<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明は、例示のために特定の詳細な内容が含まれている。しかし、当業者であれば、以下に説明する詳細な内容に様々な変更を加えた場合であっても、本発明の範囲を超えないことは理解できるであろう。従って、以下に説明する本発明の例示的な実施形態は、権利を請求された発明に対して、一般性を失わせることなく、また、何ら限定をすることもなく、述べられたものである。
図1は、本第1の実施形態による固体撮像装置の概略構成を示したブロック図である。図1に示した固体撮像装置1は、固体撮像装置1に入射した光を光電変換した画素信号を出力する画素信号処理部10と、画素信号処理部10から出力された画素信号をアナログデジタル変換した画像データを出力する差分アナログデジタル変換部(以下、「差分AD変換部」という)50とから構成される。なお、固体撮像装置1においては、複数の画素を二次元の行列状に配置することによって画素アレイを形成し、この画素アレイを画素信号処理部10内に備えるが、説明を容易にするため、図1においては、固体撮像装置1に備えた画素信号処理部10内に、画素100aと画素100bとの2つの画素が配置されている場合の一例について説明する。実際には、画素100a、画素100bの組が複数個(例えば、固体撮像装置1の全ての画素数の1/2組)存在する。なお、固体撮像装置1には、本固体撮像装置1を搭載した撮像システムに備えた、本固体撮像装置1の制御を行う制御装置による制御に応じて、画素信号処理部10内に配置されたそれぞれの画素の構成要素を駆動する垂直走査回路や水平走査回路などの構成要素も備えているが、図1においては省略している。
なお、以下の説明においては、それぞれの構成要素が対応する画素、すなわち、画素100aまたは画素100bを区別するため、それぞれの構成要素の符号の最後に対応する画素を示す「a」または「b」の符号を付与して説明する。より具体的には、画素100aに対応する構成要素の符号の最後に「a」を付与し、画素100bに対応する構成要素の符号の最後に「b」を付与して説明する。また、画素100aおよび画素100bに共通して対応する構成要素には、「a」、「b」の符号は付与せずに説明する。また、画素100aまたは画素100bのいずれか一方の画素に対応する構成要素ではあるが、説明を行う際に対応する画素を区別しない場合には、「a」または「b」の符号を示さずに、それぞれの構成要素の符号までを示して説明する。
図1に示した固体撮像装置1の画素信号処理部10は、光電変換部101aおよび光電変換部101bと、電荷転送回路102aおよび電荷転送回路102bと、第1の電荷蓄積回路103aおよび第1の電荷蓄積回路103bと、第2の電荷蓄積回路104とから構成される。なお、光電変換部101aおよび光電変換部101bの2個に対して、1個の第2の電荷蓄積回路104が配置されているが、例えば、9個の光電変換部に対して1個の第2の電荷蓄積回路104が配置されてもよいし、25個の光電変換部に対して1個の第2の電荷蓄積回路104が配置されてもよい。すなわち、複数の光電変換部に対して1個の第2の電荷蓄積回路104が配置されていればよい。
また、図1に示した固体撮像装置1の差分AD変換部50は、第1の読み出し回路501と、差分回路502と、第1のA/D変換回路503と、第2の読み出し回路511と、第2のA/D変換回路513とから構成される。固体撮像装置1の差分AD変換部50では、第1の読み出し回路501、差分回路502、および第1のA/D変換回路503は、画素100aと画素100bとに共通の構成要素である。
光電変換部101aおよび光電変換部101bのそれぞれは、入射した光を光電変換して信号電荷を発生し、発生した信号電荷を蓄積する、フォトダイオードなどの光電変換部である。
電荷転送回路102aおよび電荷転送回路102bのそれぞれは、対応する光電変換部101aまたは光電変換部101bが発生して蓄積した信号電荷を、第1の電荷蓄積回路103aおよび第1の電荷蓄積回路103bと、第2の電荷蓄積回路104とのそれぞれに転送するための回路である。
第1の電荷蓄積回路103aおよび第1の電荷蓄積回路103bのそれぞれは、対応する電荷転送回路102aまたは電荷転送回路102bから転送された、対応する光電変換部101aまたは光電変換部101bが発生した信号電荷を保持(蓄積)する回路である。また、第1の電荷蓄積回路103aおよび第1の電荷蓄積回路103bのそれぞれは、保持した信号電荷に応じた信号電圧を画素信号(以下、「フル解像画像信号」という)S1として、差分AD変換部50内の第1の読み出し回路501に出力する回路でもある。
第2の電荷蓄積回路104は、電荷転送回路102aおよび電荷転送回路102bのそれぞれから転送された、光電変換部101aおよび光電変換部101bが発生したそれぞれの信号電荷の電荷量を平均化した電荷量の信号電荷、またはそれぞれの信号電荷の電荷量を平均化するための信号電荷を保持(蓄積)する回路(平均化電荷蓄積回路)である。つまり、第2の電荷蓄積回路104は、固体撮像装置1の画素信号処理部10に備えたそれぞれの画素の信号電荷を加算平均することによって、画素信号処理部10に備えた画素の数(画素数)を減縮した状態にするための信号電荷を保持する回路である。また、第2の電荷蓄積回路104は、保持した信号電荷に応じた信号電圧を、画素数を減縮した状態の画素信号(以下、「減縮画像信号」という)S2として、差分AD変換部50内の第2の読み出し回路511に出力する回路でもある。
なお、画素数を減縮するために行うそれぞれの画素の信号電荷を加算平均する構成は、光電変換部101aおよび光電変換部101bが発生したそれぞれの信号電荷を第2の電荷蓄積回路104に保持する際に加算平均する構成、第2の電荷蓄積回路104が保持したそれぞれの信号電荷に応じた信号電圧(減縮画像信号S2)を出力する際に加算平均する構成などがある。なお、第2の電荷蓄積回路104が保持したそれぞれの信号電荷に応じた信号電圧を出力した後に加算平均する構成であってもよい。
第1の読み出し回路501は、画素信号処理部10内の第1の電荷蓄積回路103aおよび第1の電荷蓄積回路103bのそれぞれからフル解像画像信号S1を順次読み出し、読み出したフル解像画像信号S1のそれぞれを、差分回路502に順次出力する回路である。
第2の読み出し回路511は、画素信号処理部10内の第2の電荷蓄積回路104から画素数を減縮した状態の減縮画像信号S2を順次読み出し、読み出した減縮画像信号S2のそれぞれを、差分回路502と第2のA/D変換回路513とのそれぞれに順次出力する回路である。
なお、画素信号処理部10内の第2の電荷蓄積回路104が、保持したそれぞれの信号電荷に応じた信号電圧(減縮画像信号S2)を加算平均せずにそのまま出力する構成である場合には、第2の読み出し回路511が、第2の電荷蓄積回路104から順次読み出したそれぞれの信号電圧(減縮画像信号S2)を加算平均した後に、差分回路502と第2のA/D変換回路513とのそれぞれに順次出力構成であってもよい。
差分回路502は、第1の読み出し回路501から入力されたそれぞれのフル解像画像信号S1と、第2の読み出し回路511から入力された画素数を減縮した状態の減縮画像信号S2との差分を算出し、差分を算出した画素信号のそれぞれを差分画素信号Voutとして、第1のA/D変換回路503に出力する。
第1のA/D変換回路503は、差分回路502から入力されたそれぞれの差分画素信号Vout(アナログ信号)をアナログデジタル変換し、それぞれの差分画素信号Vout(アナログ信号)の大きさを表す値(デジタル値)を出力する、スロープ積分型のA/D変換回路である。
第2のA/D変換回路513は、第2の読み出し回路511から入力されたそれぞれの減縮画像信号S2(アナログ信号)をそのままアナログデジタル変換し、それぞれの減縮画像信号S2(アナログ信号)の大きさを表す値(デジタル値)を出力する、スロープ積分型のA/D変換回路である。
なお、第1のA/D変換回路503および第2のA/D変換回路513のそれぞれが出力するデジタル値のビット数は、予め定められている。ただし、第1のA/D変換回路503が出力するデジタル値のビット数は、第2のA/D変換回路513が出力するデジタル値のビット数よりも少ないビット数である。なお、第1のA/D変換回路503および第2のA/D変換回路513のそれぞれに予め定められるデジタル値のビット数に関する説明は、後述する。
本第1の実施形態によれば、入射した光を光電変換した信号電荷を発生する光電変換部(光電変換部101aまたは光電変換部101b)を行列状に配置した複数の画素(画素100aおよび画素100b)と、光電変換部101aまたは光電変換部101bが発生した信号電荷を保持し、ここで保持した信号電荷に応じた信号電圧を、第1の画素信号(フル解像画像信号S1)として出力する複数の第1の電荷蓄積回路(第1の電荷蓄積回路103aおよび第1の電荷蓄積回路103b)と、複数の画素(画素100aおよび画素100b)内のそれぞれの光電変換部101aまたは光電変換部101bが発生した信号電荷に基づいた信号電荷を保持し、ここで保持した信号電荷に応じた信号電圧を、予め定めた数の画素数に減縮した第2の画素信号(減縮画像信号S2)として出力する複数の第2の電荷蓄積回路(第2の電荷蓄積回路104)と、を有する画素信号処理部(画素信号処理部10)と、画素100aおよび画素100bの列毎に対応し、ここで対応する列のフル解像画像信号S1とこのフル解像画像信号S1に対応する減縮画像信号S2との差分を算出した画素信号を差分画素信号(差分画素信号Vout)として出力する複数の差分算出部(差分回路502)と、差分回路502のそれぞれに対応し、ここで対応する差分回路502から出力された差分画素信号Voutをアナログデジタル変換し、この差分画素信号Voutの大きさを表すデジタル値を出力する複数の第1のアナログデジタル変換部(第1のA/D変換回路503)と、第2の電荷蓄積回路104の列毎に対応し、ここで対応する列の第2の電荷蓄積回路104から出力された減縮画像信号S2をアナログデジタル変換し、この減縮画像信号S2の大きさを表すデジタル値を出力する複数の第2のアナログデジタル変換部(第2のA/D変換回路513)と、を有する差分アナログデジタル変換部(差分AD変換部50)と、を備え、第1のA/D変換回路503のそれぞれは、第2のA/D変換回路513のそれぞれが出力するデジタル値のビット数よりも少ないビット数のデジタル値を出力する、固体撮像装置(固体撮像装置1)が構成される。
また、本第1の実施形態によれば、減縮画像信号S2は、対応する複数の画素(画素100aおよび画素100b)内の光電変換部101aまたは光電変換部101bのそれぞれが同じ露光期間で発生したそれぞれの信号電荷に基づいた信号電荷を平均化した電荷量の信号電荷に応じた信号電圧の信号である、固体撮像装置1が構成される。
このような構成によって、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10では、それぞれの画素を同じ露光期間で露光し、それぞれの画素内で、光電変換部101aが発生した信号電荷を第1の電荷蓄積回路103aに、光電変換部101bが発生した信号電荷を第1の電荷蓄積回路103bにそれぞれに保持すると共に、それぞれの信号電荷の電荷量を平均化して画素数を減縮するための信号電荷を第2の電荷蓄積回路104に保持する。すなわち、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10では、同じ1回の露光によって得られた信号電荷に基づいて、画素信号処理部10に備えた全ての画素の画素信号(フル解像画像信号S1)と、画素信号処理部10に備えた画素数を減縮した画素信号(減縮画像信号S2)とのそれぞれを別々に保持することができる。
そして、本第1の実施形態の固体撮像装置1の差分AD変換部50は、画素信号処理部10内の第1の電荷蓄積回路103aと第1の電荷蓄積回路103bとのそれぞれに保持したフル解像画像信号S1のそれぞれと、第2の電荷蓄積回路104に保持した減縮画像信号S2とのそれぞれを別々に読み出して、読み出したそれぞれの画素信号をアナログデジタル変換したそれぞれの画像データを出力する。このとき、本第1の実施形態の固体撮像装置1の差分AD変換部50では、差分回路502が、アナログデジタル変換を行うフル解像画像信号S1のそれぞれと減縮画像信号S2との差分を算出する。これにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1の差分AD変換部50では、画素信号処理部10内の光電変換部101aおよび光電変換部101bのそれぞれが発生した信号電荷のレベルを低くした状態の信号電荷に応じた信号電圧、つまり、同じ露光によって得られるフル解像画像信号S1における全体の輝度分布(ダイナミックレンジ)を狭くしたフル解像画像信号S1を、アナログデジタル変換することができる。このことにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1の差分AD変換部50では、フル解像画像信号S1をアナログデジタル変換する際に第1のA/D変換回路503内のカウンタが計数する時間を短くして、カウンタの消費電力を低減することができる。これにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1や、本第1の実施形態の固体撮像装置1を搭載した撮像システムの低消費電力化を図ることができる。
なお、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10では、図1において、それぞれの画素に備えた光電変換部101aと光電変換部101bとが発生したそれぞれの信号電荷の電荷量を平均化した信号電荷を保持する第2の電荷蓄積回路104を備える構成を示した。しかし、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10の構成は、図1に示した構成に限定されるものではない。
<画素信号処理部の第1の構成例>
次に、本第1の実施形態の固体撮像装置1における画素信号処理部10のより具体的な構成の一例について説明する。本第1の構成例の画素信号処理部10は、それぞれの光電変換部101が発生した信号電荷を第2の電荷蓄積回路104に保持する際に、それぞれの信号電荷を平均化した信号電荷を保持する構成例である。図2は、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10の第1の構成例を示した回路図である。図2には、第1の構成例の画素信号処理部10のそれぞれの構成要素を複数の基板に分けて構成した多層基板構造の固体撮像装置1を示している。より具体的には、固体撮像装置1の画素信号処理部10は、光電変換基板11と、第1の読み出し基板21と、第2の読み出し基板31との3つの基板による多層基板構造である。この多層基板構造の場合、それぞれの基板の信号線は、異なる基板同士の信号線を電気的に接続する接続部(以下、「基板間接続部」という)によって電気的に接続している。
なお、基板間接続部としては、例えば、蒸着法、めっき法で作製されるバンプなどを用いる。このとき、それぞれの基板の間に存在する空間には、接着剤などの絶縁部材を充填させてもよい。そして、接続されたそれぞれの基板に形成された構成要素同士は、基板間接続部を介して信号の送受信を行う。
なお、基板間接続部の構造は、上述したバンプ方式に限定されるものではなく、例えば、シリコン貫通電極(TSV:Through−Silicon−Via)方式を用いることもできる。また、固体撮像装置1の構造は、必ずしも多層基板構造に限定されるものではなく、1枚の基板、つまり、光電変換基板11と第1の読み出し基板21と第2の読み出し基板31とをモノリシック構造で形成することもできる。しかしながら、上記の3者の構造を比較すると、一般的にバンプ方式の方が、TSV方式よりは面積当たりにおける基板間の接点数を多くすることができる。なぜなら、TSV方式はシリコン貫通電極の周囲に回路を配置することができないためである。また、モノリシックな構造の場合、回路が混雑するために、特に高速動作させたときの発熱が問題となり、また消費電力も大きいと考えられる。したがって、高解像度の固体撮像装置向けには、バンプ方式が最も好ましい。なお、画素加算等により基板間の接点数が少なくなった際にはTSV方式を用いて接続しても良い。また、固体撮像装置の解像度が小さい場合にはTSV方式を用いてもよい。
図2において、第1の構成例の画素信号処理部10は、光電変換基板11に、光電変換部101a,101bと、画素リセットトランジスタ105a,105b、第1の増幅トランジスタ106a,106b、および電荷転送トランジスタ112a,112bとが形成されている。なお、図2においては、画素100aに備えた第1の増幅トランジスタ106aのゲート端子に接続されたノードに付随する容量であるノード容量120aと、画素100bに備えた第1の増幅トランジスタ106bのゲート端子に接続されたノードに付随する容量であるノード容量120bとのそれぞれも、キャパシタの記号で示している。
画素100aは、光電変換部101aと、画素リセットトランジスタ105aと、第1の増幅トランジスタ106aと、電荷転送トランジスタ112aとノード容量120aと、で構成されている。画素100bは、光電変換部101bと、画素リセットトランジスタ105bと、第1の増幅トランジスタ106bと、電荷転送トランジスタ112bとノード容量120bと、で構成されている。
また、図2において、第1の構成例の画素信号処理部10は、第1の読み出し基板21に、第1のクランプトランジスタ109a,109b、第1のサンプルホールドトランジスタ108a,108b、第2の増幅トランジスタ111a,111b、第1の選択トランジスタ107a,107b、第1の電荷蓄積部110a,110b、画素負荷トランジスタ114a,114b、および第1のノイズ抑圧素子113a,113bが形成されている。電荷転送回路102aは、画素リセットトランジスタ105aと、第1の増幅トランジスタ106aと、電荷転送トランジスタ112aとノード容量120aと、画素負荷トランジスタ114aと、で構成されている。電荷転送回路102bは、画素リセットトランジスタ105bと、第1の増幅トランジスタ106bと、電荷転送トランジスタ112bとノード容量120bと、画素負荷トランジスタ114bと、で構成されている。第1の電荷蓄積回路103aは、第1のクランプトランジスタ109aと、第1のサンプルホールドトランジスタ108aと、第2の増幅トランジスタ111aと、第1の選択トランジスタ107aと、第1の電荷蓄積部110aと、第1のノイズ抑圧素子113aと、で構成されている。第1の電荷蓄積回路103bは、第1のクランプトランジスタ109bと、第1のサンプルホールドトランジスタ108bと、第2の増幅トランジスタ111bと、第1の選択トランジスタ107bと、第1の電荷蓄積部110bと、第1のノイズ抑圧素子113bと、で構成されている。
また、図2において、第1の構成例の画素信号処理部10は、第2の読み出し基板31に、第2のクランプトランジスタ209、第2のサンプルホールドトランジスタ208、第3の増幅トランジスタ211、第2の選択トランジスタ207、第2の電荷蓄積部210、第2のノイズ抑圧素子213a、および第2のノイズ抑圧素子213bからなる第2の電荷蓄積回路104が形成されている。
そして、光電変換基板11と第1の読み出し基板21とが第1の基板間接続部12aおよび第1の基板間接続部12bによって接続され、第1の読み出し基板21と第2の読み出し基板31とが第2の基板間接続部22aおよび第2の基板間接続部22bによって接続されている。
より具体的には、図2に示した第1の構成例の画素信号処理部10では、光電変換基板11の第1の増幅トランジスタ106aと、第1の読み出し基板21の画素負荷トランジスタ114aおよび第1のノイズ抑圧素子113aとが第1の基板間接続部12aを介して接続されている。また、図2に示した第1の構成例の画素信号処理部10では、光電変換基板11の第1の増幅トランジスタ106bと、第1の読み出し基板21の画素負荷トランジスタ114bおよび第1のノイズ抑圧素子113bとが第1の基板間接続部12bを介して接続されている。また、図2に示した第1の構成例の画素信号処理部10では、光電変換基板11の第1の増幅トランジスタ106aと、第2の読み出し基板31の第2のノイズ抑圧素子213aとが、第1の基板間接続部12aおよび第2の基板間接続部22aを介して接続されている。また、図2に示した第1の構成例の画素信号処理部10では、光電変換基板11の第1の増幅トランジスタ106bと、第2の読み出し基板31の第2のノイズ抑圧素子213bとが、第1の基板間接続部12bおよび第2の基板間接続部22bを介して接続されている。
なお、本第1の実施形態の固体撮像装置1における画素信号処理部10の第1の構成例では、光電変換基板11と第1の読み出し基板21とを電気的接続する第1の基板間接続部12aおよび第1の基板間接続部12bの構造や、第1の読み出し基板21と第2の読み出し基板31とを電気的接続する第2の基板間接続部22aおよび第2の基板間接続部22bの構造に関しては、特に規定しない。このため、本第1の実施形態の固体撮像装置1における画素信号処理部10の第1の構成例では、例えば、第1の基板間接続部12a、第1の基板間接続部12b、第2の基板間接続部22a、および第2の基板間接続部22bの全てをバンプで形成してもよい。また、例えば、第1の基板間接続部12aおよび第1の基板間接続部12bをバンプで形成し、第2の基板間接続部22aおよび第2の基板間接続部22bをシリコン貫通電極で形成してもよい。また、光電変換基板11と第1の読み出し基板21と第2の読み出し基板31に形成された構成要素を1つの基板に形成する、いわゆる、モノリシック構造にしてもよい。
光電変換部101aおよび光電変換部101bのそれぞれは、入射した光を光電変換して信号電荷を発生して蓄積するフォトダイオードである。
電荷転送トランジスタ112aおよび電荷転送トランジスタ112bのそれぞれは、不図示の垂直走査回路から入力された制御信号φTX1に応じて、対応する光電変換部101aまたは光電変換部101bが発生して蓄積した信号電荷を、対応する第1の増幅トランジスタ106aまたは第1の増幅トランジスタ106bのゲート端子にそれぞれ転送する。このとき、電荷転送トランジスタ112aによって転送されたそれぞれの信号電荷は、対応するノード容量120aに蓄積され、電荷転送トランジスタ112bによって転送されたそれぞれの信号電荷は、対応するノード容量120bに蓄積される。
第1の増幅トランジスタ106aおよび第1の増幅トランジスタ106bのそれぞれは、ゲート端子に転送された信号電荷、すなわち、対応するノード容量120aまたはノード容量120bにそれぞれ蓄積された信号電荷に応じた信号電圧を、対応する第1の基板間接続部12aまたは第1の基板間接続部12bに出力する。これにより、光電変換部101aと光電変換部101bとのそれぞれで発生した信号電荷に応じた信号電圧のそれぞれが、第1の基板間接続部12aまたは第1の基板間接続部12bを介して、第1の読み出し基板21に出力される。また、光電変換部101aと光電変換部101bとのそれぞれで発生した信号電荷に応じた信号電圧のそれぞれは、さらに、第2の基板間接続部22aまたは第2の基板間接続部22bを介して、第2の読み出し基板31にも出力される。
画素リセットトランジスタ105aおよび画素リセットトランジスタ105bのそれぞれは、不図示の垂直走査回路から入力された制御信号φRST1に応じて、画素100aまたは画素100b内の信号電荷を、電源電圧VDDにリセットする。
画素負荷トランジスタ114aおよび画素負荷トランジスタ114bのそれぞれは、不図示の垂直走査回路から入力された制御信号φBIASに応じて、対応する信号電圧を出力している第1の増幅トランジスタ106aまたは第1の増幅トランジスタ106bの負荷として動作する。そして、画素負荷トランジスタ114aおよび画素負荷トランジスタ114bのそれぞれは、対応する信号電圧を出力している第1の増幅トランジスタ106aまたは第1の増幅トランジスタ106bを駆動するための電流を、対応する第1の増幅トランジスタ106aまたは第1の増幅トランジスタ106bに供給する。
第1のノイズ抑圧素子113aおよび第1のノイズ抑圧素子113bのそれぞれは、対応する第1の増幅トランジスタ106aまたは第1の増幅トランジスタ106bから、第1の基板間接続部12aまたは第1の基板間接続部12bを介して入力された信号電圧を保持(蓄積)する容量である。
第1のクランプトランジスタ109aおよび第1のクランプトランジスタ109bのそれぞれは、不図示の垂直走査回路から入力された制御信号φRST2に応じて、対応する第1の電荷蓄積部110aまたは第1の電荷蓄積部110bと、第1のノイズ抑圧素子113aまたは第1のノイズ抑圧素子113bとのそれぞれを固定電位VREFにクランプする。これにより、第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110bと、第1のノイズ抑圧素子113aおよび第1のノイズ抑圧素子113bとのそれぞれは、クランプされた固定電位VREFを保持する。
第1のサンプルホールドトランジスタ108aおよび第1のサンプルホールドトランジスタ108bのそれぞれは、不図示の垂直走査回路から入力された制御信号φTX2に応じて、対応する第1のノイズ抑圧素子113aまたは第1のノイズ抑圧素子113bの信号電圧を、対応する第1の電荷蓄積部110aまたは第1の電荷蓄積部110bに保持させる。
第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110bのそれぞれは、対応する第1のサンプルホールドトランジスタ108aまたは第1のサンプルホールドトランジスタ108bを介して入力された信号電圧(ノイズ除去処理された信号)を保持(蓄積)する容量である。
