以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図9は、本発明の一実施の形態を説明するための図である。このうち図1及び図2は、パネル部材10を示す斜視図または縦断面図であり、図3〜図5は、パネル部材10が発現する光学機能を説明するため図であり、図6〜図9は、パネル部材の製造方法の一例を説明するための図である。
ここで説明するパネル部材10は、何らかの光学機能を発現することを期待された第1光学機能面11及び第2光学機能面12を含んだパネル状の部材である。光学機能面は、光の作用や性質を利用した機能を備える平面もしくは曲面またはこれらを組み合わせた面である。光は、可視光だけでなく赤外線から紫外線までを含む意味である。光の作用や性質としては、例えば、光の直進、屈折、反射、吸収、発光、干渉、および偏光などが挙げられる。光学機能としては、例えば、表示機能、照明機能、遮光機能、および太陽電池、光学素子、光学部材または光学機器などとの光接続機能などが挙げられる。図1及び図2に示すように、パネル部材10は、第1軸方向d1に配列された複数の単位レンズ30を有している。この単位レンズ30は、パネル部材10に入射する光またはパネル部材10から出射する光に対してレンズ機能を発現し、当該光の進行方向を調整する。単位レンズ30は、或る角度範囲AR1内の方向から入射した光を第1光学機能面11に導き、或る角度範囲AR2内の方向から入射した光を第2光学機能面12に導く。つまり、単位レンズ30は、第1光学機能面11からの光を屈折させて第1角度範囲AR1内の方向へ出射させ、第2光学機能面12からの光を屈折させて第2角度範囲AR2内の方向へ出射させる。
つまり、第1光学機能面11は、第1角度範囲AR1からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第1角度範囲AR1へ向けてパネル部材10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮する。また、第2光学機能面12は、第2角度範囲AR2からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮する。
そして、ここで説明するパネル部材10では、各光学機能面11,12からの光学機能が連続して発現されるようになる角度範囲を、すなわち、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整し得るようにするための工夫がなされている。この結果、各光学機能面11,12での光学機能が安定して発揮され、パネル部材10が有効に機能するようになる。
以下に詳述する一実施の形態では、一例として、第1光学機能面11は、一例として、表示対象13を表示するための表示面をなしている。したがって、第1角度範囲AR1へ向けてパネル部材10から出射する光は、表示対象13を表示する。すなわち、観察者は、第1角度範囲AR1から表示対象13を観察することができる。なお、表示対象13として、図形、パターン、デザイン、色彩、絵、写真、キャラクターなどの絵柄(イメージ)や、文字、マーク、数字などの情報を例示することができる。表示対象13は、静止していても動いていてもよい。ここで、パネル部材10へ入射する光は、第1光学機能面11またはそれに接続された表示素子等で反射し、単位レンズ30によって進行方向が調整されて、第1角度範囲AR1へ向けてパネル部材10から出射する。あるいは、第1光学機能面11またはそれに接続された表示素子等が発光する場合、第1光学機能面11から出射された光は、単位レンズ30によって進行方向が調整されて、第1角度範囲AR1へ向けてパネル部材10から出射する。
また、第2光学機能面12は、太陽電池パネル50の入光面50aとして機能する。すなわち、第2角度範囲AR2からパネル部材10へ入射する光は、単位レンズ30によって進行方向が調整されて、入光面50aとしての第2光学機能面12を介して太陽電池パネル50へ入射し、発電に利用される。ただし、本発明は、以下に詳述する一実施の形態に限定されるものではなく、第1光学機能面11による光学機能及び第2光学機能面12による光学機能は、適宜変更することができる。
なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「光制御シート」には、「光制御フィルム」や「光制御板」等と呼ばれる部材も含まれる。
また、本明細書において、「シート面(フィルム面、板面、パネル面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。以下に説明する実施の形態においては、パネル部材10のパネル面、後述する光制御シート20のシート面、光制御シート20の後述する本体部40のシート面、太陽電池パネル50のパネル面、並びに太陽電池パネル50の入光面50aは、互いに並行となっている。さらに、本明細書において、シート状(フィルム状、板状、パネル状)の部材に対して用いる「法線方向」とは、当該部材のシート面への法線方向のことを指す。
以下、本実施の形態によるパネル部材10の構成および作用効果について詳述していく。図1および図2によく示されているように、パネル部材10は、シート状の本体部40と、本体部40上に支持されたレンズ部25と、を有する光制御シート20を備えている。この光制御シート20は、パネル部材10の表面10a及び裏面10bを形成している。表面10aは、パネル部材10へ入射する太陽光等の外光等の入射面をなす。また、表面10aは、表示対象13を可視化する第1光学機能面11からの光がパネル部材10から出射する出射面をなす。
パネル部材10の表面10a側に位置するレンズ部25は、第1軸方向d1に配列された多数の単位レンズ30を含んでいる。多数の単位レンズ30は、その光軸odが互いに平行となるようにして、並べられている。とりわけ図示された例において、単位レンズ30は、その光軸odが、パネル部材10の法線方向ndと平行となるよう配置されている。また、第1軸方向d1は、パネル部材10のパネル面に沿っており、パネル部材10の法線方向ndに直交している。図示された例において、パネル部材10は、第1軸方向d1が鉛直方向と平行になるようにして、配置されている。
レンズ部25は、図1に示すように、いわゆるレンチキュラーレンズ又はシリンドリカルレンズを構成している。すなわち、各単位レンズ30は、その配列方向である第1軸方向d1に対して交差する方向に線状に延びている。とりわけ図示された例において、単位レンズ30は、第1軸方向d1及び法線方向ndの両方と直交する第2軸方向d2に、直線状に延びている。また、レンズ部25に含まれる複数の単位レンズ30は、互いに同一に構成されている。
