JP2015162525A - 光電変換素子、太陽電池及び光電変換素子の製造方法 - Google Patents

光電変換素子、太陽電池及び光電変換素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光電変換層としてCIGS層を有する光電変換素子であって、その製造において、CIGS層の形成後にシアン化カリウム等を用いたエッチング処理を施す必要がなく、製造工程をより簡略化することが可能な光電変換素子、その製造方法、及びそれを用いた太陽電池の提供。
【解決手段】
Cu、In、Ga及びSeを含むカルコパイライト構造を持つ化合物半導体よりなる光電変換層を有する光電変換素子であって、
光電変換層のカルコパイライト構造に起因するラマンピーク波数が174.0cm−1以下であり、
光電変換層の厚さ方向におけるGa/(In+Ga)の平均値が0.01以上である光電変換素子、その製造方法、及びそれを用いた太陽電池。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子、太陽電池及び光電変換素子の製造方法に関する。
光電変換素子は、光吸収により電流を発生する半導体を含む光電変換層を2つの電極で挟んだ積層構造を有し、太陽電池等の光エネルギーを利用した発電装置の基幹を成す素子である。
カルコパイライト構造を有する化合物半導体を光電変換層に用いた光電変換素子は、光電変換効率に優れることから、次世代の太陽電池向け素子として注目されている。なかでも、光電変換層に、化合物半導体としてCu(In,Ga)Se(以下、CIGSという。)を用いた素子(以下、CIGS光電変換素子又はCIGS素子という。)は高い光電変換効率を示すことが報告され、その高い光吸収率に伴い素子の薄膜化が可能であるとして、盛んに研究されている。
CIGS素子は典型的には、受光面の反対側から、基板、裏面電極、CIGS層(p型半導体層)、バッファ層(n型半導体層)及び透明電極がこの順に積層された構造を有する。この構造においてはCIGS層とバッファ層によりp−n接合が形成される。
カルコパイライト構造を有する化合物半導体層の膜物性評価手法として、ラマン分光法が知られている。例えば非特許文献1には、CIGS層の表面から励起したときのカルコパイライト相に起因するラマンピーク波数が175cm−1であったことが記載されている。
Thin Solid Films 2008,517,867
CIGS層の形成方法としては、例えば、多源蒸着法、セレン化法、スパッタ法、ハイブリッドスパッタ法、メカノケミカルプロセス法、スクリーン印刷法、近接昇華法、MOCVD法及びスプレー法が知られている。これらの方法を用いて、裏面電極を備えた基板上に、Cu、In、Ga及びSeを含む化合物半導体層であるCIGS層を形成することができる。CIGS層の形成では、通常はCuxSe(xは0より大きい数である)等のCIGS層とは異なる異相が生じる。CIGS層表面にこの異相が存在するとリークパスとなり光電変換効率が低下する。また、その上に形成するバッファ層との間の適切なp−n接合の形成も妨げられる。光電変換効率の低下を防ぐために、CIGS層を形成後、シアン化カリウム等を用いてエッチング処理を施し、CuxSe等の異相を除去しているのが現状である。
本発明は、光電変換層としてCIGS層を有する光電変換素子であって、その製造において、CIGS層の形成後にシアン化カリウム等を用いたエッチング処理を施す必要がなく、製造工程をより簡略化することが可能な光電変換素子、及びこの光電変換素子を用いた太陽電池を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた。そして、裏面電極を有する基板上に光電変換層としてCIGS層を種々の条件で形成した後、エッチング処理を施さずにバッファ層及び透明電極を形成して光電変換素子を作製し、得られた光電変換素子のCIGS層をラマン分光法で分析した。その結果、CIGS層のラマンピーク波数が特定の値である場合に、光電変換素子の光電変換効率が格段に高まることを見い出した。本発明は、これらの知見に基づき完成させるに至ったものである。
上記の課題は以下の手段により達成された。
〔1〕
Cu、In、Ga及びSeを含むカルコパイライト構造を持つ化合物半導体よりなる光電変換層を有する光電変換素子であって、
