JP2015152709A - 障害予測システム、障害予測装置およびプログラム - Google Patents

障害予測システム、障害予測装置およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率の算出精度を高める。
【解決手段】モデル情報記憶部306に、画像形成装置100にトラブルが発生した場合における監視パラメータのデータ傾向を示す異常時モデルと、画像形成装置100にトラブルが発生しなかった場合における監視パラメータのデータ傾向を示す正常時モデルと、画像形成装置100の使用状況のデータと被監視装置に障害が発生した確率との関係を示す事前分布モデルとを記憶しており、保守・マシン情報収集部301が、障害予測対象の画像形成装置100から監視パラメータのデータ及び使用状況のデータを取得し、トラブル予兆判定部307が、当該取得した各データと、モデル情報記憶部306に記憶されている異常時モデル、正常時モデル、事前分布モデルとに基づいて、障害予測対象の画像形成装置100に障害が発生する確率を算出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、障害予測システム、障害予測装置およびプログラムに関する。
紙などの記録材に画像を形成する機能を備えた画像形成装置として、複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置、これらの機能を併せもった複合機などが知られている。
このような画像形成装置では、その動作に支障をきたす障害(故障や不具合を含む)が発生すると、画像形成装置の利用者に不便を生じることになる。そこで、画像形成装置における障害の発生について予測を行い、障害の発生に先立って或いは障害が発生した後に速やかに部品交換や修理等の必要な処置を施せるようにすることで、画像形成装置の利用が制限された状態となる時間を低減することが望まれている。
これまで、画像形成装置などの装置を対象とした障害予測に関し、種々の発明が提案されている。
例えば、特許文献1には、対象機器の内部情報を収集して、環境区分ごとに作成した回帰モデルを用いて故障予測指標を算出し、故障予兆指標の経時変化を数値化した指標と、経時的な故障対処状況を数値化する各パラメータを用いて故障対処の要否を判定する発明が開示されている。
例えば、特許文献2には、対象機器の内部情報に基づいて対象機器が故障予兆状態であるか否かを判別し、故障予兆状態であるとは判別した後、初期予兆時点からの経過時間に応じて対象機器が故障する確率を故障リスクの大きさとして示す発明が提案されている。
特開2009−003561号公報 特開2010−091840号公報
本発明は、障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率の算出精度を高めることが可能な技術を提案することを目的とする。
本発明(1)は、1以上の被監視装置について取得したデータに基づいて予め作成されたモデルであって、被監視装置に障害が発生した場合における被監視装置が動作制御に用いる制御パラメータのデータ傾向を示す第1のモデルと、被監視装置に障害が発生しなかった場合における制御パラメータのデータ傾向を示す第2のモデルと、被監視装置の使用状況のデータと被監視装置に障害が発生した確率との関係を示す第3のモデルと、を記憶する記憶手段と、障害予測対象の被監視装置について制御パラメータのデータおよび使用状況のデータを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された制御パラメータのデータおよび使用状況のデータと、前記記憶手段に記憶されている前記第1〜第3のモデルとに基づいて、前記障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率を算出する算出手段と、を備えたことを特徴とする障害予測システムである。
本発明(2)は、本発明(1)において、前記算出手段は、前記第1のモデルを用いて、被監視装置に障害が発生した場合における制御パラメータのデータが前記取得された制御パラメータのデータと同じ傾向であった確率を演算し、前記第2のモデルを用いて、被監視装置に障害が発生しなかった場合における制御パラメータのデータが前記取得された制御パラメータのデータと同じ傾向であった確率を演算し、前記第3のモデルを用いて、前記取得された使用状況のデータと同じ条件で被監視装置に障害が発生した確率および障害が発生しなかった確率を演算し、これらの演算結果に基づいて、前記障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率を算出する、ことを特徴とする障害予測システムである。
