTHF(テトラヒドロフラン)からなる群より選ばれる少なくとも1つをポロゲンの種類に応じて使用できる。また、水、二酸化炭素等の超臨界流体もポロゲンを除去するための溶剤として使用できる。エポキシ樹脂シートからポロゲンを積極的に除去するために、超音波洗浄を行ってもよく、また、溶剤を加熱して用いてもよい。
ポロゲンを除去するための洗浄装置も特に限定されず、公知の洗浄装置を使用できる。エポキシ樹脂シートを溶剤に浸漬することによってポロゲンを除去する場合には、洗浄槽を複数備えた多段洗浄装置を好適に使用できる。洗浄の段数としては、3段以上がより好ましい。また、カウンターフローを利用することによって、実質的に多段洗浄を行ってもよい。さらに、各段の洗浄で、溶剤の温度を変えたり、溶剤の種類を変えたりしてもよい。
ポロゲンを除去した後、エポキシ樹脂多孔質膜の乾燥処理を行う。乾燥条件は特に限定されず、温度は通常40〜120℃程度であり、50〜100℃程度が好ましく、乾燥時間は10秒〜5分程度である。乾燥処理には、テンター方式、フローティング方式、ロール方式、ベルト方式等の公知のシート乾燥方法を採用した乾燥装置を使用できる。複数の乾燥方法を組み合わせてもよい。ただし、引き続き処理剤を用いた処理工程を行う場合には、この乾燥工程は省略してもよい。
必要に応じ、本実施形態のエポキシ樹脂多孔質膜の製造方法は、エポキシ樹脂多孔質膜又はエポキシ樹脂シートに処理液を接触させる処理工程、をさらに具備していてもよい。
すなわち、本実施形態のエポキシ樹脂多孔質膜の製造方法は、
膜厚が5〜50μmの範囲にあるエポキシ樹脂多孔質膜の製造方法であって、
エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を調製する工程と、
エポキシ樹脂組成物の硬化体をシート状に成形する工程と、
エポキシ樹脂シートから溶剤を用いてポロゲンを除去して多孔化する多孔化工程と、
エポキシ樹脂多孔質膜又はエポキシ樹脂シートに処理液を接触させる処理工程と、
を具備する、
エポキシ樹脂多孔質膜の製造方法、であってもよい。
以下、エポキシ樹脂多孔質膜又はエポキシ樹脂シートに処理液を接触させる処理工程について詳細に説明する。
処理液は処理剤を含む溶液である。処理液としては、液体である処理剤又は処理剤を含む溶液を用いることができる。処理剤は、カルボン酸類、無機酸及び多価有機酸からなる群より選ばれる少なくとも1つに相当する処理剤を用いることができる。カルボン酸類は、カルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハライドである。多価有機酸は、カルボキシル基を複数有する有機酸である。
カルボン酸類は、例えば以下のような化合物が挙げられる。カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸等の脂肪族モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、トリル酢酸等の芳香族モノカルボン酸を例示できる。カルボン酸塩としては、上記に例示したカルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、遷移金属塩を挙げることができる。カルボン酸無水物としては、上記に例示したカルボン酸の無水物、例えば無水酢酸、無水フタル酸、を挙げることができる。カルボン酸ハライドとしては、上記に例示したカルボン酸のハロゲン化物、具体的にはカルボン酸フッ化物、カルボン酸塩化物、カルボン酸臭化物、カルボン酸ヨウ化物を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カルボン酸ハライド又はカルボン酸の無水物が好ましく、処理の容易さから無水酢酸が好ましい。
カルボン酸類を含む溶液をエポキシ樹脂多孔質膜又は多孔化する前のエポキシ樹脂シートに接触させることにより、エポキシ樹脂多孔質膜に含まれる水酸基又はエポキシ樹脂シートを構成するエポキシ樹脂組成物の硬化体に含まれる水酸基と処理剤とを反応させてカルボン酸エステル結合が生成される(以下、カルボン酸類を用いた処理を「エステル化処理」と呼ぶことがある)。多孔化する前のエポキシ樹脂シートにエステル化処理を実施しても、多孔化後に得られる膜(エポキシ樹脂多孔質膜)には生成したカルボン酸エステル結合が残存する。
エステル化処理により、エポキシ樹脂多孔質膜に含まれる水酸基の量が減少する。カルボン酸類と反応する水酸基は、反応に関与しうる状態でエポキシ樹脂多孔質膜に含まれていたものである。以下、反応に関与しうる状態にある水酸基等の官能基を「活性水酸基」等ということがある。この意味において、例えば樹脂中に埋もれていて反応種と接触できない水酸基は不活性である。
