JP5955451B2 - 埋込磁石型回転子、埋込磁石型回転電機、及び埋込磁石型回転子の製造方法 - Google Patents
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Description
この埋込磁石型回転子は、回転子コアの内周面からシャフトに通る磁束が増加するのを防止する目的で、回転子コアとシャフトとは接触しておらず、回転子コアとシャフトの間に十分な空間が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
そして、エンドプレートは、その外周縁の角部に形成された段差部で、マグネットプレートの内周端部を押圧しており、マグネットプレートとエンドプレートとで端面板を形成している(例えば、特許文献2参照)。
端面板には、永久磁石の軸方向端面における異極間の磁束の短絡を防ぐため、一般に非磁性のステンレスが用いられる。端面板に用いられるステンレスとシャフトに用いられる鉄とでは、線膨張係数が異なり、ステンレスは鉄の1.4倍程度ある。
そのため、端面板をシャフトに圧入のみで固定すると、モータの駆動中に回転子が高温となった場合、端面板がシャフトよりも大きく膨張し、端面板とシャフトとの間にクリアランスを生じ、端面板のシャフトへの固定が緩み、モータの信頼性が低下する。
それゆえ、特許文献1に記載の埋込磁石型回転子は、製造時に、永久磁石に作用する熱応力により磁石割れが発生し、製造歩留まりが低下するとの問題があった。また、製造時に回転子コアと永久磁石と端面板との一体物の昇温と冷却とに時間を要し、生産効率が低下するとの問題があった。
従って、このマグネットプレートとエンドプレートとでなる端面板を、放射状に配列された複数の永久磁石と複数の扇形の回転子コアとを備えた埋込磁石型回転子に用いると、磁性材料である鉄材のエンドプレートにより、永久磁石の軸方向端面において、異極間の磁束の短絡が発生するとの問題があった。
すなわち、端面板の重量が増え、回転子の重量が増加するので、回転電機において必要な駆動トルクを得るのに、磁石量や固定子コイルの巻線量を増やす必要があり、回転電機が大型化するとの問題があった。
上記回転子コアは、磁性板材を軸方向に積層したブロックであり、
上記端面板は、非磁性の環状円板と上記環状円板の内周に接して設けられた上記環状円板より線膨張係数が小さいリング部材とを、焼きばめで一体化して形成されており、
上記環状円板は、その内周径を上記磁石及びコアの環状体の内周径より小さくしており、
上記シャフトは、上記リング部材と線膨張係数が同じであって、上記端面板の中心孔になっている上記リング部材の内周側の中空部に圧入されており、
上記通しロッド端部の通しロッド突出部の長さは、上記環状円板の厚さより大きく、上記通しロッド突出部は、上記環状円板の軸方向の外表面から突出しており、
上記磁石及びコアの環状体の内周側と上記シャフトとの間に、空間が形成され、
上記環状円板の内周面に、径方向の外側に窪み、かつ軸方向に延在する回り止め溝が形成され、上記リング部材の外周面に、径方向の外側に突出し、かつ軸方向に延在する回り止め突出部が形成され、上記回り止め溝と上記回り止め突出部とが嵌合しているものである。
上記回転子が、放射状に配列された複数の永久磁石と、上記永久磁石の間に設けられた複数の回転子コアと、上記永久磁石と上記回転子コアとを環状に配置して成る磁石及びコアの環状体の、軸方向の両端面に設置された端面板と、上記両端面の端面板と上記回転子コアとを固定する通しロッドと、上記端面板を固定するシャフトと、を備え、
上記回転子コアは、磁性板材を軸方向に積層したブロックであり、
上記端面板は、非磁性の環状円板と上記環状円板の内周に接して設けられた上記環状円板より線膨張係数が小さいリング部材とを、焼きばめで一体化して形成されており、
上記環状円板は、その内周径を上記磁石及びコアの環状体の内周径より小さくしており、
上記シャフトは、上記リング部材と線膨張係数が同じであって、上記端面板の中心孔になっている上記リング部材の内周側の中空部に圧入されており、
上記通しロッド端部の通しロッド突出部の長さは、上記環状円板の厚さより大きく、上記通しロッド突出部は、上記環状円板の軸方向の外表面から突出しており、
上記磁石及びコアの環状体の内周側と上記シャフトとの間に、空間が形成され、