各単位レンズ30は、凸レンズ状のレンズ面31を有し、シート状の本体部40から、パネル部材の法線方向ndに向かって突出している。このレンズ面31は、パネル部材10の表面10aをなしている。第1軸方向d1及び法線方向ndの両方に平行な図2の断面(以下においては、「主切断面」とも呼ぶ)において、レンズ面31は、光軸odを中心として対称となっている。図2に示すように、各単位レンズ30は、そのレンズ面31に入射する平行光束を、焦点fp上に集める。図2に示された焦点fpは、単位レンズ30の光軸odに沿って入射する平行光L21に対する焦点であり、したがって単位レンズ30の光軸od上に位置している。
なお、図示された例において、単位レンズ30は、互いに隙間をあけて第1軸方向d1に配列されている。すなわち、第1軸方向d1に隣り合う二つの単位レンズ30のレンズ面31の間には、当該二つのレンズ面31の対面する基端部32b間を接続する接続面38が設けられている。図示された例において、接続面38は、パネル部材10のパネル面に沿って延びている。パネル部材10の表面10aは、単位レンズ30のレンズ面31と接続面38とによって形成されている。単位レンズ30を含む光制御シート20は、一例として、金型を用いた樹脂成型によって作製され得る。接続面38を設けて、隣り合う単位レンズ30の間に隙間を設けることによって、法線方向ndに対して大きく傾斜した角度範囲からの光が単位レンズ30に入射する前にその隣の単位レンズ30で遮られてしまう問題、いわゆる「ケラレ」を減らすことができる。
本体部40は、互いに対向する一対の主面として、第1主面40a及び第2主面40bを有している。第1主面40aは、レンズ部25と隣接する面を形成し、第2主面40bは、パネル部材10の裏面10bを形成している。この本体部40の内部に、第1光学機能面11及び第2光学機能面12が配置されている。複数の第1光学機能面11及び複数の第2光学機能面12は、それぞれ、単位レンズ30に対応して、単位レンズ30の配列方向である第1軸方向d1に配列されている。1つの単位レンズ30に対応して、1つの第1光学機能面11及び1つの第2光学機能面12が配置されている。各単位レンズ30に対応して配置された第1光学機能面11は、当該単位レンズ30に対応して配置された第2光学機能面12よりも、第1軸方向d1における一側に配置されている。したがって、第1光学機能面11と第2光学機能面12とは、第1軸方向d1に沿って交互に並べられている。なお、単位レンズ30および第1光学機能面11や単位レンズ30および第2光学機能面12は、常に一対一で配置されている必要はない。
各第1光学機能面11は、当該第1光学機能面11が対応する一つの単位レンズ30に対向して位置している。図2に示すように、各第1光学機能面11は、対応する単位レンズ30と法線方向ndに沿って少なくとも部分的に対面するようにして、配置されている。言い換えると、各第1光学機能面11は、法線方向ndからみて、対応する単位レンズ30と少なくとも部分的に重なっている。本実施の形態では、第1光学機能面11は、単位レンズ30と同様に、配列方向である第1軸方向d1と交差する方向に線状に延びている。より厳密には、第1光学機能面11は、単位レンズ30と同様に、第1軸方向d1と直交する第2軸方向d2に直線状に延びている。なお、図示された例において、単位レンズ30に対応して多数設けられた第1光学機能面11は、互いに同一に構成されている。
各第1光学機能面11は、光制御シート20のシート面、言い換えると、パネル部材10のパネル面に対して傾斜し、単位レンズ30の光軸odに平行な方向に対しても傾斜している。すなわち、各第1光学機能面11は、光制御シート20のシート面及び単位レンズ30の光軸odのいずれとも非平行になっている。このような第1光学機能面11によれば、後述するように、第1光学機能面11からの光学機能が発現されるようになる角度範囲である第1角度範囲AR1を、高い自由度で調整することが可能となる。
図2に示すように、各第1光学機能面11は、第1軸方向d1において一側(図示する例では、図2における上側であって、鉛直方向における上側)に位置する一端部11aが、第1軸方向d1において他側(図示する例では、図2における下側であって、鉛直方向における下側)に位置する他端部11bよりも、パネル部材10の法線方向ndにおいて単位レンズ30に近接するように、光制御シート20のシート面に対して傾斜している。したがって、第1光学機能面11の一端部11aは、第1光学機能面11の他端部11bよりも、パネル部材の法線方向ndにおいて単位レンズ30に近接している。図2から理解され得るように、このような第1光学機能面11には、法線方向ndに対して他側(下側)に傾斜した角度範囲からの光が、入射しやすくなる。したがって、第1光学機能面11からの光学機能は、法線方向ndに対して他側(下側)に傾斜した角度範囲に向けて、効果的に発揮されるようになる。
このような傾向を強化する観点から、パネル部材の主切断面において、第1光学機能面11は、第1軸方向d1における一側(上側)から他側(下側)に向けて、段階的又は連続的に、パネル部材の法線方向ndにおいて単位レンズ30から離間していくことが好ましい。図示された例において、第1光学機能面11は平面として形成されている。そして、図2に示されたパネル部材の主切断面において、第1光学機能面11は、第1軸方向d1における一側から他側に向けて、連続的に一定の傾斜の程度で、パネル部材の法線方向ndに沿って単位レンズ30から離間していく。このような第1光学機能面11によれば、第1光学機能面11からの光学機能は、法線方向ndに対して他側に傾斜した角度範囲に向けて、効果的に発揮されるようになる。
図示された実施の形態では、図2に示されたパネル部材の主切断面において、第1光学機能面11の第1軸方向d1における他側(下側)の端部である他端部11bは、当該第1光学機能面11に対応する単位レンズ30のレンズ面31の先端部32aと、第1軸方向d1において同一位置に位置している。また、図2に示されたパネル部材の主切断面において、第1光学機能面11の第1軸方向d1における一側(上側)の端部である一端部11aは、当該第1光学機能面11に対応する単位レンズ30のレンズ面31の第1軸方向d1における一側の基端部32bよりも、第1軸方向d1において一側に位置している。
また、図示された本実施の形態では、上述したように、第1光学機能面11は、表示対象13を表示するための表示面をなしている。したがって、第1角度範囲AR1へ向けてパネル部材10から出射する光は、表示対象13を可視化させる。すなわち、第1角度範囲AR1から第1光学機能面11が視認され、結果として、第1光学機能面11に形成された表示対象13を観察することができる。なお、第1光学機能面11によって動く表示対象13を表示する場合、第2光学機能面12と隣接した太陽電池パネル50から発電された電気を駆動に用いることが簡便である。