硬化反応が十分に進行すると、アミン系硬化剤は、3級アミンとしてエポキシ樹脂の分子鎖中に取り込まれる。しかし、硬化反応が十分に進行しないと、アミン系の硬化剤は、典型的には2級アミンとしてエポキシ樹脂多孔質膜に残存する。この2級アミンも、活性水酸基と同様、エポキシ樹脂多孔質膜内に活性な反応点を形成し得る。しかし、上記のように処理剤を用いた処理を実施すると、2級アミン(−NH−)は、処理剤と反応して3級アミン(−NM−;ここで、Mは−C(=O)R)へと変化し、カルボン酸アミド結合が生成する。カルボン酸アミド結合は、一般式:N−C(=O)−Rにより示される。カルボン酸類を用いた処理は、基本的には活性水酸基の量を減少させるためのものであるが、エポキシ樹脂の硬化反応が不十分であって2級アミンが相当量存在するエポキシ樹脂多孔質膜については、反応に関与しうる2級アミン(活性2級アミン)の量も併せて減少させるものとして利用できる。
なお、硬化剤がすべて3級アミンに変化したとしても、エポキシ基の開環により生成した水酸基はエポキシ樹脂多孔質膜に残存し得る。従って、カルボン酸類による処理は、通常、少なくともカルボン酸エステル結合を生成させるものとなり、活性2級アミンが残存するエポキシ樹脂多孔質膜についてはカルボン酸エステル結合とともにカルボン酸アミド結合を生成させるものとなる。
以上のように、エステル化処理を受けたエポキシ樹脂多孔質膜は、活性水酸基等の活性な官能基の量が低減し、エポキシ樹脂多孔質膜内の活性な反応点が減少する。従って、高い化学的安定性を有し、電解液中における長期安定性を備えるため、非水電解質蓄電デバイス用セパレータとして適したものとなる。
無機酸としては、好ましくは塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ヘキサフルオロリン酸及びテトラフルオロホウ酸からなる群より選ばれる少なくとも1つを用いることができる。
無機酸を含む溶液とエポキシ樹脂組成物とが接触すると、エポキシ樹脂組成物に含まれるアミノ基が正の電荷を帯びる。このとき、無機酸に含まれるアニオンの周囲には、電気的な引力により正の電荷を帯びたアミノ基が存在することになる。比較的大きい無機酸のアニオンの周囲には複数のアミノ基が存在することとなるため、エポキシ樹脂多孔質膜に含まれるポリマー鎖がアニオンを介して架橋されたような構造となる。
アニオンを介して正に帯電したアミノ基が間接的に結合したエポキシ樹脂多孔質膜は、
架橋密度が増加したエポキシ樹脂多孔質膜と同様に、形状安定性が改善されたものとなり、強度が向上する。
E/A比が1.0未満の範囲にある本実施形態においては、エポキシ樹脂組成物にはアミノ基が多く含まれる。アニオンの周囲にはより多くのアミノ基が存在し、アニオンを介した架橋されたような構造が多く形成されると思われる。従って、無機酸を用いた処理によって、より強度の向上したエポキシ樹脂多孔質膜が得られる。
多価有機酸としては、カルボキシル基を2以上有する有機酸を用いることができる。例えば、カルボキシル基を2有するシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、カルボキシル基を3有するクエン酸、イソクエン酸、トリメリット酸、カルボキシル基を4有する1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。架橋の安定性等の観点から、多価有機酸はカルボキシル基を3以上有する有機酸を用いることが好ましく、カルボキシル基を3〜4有する有機酸を用いることがより好ましい。入手及び取扱いの容易さ等の観点から、クエン酸及びイソクエン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つを用いることがさらに好ましい。
多価有機酸を用いた処理を実施することによって、官能基の相互に作用しうる電気的な引力により、エポキシ樹脂に含まれるアミノ基の周囲に、多価有機酸のカルボキシル基が引き寄せられると考えられる。多価有機酸は複数のカルボキシル基を有しているため、本実施形態のエポキシ樹脂多孔質膜は、多価有機酸を介してアミノ基が相互に結びついた架橋構造を有すると考えられる。多価有機酸を介した架橋構造を有するエポキシ樹脂多孔質膜は、架橋密度が増加したエポキシ樹脂多孔質膜と同様、形状安定性が改善されたものとなり、強度が向上する。
E/A比が1.0未満の範囲にある本実施形態においては、エポキシ樹脂組成物にはアミノ基が多く含まれる。多価有機酸の周囲にはより多くのアミノ基が存在し、多価有機酸を介した架橋構造が多く形成される。従って、多価有機酸を用いた処理によって、より強度の向上したエポキシ樹脂多孔質膜が得られる。
処理剤を用いたこれらの反応は、例えば赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)を測定することにより確認することができる。
