JP2015155103A - 抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶接電流の影響を受けることなく、溶接電極に対して加わる荷重を高い精度で検出しうる抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法を提供する。
【解決手段】溶接対象物を挟むように配置される下部溶接電極14及び上部溶接電極16と、上部溶接電極16に取り付けられ、上部溶接電極16の歪みを非電気的に検出する歪みゲージ18と、歪みゲージ18からの信号を基に、溶接対象物の溶接中における上部溶接電極16に対する荷重を検出する制御部24とを有している。
【選択図】図1
【解決手段】溶接対象物を挟むように配置される下部溶接電極14及び上部溶接電極16と、上部溶接電極16に取り付けられ、上部溶接電極16の歪みを非電気的に検出する歪みゲージ18と、歪みゲージ18からの信号を基に、溶接対象物の溶接中における上部溶接電極16に対する荷重を検出する制御部24とを有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法に関する。
抵抗溶接は、加圧しつつ接触させた溶接対象物間に溶接電流を流すことにより発生するジュール熱を利用して溶接対象物を接合するものである。抵抗溶接における加圧に際して溶接対象物に加えられる荷重ないし加圧力は、溶接の品質を左右する要因の一つとなっている。そこで、抵抗溶接における荷重を計測することを可能にした抵抗溶接装置や、荷重検出のためのセンサが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
特許文献1には、押圧機構における加圧力伝達シャフトの上方に設けられたロードセルにより溶接対象物に対する加圧力を測定し、加圧力を管理して溶接を施す抵抗溶接装置が記載されている。特許文献1には、ロードセルにより測定される加圧力を一定に保持して溶接を施すことが記載されている。
また、特許文献2には、上部溶接電極と下部溶接電極との間に挿入して両電極間の通電時の加圧力を測定することを可能にした通電加圧センサが記載されている。この通電加圧センサでは、溶接電極から加圧力を受けるコの字状又はU状の導電性ブロックの最も電流が流れやすいルートから外れた傍らの位置に歪みゲージが貼り付けられている。特許文献2には、このような歪みゲージの配置により、通電時の加圧力の測定において電流による影響が低減されることが記載されている。
特許文献2記載の通電加圧センサは、上部溶接電極と下部溶接電極とを受ける導電性ブロック等を必要するため、構造が複雑なものとなっている。また、複数方向の歪みを検出するために複数の歪みゲージが設けられているが、これら歪みゲージは、抵抗値の変化により歪みを検出するものとなっている。このような歪みゲージによる歪みの測定は、少なからず溶接電流により発生する電磁界の影響を受けるため、高い精度での測定は困難であると考えられる。さらに、特許文献2記載の通電加圧センサは、上部溶接電極と下部溶接電極との間に挟まれるため、これら溶接電極の可動範囲が制約され、その結果、実際の溶接対象物の溶接時に用いることは困難であると考えられる。
本発明の目的は、溶接電流の影響を受けることなく、溶接電極に対して加わる荷重を高い精度で検出しうる抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法を提供することにある。
本発明の一観点によれば、溶接対象物を挟むように配置される第1及び第2の溶接電極と、前記第1の溶接電極に取り付けられ、前記第1の溶接電極の歪みを非電気的に検出する歪みゲージと、前記歪みゲージからの信号を基に、前記溶接対象物の溶接中における前記第1の溶接電極に対する荷重を検出する制御部と、を備える抵抗溶接装置が提供される。
また、本発明の他の観点によれば、第1の溶接電極と第2の溶接電極との間に溶接対象物を挟むように配置して、前記溶接対象物の溶接を行う抵抗溶接方法であって、前記溶接対象物の溶接中に、前記第1の溶接電極に取り付けられた歪みゲージにより前記第1の溶接電極の歪みを非電気的に検出する工程と、前記歪みゲージからの信号を基に、前記溶接対象物の溶接中における前記第1の溶接電極に対する荷重を検出する工程とを有する抵抗溶接方法が提供される。
本発明によれは、溶接電流の影響を受けることなく、溶接電極に対して加わる荷重を高い精度で検出することができる。
本発明の実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法を説明する前に、抵抗溶接の過程について説明する。
まず、上部溶接電極が溶接対象物に対して均一に当たり、荷重が適切に加わった抵抗溶接の正常過程について図10乃至図12を用いて説明する。図10は、抵抗溶接の正常過程を示す側面図である。図11は、抵抗溶接時に上部溶接電極と下部溶接電極との間に流される電流と溶接開始からの時間との関係を模式的に示すグラフである。図12は、抵抗溶接の正常過程において上部溶接電極に加わる荷重の横方向成分を模式的に示すグラフである。
まず、図10に示すように、下部溶接電極100とその上方に配置された上部溶接電極102との間に、溶接対象物であるリード線104、106を重ねて配置する。下部溶接電極100側のリード線104には、上側に湾曲した凸状部104aが存在している。この凸状部104と、リード線106とが接触する部分が溶接されることになる。こうしてリード線104、106が下部溶接電極100と上部溶接電極102との間に配置された状態で、上部溶接電極102により所定の荷重で下方に加圧する。これにより、リード線104、106が電極100、102間に挟まれる。このとき、上部溶接電極102には、図10に示される矢印の方向に荷重が加わる。なお、図10において、紙面上下方向をz方向、紙面横方向をx方向とし、これらz方向及びx方向と直交する紙面垂直方向をy方向とする。
