JP2010101174A - 火花点火式内燃機関の点火プラグ - Google Patents

火花点火式内燃機関の点火プラグ Download PDF

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Abstract

【課題】マグネトロンにより燃焼室内にプラズマを生成する場合、マイクロ波を放射するアンテナが必要になるが、燃焼室内にマイクロ波を放射するためには、ホーン型アンテナであればマイクロ波が進行する通路を燃焼室の壁面に設ける必要があり、またダイポール型アンテナにあってもアンテナを燃焼室内に設置すべく燃焼室の壁に貫通孔をあける必要があった。
【解決手段】導電材料からなるハウジングと、ハウジング内に絶縁体を介して取り付けられる中心電極と、中心電極から離れてハウジングの下端に設けられる接地電極とを備え、中心電極と接地電極との間に発生する火花放電と電磁波により燃焼室内に生成されるプラズマとを反応させて混合気に着火する火花点火式内燃機関の点火プラグであって、絶縁体内に中心電極とは絶縁した状態に導体を配置し、絶縁体の中心電極側端部の表面に、導体と電気的に接続されて電磁波を燃焼室内に放射するアンテナを設けてなる。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃焼室内にプラズマを生成させ、プラズマと点火プラグによる火花放電とにより混合気に着火する火花点火式内燃機関の点火プラグに関するものである。
従来、車両、特には自動車に搭載される火花点火式内燃機関においては、点火プラグの中心電極と接地電極との間の火花放電により、点火時期毎に燃焼室内の混合気に着火している。このような点火プラグによる着火にあって、例えば燃料を直接気筒内に噴射する型式の内燃機関において、噴射した燃料を点火プラグの火花放電の位置に分布させないと、着火しないことが希に生じる。
このため、このような内燃機関では、点火プラグの火花放電を補うために、例えば特許文献1に記載のもののように、点火プラグの放電領域にプラズマ雰囲気を生成しておき、プラズマ雰囲気中にアーク放電を行うことにより、従来に比べて高い電圧を印加することなく燃焼室内の混合気に確実に着火し、安定した火炎を得ることができるように構成したものが知られている。
特開2007‐32349号公報
ところで、例えば大気圧下などでプラズマを生成する方法として、マグネトロンを用いるものが考えられている。マグネトロンにより燃焼室内にプラズマを生成する場合、マイクロ波を放射するアンテナが必要になる。マイクロ波を放射するアンテナとしては、例えばホーン型アンテナやダイポール型アンテナなどが挙げられる。
ところが、これらのアンテナの場合、燃焼室内にマイクロ波を放射するためには、ホーン型アンテナであればマイクロ波が進行する通路を燃焼室の壁面に設ける必要があり、またダイポール型アンテナにあってもアンテナを燃焼室内に設置すべく燃焼室の壁に貫通孔をあける必要があった。
そこで本発明は、このような不具合を解消することを目的としている。
すなわち、本発明の火花点火式内燃機関の点火プラグは、導電材料からなるハウジングと、ハウジング内に絶縁体を介して取り付けられる中心電極と、中心電極から離れてハウジングの下端に設けられる接地電極とを備え、中心電極と接地電極との間に発生する火花放電と電磁波により燃焼室内に生成されるプラズマとを反応させて混合気に着火する火花点火式内燃機関の点火プラグであって、絶縁体内に中心電極とは絶縁した状態に導体を配置し、絶縁体の中心電極側端部の表面に、導体と電気的に接続されて電磁波を燃焼室内に放射するアンテナを設けてなることを特徴とする。
このような構成によれば、電磁波を燃焼室内に放射するアンテナを、絶縁体の中心電極側端部の表面に設けるので、火花点火式内燃機関の燃焼室に対して加工を施す必要がなくすことが可能になる。
このように、アンテナを絶縁体の中心電極側端部の表面に設けるためには、アンテナが、導電体の薄板からなるものが好ましい。