必要に応じて複数回の処理工程を実施することができる。具体例として、処理剤としてカルボン酸類と無機酸とを用いる場合を取り上げ、以下において詳細に説明する。
カルボン酸類と無機酸とを用いる処理工程においては、下記(a)〜(d)のいずれかの方法を用いることができる。
(a)カルボン酸類と無機酸とを含有する溶液を処理液として用いる工程、
(b)無機酸を含有する溶液を処理液として用いる処理工程(b1)と、前記処理工程(b1)後にカルボン酸類を含有する溶液を処理液として用いる処理工程(b2)とを具備する工程、
(c)カルボン酸類を含有する溶液を処理液として用いる処理工程(c1)と、前記処理工程(c1)後に無機酸を含有する溶液を処理液として用いる処理工程(c2)とを具備する工程、
(d)カルボン酸類を含有する溶液と無機酸を含有する溶液とをそれぞれ作製し、同時に処理剤として用いる工程。
処理工程は、製造効率の観点から(a)〜(c)のいずれか1つの工程であることが好ましい。処理剤とエポキシ樹脂との反応効率の観点から、上記の工程(b)がより好ましい。
以下、工程(b)を例として取り上げつつ、処理工程についてさらに詳細に説明する。なお、使用できる材料、処理工程を行う方法等は(a)〜(d)において共通である。
処理工程(b)は、ポロゲンを除去する多孔化工程の前後いずれに実施してもよい。処理工程(b)は、多孔化工程との併合工程として実施することもできる。すなわち、処理工程(b)と多孔化工程との関係は、以下の1)〜5)のとおりとなる。
1)処理工程(b1)及び(b2)は多孔化工程の前に実施することができる。この場合は、多孔化される前のエポキシ樹脂組成物の硬化体とポロゲンとを含むエポキシ樹脂シートが処理の対象となる。
2)処理工程(b1)及び(b2)は多孔化工程の後に実施することができる。この場合は、エポキシ樹脂多孔質膜が処理の対象となる。
3)処理工程(b1)は多孔化工程の前に、処理工程(b2)は多孔化工程の後に実施することができる。
4)処理工程(b1)は多孔化工程との併合工程として実施することができる。この場合は、処理工程(b1)と多孔化工程との併合工程において、上記処理剤とポロゲンを除去するための溶剤とを含む処理液が用いられる。処理工程(b2)は多孔化工程の後に実施することができる。
5)処理工程(b1)は多孔化工程の前に実施し、処理工程(b2)は多孔化工程との併合工程として実施することができる。この場合は、処理工程(b2)と多孔化工程との併合工程において、上記処理剤とポロゲンを除去するための溶剤とを含む処理液が用いられる。
処理工程(b)は、処理剤を含む処理液にエポキシ樹脂多孔質膜又は多孔化する前のエポキシ樹脂シートを接触させること、具体的には(ア)処理液にエポキシ樹脂多孔質膜又はエポキシ樹脂シートを浸漬させる、又は(イ)処理液をエポキシ樹脂多孔質膜又はエポキシ樹脂シートに塗布又は噴霧する、ことにより実施することができる。処理液に含まれる溶媒としては、水、メタノール又はこれらの混合溶媒が好適であるが、これに限らず、処理剤の種類によっては、溶媒としてトルエン、若しくは酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、エタノール、イソプロパノール等の極性溶媒、又はこれらの混合溶媒等を用いてもよい。また、処理剤が処理温度で液体である場合は、その液体をそのまま処理液として用いることも可能である。即ち、処理液としては、液体である処理剤又は処理剤を含む溶液を用いることができる。
処理液の塗布又は噴霧による官能基の処理は、処理液の蒸発を考慮する必要がないために処理液の濃度調整が不要であるとともに処理液の必要量を見積もりやすいこと、吐出口の温度を調整すれば容易に処理液の温度を制御できること等の理由から、量産に適している。
処理液を用いた処理は、(ウ)処理液の蒸気をエポキシ樹脂多孔質膜に接触させることにより実施することもできる。例えば、巻き取った状態のエポキシ樹脂多孔質膜、すなわちエポキシ樹脂多孔質膜の巻回体を、処理液の蒸気を含む雰囲気に接した状態で静置しておくことにより、処理することが可能である。この処理は、例えばエポキシ樹脂多孔質膜の巻回体を内部に静置した容器や処理室に処理液の蒸気を供給することにより実施することができる。
処理液は、常温でエポキシ樹脂多孔質膜又はエポキシ樹脂シートに接触させれば足りるが、必要に応じて、常温を超える温度にまで加熱してもよい。この場合の加熱温度は、用いる溶媒の種類にもよるが、例えば常温を超え120℃の範囲、特に常温を超え100℃の範囲である。また、処理時間は、エポキシ樹脂多孔質膜等の表面に処理剤が十分行き渡る時間とすればよいが、浸漬又は塗布による場合は、例えば常温では10秒間〜30分間、常温を超えた温度域では1秒間〜5分間が適切である。
処理液との接触の後、必要に応じてエポキシ樹脂多孔質膜を加熱してもよい。