次いで、下部溶接電極100と上部溶接電極102との間に電圧を印加して溶接電流を流す。溶接電流は、例えば、図11に示すように、通電開始から立ち上がり期間を経て一定の電流値で流され、その後立ち下がり期間を経て通電が終了される。通電開始から通電終了までの溶接時間は、例えば20ミリ秒である。溶接電流が流れると、上部溶接電極102とリード線106との間、リード線106とリード線104との間、及びリード線104と下部溶接電極100との間で接触抵抗によりジュール熱が発生する。また、リード線104の凸状部104aとリード線106との接触部が最も通電経路(面積)が小さいため、他の接触部より高温となる。この結果、一般的に、リード線104の凸状部104aとリード線106との接触部にナゲットが形成され、この接触部で接合される。
さらに、溶接電流の通電を継続することで、リード線104の凸状部104aとリード線106との溶接が進行する。
次いで、溶接電流の通電を終了して、リード線104の凸状部104aとリード線106との溶接を完了する。
図12は、図10に示す抵抗溶接の正常過程において上部溶接電極に加わる荷重の横方向成分を模式的に示すグラフである。グラフの横軸は、溶接開始からの時間を示している。グラフの縦軸は、上部溶接電極に加わる荷重の横方向成分(x方向成分)を示し、正側は図10中の右向きの荷重成分を示し、負側は図10中の左向きの荷重成分を示している。
図12に示すように、正常過程の場合、上部溶接電極に加わる荷重の横方向成分(x方向成分)は、横軸付近でわずかに正負に揺らぐにすぎず、荷重の横方向成分が大きくなることはない。つまり、このような抵抗溶接の正常過程においては、上部溶接電極102には、図10に示される矢印の方向の荷重が加わり続ける。なお、ここでは、簡単のため荷重のx方向成分のみについて考えたが、荷重のy方向成分もx方向成分と同様の挙動を示す。
一方、溶接電極が傾斜していたり、溶接対象物が傾斜していたりすると、上部溶接電極が溶接対象物に対して片当たりの状態で接触することがある。このような場合、溶接に際して、上部溶接電極に対して上下方向と交差する傾斜方向に荷重が加わり、荷重の横方向成分が大きくなることがある。
以下、上部溶接電極に対して傾斜方向に荷重が加わる抵抗溶接の異常過程について図13乃至図15を用いて説明する。図13及び図14は、抵抗溶接の異常過程を示す側面図である。図15は、抵抗溶接の異常過程における荷重の横方向成分を模式的に示すグラフである。なお、図13及び図14の各図には、上部溶接電極に加わる荷重を矢印で示している。また、図13及び図14の各図では、紙面上下方向をz方向、紙面横方向をx方向とし、これらz方向及びx方向と直交する紙面垂直方向をy方向とする。
図13(a)に示すように、下部溶接電極100と上部溶接電極102との間にリード線104、106を配置した際に、例えばリード線106が傾斜することがある。このような場合、上部溶接電極102とリード線106とが片当たりの状態で部分的に接触し、その結果、上部溶接電極102に対して、上部溶接電極102の加圧方向である上下方向と交差する傾斜方向に荷重が加わり、荷重の横方向成分が大きくなることがある。なお、このような場合、荷重のx方向成分及びy方向成分が発生しうるが、ここでは簡単のため、荷重のx方向成分のみについて考える。
上記図13(a)に示す状態で溶接電流の通電を開始すると、上部溶接電極102とリード線106とが接触する部分でジュール熱が発生する。この結果、図13(b)に示すように、この部分で局所的にリード線106上部が溶融し始め、溶融部106bが生じる。部分的に溶融部106bが生じると、上部溶接電極102が本来の位置に復帰する方向に動き、荷重の横方向成分が緩和されていく。
さらに、溶接電流の通電を継続すると、図14(a)に示すように、溶融部106bの溶融が偏って進行する。
このような状態でさらに溶接電流の通電を継続すると、リード線106が部分的に偏って過剰に加熱されることになる。このような異常発熱の結果、十分な接合強度が得られない等の溶接不良が発生するおそれがある。さらには、図14(b)に示すように、リード線106の材料が気化して気化材料106cが飛散する爆飛につながるおそれがある。
図15は、上記図13及び図14に示す抵抗溶接の異常過程において上部溶接電極に加わる荷重の横方向成分を模式的に示すグラフである。グラフの横軸は、溶接開始からの時間を示している。グラフの縦軸は、荷重の横方向成分(x方向成分)を示し、正側は図13及び図14中の右向きの荷重成分を示し、負側は図13及び図14中の左向きの荷重成分を示している。
図15に示すように、異常過程の場合、例えば、上部溶接電極に対して右向きに大きな荷重成分が加わる。その後、溶接の進行とともに右向きの荷重成分は減少していくが、偏った溶融により、左向きの荷重成分が発生することになる。このように荷重の横方向成分が生じていると、上記のように溶接不良が発生し、さらには溶接対象物材料の爆飛につながるおそれがある。
しかしながら、例えば特許文献1記載の従来の抵抗溶接装置では、上部溶接電極と下部溶接電極とが配置された上下方向という一方向の荷重を測定し、この荷重が所定の値となるように制御する。このため、上述のように、溶接電極や溶接対象物の傾斜、位置ずれ等に起因して上下方向以外の傾斜方向に荷重が発生しても、このような荷重を検出することができない。
