JP2015154655A - インナーロータ型モータ用のステータ - Google Patents

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Shuhei Kanehara
修平 金原
真朗 松原
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Abstract

【課題】 効率を低下させず、且つ低コストとなるモータ用のステータを提供する。
【解決手段】 本発明のインナーロータ型モータ用のステータMs1は、ティースブロック連結体5と、1対の第1のインシュレータ6、6と、を備え、ティースブロック連結体の分割コア5aは、内周突き出し部5a3が内周面の近傍で円周方向に両側へ延び、ロータ対向面における幅より軸中心から径方向外側における幅が広くなっている形状であり、1対の第1のインシュレータ6、6は、円筒部6aの内周部から軸方向に延設された複数のスロット挿入部6jを備え、スロット挿入部6jがスロット5cの両端に嵌合される。
【選択図】図4A

Description

本発明はインナーロータ型モータ用のステータに関する。
従来、事務機器や家電機器等の駆動源としてインナーロータ型のモータが多く用いられている。インナーロータ型のモータは、より高出力(高効率)且つ低価格であることが求められている。モータの出力(効率)を高めるべく、ステータを分割コアで構成するモータとして、例えば特許文献1〜特許文献3が提案されている。
特開昭60−144121号公報 特開2009−268168号公報 特開2007−089271号公報
しかしながら、特許文献1に記載の積層された固定子鉄心の構造は分割コアのスロット間を固定鉄心板の連結部を切欠したもののみで固定したものであり、巻線を行う際のマグネットワイヤテンションやワークの装置への取り付け時に加わる外力により変形が起こり、スロット間距離が変化してモータ特性に影響する虞がある。
特許文献2に記載のティースブロック連結体ではティースブロックを連結する両端の端板が離れすぎているためティースブロック連結体が強度不足となり、巻線時の張力や組立ての際の外力等により変形し易くなってしまう。また、特許文献2では端板は分割コアのティースブロックを構成する電磁鋼板とは異なる非磁性材又は低磁性材を用いている。そのため、プレス加工をティースと端板とに同一金型で行う場合、2種類の材料を供給する必要がある。更に、端板は穴部や凹凸部を設けた複雑な形状としているので金型構造が非常に複雑になり、これらの要因によりコストが嵩む。
特許文献1、2のティースブロック連結体が変形するとティースブロック連結体の真円度が崩れてしまう。真円度の低下に起因する、ロータマグネットとステータコアとの衝突を回避すべく、エアギャップを広めに設定すると磁束密度が低下し、モータとしての出力低下(効率低下)に繋がる。
更に、特許文献3記載の積層されたステータコアの構造は何れも円周方向に連結されていない第1の鋼板層と、一部が円周方向に連結されている第2の鋼板層と、何れも円周方向に連結されている第3の鋼板層とが第1の鋼板層→第2の鋼板層→第3の鋼板層→第2の鋼板層→第1の鋼板層の順番で2枚ずつ積層されているものであるが、第3の鋼板層に第2の鋼板層を加えることによりコア製作時の順送金型の複雑化により製造コストが嵩む。また、マグネットと対向するスロット連結部面積の増加により磁気的なロスが増加し、トルク特性が低下する虞がある。
本発明はこのような問題に鑑みて行われたものであり、その目的とするところは従来品と比べて効率を低下させず(維持し)、且つ低コストとなるモータ用のステータを提供することである。
上記課題を解決するために、(1)本発明は、円環状に配置された複数の略T字状の分割コアと、前記分割コアの軸方向中央部に配置されて前記分割コアを連結させるラミネーションと、前記ラミネーションにより分断されたスロットとを有するティースブロック連結体と、短円筒状の円筒部と、前記円筒部から放射状に軸方向に延設される腕部と、前記腕部の軸方向反対側に延設される円環状のコイル案内部とを有する1対の第1のインシュレータと、を備えたインナーロータ型モータ用のステータにおいて、前記ティースブロック連結体の前記分割コアは、内周突き出し部が内周面の近傍で円周方向に両側へ延び、ロータ対向面における幅より軸中心から径方向外側における幅が広くなっている形状であり、前記1対の第1のインシュレータは、前記円筒部の内周部から軸方向に延設された複数のスロット挿入部を備え、前記スロット挿入部が前記スロットの両端に嵌合されるインナーロータ型モータ用のステータを提供する。