膜中に存在する過剰の処理剤を除去するために、エポキシ樹脂多孔質膜を洗浄してもよく、この場合さらに乾燥処理が実施される。洗浄のための溶剤としては、水が適しているが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、これらの混合溶媒、これらと水との混合溶媒等を用いてもよい。洗浄及び乾燥のための装置並びに温度については、ポロゲンの洗浄及び乾燥について上述した装置及び温度を適用することができる。なお、三次元網目状骨格に保持された無機酸又は多価有機酸は、電気的な引力によりアミノ基と結合しているため、上記のような水等を用いた洗浄では除去されにくい。
上記1)〜5)のいずれを採用する場合でも、本実施形態では、多孔化工程及び処理工程の前に、エポキシ樹脂シートを得るための工程として、
エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を調製する工程と、
エポキシ樹脂シートが得られるように、エポキシ樹脂組成物の硬化体をシート状に成形する又はエポキシ樹脂組成物のシート状成形体を硬化させる工程と、が実施されることは上述したとおりである。
本実施形態の製造方法で得られたエポキシ樹脂多孔質膜は、5〜50μmの範囲の厚さを有する。
(非水電解質蓄電デバイス)
本発明のエポキシ樹脂多孔質膜は、電気絶縁維持膜として用いることが可能である。その一例として、蓄電デバイス用セパレータがあげられる。また、この蓄電デバイス用セパレータを備えた蓄電デバイスを得ることができる。蓄電デバイスの例としては、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタ等の非水電解質蓄電デバイス、電気二重層キャパシタ等の水系電解質蓄電デバイス、アルミニウム電解コンデンサ等の電解コンデンサが挙げられる。
本実施形態では、添付の図面を参照しつつ、蓄電デバイスの一例である非水電解質蓄電デバイスについて説明する。本実施形態の非水電解質蓄電デバイスは、非水電解質蓄電デバイス用セパレータを備え、この非水電解質蓄電デバイス用セパレータは本発明のエポキシ樹脂多孔質膜を備えている。
図1に示すように、本実施形態に係る非水電解質蓄電デバイス100は、二種類の電極、すなわちカソード2とアノード3、セパレータ4及びケース5を備えている。セパレータ4は、カソード2とアノード3との間に配置されている。カソード2、アノード3及びセパレータ4は、一体的に巻回されて発電要素としての電極群10を構成している。電極群10は、底部を有するケース5に収容されている。蓄電デバイス100は、典型的には、リチウムイオン二次電池である。
本実施形態において、ケース5は円筒の形状を有している。すなわち、蓄電デバイス100は円筒の形状を有している。しかし、蓄電デバイス100の形状は特に限定されない。蓄電デバイス100は、例えば、扁平な角型の形状を有していてもよい。また、電極群10は巻回構造を必須としない。カソード2、セパレータ4及びアノード3が単に積層されることによって、板状の電極群が形成されていてもよい。ケース5は、ステンレス、アルミニウム等の金属で作られている。さらに、電極群10が可撓性を有する材料で作られたケースに入れられていてもよい。可撓性を有する材料は、例えば、アルミニウム箔と、アルミニウム箔の両面に貼り合わされた樹脂フィルムとで構成されている。
蓄電デバイス100は、さらに、カソードリード2a、アノードリード3a、蓋体6、パッキン9及び2つの絶縁板8を備えている。蓋体6は、パッキン9を介してケース5の開口部に固定されている。2つの絶縁板8は、電極群10の上部と下部とにそれぞれ配置されている。カソードリード2aは、カソード2に電気的に接続された一端と、蓋体6に電気的に接続された他端とを有する。アノードリード3aは、アノード3に電気的に接続された一端と、ケース5の底部に電気的に接続された他端とを有する。蓄電デバイス100の内部にはイオン伝導性を有する非水電解質(典型的には非水電解液)が充填されている。非水電解質は、電極群10に含浸されている。これにより、セパレータ4を通じて、カソード2とアノード3との間でイオン(典型的にはリチウムイオン)の移動が可能となっている。
カソード2は、例えば、リチウムイオンを吸蔵及び放出しうるカソード活物質と、バインダーと、集電体とで構成されうる。例えば、バインダーを含む溶液にカソード活物質を混合して合剤を調製し、この合剤をカソード集電体に塗布及び乾燥させることによってカソード2を作製できる。
