JP2015160538A - ステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造時に作業者の熟練を要しない衝撃吸収機構を備えるステアリング装置を提供する。【解決手段】衝撃吸収機構39を備えるステアリング装置100は、ステアリングシャフト1を支持するアッパコラムチューブ21と、アッパコラムチューブ21と相対移動可能なロアコラムチューブ22と、アッパコラムチューブ21に連結されるアッパ固定ブラケット35と、を備え、衝撃吸収機構39は、アッパ固定ブラケット35のブラケット側方部35bに固定されるブラケット固定部41と、車体に固定されるとともにブラケット側方部35bの切り欠き部35cと係合するカプセル部34,42と、ブラケット固定部41とカプセル部34,42とを接続しアッパ固定ブラケット35とカプセル部34,42とが相対移動することで破断する破断部と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両に搭載されるステアリング装置に関する。
従来のステアリング装置として、特許文献1には、車両衝突時に運転者がステアリングホイールに衝突することによって生じる衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収機構を備えるステアリング装置が開示されている。
このステアリング装置は、アッパーコラムを車体に取り付けるブラケットと、ブラケットのフランジ部に固定されるカプセルと、を備える。カプセルにはボルト穴が設けられ、ボルト穴にボルトを挿通することでカプセルが車体に固定される。また、ブラケット及びカプセルには互いに対向する位置に貫通孔が設けられ、この貫通孔に樹脂を射出成型して樹脂ピンが形成される。ブラケットは、この樹脂ピンによってカプセルに固定される。
車両衝突時、運転者がステアリングホイールに衝突してブラケットがカプセルに対してスライドする方向に衝撃が加わると、樹脂ピンが破断して衝撃エネルギーが吸収される。
特開2007−76613号公報
しかし、上記従来の技術では、貫通孔において樹脂ピンを射出成型する際に、樹脂の量及び圧力を調整する必要があるので、作業者の熟練を要する。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、車両衝突時の衝撃を吸収可能としながら製造時に作業者の熟練を要しない衝撃吸収機構を備えるステアリング装置を提供することを目的とする。
本発明は、ステアリングホイールを通じてステアリングシャフトに加わる衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収機構を備えるステアリング装置であって、前記ステアリングシャフトを回転自在に支持するアッパコラムチューブと、車体に固定され、前記アッパコラムチューブと相対移動可能なロアコラムチューブと、前記アッパコラムチューブに連結されるアッパ固定ブラケットと、を備え、前記アッパ固定ブラケットは、前記アッパコラムチューブに連結されるブラケット連結部と、前記ブラケット連結部から側方に延び前記衝撃吸収機構を介して前記車体に固定されるブラケット側方部と、を有し、前記ブラケット側方部は、前記ステアリングホイール側に切り欠かれた切り欠き部を有し、前記衝撃吸収機構は、前記ブラケット側方部に固定されるブラケット固定部と、前記車体に固定されるとともに前記ブラケット側方部の前記切り欠き部と係合するカプセル部と、前記ブラケット固定部と前記カプセル部とを接続し前記アッパ固定ブラケットと前記カプセル部とが相対移動することで破断する破断部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、車両衝突時の衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収機構をアッパ固定ブラケットに固定するだけで装着することができるので、作業者の熟練を要しない衝撃吸収機構を備えるステアリング装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の平面図である。 本発明の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の側面図である。 図1におけるA−A断面を示す断面図である。 図1におけるB−B断面を示す断面図である。 図4におけるC−C断面を示す断面図である。 図5Aの衝撃吸収機構の組み付け方法を説明する図である。 衝撃吸収機構の作用を説明する図である。 本発明の変形例の図1におけるB−B断面を示す断面図である。 図7におけるD−D断面を示す断面図である。 変形例の他の例の図7におけるD−D断面を示す断面図である。