本発明の抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法は、溶接電流の影響を受けることなく、溶接電極に対して加わる荷重を高い精度で検出することを可能とするものである。さらに、本発明の抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法は、溶接電極の加圧方向と交差する傾斜方向に溶接電極に加わる荷重を検出することをも可能とするものである。以下、本発明の実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法について詳述する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法について図1乃至図5を用いて説明する。図1は、本実施形態による抵抗溶接装置の全体構成を示す概略図である。図2は、本実施形態による抵抗溶接装置における上部溶接電極を示す概略図である。図3は、実施形態による抵抗溶接方法を示すフローチャートである。図4及び図5は、本実施形態による抵抗溶接方法を示す側面図である。
本発明の第1実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法について図1乃至図5を用いて説明する。図1は、本実施形態による抵抗溶接装置の全体構成を示す概略図である。図2は、本実施形態による抵抗溶接装置における上部溶接電極を示す概略図である。図3は、実施形態による抵抗溶接方法を示すフローチャートである。図4及び図5は、本実施形態による抵抗溶接方法を示す側面図である。
まず、本実施形態による抵抗溶接装置の構成について図1及び図2を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態による抵抗溶接装置10は、電極保持体12と、電極保持体12に保持された下部溶接電極14及び上部溶接電極16と、上部溶接電極16に取り付けられた複数の歪みゲージ18と、複数の歪みゲージ18により検出される歪みを計測する計測部22と、抵抗溶接装置10全体の動作を制御する制御部24と、溶接電流を流すための電源部26とを備えている。
電極保持体12の下部には、電極保持具28を介して、棒状の下部溶接電極14が長手方向を上下にして保持されている。また、電極保持体12の上部には、電極保持具30を介して、棒状の上部溶接電極16が長手方向を上下にして保持されている。下部溶接電極14の上端面と上部溶接電極16の下端面とは、互いに対向するように配置されている。上部溶接電極16を保持する電極保持具30には、上部溶接電極16を下降させて、下部溶接電極14と上部溶接電極16との間に挟持される溶接対象物を加圧する加圧機構(図示せず)が設けられている。
また、下部溶接電極14と上部溶接電極16とには、それぞれ電源ケーブル25a、25bを介して電源部26が接続されている。電源部26は、溶接時において、上部溶接電極16と下部溶接電極14との間に溶接電流を流すため、これら電極14、16間に電圧を印加するものである。電源部26は、制御部24に制御可能に接続されている。制御部24は、電源部26による電圧の印加を開始又は停止したり、電源部26による電圧を制御することで溶接電流の大きさを制御したりすることが可能になっている。
下部溶接電極14及び上部溶接電極16の形状は、特に限定されるものではない。下部溶接電極14及び上部溶接電極16として、例えば横断面形状が四角形状の角棒型のものを用いることができる。また、下部溶接電極14及び上部溶接電極16として、例えば横断面形状が円形状の丸棒型のものを用いることができる。また、下部溶接電極14及び上部溶接電極16の材料も特に限定されるものではないが、例えば、タングステンや、アルミナ分散銅、クロム銅等の銅系合金を用いることができる。また、下部溶接電極14及び上部溶接電極16の径も特に限定されるものではないが、丸棒型の場合、直径は例えば3〜15mmである。
図2には、角棒型の上部溶接電極16を示している。図2(a)は上部溶接電極16を示す側面図、図2(b)は図2(a)のA−A線に沿った断面図である。なお、図2では、上部溶接電極16の長手方向をz方向とし、一方の幅方向をx方向、一方の幅方向と直交する他方の幅方向をy方向とする。
上部溶接電極16の下部には、4つの歪みゲージ18(18a、18b、18c、18d)が取り付けられている。なお、以下の説明では、各歪みゲージ18に個別に言及する場合に、符号18a、18b、18c、18dを適宜用いる。具体的には、上部溶接電極16の下部における4側面の中央部に、それぞれ歪みゲージ18a、18b、18c、18dが取り付けられている。上部溶接電極16への歪みゲージ18a、18b、18c、18dの取り付け方法は特に限定されるものではないが、例えば、接着剤等により歪みゲージ18が側面に取り付けられている。図2(b)には、接着剤19により歪みゲージ18a、18b、18c、18dが上部溶接電極16の側面に固定された状態を示している。
4つの歪みゲージ18a、18b、18c、18dは、2つ1組で対を構成している。上部溶接電極16のx方向に対向する2側面には、対の歪みゲージ18a、18cが、上部溶接電極16を挟んで対向するようにそれぞれ取り付けられている。また、上部溶接電極16のy方向に対向する2側面には、対の歪みゲージ18b、18dが、上部溶接電極16を挟んで対向するようにそれぞれ取り付けられている。
各歪みゲージ18は、上部溶接電極16の各歪みゲージ18が取り付けられた部分の長手方向における歪みを非電気的に検出するものである。このような歪みゲージ18を用いて非電気的に上部溶接電極16の歪みを検出することにより、溶接電流等による電磁界の影響を受けることなく、上部溶接電極16の歪みを高い精度で検出することが可能となる。これにより、後述する上部溶接電極16に加わる荷重も高い精度で検出することができる。
歪みゲージ18としては、具体的には、光ファイバセンサの一つであるFBG(Fiber Bragg Grating)センサが用いられている。FBGセンサの計測系には、例えば、FBGセンサのブラッグ波長を含む広帯域光源と、広帯域光源とFBGセンサとの間に配置される光サーキュレータと、光計測器とが用いられる。広帯域光源からの光は、光サーキュレータを介してFBGセンサに入射される。FBGセンサからの反射光は、光サーキュレータを介して光計測器に導入され、光計測器にてブラッグ波長の変化が読み取られる。歪みは、ブラッグ波長の変化に基づき求められる。このように、FBGセンサは、ブラッグ波長の変化に基づき光学的に歪みを検出するため、溶接電流等による電磁界の影響を受けることなく歪みを高い精度で検出することができる。