カソード活物質としては、例えば、リチウムイオン二次電池のカソード活物質として用いられている公知の材料を使用できる。具体的には、リチウム含有遷移金属酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化物、カルコゲン化合物等をカソード活物質として使用できる。リチウム含有遷移金属酸化物としては、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、それらの遷移金属の一部が他の金属で置換された化合物が挙げられる。リチウム含有遷移金属リン酸化物としては、LiFePO4、LiFePO4の遷移金属(Fe)の一部が他の金属で置換された化合物が挙げられる。カルコゲン化合物としては、二硫化チタン、二硫化モリブデンが挙げられる。
バインダーとしては、公知の樹脂を使用できる。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ヘキサフロロプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンターポリマー等の炭化水素系樹脂、それらの混合物をバインダーとして使用できる。導電助剤として、カーボンブラック等の導電性粉末がカソード2に含まれていてもよい。
カソード集電体としては、耐酸化性に優れた金属材料、例えば箔状又はメッシュ状に加工されたアルミニウムが好適に用いられる。
アノード3は、例えば、リチウムイオンを吸蔵及び放出しうるアノード活物質と、バインダーと、集電体とで構成されうる。アノード3も、カソード2と同様の方法で作製できる。カソード2で用いたバインダーと同様のものをアノード3に使用できる。
アノード活物質としては、例えば、リチウムイオン二次電池のアノード活物質として用いられている公知の材料を使用できる。具体的には、炭素系活物質、リチウムと合金を形成しうる合金系活物質、リチウムチタン複合酸化物(例えばLi4Ti512)等をアノード活物質として使用できる。炭素系活物質としては、コークス、ピッチ、フェノール樹脂、ポリイミド、セルロース等の焼成体、人造黒鉛、天然黒鉛等が挙げられる。合金系活物質としては、アルミニウム、スズ、スズ化合物、シリコン、シリコン化合物等が挙げられる。
アノード集電体としては、例えば、還元安定性に優れた金属材料、例えば箔状又はメッシュ状に加工された銅又は銅合金が好適に用いられる。リチウムチタン複合酸化物等の高電位アノード活物質を用いる場合には、箔状又はメッシュ状に加工されたアルミニウムもアノード集電体として使用できる。
非水電解液は、典型的には、非水溶媒及び電解質を含んでいる。具体的には、例えば、リチウム塩(電解質)を非水溶媒に溶解させた電解液を好適に使用できる。また、非水電解液を含むゲル電解質、リチウム塩をポリエチレンオキシド等のポリマーに溶解及び分解させた固体電解質等も非水電解質として使用できる。リチウム塩としては、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、トリフロロスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)等が挙げられる。非水溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、これらの混合物等が挙げられる。
次に、セパレータ4について詳しく説明する。
本実施形態において、セパレータ4は、三次元網目状骨格と、空孔とを備えた上述の本発明のエポキシ樹脂多孔質膜を備えている。セパレータ4の表面と裏面との間でイオンが移動できるように、つまり、カソード2とアノード3との間をイオンが移動できるように、隣り合う空孔は互いに連通していてもよい。
セパレータ4は、例えば、5〜50μmの範囲の厚さを有する。セパレータ4が厚すぎると、カソード2とアノード3との間のイオンの移動が困難となる。5μm未満の厚さのセパレータ4を製造することは不可能ではないが、蓄電デバイス100の信頼性を確保するうえで、5μm以上、特に10μm以上の厚さが好ましい。
セパレータ4は、例えば、20〜80%の範囲の空孔率を有していてもよい。また、0.02〜1μm、特に0.2〜0.4μmの範囲の平均孔径を有してもよい。空孔率及び平均孔径がこのような範囲に調節されていると、セパレータ4は、必要とされる機能を十分に発揮しうる。
なお、平均孔径は、水銀圧入法による他、走査型電子顕微鏡でセパレータ4の断面を観察して求めることができる。具体的には、視野幅60μm、かつ表面から所定の深さ(例えば、セパレータ4の厚さの1/5〜1/100)までの範囲内に存在する空孔のそれぞれについて、画像処理を行って孔径を求め、それらの平均値を平均孔径として求めることができる。画像処理は、例えば、フリーソフト「Image J」又はAdobe社製「Photoshop」を使用して行える。
また、セパレータ4は、例えば1〜1000秒/100cm3、特に10〜1000秒/100cm3の範囲の通気度(ガーレー値)を有していてもよい。セパレータ4がこのような範囲に通気度を有していることにより、カソード2とアノード3との間をイオンが容易に移動しうる。通気度は、日本工業規格(JIS)P8117に規定された方法に従って測定できる。