(2)上記構成において、前記ラミネーションは複数枚で、互いに離間するように前記分割コアの軸方向中央部に配置される(1)に記載のインナーロータ型モータ用のステータを提供する。
(3)上記構成において、前記ラミネーションにより分断される、前記分割コアを構成する分割コア板の積層枚数が軸方向に向かって上段と下段とが均等である(1)又は(2)に記載のインナーロータ型モータ用のステータを提供する。
(4)上記構成において、前記ラミネーションにより分断される、前記分割コアを構成する分割コア板の積層枚数が軸方向に向かって上段と下段とが均等でない(1)又は(2)に記載のインナーロータ型モータ用のステータを提供する。
(5)上記構成において、前記1対の第1のインシュレータの他方を、前記円筒部の前記内周部から延設された前記スロット挿入部を備えていない第2のインシュレータに代えた(1)から(4)のいずれか一に記載のインナーロータ型モータ用のステータを提供する。
(6)上記構成において、前記ラミネーションの板厚は前記分割コア板の板厚と同じである(1)から(5)のいずれか一に記載のインナーロータ型モータ用のステータを提供する。
(7)上記構成において、前記ラミネーションの材質は前記分割コア板の材質と同じである(1)から(5)のいずれか一に記載のインナーロータ型モータ用のステータを提供する。
本発明によれば、効率を低下させず(維持し)、且つ低コストとなるモータ用のステータを提供することができる。
(a)は第1の実施形態のステータを用いたモータの斜視図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 (a)は第1の実施形態のステータを構成するティースブロック連結体を示す斜視図、(b)はティースブロック連結体を構成する1つの分割コアを示す斜視図、(c)は分割コアを連結させるラミネーションを示す斜視図である。 (a)はティースブロック連結体に組み付ける第1のインシュレータを軸方向一方側から見た斜視図、(b)は第1のインシュレータを軸方向他方側から見た斜視図である。 (a)は1対の第1のインシュレータを両側からティースブロック連結体に組み付ける過程を示す斜視図、(b)は第1の実施形態のステータを構成するティースブロック連結体アセンブリの斜視図である。 (c)は図4A(b)のB部を拡大・回転させた図、(d)は(c)のC−C曲線断面図である。 (a)はティースブロック連結体アセンブリに外周リングを組み付ける過程を示す斜視図、(b)は第1の実施形態のステータを示す斜視図である。 (a)は第2の実施形態のステータを用いたモータの斜視図、(b)は(a)のD−D線断面図である。 (a)は第2のインシュレータの斜視図、(b)は第1のインシュレータ及び第2のインシュレータを両側からティースブロック連結体に組み付ける過程を示す斜視図である。 (c)は第2の実施形態のステータを構成するティースブロック連結体アセンブリの斜視図、(d)は(c)のE部を拡大・回転させた図である。 (e)は図7B(d)のF−F曲線断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
図1(a)は第1の実施形態のステータMs1を用いるモータM1の斜視図、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図である。モータM1は外郭を形成する1対のカバー1a、1bと、カバー1a、1b内に固定されるステータMs1と、ステータMs1の内方で回転するロータMrとを有するインナーロータ型のモータである。
一方のカバー1aは径が大きい胴部1a1と径を縮めた縮径部1a2とを有し、中央に挿通孔1a3が形成される段付きの有底円筒形状の部材である。一方のカバー1aと同様、他方のカバー1bも径が大きい胴部1b1と径を縮めた縮径部1b2とを有し、中央に挿通孔1b3が形成される段付きの有底円筒形状の部材である。一方のカバー1aの縮径部1a2内には軸受2aが、他方のカバー1bの縮径部1b2内には軸受2bが、それぞれ固定されている。ロータMrが固定されるシャフト3は軸受2a、2bにより両端部が回転自在に支持されている。ロータMrはシャフト3に圧入等で固定される有底円筒状のロータヨーク3sに、円筒形状のロータマグネット4が接着等で固定されている。ロータマグネット4はフェライト等の永久磁石である。
