以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、下記一般式(I)で表される化合物を、出発原料にする。
(式中、R
1は水素、メチル基またはアセチル基を示し、R
2は水素またはアセトキシ基を示し、R
3はアルキル基、カルボキシ基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、酸クロリド基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示す。)
前記一般式(I)において、R1は水素、メチル基、またはアセチル基である。
前記一般式(I)において、R2は水素またはアセトキシ基である。
前記一般式(I)において、R3はアルキル基、カルボキシ基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、酸クロリド基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基であり、好ましくは、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、アミド基、酸クロリド基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基である。
R3がカルボキシ基である前記一般式(I)で表される化合物として、以下の化合物が例示される。
R1が水素、R2が水素、R3がカルボキシ基である前記一般式(I)で表される化合物は、3−ヒドロキシ桂皮酸である。
R1が水素、R2がアセトキシ基、R3がカルボキシ基のとき、2−アセトキシ−3−ヒドロキシ桂皮酸、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ桂皮酸等が挙げられる。
R1がメチル基、R2が水素、R3がカルボキシ基のとき、3−メトキシ桂皮酸である。
R1がメチル基、R2がアセトキシ基、R3がカルボキシ基のとき、2−アセトキシ−3−メトキシ桂皮酸、3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮酸等が挙げられる。
R1がアセチル基、R2が水素、R3がカルボキシ基のとき、3−アセトキシ桂皮酸である。
R1がアセチル基、R2がアセトキシ基、R3がカルボキシ基のとき、2,3−ジアセトキシ桂皮酸、3,4−ジアセトキシ桂皮酸等があげられる。
R3がホルミル基である前記一般式(I)で表される化合物として、以下の化合物が例示される。
R1が水素、R2が水素、R3がホルミル基である前記一般式(I)で表される化合物は3−ヒドロキシ桂皮アルデヒドである。
R1が水素、R2がアセトキシ基、R3がホルミル基のとき、2−アセトキシ−3−ヒドロキシ桂皮アルデヒド、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ桂皮アルデヒド等が挙げられる。
R1がメチル基、R2が水素、R3がホルミル基のとき、3−メトキシ桂皮アルデヒドである。
R1がメチル基、R2がアセトキシ基、R3がホルミル基のとき、2−アセトキシ−3−メトキシ桂皮アルデヒド、3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮アルデヒド等が挙げられる。
R1がアセチル基、R2が水素、R3がホルミル基のとき、3−アセトキシ桂皮アルデヒドである。
R1がアセチル基、R2がアセトキシ基、R3がホルミル基のとき、2,3−ジアセトキシ桂皮アルデヒド、3,4−ジアセトキシ桂皮アルデヒド等があげられる。
R3が酸クロリド基である前記一般式(I)で表される化合物として、以下の化合物が例示される。
R1が水素、R2が水素、R3が酸クロリド基である前記一般式(I)で表される化合物は3−ヒドロキシ桂皮酸クロリドである。
R1が水素、R2がアセトキシ基、R3が酸クロリド基のとき、2−アセトキシ−3−ヒドロキシ桂皮酸クロリド、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ桂皮酸クロリド等が挙げられる。
R1がメチル基、R2が水素、R3が酸クロリド基のとき3−メトキシ桂皮酸クロリドである。