図3に、第1光学機能面11に形成される表示対象13の一例が示されている。複数の第1光学機能面11が、第1軸方向d1に配列されるとともに、各第1光学機能面11は、第1軸方向d1に直交する第2軸方向d2に直線状に延びている。したがって、第1軸方向d1における各位置に位置する第1光学機能面11が、当該第1光学機能面11の第1軸方向d1における位置に応じた表示対象要素13aを付与されることによって、第2軸方向d2に細長く延びる各第1光学機能面11に形成された表示対象要素13aの組み合わせとして二次元的な表示対象13を表示することが可能となる。図3に示された例では、アルファベットの大文字の「N」が表示対象13として表示されている。このように、複数の表示対象要素13aの組み合わせとして表示対象13を表示することで、各第1光学機能面11および各単位レンズ30のサイズを小さくできるため、第1角度範囲AR1を広げたりパネル部材10のサイズを大きくしたとしても、より良好な表示対象13を観察できるようになる。
上述のように、本実施の形態のパネル部材10は、表示対象13が連続して表示される角度範囲を高い自由度で調整可能である。そのため、本実施の形態のパネル部材10は、様々な用途で利用可能であり、例えば、屋外看板、道路情報掲示板、建築物の外壁面などで用いられる数m〜数十mサイズの大型パネル用途や、ポスター、標識、建築物の内壁面などで用いられる数十cm〜数mサイズの中型パネル用途や、卓上スタンド、携帯端末などで用いられる数cm〜数十cmの小型パネル用途などを例示することができる。
一方、各第2光学機能面12は、当該第2光学機能面12が対応する一つの単位レンズ30に対向して位置している。図2に示すように、各第2光学機能面12は、対応する単位レンズ30と法線方向ndに沿って少なくとも部分的に対面するようにして、配置されている。言い換えると、各第2光学機能面12は、法線方向ndからみて、対応する単位レンズ30と少なくとも部分的に重なっている。本実施の形態では、第2光学機能面12は、単位レンズ30と同様に、配列方向である第1軸方向d1と交差する方向に線状に延びている。より厳密には、第2光学機能面12は、単位レンズ30と同様に、第1軸方向d1と直交する第2軸方向d2に直線状に延びている。なお、図示された例において、単位レンズ30に対応して多数設けられた第2光学機能面12は、互いに同一に構成されている。
各第2光学機能面12は、光制御シート20のシート面、つまり、パネル部材10のパネル面に対して傾斜している。第2光学機能面12が光制御シート20のシート面に対して傾斜する角度は、第1光学機能面11が光制御シート20のシート面に対して傾斜する角度と異なっている。また、各第2光学機能面12は、単位レンズ30の光軸odに平行な方向に対して傾斜している。このような第2光学機能面12によれば、後述するように、第2光学機能面12からの光学機能が発現されるようになる角度範囲である第2光学機能面12を、高い自由度で調整することが可能となる。
図2に示すように、各第2光学機能面12は、第1軸方向d1において他側(下側)に位置する他端部12bが、第1軸方向d1において一側(上側)に位置する一端部12aよりも、パネル部材10の法線方向ndにおいて単位レンズ30に近接するように、光制御シート20のシート面に対して傾斜している。したがって、第2光学機能面12の他端部12bは、第2光学機能面12の一端部12aよりも、パネル部材10の法線方向ndにおいて単位レンズ30に近接している。図2から理解され得るように、このような第2光学機能面12には、法線方向ndに対して一側(上側)に傾斜した角度範囲からの光が、入射しやすくなる。したがって、第2光学機能面12からの光学機能は、法線方向ndに対して一側(上側)に傾斜した角度範囲に向けて、効果的に発揮されるようになる。
このような傾向を強化する観点から、パネル部材の主切断面において、第2光学機能面12は、第1軸方向d1における他側(下側)から一側(上側)に向けて、段階的又は連続的に、パネル部材の法線方向ndにおいて単位レンズ30から離間していくことが好ましい。図示された例において、第2光学機能面12は平面として形成されている。そして、図2に示されたパネル部材10の主切断面において、第2光学機能面12は、第1軸方向d1における他側から一側に向けて、連続的に一定の傾斜の程度で、パネル部材の法線方向ndに沿って単位レンズ30から離間していく。このような第2光学機能面12によれば、第2光学機能面12からの光学機能は、法線方向ndに対して一側に傾斜した角度範囲に向けて、効果的に発揮されるようになる。
図示された実施の形態では、図2に示されたパネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の第1軸方向d1における一側(上側)の端部である一端部12aは、当該第2光学機能面12に対応する単位レンズ30のレンズ面31の先端部32aと、第1軸方向d1において同一位置に位置している。また、図2に示されたパネル部材の主切断面において、第2光学機能面12の第1軸方向d1における他側(下側)の端部である他端部12bは、当該第2光学機能面12に対応する単位レンズ30のレンズ面31の第1軸方向d1における他側の基端部32bよりも、第1軸方向d1において他側に位置している。
また、図示された本実施の形態では、上述したように、第2光学機能面12は、太陽電池パネル50の入光面50aとして機能する。すなわち、第2角度範囲AR2からパネル部材10へ入射する光は、入光面50aとしての第2光学機能面12を介して太陽電池パネル50へ入射し、発電に利用される。図1及び図2に示すように、光制御シート20の第2光学機能面12をなす面には、太陽電池パネル50の光を取り込むための入光面50aが重ねられている。太陽電池パネル50は、太陽電池素子を含んでおり、取り込んだ光によって電流を生じさせる。太陽電池パネル50は、種々の既知な部材を用いることができ、特に限定されない。