画素100aから出力された信号は、画素負荷トランジスタ114a、第1のクランプトランジスタ109a、第1のサンプルホールドトランジスタ108a、第1の電荷蓄積部110a、および第1のノイズ抑圧素子113aの構成によって、リーク電流(暗電流)に起因するノイズ除去処理が行われる。そして、第1の電荷蓄積部110aは、ノイズ除去処理された信号を保持する。また、画素100bから出力された信号は、画素負荷トランジスタ114b、第1のクランプトランジスタ109b、第1のサンプルホールドトランジスタ108b、第1の電荷蓄積部110b、および第1のノイズ抑圧素子113bの構成によって、リーク電流(暗電流)に起因するノイズ除去処理が行われ、第1の電荷蓄積部110bは、ノイズ除去処理された信号を保持する。
なお、第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110bとしては、単位面積当たりのリーク電流(暗電流)が少ない容量であるMIM(Metal Insulator Metal)容量や、MOS(Metal Oxide Semiconductor)容量を使用することがより望ましい。これにより、ノイズに対する耐性が向上し、高品質な信号を得ることができる。
第2の増幅トランジスタ111aおよび第2の増幅トランジスタ111bのそれぞれは、ゲート端子の電圧、すなわち、対応する第1の電荷蓄積部110aまたは第1の電荷蓄積部110bにそれぞれ蓄積されたノイズ除去処理された信号に応じた信号電圧を出力する。
第1の選択トランジスタ107aおよび第1の選択トランジスタ107bのそれぞれは、不図示の垂直走査回路から入力された、対応する制御信号φSEL1Aまたは制御信号φSEL1Bに応じて、第2の増幅トランジスタ111aまたは第2の増幅トランジスタ111bから出力される信号電圧を、固体撮像装置1に備えたそれぞれの画素の画素信号(フル解像画像信号S1)として第1の垂直信号線19に出力する。これにより、それぞれの画素に備えた光電変換部101aと光電変換部101bとのいずれか一方の光電変換部が発生した信号電荷に応じたフル解像画像信号S1が、第1の垂直信号線19に読み出される。
第2のノイズ抑圧素子213aおよび第2のノイズ抑圧素子213bのそれぞれは、対応する第1の増幅トランジスタ106aまたは第1の増幅トランジスタ106bから、第1の基板間接続部12aと第2の基板間接続部22a、または第1の基板間接続部12bと第2の基板間接続部22bを介して入力された信号電圧を保持(蓄積)する容量である。
第2のクランプトランジスタ209は、不図示の垂直走査回路から入力された制御信号φRST2Aに応じて、第2の電荷蓄積部210と、第2のノイズ抑圧素子213aおよび第2のノイズ抑圧素子213bとのそれぞれを固定電位VREFにクランプする。これにより、第2の電荷蓄積部210と、第2のノイズ抑圧素子213aおよび第2のノイズ抑圧素子213bとのそれぞれは、クランプされた固定電位VREFを保持する。
第2のサンプルホールドトランジスタ208は、不図示の垂直走査回路から入力された制御信号φSHに応じて、第2のノイズ抑圧素子213aおよび第2のノイズ抑圧素子213bのそれぞれの信号電圧の中間の信号電圧、すなわち、平均化した信号電圧を、第2の電荷蓄積部210に保持させる。
第2の電荷蓄積部210は、第2のサンプルホールドトランジスタ208を介して入力された信号電圧(第2の電荷蓄積回路104内でノイズ除去処理された信号)を保持(蓄積)する容量である。
第2の電荷蓄積回路104では、第1の読み出し基板21に形成された画素負荷トランジスタ114aと、第2のクランプトランジスタ209、第2のサンプルホールドトランジスタ208、第2の電荷蓄積部210、第2のノイズ抑圧素子213a、および第2のノイズ抑圧素子213bの構成によって、リーク電流(暗電流)に起因するノイズ除去処理を第2の電荷蓄積回路104内で行う。そして、第2の電荷蓄積部210は、ノイズ除去処理された信号を保持する。
なお、第2の電荷蓄積部210としても、画素100aおよび画素100bと同様に、単位面積当たりのリーク電流(暗電流)が少ない容量であるMIM容量や、MOS容量を使用することがより望ましい。これにより、ノイズに対する耐性が向上し、高品質な信号を得ることができる。
第3の増幅トランジスタ211は、ゲート端子の電圧、すなわち、第2の電荷蓄積部210に蓄積されたノイズ除去処理された信号に応じた信号電圧を出力する。
第2の選択トランジスタ207は、不図示の垂直走査回路から入力された制御信号φSEL2に応じて、第3の増幅トランジスタ211から出力される信号電圧を、固体撮像装置1に備えた予め定めた画素数のフル解像画像信号S1を平均化した画素信号(減縮画像信号S2)として第2の垂直信号線29に出力する。これにより、それぞれの画素に備えた光電変換部101aと光電変換部101bとが発生したそれぞれの信号電荷の電荷量を平均化した信号電荷に応じた減縮画像信号S2が、第2の垂直信号線29に読み出される。
このような構成によって第1の構成例の画素信号処理部10では、2つの光電変換部(光電変換部101aおよび光電変換部101b)のそれぞれが入射した光を光電変換した信号電荷に応じたそれぞれの信号電圧を、2つの光電変換部のそれぞれに対応した基板間接続部(第1の基板間接続部12aおよび第1の基板間接続部12bと、第2の基板間接続部22aおよび第2の基板間接続部22b)を介して読み出す。そして、ノイズ抑圧した後の信号(ノイズ除去処理後の信号)を、2つの光電変換部のそれぞれに対応した電荷蓄積部(第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110b)に保持する。また、第1の構成例の画素信号処理部10では、2つの光電変換部のそれぞれが光電変換したそれぞれの信号電荷の電荷量を平均化した信号電荷に応じたそれぞれの信号電圧をノイズ抑圧した後の信号(ノイズ除去処理後の信号)を、2つの光電変換部に共通の電荷蓄積部(第2の電荷蓄積部210)に保持する。その後、固体撮像装置1では、画素信号処理部10のそれぞれの電荷蓄積部(第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110bと、第2の電荷蓄積部210)に蓄積されたノイズ除去処理後の信号に応じた信号電圧を、画素信号として第1の垂直信号線19および第2の垂直信号線29のそれぞれに順次読み出しを行う。
なお、図2に示した第1の構成例の画素信号処理部10では、光電変換部101aを含むそれぞれの構成要素を備えた画素100aと、光電変換部101bを含むそれぞれの構成要素を備えた画素100bとが組になっている構成の一例を示したが、固体撮像装置1の画素信号処理部10に配置される画素の組は、図2に示した構成に限定されるものではない。すなわち、図2に示した構成よりもさらに多くの画素数で1つの組を構成することもできる。そして、この画素の組を複数配置することによって固体撮像装置1に備える画素信号処理部10内の画素アレイを形成することもできる。
次に、本第1の実施形態の固体撮像装置1における第1の構成例の画素信号処理部10の駆動タイミングについて説明する。図3は、本第1の実施形態の固体撮像装置1の第1の構成例の画素信号処理部10を駆動するタイミングを示したタイミングチャートである。図3に示したタイミングチャートは、画素100aと画素100bとを同時に露光し、画素100aのフル解像画像信号S1と画素100bのフル解像画像信号S1とのそれぞれを第1の垂直信号線19に順次出力すると共に、画素100aのフル解像画像信号S1と画素100bのフル解像画像信号S1とを平均化した減縮画像信号S2を第2の垂直信号線29に出力する固体撮像装置1の第1の構成例の画素信号処理部10の動作において、不図示の垂直走査回路によって制御されるタイミングを示している。
なお、固体撮像装置1の第1の構成例の画素信号処理部10では、図2に示したように、画素100aと画素100bとの2つの画素が1つの組として構成されている。そして、固体撮像装置1の第1の構成例の画素信号処理部10では、2つの光電変換部101aおよび光電変換部101bのそれぞれに対応した2つの第1の電荷蓄積回路103a(第1の電荷蓄積部110aを含む)および第1の電荷蓄積回路103b(第1の電荷蓄積部110bを含む)と、2つの光電変換部101aおよび光電変換部101bに共通の第2の電荷蓄積回路104(第2の電荷蓄積部210を含む)とを備えている。このため、図3に示したタイミングチャートには、第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110bと、第2の電荷蓄積部210とのそれぞれに、2つの光電変換部101aおよび光電変換部101bのそれぞれが発生した信号電荷を保持させるタイミングを示している。
まず、時刻t1において、画素信号処理部10の全ての画素(画素100aおよび画素100b)をリセットする。より具体的には、時刻t1において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φTX1および制御信号φRST1を、同時に“H”レベルにして、電荷転送トランジスタ112aおよび電荷転送トランジスタ112bと、画素リセットトランジスタ105aおよび画素リセットトランジスタ105bとをオン状態にする。これにより、画素信号処理部10内に配置された画素100aおよび画素100bに備えた光電変換部101aおよび光電変換部101bと、ノード容量120aおよびノード容量120bとがリセットされる。
その後、不図示の垂直走査回路は、制御信号φTX1および制御信号φRST1を、同時に“L”レベルにして、画素100aと画素100bとのリセットを解除する。これにより、画素信号処理部10内に配置された画素100aと画素100bとが同時に露光を開始する。すなわち、画素信号処理部10内に配置された画素100aに備えた光電変換部101aと画素100bに備えた光電変換部101bとが、入射した光を光電変換した信号電荷の蓄積を開始する。
続いて、一定の期間が経過した後、すなわち、任意の露光時間が経過した後に、時刻t2から、電荷転送回路102aおよび電荷転送回路102bのそれぞれは、対応する光電変換部101aと光電変換部101bとのそれぞれのリセットレベルの信号と露光した信号(以下、「露光レベルの信号」という)との、対応する第1の基板間接続部12aおよび第2の基板間接続部22aへの読み出しと、第1の基板間接続部12bおよび第2の基板間接続部22bへの読み出しとを行う。そして、第1の電荷蓄積回路103aでは、対応する光電変換部101aのリセットレベルの信号と露光レベルの信号との差分をとるノイズ除去処理を行う。また、第1の電荷蓄積回路103bでは、対応する光電変換部101bのリセットレベルの信号と露光レベルの信号との差分をとるノイズ除去処理を行う。また、第2の電荷蓄積回路104では、平均化したリセットレベルの信号と平均化した露光レベルの信号との差分をとるノイズ除去処理を行う。
より具体的には、時刻t2において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φBIASを制御して、画素負荷トランジスタ114aを、対応する第1の増幅トランジスタ106aの負荷として動作させ、画素負荷トランジスタ114bを、対応する第1の増幅トランジスタ106bの負荷として動作させる。
また、不図示の垂直走査回路は、制御信号φRST1を“H”レベルにして、画素リセットトランジスタ105aおよび画素リセットトランジスタ105bをオン状態にし、ノード容量120aおよびノード容量120bをリセットする。これにより、第1の増幅トランジスタ106aから光電変換部101aのリセットレベルの信号電圧が、第1の基板間接続部12aを介して第1のノイズ抑圧素子113aに出力されると共に、第1の基板間接続部12aおよび第2の基板間接続部22aを介して第2のノイズ抑圧素子213aに出力される。また、第1の増幅トランジスタ106bから光電変換部101bのリセットレベルの信号電圧が、第1の基板間接続部12bを介して、第1のノイズ抑圧素子113bに出力されると共に、第1の基板間接続部12bおよび第2の基板間接続部22bを介して第2のノイズ抑圧素子213bに出力される。
また、不図示の垂直走査回路は、制御信号φRST2および制御信号φTX2を“H”レベルにして、第1のクランプトランジスタ109aおよび第1のクランプトランジスタ109bと、第1のサンプルホールドトランジスタ108aおよび第1のサンプルホールドトランジスタ108bとをオン状態にする。これにより、第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110bと、第1のノイズ抑圧素子113aおよび第1のノイズ抑圧素子113bとのそれぞれがクランプされる。また、不図示の垂直走査回路は、制御信号φRST2Aおよび制御信号φSHを“H”レベルにして、第2のクランプトランジスタ209および第2のサンプルホールドトランジスタ208をオン状態にする。これにより、第2の電荷蓄積部210と、第2のノイズ抑圧素子213aおよび第2のノイズ抑圧素子213bとのそれぞれがクランプされる。
その後、不図示の垂直走査回路は、制御信号φRST1を“L”レベルにして、ノード容量120aおよびノード容量120bのリセットを解除する。続いて、時刻t3において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φRST2を“L”レベルにして、第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110bのクランプを解除する。また、不図示の垂直走査回路は、制御信号φRST2Aを“L”レベルにして、第2の電荷蓄積部210のクランプを解除する。
続いて、時刻t4において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φTX1を“H”レベルにして、電荷転送トランジスタ112aおよび電荷転送トランジスタ112bをオン状態にし、光電変換部101aに蓄積された信号電荷を、第1の増幅トランジスタ106aのゲート端子に、光電変換部101bに蓄積された信号電荷を、第1の増幅トランジスタ106bのゲート端子に、それぞれ転送する。このとき、電荷転送トランジスタ112aによって転送された信号電荷は、ノード容量120aに蓄積され、電荷転送トランジスタ112bによって転送された信号電荷は、ノード容量120bに蓄積される。これにより、第1の増幅トランジスタ106aから光電変換部101aが発生した信号電荷、すなわち、ノード容量120aに蓄積された信号電荷に応じた信号電圧(露光レベルの信号)が、第1の基板間接続部12aを介して第1のノイズ抑圧素子113aに出力されると共に、第1の基板間接続部12aおよび第2の基板間接続部22aを介して第2のノイズ抑圧素子213aに出力される。また、第1の増幅トランジスタ106bから光電変換部101bが発生した信号電荷、すなわち、ノード容量120bに蓄積された信号電荷に応じた信号電圧(露光レベルの信号)が、第1の基板間接続部12bを介して、第1のノイズ抑圧素子113bに出力されると共に、第1の基板間接続部12bおよび第2の基板間接続部22bを介して第2のノイズ抑圧素子213bに出力される。
そして、第1のノイズ抑圧素子113aは、光電変換部101aのリセットレベルの信号電圧と露光レベルの信号電圧との差分の電圧、すなわち、ノイズ除去処理された信号電圧を出力する。また、同様に、第1のノイズ抑圧素子113bは、光電変換部101bのノイズ除去処理された信号電圧を出力する。また、同様に、第2のノイズ抑圧素子213aは、光電変換部101aのノイズ除去処理された信号電圧を出力し、第2のノイズ抑圧素子213bは、光電変換部101bのノイズ除去処理された信号電圧を出力する。
その後、不図示の垂直走査回路は、制御信号φTX1を“L”レベルにして、光電変換部101aが蓄積した信号電荷の第1の増幅トランジスタ106aのゲート端子への転送と、光電変換部101bが蓄積した信号電荷の第1の増幅トランジスタ106bのゲート端子への転送とを停止する。
続いて、時刻t5において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φTX2を“L”レベルにして、第1の電荷蓄積部110aのサンプルホールドと、第1の電荷蓄積部110bのサンプルホールドとを停止する。これにより、第1の電荷蓄積部110aは、第1のノイズ抑圧素子113aが出力しているノイズ除去処理された信号電圧を保持し、第1の電荷蓄積部110bは、第1のノイズ抑圧素子113bが出力しているノイズ除去処理された信号電圧を保持する。また、不図示の垂直走査回路は、制御信号φSHを“L”レベルにして、第2の電荷蓄積部210のサンプルホールドを停止する。これにより、第2の電荷蓄積部210は、第2のノイズ抑圧素子213aと第2のノイズ抑圧素子213bとが出力しているノイズ除去処理されたそれぞれの信号電圧の中間の信号電圧、すなわち、平均化した信号電圧を保持する。
ここまでで、画素信号処理部10内に配置された画素100aに備えた光電変換部101aが発生した信号電荷がノイズ除去処理されて、第1の電荷蓄積部110aに保持され、画素100bに備えた光電変換部101bが発生した信号電荷がノイズ除去処理されて、第1の電荷蓄積部110bに保持(蓄積)されることになる。また、画素信号処理部10内に配置された画素100aに備えた光電変換部101aが発生した信号電荷の電荷量と画素100bに備えた光電変換部101bが発生した信号電荷の電荷量とを平均化した信号電荷がノイズ除去処理されて、第2の電荷蓄積部210に保持(蓄積)されることになる。
続いて、時刻t6において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φBIASを制御して、画素負荷トランジスタ114aおよび画素負荷トランジスタ114bのそれぞれの、対応する第1の増幅トランジスタ106aまたは第1の増幅トランジスタ106bの負荷としての動作を停止させる。
その後、不図示の垂直走査回路は、制御信号φSEL1Aおよび制御信号φSEL1Bを順次制御して、第1の電荷蓄積部110aと第1の電荷蓄積部110bとに保持されたノイズ除去処理されたそれぞれの信号電圧を順次、それぞれの画素のフル解像画像信号S1として第1の垂直信号線19に出力させる。また、不図示の垂直走査回路は、制御信号φSEL2を制御して、第2の電荷蓄積部210に保持されたノイズ除去処理された平均化した信号電圧を、画素数を減縮した減縮画像信号S2として第2の垂直信号線29に出力させる。
なお、固体撮像装置1における画素信号処理部10の第1の構成例では、画素信号処理部10に備えた全ての画素のフル解像画像信号S1と、画素信号処理部10に備えた画素数を減縮した減縮画像信号S2とのそれぞれの出力順番に関しては、特に規定しない。このため、固体撮像装置1における画素信号処理部10の第1の構成例では、例えば、減縮画像信号S2に続いてフル解像画像信号S1を出力することもできる。従って、不図示の垂直走査回路が制御信号φSEL1A、制御信号φSEL1B、および制御信号φSEL2を制御して、フル解像画像信号S1を第1の垂直信号線19に出力させるタイミングや、減縮画像信号S2を第2の垂直信号線29に出力させるタイミングに関する詳細な説明は省略する。
このような駆動タイミングによって第1の構成例の画素信号処理部10では、2つの光電変換部(光電変換部101aおよび光電変換部101b)のそれぞれが入射した光を光電変換した信号電荷に応じたそれぞれの信号電圧を、2つの光電変換部のそれぞれに対応した基板間接続部(第1の基板間接続部12aおよび第1の基板間接続部12bと、第2の基板間接続部22aおよび第2の基板間接続部22b)に読み出させる。そして、ノイズ除去処理後の信号を、2つの光電変換部のそれぞれに対応した電荷蓄積部(第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110b)に保持させる。また、第1の構成例の画素信号処理部10の駆動タイミングでは、2つの光電変換部のそれぞれが光電変換したそれぞれの信号電荷の電荷量を平均化した信号電荷に応じたそれぞれのノイズ除去処理後の信号を、2つの光電変換部に共通の電荷蓄積部(第2の電荷蓄積部210)に保持させる。そして、固体撮像装置1では、画素信号処理部10のそれぞれの電荷蓄積部(第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110bと、第2の電荷蓄積部210)に蓄積されたノイズ除去処理後の信号に応じた信号電圧を、フル解像画像信号S1として第1の垂直信号線19に、減縮画像信号S2として第2の垂直信号線29に、それぞれに出力させる。
このように、本第1の実施形態の固体撮像装置1における第1の構成例の画素信号処理部10では、画素100aに備えた光電変換部101aの信号電荷をノイズ除去処理して第1の電荷蓄積部110aに保持し、画素100bに備えた光電変換部101bの信号電荷をノイズ除去処理して第1の電荷蓄積部110bに保持すると共に、それぞれの信号電荷を平均化してノイズ除去処理して、第2の電荷蓄積部210に保持する。つまり、本第1の実施形態の固体撮像装置1における第1の構成例の画素信号処理部10では、ノイズ除去処理したそれぞれの信号電圧を、画素100aに備えた第1の電荷蓄積部110aと、画素100bに備えた第1の電荷蓄積部110bと、画素100aおよび画素100bに対応した第2の電荷蓄積部210とに別々に保持する。そして、本第1の実施形態の固体撮像装置1における第1の構成例の画素信号処理部10では、第1の電荷蓄積部110aと第1の電荷蓄積部110bとのそれぞれに保持した信号電圧に応じたフル解像画像信号S1を第1の垂直信号線19から出力し、第2の電荷蓄積部210に保持した信号電圧に応じた減縮画像信号S2を第2の垂直信号線29に出力する。つまり、本第1の実施形態の固体撮像装置1における第1の構成例の画素信号処理部10では、画素信号処理部10に備えた全ての画素の画素信号(フル解像画像信号S1)と、画素信号処理部10に備えた画素数を減縮した画素信号(減縮画像信号S2)との両方を独立に出力することができる。
<画素信号処理部の第2の構成例>
次に、本第1の実施形態の固体撮像装置1における画素信号処理部10の別の構成の一例について説明する。本第2の構成例の画素信号処理部10は、それぞれの光電変換部101が発生した信号電荷を第2の電荷蓄積回路104に保持した後、保持したそれぞれの信号電荷に応じた信号電圧(減縮画像信号S2)を出力する際に平均化して出力する構成例である。本第2の構成例の画素信号処理部10は、第1の構成例の画素信号処理部10と同様に、画素信号処理部10に備えたそれぞれの構成要素を、光電変換基板と、第1の読み出し基板と、第2の読み出し基板との3つの基板に分けて構成した多層基板構造において、第1の読み出し基板と第2の読み出し基板とを接続する基板間接続部の数を、第1の構成例の画素信号処理部10よりも少なくしている。このため、本第2の構成例の画素信号処理部10では、第1の読み出し基板と第2の読み出し基板との基板間接続部を少なくするための構成要素として、画素信号処理部10内にマルチプレクサを備えている。そして、画素信号処理部10に備えたマルチプレクサを制御することによって、第1の構成例の画素信号処理部10と同様に、画素信号処理部10に備えたそれぞれの画素のフル解像画像信号S1を平均化する。
なお、本第2の構成例の画素信号処理部10の構成要素には、第1の構成例の画素信号処理部10の構成要素と同様の構成要素も含まれている。従って、本第2の構成例の画素信号処理部10の構成要素において、第1の構成例の画素信号処理部10の構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。
図4は、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10の第2の構成例を示した回路図である。図4において、第2の構成例の画素信号処理部10は、光電変換基板11に、光電変換部101a,101bと、画素リセットトランジスタ105a,105b、第1の増幅トランジスタ106a,106b、および電荷転送トランジスタ112a,112bとが形成されている。なお、図4においても、第1の構成例の画素信号処理部10の光電変換基板11と同様に、ノード容量120aとノード容量120bとのそれぞれを、キャパシタの記号で示している。画素100aは、光電変換部101aと、画素リセットトランジスタ105aと、第1の増幅トランジスタ106aと、電荷転送トランジスタ112aとノード容量120aと、で構成されている。画素100bは、光電変換部101bと、画素リセットトランジスタ105bと、第1の増幅トランジスタ106bと、電荷転送トランジスタ112bとノード容量120bと、で構成されている。なお、光電変換基板11は、第1の構成例の画素信号処理部10の光電変換基板11と同様である。
また、図4において、第2の構成例の画素信号処理部10は、第1の読み出し基板21に、第1のクランプトランジスタ109a,109b、第1のサンプルホールドトランジスタ108a,108b、第2の増幅トランジスタ111a,111b、第1の選択トランジスタ107a,107b、第1の電荷蓄積部110a,110b、画素負荷トランジスタ114a,114b、および第1のノイズ抑圧素子113a,113bが形成されている。さらに、第2の構成例の画素信号処理部10は、第1の読み出し基板21に、画素選択トランジスタ115aと画素選択トランジスタ115bとから構成されるマルチプレクサが形成されている。電荷転送回路102aは、画素リセットトランジスタ105aと、第1の増幅トランジスタ106aと、電荷転送トランジスタ112aとノード容量120aと、画素負荷トランジスタ114aと、画素選択トランジスタ115aと、で構成されている。電荷転送回路102bは、画素リセットトランジスタ105bと、第1の増幅トランジスタ106bと、電荷転送トランジスタ112bとノード容量120bと、画素負荷トランジスタ114bと、画素選択トランジスタ115bと、で構成されている。第1の電荷蓄積回路103aは、第1のクランプトランジスタ109aと、第1のサンプルホールドトランジスタ108aと、第2の増幅トランジスタ111aと、第1の選択トランジスタ107aと、第1の電荷蓄積部110aと、第1のノイズ抑圧素子113aと、で構成されている。第1の電荷蓄積回路103bは、第1のクランプトランジスタ109bと、第1のサンプルホールドトランジスタ108bと、第2の増幅トランジスタ111bと、第1の選択トランジスタ107bと、第1の電荷蓄積部110bと、第1のノイズ抑圧素子113bと、で構成されている。なお、第1の読み出し基板21内に形成されたそれぞれの構成要素において、マルチプレクサ以外のそれぞれの構成要素は、第1の構成例の画素信号処理部10の第1の読み出し基板21に形成されたそれぞれの構成要素と同様である。