図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
以下では、本発明の実施形態として電動パワーステアリング装置100を例にとって説明する。
まず、図1〜図3を参照して、電動パワーステアリング装置100の全体構成について説明する。
電動パワーステアリング装置100は、ドライバーがステアリングホイール8に加える操舵力を電動モータ13の回転トルクにて補助する装置である。
電動パワーステアリング装置100は、ステアリングホイール8が連結されるステアリングシャフト1と、内部を挿通するステアリングシャフト1を回転自在に支持するステアリングコラム2と、トーションバー(図示せず)を介してステアリングシャフト1と連結される出力シャフト4と、を備える。
出力シャフト4は、ユニバーサルジョイント、ピニオン、ラック等を介して車輪に連結される。ドライバーがステアリングホイール8を操舵することによって、ラックが軸方向に移動して車輪の向きが変化する。
以下では、ステアリングホイール8側を車体後方、出力シャフト4側を車体前方として説明する。
電動モータ13の回転トルクは、ギヤケース32に収容される減速機を介して出力シャフト4に補助トルクとして付与される。電動モータ13は、ステアリングホイール8に加わる操舵力を検出するトルクセンサの検出結果に基づいて制御される。トルクセンサはセンサケース31に収容される。
ステアリングシャフト1は、後端部にステアリングホイール8が連結される略円筒状のアッパシャフト11と、アッパシャフト11と同軸的に接続され、前方側がトーションバーを介して出力シャフト4に連結される略円筒状のロアシャフト12と、からなる。ロアシャフト12の後方側はアッパシャフト11の中空部に挿入され、両者はセレーション結合される。アッパシャフト11とロアシャフト12は、セレーション結合によって、一体回転可能でかつ軸方向に相対移動可能に接続される。
ステアリングコラム2は、軸受23を介してアッパシャフト11を回転自在に支持する略円筒状のアッパコラムチューブ21と、アッパコラムチューブ21と同軸的に配置され、前端部がセンサケース31に固定される略円筒状のロアコラムチューブ22と、からなる。アッパコラムチューブ21の前方側にはロアコラムチューブ22の後方側が挿入され、両者は軸方向に相対移動可能である。アッパシャフト11とアッパコラムチューブ21は、軸受23によって軸方向の相対移動が規制されている。センサケース31の後方部には、他の部位よりも小径な筒状の小径部31aが形成され、小径部31aの外周面にロアコラムチューブ22の前端部の内周面が圧入される。
出力シャフト4は、ギヤケース32に軸受16を介して回転自在に支持される。
電動パワーステアリング装置100は、車体に固定されると共にステアリングコラム2を支持するアッパ固定ブラケット35と、車体に固定されると共に一対のアーム38a,38bを介してギヤケース32を揺動可能に支持するロア固定ブラケット(図示せず)と、を介して車体に取り付けられる。
電動パワーステアリング装置100は、ステアリングホイール8がドライバーから見て上下方向(図2に示す実線矢印の方向)に移動するようにステアリングコラム2を一対のアーム38a,38bを中心に揺動可能とするチルト機構と、ステアリングホイール8がドライバーから見て前後方向(図2に示す点線矢印の方向)に移動するようにステアリングコラム2を伸縮可能とするテレスコピック機構と、ステアリングコラム2の揺動及び伸縮の規制とその規制の解除とを切り換え可能な解除機構と、を備える。