R1がメチル基、R2がアセトキシ基、R3が酸クロリド基のとき、2−アセトキシ−3−メトキシ桂皮酸クロリド、3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮酸クロリド等が挙げられる。
R1がアセチル基、R2が水素、R3が酸クロリド基のとき、3−アセトキシ桂皮酸クロリドである。
R1がアセチル基、R2がアセトキシ基、R3が酸クロリド基のとき、2,3−ジアセトキシ桂皮酸クロリド、3,4−ジアセトキシ桂皮酸クロリド等があげられる。
アルコキシカルボニル基は、一般式−CO−OR6(R6はアルキル基を表す。)で表され、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等が例示される。アルコキシカルボニル基の炭素数としては、好ましくは2〜7、より好ましくは2〜4であるとよい。
R3がアルコキシカルボニル基である前記一般式(I)で表される化合物として、以下の化合物が例示される。
R1が水素、R2が水素、R3がアルコキシカルボニル基である前記一般式(I)で表される化合物は3−ヒドロキシ桂皮酸メチル、3−ヒドロキシ桂皮酸エチル、3−ヒドロキシ桂皮酸プロピル等が挙げられる。
R1が水素、R2がアセトキシ基、R3がアルコキシカルボニル基のとき、2−アセトキシ−3−ヒドロキシ桂皮酸メチル、2−アセトキシ−3−ヒドロキシ桂皮酸エチル、2−アセトキシ−3−ヒドロキシ桂皮酸プロピル、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ桂皮酸メチル、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ桂皮酸エチル、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ桂皮酸プロピル等が挙げられる。
R1がメチル基、R2が水素、R3がアルコキシカルボニル基のとき、3−メトキシ桂皮酸メチル、3−メトキシ桂皮酸エチル、3−メトキシ桂皮酸プロピル等が挙げられる。
R1がメチル基、R2がアセトキシ基、R3がアルコキシカルボニル基のとき、2−アセトキシ−3−メトキシ桂皮酸メチル、2−アセトキシ−3−メトキシ桂皮酸エチル、2−アセトキシ−3−メトキシ桂皮酸プロピル、3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮酸メチル、3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮酸エチル、3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮酸プロピル等が挙げられる。
R1がアセチル基、R2が水素、R3がアルコキシカルボニル基のとき、3−アセトキシ桂皮酸メチル、3−アセトキシ桂皮酸エチル、3−アセトキシ桂皮酸プロピル等が挙げられる。
R1がアセチル基、R2がアセトキシ基でR3がアルコキシカルボニル基である前記一般式(I)で表される化合物は2,3−ジアセトキシ桂皮酸メチル、2,3−ジアセトキシ桂皮酸エチル、2,3−ジアセトキシ桂皮酸プロピル、3,4−ジアセトキシ桂皮酸メチル、3,4−ジアセトキシ桂皮酸エチル、3,4−ジアセトキシ桂皮酸プロピル等があげられる。
アミド基は、一般式―CO―NR7R8(R7,R8は互いに独立して水素、アルキル基を表す。)で表される。R7,R8は、好ましくは水素、炭素数1〜3のアルキル基であるとよい。アミド基としては、例えばアミド基(−CONH2)、メチルアミド基、エチルアミド基、プロピルアミド基、ジメチルアミド基、メチルエチルアミド基、ジエチルアミド基等が例示される。
R3がアミド基である前記一般式(I)で表される化合物として、以下の化合物が例示される。
R1が水素、R2が水素、R3がアミド基である前記一般式(I)で表される化合物は3−ヒドロキシ桂皮酸アミド等が挙げられる。
R1が水素、R2がアセトキシ基、R3がアミド基のとき、2−アセトキシ−3−ヒドロキシ桂皮酸アミド、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ桂皮酸アミド等が挙げられる。
R1がメチル基、R2が水素、R3がアミド基のとき、3−メトキシ桂皮酸アミド等が挙げられる。
R1がメチル基、R2がアセトキシ基、R3がアミド基のとき、2−アセトキシ−3−メトキシ桂皮酸アミド、3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮酸アミド等が挙げられる。
