JP2015162267A - 浮遊電極がシールドされた誘導結合型マイクロプラズマ源 - Google Patents
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Abstract
Description
大気圧プラズマは、真空排気系が不要になることから、省エネルギーや低コストものづくりに適する。容量結合型に比べて、誘導結合型プラズマは、プラズマ密度がより高くできるため有望である。しかし、大気圧プラズマでは、プラズマ点火や点灯が困難となり易い問題がある。
容量結合型のプラズマ源においても、プラズマ点火の始動を良好にする目的で、例えば特許文献1では、ガス放電を発生させる反応容器に、交流電界を印加する一対のプラズマ生成用電極に加えて、高電圧パルス電圧を放電ガスに印加して点灯させるための電極を別途設ける構成を開示している。
誘導結合型プラズマ発生用コイル電極以外の電極と、付随する機構をプラズマ源に追加する技術は、例えば特許文献2から5、非特許文献1に開示されている。
特許文献4では、誘導結合型マイクロプラズマ点灯のために、絶縁体チューブ内外に誘電体バリア放電発生用の電極を追加して具備することを開示している。
特許文献6では、放電ガスが通る反応管と、高周波が印加されるコイル電極を基本構成とする大気圧プラズマ発生装置の点火方法について開示している。反応管の一端側と他端側に一対の電極を配置し、両者の間に所定時間高電圧を印加して、プラズマ発生部を縦貫して点火放電が生じるようにする方法を開示している。
上記の方法ではいずれも、別途高電圧電源の用意、追加の電極製作、電極と電源間の結線を必要とすることになり、プラズマ源の小型化・マイクロデバイス化を阻害する。
非特許文献2は、発明者らの学術論文であり、浮遊電極をガス流路内に配置したU字形の平板型コイルによって励起する誘導結合型マイクロプラズマ源である。
通常の機械加工で製作した幅2mm、長さ40mm、深さ1.2mmの溝に、アルミやタングステンなどの金属線を配置している。シールド電極に関する内容は示していない。
非特許文献3は、発明者らの学術論文であり、微細加工によって製作したマイクロデバイス内部の構造について述べている。シールド電極に関する内容は示していない。シールド電極は、微細加工によって製作する必要が必ずしも無い。微細加工によって製作したマイクロデバイスと組み合わせることは容易である。
プラズマの励起に誘導結合を利用しているため、浮遊電極は外部との特別の結線が必要無い。シールド電極によって、浮遊電極を介して外部に電磁気的に放射していた高周波パワーの損失を減少させ、プラズマ点灯の条件が揃う、ガス流路内部に配置された浮遊電極先端に効率よく高周波パワーを伝える。シールド電極は一定の電位に接続する必要が生じるが、この結線は、デバイス中の浮遊電極とは異なり、覆うように形成したシールド電極のいずれかの領域と外部電位とを結べば良いため、結線は容易である。以上により、小型で高密度な誘導結合型プラズマ源の省電力化を実現する。
合型プラズマ源の省電力化を実現する。
また本発明によれば、浮遊電極の一部を、電位を一定に保つ電極で覆われたことを特徴とする、誘導結合型マイクロプラズマ源を利用した、光源、又は分光システム、又は表面処理装置、又はドーピング装置、又は膜堆積装置、又はエッチング装置が実現できる。
誘導結合型マイクロプラズマ源を利用した装置においても、小型化、省エネルギー化、信頼性向上、高機能化の効果が得られる。
図1は本発明の実施の形態による、浮遊電極の一部が、接地された電極で覆われていることを特徴とする、ガス吹き流し型での誘導結合型マイクロプラズマ源の概略図である。1はプラズマ領域である。2は浮遊電極(主電極)である。鋭角を持つ三角形状をしている。点火はこの電極のガス流路6に面した端部の周辺で発生する。この主電極2と組み合わせる形で、サイズの小さな浮遊電極(補助電極)3を配置している。これは点火電力を下げる効果があるデザインの一つである。この電極を加えるかは、目的により、必須ではない。
4はプラズマ源の基板であり、浮遊電極を微細加工で形成する際の基板であるか、マイクロ流路を形成する際の基板である。5はパイプから製作したプラズマ発生用スパイラルコイル電極である。プラズマ点火の際には、電磁誘導を介して、2や3の浮遊電極にエネルギーを供給する。6はマイクロ流路であり、ガス供給する配管7によって、ガス流れ8を形成する。9は高周波電源(明示していないが、マッチング回路を含む)である。10はシールド電極であり、浮遊電極2の一部を覆うように配置され、電気的に接地される。
プラズマ源は市販品などのバルク材料を加工して製作できる。ランプを製作するガラス加工技術と組み合わせることもできる。1はプラズマ領域である。2は浮遊電極(主電極)である。