また、図4において、第2の構成例の画素信号処理部10は、第2の読み出し基板31に、画素100aに対応する第2のクランプトランジスタ209a、第2の電荷蓄積部210a、第2のノイズ抑圧素子213a、および画素選択トランジスタ212aと、画素100bに対応する第2のクランプトランジスタ209b、第2の電荷蓄積部210b、第2のノイズ抑圧素子213b、および画素選択トランジスタ212bと、第3の増幅トランジスタ211、第2の選択トランジスタ207、および平均用スイッチトランジスタ214とからなる第2の電荷蓄積回路104が形成されている。なお、第2の読み出し基板31では、画素選択トランジスタ212aと画素選択トランジスタ212bとの構成によって、第1の読み出し基板21内に形成されたマルチプレクサに対応するデマルチプレクサが構成されている。
そして、光電変換基板11と第1の読み出し基板21とが第1の基板間接続部12aおよび第1の基板間接続部12bによって接続され、第1の読み出し基板21と第2の読み出し基板31とが第2の基板間接続部22によって接続されている。
より具体的には、図4に示した第2の構成例の画素信号処理部10では、光電変換基板11の第1の増幅トランジスタ106aと、第1の読み出し基板21の画素負荷トランジスタ114a、第1のノイズ抑圧素子113a、および画素選択トランジスタ115aとが第1の基板間接続部12aを介して接続されている。また、図4に示した第2の構成例の画素信号処理部10では、光電変換基板11の第1の増幅トランジスタ106bと、第1の読み出し基板21の画素負荷トランジスタ114b、第1のノイズ抑圧素子113b、および画素選択トランジスタ115bとが第1の基板間接続部12bを介して接続されている。また、図4に示した第2の構成例の画素信号処理部10では、第1の読み出し基板21の画素選択トランジスタ115aおよび画素選択トランジスタ115bと、第2の読み出し基板31の画素選択トランジスタ212aおよび画素選択トランジスタ212bとが、第2の基板間接続部22を介して接続されている。これにより、光電変換部101aと光電変換部101bとのそれぞれで発生した信号電荷に応じた信号電圧のそれぞれは、第1の読み出し基板21に形成されたマルチプレクサと第2の基板間接続部22を介して、第2の読み出し基板31にも出力される。
なお、本第1の実施形態の固体撮像装置1における画素信号処理部10の第2の構成例でも、第1の構成例の画素信号処理部10と同様に、光電変換基板11と第1の読み出し基板21とを電気的接続する第1の基板間接続部12aおよび第1の基板間接続部12bの構造や、第1の読み出し基板21と第2の読み出し基板31とを電気的接続する第2の基板間接続部22の構造に関しては、特に規定しない。
画素選択トランジスタ115aおよび画素選択トランジスタ115bのそれぞれは、不図示の垂直走査回路から入力された、対応する制御信号φSH1Aまたは制御信号φSH1Bに応じて、第1の増幅トランジスタ106aから第1の基板間接続部12aを介して入力された信号電圧、または第1の増幅トランジスタ106bから第1の基板間接続部12bを介して入力された信号電圧のいずれか一方を、第2の基板間接続部22に出力する。つまり、第2の構成例の画素信号処理部10では、画素選択トランジスタ115aと画素選択トランジスタ115bとの構成が、2つの信号電圧から1つの信号電荷を選択するマルチプレクサとして動作する。これにより、それぞれの画素に備えた光電変換部101aと光電変換部101bとのいずれか一方の光電変換部が発生した信号電荷に応じた信号電圧が、第2の基板間接続部22を介して第2の読み出し基板31に出力される。
画素選択トランジスタ212aおよび画素選択トランジスタ212bのそれぞれは、不図示の垂直走査回路から入力された、対応する制御信号φSH2Aまたは制御信号φSH2Bに応じて、第2の基板間接続部22を介して入力された信号電圧を、対応する第2のノイズ抑圧素子213aまたは第2のノイズ抑圧素子213bに出力し保持させる。つまり、第2の構成例の画素信号処理部10では、画素選択トランジスタ212aと画素選択トランジスタ212bとの構成が、入力された1つの信号電圧を対応する第2のノイズ抑圧素子213aまたは第2のノイズ抑圧素子213bのいずれか一方に出力するデマルチプレクサとして動作する。これにより、それぞれの画素に備えた光電変換部101aと光電変換部101bとのそれぞれが発生した信号電荷に応じたそれぞれの信号電圧が、対応する第2のノイズ抑圧素子213aおよび第2のノイズ抑圧素子213bのそれぞれに保持される。
第2のノイズ抑圧素子213aおよび第2のノイズ抑圧素子213bのそれぞれは、対応する画素選択トランジスタ212aまたは画素選択トランジスタ212bから出力された信号電圧を保持(蓄積)する容量である。
第2のクランプトランジスタ209aおよび第2のクランプトランジスタ209bのそれぞれは、不図示の垂直走査回路から入力された、対応する制御信号φRST2Aまたは制御信号φRST2Bに応じて、対応する第2の電荷蓄積部210aまたは第2の電荷蓄積部210bと、対応する第2のノイズ抑圧素子213aまたは第2のノイズ抑圧素子213bとのそれぞれを固定電位VREFにクランプする。これにより、第2の電荷蓄積部210aおよび第2の電荷蓄積部210bと、第2のノイズ抑圧素子213aおよび第2のノイズ抑圧素子213bとのそれぞれは、クランプされた固定電位VREFを保持する。
第2の電荷蓄積部210aおよび第2の電荷蓄積部210bのそれぞれは、対応する第2のノイズ抑圧素子213aまたは第2のノイズ抑圧素子213bが保持している信号電圧(第2の電荷蓄積回路104内でノイズ除去処理された信号)を保持(蓄積)する容量である。
第2の構成例における第2の電荷蓄積回路104では、第2のクランプトランジスタ209a、第2の電荷蓄積部210a、および第2のノイズ抑圧素子213aの構成によって、リーク電流(暗電流)に起因するノイズ除去処理を第2の電荷蓄積回路104内で行い、第2の電荷蓄積部210aは、ノイズ除去処理された信号を保持する。また、第2の構成例における第2の電荷蓄積回路104では、第2のクランプトランジスタ209b、第2の電荷蓄積部210b、および第2のノイズ抑圧素子213bの構成によって、リーク電流(暗電流)に起因するノイズ除去処理を第2の電荷蓄積回路104内で行い、第2の電荷蓄積部210bは、ノイズ除去処理された信号を保持する。
なお、第2の電荷蓄積部210aおよび第2の電荷蓄積部210bとしても、第1の構成例の第2の電荷蓄積部210と同様に、単位面積当たりのリーク電流(暗電流)が少ない容量であるMIM容量や、MOS容量を使用することがより望ましい。これにより、ノイズに対する耐性が向上し、高品質な信号を得ることができる。
平均用スイッチトランジスタ214は、不図示の垂直走査回路から入力された制御信号φMixに応じて、第2の電荷蓄積部210aと第2の電荷蓄積部210bとを短絡する。これにより、短絡された後の第2の電荷蓄積部210aと第2の電荷蓄積部210bとには、短絡される前に保持していたノイズ除去処理されたそれぞれの信号電圧の中間の信号電圧、すなわち、平均化した信号電圧が保持される。
第3の増幅トランジスタ211は、ゲート端子の電圧、すなわち、平均用スイッチトランジスタ214によって短絡されることにより、第2の電荷蓄積部210aと第2の電荷蓄積部210bとに保持されていたそれぞれの信号電圧が平均化されたノイズ除去処理された信号に応じた信号電圧を出力する。
このような構成によって第2の構成例の画素信号処理部10では、2つの光電変換部(光電変換部101aおよび光電変換部101b)のそれぞれが入射した光を光電変換した信号電荷に応じたそれぞれの信号電圧を、2つの光電変換部のそれぞれに対応した基板間接続部(第1の基板間接続部12aおよび第1の基板間接続部12b)を介して読み出す。そして、ノイズ除去処理後の信号を、2つの光電変換部のそれぞれに対応した電荷蓄積部(第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110b)に保持する。また、第2の構成例の画素信号処理部10では、2つの光電変換部のそれぞれが光電変換したそれぞれの信号電荷に応じたそれぞれの信号電圧を、マルチプレクサ(画素選択トランジスタ115aおよび画素選択トランジスタ115b)によって選択して第2の基板間接続部22に出力させる。そして、デマルチプレクサ(画素選択トランジスタ212aおよび画素選択トランジスタ212b)によって、2つの光電変換部のそれぞれが光電変換したそれぞれの信号電荷に応じたそれぞれの信号電圧を分ける。そして、ノイズ除去処理後の信号を、2つの光電変換部のそれぞれに対応した電荷蓄積部(第2の電荷蓄積部210aおよび第2の電荷蓄積部210b)に保持する。その後、2つの光電変換部のそれぞれに対応した電荷蓄積部(第2の電荷蓄積部210aおよび第2の電荷蓄積部210b)に保持した信号を平均化する。その後、固体撮像装置1では、画素信号処理部10のそれぞれの電荷蓄積部(第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110b)に蓄積されたノイズ除去処理後の信号に応じた信号電圧と平均化した信号電圧とのそれぞれを、画素信号(フル解像画像信号S1または減縮画像信号S2)として第1の垂直信号線19および第2の垂直信号線29のそれぞれに順次読み出しを行う。
なお、図4に示した第2の構成例の画素信号処理部10では、光電変換部101aを含むそれぞれの構成要素を備えた画素100aと、光電変換部101bを含むそれぞれの構成要素を備えた画素100bとが組になっている構成の一例を示したが、固体撮像装置1の画素信号処理部10に配置される画素の組は、第1の構成例の画素信号処理部10と同様に、図4に示した構成に限定されるものではない。すなわち、図4に示した構成よりもさらに多くの画素数で1つの組を構成し、この画素の組を複数配置することによって固体撮像装置1内に備える画素信号処理部10内の画素アレイを形成することもできる。
次に、本第1の実施形態の固体撮像装置1における第2の構成例の画素信号処理部10の駆動タイミングについて説明する。図5は、本第1の実施形態の固体撮像装置1の第2の構成例の画素信号処理部10を駆動するタイミングを示したタイミングチャートである。図5に示したタイミングチャートは、図3に示した第1の構成例の画素信号処理部10の駆動タイミングと同様に、画素100aと画素100bとを同時に露光し、画素100aのフル解像画像信号S1と画素100bのフル解像画像信号S1とのそれぞれを第1の垂直信号線19に順次出力すると共に、画素100aのフル解像画像信号S1と画素100bのフル解像画像信号S1とを平均化した減縮画像信号S2を第2の垂直信号線29に出力する固体撮像装置1の第2の構成例の画素信号処理部10の動作において、不図示の垂直走査回路によって制御されるタイミングを示している。
なお、固体撮像装置1の第2の構成例の画素信号処理部10では、図4に示したように、画素100aと画素100bとの2つの画素が1つの組として構成されている。そして、固体撮像装置1の第2の構成例の画素信号処理部10では、2つの光電変換部101aおよび光電変換部101bのそれぞれに対応した2つの第1の電荷蓄積回路103a(第1の電荷蓄積部110aを含む)および第1の電荷蓄積回路103b(第1の電荷蓄積部110bを含む)と、2つの光電変換部101aおよび光電変換部101bに共通の第2の電荷蓄積回路104(第2の電荷蓄積部210aおよび第2の電荷蓄積部210bを含む)とを備えている。このため、図5に示したタイミングチャートには、第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110bと、第2の電荷蓄積部210aおよび第2の電荷蓄積部210bとのそれぞれに、2つの光電変換部101aおよび光電変換部101bのそれぞれが発生した信号電荷を保持させるタイミングを示している。
まず、時刻t1において、画素信号処理部10の全ての画素(画素100aおよび画素100b)をリセットする。より具体的には、時刻t1において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φTX1および制御信号φRST1を、同時に“H”レベルにして、電荷転送トランジスタ112aおよび電荷転送トランジスタ112bと、画素リセットトランジスタ105aおよび画素リセットトランジスタ105bとをオン状態にする。これにより、画素信号処理部10内に配置された画素100aおよび画素100bに備えた光電変換部101aおよび光電変換部101bと、ノード容量120aおよびノード容量120bとがリセットされる。
その後、不図示の垂直走査回路は、制御信号φTX1および制御信号φRST1を、同時に“L”レベルにして、画素100aと画素100bとのリセットを解除する。これにより、画素信号処理部10内に配置された画素100aと画素100bとが同時に露光を開始する。すなわち、画素信号処理部10内に配置された画素100aに備えた光電変換部101aと画素100bに備えた光電変換部101bとが、入射した光を光電変換した信号電荷の蓄積を開始する。
続いて、一定の期間が経過した後、すなわち、任意の露光時間が経過した後に、時刻t2から、電荷転送回路102aおよび電荷転送回路102bのそれぞれは、対応する光電変換部101aと光電変換部101bとのそれぞれのリセットレベルの信号と露光レベルの信号との、対応する第1の基板間接続部12aおよび第1の基板間接続部12bへの読み出しを行う。そして、第1の電荷蓄積回路103aおよび第1の電荷蓄積回路103bでは、対応する光電変換部101aまたは光電変換部101bのリセットレベルの信号と露光レベルの信号との差分をとるノイズ除去処理を行う。また、時刻t2から、電荷転送回路102aおよび電荷転送回路102bのそれぞれは、対応する光電変換部101aと光電変換部101bとのそれぞれのリセットレベルの信号と露光レベルの信号との第2の基板間接続部22への読み出しを、順次行う。そして、第2の電荷蓄積回路104では、画素100aのリセットレベルの信号と露光レベルの信号との差分をとるノイズ除去処理と、画素100bのリセットレベルの信号と露光レベルの信号との差分をとるノイズ除去処理とを順次行う。
より具体的には、時刻t2において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φBIASを制御して、画素負荷トランジスタ114aを、対応する第1の増幅トランジスタ106aの負荷として動作させ、画素負荷トランジスタ114bを、対応する第1の増幅トランジスタ106bの負荷として動作させる。
また、不図示の垂直走査回路は、制御信号φRST1を“H”レベルにして、画素リセットトランジスタ105aおよび画素リセットトランジスタ105bをオン状態にし、ノード容量120aおよびノード容量120bをリセットする。これにより、第1の増幅トランジスタ106aから光電変換部101aのリセットレベルの信号電圧が、第1の基板間接続部12aを介して第1のノイズ抑圧素子113aに出力されると共に、画素選択トランジスタ115aに出力される。また、第1の増幅トランジスタ106bから光電変換部101bのリセットレベルの信号電圧が、第1の基板間接続部12bを介して、第1のノイズ抑圧素子113bに出力されると共に、画素選択トランジスタ115bに出力される。
また、不図示の垂直走査回路は、制御信号φSH1Aおよび制御信号φSH2Aを“H”レベルにして、画素選択トランジスタ115aと画素選択トランジスタ212aとをオン状態にする。これにより、第1の増幅トランジスタ106aから第1の基板間接続部12aを介して画素選択トランジスタ115aに出力された光電変換部101aのリセットレベルの信号電圧が選択され、画素選択トランジスタ115a、第2の基板間接続部22、および画素選択トランジスタ212aを介して第2のノイズ抑圧素子213aに出力される。
また、不図示の垂直走査回路は、制御信号φRST2および制御信号φTX2を“H”レベルにして、第1のクランプトランジスタ109aおよび第1のクランプトランジスタ109bと、第1のサンプルホールドトランジスタ108aおよび第1のサンプルホールドトランジスタ108bとをオン状態にする。これにより、第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110bと、第1のノイズ抑圧素子113aおよび第1のノイズ抑圧素子113bとのそれぞれがクランプされる。また、不図示の垂直走査回路は、制御信号φRST2Aを“H”レベルにして、第2のクランプトランジスタ209aをオン状態にする。これにより、第2の電荷蓄積部210aと第2のノイズ抑圧素子213aとのそれぞれがクランプされる。
その後、不図示の垂直走査回路は、制御信号φRST1を“L”レベルにして、ノード容量120aおよびノード容量120bのリセットを解除する。続いて、時刻t3において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φRST2Aを“L”レベルにして、第2の電荷蓄積部210aのクランプを解除する。その後、不図示の垂直走査回路は、制御信号φSH1Aおよび制御信号φSH2Aを“L”レベルにして、画素選択トランジスタ115aと画素選択トランジスタ212aとをオフ状態にし、光電変換部101aのリセットレベルの信号電圧の選択を解除する。
続いて、時刻t4において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φSH1Bおよび制御信号φSH2Bを“H”レベルにして、画素選択トランジスタ115bと画素選択トランジスタ212bとをオン状態にする。これにより、第1の増幅トランジスタ106bから第1の基板間接続部12bを介して画素選択トランジスタ115bに出力された光電変換部101bのリセットレベルの信号電圧が選択され、画素選択トランジスタ115b、第2の基板間接続部22、および画素選択トランジスタ212bを介して第2のノイズ抑圧素子213bに出力される。また、不図示の垂直走査回路は、制御信号φRST2Bを“H”レベルにして、第2のクランプトランジスタ209bをオン状態にする。これにより、第2の電荷蓄積部210bと第2のノイズ抑圧素子213bとのそれぞれがクランプされる。
続いて、時刻t5において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φRST2Bを“L”レベルにして、第2の電荷蓄積部210bのクランプを解除する。その後、不図示の垂直走査回路は、制御信号φSH1Bおよび制御信号φSH2Bを“L”レベルにして、画素選択トランジスタ115bと画素選択トランジスタ212bとをオフ状態にし、光電変換部101bのリセットレベルの信号電圧の選択を解除する。また、不図示の垂直走査回路は、制御信号φRST2を“L”レベルにして、第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110bのクランプを解除する。
続いて、時刻t6において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φTX1を“H”レベルにして、電荷転送トランジスタ112aおよび電荷転送トランジスタ112bをオン状態にし、光電変換部101aに蓄積された信号電荷を、第1の増幅トランジスタ106aのゲート端子に、光電変換部101bに蓄積された信号電荷を、第1の増幅トランジスタ106bのゲート端子に、それぞれ転送する。このとき、電荷転送トランジスタ112aによって転送された信号電荷は、ノード容量120aに蓄積され、電荷転送トランジスタ112bによって転送された信号電荷は、ノード容量120bに蓄積される。これにより、第1の増幅トランジスタ106aから光電変換部101aが発生した信号電荷、すなわち、ノード容量120aに蓄積された信号電荷に応じた信号電圧(露光レベルの信号)が、第1の基板間接続部12aを介して第1のノイズ抑圧素子113aに出力されると共に、画素選択トランジスタ115aに出力される。また、第1の増幅トランジスタ106bから光電変換部101bが発生した信号電荷、すなわち、ノード容量120bに蓄積された信号電荷に応じた信号電圧(露光レベルの信号)が、第1の基板間接続部12bを介して、第1のノイズ抑圧素子113bに出力されると共に、画素選択トランジスタ115bに出力される。
そして、第1のノイズ抑圧素子113aは、光電変換部101aのリセットレベルの信号電圧と露光レベルの信号電圧との差分の電圧、すなわち、ノイズ除去処理された信号電圧を出力する。また、同様に、第1のノイズ抑圧素子113bは、光電変換部101bのノイズ除去処理された信号電圧を出力する。
その後、不図示の垂直走査回路は、制御信号φTX1を“L”レベルにして、光電変換部101aが蓄積した信号電荷の第1の増幅トランジスタ106aのゲート端子への転送と、光電変換部101bが蓄積した信号電荷の第1の増幅トランジスタ106bのゲート端子への転送とを停止する。
続いて、時刻t7において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φTX2を“L”レベルにして、第1の電荷蓄積部110aのサンプルホールドと、第1の電荷蓄積部110bのサンプルホールドとを停止する。これにより、第1の電荷蓄積部110aは、第1のノイズ抑圧素子113aが出力しているノイズ除去処理された信号電圧を保持し、第1の電荷蓄積部110bは、第1のノイズ抑圧素子113bが出力しているノイズ除去処理された信号電圧を保持する。
ここまでで、画素信号処理部10内に配置された画素100aに備えた光電変換部101aが発生した信号電荷がノイズ除去処理されて、第1の電荷蓄積部110aに保持され、画素100bに備えた光電変換部101bが発生した信号電荷がノイズ除去処理されて、第1の電荷蓄積部110bに保持(蓄積)されることになる。
続いて、時刻t8において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φSH1Aおよび制御信号φSH2Aを“H”レベルにして、画素選択トランジスタ115aと画素選択トランジスタ212aとをオン状態にする。これにより、第1の増幅トランジスタ106aから第1の基板間接続部12aを介して画素選択トランジスタ115aに出力された光電変換部101aが発生した信号電荷、すなわち、ノード容量120aに蓄積された信号電荷に応じた信号電圧(露光レベルの信号)が選択され、画素選択トランジスタ115a、第2の基板間接続部22、および画素選択トランジスタ212aを介して第2のノイズ抑圧素子213aに出力される。
そして、第2のノイズ抑圧素子213aは、光電変換部101aのリセットレベルの信号電圧と露光レベルの信号電圧との差分の電圧、すなわち、ノイズ除去処理された信号電圧を出力する。
その後、不図示の垂直走査回路は、制御信号φSH1Aおよび制御信号φSH2Aを“L”レベルにして、画素選択トランジスタ115aと画素選択トランジスタ212aとをオフ状態にし、光電変換部101aが発生した信号電荷に応じた信号電圧の選択を解除する。
ここまでで、画素信号処理部10内に配置された画素100aに備えた光電変換部101aが発生した信号電荷がノイズ除去処理されて、第2の電荷蓄積部210aに保持(蓄積)されることになる。
続いて、時刻t9において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φSH1Bおよび制御信号φSH2Bを“H”レベルにして、画素選択トランジスタ115bと画素選択トランジスタ212bとをオン状態にする。これにより、第1の増幅トランジスタ106bから第1の基板間接続部12bを介して画素選択トランジスタ115bに出力された光電変換部101bが発生した信号電荷、すなわち、ノード容量120bに蓄積された信号電荷に応じた信号電圧(露光レベルの信号)が選択され、画素選択トランジスタ115b、第2の基板間接続部22、および画素選択トランジスタ212bを介して第2のノイズ抑圧素子213bに出力される。
そして、第2のノイズ抑圧素子213bは、光電変換部101bのリセットレベルの信号電圧と露光レベルの信号電圧との差分の電圧、すなわち、ノイズ除去処理された信号電圧を出力する。
その後、不図示の垂直走査回路は、制御信号φSH1Bおよび制御信号φSH2Bを“L”レベルにして、画素選択トランジスタ115bと画素選択トランジスタ212bとをオフ状態にし、光電変換部101bが発生した信号電荷に応じた信号電圧の選択を解除する。
ここまでで、画素信号処理部10内に配置された画素100bに備えた光電変換部101bが発生した信号電荷がノイズ除去処理されて、第2の電荷蓄積部210bに保持(蓄積)されることになる。