R1がアセチル基、R2が水素、R3がアミド基のとき、3−アセトキシ桂皮酸アミド等が挙げられる。
R1がアセチル基、R2がアセトキシ基、R3がアミド基のとき、2,3−ジアセトキシ桂皮酸アミド、3,4−ジアセトキシ桂皮酸アミド等があげられる。
アルキル基としては、好ましく炭素数1〜6、より好ましく炭素数1〜4のアルキル基がよく、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよい。アルキル基として、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を例示することができる。
R3がアルキル基である前記一般式(I)で表される化合物として、以下の化合物が例示される。
R1が水素、R2が水素、R3がアルキル基である前記一般式(I)で表される化合物はβ―メチル−m−ヒドロキシスチレン等である。
R1が水素、R2がアセトキシ基、R3がアルキル基のとき、1−アセトキシ−2−ヒドロキシ−4−(1−プロペニル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−2−アセトキシ−3−(1−プロペニル)ベンゼン等が挙げられる。
R1がメチル基、R2が水素、R3がアルキル基のとき、1−メトキシ−3−(1−プロペニル)ベンゼン等が挙げられる。
R1がメチル基、R2がアセトキシ基、R3がアルキル基のとき、1−アセトキシ−2−メトキシ−4−(1−プロペニル)ベンゼン、1−メトキシ−2−アセトキシ−3−(1−プロペニル)ベンゼン等が挙げられる。
R1がアセチル基、R2が水素、R3がアルキル基のとき、1−アセトキシ−3−(1−プロペニル)ベンゼン等である。
R1がアセチル基、R2がアセトキシ基でR3がアルキル基である前記一般式(I)で表される化合物は1,2−ジアセトキシ−3−(1−プロペニル)ベンゼン、1,2−ジアセトキシ−4−(1−プロペニル)ベンゼン等があげられる。
ハロゲン化アルキル基は、一般式―R9−X(R9はアルキル基、Xはハロゲンを表す。)で表される。R9は、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であるとよい。
ハロゲン化アルキル基としては、例えば塩化メチレン基、塩化エチレン基、塩化プロピレン基、臭化メチレン基、臭化エチレン基、臭化プロピレン基等が例示される。
R3がハロゲン化アルキル基である前記一般式(I)で表される化合物として、以下の化合物が例示される。
R1が水素、R2が水素、R3がハロゲン化アルキル基である前記一般式(I)で表される化合物は3−ヒドロキシシンナミルクロリド、3−ヒドロキシシンナミルブロミドなどが挙げられる。
R1が水素、R2がアセトキシ基、R3がハロゲン化アルキル基のとき、2−アセトキシ−3−ヒドロキシンナミルクロリド、2−アセトキシ−3−ヒドロキシンナミルブロミド、3−ヒドロキシ−4−アセトキシンナミルクロリド、3−ヒドロキシ−4−アセトキシンナミルブロミド等が挙げられる。
R1がメチル基、R2が水素、R3がハロゲン化アルキル基のとき、3−メトキシシンナミルクロリド、3−メトキシシンナミルブロミドなどが挙げられる。
R1がメチル基、R2がアセトキシ基、R3がハロゲン化アルキル基のとき、2−アセトキシ−3−メトキシシンナミルクロリド、2−アセトキシ−3−メトキシシンナミルブロミド、3−メトキシ−4−アセトキシシンナミルクロリド、3−メトキシ−4−アセトキシシンナミルブロミド等が挙げられる。
R1がアセチル基、R2が水素、R3がハロゲン化アルキル基のとき、3−アセトキシシンナミルクロリド、3−アセトキシシンナミルブロミド等が挙げられる。
R1がアセチル基、R2がアセトキシ基、R3がハロゲン化アルキル基のとき、2,3−ジアセトキシシンナミルクロリド、2,3−ジアセトキシシンナミルブロミド、3,4−ジアセトキシシンナミルクロリド、3,4−ジアセトキシシンナミルブロミド等があげられる。
ヒドロキシアルキル基は、一般式―R10−OH(R10はアルキル基、OHはヒドロキシ基を表す。)で表される。R10は、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であるとよい。