金属線(例えば、銅、タングステン)が利用でき、先端に近い領域が放電ガスに接するように、放電ガス(例えばヘリウム)を封じた容器12の内部に配置されている。スパイラルコイル電極5と浮遊電極2が接触して短絡しないように絶縁管11(例えば石英管)が配置されている。
5はプラズマ発生用スパイラルコイル電極である。放電ガスを封じた容器12の中にコイル電極5が入った構成を例示しているが、容器12が小さくできる場合は、コイル電極5の中に容器12が入った構成でも良い。プラズマ点火の際には、電磁誘導を介して、2の浮遊電極にエネルギーを供給する。プラズマ領域はコイル電極5の内部から周囲となる。9は高周波電源である。10はシールド電極である。2の浮遊電極と芯線をつなげた同軸ケーブルが利用でき、周囲導電体を接地させることで効果が得られる。
放電ガスであるヘリウム流量は0.5L/分、ガス流路および鋭角三角形(先端角度10°、長さ16mm)の浮遊電極(主電極)とガス流路上流側に配置した補助電極を内部構造に持つマイクロプラズマ源は同一である。ガス流路用の溝を形成したSi基板は表面を酸化してある。スパイラルコイルは100MHz電源と、インピーダンスマッチングボックスを介して接続した。自動的にマッチングを得ながら、徐々に入力パワーを増加させた。浮遊電極のみの条件では、24Wで点火した。浮遊したカバー電極を配置した条件では、29Wで点火し、むしろ点火に必要な電力が増加した。
放電ガスはヘリウム、浮遊電極は直径0.1mm、全長500mmの銅線である。スパイラルコイルへの電力供給には車載無線用の144MHz電源を利用した。この電源の出力値は50W、15W、5Wを選択できるが、連続的には変化できない。
この出力を、試作したインピーダンスマッチングボックスを介してプラズマ源に接続した。反射パワーが生じたので、その値も合わせて示す。浮遊電極のみの条件では、正味31W(入力50W、反射19W)で点灯した。入力パワー15W、5Wではプラズマ点灯しなかった。同軸ケーブル(浮遊電極周囲電極を接地した)の条件では、正味40W(入力50W、反射10W)で点灯した。全体として500mmである点は両者で同じとし、中心の銅線のみの長さは150mmとした。
プラズマ点灯の写真から分かるように、明るさが増した。プラズマ領域は半径方向において、スパイラルコイル電極に近い領域まで膨らんでいる。浮遊電極の導線は、数分間のプラズマ点灯で焼き切れた。これは浮遊電極のみの条件では見られなかった現象である。直径0.3mm、長さ150mmのタングステン線に交換すれば、焼き切れることは無くなった。また、直径0.3mmの銅線に交換すると、正味15W(入力15W、反射0W)、正味3W(入力5W、反射2W)で
も安定にプラズマ点灯した。
光源応用は点状のプラズマ形成で良いことが多く、光源、又は分光システムに利用できる。プラズマ源をアレイ化すれば、線状や面状にプラズマ形成できる。プラズマ源の走査機構と組み合わせることでも、表面処理、ドーピング、膜堆積、エッチングなどに応用できる。活性種は多くあるが、ガス温度が高くなっていない非平衡プラズマが得られるため、プラスチックやフィルム材など様々な材料に、高密度プラズマ処理ができる。様々なプラズマ発生方式の中でも、誘導結合型プラズマは、高密度化に有利である。実験結果から、プラズマ点火が、低電力において開始できると、追加電力によってより明るいプラズマ領域が低電力で得られる。低コスト、省エネルギーものづくりに適する性質を持つこととなり、応用可能性を高めることになる。
2・・・浮遊電極(主電極)
3・・・別の浮遊電極(補助電極)
4・・・プラズマ源の基板
5・・・プラズマ発生用スパイラルコイル電極
6・・・プラズマ源に形成したガス流路(微細加工によって製作した溝構造)
7・・・プラズマ源にガスを供給する配管
8・・・放電ガスの流れ(例示)
9・・・高周波電源(明示していなが、マッチング回路を含む)
10・・・シールド電極
11・・・スパイラルコイル電極5と浮遊電極2の接触を避ける絶縁管
12・・・放電ガスを封じた容器
Claims (4)
- 浮遊電極の一部が、電位を一定に保つ電極で覆われていることを特
徴とする、誘導結合型マイクロプラズマ源。 - 浮遊電極の一部が、接地された電極で覆われていることを特徴とす
る、誘導結合型マイクロプラズマ源。 - 浮遊電極全長の半分以上が、電位を一定に保つ電極で覆われている
ことを特徴とする、誘導結合型マイクロプラズマ源。 - 請求項1から3に記載されたマイクロプラズマ源を利用した、光源、
又は分光システム、又は表面処理装置、又はドーピング装置、又は膜堆積装置、又はエッチング装置。
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