ステータMs1は円環状に配置された複数の略T字状の分割コア5aが設けられるティースブロック連結体5(後述の図2(a)参照)と、ティースブロック連結体5を軸方向の両側から挟む1対の第1のインシュレータ6、6(図3参照)と、第1のインシュレータ6の腕部6bに巻回される不図示のコイルと、1対の第1のインシュレータ6、6により両側から挟まれるティースブロック連結体5に嵌合される、磁性体である円筒状の外周リング8(図5(b)参照)とから構成される。カバー1a、1b内の空きスペースにはモータM1の制御のための回路基板9が設けられている。回路基板9には不図示の各種電子部品が実装されている。
図2(a)はステータMs1を構成するティースブロック連結体5を示す斜視図、図2(b)はティースブロック連結体5を構成する1つの分割コア5aを示す斜視図、図2(c)は分割コア5aを連結させるラミネーション5bの斜視図である。図2(a)に示すように、ティースブロック連結体5は複数の略T字状の平面視分割コア5a(図2(b)参照)と、分割コア5aの軸方向中心部に配置されて分割コア5aを連結させる2枚のラミネーション5bと、ラミネーション5bにより分断されたスロット5cとを有している。複数の分割コア5aは円環状に配置されている。
2枚のラミネーション5bは互いに離間するように分割コア5aの軸方向中央部に配置されている。分割コア5aとラミネーション5bとはかしめ等により一体に固定されている。2枚のラミネーション5bによって分断される、分割コア5aを構成する分割コア板5d(図2(b)参照)の積層枚数は軸方向に向かって上段と下段とを均等としている。中段の分割コア板5dの枚数は任意であるが、本実施例では積層枚数の比率は2:1:2としている。
図2(b)に示すように、分割コア5aは略T字状の電磁鋼板の分割コア板5dがかしめ等で固定され、多数積層されたものである。分割コア5aの内周面5a1はステータMs1の内周面Msi(図1(b)参照)を形成している。分割コア5aは中心部から外方向に突き出す放射形状のティース部5a2と内周面5a1の近傍で円周方向に両側へ延びる内周突き出し部5a3とを有する。
図2(c)に示すように、ラミネーション5bは分割コア板5dと同じ平面形状の分割コア端部5b1と、スロット5cの軸方向中央部に位置して分割コア5aを連結する連結部5b2とを有し、形状は略平板である。ラミネーション5bの中央には分割コア5aの内周面5a1に沿う形状の中心孔5b3が形成されている。ラミネーション5bは分割コア板5dと同じ板厚、且つ同じ材質(例えば電磁鋼板)である。中心孔5b3では隣り合う分割コアに磁束が流れることにより磁気的なロスが発生するが、このような構造とすることにより、特にロータマグネット4がステータMs1より長い場合、ステータMs1の軸方向の長さからはみ出たロータマグネット4の部分からもステータMs1に向かって磁束がかかるので、ラミネーション5bを軸方向両端に配置する場合と比較して軸方向端部での磁束を有効に使用することができる。また、特許文献3に比べてマグネットと対向するスロット連結部面積の増加を抑制できるので磁気的なロスを抑えることができ、トルク特性の低下を最小限に抑えることが可能となる。
また、ラミネーション5bを分割コア板5dと同じ材質(例えば電磁鋼板)とし、形状を略平板とすることにより、端板と分割コアの材質が異なり、且つ端板に穴部や凹凸部を設けた複雑な形状とした特許文献2の場合に比べて金型構造が単純になるので金型のコスト抑制が可能となる。
図3(a)はティースブロック連結体5に組み付ける第1のインシュレータ6を軸方向一方側から見た斜視図、図3(b)は第1のインシュレータ6を軸方向他方側から見た斜視図である。第1のインシュレータ6は弾性を有する樹脂、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)で形成されている。図3(a)に示すように、第1のインシュレータ6は短円筒状の円筒部6aと、円筒部6aから放射状に軸方向に延設される腕部6bと、腕部6bの軸方向反対側に延設される円環状のコイル案内部6gとを有している。
図3(b)に示すように、円筒部6aの内周部から軸方向にスロット挿入部6jが延設されている。スロット挿入部6jは、その近傍域が弾性変形することにより、ティースブロック連結体5のスロット5c(図2(a)参照)の両側と嵌合する。スロット挿入部6jがティースブロック連結体5のスロット5cと嵌合することで、分割コア5aの非連結部について1対のインシュレータ6、6のスロット挿入部6jでスロット5c間を埋めることができるので、ティースブロック連結体5の補強を行うことができる。尚、スロット挿入部6jの長さはティースブロック連結体5の必要な強度に応じて適宜調節するとよい。