本発明(3)は、本発明(1)、(2)において、前記第3のモデルは、複数種類の使用状況のデータに基づいて、各種類のデータが取り得る値を複数に区分した単位での使用状況の組み合わせ毎に、その組み合わせに使用状況のデータが合致する被監視装置で障害が発生した確率を対応付けたものである、ことを特徴とする障害予測システムである。
本発明(4)は、本発明(1)〜(3)において、前記記憶手段は、前記第1〜第3のモデルを障害の種類毎に記憶し、前記算出手段は、障害の種類毎に、その種類の障害に対応する前記第1〜第3のモデルを用いて、前記障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率を算出する、ことを特徴とする障害予測システムである。
本発明(5)は、本発明(1)〜(4)において、1以上の被監視装置について取得したデータに基づいて、前記第1〜第3のモデルを作成する作成手段を備え、前記記憶手段は、前記作成手段により作成された前記第1〜第3のモデルを記憶する、ことを特徴とする障害予測システムである。
本発明(6)は、1以上の被監視装置について取得したデータに基づいて予め作成されたモデルであって、被監視装置に障害が発生した場合における被監視装置が動作制御に用いる制御パラメータのデータ傾向を示す第1のモデルと、被監視装置に障害が発生しなかった場合における制御パラメータのデータ傾向を示す第2のモデルと、被監視装置の使用状況のデータと被監視装置に障害が発生した確率との関係を示す第3のモデルと、を記憶する記憶手段と、障害予測対象の被監視装置について制御パラメータのデータおよび使用状況のデータを取得する取得手段と、前記取得手段により取得された制御パラメータのデータおよび使用状況のデータと、前記記憶手段に記憶されている前記第1〜第3のモデルとに基づいて、前記障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率を算出する算出手段と、を備えたことを特徴とする障害予測装置である。
本発明(7)は、コンピュータに、1以上の被監視装置について取得したデータに基づいて予め作成されたモデルであって、被監視装置に障害が発生した場合における被監視装置が動作制御に用いる制御パラメータのデータ傾向を示す第1のモデルと、被監視装置に障害が発生しなかった場合における制御パラメータのデータ傾向を示す第2のモデルと、被監視装置の使用状況のデータと被監視装置に障害が発生した確率との関係を示す第3のモデルと、を記憶する記憶機能と、障害予測対象の被監視装置について制御パラメータのデータおよび使用状況のデータを取得する取得機能と、前記取得機能により取得された制御パラメータのデータおよび使用状況のデータと、前記記憶機能により記憶されている前記第1〜第3のモデルとに基づいて、前記障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率を算出する算出機能と、を実現させるためのプログラムである。
本発明(1)、(2)、(6)、(7)によれば、障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率を、本発明を適用しない場合に比べて精度よく算出することができる。
本発明(3)によれば、第3のモデルのデータ量の削減や、障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率の算出に係る処理負担の軽減を図ることができる。
本発明(4)によれば、障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率を、障害の種類毎に把握できるようになる。
本発明(5)によれば、第1〜第3のモデルを適宜作り直すことができ、障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率の算出精度を高めることができる。
本発明の一実施形態に係る障害予測システムの構成例を示す図である。 トラブル判定用モデル及び事前分布モデルを生成する処理フローの例を示す図である。 (a)は、トラブルが発生した期間における特徴量の算出値の頻度分布の例を示す図であり、(b)は、トラブルが発生しなかった期間における特徴量の算出値の頻度分布の例を示す図である。 使用状況の違いがトラブル発生確率に影響を及ぼす例を示す図表である。 トラブル発生予兆確率を算出する処理フローの例を示す図である。 トラブル発生予兆確率を算出する処理を概念的に示す図である。