上記光電変換層のカルコパイライト構造に起因するラマンピーク波数が174.0cm−1以下であり、
上記光電変換層の厚さ方向におけるGa/(In+Ga)の平均値が0.01以上である、
光電変換素子。
〔2〕
基板と、裏面電極と、Cu、In、Ga及びSeを含むカルコパイライト構造を持つ化合物半導体よりなる光電変換層と、バッファ層と、透明電極とがこの順に積層された構造を有する、〔1〕に記載の光電変換素子。
〔3〕
上記基板がフレキシブル基板である、〔2〕に記載の光電変換素子。
〔4〕
上記バッファ層が水酸基を含まない、〔2〕又は〔3〕に記載の光電変換素子。
〔5〕
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の光電変換素子を有する太陽電池。
〔6〕
Cu、In、Ga及びSeを含むカルコパイライト構造を持つ化合物半導体よりなる光電変換層を有する光電変換素子の製造方法であって、
上記光電変換層の形成において、上記光電変換層の厚さ方向におけるGa/(In+Ga)の平均値を0.01以上とし、且つ、上記光電変換層のカルコパイライト構造に起因するラマンピーク波数を174.0cm−1以下とすることを含む、製造方法。
〔7〕
上記光電変換層を形成後、エッチング処理を施さずに上記光電変換層上にバッファ層を形成する、〔6〕に記載の製造方法。
本明細書において、原子組成(例えば「Ga/(In+Ga)」及び「Cu/(In+Ga)」)は、特に断わりのない限りモル基準である。また、「In+Ga」はInとGaの合計モルを示す。
本発明の光電変換素子は、製造工程を簡素化でき、且つ、優れた光電変換効率を示す。
本発明の太陽電池は、本発明の光電変換素子を備え、製造効率及び光電変換効率に優れる。
本発明の光電変換素子の製造方法は、光電変換層であるCIGS層を形成した後にシアン化カリウム等を用いたエッチング処理が不要で、製造効率に優れる。
本発明の光電変換素子の一例を示す模式的断面図である。 本発明の太陽電池の一例を示す模式的断面図である。 実施例及び比較例で調製した光電変換素子において、その光電変換層のラマンスペクトルを示す図面である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[光電変換素子の構造]
本発明の光電変換素子の構造を、図1を参照して説明する。なお、図1に示される光電変換素子は、本発明の理解を容易にするための模式図であり、各部材のサイズないし相対的な大小関係等は説明の便宜上大小を変えている場合があり、実際の関係をそのまま示すものではない。また、本発明で規定する事項以外はこれらの図面に示された外形、形状に限定されるものでもない。
図1に示す光電変換素子10は、基板1と、基板1上に形成された裏面電極2と、裏面電極2上に形成された光電変換層3と、光電変換層3上に形成されたバッファ層4と、バッファ層4上に形成された透明電極5と、透明電極5の表面5aの一部の領域に形成された上部電極端子6とを有する。光電変換素子10は、透明電極5の表面5a側から光が入射する。
<基板>
光電変換素子10の基板1は、光電変換素子ないし太陽電池の基板として通常用いられる基板であれば、特に制限なく使用することができる。基板1は通常は絶縁性基板である。基板1としては、例えば、ソーダライムガラス基板、セラミックス基板、樹脂基板、絶縁層付金属基板等を用いることができる。なかでも、基板1はフレキシブル基板であることが好ましい。フレキシブル基板の好ましい例として、樹脂基板、絶縁層付金属基板等が挙げられる。
上記絶縁層付金属基板は、金属基板上に絶縁層が形成された基板である。上記金属基板としては、例えば、Al基板及びSUS基板といった金属基板が挙げられる。また、AlとAl以外の金属を含む複合材料からなる基板(複合金属基板)であってもよい。金属基板上の絶縁層は、金属基板表面を陽極酸化して形成される陽極酸化膜であることも好ましい。例えば、基板1として、Al基板表面を陽極酸化して得られる陽極酸化アルミニウム基板を用いることができる。
基板1の厚さに特に制限はなく、光電変換素子10の大きさ、基板1の形成材料、絶基板1のフレキシブル性、目的とする素子の機械的強度等に応じて適宜に調節される。基板1の厚さは通常は0.02〜10mmである。基板1は通常は平板状である。
<裏面電極>