なお、各歪みゲージ18は、その下端が、上部溶接電極16の下端よりも例えば5〜10mm程度上側に位置するように上部溶接電極16に取り付けられている。これにより、歪みゲージ18が溶接時の熱の影響を受けないようになっている。
FBGセンサよりなる歪みゲージ18には、導光用光ファイバ32を介して、計測部22が接続されている。計測部22は、導光用光ファイバ32を介して、上述のように、各歪みゲージ18におけるブラッグ波長の変化を読み取る。計測部22は、ブラッグ波長の変化の読み取り結果に基づき、各歪みゲージ18で検出された歪みを計測する。なお、図1では、FBGセンサよりなる歪みゲージ18に光を入射するためのFBGセンサのブラッグ波長を含む広帯域光源は省略している。また、計測部22は、各歪みゲージ18により検出された歪みに相当する歪み信号を生成し、生成した歪み信号を制御部24に送信する。
計測部22には、制御部24が接続されている。制御部24は、種々の演算、制御、判別等の処理を実行するCPU(図示せず)を有している。また、制御部24は、CPUによって実行される様々な制御プログラム、CPUが参照するデータベース等を格納するROM(図示せず)を有している。また、制御部24は、CPUが処理中のデータや入力データ等を一時的に格納するRAM(図示せず)を有している。
制御部24は、計測部22から送信される、各歪みゲージ18により検出された歪みに相当する歪み信号に基づき、溶接時に上部溶接電極16に対して加わる荷重を検出する。
溶接時において、上部溶接電極16に対して上下方向のみの荷重が加わった場合、各歪みゲージ18では、平均して互いに均等な歪みが検出される。制御部24のROMには、各歪みゲージ18による歪み信号の平均値と上下方向の荷重の大きさとの関係を示す検量線等のデータベースが記憶されている。制御装置24は、このデータベースを参照し、各歪みゲージ18による歪み信号の平均値に基づき、上部溶接電極16に対して上下方向に加わる荷重の大きさを求めることができる。
一方、溶接時において、上部溶接電極16に対して上下方向と交差する傾斜方向に荷重が加わった場合、各歪みゲージ18では、互いに不均一な歪みが検出される。制御部24のROMには、各歪みゲージ18による歪み信号間の差、比等と、傾斜方向の荷重の具体的方向及び大きさとの関係を示す検量線等のデータベースが記憶されている。制御部24は、このデータベースを参照し、各歪みゲージ18による歪み信号に基づき、溶接時に上部溶接電極16に加わる傾斜方向の荷重の具体的方向及び大きさを求めることができる。
制御部24は、上記のようにして求められた傾斜方向の荷重の大きさに基づき、抵抗溶接装置10の動作を制御することができる。例えば、制御部24は、傾斜方向の荷重の横方向成分の大きさをさらに求め、求められた荷重の横方向成分の大きさに基づき、抵抗溶接装置10の動作を制御することができる。
より具体的には、制御部24のROMには、対向配置された対の歪みゲージ18、18ごとに、対の歪みゲージ18、18による歪み信号間の差、比等と、荷重の具体的方向及び大きさとの関係を示す検量線等のデータベースが記憶されている。制御部24は、このようなデータベースを参照し、対の歪みゲージ18、18による歪み信号に基づき、溶接時に上部溶接電極16に加わる傾斜方向の荷重の具体的方向及び大きさを求めることができる。なお、この場合、対の歪みゲージ18、18の対向方向において上部溶接電極16を曲げるように作用する成分を有する傾斜方向の荷重を求めることができる。
例えば、図2において、x方向に対向配置された対の歪みゲージ18a、18cによる歪み信号に基づき、x方向において上部溶接電極16を曲げるように作用する成分を有する傾斜方向の荷重を求めることができる。また、y方向に対向配置された対の歪みゲージ18b、18dによる歪み信号に基づき、y方向において上部溶接電極16を曲げるように作用する成分を有する傾斜方向の荷重を求めることができる。このようにx方向及びy方向について荷重を求めた結果に基づき、溶接時に上部溶接電極16に加わる傾斜方向の荷重の具体的方向及び大きさを求めることができる。さらに、荷重のx方向成分、y方向成分の大きさを求めることができ、x方向成分とy方向成分とを合成した横方向成分の大きさを求めることができる。
なお、少なくとも1組の対の歪みゲージ18、18を用いれば、対の歪みゲージ18、18の対向方向において上部溶接電極16を曲げるように作用する成分を有する傾斜方向の荷重を求めることができる。
次に、本実施形態による抵抗溶接方法について図3乃至5を用いて説明する。
まず、下部溶接電極14と上部溶接電極16との間に、溶接対象物として、例えば、リード線104、106を重ねて配置する(ステップS10)。リード線104、106については、上記抵抗溶接の過程の説明において述べたとおりである。また、溶接対象物はリード線に限定されるものではなく、種々の金属材を溶接対象物とすることができる。
続いて、加圧機構により上部溶接電極16を下降させて、上下方向において所定の荷重でリード線104、106を加圧する(ステップS11)。こうして、下部溶接電極14と上部溶接電極16との間に、リード線104、106を挟み込む。このとき、例えばリード線106の傾斜等が生じていると、図4(a)に示すように、上部溶接電極16がリード線106に片当たりの状態で部分的に接触する。なお、図4及び図5の各図には、上部溶接電極16に対して加わる荷重を矢印で示している。図4及び図5の各図では、紙面上下方向をz方向、紙面横方向をx方向とし、これらz方向及びx方向と直交する紙面垂直方向をy方向とする。上記図2に示すように、x方向には1組の対の歪みゲージ18a、18cが対向配置され、y方向にはもう1組の対の歪みゲージ18b、18dが対向配置されている。