なお、セパレータ4は、エポキシ樹脂多孔質膜のみで構成されていてもよいし、エポキシ樹脂多孔質膜と他の多孔質材料との積層体で構成されていてもよい。他の多孔質材料としては、ポリエチレン多孔質膜、ポリプロピレン多孔質膜等のポリオレフィン多孔質膜、セルロース多孔質膜、フッ素樹脂多孔質膜等が挙げられる。他の多孔質材料は、エポキシ樹脂多孔質膜の片面にのみ設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。
同様に、セパレータ4は、エポキシ樹脂多孔質膜と補強材との積層体で構成されていてもよい。補強材としては、織布、不織布等が挙げられる。補強材は、エポキシ樹脂多孔質膜の片面にのみ設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。
(水系電解質蓄電デバイス)
本発明の別の実施形態として、本発明のエポキシ樹脂多孔質膜は、水系電解質蓄電デバイス用セパレータに用いることができる。また、この水系電解質蓄電デバイス用セパレータを備えた、水系電解質蓄電デバイスを形成できる。具体的には、正極と、負極と、正極と負極との間に配置された、本実施形態のセパレータと、セパレータに含浸した水系電解液と、を備えた、水系電解質蓄電デバイスを形成できる。水系電解質蓄電デバイスの具体例としては、例えば電気二重層キャパシタである。
(電解コンデンサ)
さらに別の実施形態として、本発明のエポキシ樹脂多孔質膜は、電解コンデンサ用セパレータに用いることができる。また、この電解コンデンサ用セパレータを備えた、電解コンデンサを形成できる。具体的には、陽極と、陰極と、陽極と陰極との間に配置された、本実施形態のセパレータと、セパレータに含浸した電解液と、を備えた、電解コンデンサである。電解コンデンサは、例えばアルミニウム電解コンデンサである。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下において、RO水は逆浸透膜を用いて処理して得た純水を意味する。特性の評価方法は以下のとおりとした。
[針強度(突き刺し強度)]
カトーテック株式会社製圧縮試験機KES−G5を使用してエポキシ樹脂多孔質膜の突き刺し試験を行った。測定により得られた荷重変位曲線より最大荷重を読みとって針強度値とした。針は直径1mm、先端曲率半径0.5mmを用い、2mm/秒の速度で行った。
(比較例1)
3Lの円筒形のポリ容器にjER(登録商標)828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、エポキシ当量184〜194g/eq.)100重量部をポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)165.7重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン15.1重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。
その後、遊星撹拌装置(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎(登録商標)」)を用い、約0.7kPaで真空脱泡すると同時に自/公転比率3/4の条件下、公転800rpmの比率で10分間撹拌する手順を2回繰り返した。
その後、数日間自然冷却させ、ポリ容器からエポキシ樹脂ブロックを取り出し、切削旋盤装置を用いて20μmの厚みで連続的にスライスしてエポキシ樹脂シートを得た。該エポキシ樹脂シートをRO水/DMF=1/1(v/v)混合液中で10分間超音波洗浄した後、RO水のみで10分間超音波洗浄し、RO水中12時間浸漬させてポリプロピレングリコールを除去した。その後、80℃での乾燥を2時間行って、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。
(比較例2)
3Lの円筒形のポリ容器にjER(登録商標)828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、エポキシ当量184〜194g/eq.)100重量部とポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)163.7重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン13.8重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後の工程は比較例1と同様に実施し、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。