裏面電極2は、例えば、Mo、Cr、W又はこれらの1種又は2種以上を組み合わせて形成されていることが好ましく、Moで形成されていることがより好ましい。裏面電極2は、単層構造でもよいし、2層以上の複層構造でもよい。裏面電極2の厚さに特に制限はないが、抵抗値及び生産性の観点から、200nm〜1000nmとすることが好ましい。
<光電変換層>
光電変換層3は、透明電極5及びバッファ層4を通過して到達した光を吸収して電流を発生する層である。
光電変換層3の膜厚は、好ましくは1.0〜3.0μmであり、1.5〜2.0μmが特に好ましい。光電変換層3は、Cu、In、Ga及びSeを含む化合物半導体層で構成される。より詳細には、この化合物半導体層は、カルコパイライト結晶構造を有するCIGS層(p型化合物半導体層)である。光電変換層3の構成について以下にさらに詳細に説明する。
光電変換層3は、バッファ層側から励起光を照射してラマン分光法により分析した際に、カルコパイライト構造に起因するラマンピーク波数(以下、単に「光電変換層3のラマンピーク波数」という。)が174.0cm−1以下である。光電変換層3のラマンピーク波数が174.0cm−1以下となるように光電変換層を形成することで、光電変換層表面において未反応のCuxSe等の異相が生じにくくなり、光電変換層の形成後にエッチング処理を施さなくても高い光電変換効率を実現することができる。光電変換層のラマンピーク波数は後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
光電変換層3のラマンピーク波数を174.0cm−1以下とする方法に特に制限はない。例えば、光電変換層の厚さをDとした場合に、バッファ層側表面から、当該バッファ層側表面から裏面電極側に向けてD/20の距離までの間(以下、単に「D/20の領域」という。)におけるGa/(In+Ga)の平均値を0.010未満としたり、D/20の領域のCu/(In+Ga)の平均値を1.20以上(好ましくは1.30以上)としたりすることで光電変換層3のラマンピーク波数を174.0cm−1以下とすることができる。後者の場合、D/20の領域のCu/(In+Ga)の平均値は2.0以下とすることが好ましく、1.8以下とすることがより好ましい。
光電変換層のラマンピーク波数は、通常は160cm−1以上であり、光電変換効率をより向上させる観点から、好ましくは165cm−1以上、さらに好ましくは170cm−1以上、さらに好ましくは172cm−1以上である。
光電変換層3は、その厚さ方向におけるGa/(In+Ga)の平均値が0.010以上である。この厚さ方向におけるGa/(In+Ga)の平均値が0.010より少ないと、開放電圧が低下し、高い光電変換効率を得ることが困難となる。光電変換効率をより向上させる観点から、光電変換層3の厚さ方向におけるGa/(In+Ga)の平均値は0.050以上0.50以下であることがより好ましく、0.10以上0.40以下であることがさらに好ましく、0.15以上0.30以下であることがさらに好ましい。
また、同様の観点から、光電変換層3は、その厚さ方向におけるCu/(In+Ga)の平均値が0.70以上0.95以下であることが好ましく、0.72以上0.92以下であることがより好ましい。
光電変換層3の形成方法に特に制限はなく、従来公知の種々の方法を採用することができる。具体例としては、多源蒸着法、セレン化法、スパッタ法、ハイブリッドスパッタ法、メカノケミカルプロセス法、スクリーン印刷法、近接昇華法、MOCVD法及びスプレー法を挙げることができる。なかでも、Cu、In、Ga、Seの比率を厚さ方向でより精密に制御することが可能であることから多源蒸着法により形成することが好ましい。上記各方法により、光電変換層のD/20の領域におけるGa/(In+Ga)の平均値やCu/(In+Ga)の平均値、光電変換層の厚さ方向におけるGa/(In+Ga)の平均値やCu/(In+Ga)の平均値等を所望のレベルに調節することができる。
D/20の領域におけるGa/(In+Ga)の平均値、D/20の領域におけるCu/(In+Ga)の平均値、厚さ方向におけるGa/(In+Ga)の平均値、厚さ方向におけるCu/(In+Ga)の平均値は、後述する実施例に記載の方法で算出することができる。