ヒドロキシアルキル基としては、例えばヒドロキシメチレン基、ヒドロキエチレン基、ヒドロキプロピレン基等が例示される。
R3がヒドロキシアルキル基である前記一般式(I)で表される化合物として、以下の化合物が例示される。
R1が水素、R2が水素、R3がヒドロキシアルキル基である前記一般式(I)で表される化合物は3−ヒドロキシ桂皮アルコールなどが挙げられる。
R1が水素、R2がアセトキシ基、R3がヒドロキシアルキル基のとき、2−アセトキシ−3−ヒドロキシ桂皮アルコール、3−ヒドロキシ−4−アセトキシ桂皮アルコール等が挙げられる。
R1がメチル基、R2が水素、R3がヒドロキシアルキル基のとき、3−メトキシ桂皮アルコール等が挙げられる。
R1がメチル基、R2がアセトキシ基、R3がヒドロキシアルキル基のとき、2−アセトキシ−3−メトキシ桂皮アルコール、3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮アルコール等が挙げられる。
R1がアセチル基、R2が水素、R3がヒドロキシアルキル基のとき、3−アセトキシ桂皮アルコール等が挙げられる。
R1がアセチル基、R2がアセトキシ基、R3がヒドロキシアルキル基のとき、2,3−ジアセトキシ桂皮アルコール等、3,4−ジアセトキシ桂皮アルコール等があげられる。
前記一般式(I)で表される化合物の中でも、3−メトキシ桂皮酸、2−アセトキシ−3−メトキシ桂皮酸、3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮酸、3−アセトキシ桂皮酸、2,3−ジアセトキシ桂皮酸、3,4−ジアセトキシ桂皮酸、3−メトキシ桂皮アルデヒド、2−アセトキシ−3−メトキシ桂皮アルデヒド、3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮アルデヒド、3−アセトキシ桂皮アルデヒド、2,3−ジアセトキシ桂皮アルデヒド、3,4−ジアセトキシ桂皮アルデヒド、3−メトキシ桂皮酸クロリド、2−アセトキシ−3−メトキシ桂皮酸クロリド、3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮酸クロリド、3−アセトキシ桂皮酸クロリド、2,3−ジアセトキシ桂皮酸クロリド、3,4−ジアセトキシ桂皮酸クロリド、3−メトキシ桂皮酸メチル、2−アセトキシ−3−メトキシ桂皮酸メチル、3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮酸メチル、3−アセトキシ桂皮酸メチル、2,3−ジアセトキシ桂皮酸メチル、3,4−ジアセトキシ桂皮酸メチル、3−メトキシ桂皮酸アミド、2−アセトキシ−3−メトキシ桂皮酸アミド、3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮酸アミド、3−アセトキシ桂皮酸アミド、2,3−ジアセトキシ桂皮酸アミド、3,4−ジアセトキシ桂皮酸アミド、1−メトキシ‐3−(1−プロペニル)ベンゼン、1−メトキシ−2−アセトキシ‐3−(1−プロペニル)ベンゼン、1−アセトキシ‐3−(1−プロペニル)ベンゼン、1、2−ジアセトキシ‐3−(1−プロペニル)ベンゼン、3−メトキシシンナミルクロリド、3−メトキシシンナミルブロミド、2−アセトキシ−3−メトキシシンナミルクロリド、2−アセトキシ−3−メトキシシンナミルブロミド、3−メトキシ−4−アセトキシシンナミルクロリド、3−メトキシ−4−アセトキシシンナミルブロミド、3−アセトキシシンナミルクロリド、3−アセトキシシンナミルブロミド、2,3−ジアセトキシシンナミルクロリド、2,3−ジアセトキシシンナミルブロミド、3,4−ジアセトキシシンナミルクロリド、3,4−ジアセトキシシンナミルブロミド、3−メトキシ桂皮アルコール、2−アセトキシ−3−メトキシ桂皮アルコール、3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮アルコール、3−アセトキシ桂皮アルコール、2,3−ジアセトキシ桂皮アルコール、3,4−ジアセトキシ桂皮アルコールを出発原料とすることが好ましい。