次いで、加圧機構による上下方向の荷重を一定としつつ、制御部24により電源部26を制御して、電源部26により上部溶接電極16と下部溶接電極14との間に電圧を印加する。こうして、上部溶接電極16と下部溶接電極14との間に溶接電流を流し、溶接電流の通電を開始する(ステップS12)。電源部26により印加する電圧は、例えば1〜2Vである。また、溶接電流は、例えば1k〜10kAであり、具体的には例えば5kAである。また、電流を流す溶接時間は、例えば10〜100ミリ秒であり、具体的には例えば20ミリ秒である。
上部溶接電極16と下部溶接電極14との間に溶接電流の通電が開始されて溶接電流が流れると、上部溶接電極16とリード線106との間、リード線106とリード線104との間、及びリード線104と下部溶接電極14との間で接触抵抗によりジュール熱が発生する。また、リード線104の凸状部104aとリード線106との接触部が最も通電経路(面積)が小さいため、他の接触部より高温となる。この結果、一般的に、リード線104の凸状部104aとリード線106との接触部にナゲットが形成され、この接触部で接合される。このとき、上部溶接電極16がリード線106に片当たりの状態で部分的に接触していると、上部溶接電極16とリード線106とが接触する部分でジュール熱が発生する。この結果、図4(b)に示すように、この部分で局所的にリード線106上部が溶融し始め、溶融部106bが生じる。
上記のようにして溶接電流が通電されて溶接が進行する間、計測部22は、各歪みゲージ18により検出される上部溶接電極16の歪みを計測する(ステップS13)。また、計測部22は、各歪みゲージ18により検出された歪みに相当する歪み信号を制御部24に送信する。
歪み信号の送信を受けた制御部24は、各歪みゲージ18による歪み信号間の差、比等と、荷重の具体的方向及び大きさとの関係を示す検量線等のデータベースを参照する。参照したデータベースに基づき、制御部24は、計測部22から送信される各歪み信号から、上部溶接電極16に加わる上下方向又は傾斜方向の荷重の具体的方向及び大きさを求める(ステップS14)。さらに、制御部24は、荷重の横方向成分の大きさを求める。例えば、制御部24は、上記のように、x方向に対向配置された対の歪みゲージ18a、18cによる歪み信号、及びy方向に対向配置された対の歪みゲージ18b、18dによる歪み信号に基づき、荷重の具体的方向及び大きさ、並びに荷重の横方向成分の大きさを求めることができる。
次いで、制御部24は、求められた荷重の横方向成分の大きさについて、所定の閾値を超えたか否かを判定する(ステップS15)。荷重の横方向成分の大きさがこの閾値を超えると、溶接不良が発生し、さらには溶接対象物材料が爆飛するおそれがある。この閾値は、予め試験等により求められており、制御部24のROMに格納されている。
なお、加圧機構による上下方向の荷重のみならず、上部溶接電極16に加わる傾斜方向の荷重を検出することにより、次のような情報を推定することもできる。まず、溶接電流により発生するジュール熱で軟化、溶融した溶接対象物の状態を推定することができる。また、溶接対象物の軟化、溶融に起因する溶接電極の溶接対象物との位置関係の変化を推定することもできる。さらに、溶接電極の溶接対象物との位置関係の変化に伴い、溶接電極と溶接対象物との接触状態が変化することに起因するジュール熱の発生場所の変化を推定することができる。
制御部24は、上部溶接電極16に加わる荷重の横方向成分の大きさが所定の閾値を超えていないと判定すると(ステップS15のNO)、そのまま溶接を継続する。
一方、制御部24は、上部溶接電極16に加わる荷重の横方向成分の大きさが所定の閾値を超えたと判定すると(ステップS15のYES)、電源部26により上部溶接電極16と下部溶接電極14との間に印加する電圧を低減する。これにより溶接電流を低減して(ステップS16)、溶接を継続する。溶接電流が低減されると、ジュール熱による発熱が低減される。この結果、図5(a)に示すように、上部溶接電極16とリード線106とが接触する部分の異常発熱による軟化や溶融を抑え、上部溶接電極16に対して加わる荷重の横方向成分が低減される。なお、溶接電流が低減されると、溶接の完了に要する時間は長くなるため、溶接完了までの溶接時間が延長される。
このように、本実施形態では、上部溶接電極16に対する荷重の横方向成分の大きさが所定の閾値を超えた場合に、溶接電流を低減する制御を行う。これにより、溶接電極や溶接対象物の傾斜による片当たり等を起因とする異常発熱を回避し、溶接不良の発生を低減し、さらには、溶接対象物材料が爆飛するのを回避することができる。
溶接を継続する間、制御部24は、溶接が完了したか否かを判定する(ステップS17)。溶接が完了したか否かは、設定された溶接時間が経過したか否か、上部溶接電極16の下方への変位量が設定値を超えたか否か等により判定することができる。制御部24は、溶接が完了していないと判定すると(ステップS17のNO)、ステップS13に戻り、溶接を継続する。
一方、制御部24は、溶接が完了したと判定すると(ステップS17のYES)、電源部26による電圧の印加を停止して溶接電流の通電を終了する(ステップS18)。こうして、図5(b)に示すように、リード線104、106の溶接を完了する。
このように、本実施形態によれば、FBGセンサよりなる複数の歪みゲージにより非電気的に検出される歪みに基づき、上部溶接電極に対して加わる傾斜方向の荷重を検出する。したがって、本実施形態によれば、溶接電流の影響を受けることなく、上部溶接電極の加圧方向と交差する傾斜方向に上部溶接電極に加わる荷重を高い精度で検出することができる。これにより、溶接電極や溶接対象物の傾斜等による溶接電極と溶接対象物との片当たりに起因する異常発熱を回避し、溶接不良の発生を低減することができる。さらには、溶接対象物材料が爆飛するのを回避することができる。