以下では、チルト機構、テレスコピック機構、及び解除機構について説明する。
アッパコラムチューブ21には、外周を囲むようにコラムブラケット51が固定される。コラムブラケット51は、アッパ固定ブラケット35に固定された支持ブラケット52に支持され、支持ブラケット52に対して移動可能なようにガイドピン53によって連結される。
支持ブラケット52は、コラムブラケット51の両側壁51aを挟むように延びる一対の側壁52aを有する。ガイドピン53は、支持ブラケット52の両側壁52aとコラムブラケット51の両側壁51aとを貫通して設けられる。支持ブラケット52の両側壁52aには、ガイドピン53の移動をガイドするガイド穴52bが形成される。ガイド穴52bはステアリングコラム2の軸方向に対して略直交する方向に形成される。ガイドピン53がガイド穴52bに沿って移動することによって、コラムブラケット51が支持ブラケット52の両側壁52aの内周面に沿って移動する。これにより、ステアリングコラム2が一対のアーム38a,38bを中心に揺動し、ステアリングホイール8はドライバーから見て上下方向に移動する。
また、コラムブラケット51の両側壁51aには、ガイドピン53の移動をガイドするガイド穴51b(図3参照)がステアリングコラム2の軸方向に沿って形成される。ガイドピン53がガイド穴51bに沿って移動することによって、コラムブラケット51が支持ブラケット52の両側壁52aの内周面に沿って移動する。これにより、アッパコラムチューブ21がアッパシャフト11と共に軸方向へ移動し、ステアリングホイール8はドライバーから見て前後方向に移動する。
ガイドピン53には、ドライバーが運転席にて操作可能な操作レバー37が回転自在に取り付けられる。操作レバー37を操作することによって、支持ブラケット52の両側壁52aによるコラムブラケット51の両側壁51aの締め付けとその解除が行われる。具体的には、操作レバー37の操作に伴って回転するカムの作用によって締め付けとその解除が行われる。
操作レバー37が締め付け位置にある場合には、コラムブラケット51の両側壁51aが支持ブラケット52の両側壁52aによって締め付けられた状態となり、支持ブラケット52に対するコラムブラケット51の移動が規制されるため、ステアリングコラム2の揺動及び伸縮が規制される。一方、操作レバー37が開放位置にある場合には、支持ブラケット52の両側壁52aによるコラムブラケット51の両側壁51aの締め付けが解除された状態となり、支持ブラケット52に対するコラムブラケット51の移動が可能となるため、ステアリングコラム2の揺動及び伸縮の規制が解除される。
次に、衝撃吸収機構39及び衝撃吸収機構39が固定されるアッパ固定ブラケット35について説明する。図4は、図1におけるB−B断面を示す断面図であり、アッパ固定ブラケット35及び衝撃吸収機構39以外の部材については省略して示している。図5Aは、図4におけるC−C断面を示す断面図であり、図5Bは、衝撃吸収機構39の組み付けを示す図である。図6は、図1における衝撃吸収機構39及びアッパ固定ブラケット35を抜粋した図である。図4〜図6に示す衝撃吸収機構39は、アッパ固定ブラケット35に係合するカプセル34と、アッパ固定ブラケット35に係止するとともにカプセル34に嵌合する樹脂製の衝撃吸収部材40と、を有する。
アッパ固定ブラケット35は、アッパコラムチューブ21に連結するブラケット連結部としてのブラケット中央部35aと、ブラケット中央部35aの両側方に延び衝撃吸収機構39を介して車体に固定されるブラケット側方部35bと、を有する。アッパ固定ブラケット35のブラケット側方部35bには、衝撃吸収機構39が側方へ移動してしまうことを規制するストッパ35eと、ステアリングホイール8側に開口し、カプセル34に係合する切り欠き部35cと、が形成される。カプセル34の両側面には、切り欠き部35cと係合する係合溝34aが形成される。カプセル34を開口側から切り欠き部35cにスライドさせて嵌め込むとブラケット側方部35bがカプセル34によって挟持され、ブラケット側方部35bとカプセル34とはアッパコラムチューブ21の軸に垂直な方向への相対移動が規制される。アッパ固定ブラケット35は、上記構成に限らず、例えば、ブラケット側方部35bの端部をそれぞれアッパコラムチューブ21に連結させ、ブラケット中央部35aを省略した構成としてもよい。