続いて、時刻t10において、第2の電荷蓄積回路104は、第2の電荷蓄積部210aに保持しているノイズ除去処理された信号電圧と、第2の電荷蓄積部210bに保持しているノイズ除去処理された信号電圧との平均化の処理を行う。より具体的には、時刻t10において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φMixを“H”レベルにして、平均用スイッチトランジスタ214をオン状態にする。これにより、第2の電荷蓄積部210aと第2の電荷蓄積部210bとが短絡され、第2の電荷蓄積部210aと第2の電荷蓄積部210bとのそれぞれは、保持しているノイズ除去処理されたそれぞれの信号電圧の中間の信号電圧、すなわち、平均化した信号電圧を保持する。
また、時刻t10において、不図示の垂直走査回路は、制御信号φBIASを制御して、画素負荷トランジスタ114aおよび画素負荷トランジスタ114bのそれぞれの、対応する第1の増幅トランジスタ106aまたは第1の増幅トランジスタ106bの負荷としての動作を停止させる。
その後、不図示の垂直走査回路は、制御信号φSEL1Aおよび制御信号φSEL1Bを順次制御して、第1の電荷蓄積部110aと第1の電荷蓄積部110bとに保持されたノイズ除去処理されたそれぞれの信号電圧を順次、それぞれの画素のフル解像画像信号S1として第1の垂直信号線19に出力させる。また、不図示の垂直走査回路は、制御信号φSEL2を制御して、第2の電荷蓄積部210aおよび第2の電荷蓄積部210bに保持されたノイズ除去処理された平均化した信号電圧を、画素数を減縮した減縮画像信号S2として第2の垂直信号線29に出力させる。
なお、図4に示した第2の構成例の画素信号処理部10では、不図示の垂直走査回路が制御信号φMixを“L”レベルにして、第2の電荷蓄積部210aと第2の電荷蓄積部210bとの短絡を解除した後でも、第2の電荷蓄積部210aに保持されたノイズ除去処理された平均化した信号電圧を、画素数を減縮した減縮画像信号S2として第2の垂直信号線29に出力させることができる。
また、第2の構成例の画素信号処理部10でも、第1の構成例の画素信号処理部10と同様に、フル解像画像信号S1と減縮画像信号S2とのそれぞれの出力順番に関しては、特に規定しない。従って、不図示の垂直走査回路が制御信号φSEL1A、制御信号φSEL1B、および制御信号φSEL2を制御して、フル解像画像信号S1を第1の垂直信号線19に出力させるタイミングや、減縮画像信号S2を第2の垂直信号線29に出力させるタイミングに関する詳細な説明は省略する。
このような駆動タイミングによって第2の構成例の画素信号処理部10では、2つの光電変換部(光電変換部101aおよび光電変換部101b)のそれぞれが入射した光を光電変換した信号電荷に応じたそれぞれの信号電圧を、2つの光電変換部のそれぞれに対応した基板間接続部(第1の基板間接続部12aおよび第1の基板間接続部12b)に読み出させる。そして、ノイズ除去処理後の信号を、2つの光電変換部のそれぞれに対応した電荷蓄積部(第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110b)に保持させる。また、第2の構成例の画素信号処理部10の駆動タイミングでは、2つの光電変換部のそれぞれが光電変換したそれぞれの信号電荷に応じたそれぞれの信号電圧を、マルチプレクサ(画素選択トランジスタ115aおよび画素選択トランジスタ115b)によって選択して第2の基板間接続部22に出力させる。そして、デマルチプレクサ(画素選択トランジスタ212aおよび画素選択トランジスタ212b)によって、2つの光電変換部のそれぞれが光電変換したそれぞれの信号電荷に応じたそれぞれの信号電圧を分ける。そして、ノイズ除去処理後の信号を、2つの光電変換部のそれぞれに対応した電荷蓄積部(第2の電荷蓄積部210aおよび第2の電荷蓄積部210b)に保持させる。その後、2つの光電変換部のそれぞれに対応した電荷蓄積部(第2の電荷蓄積部210aおよび第2の電荷蓄積部210b)に保持した信号を平均化する。そして、固体撮像装置1では、画素信号処理部10のそれぞれの電荷蓄積部(第1の電荷蓄積部110aおよび第1の電荷蓄積部110b)に蓄積されたノイズ除去処理後の信号に応じた信号電圧をフル解像画像信号S1として第1の垂直信号線19に出力させ、平均化した信号電圧を減縮画像信号S2として第2の垂直信号線29に出力させる。
このように、本第1の実施形態の固体撮像装置1における第2の構成例の画素信号処理部10でも、第1の構成例の画素信号処理部10と同様に、画素100aに備えた光電変換部101aの信号電荷をノイズ除去処理して第1の電荷蓄積部110aに保持し、画素100bに備えた光電変換部101bの信号電荷をノイズ除去処理して第1の電荷蓄積部110bに保持する。また、本第1の実施形態の固体撮像装置1における第2の構成例の画素信号処理部10では、画素100aに備えた光電変換部101aの信号電荷をノイズ除去処理して第2の電荷蓄積部210aに保持し、画素100bに備えた光電変換部101bの信号電荷をノイズ除去処理して第2の電荷蓄積部210bに保持した後に、それぞれの信号電荷を平均化して、第2の電荷蓄積部210aおよび第2の電荷蓄積部210bに保持する。これにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1における第2の構成例の画素信号処理部10でも、第1の構成例の画素信号処理部10と同様に、画素信号処理部10に備えた全ての画素の画素信号(フル解像画像信号S1)と、画素信号処理部10に備えた画素数を減縮した、つまり、画素信号処理部10に備えたそれぞれの画素のフル解像画像信号S1を平均化(加算平均)した画素信号(減縮画像信号S2)との両方を独立に出力することができる。
上記に述べたように、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10では、それぞれの画素を同じ露光期間で露光し、それぞれの画素内で、光電変換部101aが発生した信号電荷を第1の電荷蓄積回路103aに、光電変換部101bが発生した信号電荷を第1の電荷蓄積回路103bにそれぞれに保持すると共に、それぞれの信号電荷の電荷量を平均化した信号電荷(画素数を減縮した信号電荷)を第2の電荷蓄積回路104に保持する。そして、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10では、第1の電荷蓄積回路103aと第1の電荷蓄積回路103bとのそれぞれに保持した信号電荷に応じたそれぞれのフル解像画像信号S1と、第2の電荷蓄積回路104に保持した信号電荷に応じた減縮画像信号S2とのそれぞれを別々に出力することができる。すなわち、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10では、同じ1回の露光によって得られた信号電荷に基づいた、フル解像画像信号S1と減縮画像信号S2とのそれぞれを別々に独立して出力することができる。
なお、本第1の実施形態の固体撮像装置1における画素信号処理部10の構成は、第1および第2の構成例で示した構成に限定されるものではなく、本第1の実施形態の固体撮像装置1における画素信号処理部10の趣旨を逸脱しない範囲の異なる構成であってもよい。
なお、本第1の実施形態の固体撮像装置1における第1および第2の構成例の画素信号処理部10では、画素100aおよび画素100bに対応する構成要素に入力する制御信号は、第1の選択トランジスタ107aに入力する制御信号φSEL1A、および第1の選択トランジスタ107bに入力する制御信号φSEL1B以外、画素100aと画素100bとで同じ制御信号である構成について説明した。そして、この構成に基づいて、本第1の実施形態の固体撮像装置1における第1および第2の構成例の画素信号処理部10の駆動タイミングでは、画素100aに備えた光電変換部101aと画素100bに備えた光電変換部101bとの露光を同時に開始し、光電変換部101aと光電変換部101bとのそれぞれが発生した信号電荷を同時に転送するグローバルシャッタ機能の動作を行うタイミングについて説明した。しかし、固体撮像装置1における画素信号処理部10の構成や駆動タイミングは、第1および第2の構成例に限定されるものではなく、画素100aおよび画素100bのそれぞれの構成要素に入力する制御信号を、画素100aと画素100bとのそれぞれで異ならせ、画素100aと画素100bとを異なるタイミングで駆動することができる構成にすることもできる。
なお、本第1の実施形態の固体撮像装置1における第1および第2の構成例の画素信号処理部10では、図1に示した固体撮像装置1の画素信号処理部10における最小限の構成に基づいて、光電変換基板11と第1の読み出し基板21と第2の読み出し基板31との3つの基板による多層基板構造の構成について説明した。しかし、固体撮像装置1における画素信号処理部10の構成は、本第1の実施形態の固体撮像装置1における画素信号処理部10の構成に限定されるものではなく、例えば、第2の電荷蓄積回路104が保持する画素100aと画素100bとに対応した信号電荷を平均化した信号電荷を、さらに平均化する構成にすることもできる。例えば、第2の電荷蓄積回路104では、画素信号処理部10に備えた画素数を1段減縮しているが、さらにもう1段以上減縮する構成にすることもできる。この場合、本第1の実施形態の固体撮像装置1における画素信号処理部10をさらに多層化することが考えられる。なお、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10においては、画素信号処理部10に備えた画素数を減縮する段数に関しては、特に規定しない。
なお、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、図1、図2、および図4において、予め定めた2つの画素を組とし、それぞれの画素に備えた光電変換部101が発生したそれぞれの信号電荷の電荷量を平均化した信号電荷を保持する画素信号処理部10の構成を示した。しかし、実際の固体撮像装置では、二次元の行列状に複数の画素が配置された画素アレイに、例えば、ベイヤー配列のカラーフィルタが貼付され、それぞれの画素に備えた光電変換部101は、入射した光に含まれる、貼付されたカラーフィルタの対応する色を光電変換して信号電荷を発生する。従って、本第1の実施形態の固体撮像装置1においては、貼付されたカラーフィルタの色の重心がずれないように、また、異なる色の信号電荷を平均化しないように、画素の組を構成することが望ましい。
ここで、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10において組とする画素の配置の一例について説明する。図6は、本第1の実施形態の固体撮像装置1における画素アレイの配列の一例を示した図である。図6は、固体撮像装置1にベイヤー配列のカラーフィルタが貼付されている場合の一例を示している。
上述したように、固体撮像装置1にカラーフィルタが貼付されている場合、固体撮像装置1における画素の組は、同じ色同士で重心がずれないように構成することが望ましい。図6(b)には、図6(a)において3行目で6列目に配置されているGr画素100aを重心とし、このGr画素100aの周辺の5行5列の範囲内に配置された同じ色の8つのGr画素100bを組とする、すなわち、9つの画素を組とする場合を示している。
図6(b)に示したように画素の組を構成することによって、図1に示した画素信号処理部10の構成の固体撮像装置1では、画素アレイに備えた画素数を、行方向を1/3に列方向を1/3にそれぞれ減縮した、つまり、画素アレイに備えた全て画素数を1/9に減縮した減縮画像信号S2を第2の電荷蓄積回路104が出力することができる。そして、本第1の実施形態の固体撮像装置1の差分AD変換部50では、画素信号処理部10が出力したそれぞれの画素信号に基づいて、様々な処理を行うことができる。
なお、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10において組とする画素の配置は、図6に示した一例に限定されるものではない。例えば、重心とする画素の周辺の9行9列の範囲内に配置された同じ色の25個の画素を組とすることによって、画素アレイに備えた画素数を、行方向を1/5に列方向を1/5にそれぞれ減縮した、つまり、画素アレイに備えた全て画素数を1/25に減縮した信号電荷を、第2の電荷蓄積回路104に保持することができる。
<差分AD変換部の構成例>
次に、本第1の実施形態の固体撮像装置1における差分AD変換部50のより具体的な構成の一例について説明する。なお、差分AD変換部50に備えた読み出し回路501と読み出し回路511とは、画素信号処理部10に備えた第1の電荷蓄積回路103aと第1の電荷蓄積回路103bとのそれぞれが保持した信号電荷に応じたそれぞれのフル解像画像信号S1、または第2の電荷蓄積回路104が保持した信号電荷に応じた減縮画像信号S2とのそれぞれを、順次読み出すのみである。従って、読み出し回路501と読み出し回路511とのより具体的な構成に関しての説明は省略する。
まず、差分AD変換部50に備えた差分回路502のより具体的な構成の一例について説明する。図7は、本第1の実施形態の固体撮像装置1の差分AD変換部50に備えた差分回路502の構成例を示した回路図および差分回路502の動作タイミングを示したタイミングチャートである。なお、図7(a)には、差分回路502の構成例を示した回路図を示し、図7(b)には、差分回路502の動作タイミングを示している。
図7(a)に示した差分回路502は、演算増幅アンプAMPと、フィードバック容量C1と、サンプリング容量C2と、スイッチSW1〜スイッチSW3とから構成される。差分回路502は、読み出し回路501によって画素信号処理部10から読み出されたフル解像画像信号S1と、読み出し回路511によって画素信号処理部10から読み出された減縮画像信号S2との差分を算出し、フル解像画像信号S1と減縮画像信号S2との差分の画素信号を、差分画素信号Voutとして第1のA/D変換回路503に出力する。
スイッチSW1は、読み出し回路501が画素信号処理部10から読み出したフル解像画像信号S1を選択するスイッチであり、制御信号φ1に応じて、入力されたフル解像画像信号S1をサンプリング容量C2に出力する。
スイッチSW2は、読み出し回路511が画素信号処理部10から読み出した減縮画像信号S2を選択するスイッチであり、制御信号φ2に応じて、入力された減縮画像信号S2をサンプリング容量C2に出力する。
サンプリング容量C2は、スイッチSW1およびスイッチSW2から入力された画素信号の信号電圧に応じた電荷をサンプリングして保持する容量であり、保持した電荷に応じた信号電圧を、演算増幅アンプAMPに出力する。
演算増幅アンプAMPは、サンプリング容量C2が保持した電荷に応じた信号電圧が一方の入力端子に入力され、一方の入力端子に入力された信号電圧を他方の入力端子に入力された固定電位VREFに基づいて演算増幅し、差分画素信号Voutとして出力端子から出力する。
フィードバック容量C1は、演算増幅アンプAMPの一方の入力端子と出力端子との間に配置されたフィードバック容量である。
スイッチSW3は、演算増幅アンプAMPを初期化するスイッチであり、制御信号φRSTに応じて、演算増幅アンプAMPの一方の入力端子と出力端子とを短絡することによって、演算増幅アンプAMPを初期化する。
ここで、図7(b)を用いて差分回路502の動作について説明する。差分回路502では、まず、読み出し回路511が画素信号処理部10から読み出した減縮画像信号S2をサンプリングし、その後、読み出し回路501が画素信号処理部10から読み出したフル解像画像信号S1をサンプリングすることによって、フル解像画像信号S1と減縮画像信号S2との差分を算出した差分画素信号Voutを出力する。
より具体的には、時刻t1において、制御信号φ2を“H”レベルにすることによってスイッチSW2をオン状態にして、読み出し回路511が画素信号処理部10から読み出した減縮画像信号S2をサンプリング容量C2に出力させる。また、同時に、制御信号φRSTを“H”レベルにすることによってスイッチSW3をオン状態にして、演算増幅アンプAMPの一方の入力端子と出力端子を短絡し、演算増幅アンプAMPをリセット(初期化)する。これにより、演算増幅アンプAMPの出力端子からは、固定電位VREFの電位が、差分画素信号Voutとして出力される。
その後、制御信号φ2および制御信号φRSTを“L”レベルにして、減縮画像信号S2のサンプリング容量C2への出力を終了すると共に、演算増幅アンプAMPのリセットを解除する。
続いて、時刻t2において、制御信号φ1を“H”レベルにすることによってスイッチSW1をオン状態にして、読み出し回路501が画素信号処理部10から読み出したフル解像画像信号S1をサンプリング容量C2に出力させる。これにより、演算増幅アンプAMPの出力端子からは、リセット時に入力された固定電位VREFの電位とリセット解除後に入力された電位との差の電位、すなわち、サンプリング容量C2から出力された減縮画像信号S2とフル解像画像信号S1との差分の電位が、差分画素信号Voutとして出力される。ここで、演算増幅アンプAMPの出力端子から出力される差分画素信号Voutの電位は、下式(1)のように表される。
Vout = Vref−C2/C1(S1−S2)・・・(1)
このような構成および動作タイミングによって差分回路502では、読み出し回路501が画素信号処理部10から読み出したフル解像画像信号S1と、読み出し回路511が画素信号処理部10から読み出した減縮画像信号S2との差分を算出した差分画素信号Voutを出力する。ここで、減縮画像信号S2は、フル解像画像信号S1に対応する画素信号であるため、差分画素信号Voutは、フル解像画像信号S1に比べて電圧範囲が非常に小さな信号となる。つまり、差分画素信号Voutは、フル解像画像信号S1のダイナミックレンジを狭くした画素信号となる。これにより、その後、第1のA/D変換回路503が差分画素信号Voutをアナログデジタル変換する際に動作する第1のA/D変換回路503内のカウンタの計数時間が短くなる。
次に、差分AD変換部50に備えた第1のA/D変換回路503および第2のA/D変換回路513のより具体的な構成の一例について説明する。図8は、本第1の実施形態の固体撮像装置1の差分AD変換部50に備えたA/D変換回路(第1のA/D変換回路503および第2のA/D変換回路513)の構成例を示した回路図およびA/D変換回路の動作期間を示したタイミングチャートである。なお、図8(a)には、第1のA/D変換回路503の構成例を示した回路図を示し、図8(b)には、第1のA/D変換回路503の動作期間を示し、図8(c)には、第2のA/D変換回路513の動作期間を示している。
図8(a)に示した第1のA/D変換回路503は、参照信号生成部DACと、比較器CMPと、カウンタCNTと、ラッチLATとから構成される。第1のA/D変換回路503は、差分回路502から入力された差分画素信号Vout(アナログ信号)をアナログデジタル変換した、差分画素信号Vout(アナログ信号)の大きさを表す値(デジタル値)を出力するスロープ積分型のA/D変換回路である。
参照信号生成部DACは、時間に対して一定の割合で電位が増加するアナログ信号であるランプ波Vrampを生成し、生成したランプ波Vrampを比較器CMPに出力する。
比較器CMPは、差分回路502から入力されたアナログ信号である差分画素信号Voutの電位と、参照信号生成部DACから入力されたランプ波Vrampの電位との比較を行う。そして、比較器CMPは、ランプ波Vrampの電位が、差分画素信号Voutの電位と大小関係が反転する電位になったときに、このことを通知する比較信号をカウンタCNTとラッチLATとに出力する。
カウンタCNTは、クロック信号CLKに基づいて、比較器CMPが差分画素信号Voutの電位とランプ波Vrampの電位との比較を行っている期間(AD期間)の時間を計数する。より具体的には、カウンタCNTは、差分回路502から差分画素信号Voutが入力され、参照信号生成部DACがランプ波Vrampを出力したタイミングから、比較器CMPから比較信号が入力されるタイミングまでのクロック信号CLKの数(クロック数)を計数する。すなわち、カウンタCNTは、比較器CMPがそれぞれの電位の比較を開始したタイミングから、比較器CMPがそれぞれの電位の大小関係が反転して比較を終了するタイミングまでのクロック信号CLKのクロック数を計数する。そして、カウンタCNTは、計数したAD期間の計数値(カウント値=クロック数)を表すデジタル値を、ラッチLATに出力する。なお、カウンタCNTのビット数は、比較器CMPが差分画素信号Voutの電位とランプ波Vrampの電位との比較を行っているAD期間の全ての時間を計数することができるビット数である。図8(a)には、カウンタCNTのビット数が10ビットである場合を示している。
ラッチLATは、比較器CMPから比較信号が入力されるタイミング、すなわち、比較器CMPがそれぞれの電位の比較を終了するタイミングで、カウンタCNTから入力されたAD期間のカウント値(クロック数)を表すデジタル値を保持する。そして、ラッチLATは、保持したデジタル値を、第1のA/D変換回路503に入力された差分画素信号Vout(アナログ信号)をアナログデジタル変換した画像データ(デジタル値)として出力する。なお、ラッチLATのビット数は、カウンタCNTのカウント値(=デジタル値)の全てを保持することができるビット数、すなわち、カウンタCNTのビット数と同じビット数である。図8(a)には、ラッチLATのビット数が10ビットである場合を示している。
なお、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、差分AD変換部50に備えた第2のA/D変換回路513も減縮画像信号S2をアナログデジタル変換した画像データ(デジタル値)を出力する。ここで、第2のA/D変換回路513の構成は、図8(a)に示した第1のA/D変換回路503の構成と同様である。ただし、上述したように、第1のA/D変換回路503がアナログデジタル変換する差分画素信号Voutは、差分回路502によってフル解像画像信号S1のダイナミックレンジを狭くした画素信号であるのに対し、第2のA/D変換回路513がアナログデジタル変換する減縮画像信号S2は、ダイナミックレンジを狭くした画素信号ではない。このため、第2のA/D変換回路513に備えたカウンタCNTおよびラッチLATのビット数は、第1のA/D変換回路503に備えたカウンタCNTおよびラッチLATのビット数よりも多くなる。図8(a)には、“():括弧”内に、第2のA/D変換回路513に入力される画素信号(S2)、および第2のA/D変換回路513に備えたカウンタCNTおよびラッチLATのビット数(12ビット)の一例を示している。なお、以下の説明においては、第2のA/D変換回路513が出力する画像データのビット数は、従来の固体撮像装置に内蔵したA/D変換回路が出力する画像データのビット数と同じビット数である。
なお、従来の固体撮像装置に内蔵したA/D変換回路のビット数と、第1のA/D変換回路503および第2のA/D変換回路513のそれぞれに備えたカウンタCNTおよびラッチLATのビット数に関する説明は、後述する。
次に、図8(b)および図8(c)を用いて第1のA/D変換回路503および第2のA/D変換回路513の動作期間について説明する。図8(b)には、第1のA/D変換回路503が最大10ビット分のクロック信号CLKのクロック数を計数する最大のAD期間を模式的に示し、図8(c)には、第2のA/D変換回路513が最大12ビット分のクロック信号CLKのクロック数を計数する最大のAD期間を模式的に示している。なお、図8(c)に示した第2のA/D変換回路513のAD期間は、従来の固体撮像装置に内蔵したA/D変換回路のAD期間と同様である。
上述したように、第1のA/D変換回路503および第2のA/D変換回路513のそれぞれでは、それぞれのAD期間内で、比較器CMPが、入力された画素信号(差分画素信号Voutまたは減縮画像信号S2)の電位とランプ波Vrampの電位との比較を行う。そして、第1のA/D変換回路503および第2のA/D変換回路513のそれぞれでは、それぞれのAD期間内で、カウンタCNTが、参照信号生成部DACがランプ波Vrampを出力して比較器CMPがそれぞれの電位の比較を開始したタイミングから、比較器CMPがそれぞれの電位の比較を終了するタイミングまでのクロック信号CLKのクロック数を計数する。
そして、第1のA/D変換回路503および第2のA/D変換回路513のそれぞれでは、ランプ波Vrampの電位と入力された画素信号(差分画素信号Voutまたは減縮画像信号S2)の電位との大小関係が反転するタイミングで、比較器CMPが、ランプ波Vrampの電位が、入力された画素信号の電位と大小関係が反転したことを通知する比較信号をカウンタCNTに出力する。これにより、第1のA/D変換回路503および第2のA/D変換回路513のそれぞれでは、カウンタCNTが、比較器CMPから入力された比較信号に応じてクロック信号CLKのクロック数の計数を停止し、ラッチLATが、カウンタCNTから入力されたカウント値(クロック数)を保持し、入力された画素信号に応じた画像データ(デジタル値)として出力する。このため、A/D変換回路においては、AD期間内の動作によって電力を消費するということができる。
図8(b)と図8(c)とを比べてわかるように、差分回路502によってフル解像画像信号S1のダイナミックレンジを狭くした差分画素信号Voutをアナログデジタル変換する第1のA/D変換回路503のAD期間の方が、減縮画像信号S2をアナログデジタル変換する第2のA/D変換回路513のAD期間よりも短い期間である。つまり、第1のA/D変換回路503に備えたカウンタCNTがクロック信号CLKの計数を行う動作期間の方が、第2のA/D変換回路513に備えたカウンタCNTがクロック信号CLKの計数を行う動作期間よりも短い期間である。このため、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、第1のA/D変換回路503に備えたカウンタCNTがクロック信号CLKを計数する際の消費電力を低減することができる。