アルカリ金属、特にNaが、CIGS化合物半導体層に拡散すると、光電変換効率が高まることが知られている。したがって、光電変換層3にアルカリ金属を効率的に供給するために、絶縁性基板1と裏面電極2との間にアルカリ供給層を設けてもよい。アルカリ供給層を有することにより、光電変換層3の成膜時に、裏面電極2を通してアルカリ金属が光電変換層3に拡散し、得られる素子の光電変換効率をより向上させることができる。
上記アルカリ供給層はアルカリ金属を含む化合物で構成される。アルカリ供給層を構成する化合物としては、例えば、NaO、NaS、NaSe、NaCl、NaF及びモリブデン酸ナトリウム塩の1種又は2種以上を挙げることができる。アルカリ供給層は、例えば、スパッタ法、塗布法等により形成することができる。なお、光電変換層3へのアルカリ金属の供給源は、アルカリ供給層に限定されるものではない。
<バッファ層>
バッファ層4は、光電変換層3とp−n接合を形成するためのn型半導体を含む。また、バッファ層4は、透明電極5を形成する際に光電変換層3をダメージから保護する役割も担う。
バッファ層4は、Cd、Zn、Sn及びInからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属硫化物を含むことが好ましい。具体例として、CdS; ZnS、Zn(S,O)及び/又はZn(S,O,OH); SnS,Sn(S,O)及び/又はSn(S,O,OH); InS,In(S,O)及び/又はIn(S,O,OH)等を挙げることができる。バッファ層4の層厚は、10nm〜2μmが好ましく、15〜200nmがより好ましい。バッファ層4は、例えば、化学浴析出法(以下、CBD法という)やスパッタ法により形成することができるが、生産性の高いオール・ドライプロセスでの素子作製を実現するために、スパッタ法を採用することが好ましい(溶液処理を必要とする方法は、専用の供給設備と廃液設備を構築する必要が生じ、ドライプロセスに比べると生産性に劣る)。さらにドライプロセスを採用した場合、バッファ層の形成に水系溶媒を用いないため、バッファ層に水酸基が含まれない。水酸基は電荷トラップとして働くため、バッファ層中の水酸基の含有量を抑えることで、変換効率のバラツキをより抑えることもできる。
<透明電極>
透明電極5は、透光性を有し、裏面電極2と対になって、光電変換層3で生成された電流が流れる電極として機能する。透明電極5は、例えば、Al、B、Ga、In等がドープされたZnO、又はITO(インジウム錫酸化物)により構成される。透明電極5は、単層構造でもよいし、2層以上の複層構造でもよい。透明電極5の厚さは、通常は50nm〜2μmである。
透明電極5の形成方法に特に制限はなく、電子ビーム蒸着法、スパッタ法やCVD法等の気相成膜法、塗布法等の方法を広く採用することができる。また、透明電極5の表面5aにMgF等からなる反射防止膜を形成してもよい。
<上部電極>
上部電極6は、光電変換素子10がセルの場合に、光電変換層3で発生した電流を透明電極5から取り出すための電極である。このため、本発明の光電変換素子は、上部電極6を有していてもよいし、有していなくてもよい。
上部電極6の形状に特に制限はなく、例えば、矩形状、シリンダー状等にすることができる。上部電極6は、透明電極5の表面5aの端部、及び裏面電極2の表面2aに設けられていることが好ましい。
上部電極6は、例えば、アルミニウムより構成することができる。上部電極6は、例えば、スパッタ法、蒸着法、CVD法によって形成することができる。
光電変換素子10は、バッファ層4と透明電極5との間に窓層が形成されていてもよい。窓層は、p−n接合部に生じる並列抵抗成分を抑制するために、バッファ層4上に形成されるものであり、ドープされていないZnO(i−ZnO)等からなる高抵抗の絶縁膜により構成される。この窓層は、例えば、スパッタ法等により形成される。特に、CBD法で形成したCdS等からなるバッファ層4と、AlをドープしたZnO等からなる透明電極5との間には、ZnO等の高抵抗膜からなる窓層を形成しておくことが好ましい。
本発明の光電変換素子の大きさに特に制限はなく、目的に応じて適宜に調整することができる。例えば、光電変換層の片側表面の面積を、0.5cm〜10cmとすることができる。
次に、本発明の太陽電池について説明する。