次に、第1光学機能面11と第2光学機能面12との配置関係について述べる。図2に示すように、第1光学機能面11の一端部11aと、第2光学機能面12の他端部12bと、の間の間隔は、第1光学機能面11の他端部11bと、第2光学機能面12の一端部12aと、の間の間隔よりも、広くなっている。さらに、第1光学機能面11上の各位置と、対応する第2光学機能面12との間の間隔は、段階的又は連続的に変化していく。本実施の形態では、第1光学機能面11上の各位置と、対応する第2光学機能面12との第1軸方向d1に沿った間隔が、当該第1光学機能面11上の位置がパネル部材の法線方向ndに沿って単位レンズ30から離間するにつれて、段階的又は連続的に狭くなっていく。したがって、第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとが最も接近する。図示された実施の形態では、第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとが繋がっている。もっとも、第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとは、互いに離間していてもよい。
また、図2に示すように、繋がった第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとの接続領域が、パネル部材の主切断面において、パネル部材の法線方向ndに進む平行光束L21(図2参照)が単位レンズ30に入射した際における単位レンズ30の焦点位置fp上に位置している。すなわち、繋がった第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとの接続領域は、単位レンズ30の光軸od上に位置している。このようなパネル部材10によれば、パネル部材の法線方向ndを境界として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となる。
また、図2に示すように、第1光学機能面11の一端部11aは、第1軸方向d1における一側で当該第1光学機能面11と隣り合う第2光学機能面12の他端部12bと繋がっている。繋がった第1光学機能面11の一端部11aと第2光学機能面12の他端部12bとの接続領域は、隣り合う二つのレンズ面31の基端部32b間を接続する接続面38から、パネル部材の法線方向ndに沿って離間した位置に位置している。もっとも、第1光学機能面11の一端部11aは、第1軸方向d1における一側で当該第1光学機能面11と隣り合う第2光学機能面12の他端部12bから、離間していてもよい。
次に、上述してきたパネル部材10の製造方法の一例について、主として図6〜図9を参照しながら説明する。
まず、図6に示すように、透明樹脂を成型することにより、成型物を作製する。成型は、熱溶融押出加工や射出成型等を採用することができる。図6に示すように、得られた成型物60は、上述した光制御シート20の本体部40のうち、第1光学機能面11及び第2光学機能面12とその周囲となる部分とが、切欠部62として削り取られた形状となっている。したがって、成型物60には、レンズ部25が賦型されている。
次に、図7に示すように、成型物60の切欠部62内に、第1光学機能面11としての表示面を形成する。一例として、インクジェット印刷によって、成型物60の切欠部62内に、表示対象13を形成する。その後、図8に示すように、成型物60の切欠部62内に、第2光学機能面12としての太陽電池パネル50を接合する。
次に、図9に示すように、成型物60の切欠部62を透明樹脂で埋め戻す。例えば、液状の透明樹脂を塗布するとともにスキージで掻き取ることによって、第1光学機能面11及び第2光学機能面12が形成されている切欠部62に、透明樹脂を充填する。次に、この透明樹脂を切欠部62内で固化させることにより、光制御シート20を作製することができる。第1光学機能面11及び第2光学機能面12が形成された切欠部62に、透明樹脂を充填することにより、第1光学機能面11及び第2光学機能面12を保護することができる。これにより、光制御シート20に形成された第1光学機能面11及び第2光学機能面12に、環境の変化や振動等の外乱に対する耐性を付与することができる。ただし、図9に示す埋め戻し作業は、必要に応じて行われるものであり、行われなくてもよい。
次に、主として、図3〜図5を参照しながら、パネル部材10の作用について説明する。パネル部材10は、例えば、単位レンズ30の配列方向である第1軸方向d1が鉛直方向に沿うようにして、配置される。具体的には、第1軸方向d1における一側が、鉛直方向における上側に沿い、第1軸方向d1における他側が、鉛直方向における下側に沿うように、パネル部材10が配置される。
パネル部材10の最も観察者側には、レンズ部25が設けられている。レンズ部25の単位レンズ30は、パネル部材10に入射する光またはパネル部材10から出射する光に対してレンズ機能を発揮して、当該光の進行方向を調整する。単位レンズ30は、或る角度範囲AR1内の方向から入射した光を第1光学機能面11に導き、或る角度範囲AR2内の方向から入射した光を第2光学機能面12に導く。言い換えると、単位レンズ30は、第1光学機能面11からの光を屈折させて第1角度範囲AR1内の方向へ出射させ、第2光学機能面12からの光を屈折させて第2角度範囲AR2内の方向へ出射させる。したがって、第1光学機能面11は、第1角度範囲AR1からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第1角度範囲AR1へ向けてパネル部材10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮することができる。また、第2光学機能面12は、第2角度範囲AR2からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する光に対して何らかの光学機能を発揮することができる。
本実施の形態において、第1光学機能面11は、表示対象13を形成された表示面となっている。したがって、第1角度範囲AR1から第1光学機能面11に形成された表示対象13を観察することができる。この用途において、第1角度範囲AR1は、表示対象13を観察し得る視野角となる。一般的に、視野角である第1角度範囲AR1は、広角化されていることが好ましい。図13を参照して説明した従来技術のように、30°程度の視野角が間をあけて繰り返し現れる表示媒体では、表示される表示対象の視認性が著しく低下し、情報表示機能を有効に発揮することができない。したがって、本実施の形態のパネル部材10の特長をより発揮させるために、第2角度範囲AR2の視野角が45°程度以上連続していることが好ましい。なお、第2角度範囲AR2の視野角の上限については、第1角度範囲AR1とのバランスで適宜設定すればよいが、135°程度未満になるケースが多いと考えられる。
一方、第2光学機能面12は、太陽電池パネル50の入光面50aをなしている。したがって、広い角度範囲から入射する光を第2光学機能面12に導いて、太陽電池パネル50での発電に利用することが好ましい。とりわけ、太陽光は、時間帯や季節に応じて位置を変化させる。パネル部材10では、このように時間帯や季節に応じて入射方向を変化させる太陽光を安定して第2光学機能面12に導くことができれば好ましい。すなわち、入射方向を変化させる太陽光を高効率で取り込むにあたり、上述した第2角度範囲AR2が広角化されていることが好ましい。