腕部6bは外方に向けた開口6cを有する略U字状の形状に形成されており、開口6cを形成する1対の鍔部6dと、鍔部6dに連続して中心軸から放射状に形成される巻胴部6eと、巻胴部6eの内径側に連続して円筒状に形成される延伸連結部6fとを有している。腕部6b内にはステータMs1を構成する不図示のコイルが巻回されている。円環状のコイル案内部6gは隣接する腕部6b間に半径方向に形成される平板部6hと、平板部6hの外周部から軸方向に円弧状に延びる円弧状鍔部6iとを有している。
図4A(a)は1対の第1のインシュレータ6、6を両側からティースブロック連結体5に組み付ける過程を示す斜視図、図4A(b)はステータMs1を構成するティースブロック連結体アセンブリ7の斜視図、図4B(c)は図4A(b)のB部を拡大・回転させた図、図4B(d)は図4B(c)のC−C曲線における切り口を軸方向から見た断面図である。
図4A(a)に示すように、第1のインシュレータ6を、ティースブロック連結体5の両側から、矢印α1、α2のように、第1のインシュレータ6の外方に略U字状をなす腕部6bの間にティースブロック連結体5のティース部5a2が挟まると共に、第1のインシュレータ6のスロット挿入部6jがスロット5c内に入るように、第1のインシュレータ6をティースブロック連結体5に押圧する。すると、第1のインシュレータ6の各スロット挿入部6jが、ティースブロック連結体5の対応する位置のスロット5c内に嵌合される。これにより、1対の第1のインシュレータ6、6がティースブロック連結体5に圧入され、1対の第1のインシュレータ6、6とティースブロック連結体5とが組み立てられたティースブロック連結体アセンブリ7(図4A(b)参照)となる。
図4A(b)に示すように、ティースブロック連結体アセンブリ7は、ティースブロック連結体5に1対の第1のインシュレータ6、6が圧入されて組み立てられている。図4B(c)においては第1のインシュレータ6の一方側のみを示すが、第1のインシュレータ6のスロット挿入部6jが、円環状に配置されている2つの分割コア5aの内周突き出し部5a3の間に軸方向に設けられたスロット5c内に入るように、第1のインシュレータ6をティースブロック連結体5に押圧して、第1のインシュレータ6の各スロット挿入部6jを、ティースブロック連結体5の対応する位置のスロット5c内に嵌合させている。これにより、ラミネーション5bとスロット挿入部6jの端部6kとで区切られたスロット5cの軸方向の距離hが短くなるので、巻線時の張力や組立て時の外力に対する、ティースブロック連結体5の強度が増す。
図4B(d)に示すように、分割コア5aの内周突き出し部5a3は内周面5a1の近傍で円周方向に両側へ延び、ロータ対向面における幅より軸中心から径方向外側における幅を広くした形状としている。軸方向から見たスロット挿入部6jの形状は、円環状に配置されている2つの分割コア5aの内周突き出し部5a3の形状に噛み合わせた楔形状となっている。これにより、分割コア板5dの積層枚数が増加した場合でもラミネーション5bの枚数を増やさず、第1のインシュレータ6のスロット挿入部6jの長さを伸ばすだけでティースブロック連結体5の強度補強が可能となる点が付加されるので、ティースブロック連結体5の強度補強の効果が更に増す。
図5(a)はティースブロック連結体アセンブリ7に外周リング8を組み付ける過程を示す斜視図、図5(b)はステータMs1を示す斜視図である。外周リング8を、図5(a)の矢印α3のようにティース嵌入凹部8aがティースブロック連結体5のティース部5a2の先端部に合うように、不図示のコイルが巻線されたティースブロック連結体アセンブリ7の外側に組み付くように押圧すると、図5(b)に示すステータMs1が組み立てられる。
次に、第2の実施形態について説明するが、第1の実施形態で用いた部材と同一のものについては同一の符号を用いる。図6(a)は第2の実施形態のステータMs2を用いたモータM2の斜視図、図6(b)は図6(a)のD−D線断面図である。
モータM2は外郭を形成し、有底円筒形状の部材である1対のカバー11a、11bと、カバー11a、11b内に固定されるステータMs2と、ステータMs2の内方で回転するロータMrと、軸受保持部材15とを有するインナーロータ型のモータである。軸受保持部材15は軸受12aと、軸受12aとは外径が異なる軸受12bと、軸受12aの反出力側に設けられる予圧ばね13と、軸受12a、12bを固定する軸受ホルダ14とから構成される。ロータMrはシャフト3に圧入等で固定される有底円筒状のロータヨーク3sに、円筒形状のロータマグネット4が接着等で固定されている。ロータマグネット4はフェライト等の永久磁石である。