図2は、本発明の実施形態の太陽電池を示す模式的断面図である。なお、図2に示される太陽電池は、本発明の理解を容易にするための模式図であり、各部材のサイズないし相対的な大小関係等は説明の便宜上大小を変えている場合があり、実際の関係をそのまま示すものではない。また、本発明で規定する事項以外はこれらの図面に示された外形、形状に限定されるものでもない。
図2に示す太陽電池20は、図1に示す光電変換素子10を集積したものである。太陽電池20において、図2に示す光電変換素子10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
太陽電池20は、裏面電極2と光電変換層3とバッファ層4と透明電極5とが積層された構造を有し、裏面電極2のみを貫通する第1の開溝部P1、光電変換層3とバッファ層4とを貫通する第2の開溝部P2、及び光電変換層3とバッファ層4と透明電極5とを貫通する第3の開溝部P3が形成されている。
太陽電池20では、第1の開溝部P1〜第3の開溝部P3によって、複数の光電変換素子21に分離されている。第2の開溝部P2内に透明電極5が充填されることで、ある光電変換素子21の透明電極5が隣接する光電変換素子21の裏面電極2に直列接続した構造が得られる。この場合、各光電変換素子21で発生する電圧が加算されるように電気的に直列接続されており、このとき光電変換機能の有効部分は領域22である。
太陽電池20では、図2に示すD方向に電子が流れるように構成されており、裏面電極2がプラス極であり、透明電極5がマイナス極である。
なお、図2は光電変換素子21の繰返し直列接続構造をわかり易く図示したものであ
り、マイナス引出し電極の接続は図示したように透明電極5であってもよいし、第2の
開溝部P2の下に位置する裏面電極2であってもよい。
なお、太陽電池20は、光電変換層であるCIGS層の構成以外は公知の太陽電池又は太陽電池モジュールと同様の構成である。このため、その製造方法についても、公知の太陽電池又は太陽電池モジュールの製造方法を適宜に採用することができる。
以下に実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1] 光電変換素子の作製−1
絶縁性基板として3cm角サイズのソーダライムガラス基板(厚さ:700μm)を用いて下記のとおり光電変換素子を作製した。
まず、ソーダライムガラス基板上にナトリウム供給層をスパッタ法により形成し、このナトリウム供給層上に、裏面電極として厚さ600nmのモリブデン膜をスパッタ法によって形成した。
上記モリブデン膜上に、蒸着法により厚さが2μmのCIGS層を形成した。CIGS層の形成工程は3段階に分けて実施した。1段階目として、基板を350℃に加熱し、基板を加熱しながらIn、Ga及びSeを蒸着し、In、Ga及びSeを含む化合物半導体層をMo層上に形成した。次いで、2段階目として、基板の加熱温度を500℃に上げ、In、Ga及びSeを含む化合物半導体層へCu及びSeを蒸着した。2段階目のCu及びSeの蒸着は、層全体のCu/(In+Ga)が1.3になるまで実施した。最後に、3段階目として、基板の加熱温度を550℃とし、Cu、In、Ga及びSeを含む化合物半導体層へIn及びSeを蒸着し、光電変換層であるCIGS層を形成した。3段階目のInとSeの蒸着は、インライン蛍光X線装置を用いて組成モニタリングを行うことで、層全体のCu/(In+Ga)比が1未満となるようにした。各成膜段階における組成調整は、予めCu、In、Ga及びSeの各蒸着源の成膜レートを測定しておき、所望の組成が得られる成膜条件を決定した上で実施した。
次に、CIGS層を形成した基板(CIGS層形成基板)をKCN3%水溶液の入った反応槽に入れ、KCN3%水溶液中に30分間浸漬することで、CIGS層表面の不純物を除去した(エッチング処理)。溶液から取り出したCIGS層形成基板を十分に水洗した後、CIGS層上にバッファ層として、厚さ50nmのCdS層を、CBD法により形成した。その後、スパッタ法により、バッファ層(CdS層)上に透明電極として、厚さ300nmのZnO:Al膜(AlをドープしたZnO膜)を連続成膜した。
次に、透明電極の表面に、スパッタ法にて、アルミニウムからなる集電電極(上部電極)を形成し、3cm角の基板上に8個の光電変換素子(単セルの受光面積0.493cm)を作製した。