下記の表1は、世界の幾つかの国の主要な都市における季節ごとの南中高度(°)を示している。第2光学機能面12が太陽電池パネル50の入光面50aとして機能している場合、使用が想定される国の主要な都市における春分秋分の南中高度が第2角度範囲AR2に含まれることが好ましい。その国で有効に使用できる可能性が高いからである。例えば、使用されることが想定される国が日本の場合は54°から56°までの高度が第2角度範囲AR2に含まれるようにすればよい。さらに、49°から61°までの高度が第2角度範囲AR2に含まれるようにすれば、世界の多くの国で有効に使用できる可能性が高いため、好ましい。また、使用が想定される国の主要な都市における夏至の南中高度から冬至の南中高度までが第2角度範囲AR2に含まれることがさらに好ましい。その国で一年を通して有効に使用できる可能性が高いからである。例えば、使用されることが想定される国が日本の場合は31°から79°までの高度が第2角度範囲AR2に含まれるようにすればよい。さらに、25°から84°までの高度が第2角度範囲AR2に含まれるようにすれば、世界の多くの国で有効に使用できる可能性が高いため、好ましい。なお、所望の高度が第2角度範囲AR2に含まれることを容易にするために、第2角度範囲AR2の角度範囲が45°程度以上連続していることが好ましい。もっとも、パネル部材10を傾けて配置することによって、所望の高度を第2角度範囲AR2に含まれるようにすることも可能である。一方、第2角度範囲AR2の角度範囲の上限については、第1角度範囲AR1とのバランスで適宜設定すればよいが、135°程度未満とすることによって、後述のように、本実施の形態のパネル部材10の特長をより発揮させることができる。
上述してきた本実施の形態によるパネル部材10は、第1軸方向d1に配列された単位レンズ30と、各々が対応する単位レンズ30に対向するようにして本体部40内に配置された複数の第1光学機能面11及び第2光学機能面12と、を有している。そして、第1光学機能面11と第2光学機能面12とは、光制御シート20のシート面に対して互いに異なる角度で傾斜している。
このようなパネル部材10では、図4によく示されているように、傾斜した第1光学機能面11が、当該第1光学機能面11の正面方向から向かってくる光L42,L43,L44を効率的に受光することが可能となる。図4に示す例では、第1光学機能面11が単位レンズ30の光軸odに対して第1軸方向d1における一側に傾斜しているため、当該光軸odに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向からレンズ面31に入射する光L42,L43,L44、を効率的に受光することが可能となる。図13を参照して説明した従来例では、実用上選択可能な樹脂材料の屈折率に起因して、単位レンズ130の光軸に対して30°程度以上傾斜した方向からの光L153,L154は、当該単位レンズ130でのレンズ機能によって大きく進行方向を曲げられることなく、結果として、当該単位レンズ130以外の単位レンズに対面する光学機能面111,112に入射していた。その一方で、本実施の形態によれば、図4に示すように、光軸odに対して第1軸方向d1における他側に大きく傾斜した方向からレンズ面31に入射する光L44も、入射した単位レンズ30に対向する第1光学機能面11にて受光されるようになる。図4に点線で示すように、この光L44は、仮に第1光学機能面11がパネル部材10の裏面10bと同一面上に並べられていた場合、入射した単位レンズ30とは異なる単位レンズに対面する領域に進み、従来技術で説明した不具合を生じさせる。
すなわち、第1光学機能面11を光制御シート20のシート面に対して傾斜させることにより、第1光学機能面11に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1、言い換えると、第1光学機能面11からの光の出射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1を、図13に示された従来例と比較して、高い自由度で調整することができる。とりわけ、第1光学機能面11は、パネル部材10の裏面10bよりも単位レンズ30に接近した本体部40内で光制御シート20のシート面に対して傾斜している。これにより、第1光学機能面11がパネル部材10の裏面10bと同一面上に並べられた図13に示す従来のパネル部材よりも、光軸odに対して傾斜した、第1光学機能面11の正面方向から向かってくる光L42,L43,L44を第1光学機能面11にて有効に受光することが可能となる。この結果、第1光学機能面11は、図13に示された従来例よりも、光軸odに対して傾斜した広範な方向から向かってくる光L42,L43,L44を受光することが可能となり、第1角度範囲AR1を広角化させることができる。また、第1角度範囲AR1の調整又は広角化は、一般的に高価となる高屈折率材料を単位レンズ30に用いることを必要とせず、従来と同様の材料を使用すればよい。すなわち、材料面からのコスト上昇を来すことなく、第1角度範囲AR1の調整および広角化を実現することができる。
以上のことから、広い第1角度範囲AR1内で、第1光学機能面11からの光学機能が発揮されるようになる。本実施の形態によるパネル部材10では、広い視野角から安定して第1光学機能面11に付与された表示対象13を観察することができる。したがって、観察者は、優れた視認性で表示対象13を観察することができ、且つ、優れた意匠性で表示対象13を表示することができる。
一方、第1光学機能面11とは異なる角度で傾斜した第2光学機能面12は、第1光学機能面11に入射する光とは異なる方向から入射する光L52,L53,L54を効率的に受光することが可能となる。図5によく示されているように、第2光学機能面12は、当該第2光学機能面12の正面方向から向かってくる光L52,L53,L54を効率的に受光することが可能となる。図5に示す例では、第2光学機能面12が単位レンズ30の光軸odに対して第1軸方向d1における他側に傾斜しているため、当該光軸odに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向からレンズ面31に入射する光L52,L53,L54、を効率的に受光することが可能となる。上述のように、図13を参照して説明した従来例では、実用上選択可能な樹脂材料の屈折率に起因して、単位レンズ130の光軸に対して30°程度以上傾斜した方向からの光L153,L154は、当該単位レンズ130でのレンズ機能によって大きく進行方向を曲げられることなく、結果として、当該単位レンズ130以外の単位レンズに対面する光学機能面111,112に入射することになっていた。その一方で、本実施の形態によれば、図5に示すように、光軸odに対して第1軸方向d1における一側に大きく傾斜した方向からレンズ面31に入射する光L54も、入射した単位レンズ30に対向する第2光学機能面12にて受光されるようになる。図5に点線で示すように、この光L54は、仮に第2光学機能面12がパネル部材10の裏面10bと同一面上に並べられていた場合、入射した単位レンズ30とは異なる単位レンズに対面する領域に進み、従来技術で説明した不具合を生じさせる。