カプセル34はさらに、カプセル34を車体に固定するボルトが挿通する挿通孔34bと、挿通孔34bの外縁に沿って車体側に隆起した隆起部34cと、を有する。挿通孔34b及び隆起部34cは、カプセル34のほぼ中央に形成される。挿通孔34bは、電動パワーステアリング装置100の取付位置を調整するために長穴に形成される。挿通孔34bの形状は、これに限定されるものではなく、円孔でもよい。
衝撃吸収部材40は、ブラケット側方部35bの車体の前方側の端部35dに係止する鉤状部41aを有するブラケット固定部41と、内周がカプセル34の隆起部34cの外周と嵌合する貫通孔42aを有するカプセル固定部42と、ブラケット固定部41とカプセル固定部42とを接続する破断部43と、を有し、樹脂によって一体成形される。本実施形態では、カプセル34とカプセル固定部42とが嵌合し一体化した部分が請求項のカプセル部に該当する。
破断部43は、図6に示されるように、カプセル固定部42の接続面42bの車体前方寄りの部分と、ブラケット固定部41の接続面41bと、を車体の前後方向に所定の領域に亘って接続している。すなわち、カプセル固定部42の接続面42bの車体前方寄りの部分は、破断部43が接続される接続領域となる一方で、車体後方寄りの部分は、破断部43が接続されない非接続領域となる。破断部43がカプセル固定部42の接続面42bの車体前方寄りの部分に接続しているとは、カプセル固定部42の貫通孔42aを挿通するボルトによる締め付け位置の中心よりも、破断部43の車体前後方向における中間点が、車体前後方向において車体前方側に位置する状態で破断部43がカプセル固定部42に接続していることを意味する。また、破断部43は、図4に示されるように、カプセル固定部42及びブラケット固定部41に比べて薄肉に形成され、他の部位よりも破断しやすい形状を有している。
次に、図5Bを参照して、衝撃吸収機構39の組み付け方法について説明する。まず、カプセル34をブラケット側方部35bの切り欠き部35cにスライドさせて嵌め込む。次に、衝撃吸収部材40のブラケット固定部41の鉤状部41aをブラケット側方部35bの端部35dに引っかけて、図5B中の矢印に示される方向に、衝撃吸収部材40を、端部35dを中心にして回動させる。衝撃吸収部材40を回動させるとともに、カプセル34の隆起部34cにカプセル固定部42の貫通孔42aを嵌合する。このようにして衝撃吸収機構39は、ブラケット側方部35bに固定される。
衝撃吸収部材40は、カプセル固定部42を介してカプセル34に嵌合するとともに、ブラケット固定部41の鉤状部41aを介してブラケット側方部35bに係止しているため、アッパ固定ブラケット35に装着された後に、輸送や車体への組み付けに伴う振動等が加わっても、アッパ固定ブラケット35から脱落することはない。また、ブラケット固定部41の側方への移動は、ブラケット側方部35bに形成されたストッパ35eにより規制される。ストッパ35eは、ブラケット固定部41の側方に隣接して突出し、ブラケット固定部41の移動を規制できる形状であればどのような形状でもよい。ストッパ35eの形状は、凸状に限定されるものではなく、ブラケット固定部41の幅に合わせてブラケット側方部35bの端部35dに切り欠かれた凹状部でもよい。
次に、図1及び図6を参照して、衝撃吸収機構39の作用について説明する。
車両衝突時にステアリングホイール8を通じてステアリングシャフト1に過大な荷重が作用した場合、アッパシャフト11及びアッパコラムチューブ21が一体的に軸方向に移動し、ガイドピン53がガイド穴51bの終端(テレスコピック調整機構のストローク端)に当接するまで移動する。さらに、上記荷重がアッパコラムチューブ21からコラムブラケット51、支持ブラケット52を介してアッパ固定ブラケット35に作用する。アッパ固定ブラケット35に荷重が作用すると、アッパ固定ブラケット35は、切り欠き部35cがカプセル34の係合溝34aから外れる方向、すなわちステアリングホイール8とは反対方向へ移動しようとする。このとき、カプセル34に固定されているカプセル固定部42とアッパ固定ブラケット35に固定されているブラケット固定部41とが相対移動して破断部43が破断する。これにより、車両衝突時にステアリングホイール8に過大な荷重が作用した場合に、アッパコラムチューブ21及びアッパシャフト11が車体に対して移動し、アッパシャフト11に加わる衝撃エネルギーが吸収される。