上記環状円板の内周面に、径方向の外側に窪み、かつ軸方向に延在する回り止め溝が形成され、上記リング部材の外周面に、径方向の外側に突出し、かつ軸方向に延在する回り止め突出部が形成され、上記回り止め溝と上記回り止め突出部とが嵌合しているものである。
磁性板材を積層したブロックに通しロッドを通して形成している複数の回転子コアと、複数の永久磁石とを、周方向で交互に配置して環状に形成して得た磁石及びコアの環状体における軸方向の両端面に、上記第1の工程で形成した上記端面板を、上記通しロッドを介して固定するとともに上記通しロッド端部の通しロッド突出部の長さは、上記環状円板の厚さより大きく、上記通しロッド突出部は、上記環状円板の軸方向の外表面から突出させることにより回転子組立体を形成する第2の工程と、
上記第2の工程で形成した上記回転子組立体の両端面にある上記端面板の中心孔に、上記リング部材と線膨張係数が同じシャフトを圧入し、上記回転子組立体を上記シャフトに固定する第3の工程とを備えたものである。
更に環状円板の内周面にある回り止め溝とリング部材の外周面にある回り止め突出部とが嵌合しているので、たとえ、環状円板とリング部材との焼きばめによる固着力より大きなトルクが、外部から回転子へ突発的に作用しても、環状円板とリング部材との間にすべりが生じることがないので、回転子の信頼性をさらに向上できる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る埋込磁石型回転子の分解斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係る埋込磁石型回転子の側面断面図である。
本発明において、埋込磁石型回転子の軸方向は略して軸方向と記し、埋込磁石型回転子の径方向は略して径方向と記し、埋込磁石型回転子の周方向は略して周方向と記す。
端面板114は、非磁性の環状円板112と、環状円板112の内周に接して設けられたリング部材113とを、焼きばめで一体化して形成されている。
そして、端面板114は、環状円板112の軸方向の面とリング部材113の軸方向の面とが、同一面となっている。
また、回転子コア111の外周部には周方向に延びる爪が形成されており、その爪により隣接する永久磁石110の径方向位置を定め、永久磁石110が径方向外側に離脱しないようにしている。
また、環状円板112の外周径が、磁石及びコアの環状体の外周径とほぼ同じであり、環状円板112の内周径が、磁石及びコアの環状体の内周径より小さくなっており、永久磁石110の軸方向の端面は、非磁性の環状円板112と対向している。
リング部材113の内周側の中空部が、端面板114の中心孔118になっており、シャフト109が圧入される。
そして、通しロッド115の回転子コア111における設置位置は、通しロッド115が回転子コア111から端面板114への駆動トルクの伝達に用いられるので、回転子コア111の径方向の幅の中点より、外側が好ましい。
環状円板112の内周径が、磁石及びコアの環状体の内周径より小さくなっているので、磁石及びコアの環状体の内周側と、シャフト109との間には空間が形成されている。
図3は、本発明の実施の形態1に係る埋込磁石型回転子の製造工程を示すフローチャートである。
図4は、本発明の実施の形態1に係る埋込磁石型回転子の製造における第3の工程を説明する斜視図である。
それゆえ、回転電機の駆動中に高温になっても、環状円板112とリング部材113との間及びリング部材113とシャフト109との間に緩みの発生がなく、信頼性の高い回転電機を実現できる。
ちなみに、本実施の形態の環状円板112は熱容量が小さいので、その昇温時間と冷却時間とは短く、生産効率は低下しない。
図1から図4の説明では、環状円板112の外周径Dcは、磁石及びコアの環状体の外周径D1と同じであるが、その限りではない。すなわち、環状円板112の外周径Dcは、図5の矢印Wで示す、磁石及びコアの環状体の外周径D1から、環状円板の通しロッド挿入孔112aを含む最小径D2までの範囲であれば良い。
また、通しロッド突出部115aにおける、環状円板112の軸方向の外表面から突出している部分にネジを形成し、このネジにナットを螺合しても良い。この場合、磁石及びコアの環状体への端面板114の固定が、さらに確実になる。それとともに、通しロッド115は回転子コア111に挿入していれば良く、圧入する必要がなくなる。
図6(a)は本発明の実施の形態2に係る埋込磁石型回転子に用いられる端面板の斜視図であり、図6(b)は図6(a)の斜視図におけるA−A断面図である。