本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る障害予測システムの構成例を示してある。
本例の障害予測システムは、用紙等の記録材に画像を形成して出力する画像形成装置100と、画像形成装置100の管理者や保守作業の担当者などに利用される保守情報入力端末200と、を有している。図1の例では、2台の画像形成装置100と2台の保守情報入力端末200とを示してあるが、これらの台数は任意である。
また、本例の障害予測システムは、画像形成装置100及び保守情報入力端末200のそれぞれと有線又は無線により通信可能に接続された管理装置300を有している。管理装置300は、配下の画像形成装置100及び保守情報入力端末200から収集した情報を用いて、画像形成装置100において近い将来に障害(トラブル)が発生する確率(トラブル発生予兆確率)を算出する。
画像形成装置100は、用紙等の記録材に画像を形成する画像形成処理を行う装置である。以下では、画像形成装置100として、プリントジョブに基づいてプリント処理を実行するプリンタを例にして説明する。ここで、プリントジョブは、画像形成装置100がプリント処理を取り扱うデータ単位であり、プリント対象データ(文字、図形、画像等のデータ)やプリント時の設定データ(例えば、印刷枚数、両面/片面、カラー/白黒)などで構成される。なお、画像形成装置100としては、上記のプリンタの他、コピー機、ファクシミリ装置などの装置が挙げられ、また、これらの装置の機能を複合的に備えた複合機も含まれる。
本例の画像形成装置100は、画像形成処理の動作に用いる複数の制御パラメータを有しており、これらの制御パラメータを画像形成処理の際に適宜調整している。
また、制御パラメータの中でトラブルの発生の予測に寄与し得るものを監視パラメータとし、その値を検出して管理装置300へ提供する機能を有している。監視パラメータとしては、例えば、帯電電圧、現像バイアス、レーザ光量、トナー濃度等が挙げられる。
監視パラメータの検出値としては、その監視パラメータによる制御対象の部位について計測された計測値を用いてもよく、その部位の制御目標となる目標値を用いてもよく、計測値と目標値との差分などの演算値を用いてもよく、監視パラメータの制御に関する種々の値を用いることができる。
監視パラメータの値の検出は、予め規定されたタイミングで実施され、例えば、1枚のプリント毎、1又は複数ページの印刷出力をまとめたプリントジョブ毎、設定された時間間隔(例えば、5分)の経過毎などのタイミングで実施される。
また、本例の画像形成装置100は、自装置の使用状況について検出する機能を有している。使用状況とは、自装置がどのように使用されているかの状況を示すものであり、本例の画像形成装置100の使用状況は、当該画像形成装置100の内部(或いは外部)の温度や湿度といった使用環境の状況(外的な状況)と、当該画像形成装置100によるプリント枚数(白黒プリント枚数、カラープリント枚数、総プリント枚数)や印字数といった使用負荷の状況(内的な状況)とに大別できる。
本例では、使用状況の検出を、監視パラメータの値の検出と同じタイミングで行うが、これとは別のタイミングで行う構成としてもよい。
また、本例の画像形成装置100は、監視パラメータ及び装置使用状況の検出値を、当該画像形成装置100を識別する装置ID、検出日時などと共に、マシン情報として管理装置300へ送信する。管理装置300へのマシン情報の送信は、画像形成装置100が自律的に行ってもよく、管理装置300からの要求に応じて行ってもよい。
保守情報入力端末200は、利用者からの要請により画像形成装置100の設置場所に訪問して非定期の保守作業を実際に行った担当者やその報告を受けた者などから、実施した保守作業に関する保守情報の入力を受け付ける。入力される保守情報としては、例えば、保守作業の実施日時、保守作業の対象となった画像形成装置100を識別する装置ID、保守作業で対処されたトラブルの種類を識別するトラブルIDなどがある。すなわち、保守情報は、トラブル発生事例の情報ともいえる。
また、本例の保守データ入力端末200は、入力された保守情報を、管理装置300へ送信する。管理装置300への保守情報の送信は、保守情報入力端末200が自律的に行ってもよく、管理装置300からの要求に応じて行ってもよい。
本例の管理装置300は、画像形成装置100にトラブル発生予兆確率を算出する装置であり、保守・マシン情報収集部301、保守情報蓄積部302、マシン情報蓄積部303、予兆判定モデル生成部304、事前分布モデル生成部305、モデル情報記憶部306、トラブル予兆判定部307を有している。