ステータMs2は分割した複数の分割コア5aが設けられるティースブロック連結体5(図2(a)参照)と、ティースブロック連結体5を軸方向の両側から挟む、第1のインシュレータ6及び第2のインシュレータ16と、第1のインシュレータ6の腕部6b(図3(b)参照)及び第2のインシュレータ16の腕部16b(図8(a)参照)に巻回される不図示のコイルと、第1のインシュレータ6と第2のインシュレータ16との間のティースブロック連結体5に嵌合される、磁性体である円筒状の外周リング8(図5(a)参照)とから構成される。尚、第2のインシュレータ16は従来のインシュレータである。カバー11a、11b内の空きスペースにはモータM2の制御のための回路基板9が設けられている。回路基板9には不図示の各種電子部品が実装されている。
図7A(a)は第2のインシュレータ16の斜視図、図7A(b)は第1のインシュレータ6及び第2のインシュレータ16を両側からティースブロック連結体5に組み付ける過程を示す斜視図、図7B(c)はステータMs2を構成するティースブロック連結体アセンブリ17の斜視図、図7B(d)は(c)のE部を拡大・回転させた図、図7C(e)は図7B(d)のF−F曲線における切り口を軸方向から見た断面図である。第2のインシュレータ16に関して、第1のインシュレータ6と同一部材の場合、符号を例えば円筒部6aを円筒部16aのように置換する。また、第1のインシュレータと構成・組立工程が共通している箇所については詳細な説明は省略する。第1のインシュレータ6と同様、第2のインシュレータ16も弾性を有する樹脂、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)で形成されている。
図7A(a)及び図7A(d)に示すように、第2のインシュレータ16は第1のインシュレータ6と異なり、円筒部16aの内周部から軸方向にスロット挿入部6j(図3(b)参照)は延設されていない。図7A(b)に示すように、図4A(a)と同様の方法により、第1のインシュレータ6及び第2のインシュレータ16がティースブロック連結体5に圧入され、第1のインシュレータ6及び第2のインシュレータ16とティースブロック連結体5とが組み立てられたティースブロック連結体アセンブリ17(図7B(c)参照)となる。ステータMs2、ステータMs2に回路基板9を装着させる過程の斜視図、並びに説明も第1の実施形態の場合と同様なので省略する。
次に、その他の変形例について説明する。
第1の実施形態ではラミネーション5bを2枚としたが、積層させる分割コア板5dの枚数に応じてラミネーション5bの枚数を増減させてもよい。また、2枚のラミネーション5bによって分断される、分割コア5aを構成する分割コア板5dの積層枚数の比率は軸方向に向かって上段:中段:下段の比を2:1:2としたが、磁気的な影響を及ぼさない範囲で、且つティースブロック連結体5の強度が実施形態と同等であることを保てるならば分割コア板5dの積層枚数の比率を変化させてもよいし、分割コア板5dの積層枚数が上段と下段とで均等でなくてもよい。インシュレータ6に設けるスロット挿入部6jの長さとの組み合わせ次第で適宜設定することができる。
上記実施形態によれば、以下の1〜3の効果を有する。
1.各分割コアを連結させるラミネーションをステータの軸方向中央部に配置することにより、下記a、bの効果を有する。
a.特にロータマグネットの軸方向の長さがステータの分割コアの軸方向の長さより長い場合、ステータの分割コアの軸方向の長さからはみ出たロータマグネットの部分からもステータに向かって磁束がかかるので、ラミネーションを軸方向両端に配置する場合と比較して軸方向端部における磁気的なロスを拡大させずにモータを構成することができる。
b.特許文献3に比べてマグネットと対向するスロット連結部面積の増加を抑制できるので磁気的なロスを抑えることができ、トルク特性の低下を最小限に抑えることができる。
2.ラミネーションを分割コア板と同じ材質(例えば電磁鋼板)で構成し、形状を略平板とすることにより、端板と分割コアの材質が異なり、且つ端板に穴部や凹凸部を設けた複雑な形状とした特許文献2の場合に比べて金型構造が単純となるので金型のコスト抑制が可能となる。
3.ティースブロック連結体のスロットに、第1のインシュレータに備えられた複数のスロット挿入部をティースブロック連結体のスロットに嵌合させることにより、下記a〜dの効果を有する。
a.分割コアの非連結部について1対の第1のインシュレータのスロット挿入部で両側のスロット間を埋めることができ、ティースブロック連結体の強度補強が可能となる。
b.ラミネーションと挿入部の端部とで区切られたスロットの軸方向の距離が短くなり、巻線時の張力や組立て時の外力に対する、ティースブロック連結体の強度が増す。