具体的には、カプセル34は挿通孔34bを挿通するボルトにより車体に固定されているので、図6中に実線矢印Fで示されるように、アッパ固定ブラケット35を介してブラケット固定部41に荷重が作用すると、カプセル固定部42の車体前方部に接続された破断部43を介してカプセル固定部42及びカプセル34にも荷重が伝達され、カプセル固定部42及びカプセル34にはボルトによる締結位置を中心としたモーメントが作用する。このため、図6中に破線矢印Mで示されるように、カプセル固定部42及びカプセル34の車体後方部は、ブラケット固定部41側に移動する一方、カプセル固定部42及びカプセル34の車体前方部は、ブラケット固定部41から離れる方向に移動する。
ここで、前述のように、カプセル固定部42の接続面42bの車体後方寄りには破断部43が接続されない非接続領域が設けられているため、図6に示されるように、カプセル固定部42の車体後方部のブラケット固定部41側には空間が形成される。この空間がカプセル固定部42及びカプセル34のブラケット固定部41側への変位を許容することとなり、カプセル固定部42及びカプセル34の車体後方部は、制約を受けずにブラケット固定部41側に移動する。
カプセル固定部42の車体後方部がブラケット固定部41側に移動するのに伴い、カプセル固定部42の車体前方部に接続された破断部43は破断を開始し、アッパ固定ブラケット35に作用する荷重に応じて安定して破断する。破断部43が完全に破断すると、カプセル固定部42及びカプセル34は、ボルトにより車体に固定されているため固定位置に留まる一方、ブラケット固定部41は、鉤状部41aを介してブラケット側方部35bに係止しているため、アッパ固定ブラケット35とともに車体前方へ移動する。
破断部43が破断する荷重は、非接続領域の大きさ、すなわち、カプセル固定部42に対する破断部43の接続位置に応じて変化する。例えば、破断荷重を小さくしたい場合は、カプセル固定部42に対する破断部43の接続位置を車両前方寄りにずらして非接続領域を大きくし、荷重がかかった際にカプセル固定部42の車体後方部がブラケット固定部41側へ移動し易い構成とする。
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
ブラケット固定部41の鉤状部41aを、ブラケット側方部35bの車体の前方側の端部35dに係止し、カプセル34の隆起部34cにカプセル固定部42の貫通孔42aを嵌め込むだけで衝撃吸収機構39をアッパ固定ブラケット35に固定することができるので、作業者の熟練を要しない衝撃吸収機構39を備える電動パワーステアリング装置100を提供することができる。
また、衝撃吸収部材40は、カプセル固定部42を介してカプセル34に嵌合するとともに、ブラケット固定部41の鉤状部41aを介してブラケット側方部35bに係止しているため、アッパ固定ブラケット35に装着された後に、輸送や車体への組み付けに伴う振動等が加わっても、アッパ固定ブラケット35から外れないので、衝撃吸収機構39の脱落を防止することができる。
また、衝撃吸収部材40は樹脂製であり、ブラケット固定部41、カプセル固定部42及び破断部43が一体成形されるので、衝撃吸収部材40の製造コストを抑制することができる。
また、衝撃吸収機構39の破断荷重を決定付ける破断部43は、ブラケット固定部41とカプセル固定部42との間に成形されており、アッパ固定ブラケット35等に直接成形されるものではないため、アッパ固定ブラケット35等の加工精度に左右されることなく、破断荷重を安定させることができる。
また、破断荷重に影響を及ぼす破断部43は、製造時においてその形状が目視可能な状態にあることから、破断部43の外観や寸法等に基づき製品の異常の有無や破断荷重を容易に判定することができ、品質を安定化させることが可能である。