言い換えれば、第1のA/D変換回路503に備えたカウンタCNTがクロック信号CLKの計数を行う動作期間の方が、従来の固体撮像装置に内蔵したA/D変換回路に備えたカウンタの動作期間よりも短い期間である。このため、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、フル解像画像信号S1に応じた画像データを出力する際の第1のA/D変換回路503の消費電力を、従来の固体撮像装置に内蔵したA/D変換回路よりも低減することができる。
ここで、従来の固体撮像装置に内蔵したA/D変換回路のビット数と、第1のA/D変換回路503および第2のA/D変換回路513のそれぞれに備えたカウンタCNTおよびラッチLATのビット数に関して説明する。つまり、第1のA/D変換回路503および第2のA/D変換回路513のそれぞれに予め定められるデジタル値のビット数に関して説明する。
図8(b)および図8(c)を見てわかるように、第1のA/D変換回路503および第2のA/D変換回路513のそれぞれでは、入力された画素信号の電位が低ければ、早い段階でランプ波Vrampの電位との大小関係が反転し、カウンタCNTによるクロック信号CLKのクロック数の計数が早い段階で停止してアナログデジタル変換が終了する。すなわち、入力された画素信号に応じた画像データ(デジタル値)は小さな値となる。一方、入力された画素信号の電位が高ければ、ランプ波Vrampの電位との大小関係が反転するまでに時間を要し、カウンタCNTによるクロック信号CLKのクロック数の計数がより長い期間行われ、すなわち、アナログデジタル変換が長い期間終了せず、入力された画素信号に応じた画像データ(デジタル値)が大きな値となる。
例えば、フル解像画像信号S1をアナログデジタル変換して12ビットのデジタル値(画像データ)を出力する構成を考える。この構成において最大のデジタル値を出力する場合、従来の固体撮像装置に備えたA/D変換回路では、4095個のクロック信号CLKを計数する必要があり、アナログデジタル変換の期間は、クロック信号CLKの1周期の時間×4095の期間となる。
これに対して、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、第1のA/D変換回路503が、差分回路502が出力したフル解像画像信号S1と減縮画像信号S2との差分である差分画素信号Voutをアナログデジタル変換して出力する。この差分画素信号Voutは、上述したように、フル解像画像信号S1のダイナミックレンジを狭くした画素信号である。例えば、読み出し回路501が画素信号処理部10から読み出したフル解像画像信号S1のそれぞれの信号電圧の範囲が0Vから1V程度である場合、フル解像画像信号S1の信号電圧と減縮画像信号S2の信号電圧とを差分した差分画素信号Voutの信号電圧の範囲は、0Vから0.25V程度の範囲になると考えられる。従って、第1のA/D変換回路503では、従来の固体撮像装置に内蔵したA/D変換回路よりも狭い信号電圧の範囲の画素信号をアナログデジタル変換すれば良いことになる。
このことから、第1のA/D変換回路503では、アナログデジタル変換の期間を短くした場合、すなわち、アナログデジタル変換したデジタル値の最大のビット数を少なくするためにカウンタCNTのビット数を少なくした場合でも、精度の良いデジタル値を出力することができる。このため、第1のA/D変換回路503では、図8(a)に示したように、カウンタCNTのビット数を、従来の固体撮像装置に内蔵したA/D変換回路に備えたカウンタのビット数(12ビット)よりも少ない10ビットにしている。
このカウンタCNTのビット数は、1ビット少なくなるとクロック信号CLKの計数を行う動作期間が1/2の期間となるため、カウンタCNTの消費電力を1/2に低減することができる。図8(a)に示した第1のA/D変換回路503では、カウンタCNTのビット数を、従来の固体撮像装置に内蔵したA/D変換回路に備えたカウンタのビット数(12ビット)よりも2ビット少なくしているため、カウンタCNTの消費電力は1/4に低減することができる。
また、第1のA/D変換回路503では、カウンタCNTのビット数を10ビットにしたことに伴って、ラッチLATに必要なビット数が10ビットになり、2ビット分削減される。これにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1から第1のA/D変換回路503がフル解像画像信号S1に応じた画像データ(デジタル値)を出力するデータバスのバス幅を少なくすることができる。これにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、出力する画像データのそれぞれのビットのレベルの変化に伴う消費電力も、従来の固体撮像装置よりも低減することができる。
なお、上述したように、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、差分AD変換部50に備えた第2のA/D変換回路513も減縮画像信号S2をアナログデジタル変換した画像データ(デジタル値)を出力する。この第2のA/D変換回路513は、従来の固体撮像装置に内蔵したA/D変換回路と同様である。このため、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、第1のA/D変換回路503が出力する差分画素信号Voutに応じた画像データを出力する分の消費電力が増大するものと捉えられてしまうとも考えられる。しかし、本第1の実施形態の固体撮像装置1において第2のA/D変換回路513がアナログデジタル変換する減縮画像信号S2は、画素信号処理部10に備えた画素数を減縮した画素信号、すなわち、フル解像画像信号S1よりも少ない数の画素信号である。このため、本第1の実施形態の固体撮像装置1において、減縮画像信号S2に応じた画像データを出力したとしても、差分AD変換部50に備えた第2のA/D変換回路513が減縮画像信号S2をアナログデジタル変換する際の消費電力は、従来の固体撮像装置よりも少ない。従って、本第1の実施形態の固体撮像装置1が差分画素信号Voutに応じた画像データと、減縮画像信号S2に応じた画像データとの両方の画像データを出力した場合でも、固体撮像装置1の全体の消費電力としては、従来の固体撮像装置よりも少ないということができる。
次に、本第1の実施形態の固体撮像装置1のより具体的な構成の一例について説明する。図9は、本第1の実施形態の固体撮像装置1のより具体的な構成を示したブロック図である。図9には、4行4列の二次元の行列状に画素が配置された画素アレイが形成された画素信号処理部10を備え、3つの基板で構成された多層基板構造の固体撮像装置1において、第1の読み出し基板21と第2の読み出し基板31との構成の一例を示している。なお、図9においては、説明を容易にするため、図1に示したそれぞれの画素の光電変換部101および電荷転送回路102が形成される光電変換基板の構成を省略している。また、図9においては、それぞれの基板の信号線を電気的に接続する基板間接続部も省略している。
なお、以下の説明においては、それぞれの構成要素が対応する画素、すなわち、16個の画素100a〜画素100pを区別するため、それぞれの構成要素の符号の最後に対応する画素を示す「a」〜「p」の符号を付与して説明する。より具体的には、例えば、画素100cに対応する構成要素の符号の最後に「c」を付与し、例えば、画素100iと画素100jとの両方に対応する構成要素の符号の最後には「ij」を付与して説明する。また、画素100a〜画素100pに共通して対応する構成要素には、「a」〜「p」の符号は付与せずに説明する。また、画素100a〜画素100pのいずれかに対応する構成要素ではあるが、説明を行う際に対応する画素を区別しない場合には、「a」〜「p」の符号を示さずに、それぞれの構成要素の符号までを示して説明する。また、以下の説明においては、それぞれの構成要素が対応する画素または画素の組の列を区別するため、それぞれの構成要素の符号の最後に対応する画素または画素の組の列を示す数字を付与して説明する。より具体的には、例えば、1列目の第1の電荷蓄積回路103に対応する構成要素の符号の最後に「−1」を付与し、例えば、2列目の第2の電荷蓄積回路104に対応する構成要素の符号の最後に「−2」を付与して説明する。
図9において、第1の読み出し基板21には、固体撮像装置1の画素信号処理部10に備えた16個の画素のそれぞれを構成する16個の第1の電荷蓄積回路103が形成されている。また、第1の読み出し基板21には、16個の第1の電荷蓄積回路103の列毎、すなわち、固体撮像装置1に備えた16個の画素のそれぞれの列毎に対応する4つの第1の読み出し回路501と、4つの差分回路502と、4つの第1のA/D変換回路503とが形成されている。
より具体的には、第1の読み出し基板21には、画素100a〜画素100pのそれぞれを構成する第1の電荷蓄積回路103a〜第1の電荷蓄積回路103pが形成されている。また、第1の読み出し基板21には、1列目の画素100a、画素100e、画素100i、および画素100mを構成する第1の電荷蓄積回路103a、第1の電荷蓄積回路103e、第1の電荷蓄積回路103i、および第1の電荷蓄積回路103mに対応して、第1の読み出し回路501−1と、差分回路502−1と、第1のA/D変換回路503−1とが形成されている。同様に、第1の読み出し基板21には、2列目のそれぞれの画素を構成する第1の電荷蓄積回路103に対応して、第1の読み出し回路501−2と、差分回路502−2と、第1のA/D変換回路503−2とが形成されている。また、同様に、第1の読み出し基板21には、それぞれの画素を構成する3列目の第1の電荷蓄積回路103に対応して、第1の読み出し回路501−3と、差分回路502−3と、第1のA/D変換回路503−3とが形成され、4列目のそれぞれの画素を構成する第1の電荷蓄積回路103に対応して、第1の読み出し回路501−4と、差分回路502−4と、第1のA/D変換回路503−4とが形成されている。
また、図9において、第2の読み出し基板31には、固体撮像装置1の画素信号処理部10に備えた16個の画素において、2行2列毎に1つの組を構成した画素の組(以下、「画素組」という)のそれぞれに対応する4つの第2の電荷蓄積回路104が形成されている。なお、図9においては、1つの第2の電荷蓄積回路104が、隣接する4つの画素に対応している構成を示しているが、1つの第2の電荷蓄積回路104が対応する画素組は、図6(b)に示したように、同じ色同士で重心がずれないように構成されている。
より具体的には、第2の読み出し基板31には、画素100a、画素100b、画素100e、および画素100fから構成される画素組に対応した第2の電荷蓄積回路104abefが形成されている。同様に、第2の読み出し基板31には、画素100c、画素100d、画素100g、および画素100hから構成される画素組に対応した第2の電荷蓄積回路104cdghが形成され、画素100i、画素100j、画素100m、および画素100nから構成される画素組に対応した第2の電荷蓄積回路104ijmnが形成され、画素100k、画素100l、画素100o、および画素100pから構成される画素組に対応した第2の電荷蓄積回路104klopが形成されている。これにより、図9に示した固体撮像装置1では、画素信号処理部10に備えた画素を1/4に減縮することができる。
また、第2の読み出し基板31には、第2の電荷蓄積回路104の列毎、すなわち、固体撮像装置1に備えた16個の画素の内、いずれか4つの画素で構成された画素組のそれぞれの列に対応する2つの第2の読み出し回路511と、2つの第2のA/D変換回路513とが形成されている。
より具体的には、第2の読み出し基板31には、1列目の第2の電荷蓄積回路104abefおよび第2の電荷蓄積回路104ijmnに対応して、第2の読み出し回路511−1と第2のA/D変換回路513−1とが形成されている。同様に、第2の読み出し基板31には、2列目の第2の電荷蓄積回路104cdghおよび第2の電荷蓄積回路104klopに対応して、第2の読み出し回路511−2と第2のA/D変換回路513−2とが形成されている。
そして、第1の電荷蓄積回路103a〜第1の電荷蓄積回路103pのそれぞれは、対応する光電変換部101a〜光電変換部101p(不図示)のそれぞれが発生した信号電荷を保持(蓄積)し、保持した信号電荷に応じた信号電圧をフル解像画像信号S1のそれぞれとして、差分AD変換部50内の対応する第1の読み出し回路501に出力する。また、第2の電荷蓄積回路104abef、第2の電荷蓄積回路104cdgh、第2の電荷蓄積回路104ijmn、および第2の電荷蓄積回路104klopのそれぞれは、対応する第1の電荷蓄積回路103a〜第1の電荷蓄積回路103pのそれぞれから転送された、対応する光電変換部101a〜光電変換部101p(不図示)のそれぞれが発生したそれぞれの信号電荷を加算平均することによって、画素信号処理部10に備えた画素100a〜画素100pの画素数を1/4に減縮した状態にするための信号電荷を保持(蓄積)する。そして、第2の電荷蓄積回路104abef、第2の電荷蓄積回路104cdgh、第2の電荷蓄積回路104ijmn、および第2の電荷蓄積回路104klopのそれぞれは、保持した信号電荷に応じた信号電圧を減縮画像信号S2のそれぞれとして、差分AD変換部50内の対応する第2の読み出し回路511に出力する。
そして、第1の読み出し回路501−1〜第1の読み出し回路501−4のそれぞれは、対応する列の第1の電荷蓄積回路103a〜第1の電荷蓄積回路103pのそれぞれからフル解像画像信号S1を順次読み出して、対応する差分回路502−1〜差分回路502−4のそれぞれに出力する。また、第2の読み出し回路511−1および第2の読み出し回路511−2のそれぞれは、対応する列の第2の電荷蓄積回路104abef、第2の電荷蓄積回路104cdgh、第2の電荷蓄積回路104ijmn、および第2の電荷蓄積回路104klopのそれぞれから減縮画像信号S2を順次読み出して、対応する差分回路502−1〜差分回路502−4と、第2のA/D変換回路513−1および第2のA/D変換回路513−2とのそれぞれに出力する。なお、第2の読み出し回路511−1および第2の読み出し回路511−2のそれぞれが読み出した減縮画像信号S2は、第2の基板間接続部22と同様の基板間接続部(不図示)を介して、第1の読み出し基板21に形成された対応する差分回路502−1〜差分回路502−4に出力される。
なお、第1の読み出し回路501−1〜第1の読み出し回路501−4、第2の読み出し回路511−1、および第2の読み出し回路511−2のそれぞれは、その機能として、読み出したフル解像画像信号S1および減縮画像信号S2に対してノイズ除去などの処理を行う、例えば、CDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)処理の機能を備えている構成であってもよい。
これにより、差分回路502−1〜差分回路502−4のそれぞれは、対応する第1の読み出し回路501から入力されたそれぞれのフル解像画像信号S1と、対応する第2の読み出し回路511から入力されたそれぞれの減縮画像信号S2との差分を算出したそれぞれの差分画素信号Voutを、対応する第1のA/D変換回路503−1〜第1のA/D変換回路503−4のそれぞれに出力する。より具体的には、差分回路502−1が、対応する第1の読み出し回路501−1から入力されたフル解像画像信号S1−1と、対応する第2の読み出し回路511−1から入力された減縮画像信号S2−1との差分を算出した差分画素信号Voutを、対応する第1のA/D変換回路503−1に出力する。また、差分回路502−2が、対応する第1の読み出し回路501−2から入力されたフル解像画像信号S1−2と、対応する第2の読み出し回路511−1から入力された減縮画像信号S2−1との差分を算出した差分画素信号Voutを、対応する第1のA/D変換回路503−2に出力する。また、差分回路502−3が、対応する第1の読み出し回路501−3から入力されたフル解像画像信号S1−3と、対応する第2の読み出し回路511−3から入力された減縮画像信号S2−3との差分を算出した差分画素信号Voutを、対応する第1のA/D変換回路503−3に出力する。また、差分回路502−4が、対応する第1の読み出し回路501−4から入力されたフル解像画像信号S1−4と、対応する第2の読み出し回路511−3から入力された減縮画像信号S2−3との差分を算出した差分画素信号Voutを、対応する第1のA/D変換回路503−4に出力する。
そして、第1のA/D変換回路503−1〜第1のA/D変換回路503−4のそれぞれは、対応する差分回路502−1〜差分回路502−4のそれぞれから入力されたそれぞれの差分画素信号Voutをアナログデジタル変換した画像データ、すなわち、画素信号処理部10に備えた全ての画素のフル解像画像信号S1に対応した画像データをそれぞれ出力する。また、第2のA/D変換回路513−1および第2のA/D変換回路513−2のそれぞれは、対応する第2の読み出し回路511−1および第2の読み出し回路511−2のそれぞれから入力されたそれぞれの減縮画像信号S2をアナログデジタル変換した画像データ、すなわち、画素信号処理部10に備えた画素数を1/4に減縮した画像データをそれぞれ出力する。
本第1の実施形態によれば、光電変換部101aおよび光電変換部101bが配置された光電変換基板(光電変換基板11)と、第1の電荷蓄積回路103aおよび第1の電荷蓄積回路103b、または第2の電荷蓄積回路104の一方が複数配置された第1の基板(第1の読み出し基板21)と、第1の電荷蓄積回路103aおよび第1の電荷蓄積回路103b、または第2の電荷蓄積回路104の他方が複数配置された第2の基板(第2の読み出し基板31)と、光電変換基板11と第1の読み出し基板21とを電気的接続する第1の接続部(第1の基板間接続部12aまたは第1の基板間接続部12b)と、第1の読み出し基板21と第2の読み出し基板31とを電気的接続する第2の接続部(第2の基板間接続部22aまたは第2の基板間接続部22b)と、によって構成され、差分回路502および第1のA/D変換回路503のそれぞれは、対応する画素(画素100aまたは画素100b)の第1の電荷蓄積回路103aまたは第1の電荷蓄積回路103bが配置された第1の読み出し基板21または第2の読み出し基板31の一方に配置され、第2のA/D変換回路513のそれぞれは、対応する第2の電荷蓄積回路104が配置された第1の読み出し基板21または第2の読み出し基板31の他方に配置される、固体撮像装置1が構成される。
また、本第1の実施形態によれば、第1の基板間接続部12aまたは第1の基板間接続部12bは、光電変換基板11と第1の読み出し基板21との間に配置され、第1の読み出し基板21に配置された第1の電荷蓄積回路103aおよび第1の電荷蓄積回路103b、または第2の電荷蓄積回路104の一方のそれぞれに対応し、光電変換基板11に配置されたそれぞれの光電変換部(光電変換部101aおよび光電変換部101b)から、第1の読み出し基板21に配置された対応する第1の電荷蓄積回路103aおよび第1の電荷蓄積回路103b、または第2の電荷蓄積回路104の一方に転送されるそれぞれの信号電荷の信号線のそれぞれを、光電変換基板11と第1の読み出し基板21との間で電気的に接続し、第2の基板間接続部22aまたは第2の基板間接続部22bは、第1の読み出し基板21と第2の読み出し基板31との間に配置され、第2の読み出し基板31に配置された第1の電荷蓄積回路103aおよび第1の電荷蓄積回路103b、または第2の電荷蓄積回路104の他方のそれぞれに対応し、光電変換基板11に配置されたそれぞれの光電変換部(光電変換部101aおよび光電変換部101b)から、第1の読み出し基板21を介して第2の読み出し基板31に配置された対応する第1の電荷蓄積回路103aおよび第1の電荷蓄積回路103b、または第2の電荷蓄積回路104の他方に転送されるそれぞれの信号電荷の信号線のそれぞれと、差分回路502のそれぞれが対応するフル解像画像信号S1と差分を算出する減縮画像信号S2の信号線のそれぞれとを、第1の読み出し基板21と第2の読み出し基板31との間で電気的に接続する、固体撮像装置1が構成される。
上記に述べたように、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、画素信号処理部10に備えたそれぞれの画素による同じ1回の露光によって得られた信号電荷に基づいた、全ての画素のフル解像画像信号S1と画素数を減縮した減縮画像信号S2とのそれぞれを別々に保持する。そして、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、保持したそれぞれの画素信号をアナログデジタル変換して、全ての画素のフル解像画像信号S1に対応した画像データ(以下、「フル解像画像データ」という)と、画素数を減縮した減縮画像信号S2に対応した画像データ(以下、「減縮画像データ」という)との両方を出力する。このとき、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、フル解像画像信号S1と減縮画像信号S2との差分をとった差分画素信号Voutをアナログデジタル変換した画像データを、画素信号処理部10に備えた全ての画素に対応したフル解像画像データとして出力する。この差分画素信号Voutは、画素信号処理部10に備えたそれぞれの画素が発生した信号電荷のダイナミックレンジを狭くした状態の画素信号である。このため、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、フル解像画像データを出力するためにアナログデジタル変換する際の第1のA/D変換回路503に備えたカウンタCNTの計数時間を短くし、カウンタCNTのビット数を少なくすることができる。これにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、フル解像画像データを出力する際の第1のA/D変換回路503の消費電力を、従来の固体撮像装置に内蔵したA/D変換回路が全ての画素の画像データを出力する際の消費電力よりも低減することができる。
また、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、減縮画像信号S2をそのままアナログデジタル変換した画像データを、画素信号処理部10に備えた画素数を減縮した減縮画像データとして出力する。ここで本第1の実施形態の固体撮像装置1が出力する減縮画像データは、従来の固体撮像装置に内蔵したA/D変換回路が出力する画像データのビット数と同じである。ただし、減縮画像信号S2は、画素数を減縮している画素信号であるため、従来の固体撮像装置に内蔵したA/D変換回路が全ての画素の画像データを出力ときよりも消費電力を低減した状態で出力することができる。これにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、全体として、従来の固体撮像装置よりも消費電力を低減した状態で、フル解像画像データと減縮画像データとの両方を出力することができる。このことにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1や、本第1の実施形態の固体撮像装置1を搭載した撮像システムの低消費電力化を図ることができる。
なお、本第1の実施形態の固体撮像装置1における画素信号処理部10の第1および第2の構成例では、図1に示した固体撮像装置1の画素信号処理部10における最小限の構成に基づいて、光電変換基板11と第1の読み出し基板21と第2の読み出し基板31との3つの基板による多層基板構造の構成について説明した。しかし、固体撮像装置1における画素信号処理部10の構成は、本第1の実施形態の固体撮像装置1における画素信号処理部10の構成に限定されるものではなく、例えば、第2の電荷蓄積回路104が保持する画素100aと画素100bとに対応した信号電荷を平均化した信号電荷を、さらに平均化する構成にすることもできる。例えば、第2の電荷蓄積回路104では、画素信号処理部10に備えた画素数を1段減縮しているが、さらにもう1段以上減縮する構成にすることもできる。この場合、本第1の実施形態の固体撮像装置1における画素信号処理部10をさらに多層化することが考えられる。なお、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10においては、画素信号処理部10に備えた画素数を減縮する段数に関しては、特に規定しない。
ここで、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10を、図1に示した固体撮像装置1の画素信号処理部10よりもさらにもう1段以上減縮する構成にした場合の固体撮像装置1の構成例について説明する。図10は、本第1の実施形態の固体撮像装置1の変形例の概略構成を示したブロック図である。図10に示した固体撮像装置1の変形例では、固体撮像装置1に備えた画素信号処理部10内に、画素100a〜画素100dの4つの画素が配置されている場合を示している。なお、図10に示した固体撮像装置1においても、本固体撮像装置1を搭載した撮像システムに備えた制御装置による制御に応じて、画素信号処理部10内に配置されたそれぞれの画素の構成要素を駆動する垂直走査回路や水平走査回路などの構成要素は省略している。
なお、以下の説明においては、それぞれの構成要素が対応する画素、すなわち、画素100a〜画素100dを区別するため、それぞれの構成要素の符号の最後に対応する画素を示す「a」、「b」、「c」、または「d」の符号を付与して説明する。より具体的には、画素100aに対応する構成要素の符号の最後に「a」を付与し、画素100bに対応する構成要素の符号の最後に「b」を付与し、画素100cに対応する構成要素の符号の最後に「c」を付与し、画素100dに対応する構成要素の符号の最後に「d」を付与して説明する。また、画素100a〜画素100dに共通して対応する構成要素には、「a」〜「d」の符号は付与せずに説明する。また、画素100a〜画素100dのいずれかに対応する構成要素ではあるが、説明を行う際に対応する画素を区別しない場合には、「a」〜「d」の符号を示さずに、それぞれの構成要素の符号までを示して説明する。