すなわち、第2光学機能面12を光制御シート20のシート面に対して傾斜させることにより、第2光学機能面12に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2、言い換えると、第2光学機能面12からの光の出射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を、図13に示された従来例と比較して、高い自由度で調整することができる。とりわけ、第2光学機能面12は、パネル部材10の裏面10bよりも単位レンズ30に接近した本体部40内で光制御シート20のシート面に対して傾斜している。これにより、第2光学機能面12がパネル部材10の裏面10bと同一面上に並べられた図13に示す従来のパネル部材よりも、光軸odに対して傾斜した、第2光学機能面12の正面方向から向かってくる光L52,L53,L54を第2光学機能面12にて有効に受光することが可能となる。この結果、第2光学機能面12は、図13に示された従来例よりも、光軸odに対して傾斜した広範な方向から向かってくる光L52,L53,L54を受光することが可能となり、第2角度範囲AR2を広角化させることができる。また、第2角度範囲AR2の調整又は広角化は、一般的に高価となる高屈折率材料を単位レンズ30に用いることを必要とせず、従来と同様の材料を使用すればよい。すなわち、材料面からのコスト上昇を来すことなく、第2角度範囲AR2の調整および広角化を実現することができる。
以上のことから、広い第2角度範囲AR2内で、第2光学機能面12からの光学機能が発揮されるようになる。本実施の形態によるパネル部材10では、時間帯や季節に応じて入射方向を変化させる太陽光を、効率的に受光して、太陽電池パネル50での発電に利用することが可能となる。
このように、本実施の形態によれば、第1軸方向d1に配列された単位レンズ30と、各々が対応する単位レンズ30に対向するようにしてシート状の本体部40内に配置された複数の第1光学機能面11と、各々が対応する単位レンズ30に対向するようにして本体部40内に配置された複数の第2光学機能面12と、を含む光制御シート20を備え、第2光学機能面12は、光制御シート20のシート面に対して第1光学機能面11とは異なる角度で傾斜し、単位レンズ30は、或る方向から入射した光を第1光学機能面11に導き、前記或る方向とは異なる別の方向から入射した光を第2光学機能面12に導く。このようなパネル部材10によれば、第1光学機能面11での光学機能が発揮される方向の角度範囲である第1角度範囲AR1および第2光学機能面12での光学機能が発揮される方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を、高い自由度で調整することが可能となる。また、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2を効果的に広角化させることも可能となる。さらに、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2の調整又は広角化は、一般的に高価となる高屈折率材料を単位レンズ30に用いることを必要とせず、従来と同様の材料を使用すればよい。すなわち、材料面からのコスト上昇を来すことなく、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2の調整又は広角化を行うことができる。
ところで、第1光学機能面11に形成された表示対象13を観察している際に、表示対象13とともに第2光学機能面12に重ねられた太陽電池パネル50が観察されると、表示対象13の視認性や意匠性を著しく害することになる。したがって、表示対象13が形成された第1光学機能面11が観察され得る第1角度範囲AR1は、太陽電池パネル50が観察されるようになる第2角度範囲AR2と区分けされていること、すなわち重なり合っていないことが好ましい。
そこで、本実施の形態のパネル部材10では、図2に示すように、各第1光学機能面11は、対応する第2光学機能面12よりも、第1軸方向d1における一側に配置されている。そして、各第1光学機能面11は、第1軸方向d1において一側に位置する一端部11aが、第1軸方向d1において他側に位置する他端部11bよりも、パネル部材の法線方向ndにおいて単位レンズ30に近接するように、光制御シート20のシート面に対して傾斜し、各第2光学機能面12は、第1軸方向d1において他側に位置する他端部12bが、第1軸方向d1において一側に位置する一端部12aよりも、パネル部材の法線方向ndにおいて単位レンズ30に近接するように、光制御シート20のシート面に対して傾斜している。このような本実施の形態によれば、パネル部材の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向からパネル部材10へ入射する光L23、言い換えると第1軸方向d1において一側に進みながらパネル部材10へ入射する光L23を、第2光学機能面12よりも第1光学機能面11に選択的に導くことができる。言い換えると、第1光学機能面11からの光L23は、パネル部材の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向へ出射しやすくなる。また、パネル部材の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向からパネル部材10へ入射する光L22、言い換えると第1軸方向d1において他側に進みながらパネル部材10へ入射する光L22を、第1光学機能面11よりも第2光学機能面12に選択に導くことができる。言い換えると、第2光学機能面12からの光L22は、パネル部材の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向へ出射しやすくなる。