(実施例1)
3Lの円筒形のポリ容器にjER(登録商標)828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、エポキシ当量184〜194g/eq.)100重量部とポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)166.8重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン15.9重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後の工程は比較例1と同様に実施し、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。
(実施例2)
3Lの円筒形のポリ容器にjER(登録商標)828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、エポキシ当量184〜194g/eq.)100重量部とポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)168.1重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン16.8重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後の工程は比較例1と同様に実施し、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。
(実施例3)
3Lの円筒形のポリ容器にjER(登録商標)828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、エポキシ当量184〜194g/eq.)100重量部とポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)169.5重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン17.8重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後の工程は比較例1と同様に実施し、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。
(実施例4)
3Lの円筒形のポリ容器にjER(登録商標)828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、エポキシ当量184〜194g/eq.)100重量部とポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)171.1重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン18.9重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後の工程は比較例1と同様に実施し、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。
(比較例3)
3Lの円筒形のポリ容器にjER(登録商標)828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、エポキシ当量184〜194g/eq.)100重量部、TETRAD(登録商標)−C(グリシジルアミン型エポキシ樹脂、三菱ガス化学株式会社製、エポキシ当量95〜110g/eq.)25重量部をポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)211.9重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン22.3重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。
その後、遊星撹拌装置(株式会社シンキー製、商品名「あわとり練太郎(登録商標)」)を用い、約0.7kPaで真空脱泡すると同時に自/公転比率3/4の条件下、公転800rpmの比率で10分間撹拌する手順を2回繰り返した。
その後、数日間自然冷却させ、ポリ容器からエポキシ樹脂ブロックを取り出し、切削旋盤装置を用いて20μmの厚みで連続的にスライスしてエポキシ樹脂シートを得た。該エポキシ樹脂シートをRO水/DMF=1/1(v/v)混合液中で10分間超音波洗浄した後、RO水のみで10分間超音波洗浄し、RO水中12時間浸漬させてポリプロピレングリコールを除去した。その後、80℃での乾燥を2時間行って、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。