本発明は、以上説明したような構成であり、電磁波を燃焼室内に放射するアンテナを、絶縁体の中心電極側端部の表面に設けるので、火花点火式内燃機関の燃焼室に対して加工を施す必要がなくすことができる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に、1気筒における点火プラグ1の取付部分を拡大して示す火花点火式内燃機関であるエンジン100は、例えば3気筒のダブルオーバーヘッドカムシャフト(DOHC)形式のもので、吸気ポート2の開口3及び排気ポート4の開口5が、燃焼室6の天井部分のほぼ中央に取り付けられる点火プラグ1を中心として対向配置されて、1気筒当たりそれぞれ2ヶ所に開口するものである。すなわち、このエンジン100は、シリンダブロック7に取り付けられ、燃焼室6の天井部分を形成しているシリンダヘッド8には、吸気側と排気側とにそれぞれカムシャフト9、10が取り付けてある。シリンダヘッド8の吸気ポート2は、カムシャフト9が回転することにより往復作動する吸気弁11により、また排気ポート4は、カムシャフト10が回転することにより往復作動する排気弁12によりそれぞれ開閉されるものである。そして、燃焼室6の天井部分には、点火プラグ1が取り付けられてある。なお、点火プラグ1を除くエンジン100それ自体は、この分野で知られている火花点火式のものを適用するものであってよい。
この実施例の点火プラグ1は、導電材料からなるハウジング13と、ハウジング13内に絶縁されて取り付けられる中心電極14と、中心電極14から離れてハウジング13の下端に設けられる接地電極15と、中心電極14を絶縁する絶縁体である絶縁碍子16と、電磁波であるマイクロ波を燃焼室6内に放射するアンテナ20と、アンテナ20に電気的に接続され絶縁碍子16内に中心電極14とは絶縁した状態で設けられる導体21とを備える。
すなわち、点火プラグ1は、ハウジング13がほぼ円柱形状の絶縁碍子16を支持し、絶縁碍子16の上端に取り付けられる接続端子17が、ハウジング13の下端から突出する中心電極14と図示しない中軸により電気的に接続され、ハウジング13下端から中心電極14下端に対向する位置まで延びる位置に接地電極15がハウジング13に一体的に設けてある構造である。絶縁碍子16は、中心電極14とエンジン100への取付部であるハウジング13とを絶縁するとともに、中心電極14と接続端子17との接続部材である中軸も絶縁するもので、ほぼ円筒形状をしている。
ハウジング13は、絶縁碍子16を収容するのに十分な内部空間を備える円筒形状のもので、導電材料である、例えばステンレス製のものである。ハウジング13は、その上端部分が、絶縁碍子16を密着し気密性を維持するために内側に絞り込まれている。また、その長手方向の中央部から下側部分の外周には、シリンダヘッド8への取付のための雄ねじ部18が形成してある。加えて、雄ねじ部18と上端部分との間には、取り付ける場合に取付台座部となる主体金具19が、雄ねじ部18より大きな外径で形成してある。
中心電極14は、例えば円柱状の金属材料にて形成されており、その下端が絶縁碍子16から露出するとともに、ハウジング13の下端から露出する。中心で極14の先端はほぼ平坦な円形面で、接地電極15の上面とほぼ平行に対向している。
このような中心電極14に対して、接地電極15は、ハウジング13下端面に一体的に形成される側面視ほぼL字状のもので、その先端は、中心電極14の中心軸から間隙30をあけた位置まで延びている。接地電極15は、このように中心電極14に比較して長い上面を有しているので、その上面は中心電極14の先端より大面積の電子放出面となる。接地電極15は、このようにハウジング13に一体的に設けられているので、使用時にあってはハウジング13と同電位すなわち接地電位に維持される。
アンテナ20は、絶縁碍子16の中心電極14側の端部つまり絶縁碍子16の下側先端の表面に設けられるものである。アンテナ20は、導電薄膜からなるもので、導体に接続される。この実施形態のアンテナ20は、中心電極14とは間隔をあけて中心電極14を取り巻くように、所定幅の円弧状の金属箔からなるものである。このアンテナ20は、メッキ処理や、蒸着などの薄膜形成技術により形成する。例えばメッキ処理の場合、絶縁碍子16を形成する場合に一体に形成する導体21に、メッキ溶液中において所定の電圧を印加してアンテナ20を形成する。