つまり、このような形態によれば、第1光学機能面11に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1が、パネル部材の法線方向ndに対して第1軸方向d1における他側に傾斜した方向に対応し、第2光学機能面12に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2が、パネル部材の法線方向ndに対して第1軸方向d1における一側に傾斜した方向に対応する。このため、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが、区分けされやすくなる。言い換えると、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが、重なり合いにくくなる。これにより、第1角度範囲AR1及び第2角度範囲AR2をそれぞれ有効に広角化させることができる。
このように第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2との重なり合いが少なくなれば、さらには第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となれば、第1光学機能面11での光学機能および第2光学機能面12での光学機能が、互いに悪影響を及ぼすことなく、より有効に発揮されるようになる。本実施の形態においては、第1光学機能面11に付与された表示対象13を観察している際に、表示対象13とともに第2光学機能面12に重ねられた太陽電池パネル50が観察されることを効果的に防止することが可能となる。この場合、表示対象13の視認性や表示対象13の意匠性を改善することができる。
とりわけ、本実施の形態によるパネル部材10では、第1光学機能面11に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第1角度範囲AR1を鉛直方向における下側に傾斜した方向に設定し、第2光学機能面12に導かれるようになるパネル部材10への入射方向の角度範囲である第2角度範囲AR2を鉛直方向における上側に傾斜した方向に設定している。この場合、典型的な利用として想定される表示板としての用途においてパネル部材10を目線よりも高い位置に設置する場合に、観察者は、鉛直方向における上側に見上げながらパネル部材10を観察するため、第1角度範囲AR1から第1光学機能面11に形成された表示対象13を観察することができる。一方、太陽光は、時間帯や季節に応じて入射方向が変化するが、鉛直方向における下側に傾斜した方向に進みながらレンズ面31に入射する。このため、太陽光は、時間帯や季節に応じて入射方向が変化しても、第2角度範囲AR2からレンズ面31に入射して第2光学機能面12に向かうことができる。したがって、このような形態によれば、太陽光の受光および表示対象13の表示を効果的に両立させることができる。
また、本実施の形態によれば、第1光学機能面11の一端部11aと、第2光学機能面12の他端部12bと、の間の間隔は、第1光学機能面11の他端部11bと、第2光学機能面12の一端部12aと、の間の間隔よりも、広くなっている。このような形態によれば、第1光学機能面11と第2光学機能面12とをバランスよく配置することができ、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを、区分けすることに寄与する。
また、本実施の形態によれば、第1光学機能面11上の各位置と、対応する第2光学機能面12との第1軸方向d1に沿った間隔が、当該第1光学機能面11上の位置がパネル部材10の法線方向ndに沿って単位レンズ30から離間するにつれて、狭くなっていく。このような形態によれば、第1光学機能面11が、第2光学機能面12へ入射すべき光を遮ってしまうこと、あるいは、第2光学機能面12が、第1光学機能面11へ入射すべき光を遮ってしまうこと、を効果的に抑制することができる。このため、第1光学機能面11が、第1角度範囲AR1からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第1角度範囲AR1へ向けてパネル部材10から出射する光に対して、より確実に光学機能を発揮することができる。また、第2光学機能面12が、第2角度範囲AR2からパネル部材10へ入射する光に対して、或いは、第2角度範囲AR2へ向けてパネル部材10から出射する光に対して、より確実に光学機能を発揮することができる。
また、本実施の形態によれば、第1光学機能面11の第1軸方向d1において他側に位置する他端部11bは、第2光学機能面12の第1軸方向d1において一側に位置する一端部12aと繋がっている。このような形態によれば、第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとの間を、レンズ面31で曲げられた光が透過することを防止し、当該光を第1光学機能面11または第2光学機能面12に入射させることができる。この結果、パネル部材10に入射する光を効率よく利用することができる。とりわけ、第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとの接続領域は、パネル部材の法線方向ndに進む平行光束L21,L41,L51が単位レンズ30に入射した際における単位レンズ30の焦点位置fp上に位置している。このようなパネル部材10によれば、パネル部材の法線方向ndを境界として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とを切り分けることが可能となる。
また、本実施の形態によれば、第1光学機能面11の第1軸方向d1において一側に位置する一端部11aは、第1軸方向d1における一側で当該第1光学機能面11と隣り合う第2光学機能面12の、第1軸方向d1において他側に位置する他端部12bと繋がっている。このような形態によれば、第1光学機能面11の一端部11aと、隣り合う第2光学機能面12の他端部12bと、の間を、パネル部材10に入射した光が透過することを防止し、当該光を第1光学機能面11または第2光学機能面12に入射させることができる。この結果、パネル部材10に入射する光を効率よく利用することができる。
また、本実施の形態によれば、複数の単位レンズ30は、第1軸方向d1に互いから離間して配置され、第1軸方向d1に隣り合う二つの単位レンズ30の間に、単位レンズ30とともにパネル部材10の表面10aをなす接続面38が設けられている。上述したように、単位レンズ30を含む光制御シート20は、一例として、金型を用いた樹脂成型によって効率的に作製され得る。接続面38を設けることによって、斜めに進む光に対する隣接レンズの「けられ」を少なくすることができる。
≪変形例≫