図10に示した固体撮像装置1の画素信号処理部10は、4つの光電変換部101a〜光電変換部101dと、4つの電荷転送回路102a〜電荷転送回路102dと、4つの第1の電荷蓄積回路103a〜第1の電荷蓄積回路103dと、3つの第2の電荷蓄積回路104ab、第2の電荷蓄積回路104cd、および第3の電荷蓄積回路204とから構成される。
また、図10に示した固体撮像装置1の差分AD変換部50は、第1の読み出し回路501と、差分回路502と、第1のA/D変換回路503と、第2の読み出し回路511と、第2の差分回路512と、第2のA/D変換回路513と、第3の読み出し回路521と、第3のA/D変換回路523とから構成される。固体撮像装置1の差分AD変換部50では、第1の読み出し回路501、差分回路502、および第1のA/D変換回路503は、画素100a〜画素100dに共通の構成要素であり、第2の読み出し回路511、第2の差分回路512、および第2のA/D変換回路513は、第2の電荷蓄積回路104abと第2の電荷蓄積回路104cdとに共通の構成要素である。
光電変換部101a〜光電変換部101d、電荷転送回路102a〜電荷転送回路102d、第1の電荷蓄積回路103a〜第1の電荷蓄積回路103dのそれぞれは、図1に示した固体撮像装置1の画素信号処理部10の光電変換部101aおよび光電変換部101b、電荷転送回路102aおよび電荷転送回路102b、第1の電荷蓄積回路103aおよび第1の電荷蓄積回路103bと同様の構成要素である。従って、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。
第2の電荷蓄積回路104abおよび第2の電荷蓄積回路104cdのそれぞれは、図1に示した固体撮像装置1の画素信号処理部10の第2の電荷蓄積回路104と同様に、対応する2つの電荷転送回路102のそれぞれから転送された、対応する光電変換部101が発生したそれぞれの信号電荷の電荷量を平均化した信号電荷を保持(蓄積)する回路(平均化電荷蓄積回路)である。なお、図10に示した固体撮像装置1の画素信号処理部10においては、第2の電荷蓄積回路104abが電荷転送回路102aおよび電荷転送回路102b、すなわち、光電変換部101aおよび光電変換部101bに対応し、第2の電荷蓄積回路104cdが電荷転送回路102cおよび電荷転送回路102d、すなわち、光電変換部101cおよび光電変換部101dに対応している。
また、第2の電荷蓄積回路104abおよび第2の電荷蓄積回路104cdのそれぞれは、平均化した信号電荷を第3の電荷蓄積回路204にも転送する。つまり、第2の電荷蓄積回路104abおよび第2の電荷蓄積回路104cdのそれぞれには、電荷転送回路102aや電荷転送回路102bと同等の機能も備えている。より具体的には、電荷転送回路102が第1の電荷蓄積回路103と第2の電荷蓄積回路104とのそれぞれに転送する対応する光電変換部101が発生して蓄積した信号電荷の代わりに、第2の電荷蓄積回路104abおよび第2の電荷蓄積回路104cdのそれぞれは、保持している平均化した信号電荷を第3の電荷蓄積回路204に転送する機能を備えている。なお、第2の電荷蓄積回路104abおよび第2の電荷蓄積回路104cdのそれぞれが第3の電荷蓄積回路204に転送する信号電荷は、平均化した信号電荷ではなく、対応する2つの電荷転送回路102のそれぞれから転送された、対応する光電変換部101が発生したそれぞれの信号電荷であってもよい。
第3の電荷蓄積回路204は、第2の電荷蓄積回路104abおよび第2の電荷蓄積回路104cdのそれぞれから入力された、それぞれの信号電荷の電荷量を平均化した信号電荷を保持(蓄積)する回路(平均化電荷蓄積回路)である。すなわち、第3の電荷蓄積回路204も、図1に示した固体撮像装置1の画素信号処理部10の第2の電荷蓄積回路104や、第2の電荷蓄積回路104abおよび第2の電荷蓄積回路104cdと同様に、固体撮像装置1の画素信号処理部10に備えた画素数を減縮した状態の信号電荷を保持する回路である。ただし、第3の電荷蓄積回路204は、第2の電荷蓄積回路104abおよび第2の電荷蓄積回路104cdのそれぞれが、固体撮像装置1の画素信号処理部10に備えた画素数を減縮した後に、さらに画素数を減縮した状態の信号電荷を保持する。また、第3の電荷蓄積回路204は、保持している、さらに画素数を減縮した状態の信号電荷に応じた信号電圧を、画素信号S3(以下、「減縮画像信号S3」という)として、差分AD変換部50内の第3の読み出し回路521に出力する回路でもある。
なお、第3の電荷蓄積回路204の構成は、本第1の実施形態の固体撮像装置1における画素信号処理部10の第1および第2の構成例で示した、第2の電荷蓄積回路104と同様の考え方で構成される。つまり、第1および第2の構成例における第2の電荷蓄積回路104に備えた第2の電荷蓄積部(第2の電荷蓄積部210、第2の電荷蓄積部210a、第2の電荷蓄積部210b)に対応する第3の電荷蓄積部を備えた構成が考えられる。
第1の読み出し回路501、差分回路502、第1のA/D変換回路503のそれぞれは、図1に示した固体撮像装置1の差分AD変換部50の第1の読み出し回路501、差分回路502、第1のA/D変換回路503のそれぞれと同様の構成要素である。従って、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。
第2の読み出し回路511は、読み出した減縮画像信号S2のそれぞれを第2のA/D変換回路513に出力する代わりに第2の差分回路512に出力するのみで、図1に示した固体撮像装置1の差分AD変換部50の第2の読み出し回路511と同様の構成要素である。従って、第2の読み出し回路511に関する詳細な説明は省略する。
第3の読み出し回路521は、画素信号処理部10内の第3の電荷蓄積回路204から画素数をさらに減縮した状態の減縮画像信号S3を順次読み出し、読み出した減縮画像信号S3のそれぞれを、第2の差分回路512と第3のA/D変換回路523とのそれぞれに順次出力する回路である。
なお、画素信号処理部10内の第3の電荷蓄積回路204が、保持したそれぞれの信号電荷に応じた信号電圧(減縮画像信号S3)を加算平均せずにそのまま出力する構成である場合には、第3の読み出し回路521が、第3の電荷蓄積回路204から順次読み出したそれぞれの信号電圧(減縮画像信号S3)を加算平均した後に、第2の差分回路512と第3のA/D変換回路523とのそれぞれに順次出力構成であってもよい。
第2の差分回路512は、第2の読み出し回路511から入力された画素数を減縮した状態の減縮画像信号S2と、第3の読み出し回路521から入力された画素数をさらに減縮した状態の減縮画像信号S3との差分を算出し、差分を算出した画素信号のそれぞれを第2の差分画素信号Vout2として、第2のA/D変換回路513に出力する。
第2のA/D変換回路513は、第2の読み出し回路511から入力されたそれぞれの減縮画像信号S2(アナログ信号)をアナログデジタル変換する代わりに、第2の差分回路512から入力されたそれぞれの第2の差分画素信号Vout2(アナログ信号)をアナログデジタル変換し、それぞれの第2の差分画素信号Vout2(アナログ信号)の大きさを表す値(デジタル値)を出力する。
第3のA/D変換回路523は、第3の読み出し回路521から入力されたそれぞれの減縮画像信号S3(アナログ信号)をそのままアナログデジタル変換し、それぞれの減縮画像信号S3(アナログ信号)の大きさを表す値(デジタル値)を出力する、スロープ積分型のA/D変換回路である(図8参照)。
本第1の実施形態によれば、画素信号処理部10は、複数の第2の電荷蓄積回路(第2の電荷蓄積回路104abおよび第2の電荷蓄積回路104cd)のそれぞれが保持した信号電荷に基づいた信号電荷を保持し、ここで保持した信号電荷に応じた信号電圧を、予め定めた数の画素数にさらに減縮した第3の画素信号(減縮画像信号S3)として出力する複数の第3の電荷蓄積回路(第3の電荷蓄積回路204)、をさらに有し、差分AD変換部50は、第2の電荷蓄積回路104abおよび第2の電荷蓄積回路104cdの列毎に対応し、ここで対応する列の減縮画像信号S2とこの減縮画像信号S2に対応する減縮画像信号S3との差分を算出した画素信号を第2の差分画素信号(第2の差分画素信号Vout2)として出力する複数の第2の差分算出部(第2の差分回路512)と、第3の電荷蓄積回路204の列毎に対応し、ここで対応する列の第3の電荷蓄積回路204から出力された減縮画像信号S3をアナログデジタル変換し、この減縮画像信号S3の大きさを表すデジタル値を出力する複数の第3のアナログデジタル変換部(第3のA/D変換回路523)と、をさらに有し、第2のA/D変換回路513のそれぞれは、第2の差分回路512のそれぞれに対応し、第2の電荷蓄積回路104abまたは第2の電荷蓄積回路104cdから出力された減縮画像信号S2の代わりに、ここで対応する第2の差分回路512から出力された第2の差分画素信号Vout2をアナログデジタル変換し、第3のA/D変換回路523のそれぞれが出力するデジタル値のビット数よりも少ないビット数の、第2の差分画素信号Vout2の大きさを表すデジタル値を出力する、固体撮像装置1が構成される。
また、本第1の実施形態によれば、減縮画像信号S3は、対応する複数の第2の電荷蓄積回路(第2の電荷蓄積回路104abおよび第2の電荷蓄積回路104cd)が保持したそれぞれの信号電荷に基づいた信号電荷のそれぞれを平均化した電荷量の信号電荷に応じた信号電圧の信号である、固体撮像装置1が構成される。
このような構成によって、図10に示した固体撮像装置1の画素信号処理部10では、それぞれの画素を同じ露光期間で露光し、それぞれの画素内で、光電変換部101が発生した信号電荷を第1の電荷蓄積回路103にそれぞれに保持すると共に、それぞれの信号電荷を平均化した信号電荷(画素数を減縮した信号電荷)を第2の電荷蓄積回路104に保持し、平均化したそれぞれの信号電荷をさらに平均化した信号電荷(画素数をさらに減縮した信号電荷)を第3の電荷蓄積回路204に保持する。すなわち、図10に示した固体撮像装置1の画素信号処理部10でも、同じ1回の露光によって得られた信号電荷に基づいて、画素信号処理部10に備えた全ての画素のフル解像画像信号S1と、画素信号処理部10に備えた画素数を減縮した減縮画像信号S2と、さらに画素数を減縮した減縮画像信号S3とのそれぞれを別々に保持することができる。
そして、図10に示した固体撮像装置1の差分AD変換部50は、画素信号処理部10内の第1の電荷蓄積回路103のそれぞれに保持したフル解像画像信号S1のそれぞれと、第2の電荷蓄積回路104に保持した減縮画像信号S2とのそれぞれと、第3の電荷蓄積回路204に保持した減縮画像信号S3とのそれぞれを別々に読み出して、読み出したそれぞれの画素信号をアナログデジタル変換したそれぞれの画像データを出力する。このとき、図10に示した固体撮像装置1の差分AD変換部50では、差分回路502が、アナログデジタル変換を行うフル解像画像信号S1のそれぞれと減縮画像信号S2との差分を算出し、第2の差分回路512が、アナログデジタル変換を行う減縮画像信号S2のそれぞれと減縮画像信号S3との差分を算出する。これにより、図10に示した固体撮像装置1の差分AD変換部50でも、画素信号処理部10内の光電変換部101のそれぞれが発生した、同じ露光によって得られるフル解像画像信号S1のダイナミックレンジを狭くしたフル解像画像信号S1を、アナログデジタル変換することができる。また、図10に示した固体撮像装置1の差分AD変換部50では、画素信号処理部10に備えた画素数を減縮した減縮画像信号S2のダイナミックレンジを狭くした減縮画像信号S2を、アナログデジタル変換することができる。このことにより、図10に示した固体撮像装置1の差分AD変換部50では、フル解像画像信号S1をアナログデジタル変換する際に第1のA/D変換回路503内のカウンタが計数する時間、および減縮画像信号S2をアナログデジタル変換する際に第2のA/D変換回路513内のカウンタが計数する時間を短くして、それぞれのカウンタの消費電力を低減することができる。これにより、図10に示した固体撮像装置1や、本第1の実施形態の固体撮像装置1を搭載した撮像システムの低消費電力化を図ることができる。
また、図10に示した固体撮像装置1では、全ての画素のフル解像画像信号S1に対応した画像データと、画素数を減縮した減縮画像信号S2に対応した画像データと、画素数をさらに減縮した減縮画像信号S3に対応した画像データとのそれぞれを出力することができる。より具体的には、図10に示したように、画素信号処理部10に備えた全ての画素のフル解像画像信号S1に対応した画像データ(フル解像画像データ)と、画素信号処理部10に備えた画素数を1/2に減縮した減縮画像信号S2に対応した画像データ(減縮画像データ(1/2))と、画素信号処理部10に備えた画素数を1/4に減縮した減縮画像信号S3に対応した画像データ(減縮画像データ(1/4))とのそれぞれを別々に出力することができる。
ここで、図10に示した固体撮像装置1のより具体的な構成の一例について説明する。図11は、本第1の実施形態の固体撮像装置1の変形例のより具体的な構成を示したブロック図である。図11には、図9に示した本第1の実施形態の固体撮像装置1のより具体的な構成例と同様に、4行4列の二次元の行列状に画素が配置された画素アレイが形成された画素信号処理部10を備え、4つの基板で構成された多層基板構造の固体撮像装置1において、第1の読み出し基板21、第2の読み出し基板31、および第3の読み出し基板41の構成の一例を示している。なお、図11においても、説明を容易にするため、図10に示したそれぞれの画素の光電変換部101および電荷転送回路102が形成される光電変換基板の構成を省略している。また、図11においても、それぞれの基板の信号線を電気的に接続する基板間接続部も省略している。
なお、以下の説明においても、図9に示した本第1の実施形態の固体撮像装置1のより具体的な構成例と同様に、それぞれの構成要素が対応する画素を区別するため、必要に応じて、それぞれの構成要素の符号の最後に対応する画素を示す符号を付与して説明する。また、以下の説明においても、図9に示した本第1の実施形態の固体撮像装置1のより具体的な構成例と同様に、それぞれの構成要素が対応する画素または画素組の列を区別するため、必要に応じて、それぞれの構成要素の符号の最後に対応する画素または画素組の列を示す数字を付与して説明する。
図11において、第1の読み出し基板21には、固体撮像装置1の画素信号処理部10に備えた16個の画素のそれぞれを構成する16個の第1の電荷蓄積回路103が形成されている。また、第1の読み出し基板21には、16個の第1の電荷蓄積回路103の列毎、すなわち、固体撮像装置1に備えた16個の画素のそれぞれの列毎に対応する4つの第1の読み出し回路501と、4つの差分回路502と、4つの第1のA/D変換回路503とが形成されている。なお、第1の読み出し基板21の構成は、図9に示した本第1の実施形態の固体撮像装置1のより具体的な構成例と同様であるため、詳細な説明は省略する。
また、図11において、第2の読み出し基板31には、図9に示した本第1の実施形態の固体撮像装置1のより具体的な構成例と同様に、固体撮像装置1の画素信号処理部10に備えた16個の画素において、2行2列毎に1つの組を構成した画素組のそれぞれに対応する4つの第2の電荷蓄積回路104が形成されている。なお、第2の読み出し基板31における第2の電荷蓄積回路104の構成は、図9に示した本第1の実施形態の固体撮像装置1のより具体的な構成例と同様であるため、詳細な説明は省略する。
また、第2の読み出し基板31には、第2の電荷蓄積回路104の列毎、すなわち、固体撮像装置1に備えた16個の画素の内、いずれか4つの画素で構成された画素組のそれぞれの列に対応する2つの第2の読み出し回路511と、2つの第2の差分回路512と、2つの第2のA/D変換回路513とが形成されている。
より具体的には、第2の読み出し基板31には、1列目の第2の電荷蓄積回路104abefおよび第2の電荷蓄積回路104ijmnに対応して、第2の読み出し回路511−1と、第2の差分回路512−1と、第2のA/D変換回路513−1とが形成されている。同様に、第2の読み出し基板31には、2列目の第2の電荷蓄積回路104cdghおよび第2の電荷蓄積回路104klopに対応して、第2の読み出し回路511−2と、第2の差分回路512−2と、第2のA/D変換回路513−2とが形成されている。
また、図11において、第3の読み出し基板41には、固体撮像装置1の画素信号処理部10に備えた4個の画素組を1つの組として構成した画素組、すなわち、固体撮像装置1の画素信号処理部10に備えた16個の画素を1つの組として構成した画素組に対応する1つの第3の電荷蓄積回路204が形成されている。
より具体的には、第3の読み出し基板41には、第2の電荷蓄積回路104abef、第2の電荷蓄積回路104cdgh、第2の電荷蓄積回路104ijmn、および第2の電荷蓄積回路104klopから構成される画素組に対応した第3の電荷蓄積回路204が形成されている。これにより、図11に示した固体撮像装置1の変形例では、画素信号処理部10に備えた画素を1/4に減縮し、さらに1/4に減縮する、すなわち、画素信号処理部10に備えた画素を1/16に減縮することができる。
また、第3の読み出し基板41には、第3の電荷蓄積回路204に対応して、第3の読み出し回路521と第3のA/D変換回路523とが形成されている。より具体的には、第3の読み出し基板41には、第3の電荷蓄積回路204の列毎、すなわち、固体撮像装置1に備えた16個の画素の内、いずれか4つの画素を1つの画素組とし、さらにこの画素組の4つを1つの画素組として構成した画素組の列に対応する1つの第3の読み出し回路521と、1つの第3のA/D変換回路523とが形成されている。
そして、第1の電荷蓄積回路103のそれぞれは、図9に示した本第1の実施形態の固体撮像装置1のより具体的な構成例と同様に、対応する光電変換部101(不図示)のそれぞれが発生した信号電荷に応じた信号電圧(フル解像画像信号S1)を、差分AD変換部50内の対応する第1の読み出し回路501に出力する。また、第2の電荷蓄積回路104のそれぞれは、図9に示した本第1の実施形態の固体撮像装置1のより具体的な構成例と同様に、対応する光電変換部101(不図示)のそれぞれが発生したそれぞれの信号電荷を加算平均して、画素信号処理部10に備えた画素の画素数を1/4に減縮した信号電荷に応じた信号電圧(減縮画像信号S2)を、差分AD変換部50内の対応する第2の読み出し回路511に出力する。また、第3の電荷蓄積回路204は、対応する第2の電荷蓄積回路104abef、第2の電荷蓄積回路104cdgh、第2の電荷蓄積回路104ijmn、および第2の電荷蓄積回路104klopのそれぞれから転送された、対応する光電変換部101a〜光電変換部101p(不図示)のそれぞれが発生したそれぞれの信号電荷を加算平均することによって、画素信号処理部10に備えた画素100a〜画素100pの画素数を1/16に減縮した状態にするための信号電荷を保持(蓄積)する。そして、第3の電荷蓄積回路204は、保持した信号電荷に応じた信号電圧を減縮画像信号S3のそれぞれとして、差分AD変換部50内の対応する第3の読み出し回路521に出力する。
そして、第1の読み出し回路501のそれぞれは、図9に示した本第1の実施形態の固体撮像装置1のより具体的な構成例と同様に、対応する列の第1の電荷蓄積回路103のそれぞれからフル解像画像信号S1を順次読み出して、対応する差分回路502のそれぞれに出力する。また、第2の読み出し回路511のそれぞれは、対応する列の第2の電荷蓄積回路104のそれぞれから減縮画像信号S2を順次読み出して、対応する差分回路502−1〜差分回路502−4と、第2の差分回路512−1および第2の差分回路512−2とのそれぞれに出力する。また、第3の読み出し回路521は、対応する第3の電荷蓄積回路204から減縮画像信号S3を順次読み出して、対応する第2の差分回路512−1および第2の差分回路512−2と、第3のA/D変換回路523とのそれぞれに出力する。なお、第2の読み出し回路511のそれぞれが読み出した減縮画像信号S2は、図9に示した本第1の実施形態の固体撮像装置1のより具体的な構成例と同様に、第2の基板間接続部22と同様の基板間接続部(不図示)を介して、第1の読み出し基板21に形成された対応する差分回路502−1〜差分回路502−4に出力される。また、第3の読み出し回路521が読み出した減縮画像信号S3も、例えば、第3の基板間接続部などの基板間接続部(不図示)を介して、第2の読み出し基板31に形成された対応する第2の差分回路512−1および第2の差分回路512−2に出力される。
なお、第1の読み出し回路501−1〜第1の読み出し回路501−4、第2の読み出し回路511−1、第2の読み出し回路511−2、および第3の読み出し回路521のそれぞれは、その機能として、読み出したフル解像画像信号S1、減縮画像信号S2、および減縮画像信号S3に対してノイズ除去などの処理を行う、例えば、CDS処理の機能を備えている構成であってもよい。
これにより、差分回路502のそれぞれは、図9に示した本第1の実施形態の固体撮像装置1のより具体的な構成例と同様に、対応する第1の読み出し回路501から入力されたそれぞれのフル解像画像信号S1と、対応する第2の読み出し回路511から入力されたそれぞれの減縮画像信号S2との差分を算出したそれぞれの差分画素信号Voutを、対応する第1のA/D変換回路503−のそれぞれに出力する。そして、第1のA/D変換回路503のそれぞれは、図9に示した本第1の実施形態の固体撮像装置1のより具体的な構成例と同様に、対応する差分回路502のそれぞれから入力されたそれぞれの差分画素信号Voutをアナログデジタル変換した、画素信号処理部10に備えた全ての画素のフル解像画像信号S1に対応した画像データをそれぞれ出力する。
また、第2の差分回路512−1および第2の差分回路512−2のそれぞれは、対応する第2の読み出し回路511から入力されたそれぞれの減縮画像信号S2と、対応する第3の読み出し回路521から入力されたそれぞれの減縮画像信号S3との差分を算出したそれぞれの第2の差分画素信号Vout2を、対応する第2のA/D変換回路513−1および第2のA/D変換回路513−2のそれぞれに出力する。より具体的には、第2の差分回路512−1が、対応する第2の読み出し回路511−1から入力された減縮画像信号S2−1と、対応する第3の読み出し回路521から入力された減縮画像信号S3との差分を算出した第2の差分画素信号Vout2を、対応する第2のA/D変換回路513−1に出力する。また、第2の差分回路512−2が、対応する第2の読み出し回路511−2から入力された減縮画像信号S2−2と、対応する第3の読み出し回路521から入力された減縮画像信号S3との差分を算出した第2の差分画素信号Vout2を、対応する第2のA/D変換回路513−2に出力する。そして、第2のA/D変換回路513−1および第2のA/D変換回路513−2のそれぞれは、対応する第2の差分回路512−1および第2の差分回路512−2のそれぞれから入力されたそれぞれの第2の差分画素信号Vout2をアナログデジタル変換した画像データ、すなわち、画素信号処理部10に備えた画素数を1/4に減縮した減縮画像信号S2のダイナミックレンジを狭くした状態の画像データをそれぞれ出力する。
また、第3のA/D変換回路523は、対応する第3の読み出し回路521から入力されたそれぞれの減縮画像信号S3をアナログデジタル変換した画像データ、すなわち、画素信号処理部10に備えた画素数を1/16に減縮した画像データをそれぞれ出力する。
本第1の実施形態によれば、第3の電荷蓄積回路204および第3のA/D変換回路523のそれぞれは、 第3の基板(第3の読み出し基板41)に複数配置され、第2の読み出し基板31と第3の読み出し基板41とを電気的接続する第3の接続部(例えば、第3の基板間接続部)、を備える、固体撮像装置1が構成される。
また、本第1の実施形態によれば、第3の接続部(例えば、第3の基板間接続部)は、第2の読み出し基板31と第3の読み出し基板41との間に配置され、第3の読み出し基板41に配置された第3の電荷蓄積回路204のそれぞれに対応し、第2の読み出し基板31に配置されたそれぞれの第2の電荷蓄積回路(第2の電荷蓄積回路104abおよび第2の電荷蓄積回路104cd)から、第3の読み出し基板41に配置された対応する第3の電荷蓄積回路204に転送されるそれぞれの信号電荷の信号線のそれぞれと、第2の差分回路512のそれぞれが対応する減縮画像信号S2と差分を算出する減縮画像信号S3の信号線のそれぞれとを、第2の読み出し基板31と第3の読み出し基板41との間で電気的に接続する、固体撮像装置1が構成される。