保守・マシン情報収集部301は、画像形成装置100からマシン情報(監視パラメータ及び装置使用状況の検出値、装置ID、検出日時など)を受信(取得)して、マシン情報蓄積部303に記憶させる。
また、保守・マシン情報収集部301は、保守情報入力端末200から保守情報(保守作業の実施日時、装置ID、トラブルIDなど)を受信(取得)して、保守情報蓄積部302に記憶させる。
予兆判定モデル生成部304は、保守情報蓄積部302に蓄積されている保守情報及びマシン情報蓄積部303に蓄積されているマシン情報に基づいて、予兆判定モデルを生成する。予兆判定モデル生成部304により生成された予兆判定モデルは、モデル情報記憶部306に記憶され、トラブル予兆判定部307にてトラブル発生予兆確率を算出する際に使用される。
事前分布モデル生成部305は、保守情報蓄積部302に蓄積されている保守情報及びマシン情報蓄積部303に蓄積されているマシン情報に基づいて、事前分布モデルを生成する。事前分布モデル生成部305により生成された事前分布モデルは、モデル情報記憶部306に記憶され、トラブル予兆判定部307にてトラブル発生予兆確率を算出する際に使用される。
トラブル予兆判定部307は、障害予測対象の画像形成装置100についてマシン情報蓄積部303に蓄積されている直近過去のマシン情報と、モデル情報記憶部306に記憶されている予兆判定モデル及び事前分布モデルに基づいて、当該画像形成装置100におけるトラブル発生予兆確率を算出する。
予兆判定モデル生成部304及び事前分布モデル生成部305による予兆判定モデル及び事前分布モデルの生成について、図2に示す処理フローを参照して説明する。
まず、保守情報蓄積部302を参照して、トラブル発生事例(保守情報)を抽出する(ステップS11)。
次に、トラブル発生事例(保守情報)に対応する監視情報蓄積部303のマシン情報を参照して、トラブルが発生した(保守作業が施された)画像形成装置100について、その装置に発生したトラブル種類との対応が予め設定された(その種類のトラブルの発生の予測に寄与し得る)監視パラメータのデータを期間ΔT1単位ずつ取得し、また、使用状況のデータを期間ΔT単位ずつ取得する(ステップS12)。
なお、期間ΔTは任意であり、比較的短い期間(例えば、1ジョブ単位、数ジョブ単位、1日単位、数日単位)が用いられる。
ここで、監視パラメータのデータとしては、例えば、濃度変動に関わる画質トラブルを対象とする場合には、帯電電圧、現像バイアス、レーザ光量等のデータを取得する。
また、使用状況のデータとしては、例えば、使用環境の状況について、平均温度、平均湿度等のデータを取得し、使用負荷の状況について、単位日数当たりの平均プリント枚数、単位日数当たりの平均白黒カラー比率、単位日数当たりの平均印字率等のデータを取得する。
次に、トラブル種類毎に予め用意された1又は複数の特徴量算出部(図示せず)を用いて、画像形成装置100毎に、その装置に発生したトラブル種類に関してΔTの期間単位で取得した監視パラメータのデータの特徴量を算出する(ステップS13)。
監視パラメータのデータの特徴量としては、ジョブ単位或いは1日単位の期間における監視パラメータのデータの標準偏差、数ジョブ単位或いは数日単位の期間における監視パラメータ間のデータ推移の相関係数、等が挙げられる。本例では、トラブル種類毎に、その種類のトラブルの発生に関連して特徴的に変化すると想定される複数種類の特徴量を予め規定してあり、対象となるトラブル種類に対応する各特徴量を個別に算出する。
次に、画像形成装置100毎に、その装置に発生したトラブル種類に対応する各々の特徴量について、トラブル発生日時以前のΔTの期間における特徴量の頻度値の分布(ヒストグラム)と、それ以外の期間(トラブルが発生しなかった期間)における特徴量の頻度値の分布(ヒストグラム)とを作成し、頻度値を正規化しておく(ステップS14)。
すなわち、図3(a)に例示するようなトラブル有りの頻度分布(トラブルが発生した期間における特徴量の頻度分布)と、図3(b)に例示するようなトラブル無しの頻度分布(トラブルが発生しなかった期間における特徴量の頻度分布)を、画像形成装置100毎及びその装置に発生したトラブル種類に対応する特徴量毎に作成する。なお、特徴量の頻度分布は、特徴量の取り得る値の範囲を一定幅で区切った区間毎に、特徴量の個数(頻度値)を計数することで作成できる。
ここで、ΔTの長さは任意であり、少なくともΔTより長い期間(例えば、5日間)が用いられる。