エッチングの光電変換効率に与える影響を調べるため、エッチング処理(KCN処理)を行わないこと以外は上記と同様に調製した光電変換素子も用意した(下記実施例2〜4、比較例1〜3も同様)。
[実施例2] 光電変換素子の作製−2
実施例1において、絶縁性基板として、3cm角サイズの、表面に陽極酸化層付きのアルミ基板を張り合わせることで絶縁化したSUS基板(厚さ:500μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
[実施例3] 光電変換素子の作製−3
実施例1において、絶縁性基板として3cm角サイズの耐熱性ポリイミド基板(厚さ:500μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
[実施例4] 光電変換素子の作製−4
実施例1において、絶縁性基板として3cm角サイズの耐熱性ポリイミド基板(厚さ:500μm)を用い、3段階目の蒸着を基板の加熱温度を550℃とし、Cu/(In+Ga)が1.3以上となるように、インライン蛍光X線装置でモニタリングしながら成膜レートを調整したこと以外は実施例3と同様にして光電変換素子を作製した。
[比較例1] 光電変換素子の作製−5
実施例1において、CIGS層の形成工程の3段階目の蒸着に続いて、基板の加熱温度を600℃としてGa及びSeを蒸着したこと以外は、実施例1と同様にして光電変換素子を作製した。
[比較例2] 光電変換素子の作製−6
比較例1において、絶縁性基板として、3cm角サイズの、表面に陽極酸化層付きのアルミ基板を張り合わせることで絶縁化したSUS基板(厚さ:500μm)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして光電変換素子を作製した。
[比較例3] 光電変換素子の作製−7
比較例1において、絶縁性基板として3cm角サイズの耐熱性ポリイミド基板(厚さ:500μm)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして光電変換素子を作製した。
[CIGS層のラマン分光分析]
実施例1〜4、比較例1〜3の光電変換素子のうち、CIGS層を形成後、エッチング処理を施さずに作製した光電変換素子について、その光電変換層をラマン分光法により分析した。
ラマン分光分析の条件を下記表1に示す。
Figure 2015162525
光電変換素子の透明電極側から励起光を照射し、散乱光を分光・検出することで、CIGS層のカルコパイライト構造に起因するラマンピーク波数を調べた。得られたスペクトルを図3に、ラマンピーク波数を表2に示す。図3に示される最大のラマンピークの波数(Raman shift)が、本発明で規定する、カルコパイライト構造に起因するラマンピーク波数である。
なお、CIGS層を形成後、エッチング処理を施した光電変換素子でも同じスペクトルが得られた。
[D/20の領域におけるGa/(In+Ga)及びCu/(In+Ga)の平均値の測定]
各光電変換素子のCIGS層について、SIMS(二次イオン質量分析計)を用いて、Cu、Ga、Inの組成分析を行った。具体的には、1つの光電変換素子につき、CIGS層のバッファ層側の表面中央から、このバッファ層側の表面中央から裏面電極側に向けてD/20の距離までの間におけるCu濃度、Ga濃度及びIn濃度を求めた。SIMS(二次イオン質量分析計)による組成分析は、一次イオン種にCsを用い、加速電圧を5.0kV、検出領域を60μm×60μmとして実施した。
上記の、バッファ層側の表面中央から、バッファ層側の表面中央から裏面電極側に向けてD/20の距離までの間におけるCu濃度、Ga濃度及びIn濃度の測定は、まずバッファ層側の表面中央のCu濃度、Ga濃度及びIn濃度を測定し、続けて裏面電極側に向けて約10nm毎に、バッファ層側の表面中央から裏面電極側に向けてD/20の距離が最終測定点となるようにCu濃度、Ga濃度及びIn濃度を順次測定することで行った。各測定点のGa濃度及びIn濃度に基づきGa/(In+Ga)を算出し、さらに得られた各Ga/(In+Ga)の値の平均値を算出し、これをD/20の領域におけるGa/(In+Ga)の平均値とした。また、各測定点のCu濃度、Ga濃度及びIn濃度に基づきCu/(In+Ga)を算出し、さらに得られた各Cu/(In+Ga)の値の平均値を算出し、これをD/20の領域におけるCu/(In+Ga)の平均値とした。