さらに、3−アセトキシ桂皮酸、2,3−ジアセトキシ桂皮酸、3,4−ジアセトキシ桂皮酸、3−アセトキシ桂皮アルデヒド、2,3−ジアセトキシ桂皮アルデヒド、3,4−ジアセトキシ桂皮アルデヒド、3−アセトキシ桂皮酸クロリド、2,3−ジアセトキシ桂皮酸クロリド、3,4−ジアセトキシ桂皮酸クロリド、3−アセトキシ桂皮酸メチル、2,3−ジアセトキシ桂皮酸メチル、3,4−ジアセトキシ桂皮酸メチル、3−アセトキシ桂皮酸アミド、2,3−ジアセトキシ桂皮酸アミド、3,4−ジアセトキシ桂皮酸アミド、1−アセトキシ‐3−(1−プロペニル)ベンゼン、1、2−ジアセトキシ‐3−(1−プロペニル)ベンゼン、3−アセトキシシンナミルクロリド、3−アセトキシシンナミルブロミド、2,3−ジアセトキシシンナミルクロリド、2,3−ジアセトキシシンナミルブロミド、3,4−ジアセトキシシンナミルクロリド、3,4−ジアセトキシシンナミルブロミド、3−アセトキシ桂皮アルコール、2,3−ジアセトキシ桂皮アルコール等、3,4−ジアセトキシ桂皮アルコールを出発原料とすることが望ましい。
本発明の製造方法において、オゾン酸化反応に使用する溶媒としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの有機酸類、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、水があげられ、好ましくは、ジクロロメタン、酢酸、メタノール、酢酸エチル、水が挙げられ、より好ましくは酢酸と水の混合溶媒である。この混合溶液は、酢酸と水の重量比(酢酸:水)が、好ましくは99:1〜50:50、より好ましくは99:1〜70:30であるとよい。
溶媒量は通常、好ましくは基質(前記一般式(I)で表される化合物)の2〜500倍量用いられ、より好ましくは2〜100倍量である。
オゾンは、通常、酸素、酸素と二酸化炭素の混合ガス、または空気からオゾン発生器を用いて、生成することができる。オゾンは、酸素、混合ガスまたは空気をキャリアーガスにして、キャリアーガス中、好ましくは0.1〜20%の濃度、より好ましくは1〜10%の濃度にしたものを使用することができる。
オゾン酸化は、基質を含む溶媒にオゾンを含むキャリアーガスを導入することにより行われる。その導入速度は、反応系の大きさや各種反応条件により、適宜、決めることができる。
例えば、基質1gに対する流量は好ましくは1〜200mL/分、より好ましくは1〜100mL/分にすることができる。
オゾン酸化の反応温度は、基質を含む溶媒の温度として、好ましくはー78℃〜30℃、より好ましくは−78〜10℃であるとよい。またオゾン酸化の時間は好ましくは、0.5時間〜24時間、より好ましくは1時間〜12時間であるとよい。
またオゾン酸化の終了後、系内に残るオゾンを除くため、キャリアーガスを所定時間、通気するとよい。
本発明の製造法において、前記一般式(I)で表される化合物をオゾン酸化することにより、下記一般式(III)で表されるオゾニド(1,2,4−トリオキソラン)が中間体として生成する。
(式中、R
1は水素、メチル基またはアセチル基を示し、R
2は水素またはアセトキシ基を示し、R
3はアルキル基、カルボキシ基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、酸クロリド基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基を示す。)
上記一般式(III)において、置換基R1、R2およびR3は、前記一般式(I)の置換基R1、R2およびR3と同様である。
本発明では、オゾン酸化の工程の後に、生成したオゾニドを酸化分解する工程を行うことにより、下記一般式(II)を得ることができる。
(式中、R
4は水素、メチル基またはアセチル基を示し、R
5は水素、ヒドロキシ基またはアセトキシ基を示す。)
前記一般式(II)において、R4は水素、メチル基またはアセチル基である。
前記一般式(II)において、R5は水素またはヒドロキシル基またはアセトキシ基である。
またOR4および/またはR5がアセトキシ基であるとき、一般式(II)で表される安息香酸類が有するアセトキシ基をヒドロキシ基へ変換する方法は公知の方法で行うことができる。
R4が水素、R5が水素である前記一般式(II)で表される化合物としては3−ヒドロキシ安息香酸である。
R4が水素、R5がヒドロキシ基である前記一般式(II)で表される化合物としては2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。