上記に述べたように、本第1の実施形態の固体撮像装置1の変形例の構成では、画素信号処理部10に備えたそれぞれの画素による同じ1回の露光によって得られた信号電荷に基づいた、全ての画素のフル解像画像信号S1と、画素数を減縮した減縮画像信号S2と、画素数をさらに減縮した減縮画像信号S3とのそれぞれを別々に保持する。そして、本第1の実施形態の固体撮像装置1の変形例の構成では、保持したそれぞれの画素信号をアナログデジタル変換して、全ての画素のフル解像画像信号S1に対応した画像データと、画素数を減縮した減縮画像信号S2に対応した画像データと、画素数をさらに減縮した減縮画像信号S3に対応した画像データとのそれぞれを別々に出力する。このとき、本第1の実施形態の固体撮像装置1の変形例の構成では、フル解像画像信号S1と減縮画像信号S2との差分をとった差分画素信号Voutをアナログデジタル変換した画像データを、画素信号処理部10に備えた全ての画素に対応したフル解像画像データとして出力する。また、減縮画像信号S2と減縮画像信号S3との差分をとった第2の差分画素信号Vout2をアナログデジタル変換した画像データを、画素信号処理部10に備えた画素数を1/4に減縮した減縮画像データ(1/4)として出力する。この差分画素信号Voutや第2の差分画素信号Vout2は、フル解像画像信号S1や減縮画像信号S2のダイナミックレンジを狭くした状態の画素信号であるため、第1のA/D変換回路503や第2のA/D変換回路513に備えたカウンタCNTの計数時間を短くし、カウンタCNTのビット数を少なくすることができる。これにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1の変形例の構成では、フル解像画像データおよび減縮画像データ(1/4)を出力する第1のA/D変換回路503および第2のA/D変換回路513の消費電力を低減することができる。
また、本第1の実施形態の固体撮像装置1の変形例の構成では、減縮画像信号S3をそのままアナログデジタル変換した画像データを、画素信号処理部10に備えた画素数を1/16に減縮した減縮画像データ(1/16)として出力する。ここで本第1の実施形態の固体撮像装置1の変形例の構成が出力する減縮画像データ(1/16)は、従来の固体撮像装置に内蔵したA/D変換回路が出力する画像データのビット数と同じであるが、減縮画像信号S3は、画素数をさらに減縮している画素信号であるため、従来の固体撮像装置に内蔵したA/D変換回路が全ての画素の画像データを出力ときよりも消費電力を低減した状態で出力することができる。これにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1の変形例の構成でも、図9に示した本第1の実施形態の固体撮像装置1のより具体的な構成例と同様に、全体として消費電力を低減した状態で、フル解像画像データとそれぞれの減縮画像データとを出力することができ、本第1の実施形態の固体撮像装置1の変形例の構成や、本第1の実施形態の固体撮像装置1の変形例の構成を搭載した撮像システムの低消費電力化を図ることができる。
なお、図10および図11に示した固体撮像装置1の変形例の構成における画素信号処理部10では、第2の電荷蓄積回路104に、対応する画素組を構成するそれぞれの画素に備えた光電変換部101が発生したそれぞれの信号電荷の電荷量を平均化した信号電荷を保持し、第3の電荷蓄積回路204に、それぞれの画素組内の画素に備えた光電変換部101が発生したそれぞれの信号電荷の電荷量をさらに平均化した信号電荷を保持する構成を示した。しかし、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10の構成や画素信号処理部10に備えた画素数を減縮する段数に関しては、図10および図11に示した構成に限定されるものではない。
なお、図11においては、1つの第3の電荷蓄積回路204が、隣接する4つの画素組に対応している構成を示しているが、固体撮像装置1にカラーフィルタが貼付されている場合には、1つの第3の電荷蓄積回路204が対応する画素組は、図6(b)に示したように、同じ色同士で重心がずれないように構成されていることが望ましい。
例えば、図11に示した固体撮像装置1の変形例の画素信号処理部10において、第3の電荷蓄積回路204が対応する画素組を、図6(b)に示したように、画素アレイに備えた画素数を、行方向を1/3に列方向を1/3にそれぞれ減縮した第2の電荷蓄積回路104における画素組と同様に、同じ色同士で重心がずれないように考える。この場合、図11に示した画素信号処理部10の構成の固体撮像装置1では、第2の電荷蓄積回路104が全て画素数を1/9に減縮した信号電荷を、さらに行方向を1/3に列方向を1/3にそれぞれ減縮した、つまり、画素アレイに備えた全て画素数を1/81に減縮した減縮画像信号S3を第3の電荷蓄積回路204が出力することになる。
なお、カラーフィルタを貼付した本第1の実施形態の固体撮像装置1においては、モノリシックの構造よりも、多層基板構造の方が有利であると考えられる。これは、本第1の実施形態の固体撮像装置1の画素信号処理部10において画素数を減縮する段数が増えるに従って、減縮した信号電荷を保持するための第2の電荷蓄積回路104や第3の電荷蓄積回路204、さらに次の段の減縮した信号電荷を保持する電荷蓄積回路などが必要とする固体撮像装置1内の領域が増加すると考えられるからである。ただし、例えば、第1の電荷蓄積回路103が形成される第1の読み出し基板21と、第2の電荷蓄積回路104が形成される第2の読み出し基板31とをモノリシックの構造にするなど、必要に応じてモノリシックの構造と多層基板構造とを合わせた構造にすることは可能である。
本第1の実施形態によれば、光電変換部101aおよび光電変換部101bが複数配置された光電変換基板(光電変換基板11)と、第1の電荷蓄積回路103a、第1の電荷蓄積回路103b、および第2の電荷蓄積回路104が複数配置された第1の基板(第1の読み出し基板21)と、光電変換基板11と第1の読み出し基板21とを電気的接続する第1の接続部(第1の基板間接続部12aまたは第1の基板間接続部12b)と、によって構成され、差分回路502、第1のA/D変換回路503、および第2のA/D変換回路513のそれぞれは、第1の読み出し基板21に配置される、固体撮像装置1が構成される。
また、本第1の実施形態によれば、第1の基板間接続部12aまたは第1の基板間接続部12bは、光電変換基板11と第1の読み出し基板21との間に配置され、第1の読み出し基板21に配置された第1の電荷蓄積回路103a、第1の電荷蓄積回路103b、および第2の電荷蓄積回路104の少なくとも一方のそれぞれに対応し、光電変換基板11に配置されたそれぞれの光電変換部(光電変換部101aおよび光電変換部101b)から、第1の読み出し基板21に配置された対応する第1の電荷蓄積回路103a、第1の電荷蓄積回路103b、および第2の電荷蓄積回路104の少なくとも一方に転送されるそれぞれの信号電荷の信号線のそれぞれを、光電変換基板11と第1の読み出し基板21との間で電気的に接続する、固体撮像装置1が構成される。
また、本第1の実施形態によれば、第3の電荷蓄積回路204および第3のA/D変換回路523のそれぞれは、第1の読み出し基板21にさらに複数配置される、固体撮像装置1が構成される。
上記に述べたように、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、画素信号処理部10に備えたそれぞれの画素による同じ1回の露光によって得られた信号電荷に基づいた、全ての画素の画素信号と、画素数を減縮した画素信号とのそれぞれを別々に出力する。そして、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、差分AD変換部50において、それぞれの画素信号に対して画素信号処理部10に備えた画素数を1段減縮した画素信号を用いてダイナミックレンジを狭くした後にアナログデジタル変換を行う。これにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、アナログデジタル変換において対応する画素数が多いA/D変換回路(第1のA/D変換回路503、変形例においては第1のA/D変換回路503と第2のA/D変換回路513)に備えたカウンタCNTの計数時間を短くすることができ、カウンタCNTのビット数を少なくしてA/D変換回路の消費電力を低減することができる。なお、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、差分AD変換部50において、画素信号処理部10に備えた画素数を最も減縮した画素信号はそのままアナログデジタル変換を行うが、この最も減縮した画素信号は、アナログデジタル変換において対応する画素数が最も少ない画素信号であるため、A/D変換回路の消費電力が多大になってしまうことはない。これにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1では、全体として消費電力を低減した状態で、全ての画素の画素信号をアナログデジタル変換した画像データ(フル解像画像データ)と画素数を減縮した画素信号をアナログデジタル変換した画像データ(減縮画像データ)とを出力することができる。このことにより、本第1の実施形態の固体撮像装置1や、本第1の実施形態の固体撮像装置1を搭載した撮像システムの低消費電力化を図ることができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本第2の実施形態の固体撮像装置(以下、「固体撮像装置2」という)に備えた画素信号処理部は、本第1の実施形態の固体撮像装置1に備えた画素信号処理部10と同様である。従って、本第2の実施形態の固体撮像装置2の説明においては、固体撮像装置2に画素信号処理部10を備えるものとして詳細な説明は省略し、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部の構成について説明する。ただし、以下の説明においては、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部にそれぞれの画素信号を出力する画素信号処理部10が、カラーフィルタが貼付された、図10に示した画素信号処理部10の構成であるものとして説明する。そして、画素信号処理部10は、画素アレイに備えた全て画素数のフル解像画像信号S1と、画素数を1/9に減縮した減縮画像信号S2と、画素数を1/81に減縮した減縮画像信号S3とのそれぞれを別々に出力する画素信号処理部10であるものとして説明する。
なお、差分AD変換部に備えたそれぞれの読み出し回路が、固体撮像装置2に備えた画素信号処理部10からそれぞれの画素信号を読み出すクロックの周波数が同じ周波数であるとすると、画素数を1/9に減縮した減縮画像信号S2の読み出しは、フル解像画像信号S1の読み出しに要する時間の1/9の時間で完了し、画素数を1/81に減縮した減縮画像信号S3の読み出しは、フル解像画像信号S1の読み出しに要する時間の1/81の時間で完了する。なお、減縮画像信号S3の読み出しは、減縮画像信号S2の読み出しに要する時間の1/9の時間で完了する。従って、減縮画像信号S2のアナログデジタル変換は、フル解像画像信号S1のアナログデジタル変換よりも9倍早く完了することができ、減縮画像信号S3のアナログデジタル変換は、フル解像画像信号S1のアナログデジタル変換よりも81倍早く完了することができる。
本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部では、減縮画像信号S3のアナログデジタル変換を、減縮画像信号S2やフル解像画像信号S1のアナログデジタル変換よりも早く完了することができるということを利用して、減縮画像信号S2およびフル解像画像信号S1の、例えば、ダイナミックレンジの確認など、減縮画像信号S2およびフル解像画像信号S1をアナログデジタル変換する際に必要な情報を早く取得することができる。本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部は、減縮画像信号S3を画素信号処理部10から先に読み出し、読み出した減縮画像信号S3に基づいて、減縮画像信号S2およびフル解像画像信号S1に対応する差分画素信号をアナログデジタル変換する際の最大のビット数を決定する構成例の差分AD変換部である。
図12は、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備えた差分AD変換部の概略構成を示したブロック図である。図12に示した固体撮像装置2の差分AD変換部60は、第1の読み出し回路501と、差分回路502と、第1のA/D変換回路603と、第2の読み出し回路511と、第2の差分回路512と、第2のA/D変換回路613と、第3の読み出し回路521と、第3のA/D変換回路523と、ダイナミックレンジ算出回路621と、ビット数決定回路625とから構成される。
本第2の実施形態の固体撮像装置2では、差分AD変換部60に備えたダイナミックレンジ算出回路621とビット数決定回路625との構成によって、第1のA/D変換回路603と第2のA/D変換回路613とにおけるアナログデジタル変換を制御するアナログデジタル変換モード制御部が構成される。
なお、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部60の構成要素において、第1の実施形態の固体撮像装置1に備えた差分AD変換部50の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。
ダイナミックレンジ算出回路621は、第3の読み出し回路521が、固体撮像装置2に備えた画素信号処理部10から読み出した減縮画像信号S3に基づいて、同じ露光によって得られるフル解像画像信号S1および減縮画像信号S2のダイナミックレンジを算出する。つまり、ダイナミックレンジ算出回路621は、対応する1つの画素組に含まれるそれぞれの画素のダイナミックレンジを算出する。そして、ダイナミックレンジ算出回路621は、算出したダイナミックレンジの情報を、ビット数決定回路625に出力する。
なお、ダイナミックレンジ算出回路621は、第3の読み出し回路521が読み出した1列分の減縮画像信号S3に基づいて、同じ露光によって得られる対応するフル解像画像信号S1および減縮画像信号S2のダイナミックレンジを算出する構成にすることもできる。この場合、ダイナミックレンジ算出回路621には、1列分の減縮画像信号S3を保持することができるメモリなどの記憶回路を備える構成であってもよい。
ビット数決定回路625は、ダイナミックレンジ算出回路621から入力されたダイナミックレンジの情報に基づいて、同じ露光によって得られたフル解像画像信号S1に対応する差分画素信号Vout(アナログ信号)、および減縮画像信号S2に対応する第2の差分画素信号Vout2(アナログ信号)をアナログデジタル変換する際の最大のビット数を決定する。そして、ビット数決定回路625は、決定したビット数で差分画素信号Voutをアナログデジタル変換するためのビット数制御信号を第1のA/D変換回路603に、決定したビット数で第2の差分画素信号Vout2をアナログデジタル変換するためのビット数制御信号を第2のA/D変換回路613に、それぞれ出力する。
ここで、ビット数決定回路625がダイナミックレンジの情報に基づいてアナログデジタル変換する際の最大のビット数を決定方法について説明する。図13は、本第2の実施形態の固体撮像装置2の差分AD変換部60に備えたビット数決定回路625におけるビット数の決定方法を説明する図である。フル解像画像信号S1および減縮画像信号S2のダイナミックレンジは、減縮画像信号S3のダイナミックレンジが低いほど低いと予測することができ、減縮画像信号S3のダイナミックレンジが高いほど高いと予測することができる。このため、ビット数決定回路625は、図13に示したように、減縮画像信号S3のダイナミックレンジが低いほどアナログデジタル変換後のビット数を少なくし、減縮画像信号S3のダイナミックレンジが高いほどアナログデジタル変換後のビット数を多くするように、フル解像画像信号S1および減縮画像信号S2に対応する差分画素信号(アナログ信号)をアナログデジタル変換する際の最大のビット数を決定する。例えば、減縮画像信号S3のダイナミックレンジが高い場合には、フル解像画像信号S1に対応する差分画素信号Voutをアナログデジタル変換する際の最大のビット数を12ビットと決定(図8(c)参照)し、減縮画像信号S3のダイナミックレンジが低い場合には、フル解像画像信号S1に対応する差分画素信号Voutをアナログデジタル変換する際の最大のビット数を10ビットと決定(図8(b)参照)する。
第1のA/D変換回路603は、差分回路502から入力されたそれぞれの差分画素信号Vout(アナログ信号)を、ビット数決定回路625から入力されたフル解像画像信号S1に対応する差分画素信号Voutをアナログデジタル変換する際のビット数制御信号に応じたビット数の画像データ(デジタル値)にアナログデジタル変換したフル解像画像データを出力する。
第2のA/D変換回路613は、第2の差分回路512から入力されたそれぞれの第2の差分画素信号Vout2(アナログ信号)を、ビット数決定回路625から入力された減縮画像信号S2に対応する第2の差分画素信号Vout2をアナログデジタル変換する際のビット数制御信号に応じたビット数の画像データ(デジタル値)にアナログデジタル変換した減縮画像データ(1/9)を出力する。
第3のA/D変換回路523は、第3の読み出し回路521から入力されたそれぞれの減縮画像信号S3(アナログ信号)をそのままアナログデジタル変換した減縮画像データ(1/81)を出力する。
本第2の実施形態によれば、差分アナログデジタル変換部(差分AD変換部60)は、第1のアナログデジタル変換部(第1のA/D変換回路603)のそれぞれに対応し、ここで対応する第1のA/D変換回路603が差分画素信号Voutをアナログデジタル変換する際のビット数を制御するアナログデジタル変換モード制御部(アナログデジタル変換モード制御部)、をさらに備える、固体撮像装置(固体撮像装置2)が構成される。
また、本第2の実施形態によれば、アナログデジタル変換モード制御部は、対応する第1のA/D変換回路603がアナログデジタル変換する差分画素信号Voutに対応する減縮画像信号S2を先に読み出し、ここで読み出した減縮画像信号S2に応じた信号のダイナミックレンジに基づいて、ビット数を制御する、固体撮像装置2が構成される。
また、本第2の実施形態によれば、アナログデジタル変換モード制御部は、対応する第1のA/D変換回路603がアナログデジタル変換する差分画素信号Voutに対応する減縮画像信号S2のダイナミックレンジに基づいて、ビット数を制御する、固体撮像装置2が構成される。
また、本第2の実施形態によれば、アナログデジタル変換モード制御部は、さらに、第2のアナログデジタル変換部(第2のA/D変換回路613)のそれぞれに対応し、ここで対応する第2のA/D変換回路613が第2の差分画素信号Vout2をアナログデジタル変換する際のビット数を制御する、固体撮像装置2が構成される。
また、本第2の実施形態によれば、アナログデジタル変換モード制御部は、減縮画像信号S2の代わりに、減縮画像信号S3を先に読み出し、ここで読み出した減縮画像信号S3に応じた信号のダイナミックレンジに基づいて、対応する第1のA/D変換回路603が差分画素信号Voutをアナログデジタル変換する際のビット数と、対応する第2のA/D変換回路613が第2の差分画素信号Vout2をアナログデジタル変換する際のビット数とを制御する、固体撮像装置2が構成される。
また、本第2の実施形態によれば、アナログデジタル変換モード制御部は、対応する第1のA/D変換回路603がアナログデジタル変換する差分画素信号Voutと、対応する第2のA/D変換回路613がアナログデジタル変換する第2の差分画素信号Vout2とに対応する減縮画像信号S3のダイナミックレンジに基づいて、ビット数を制御する、固体撮像装置2が構成される。
このように、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部60では、減縮画像信号S3を先に読み出すことによって、アナログデジタル変換モード制御部が、同じ露光の減縮画像信号S2やフル解像画像信号S1に対応する差分画素信号をアナログデジタル変換する前にダイナミックレンジを算出し、第2のA/D変換回路613や第1のA/D変換回路603が対応する画素信号をアナログデジタル変換する際の最大のビット数を、ダイナミックレンジに合わせて適応的に制御する。これにより、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部60では、第2のA/D変換回路613や第1のA/D変換回路603に備えたカウンタCNTがクロック信号CLKを計数する際の消費電力を低減することができる。このことにより、本第2の実施形態の固体撮像装置2や、本第2の実施形態の固体撮像装置2を搭載した撮像システムの低消費電力化を図ることができる。
なお、減縮画像信号S3のダイナミックレンジが低い場合に、ビット数決定回路625が決定するアナログデジタル変換する際の最大のビット数は、第1のA/D変換回路603および第2のA/D変換回路613のそれぞれに予め定められたデジタル値のビット数よりも少ないビット数であってもよい。これにより、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部60では、第1の実施形態の固体撮像装置1に備えた差分AD変換部50よりも、第1のA/D変換回路603および第2のA/D変換回路613のそれぞれの消費電力を、さらに低減することができる。
なお、図12に示した本第2の実施形態の固体撮像装置2の差分AD変換部60では、減縮画像信号S3(アナログ信号)のダイナミックレンジに基づいて、同じ露光の減縮画像信号S2やフル解像画像信号S1に対応する差分画素信号をアナログデジタル変換する際の最大のビット数を決定するアナログデジタル変換モード制御部の構成について説明したが、アナログデジタル変換モード制御部の構成は、図12に示した構成に限定されるものではない。
<アナログデジタル変換モード制御部の第1の変形例>
ここで、本第2の実施形態の固体撮像装置2内の差分AD変換部に備えるアナログデジタル変換モード制御部の別の構成について説明する。図14は、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備えた差分AD変換部の別の概略構成を示したブロック図である。図14に示した固体撮像装置2の差分AD変換部61は、第1の読み出し回路501と、差分回路502と、第1のA/D変換回路603と、第2の読み出し回路511と、第2の差分回路512と、第2のA/D変換回路613と、第3の読み出し回路521と、第3のA/D変換回路523と、ダイナミックレンジ算出回路622と、ビット数決定回路626とから構成される。
本第2の実施形態の固体撮像装置2に備えた差分AD変換部の別の構成では、差分AD変換部61に備えたダイナミックレンジ算出回路622とビット数決定回路626との構成によって、第1のA/D変換回路603と第2のA/D変換回路613とにおけるアナログデジタル変換を制御するアナログデジタル変換モード制御部が構成される。
なお、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部61の構成要素において、図12に示した本第2の実施形態の固体撮像装置2に備えた差分AD変換部60の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。
ダイナミックレンジ算出回路622は、第3のA/D変換回路523がアナログデジタル変換した減縮画像信号S3に応じた減縮画像データ(1/81)に基づいて、同じ露光によって得られるフル解像画像信号S1および減縮画像信号S2のダイナミックレンジを算出する。つまり、ダイナミックレンジ算出回路622は、減縮画像信号S3の大きさを表すデジタル値に基づいて、対応する1つまたは1列分の画素組に含まれるそれぞれの画素のダイナミックレンジを算出する。そして、ダイナミックレンジ算出回路622は、算出したダイナミックレンジの情報を、ビット数決定回路626に出力する。
ビット数決定回路626は、ダイナミックレンジ算出回路622から入力されたダイナミックレンジの情報に基づいて、同じ露光によって得られたフル解像画像信号S1に対応する差分画素信号Vout(アナログ信号)、および減縮画像信号S2に対応する第2の差分画素信号Vout2(アナログ信号)をアナログデジタル変換する際の最大のビット数を決定する。そして、ビット数決定回路626は、決定したビット数で差分画素信号Voutをアナログデジタル変換するためのビット数制御信号を第1のA/D変換回路603に、決定したビット数で第2の差分画素信号Vout2をアナログデジタル変換するためのビット数制御信号を第2のA/D変換回路613に、それぞれ出力する。なお、ビット数決定回路626がダイナミックレンジの情報に基づいてアナログデジタル変換する際の最大のビット数を決定方法は、ビット数決定回路625がダイナミックレンジの情報に基づいてアナログデジタル変換する際の最大のビット数を決定方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。
第1のA/D変換回路603は、差分回路502から入力されたそれぞれの差分画素信号Vout(アナログ信号)を、ビット数決定回路626から入力されたフル解像画像信号S1に対応する差分画素信号Voutをアナログデジタル変換する際のビット数制御信号に応じたビット数の画像データ(デジタル値)にアナログデジタル変換したフル解像画像データを出力する。
第2のA/D変換回路613は、第2の差分回路512から入力されたそれぞれの第2の差分画素信号Vout2(アナログ信号)を、ビット数決定回路626から入力された減縮画像信号S2に対応する第2の差分画素信号Vout2をアナログデジタル変換する際のビット数制御信号に応じたビット数の画像データ(デジタル値)にアナログデジタル変換した減縮画像データ(1/9)を出力する。
本第1の変形例によれば、アナログデジタル変換モード制御部は、対応する第1のA/D変換回路603がアナログデジタル変換する差分画素信号Voutに対応する減縮画像信号S2を、対応する第2のA/D変換回路613がアナログデジタル変換したデジタル値(例えば、減縮画像データ(1/9))に基づいて算出した、この減縮画像信号S2のダイナミックレンジに基づいて、ビット数を制御する、固体撮像装置2が構成される。