(実施例5)
3Lの円筒形のポリ容器にjER(登録商標)828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、エポキシ当量184〜194g/eq.)100重量部、TETRAD(登録商標)−C(グリシジルアミン型エポキシ樹脂、三菱ガス化学株式会社製、エポキシ当量95〜110g/eq.)25重量部をポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)215.5重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン24.7重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後の工程は比較例3と同様に実施し、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。
(実施例6)
3Lの円筒形のポリ容器にjER(登録商標)828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、エポキシ当量184〜194g/eq.)100重量部、TETRAD(登録商標)−C(グリシジルアミン型エポキシ樹脂、三菱ガス化学株式会社製、エポキシ当量95〜110g/eq.)25重量部をポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)217.5重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン26.2重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後の工程は比較例3と同様に実施し、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。
(実施例7)
3Lの円筒形のポリ容器にjER(登録商標)828(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三菱化学株式会社製、エポキシ当量184〜194g/eq.)100重量部、TETRAD(登録商標)−C(グリシジルアミン型エポキシ樹脂、三菱ガス化学株式会社製、エポキシ当量95〜110g/eq.)25重量部をポリプロピレングリコール(株式会社ADEKA製、アデカポリエーテルP−400)219.9重量部に溶解させ、エポキシ樹脂/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後、このポリ容器に1,6−ジアミノヘキサン27.8重量部を添加し、エポキシ樹脂/アミン/ポリプロピレングリコール溶液を調製した。その後の工程は比較例3と同様に実施し、エポキシ樹脂多孔質膜を得た。
以上により得たエポキシ樹脂多孔質膜について物性を測定した。結果を表1及び2に示す。
Figure 2015168694
Figure 2015168694
本発明によって提供されるエポキシ樹脂多孔質膜は、蓄電デバイス用セパレータ、分離ろ過膜、通音膜等に使用できる。
2 カソード
3 アノード
4 セパレータ
100 非水電解質電池

Claims (4)

  1. 膜厚が5〜50μmの範囲にあるエポキシ樹脂多孔質膜の製造方法であって、
    エポキシ樹脂、硬化剤及びポロゲンを含むエポキシ樹脂組成物を調製する工程と、
    エポキシ樹脂組成物の硬化体をシート状に成形する工程と、
    エポキシ樹脂シートから溶剤を用いてポロゲンを除去して多孔化する多孔化工程と、
    を具備し、
    前記硬化剤がアミン系硬化剤であり、
    前記エポキシ樹脂組成物を、E/A比が1.0未満となるように調製する、
    エポキシ樹脂多孔質膜の製造方法。
    ここで、E/A比は、前記硬化剤の質量を前記硬化剤のアミン当量で除した値(A)に対する、前記エポキシ樹脂の質量を前記エポキシ樹脂のエポキシ当量で除した値(E)の比、であり、
    エポキシ当量とは、1当量のエポキシ基を含む前記エポキシ樹脂の質量を意味し、
    アミン当量とは、前記硬化剤に含まれるアミノ基において窒素と結合した水素原子あたりの前記硬化剤の質量である。
  2. 前記E/A比が0.6を超える、
    請求項1に記載のエポキシ樹脂多孔質膜の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂多孔質膜の製造方法により得られた、
    エポキシ樹脂多孔質膜。
  4. 請求項3に記載のエポキシ樹脂多孔質膜を備えた、
    蓄電デバイス用セパレータ。
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