R4が水素、R5がアセトキシ基である前記一般式(II)で表される化合物としては2―アセトキシ−3−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ−4―アセトキシ安息香酸等が挙げられる。
R4がメチル基、R5が水素である前記一般式(II)で表される化合物としては3−メトキシ安息香酸である。
R4がメチル基、R5がヒドロキシル基である前記一般式(II)で表される化合物としては2−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。
R4がメチル基、R5がアセトキシ基である前記一般式(II)で表される化合物としては2−アセトキシ−3−メトキシ安息香酸、3−メトキシ−4−アセトキシ安息香酸等が挙げられる。
R4がアセチル基、R5が水素である前記一般式(II)で表される化合物としては3−アセトキシ安息香酸である。
R4がアセチル基、R5がヒドロキシ基である前記一般式(II)で表される化合物としては2−ヒドロキシ−3−アセトキシ安息香酸、3−アセトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。
R4がアセチル基、R5がアセトキシ基である前記一般式(II)で表される化合物としては2,3−ジアセトキシ安息香酸、3,4−ジアセトキシ安息香酸等が挙げられる。
酸化分解の方法としては、オゾニドを安息香酸類に酸化分解する限りに特に限定されるものではなく、例えば、過酸化水素、過酸化水素水、蟻酸―過酸化水素、クロム酸−硫酸などを添加するかまたは酢酸溶媒にて煮沸する方法などが挙げられる。好ましくは、過酸化水素、過酸化水素水を用いてオゾニドの酸化分解を行うことが好ましい。
過酸化水素としては、入手できる過酸化水素を使用することができるが、好ましくは過酸化水素濃度が30〜60重量%、より好ましくは30〜35重量%にするとよい。
30〜35%過酸化水素水は、好ましくはオゾニドの2〜15倍モル、より好ましくは2〜10倍モル用いることができる。
過酸化水素を用いた酸化分解において、反応温度は好ましくは0〜100℃、より好ましくは15〜100℃であるとよい。反応温度が高すぎると目的物の収率が低下することがある。また反応時間は好ましくは0.5〜12時間、より好ましくは0.5〜6時間であるとよい。
酸化分解の工程において、反応溶媒は、オゾニド、酸化分解の方法に応じて、適宜、決めることができる。またオゾン酸化と同じ溶媒でもよいし、異なる溶媒でもよい。酸化分解の工程でオゾン酸化と異なる溶媒を使用するとき、オゾン酸化により生成したオゾニド液を減圧下で溶媒を留去して、別の溶媒を加えることができる。酸化分解の工程における溶媒としては例えば酢酸、蟻酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等を例示することができ、好ましくは酢酸である。
酸化分解の工程において、過酸化水素水を、オゾニドを含む溶媒に添加することができる。
或いは過酸化水素水を含む溶媒に、オゾニドを含む溶媒に添加してもよい。
例えば、オゾン酸化により生成したオゾニド液を減圧下で溶媒を留去し、酢酸に溶解し、30〜35%過酸化水素水を添加することで安息香酸が得られる。酢酸を含む脂肪族カルボン酸溶媒としてオゾニドを合成した場合のときは溶媒留去の必要はない。
本発明の製造方法によれば、前記一般式(I)で表されるスチレン骨格を有する化合物を、オゾン酸化することにより、高価な物質及び/又は有害な物質を使用することなく、ヒドロキシ安息香酸に代表される安息香酸類を高い収率で調製することができる。ここで高い収率とは、好ましくは50%以上、より好ましくは65%以上であるとよい。
また前記一般式(I)において、R1が水素(OR1がヒドロキシ基)のとき、この化合物をオゾン酸化を行うことにより、3−ヒドロキシ安息香酸類を高い収率で調製することができる。
なお前記一般式(I)のOR1がヒドロキシ基であるとき、このヒドロキシ基をアセトキシ基に変換することにより、3−ヒドロキシ安息香酸類および3−アセトキシ安息香酸類をより高い収率で調製することができる。得られた3−アセトキシ安息香酸類は、通常の方法により3−ヒドロキシ安息香酸類に変換することができる。
前記一般式(I)のヒドロキシ基をアセトキシ基に変換する方法としては、例えば、ピリジン溶媒中、無水酢酸にてヒドロキシ基をアセチル化する等、公知の方法が挙げられる。