本実施の形態の埋込磁石型回転子(回転子と記す)は、図6に示すように、端面板214を形成する環状円板212が、その内周部に軸方向に突出する段付き部216を備えている。そして、図示しないが、段付き部216の外周面を回転子コア111の内周部に接触させている。また、段付き部216を含む環状円板212の内周部には、リング部材213が実施の形態1と同様の方法で焼きばめにより固定されている。その他の構成は、実施の形態1の回転子102と同様である。
また、環状円板212とリング部材213との接触面積が増大しているので、環状円板212がリング部材213に固定される力が増加する。さらに、リング部材213のシャフト109との接触面積が増大しているので、リング部材213がシャフト109に固定される力が増加し、回転子組立体116からシャフト109へ伝達するトルクを大きくできる。
図7は、本発明の実施の形態3に係る埋込磁石型回転子に用いられる端面板の正面図である。
本実施の形態の埋込磁石型回転子(回転子と記す)は、図7に示すように、端面板314を形成する環状円板312の内周面に、径方向外側に窪みかつ軸方向に延在する回り止め溝312aが形成されている。また、端面板314を形成するリング部材313の外周面に、径方向外側に突出しかつ軸方向に延在する回り止め突出部313aが形成されている。そして、環状円板312の回り止め溝312aとリング部材313の回り止め突出部313aとが嵌合している。なお、その他の構成は、実施の形態1の回転子102と同様である。
本実施の形態の、環状円板に回り止め溝を設け、リング部材に回り止め突出部を設け、回り止め溝と回り止め突出部とが嵌合している構造は、実施の形態1に限らず、実施の形態2の回転子にも適用でき、同様な効果を奏する。
図8は、本発明の実施の形態4に係る埋込磁石型回転子の部分側面断面図である。
本実施の形態の埋込磁石型回転子(回転子と記す)は、端面板414を形成する環状円板412が、その内周縁部において、回転子の軸方向外側に位置し、径方向内側に突出する段付き部412aを備えている。それ以外の構成は、実施の形態1の回転子102と同様である。
図9は、本発明の実施の形態5に係る埋込磁石型回転電機を示す側面断面図である。
図9に示すように、本実施の形態の埋込磁石型回転電機(回転電機と記す)100は、固定子101と、固定子101の内周部と所定の空隙を設けて配設されている回転子102と、固定子101の外周面を覆うフレーム104と、フレーム104の一方の端部と結合している負荷側ブラケット107と、フレーム104の他方の端部と結合している反負荷側ブラケット108とを備えている。
図9に示す回転子102は、実施の形態1の回転子102であり、永久磁石110の存在する部分の断面を上側にし、回転子コア111の存在する部分の断面を下側にしている。
また、回転子102は、シャフト109の一方側が、負荷側軸受105を介して負荷側ブラケット107に回転自在に支持されており、シャフト109の他方側が反負荷側軸受106を介して反負荷側ブラケット108に回転自在に支持されている。
反負荷側ブラケット108の軸方向外側には、エンコーダ部103が設置されている。
また、回転子において永久磁石の軸方向端面における異極間の磁束の短絡が防止できるとともに、駆動中に高温になっても、回転子を形成する、環状円板とリング部材との間及びリング部材とシャフトとの間に緩みの発生がないので、信頼性が優れている。
また、回転子製造時の永久磁石割れが防止でき、回転子製造時間を短縮できるので、生産性が優れている。
本実施の形態の回転電機は、回転子に実施の形態1の回転子を用いているが、実施の形態2、実施の形態3、又は実施の形態4の回転子を用いても良く、同様な効果を奏する。
Claims (7)
- 放射状に配列された複数の永久磁石と、上記永久磁石の間に設けられた複数の回転子コアと、上記永久磁石と上記回転子コアとを環状に配置して成る磁石及びコアの環状体の、軸方向の両端面に設置された端面板と、上記両端面の端面板と上記回転子コアとを固定する通しロッドと、上記端面板を固定するシャフトと、を備えている埋込磁石型回転子であって、
上記回転子コアは、磁性板材を軸方向に積層したブロックであり、
上記端面板は、非磁性の環状円板と上記環状円板の内周に接して設けられた上記環状円板より線膨張係数が小さいリング部材とを、焼きばめで一体化して形成されており、