c.分割コアの内周突き出し部を、分割コアの内周面の近傍で円周方向に両側へ延び、ロータ対向面における幅より軸中心から径方向の外側における幅を広くした形状とし、且つスロット挿入部を、軸方向から見た時、円環状に配置されている2つの分割コアの内周突き出し部の形状に噛み合わせた形状(楔形状)としてティースブロック連結体のスロットに嵌合させると、分割コア板の積層枚数が増加した場合でもラミネーションの枚数を増やさず、第1のインシュレータのスロット挿入部の長さを伸ばすだけでティースブロック連結体の強度補強が可能となる点が付加されるのでティースブロック連結体の強度補強の効果が更に増す。
d.1対の第1のインシュレータの一方を第2のインシュレータに代えた場合は、軸受ホルダがステータの中間組立の内径側端部に固定されるのでティースブロック連結体の強度補強が可能となる。
上記3の結果、ティースブロック連結体は変形しにくくなり、ティースブロック連結体の真円度が低下しにくくなる。真円度の低下に起因する、ロータマグネットとステータとの衝突を回避するためのエアギャップを広めに設定する必要もなくなる。
上記1〜3の結果、従来と同等の効率を維持し(特にロータマグネットの軸方向の長さがステータの分割コアの軸方向の長さより長い場合は効率が向上する)、且つ低コストのステータとすることができる。
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
M1 モータ
Ms1 ステータ
5 ティースブロック連結体
5a 分割コア
5a3 内周突き出し部
5b ラミネーション
5c スロット
6 第1のインシュレータ
6a 円筒部
6b 腕部
6g コイル案内部
6j スロット挿入部

Claims (7)

  1. 円環状に配置された複数の略T字状の分割コアと、前記分割コアの軸方向中央部に配置されて前記分割コアを連結させるラミネーションと、前記ラミネーションにより分断されたスロットとを有するティースブロック連結体と、
    短円筒状の円筒部と、前記円筒部から放射状に軸方向に延設される腕部と、前記腕部の軸方向反対側に延設される円環状のコイル案内部とを有する1対の第1のインシュレータと、
    を備えたインナーロータ型モータ用のステータにおいて、
    前記ティースブロック連結体の前記分割コアは、内周突き出し部が内周面の近傍で円周方向に両側へ延び、ロータ対向面における幅より軸中心から径方向外側における幅が広くなっている形状であり、
    前記1対の第1のインシュレータは、前記円筒部の内周部から軸方向に延設された複数のスロット挿入部を備え、前記スロット挿入部が前記スロットの両端に嵌合される
    ことを特徴とするインナーロータ型モータ用のステータ。
  2. 前記ラミネーションは複数枚で、互いに離間するように前記分割コアの軸方向中央部に配置されることを特徴とする請求項1に記載のインナーロータ型モータ用のステータ。
  3. 前記ラミネーションにより分断される、前記分割コアを構成する分割コア板の積層枚数が軸方向に向かって上段と下段とが均等であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインナーロータ型モータ用のステータ。
  4. 前記ラミネーションにより分断される、前記分割コアを構成する分割コア板の積層枚数が軸方向に向かって上段と下段とが均等でないことを特徴とする請求項1又は2に記載のインナーロータ型モータ用のステータ。
  5. 前記1対の第1のインシュレータの他方を、前記円筒部の前記内周部から延設された前記スロット挿入部を備えていない第2のインシュレータに代えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のインナーロータ型モータ用のステータ。
  6. 前記ラミネーションの板厚は前記分割コア板の板厚と同じであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインナーロータ型モータ用のステータ。
  7. 前記ラミネーションの材質は前記分割コア板の材質と同じであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインナーロータ型モータ用のステータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2022550460A (ja) * 2019-10-03 2022-12-01 パーカー-ハネフィン コーポレーション 熱特性が向上した電気モータ

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