さらに、一般式(I)のR5がヒドロキシ基、特にR5がパラ位のヒドロキシ基であるとき、このヒドロキシ基をアセトキシ基に変化した化合物をオゾン分解し、過酸化水素で酸化分解することにより、高い収率で、4−ヒドロキシ安息香酸類および4−アセトキシ安息香酸類を調製することができる。得られた4−アセトキシ安息香酸類は、通常の方法により4−ヒドロキシ安息香酸類に変換することができる。
前記一般式(I)のヒドロキシ基をアセトキシ基に変換する方法は、上記と同じにすることができる。
以下実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例中、安息香酸類の収率は以下に示す高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた方法で測定し定量した。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析条件
カラム:Inertsil ODS−3(ジーエルサイエンス株式会社)
移動相 : A液 アセトニトリル100%(高速液体クロマトグラフィー用メタノール)
B液 りん酸水溶液 (pH2.3)
グラジエント: 0〜5分 B液/A液=10/90
5〜30分 B液/A液=10/90→90/10
30〜31分 B液/A液=90/10
35分 B液/A液=10/90
流速 :1.0ml
カラム温度:40℃
検出器 :UV(210nm)
保持時間: 16.3分(3−ヒドロキシ桂皮酸)
13.0分(3−ヒドロキシ安息香酸)
20.7分(3−メトキシ桂皮酸)
18.7分(3−メトキシ安息香酸)
19.6分(3−アセトキシ桂皮酸)
18.1分(3−アセトキシ安息香酸)
19.9分(3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮酸)
18.5分(3−メトキシ−4−アセトキシ安息香酸)
13.6分(3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸)
16.2分(3−メトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸)
実施例1
温度計、コンデンサー、攪拌子、およびオゾン/酸素混合ガスの導入ラインを備え付けた100mLの四つ口フラスコに3−ヒドロキシ桂皮酸0.42g(2.5mmol)、酢酸 27g、水 3.0gを仕込み、0〜10℃で攪拌しながら、オゾン濃度4〜5%の酸素ガスを約40mL/分の速さで1時間10分程度吹き込んだ。
反応終了後、系内の残存オゾンを除くため酸素のみを15分以上通気した。
その後、15〜25℃にて30〜35%過酸化水素水 1.9gを加え、液温60〜70℃にて0.5時間加熱後、液温85〜95℃にて2.5時間加熱した。
反応終了後、反応液を室温まで冷却し、HPLCにて定量分析して収率を算出すると3−ヒドロキシ安息香酸の収率は66%であった。
実施例2
温度計、コンデンサー、攪拌子、およびオゾン/酸素混合ガスの導入ラインを備え付けた100mLの四つ口フラスコに3−メトキシ桂皮酸0.45g(2.5mmol)、酢酸 27g、水 9.0gを仕込み、0〜10℃で攪拌しながら、オゾン濃度4〜5%の酸素ガスを約40mL/分の速さで1時間10分程度吹き込んだ。
反応終了後、系内の残存オゾンを除くため酸素のみを15分以上通気した。
その後、15〜25℃にて30〜35%過酸化水素水 1.9gを加え、液温60〜70℃にて0.5時間加熱後、液温85〜95℃にて2.5時間加熱した。
反応終了後、反応液を室温まで冷却し、HPLCにて定量分析して収率を算出すると3−メトキシ安息香酸の収率は75%であった。
実施例3
温度計、コンデンサー、攪拌子を備え付けた100mLの三つ口フラスコに3−ヒドロキシ桂皮酸 4.1g(25mmol)、テトラヒドロフラン 25g、ピリジン 2.0g(25mmol)を仕込み20〜30℃で攪拌後、無水酢酸 5.1g(50mmol)を滴下して20〜30℃で15時間熟成した。
その後、イオン交換水5gを添加し40〜50℃で2時間、攪拌し加水分解後、濃縮して13.9gの濃縮液を得た。そこにトルエン 20gを仕込んだ後、再度濃縮して13.5gの濃縮液を得た後、冷却晶析し、結晶をろ過して湿体の粗結晶2.7g得た。