(変形例1)
上記において、制御部24は、上部溶接電極16に対して加わる荷重の横方向成分の大きさが所定の閾値を超えたと判定すると、電源部26により印加する電圧を低減し、溶接電流を低減する制御を行っていた。このような溶接電流を低減する制御に代えて、溶接を中止する制御を行ってもよい。
上記において、制御部24は、上部溶接電極16に対して加わる荷重の横方向成分の大きさが所定の閾値を超えたと判定すると、電源部26により印加する電圧を低減し、溶接電流を低減する制御を行っていた。このような溶接電流を低減する制御に代えて、溶接を中止する制御を行ってもよい。
溶接を中止する制御を行う場合、制御部24は、上記と同様に、上部溶接電極16に対して加わる荷重の横方向成分の大きさが所定の閾値を超えたか否かを判定する。制御部24は、所定の閾値を超えたと判定すると、電源部26による電圧の印加を停止する。こうして、溶接電流の通電を停止して溶接を中止する。
このように、溶接を中止する制御を行うことにより、溶接不良の発生を確実に低減し、溶接対象物材料の爆飛を確実に回避することができる。特に、溶接対象物が傾斜して下部溶接電極と上部溶接電極との間に配置された場合には、溶接開始直後に荷重の横方向成分が大きくなることがある。このような場合には、溶接を中止する制御を行うことができる。
(変形例2)
また、溶接電流を低減する制御に代えて又は溶接電流を低減する制御とともに、溶接対象物を加圧する上下方向の荷重を増加する制御を行うこともできる。
また、溶接電流を低減する制御に代えて又は溶接電流を低減する制御とともに、溶接対象物を加圧する上下方向の荷重を増加する制御を行うこともできる。
上下方向の荷重を増加する制御を行う場合、制御部24は、上記と同様に、上部溶接電極16に対して加わる荷重の横方向成分の大きさが所定の閾値を超えたか否かを判定する。制御部24は、所定の閾値を超えたと判定すると、加圧機構を制御する。すなわち、制御部は、加圧機構により上部溶接電極16を下降させて、下部溶接電極14と上部溶接電極16との間に挟持される溶接対象物を加圧する上下方向の荷重を増加する。このように上下方向の荷重を増加することにより、溶接対象物に対する溶接電極の片当たりを是正することができる。この結果、溶接対象物の異常発熱を回避して、溶接不良の発生を低減し、さらには、溶接対象物材料の爆飛を回避することができる。
(変形例3)
また、溶接電流を低減する制御に代えて又は溶接電流を低減する制御とともに、上部溶接電極16の横方向における位置を変更する制御を行うこともできる。
また、溶接電流を低減する制御に代えて又は溶接電流を低減する制御とともに、上部溶接電極16の横方向における位置を変更する制御を行うこともできる。
位置関係を変更する制御を行う場合、上部溶接電極16には、上部溶接電極16の横方向における位置を変更する移動機構が設けられる。制御部24は、上記と同様に、上部溶接電極16に対して加わる荷重の横方向成分の大きさが所定の閾値を超えたか否かを判定する。制御部24は、所定の閾値を超えたと判定すると、移動機構を制御する。すなわち、制御部24は、移動機構により上部溶接電極16を横方向に移動させて、上部溶接電極16の横方向の位置を変更する。このように上部溶接電極16の横方向の位置を変更することによっても、溶接対象物に対する溶接電極の片当たりを是正することができる。この結果、溶接対象物の異常発熱を回避して、溶接不良の発生を低減し、さらには、溶接対象物材料の爆飛を回避することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法について図6及び図7を用いて説明する。なお、上記第1実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法と同様の構成要素については説明を省略し又は簡潔にする。図6は、本実施形態による抵抗溶接装置における上部溶接電極を示す側面図である。図7は、本実施形態による抵抗溶接装置における上部溶接電極のジョイント部材を含む構造の一例を示す概略図である。
本発明の第2実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法について図6及び図7を用いて説明する。なお、上記第1実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法と同様の構成要素については説明を省略し又は簡潔にする。図6は、本実施形態による抵抗溶接装置における上部溶接電極を示す側面図である。図7は、本実施形態による抵抗溶接装置における上部溶接電極のジョイント部材を含む構造の一例を示す概略図である。
本実施形態による抵抗溶接装置の基本的構成は、上記第1実施形態による抵抗溶接装置の基本的構成とほぼ同様である。本実施形態による抵抗溶接装置では、上記第1実施形態における上部溶接電極16に代えて、先端部34bが交換可能な上部溶接電極34が用いられている。
図6に示すように、上部溶接電極34は、本体部34aと、本体部34aの下端にジョイント部材36を介して着脱可能に取り付けられた先端部34bとを有している。本体部34a及び先端部34bの形状及び材質は、上記第1実施形態における上部溶接電極16と同様である。
上部溶接電極34の本体部34aには、上記第1実施形態と同様に、FBGセンサよりなる歪みゲージ18(18a、18b、18c、18d)が取り付けられている。
図7には、上部溶接電極34のジョイント部材36を含む構造の一例を示している。図7(a)は、ジョイント部材36を含む構造の側面図である。図7(b)は、図7(a)のB−B線断面図である。図7(c)は、図7(a)のC−C線断面図である。