また、本第1の変形例によれば、アナログデジタル変換モード制御部は、対応する第1のA/D変換回路603がアナログデジタル変換する差分画素信号Voutと、対応する第2のA/D変換回路613がアナログデジタル変換する第2の差分画素信号Vout2とに対応する減縮画像信号S3を、対応する第3のアナログデジタル変換部(第3のA/D変換回路523)がアナログデジタル変換したデジタル値(減縮画像データ(1/81))に基づいて算出した、この減縮画像信号S3のダイナミックレンジに基づいて、ビット数を制御する、固体撮像装置2が構成される。
このように、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部61でも、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部60と同様に、減縮画像信号S3を先に読み出すことによって、アナログデジタル変換モード制御部が、同じ露光の減縮画像信号S2やフル解像画像信号S1に対応する差分画素信号をアナログデジタル変換する際の最大のビット数を、ダイナミックレンジに合わせて適応的に制御することができる。これにより、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部61でも、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部60と同様の効果を得ることができる。
<アナログデジタル変換モード制御部の第2の変形例>
また、本第2の実施形態の固体撮像装置2内の差分AD変換部に備えるアナログデジタル変換モード制御部のさらに別の構成について説明する。図15は、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備えた差分AD変換部のさらに別の概略構成を示したブロック図である。図15に示した固体撮像装置2の差分AD変換部62は、第1の読み出し回路501と、差分回路502と、第1のA/D変換回路603と、ダイナミックレンジ算出回路601と、ビット数決定回路605と、第2の読み出し回路511と、第2の差分回路512と、第2のA/D変換回路613と、ダイナミックレンジ算出回路611と、ビット数決定回路615と、第3の読み出し回路521と、第3のA/D変換回路523とから構成される。
本第2の実施形態の固体撮像装置2に備えた差分AD変換部のさらに別の構成では、差分AD変換部62に備えたダイナミックレンジ算出回路601およびビット数決定回路605と、ダイナミックレンジ算出回路611およびビット数決定回路615との構成によって、第1のA/D変換回路603と第2のA/D変換回路613とにおけるアナログデジタル変換を制御するアナログデジタル変換モード制御部が構成される。
なお、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部62の構成要素において、図12に示した本第2の実施形態の固体撮像装置2に備えた差分AD変換部60の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。
ダイナミックレンジ算出回路601は、差分回路502がフル解像画像信号S1と減縮画像信号S2との差分を算出した差分画素信号Voutのダイナミックレンジを算出する。つまり、ダイナミックレンジ算出回路601は、アナログデジタル変換する差分画素信号Vout自身に含まれるそれぞれの画素または1列分の画素のダイナミックレンジを算出する。そして、ダイナミックレンジ算出回路601は、算出したダイナミックレンジの情報を、ビット数決定回路605に出力する。
ビット数決定回路605は、ダイナミックレンジ算出回路601から入力されたダイナミックレンジの情報に基づいて、差分画素信号Vout(アナログ信号)自身をアナログデジタル変換する際の最大のビット数を決定し、決定したビット数で差分画素信号Vout自身をアナログデジタル変換するためのビット数制御信号を第1のA/D変換回路603に出力する。
第1のA/D変換回路603は、差分回路502から入力されたそれぞれの差分画素信号Vout(アナログ信号)を、ビット数決定回路605から入力された差分画素信号Voutをアナログデジタル変換する際のビット数制御信号に応じたビット数の画像データ(デジタル値)にアナログデジタル変換したフル解像画像データを出力する。
ダイナミックレンジ算出回路611は、第2の差分回路512が減縮画像信号S2と減縮画像信号S3との差分を算出した第2の差分画素信号Vout2のダイナミックレンジを算出する。つまり、ダイナミックレンジ算出回路611は、アナログデジタル変換する第2の差分画素信号Vout2自身に含まれるそれぞれの画素組または1列分の画素組内のそれぞれの画素のダイナミックレンジを算出する。そして、ダイナミックレンジ算出回路611は、算出したダイナミックレンジの情報を、ビット数決定回路615に出力する。
ビット数決定回路615は、ダイナミックレンジ算出回路611から入力されたダイナミックレンジの情報に基づいて、第2の差分画素信号Vout2(アナログ信号)自身をアナログデジタル変換する際の最大のビット数を決定し、決定したビット数で第2の差分画素信号Vout2自身をアナログデジタル変換するためのビット数制御信号を第2のA/D変換回路613に出力する。
第2のA/D変換回路613は、第2の差分回路512から入力されたそれぞれの第2の差分画素信号Vout2(アナログ信号)を、ビット数決定回路615から入力された第2の差分画素信号Vout2をアナログデジタル変換する際のビット数制御信号に応じたビット数の画像データ(デジタル値)にアナログデジタル変換した減縮画像データ(1/9)を出力する。
本第2の変形例によれば、アナログデジタル変換モード制御部は、対応する第1のA/D変換回路603がアナログデジタル変換する差分画素信号Voutのダイナミックレンジに基づいて、ビット数を制御する、固体撮像装置2が構成される。
また、本第2の変形例によれば、アナログデジタル変換モード制御部は、対応する第1のA/D変換回路603がアナログデジタル変換する差分画素信号Voutのダイナミックレンジに基づいて、この第1のA/D変換回路603がこの差分画素信号Voutをアナログデジタル変換する際のビット数を制御し、対応する第2のA/D変換回路613がアナログデジタル変換する第2の差分画素信号Vout2のダイナミックレンジに基づいて、この第2のA/D変換回路613がこの第2の差分画素信号Vout2をアナログデジタル変換する際のビット数を制御する、固体撮像装置2が構成される。
このように、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部62では、第1のA/D変換回路603および第2のA/D変換回路613のそれぞれが、対応する差分画素信号をアナログデジタル変換する前に、アナログデジタル変換モード制御部が、差分画素信号自身のダイナミックレンジを算出することによって、アナログデジタル変換する際の最大のビット数を、ダイナミックレンジに合わせて適応的に制御することができる。これにより、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部62でも、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部60と同様の効果を得ることができる。
<アナログデジタル変換モード制御部の第3の変形例>
なお、図12〜図15に示した本第2の実施形態の固体撮像装置2内の差分AD変換部(差分AD変換部60、差分AD変換部61、および差分AD変換部62)に備えたアナログデジタル変換モード制御部の構成を考慮して、本第2の実施形態の固体撮像装置2内の差分AD変換部に備えるアナログデジタル変換モード制御部を別の構成にすることもできる。ここで、本第2の実施形態の固体撮像装置2内の差分AD変換部に備えるアナログデジタル変換モード制御部のさらに別の構成について説明する。
図16は、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備えた差分AD変換部のさらに別の概略構成を示したブロック図である。図16に示した差分AD変換部内のアナログデジタル変換モード制御部の構成は、図12に示した本第2の実施形態の固体撮像装置2内の差分AD変換部60に備えたアナログデジタル変換モード制御部と、図15に示した本第2の実施形態の固体撮像装置2内の差分AD変換部62に備えたアナログデジタル変換モード制御部との構成を考慮した構成である。図16に示した固体撮像装置2の差分AD変換部63は、第1の読み出し回路501と、差分回路502と、第1のA/D変換回路603と、第2の読み出し回路511と、第2の差分回路512と、第2のA/D変換回路613と、ダイナミックレンジ算出回路611と、ビット数決定回路615と、第3の読み出し回路521と、第3のA/D変換回路523とから構成される。
本第2の実施形態の固体撮像装置2に備えた差分AD変換部のさらに別の構成では、差分AD変換部63に備えたダイナミックレンジ算出回路611とビット数決定回路615との構成によって、第1のA/D変換回路603と第2のA/D変換回路613とにおけるアナログデジタル変換を制御するアナログデジタル変換モード制御部が構成される。
なお、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部62の構成要素において、図12に示した本第2の実施形態の固体撮像装置2に備えた差分AD変換部60の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。
ビット数決定回路615は、ダイナミックレンジ算出回路611から入力されたダイナミックレンジの情報に基づいて、第2の差分画素信号Vout2(アナログ信号)自身をアナログデジタル変換する際の最大のビット数、および同じ露光によって得られたフル解像画像信号S1に対応する差分画素信号Vout(アナログ信号)をアナログデジタル変換する際の最大のビット数を決定する。そして、決定したビット数で第2の差分画素信号Vout2自身をアナログデジタル変換するためのビット数制御信号を第2のA/D変換回路613に、決定したビット数で差分画素信号Voutをアナログデジタル変換するためのビット数制御信号を第1のA/D変換回路603に、それぞれ出力する。
第1のA/D変換回路603は、差分回路502から入力されたそれぞれの差分画素信号Vout(アナログ信号)を、ビット数決定回路615から入力された差分画素信号Voutをアナログデジタル変換する際のビット数制御信号に応じたビット数の画像データ(デジタル値)にアナログデジタル変換したフル解像画像データを出力する。
本第3の変形例によれば、アナログデジタル変換モード制御部は、対応する第2のA/D変換回路613がアナログデジタル変換する第2の差分画素信号Vout2のダイナミックレンジに基づいて、ビット数を制御する、固体撮像装置2が構成される。
このように、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部63でも、第1のA/D変換回路603が、対応する差分画素信号Voutをアナログデジタル変換する前に、アナログデジタル変換モード制御部が、第2の差分画素信号Vout2自身のダイナミックレンジを算出することによって、それぞれの差分画素信号をアナログデジタル変換する際の最大のビット数を、ダイナミックレンジに合わせて適応的に制御することができる。これにより、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部63でも、本第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部60と同様の効果を得ることができる。
上記に述べたように、本第2の実施形態の固体撮像装置2では、第1の実施形態の固体撮像装置1と同様に、画素信号処理部10に備えたそれぞれの画素による同じ1回の露光によって得られた信号電荷に基づいた、全ての画素の画素信号と、画素数を減縮した画素信号とのそれぞれを別々に出力する。そして、本第2の実施形態の固体撮像装置2では、第1の実施形態の固体撮像装置1と同様に、差分AD変換部60(差分AD変換部61、差分AD変換部62、または差分AD変換部63であってもよい)において、それぞれの画素信号に対して画素信号処理部10に備えた画素数を1段減縮した画素信号を用いてダイナミックレンジを狭くした後にアナログデジタル変換を行う。また、本第2の実施形態の固体撮像装置2では、それぞれの画素信号をアナログデジタル変換する前にダイナミックレンジを算出し、アナログデジタル変換する際の最大のビット数を、ダイナミックレンジに合わせて適応的に制御する。これにより、本第2の実施形態の固体撮像装置2では、差分AD変換部60内のA/D変換回路(第1のA/D変換回路603、第2のA/D変換回路613)に備えたカウンタCNTがクロック信号CLKを計数する時間を短くして消費電力を低減することができる。このことにより、本第2の実施形態の固体撮像装置2や、本第2の実施形態の固体撮像装置2を搭載した撮像システムの低消費電力化を図ることができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本第3の実施形態の固体撮像装置(以下、「固体撮像装置3」という)に備えた画素信号処理部も、本第1の実施形態の固体撮像装置1に備えた画素信号処理部10と同様である。従って、本第3の実施形態の固体撮像装置3の説明においても、固体撮像装置3に画素信号処理部10を備えるものとして詳細な説明は省略し、本第3の実施形態の固体撮像装置3に備える差分AD変換部の構成について説明する。ただし、以下の説明においても、本第3の実施形態の固体撮像装置3に備える差分AD変換部にそれぞれの画素信号を出力する画素信号処理部10が、カラーフィルタが貼付された、図10に示した画素信号処理部10の構成であり、画素アレイに備えた全て画素数のフル解像画像信号S1と、画素数を1/9に減縮した減縮画像信号S2と、画素数を1/81に減縮した減縮画像信号S3とのそれぞれを別々に出力する画素信号処理部10であるものとして説明する。
本第3の実施形態の固体撮像装置3に備える差分AD変換部は、差分AD変換部の外部のアナログデジタル変換ビット数制御部によって指定された、減縮画像信号S2およびフル解像画像信号S1に対応する差分画素信号をアナログデジタル変換する際の最大のビット数に応じたビット数のフル解像画像データと、減縮画像データ(1/9)と出力する構成例の差分AD変換部である。
図17は、本第3の実施形態の固体撮像装置3に備えた差分AD変換部の概略構成を示したブロック図である。図17に示した固体撮像装置3の差分AD変換部70は、第1の読み出し回路501と、差分回路502と、第1のA/D変換回路603と、第2の読み出し回路511と、第2の差分回路512と、第2のA/D変換回路613と、第3の読み出し回路521と、第3のA/D変換回路523とから構成される。なお、図17には、減縮画像信号S2およびフル解像画像信号S1に対応する差分画素信号をアナログデジタル変換する際の最大のビット数を指定するアナログデジタル変換ビット数制御部として、例えば、CPU(Central Processing Unit)などによって実現することができるビット数指定部701も併せて示している。
なお、本第3の実施形態の固体撮像装置3に備える差分AD変換部70の構成要素において、第1の実施形態の固体撮像装置1に備えた差分AD変換部50および第2の実施形態の固体撮像装置2に備えた差分AD変換部60の構成要素と同様の構成要素には同一の符号を付与し、それぞれの構成要素に関する詳細な説明は省略する。
ビット数指定部701は、同じ露光によって得られたフル解像画像信号S1に対応する差分画素信号Vout(アナログ信号)、および減縮画像信号S2に対応する第2の差分画素信号Vout2(アナログ信号)をアナログデジタル変換する際の最大のビット数を、差分AD変換部70内の第1のA/D変換回路603と第2のA/D変換回路613とに、それぞれ指定する。
なお、ビット数指定部701がそれぞれの画素信号をアナログデジタル変換する際の最大のビット数を決定して指定する方法については、特に規定しない。例えば、本第3の実施形態の固体撮像装置3を搭載した撮像システムにおいて、ビット数指定部701や後段の処理部が、固体撮像装置3から先に読み出した減縮画像データ(1/81)のダイナミックレンジに基づいて決定した最大のビット数を、差分AD変換部70内の第1のA/D変換回路603と第2のA/D変換回路613とのそれぞれに設定して指定する方法であってもよい。また、決定した最大のビット数を表すビット数制御信号を出力して指定する方法であってもよい。また、例えば、本第3の実施形態の固体撮像装置3を搭載した撮像システムにおける撮影の状態から予測されるダイナミックレンジに基づいて決定した最大のビット数を指定する方法であってもよい。つまり、撮像システムの使用者によって決定された撮影モードや、撮像システムによって適切に被写体の撮影を行うための確認画像(いわゆる、ライブビュー画像(スルー画像))に基づいて撮像システムの制御部によって自動的に設定される撮影モードなどによって変わると考えられる、撮影する画像のダイナミックレンジに応じて、最大のビット数を指定する方法であってもよい。
第1のA/D変換回路603は、差分回路502から入力されたそれぞれの差分画素信号Vout(アナログ信号)を、ビット数指定部701から指定されたフル解像画像信号S1に対応する差分画素信号Voutをアナログデジタル変換する際のビット数制御信号に応じたビット数の画像データ(デジタル値)にアナログデジタル変換したフル解像画像データを出力する。
第2のA/D変換回路613は、第2の差分回路512から入力されたそれぞれの第2の差分画素信号Vout2(アナログ信号)を、ビット数指定部701から指定された減縮画像信号S2に対応する第2の差分画素信号Vout2をアナログデジタル変換する際のビット数制御信号に応じたビット数の画像データ(デジタル値)にアナログデジタル変換した減縮画像データ(1/9)を出力する。
本第3の実施形態によれば、固体撮像装置(固体撮像装置3)、を備える、撮像システムが構成される。
また、本第3の実施形態によれば、少なくとも第1のA/D変換回路603が対応する差分画素信号Voutをアナログデジタル変換する際のビット数を指定するアナログデジタル変換ビット数制御部(例えば、ビット数指定部701)、をさらに備える、撮像システムが構成される。
また、本第3の実施形態によれば、第1のA/D変換回路603のそれぞれは、指定されたビット数で、対応する差分画素信号Voutをアナログデジタル変換する、固体撮像装置(固体撮像装置3)が構成される。
また、本第3の実施形態によれば、第2のA/D変換回路613のそれぞれは、指定されたビット数で、対応する第2の差分画素信号Vout2をアナログデジタル変換する、固体撮像装置3が構成される。
このように、本第3の実施形態の固体撮像装置3に備える差分AD変換部70では、第2のA/D変換回路613や第1のA/D変換回路603が対応する画素信号をアナログデジタル変換する際の最大のビット数を、本第3の実施形態の固体撮像装置3を搭載した撮像システムにおける撮影の状態などに応じた外部からに指定に合わせて適応的に制御する。つまり、本第3の実施形態の固体撮像装置3を搭載した撮像システムにおいて撮影する画像全体の状態に応じて適応的に制御する。これにより、本第3の実施形態の固体撮像装置3に備える差分AD変換部70でも、第1の実施形態の固体撮像装置1に備える差分AD変換部50や、第2の実施形態の固体撮像装置2に備える差分AD変換部60などと同様に、第2のA/D変換回路613や第1のA/D変換回路603に備えたカウンタCNTがクロック信号CLKを計数する際の消費電力を低減することができる。このことにより、本第3の実施形態の固体撮像装置3や、本第3の実施形態の固体撮像装置3を搭載した撮像システムの低消費電力化を図ることができる。
上記に述べたように、本発明を実施するための形態によれば、固体撮像装置の画素信号処理部に、それぞれの画素内の光電変換部が発生したそれぞれの信号電荷をそれぞれ保持(蓄積)する第1の電荷蓄積回路と、予め定めた画素内の光電変換部が同じ露光によって発生した信号電荷を減縮するために保持(蓄積)する第2の電荷蓄積回路とを備える。これにより、本発明を実施するための形態では、固体撮像装置の画素信号処理部から、同じ露光によって得られた、画素信号処理部に備えた全ての画素の信号電荷に応じた画素信号と、画素信号処理部に備えた画素数を減縮した画素信号とのそれぞれを、別々に独立して出力することができる。
そして、本発明を実施するための形態によれば、固体撮像装置の差分AD変換部に、画素信号処理部から出力された画素数の多い画素信号と画素数の少ない(減縮した)画素信号との差分をとる差分回路と、差分回路から出力された差分画素信号をアナログデジタル変換するA/D変換回路を備える。これにより、本発明を実施するための形態では、固体撮像装置の差分AD変換部に備えたA/D変換回路が、固体撮像装置の画素信号処理部から出力された画素数の多い画素信号のダイナミックレンジを狭くした差分画素信号をアナログデジタル変換することができ、A/D変換回路の消費電力や、出力する画像データのビット数を少なくすることができる。このことにより、本発明を実施するための形態の固体撮像装置や、本発明を実施するための形態の固体撮像装置を搭載した撮像システムの低消費電力化を図ることができる。
また、本発明を実施するための形態では、固体撮像装置の画素信号処理部から出力されたそれぞれの画素信号に対応する画像データ(フル解像画像データや減縮画像データ)のそれぞれを別々に出力する。これにより、本発明を実施するための形態の固体撮像装置を搭載した撮像システムでは、本発明を実施するための形態の固体撮像装置から出力されたそれぞれの画像データを処理することによって、ダイナミックレンジを狭くした差分画素信号に応じた画像データを、元の画素信号、すなわち、ダイナミックレンジを狭くする前の画素信号をアナログデジタル変換した画像データに復元することができる。このことにより、本発明を実施するための形態の固体撮像装置を搭載した撮像システムでは、画質が低下することのない、良好な画像を生成することができる。
なお、従来の固体撮像装置においても、A/D変換回路の消費電力を低減するために、例えば、動画像を撮影する場合に、静止画像を撮影する場合に比べて出力する画像データのビット数を少なくして出力することも行われている。しかし、従来の固体撮像装置において画像データのビット数を少なくして出力した場合には、その画像データを、ビット数を削減する前の状態に復元することができない。これに対して、本発明を実施するための形態の固体撮像装置では、上述したように、差分画素信号に応じた画像データを出力するA/D変換回路に対してのみ、ダイナミックレンジを狭くしたり、ビット数を少なくしたりしている。このため、本発明を実施するための形態の固体撮像装置では、出力されたそれぞれの画像データを処理することによって、ダイナミックレンジを狭くする前やビット数を削減する前の状態に、画像データを復元することができ、消費電力の観点に加えて、生成することのできる画像の画質の観点から見ても有利である。
また、本発明を実施するための形態では、固体撮像装置の差分AD変換部に備えたA/D変換回路が、固体撮像装置の画素信号処理部から出力された画素数の多い画素信号に対応した差分画素信号をアナログデジタル変換する際に、画素数の少ない画素信号のダイナミックレンジに合わせて出力する画像データのビット数を、適応的に制御する。これにより、本発明を実施するための形態の固体撮像装置では、固体撮像装置の差分AD変換部に備えたA/D変換回路が、差分画素信号をアナログデジタル変換する際の消費電力や、出力する画像データのビット数をさらに少なくすることもできる。
なお、本発明における具体的な構成は、本発明を実施するための形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更をすることができる。例えば、本発明を実施するための形態においては、画素信号処理部10の構成として、第1および第2の構成例を示し、それぞれの画素信号処理部10の構成例における駆動方法の一例を示したが、画素信号処理部10の構成および駆動方法の具体的な構成は、本発明を実施するための形態に限定されるものではなく、画素信号処理部10に備える画素の構成要素や駆動方法が変わった場合でも、変更された画素の構成要素や駆動方法に応じて、本発明の考え方を適用することができる。また、例えば、本発明を実施するための形態においては、A/D変換回路としてスロープ積分型のA/D変換回路を備えた場合について説明したが、本発明を実施するための形態の固体撮像装置に内蔵されるA/D変換回路の形式は、本発明を実施するための形態に限定されるものではなく、他の形式のA/D変換回路を内蔵した場合でも同様に、本発明の考え方を適用することによって、同様の効果を得ることができる。例えば、複数の遅延素子が円環状に接続されているパルス遅延型のA/D変換回路や、容量を用いて逐次比較を行う逐次比較型のA/D変換回路や、オペアンプを用いて信号のループ回数を計数するループサイクリック型のA/D変換回路など、様々な他の形式のA/D変換回路においても出力するデジタル値のビット数を削減することができるため、同様の効果を得ることができる。
また、画素信号処理部10に備える画素数や画素数を減縮する数は、本発明を実施するための形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において画素信号処理部10に備える画素数や画素数を減縮する数を変更することができる。
また、本発明を実施するための形態においては、ベイヤー配列のカラーフィルタが貼付された場合の一例を示したが、固体撮像装置に貼付されるカラーフィルタの色配列は、本発明を実施するための形態に限定されるものではなく、貼付されるカラーフィルタの色配列が変わった場合でも、変更された色配列に応じて、本発明の考え方を適用することができる。
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。