再結晶のため、湿体の粗結晶2.7gを酢酸10g、トルエン10gにて溶解後、濃縮した後、トルエン 10gを添加して希釈後、結晶をろ過して湿体の精製結晶1.0gを得た。
湿体の精製結晶1.0gを酢酸エチル 20gに溶解し、イオン交換水 10gにて水洗浄後、分液した油層を濃縮乾固して得た結晶を60℃、3時間、真空乾燥して3−アセトキシ桂皮酸1.0g(4.8mmol)を調製した。得られた3−アセトキシ桂皮酸のHPLC純度は97%であった。
温度計、コンデンサー、攪拌子、およびオゾン/酸素混合ガスの導入ラインを備え付けた100mLの四つ口フラスコに上記で得られた3−アセトキシ桂皮酸 0.5g(2.4mmol)、酢酸 27g、水 3.0g仕込み、0〜10℃で攪拌しながら、オゾン濃度4〜5%の酸素ガスを約40mL/分の速さで1時間10分程度吹き込んだ。
反応終了後、系内の残存オゾンを除くため酸素のみを15分以上通気した。
その後、15〜25℃にて30〜35%過酸化水素水 1.9gを加え、液温60〜70℃にて0.5時間加熱後、液温85〜95℃にて2.5時間加熱した。
反応終了後、反応液を室温まで冷却し、HPLCにて定量分析して収率を算出すると3−アセトキシ安息香酸の収率が52%、3−ヒドロキシ安息香酸の収率は41%、これらを合計した目的物の収率は93%であった。
実施例4
温度計、コンデンサー、攪拌子を備え付けた100mLの三つ口フラスコに3−メトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸 3.9g(20mmol)、テトラヒドロフラン 10g、ピリジン 1.6g(20mmol)を仕込み20〜30℃で攪拌後、無水酢酸 4.1g(40mmol)を滴下して、20〜30℃で1.5時間熟成した。
その後、イオン交換水5g、テトラヒドロフラン 10gを添加し40〜50℃で0.5時間、攪拌し加水分解後、20〜30℃にて析出した結晶をろ過して湿体の粗結晶2.1gを得た。
湿体の粗結晶2.1gを酢酸エチル 60gに溶解し、イオン交換水10gにて水洗浄
後、分液した油層を濃縮乾固して得た結晶を60℃、3時間、真空乾燥して3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮酸 1.4g(5.9mmol)を調製した。得られた3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮酸のHPLC純度は96%であった。
温度計、コンデンサー、攪拌子、およびオゾン/酸素混合ガスの導入ラインを備え付けた100mLの四つ口フラスコに上記で得られた3−メトキシ−4−アセトキシ桂皮酸 0.59g(2.4mmol)、酢酸 27g、水 3.0gを仕込み、0〜10℃で攪拌しながら、オゾン濃度4〜5%の酸素ガスを約40mL/分の速さで1時間10分程度吹き込んだ。
反応終了後、系内の残存オゾンを除くため酸素のみを15分以上通気した。
その後、15〜25℃にて30〜35%過酸化水素水 1.9gを加え、液温60〜70℃にて0.5時間加熱後、液温85〜95℃にて2.5時間加熱した。
反応終了後、反応液を室温まで冷却し、HPLCにて定量分析して収率を算出すると3−メトキシ−4−アセトキシ安息香酸の収率が40%、3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸の収率は15%、これらを合計した目的物の収率は55%であった。
比較例1
温度計、コンデンサー、攪拌子、およびオゾン/酸素混合ガスの導入ラインを備え付けた100mLの四つ口フラスコに3−メトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸0.49g(2.5mmol)、酢酸 27g、水 3.0gを仕込み、0〜10℃で攪拌しながら、オゾン濃度4〜5%の酸素ガスを約40mL/分の速さで1時間10分程度吹き込んだ。
反応終了後、系内の残存オゾンを除くため酸素のみを15分以上通気した。
その後、15〜25℃にて30〜35%過酸化水素水 1.9gを加え、液温60〜70℃にて0.5時間加熱後、液温85〜95℃にて2.5時間加熱した。
反応終了後、反応液を室温まで冷却し、HPLCにて定量分析して収率を算出すると
3−メトキシ−4−ヒドロキシ安息香酸の収率は8%であった。