図7に示すように、ジョイント部材36は、その上部側に、上部溶接電極34の本体部34aの下端部分が挿入される取付穴36aを有している。本体部34aの下端部分は、取付穴36a内に挿入され、取付穴36aの内壁にネジ38により押しつけられて固定されている。また、ジョイント部材36は、その下部側に、本体部34aと同軸に先端部34bの上端部分が挿入される取付穴36bを有している。先端部34bの上端部分は、取付穴36b内に挿入され、取付穴36bの内壁にネジ40により押しつけられて固定されている。また、先端部34bの上端面は、本体部34aの下端面に接触している。こうして、上部溶接電極34の本体部34a及び先端部34bが、それぞれジョイント部材36にネジ止めにより着脱可能に取り付けられている。
上部溶接電極34の本体部34aと先端部34bとは、上記のように直接接触しているため通電可能になっている。さらに、ジョイント部材36の材料には、例えば上部溶接電極34と同様の金属等の導電性材料が用いられている。このため、上部溶接電極34の本体部34aと先端部34bとは、ジョイント部材36を介して通電可能になっている。したがって、上部溶接電極34を用いて溶接電流を通電することが可能である。なお、本体部34aと先端部34bとが直接接触して通電可能になっているのであれば、ジョイント部材36の材料には必ずしも導電性材料が用いられる必要はない。他方、ジョイント部材36の材料に導電性材料が用いられているならば、本体部34aと先端部34bとは必ずしも直接接触している必要はない。
溶接電極は、溶接を繰り返して実施することにより、溶接対象物に接触する先端部分が汚れたり消耗したりする。このため、溶接電極を交換する必要が生じることがある。本実施形態では、上述のように、上部溶接電極34の先端部34bが本体部34aに着脱可能に取り付けられている。したがって、本実施形態によれば、上部溶接電極34の先端部分が汚れたり消耗したりした場合、先端部34bのみを取り外して交換することができる。このため、歪みゲージ18が取り付けられた本体部34aを含む上部溶接電極34ごと交換する必要はない。
このように、本実施形態によれば、歪みゲージ18が取り付けられた上部溶接電極34の本体部34aを継続的に使用することができる。したがって、本実施形態によれば、高い経済性で溶接を繰り返して実施することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法について図8を用いて説明する。図8は、上部溶接電極を片持ち梁とみなした場合を模式的に示した概略図である。上記第1及び第2実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡潔にする。
本発明の第3実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法について図8を用いて説明する。図8は、上部溶接電極を片持ち梁とみなした場合を模式的に示した概略図である。上記第1及び第2実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡潔にする。
上記第1及び第2実施形態では、複数の歪みゲージを上部溶接電極に取り付ける場合について説明したが、必ずしも複数の歪みゲージを取り付ける必要はなく、1つの歪みゲージを取り付けてもよい。この場合においては、歪みゲージにより検出される歪み等から、上部溶接電極に対して加わる横方向の荷重を検出することができる。
図8に示すように、一端が固定され他端に荷重Wが加えられる片持ち梁として上部溶接電極16を考える。歪みゲージ18は、荷重Wが加えられる他端から歪みゲージ18の中心までの距離がLとなるように上部溶接電極16に取り付けられているとする。
この場合、歪みゲージ18の取り付け箇所の表面応力σは、歪みゲージ18により検出される歪みをε、上部溶接電極16の材料のヤング率をEとして、下記式で表される。
σ=ε・E
σ=ε・E
そして、曲げモーメントをM、上部溶接電極16の断面係数をZとすると、歪みεは、下記式で表される。
ε=M/(Z・E)=W・L/(Z・E)
ε=M/(Z・E)=W・L/(Z・E)
角棒型の上部溶接電極の場合、片持ち梁とみなした上部溶接電極の幅をb、厚さをhとすると、断面係数Zは、Z=(1/6)bh2である。したがって、角棒型の上部溶接電極の場合における荷重Wは、上記歪みεを表す式を変形して得られる下記式により求めることができる。
他方、丸棒型の上部溶接電極の場合、片持ち梁とみなした上部溶接電極の断面直径をdとすると、断面係数Zは、Z=(π/32)d3である。したがって、丸棒型の上部溶接電極の場合における荷重Wは、上記歪みεを表す式を変形して得られる下記式により求めることができる。
上記のように、取り付けられた歪みゲージ18が1つであっても、歪みゲージ18により検出される歪みに基づき、上部溶接電極16を片持ち梁とみなした場合の荷重W、すなわち溶接時において上部溶接電極16に対して加わる横方向の荷重を求めることができる。
また、取り付けられた歪みゲージが1つの場合であっても、溶接時の状況の変化を検知することができる。この場合、前回溶接した同種の溶接対象物の溶接時において歪みゲージにより検出された歪みと、今回の溶接時において歪みゲージにより検出された歪みを比較する。これにより、溶接時の状況の変化を検知することができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法について図9を用いて説明する。図9は、本実施形態による抵抗溶接装置における上部溶接電極を示す断面図である。なお、上記第1乃至第3実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡潔にする。