また、衝撃吸収機構39は、アッパ固定ブラケット35のブラケット側方部35bに設けられており、ブラケット中央部35aには設けられていないため、アッパコラムチューブ21の上方の空間を有効利用することができる。
また、破断部43が破断する荷重は、カプセル固定部42に対する破断部43の接続位置により変化するので、接続位置を変更することにより破断荷重を適宜設定することができる。
次に、衝撃吸収機構39の変形例について説明する。図7は、変形例の図1におけるB−B断面を示す断面図であり、アッパ固定ブラケット35及び衝撃吸収機構39以外の部材については省略して示している。図8A及び図8Bは、図7のD−D断面の断面図である。図7、図8A及び図8Bに示される変形例では、前述の実施形態のカプセル34とカプセル固定部42に相当する部分を、カプセル部44として一体的に形成している点で、前述の実施形態と異なっている。変形例におけるカプセル部44は、請求項のカプセル部に該当する。
変形例における衝撃吸収機構39は、ブラケット側方部35bの車体の前方側の端部35dに係止する鉤状部41aを有するブラケット固定部41と、ブラケット側方部35bの切り欠き部35cに射出成形されるカプセル部44と、ブラケット固定部41とカプセル部44とを接続する破断部43と、を有し、樹脂によって一体成形される。
カプセル部44は、ブラケット側方部35bの切り欠き部35cのうちステアリングホイール8側の開口端を除く部分を挟み込んで射出成形される。このため、カプセル部44には、切り欠き部35cに対応する部分に、車体の前後方向に延びる係合溝44aが形成される。カプセル部44の係合溝44aで囲まれる部分には、電動パワーステアリング装置100を車体に固定するボルトが挿通される挿通孔44cが形成される。挿通孔44cは、電動パワーステアリング装置100の取付位置を調整するために長穴に形成される。挿通孔44cの形状は、これに限定されるものではなく、円孔でもよい。また、挿通孔44c内には、補強のために金属製のカラー部材を設けてもよい。
ブラケット固定部41には、図8Aに示すように、ブラケット側方部35bに係止する鉤状部41aの他に、ブラケット側方部35bを貫通する貫通孔35fに係止される抜止部41cを設けてもよい。鉤状部41aと抜止部41cとは、射出成形により形成されるため、ブラケット固定部41は、ブラケット側方部35bに密着する。このため、ブラケット固定部41は、確実にブラケット側方部35bに固定される。また、図8Bに示すように、鉤状部41aと抜止部41cとが連結するようにブラケット固定部41を形成してもよい。この場合、ブラケット側方部35bの一部がブラケット固定部41に包み込まれるため、ブラケット固定部41は、より確実にブラケット側方部35bに固定される。鉤状部41aと抜止部41cとは両方設けてもよいし、いずれか一方のみを設けてもよい。貫通孔35f及び抜止部41cの断面形状や個数は、要求されるブラケット固定部41とブラケット側方部35bとの結合強度に応じて適宜設定される。
破断部43は、前述の実施形態と同様に、ブラケット固定部41の接続面41bとカプセル部44の接続面44bとを接続する。
変形例においても、前述の実施形態と同様に、破断部43は、アッパ固定ブラケット35に作用する荷重に応じて安定して破断する。
以上の変形例によれば、前述の実施形態による効果の他に以下に示す効果を奏する。
車両に固定されるカプセル部44と衝撃により破断する破断部43とが、アッパ固定ブラケット35に対して一体的に成形されるため、これらを別部材で製造する場合に比べて製造コストを削減することができる。
また、衝撃吸収機構39の破断荷重は、主にカプセル部44や破断部43の射出成形の状態により決まるので、作業者による特別な調整作業が不要になり、ステアリング装置の組み立てが容易になる。
また、ブラケット固定部41は、鉤状部41aや抜止部41cを介してブラケット側方部35bに強固に固定されるため、アッパ固定ブラケット35に荷重が作用したとき、ブラケット固定部41は、アッパ固定ブラケット35とともに車体前方へ確実に移動する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記実施形態では電動パワーステアリング装置100について説明したが、本発明は油圧式のパワーステアリング装置にも適用することができ、また、ドライバーがステアリングホイール8に加える操舵力を補助しないステアリング装置にも適用することができる。