上記環状円板は、その内周径を上記磁石及びコアの環状体の内周径より小さくしており、
上記シャフトは、上記リング部材と線膨張係数が同じであって、上記端面板の中心孔になっている上記リング部材の内周側の中空部に圧入されており、
上記通しロッド端部の通しロッド突出部の長さは、上記環状円板の厚さより大きく、上記通しロッド突出部は、上記環状円板の軸方向の外表面から突出しており、
上記磁石及びコアの環状体の内周側と上記シャフトとの間に、空間が形成され、
上記環状円板の内周面に、径方向の外側に窪み、かつ軸方向に延在する回り止め溝が形成され、上記リング部材の外周面に、径方向の外側に突出し、かつ軸方向に延在する回り止め突出部が形成され、上記回り止め溝と上記回り止め突出部とが嵌合している埋込磁石型回転子。 - 上記環状円板の内周面の外側縁部に径方向に突出する段付き部を備え、上記リング部材を上記環状円板の段付き部とは反対の方向から上記環状円板の内周面に挿入し、当て止まる位置で焼きばめして一体化している請求項1に記載の埋込磁石型回転子。
- 上記通しロッドの上記回転子コアにおける設置位置が、上記回転子コアの径方向の幅の中点より外側である請求項1または請求項2に記載の埋込磁石型回転子。
- 上記環状円板の外周径が、上記磁石及びコアの環状体の外周径以下であり、上記環状円板の通しロッド挿通孔を含む最小径以上である請求項1または請求項2に記載の埋込磁石型回転子。
- 上記環状円板が、その内周縁部に軸方向に突出する段付き部を備え、上記段付き部の外周面を上記回転子コアの内周部に接触させている請求項1または請求項2に記載の埋込磁石型回転子。
- 固定子と、上記固定子の内周部と所定の空隙を設けて回転自在に配設されている回転子とを備えた埋込磁石型回転電機であって、
上記回転子が、放射状に配列された複数の永久磁石と、上記永久磁石の間に設けられた複数の回転子コアと、上記永久磁石と上記回転子コアとを環状に配置して成る磁石及びコアの環状体の、軸方向の両端面に設置された端面板と、上記両端面の端面板と上記回転子コアとを固定する通しロッドと、上記端面板を固定するシャフトと、を備え、
上記回転子コアは、磁性板材を軸方向に積層したブロックであり、
上記端面板は、非磁性の環状円板と上記環状円板の内周に接して設けられた上記環状円板より線膨張係数が小さいリング部材とを、焼きばめで一体化して形成されており、
上記環状円板は、その内周径を上記磁石及びコアの環状体の内周径より小さくしており、
上記シャフトは、上記リング部材と線膨張係数が同じであって、上記端面板の中心孔になっている上記リング部材の内周側の中空部に圧入されており、
上記通しロッド端部の通しロッド突出部の長さは、上記環状円板の厚さより大きく、上記通しロッド突出部は、上記環状円板の軸方向の外表面から突出しており、
上記磁石及びコアの環状体の内周側と上記シャフトとの間に、空間が形成され、
上記環状円板の内周面に、径方向の外側に窪み、かつ軸方向に延在する回り止め溝が形成され、上記リング部材の外周面に、径方向の外側に突出し、かつ軸方向に延在する回り止め突出部が形成され、上記回り止め溝と上記回り止め突出部とが嵌合している埋込磁石型回転電機。 - 非磁性の環状円板の内周部に、上記環状円板より線膨張係数が小さいリング部材を配置して、上記環状円板の内周面に形成されるとともに径方向の外側に窪み、かつ軸方向に延在する回り止め溝と、上記リング部材の外周面に形成されるとともに径方向の外側に突出し、かつ軸方向に延在する回り止め突出部とを嵌合させ、更に上記環状円板と上記リング部材とを焼きばめで一体化して、端面板を形成する第1の工程と、
磁性板材を積層したブロックに通しロッドを通して形成している複数の回転子コアと、複数の永久磁石とを、周方向で交互に配置して環状に形成して得た磁石及びコアの環状体における軸方向の両端面に、上記第1の工程で形成した上記端面板を、上記通しロッドを介して固定するとともに上記通しロッド端部の通しロッド突出部の長さは、上記環状円板の厚さより大きく、上記通しロッド突出部は、上記環状円板の軸方向の外表面から突出させることにより回転子組立体を形成する第2の工程と、
上記第2の工程で形成した上記回転子組立体の両端面にある上記端面板の中心孔に、上記リング部材と線膨張係数が同じシャフトを圧入し、上記回転子組立体を上記シャフトに固定する第3の工程とを備えた埋込磁石型回転子の製造方法。
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