本発明の第4実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法について図9を用いて説明する。図9は、本実施形態による抵抗溶接装置における上部溶接電極を示す断面図である。なお、上記第1乃至第3実施形態による抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡潔にする。
上記第1乃至第3実施形態では、4つ又は1つの歪みゲージを用いた場合を例に説明したが、歪みゲージの数は、これらに限定されるものではない。本実施形態では、丸棒型の上部溶接電極に3つの歪みゲージを設けた場合について説明する。
図9に示すように、丸棒型の上部溶接電極16の外周面には、複数の歪みゲージ18として、3つの歪みゲージ18e、18f、18gが、周方向に120°の等角度間隔で取り付けられている。このように、3つの歪みゲージ18e、18f、18gにより検出される歪みに基づき、上部溶接電極16に対して加わる傾斜方向の荷重の具体的方向及び大きさを求めることもできる。
制御部24のROMには、上記3つの歪みゲージ18e、18f、18gによる歪み信号間の差、比等と、傾斜方向の荷重の具体的方向及び大きさとの関係を示す検量線等のデータベースが記憶されている。制御部24は、このデータベースを参照し、各歪みゲージ18e、18f、18gによる歪み信号に基づき、溶接時に上部溶接電極16に加わる傾斜方向の荷重の具体的方向及び大きさを求めることができる。
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、溶接電極の歪みを非電気的に検出する歪みゲージとして、FBGセンサを例に説明したが、歪みゲージは、FBGセンサに限定されるものではない。歪みゲージは、例えば光学的に歪みを検出するもの等、非電気的に歪みを検出することができるものであればよい。
例えば、溶接電極に設けられたスリット等のマークの変位をレーザ変位計等により計測し、計測されたマークの変位に基づき、溶接電極の歪みを検出することもできる。
また、上記実施形態では、上部溶接電極に歪みゲージを取り付けた場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。歪みゲージは、上部溶接電極に取り付けることに代えて、下部溶接電極に取り付けてもよい。また、歪みゲージは、上部溶接電極及び下部溶接電極の両電極に取り付けてもよい。
また、上記実施形態では、上下方向に配置された下部溶接電極と上部溶接電極とを用いた場合を例に説明したが、2つの溶接電極の配置方向はこれに限定されるものではない。溶接対象物を挟むように配置することができれば、あらゆる方向に溶接電極を配置することができる。
10…抵抗溶接装置
14…下部溶接電極
16…上部溶接電極
18…歪みゲージ
22…計測部
24…制御部
26…電源部
34…上部溶接電極
34a…本体部
34b…先端部
36…ジョイント部材
104…リード線
106…リード線
14…下部溶接電極
16…上部溶接電極
18…歪みゲージ
22…計測部
24…制御部
26…電源部
34…上部溶接電極
34a…本体部
34b…先端部
36…ジョイント部材
104…リード線
106…リード線
Claims (12)
- 溶接対象物を挟むように配置される第1及び第2の溶接電極と、
前記第1の溶接電極に取り付けられ、前記第1の溶接電極の歪みを非電気的に検出する歪みゲージと、
前記歪みゲージからの信号を基に、前記溶接対象物の溶接中における前記第1の溶接電極に対する荷重を検出する制御部と、を備える抵抗溶接装置。 - 前記歪みゲージは、前記第1の溶接電極に複数取り付けられており、
前記制御部は、前記複数の歪みゲージからの信号を基に、前記荷重を検出する請求項1記載の抵抗溶接装置。 - 前記複数の歪みゲージは、前記第1の溶接電極を挟んで対向するように取り付けられた少なくとも1組の対の歪みゲージを含み、
前記制御部は、前記対の歪みゲージからの信号を基に、前記荷重を検出する請求項2記載の抵抗溶接装置。 - 前記制御部は、検出した前記荷重に基づき、前記第1の溶接電極と前記第2の溶接電極との間に流す溶接電流を制御する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の抵抗溶接装置。
- 前記制御部は、前記荷重が所定の閾値を超えると、前記溶接電流を低減する請求項4記載の抵抗溶接装置。
- 前記制御部は、前記荷重が所定の閾値を超えると、前記溶接電流の通電を停止する請求項4記載の抵抗溶接装置。
- 前記第1の溶接電極は、前記歪みゲージが取り付けられた本体部と、前記本体部に着脱可能に取り付けられた先端部とを有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の抵抗溶接装置。
- 第1の溶接電極と第2の溶接電極との間に溶接対象物を挟むように配置して、前記溶接対象物の溶接を行う抵抗溶接方法であって、
前記溶接対象物の溶接中に、前記第1の溶接電極に取り付けられた歪みゲージにより前記第1の溶接電極の歪みを非電気的に検出する工程と、
前記歪みゲージからの信号を基に、前記溶接対象物の溶接中における前記第1の溶接電極に対する荷重を検出する工程とを有する抵抗溶接方法。 - 前記歪みゲージは、前記第1の溶接電極に複数取り付けられており、
前記荷重を検出する工程では、前記複数の歪みゲージからの信号を基に、前記荷重を検出する請求項8記載の抵抗溶接方法。 - 検出した前記荷重に基づき、前記第1の溶接電極と前記第2の溶接電極との間に流す溶接電流を制御する工程をさらに有する請求項8又は9記載の抵抗溶接方法。
- 前記溶接電流を制御する工程では、前記荷重が所定の閾値を超えると、前記溶接電流を低減する請求項10記載の抵抗溶接方法。
- 前記溶接電流を制御する工程では、前記荷重が所定の閾値を超えると、前記溶接電流の通電を停止する請求項10記載の抵抗溶接方法。
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