さらに、上記実施形態では衝撃吸収部材40は樹脂製であるが、その他の素材であってもよい。
さらに、上記実施形態では、衝撃吸収機構39の破断部43が、車両衝突時に破断することで衝撃吸収を行っているが、その他の衝撃吸収機構を組み合わせてもよい。
例えば、ロアシャフト12の外周とアッパシャフト11の内周とにセレーションを形成し、ロアシャフト12を外径が軸方向下方へ行くほど大きくなるようにテーパ状に形成し、車両衝突時にロアシャフト12とアッパシャフト11との相対移動によって両セレーションが塑性又は剪断変形することで衝撃吸収を行う構成を組み合わせてもよい。
さらに、例えば、アッパコラムチューブ21側とロアコラムチューブ22側とをS字形プレートで連結し、車両衝突時にアッパコラムチューブ21とロアコラムチューブ22とが相対移動するのに伴ってS字形プレートがしごかれることで衝撃吸収を行う構成を組み合わせてもよい。
1 ステアリングシャフト
8 ステアリングホイール
21 アッパコラムチューブ
22 ロアコラムチューブ
34 カプセル(カプセル部)
35 アッパ固定ブラケット
35a ブラケット中央部(ブラケット連結部)
35b ブラケット側方部
35c 切り欠き部
39 衝撃吸収機構
40 衝撃吸収部材
41 ブラケット固定部
41a 鉤状部
42 カプセル固定部(カプセル部)
43 破断部
44 カプセル部
100 電動パワーステアリング装置(ステアリング装置)

Claims (5)

  1. ステアリングホイールを通じてステアリングシャフトに加わる衝撃エネルギーを吸収する衝撃吸収機構を備えるステアリング装置であって、
    前記ステアリングシャフトを回転自在に支持するアッパコラムチューブと、
    車体に固定され、前記アッパコラムチューブと相対移動可能なロアコラムチューブと、
    前記アッパコラムチューブに連結されるアッパ固定ブラケットと、
    を備え、
    前記アッパ固定ブラケットは、前記アッパコラムチューブに連結されるブラケット連結部と、前記ブラケット連結部から側方に延び前記衝撃吸収機構を介して前記車体に固定されるブラケット側方部と、を有し、
    前記ブラケット側方部は、前記ステアリングホイール側に切り欠かれた切り欠き部を有し、
    前記衝撃吸収機構は、前記ブラケット側方部に固定されるブラケット固定部と、前記車体に固定されるとともに前記ブラケット側方部の前記切り欠き部と係合するカプセル部と、前記ブラケット固定部と前記カプセル部とを接続し前記アッパ固定ブラケットと前記カプセル部とが相対移動することで破断する破断部と、を有することを特徴とするステアリング装置。
  2. 前記衝撃吸収機構の前記ブラケット固定部は、前記ブラケット側方部の前記車体の前方側の端部に係止する鉤状部を有することを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 前記カプセル部は、
    前記車体に固定されるとともに前記切り欠き部と係合するカプセルと、
    前記破断部を介して前記ブラケット固定部と接続され、前記カプセルに嵌合するカプセル固定部と、を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のステアリング装置。
  4. 前記衝撃吸収機構は、前記ブラケット固定部と、前記カプセル部と、前記破断部と、が一体的に成形される一体成形部材であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のステアリング装置。
  5. 前記ブラケット固定部は、さらに、前記ブラケット側方部を貫通する貫通孔に係止される抜止部を有することを特徴とする請求項4に記載のステアリング装置。
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