このような点火プラグ1の中心電極14に対して、点火コイルから点火電圧が印加されるとともに、マイクロ波を出力するマグネトロンを備える高圧交流発生装置から、導波管、同軸ケーブル及び導体21を介してアンテナ20にマイクロ波が印加される。
このエンジン100にあっては、通常の運転状態では高圧交流発生装置26が発生するマイクロ波を、火花放電とほぼ同時あるいはその直後に中心電極から燃焼室6内に放射し、それにより生成されるプラズマと点火プラグ1による火花放電とを反応させて、混合気に着火するように構成されている。
点火に際しては、点火プラグ1に点火コイル(図示しない)により火花放電を発生させて、火花放電とほぼ同時あるいはその直後にマイクロ波により高周波電界を発生させてプラズマを生成させることにより、燃焼室6内の混合気を急速に燃焼させる構成である。
具体的には、点火プラグ1による火花放電が高周波電界中でプラズマになり、火炎が大きくなる。
これは、火花放電による電子の流れ及び火花放電によって生じたイオンやラジカルが、高周波電界の影響を受け振動、蛇行することで行路長が長くなり、周囲の水分子や窒素分子と衝突する回数が飛躍的に増加することによるものである。イオンやラジカルの衝突を受けた水分子や窒素分子は、OHラジカルやNラジカルになると共に、イオンやラジカルの衝突を受けた周囲の気体は電離した状態、言換するとプラズマ状態となることで、飛躍的に火炎が大きくなるものである。
この結果、高周波電界と反応することにより増大した火花放電により混合気に着火するため、着火領域が拡大し、点火プラグ1のみの二次元的な着火から三次元的な着火になる。したがって、初期燃焼が安定し、上述したラジカルの増加に伴って燃焼が燃焼室6内に急速に伝播し、高い燃焼速度で燃焼が拡大する。
この場合に、アンテナ20にマイクロ波が印加されるので、アンテナ20から接地電極15の方向に、中心電極14を囲むようにして高周波電界が形成される。そしてそのような高周波電界中で、中心電極14と接地電極15との間隙で火花放電が発生することで、上述したように高周波電界と火花放電とが反応するものである。
このように、点火プラグ1の絶縁碍子16の先端に、中心電極14を取り囲むようにアンテナ20を形成しているので、容易にアンテナ20を燃焼室6に設置することができる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
上述の実施形態においては、アンテナ20をメッキ処理により形成したが、例えば物理的蒸着により薄膜を形成し、その後、エッチング処理することによりアンテナを形成するものであってもよい。このような薄膜形成技術を適用する場合、アンテナ形状に関して微細な加工をすることができる。したがって、使用するマイクロ波との整合を容易に取ることができる。又、特性のばらつきを抑えて、アンテナの量産をすることができる。
高圧交流発生装置としては、上述のようなマグネトロンに代えて、進行波管などであってよく、さらには半導体によるマイクロ波発振回路を備えるものであってもよい。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明の活用例として、ガソリンや液化天然ガスを燃料として点火プラグによる火花放電を着火に必要とする火花点火式内燃機関に活用することができる。
本発明の一実施形態を適用するエンジンの要部を拡大して示す断面図。 同実施形態の点火プラグの底面図。
符号の説明
1…点火プラグ
13…ハウジング
14…中心電極
15…接地電極
20…アンテナ
21…導体

Claims (2)

  1. 導電材料からなるハウジングと、ハウジング内に絶縁体を介して取り付けられる中心電極と、中心電極から離れてハウジングの下端に設けられる接地電極とを備え、中心電極と接地電極との間に発生する火花放電と電磁波により燃焼室内に生成されるプラズマとを反応させて混合気に着火する火花点火式内燃機関の点火プラグであって、
    絶縁体内に中心電極とは絶縁した状態に導体を配置し、絶縁体の中心電極側端部の表面に、導体と電気的に接続されて電磁波を燃焼室内に放射するアンテナを設けてなる火花点火式内燃機関の点火プラグ。
  2. アンテナが、導電体の薄板からなる請求項1記載の火花点火式内燃機関の点火プラグ。
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