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態では、図2に示すように、パネル部材の主切断面において、第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとの接続領域が、パネル部材の主切断面において、単位レンズ30の焦点位置fp上に位置している例を示したが、このような例に限定されない。図10及び図11に、第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとの接続領域の他の配置例を示す。図10及び図11に示す例では、第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとの接続領域は、パネル部材の法線方向ndに進む平行光束が単位レンズ30に入射した際における単位レンズ30の焦点位置fp上からずれて配置されている。
このうち、図10に示された例では、第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとの接続領域は、対応する単位レンズ30の焦点fpよりも第1軸方向d1において他側に位置している。さらに、前記接続領域は、多数の単位レンズ30の焦点fpによって画成される仮想面p1上に位置している。このような形態によれば、パネル部材の法線方向ndよりも第1軸方向d1における一側(上側)に傾斜した方向daを中心として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが切り分けられるようになる。この場合、例えば、典型的な利用として想定される表示板としての用途においてパネル部材10を目線に対してあまり高くない位置に設置する際に好適である。すなわち、観察者が、水平方向に対してなす角度が小さい方向dbから、あるいは、鉛直方向における上側に傾斜した方向dcに向かって、パネル部材10を観察した場合、第1光学機能面11に形成された表示対象13を観察することができる。一方、鉛直方向における下側に傾斜した方向deに進んでレンズ面31に入射する太陽光L26は、第2光学機能面12に向かっていくことができる。したがって、このような形態によれば、第2光学機能面12で太陽光を十分に取り込みながら、第1光学機能面11に付与された表示対象13を、目線と同じか目線よりも上に、優れた視認性で観察することができる。
一方、図11に示された例では、第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとの接続領域は、対応する単位レンズ30の焦点fpよりも第1軸方向d1において一側に位置している。さらに、前記接続領域は、多数の単位レンズ30の焦点fpによって画成される仮想面p1上に位置している。このような形態によれば、パネル部材の法線方向ndよりも第1軸方向d1における他側(下側)に傾斜した方向dfを中心として、第1角度範囲AR1と第2角度範囲AR2とが切り分けられるようになる。この場合、例えば、典型的な利用として想定される表示板としての用途において、パネル部材10を目線よりも比較的高い位置に設置する際に好適である。すなわち、観察者は、鉛直方向における上側に見上げながらパネル部材10を観察することになるため、鉛直方向における上側に傾斜した方向dgに見上げて第1光学機能面11に形成された表示対象13を観察することができる。一方、水平方向に対してなす角度が小さい方向dhから、あるいは、鉛直方向における下側に傾斜した方向diに進んでパネル部材10に入射する太陽光L27、L28は、第2光学機能面12に向かって進行することができる。したがって、このような形態によれば、第2光学機能面12に付与された表示対象13を、十分な視認性で仰ぎ見ることを可能にしながら、第1光学機能面11で太陽光を非常に高い効率で取り込むことができる。
また、図2、図10及び図11に示す例では、パネル部材の主切断面において、第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとの接続領域が、多数の単位レンズ30の焦点fpによって画成される仮想面p1上に位置した例を示したが、このような例に限定されない。図12に、第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとの接続領域のさらに他の配置例を示す。図12に示す例では、パネル部材の主切断面において、第1光学機能面11の他端部11bと第2光学機能面12の一端部12aとの接続領域が、多数の単位レンズ30の焦点fpによって画成される仮想面、すなわち、パネル部材10の裏面10bよりも、単位レンズ30に近接した位置に配置されている。このような形態によれば、第1光学機能面11または第2光学機能面12が、レンズ面31から焦点fpのような集光領域に向けて集光されていく途中の光を受光することができる。したがって、第1光学機能面11または第2光学機能面12に受光される光は、比較的集光される前の拡がった光となる。とりわけ、第1光学機能面11または第2光学機能面12が太陽電池パネル50の入光面50aをなす場合、太陽電池パネル50は、入光面50aで局所的に光を受光するよりも、入光面50aのより広い領域で光を受光した方が、効率良く発電することができる。すなわち、図12に示すパネル部材10によれば、第1光学機能面11または第2光学機能面12が太陽電池パネル50の入光面50aをなす場合に、前記接続領域が、焦点fp1上に配置されている場合と比較して、高い発電効率を発揮する。
また、既に説明したように、第1光学機能面11が、表示対象13を表示する面として機能すること、或いは、第2光学機能面12が、太陽電池パネル50の入光面50aとして機能することは例示に過ぎない。一例として、第2光学機能面12も、表示を行うための表示面として機能してもよい。この変形例では、第1方向d1が水平方向と交差するようにして、パネル部材10が配置され、第1光学機能面11によって表示される表示対象と第2光学機能面12によって表示される表示対象とが、水平面内で観察方向を変化させることにより、切り替わって観察されるようにしてもよい。このとき、第1光学機能面11にディスプレイを重ね合わせることによって、第1光学機能面11によって動く表示対象13を表示し、第2光学機能面12によって静止した表示対象を表示するようにしてもよい。別の一例として、第2光学機能面12が表示対象13を表示する面として機能し、第1光学機能面11が太陽電池パネル50の入光面50aとして機能するようにするようにしてもよい。それによって、傾いた第1光学機能面11が上方から入射する太陽光を受けやすくなる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。