結果を下記表2に示す。
[CIGS層の厚さ方向におけるGa/(In+Ga)の平均値及びCu/(In+Ga)の平均値の測定]
各光電変換素子のCIGS層について、SIMS(二次イオン質量分析計)を用いて、Cu、Ga、Inの組成分析を行った。具体的には、CIGS層のバッファ層側の表面中央から裏面電極側表面中央に向けて、厚さ方向全体に渡ってCu濃度、Ga濃度及びIn濃度を求めた。なお、SIMS(二次イオン質量分析計)による組成分析には、一次イオン種にCsを用い、加速電圧を5.0kV、検出領域を60μm×60μmとした。厚さ方向に沿った測定間隔は上記と同様に約10nmとした。
厚さ方向全体に渡って約10nm間隔で測定したGa濃度及びIn濃度のデータを用いて、各測定点のGa/(In+Ga)を算出した。こうして算出された各Ga/(In+Ga)の値の平均値をCIGS層の厚さ方向におけるGa/(In+Ga)の平均値とした。
同様に、厚さ方向全体に渡って約10nm間隔で測定したCu濃度、Ga濃度及びIn濃度を用いて、各測定点のCu/(In+Ga)を算出した。こうして算出された各Cu/(In+Ga)の値の平均値をCIGS層の厚さ方向におけるCu/(In+Ga)の平均値とした。
結果を下記表2に示す。
[光電変換効率の測定]
各光電変換素子について、AM(Air mass)1.5、100mW/cmの疑似太陽を用いて、上記疑似太陽下での電流−電圧特性(I−V特性)を測定し、その測定結果を用いて、光電変換効率(%)を測定した。下記表2には、各実施例及び比較例における各8セルの光電変換効率の平均値を示した。
Figure 2015162525
表2に示されるように、比較例1〜3の光電変換素子は、その光電変換層のラマンピーク波数が174.0cm−1を超えていた。比較例1〜3の光電変換素子は、光電変換層の形成においてエッチング処理(KCN処理)を施さなかった場合には、エッチング処理を施した場合に比べて光電変換効率が著しく低下した。これは、CIGS層の形成の際にCIGS層表面にCuxSe等の異相が生じ、これがリークパスになるなどして光電変換効率を低下させていることを示している。
これに対し光電変換層のラマンピーク波数が174.0cm−1以下である実施例1〜4の光電変換素子は、エッチング処理を施さなくても施した場合と同等の優れた変換効率を示した。
10 光電変換素子
1 基板(絶縁性基板)
2 裏面電極
3 光電変換層
4 バッファ層
5 透明電極
6 上部電極端子
20 太陽電池
21光電変換素子

Claims (7)

  1. Cu、In、Ga及びSeを含むカルコパイライト構造を持つ化合物半導体よりなる光電変換層を有する光電変換素子であって、
    前記光電変換層のカルコパイライト構造に起因するラマンピーク波数が174.0cm−1以下であり、
    前記光電変換層の厚さ方向におけるGa/(In+Ga)の平均値が0.01以上である、光電変換素子。
  2. 基板と、裏面電極と、Cu、In、Ga及びSeを含むカルコパイライト構造を持つ化合物半導体よりなる光電変換層と、バッファ層と、透明電極とがこの順に積層された構造を有する、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記基板がフレキシブル基板である、請求項2に記載の光電変換素子。
  4. 前記バッファ層が水酸基を含まない、請求項2又は3に記載の光電変換素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子を有する太陽電池。
  6. Cu、In、Ga及びSeを含むカルコパイライト構造を持つ化合物半導体よりなる光電変換層を有する光電変換素子の製造方法であって、
    前記光電変換層の形成において、前記光電変換層の厚さ方向におけるGa/(In+Ga)の平均値を0.01以上とし、且つ、前記光電変換層のカルコパイライト構造に起因するラマンピーク波数を174.0cm−1以下とすることを含む、製造方法。
  7. 前記光電変換層を形成後、エッチング処理を施さずに前記光電変換層上にバッファ層を形成する、請求項6に記載の製造方法。
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