なお、装置間の特徴量のばらつきを補正するために、画像形成装置100毎に各特徴量の平均値と標準偏差を算出し、特徴量を規格化して頻度分布を作成してもよい。
そして、トラブル種類毎に、全ての画像形成装置100について個別に作成したトラブル有りの正規化後の頻度分布を特徴量別に平均化したものを異常時モデルとして生成し、また、全ての画像形成装置100について個別に作成したトラブル無しの正規化の後頻度分布を特徴量別について平均化したものを正常時モデルとして生成し、これら異常時モデル及び正常時モデルを予兆判定モデルとしてモデル情報記憶部306に保存する(ステップS15)。
このように、本例では、トラブル種類毎に、そのトラブルが発生した場合の監視パラメータのデータ傾向を示す異常時モデルと、そのトラブルが発生しなかった場合の監視パラメータのデータ傾向を示す正常時モデルとを生成し、予兆判定モデルとしてモデル情報記憶部306に保存しておく。
また、画像形成装置100の各々について取得した複数の使用状況(使用環境の状況及び使用負荷の状況)のデータに基づいて、各々の使用状況が取り得る値を複数に区分した分類単位での使用状況の組み合わせ毎に、その組み合わせに使用状況が合致する状態の画像形成装置100でのΔT分の期間におけるトラブル種類毎のトラブル発生確率(トラブルが発生した確率)を算出する(ステップS16)。
すなわち、図4に例示するように、使用状況(図4(a)は温度の例)の違いがトラブル発生確率に影響を及ぼすので、これを加味して障害予測対象の画像形成装置100におけるトラブル発生予兆確率を算出できるように、予め定められた単位に区分した各々の使用状況をクロス集計した組み合わせ毎に、その組み合わせに使用状況が合致する状態についてトラブル発生確率を算出する。例えば、図4(b)の表に例示するように、温度と湿度をそれぞれ或る単位で区分した組み合わせ毎に、その組み合わせに温度と湿度が合致する状態の画像形成装置100におけるトラブル発生確率を算出してクロス集計表を作成する。図4(b)のクロス集計表では、温度xを基準値α1、α2を用いて3段階(x<α1、α1≦x<α2、α2≦x)に区分し、湿度yを基準値β1、β2を用いて3段階(y<β1、β1≦y<β2、β2≦y)に区分して、その組み合わせ毎にトラブル発生確率(及びトラブル未発生確率(=100%−トラブル発生確率))の算出値を設定してある。
そして、トラブル種類毎に生成したトラブル発生確率のクロス集計表を事前分布モデルとしてモデル情報記憶部306に保存する(ステップS17)。
このように、本例では、トラブル種類毎に、画像形成装置100の使用状況のデータと被監視装置に障害が発生した確率との関係を示す事前分布モデルを生成し、モデル情報記憶部306に保存しておく。
ここで、本例では、予兆判定モデル生成部304と事前分布モデル生成部305が、予兆判定モデル(異常時モデル及び正常時モデル)と事前分布モデルを定期的に作成し直して、モデル記憶部305の記憶内容を更新しているが、これらの更新タイミングは必ずしも同時である必要はない。例えば、予兆判定モデルの更新は、トラブル発生事例(保守情報)が蓄積される頻度に応じて、トラブル種類毎に、3ヶ月に一度、半年に一度といったタイミングで行えばよい。また、事前分布モデルの更新は、使用状況における使用負荷の状況に関しては、プリント枚数の変動が捉えられる粒度として1ヶ月に一度といったタイミングで行い、使用状況における使用環境の状況に関しては、季節要因が反映されるように1年に一度といったタイミングで行えばよい。
トラブル予兆判定部307によるトラブル発生予兆確率の算出について、図5に示す処理フローを参照して説明する。なお、図6には、トラブル予兆判定部307によるトラブル発生予兆確率の算出について、概念的に示してある。
まず、障害予測対象の画像形成装置100についてマシン情報蓄積部303に蓄積されている直近過去のマシン情報を参照して、特徴量の算出に必要な分の監視パラメータのデータを取得し、また、使用状況のデータを取得する(ステップS21)。
次に、予兆判定モデルの生成時と同様の手法により各特徴量の算出を行う(ステップS22)。
次に、トラブル種類毎に、そのトラブル種類に対応する予兆判定モデル及び事前分布モデルをモデル情報記憶部306から取得する(ステップS23)。
そして、障害予測対象の画像形成装置100について得た各情報と予兆判定モデル及び事前分布モデルとに基づいて、下記(式1)により、当該画像形成装置100に近い将来にトラブルが発生する確率(トラブル発生予兆確率)を算出する(ステップS24)。
本例では、障害予測対象のトラブル種類をトラブルTとし、障害予測対象の画像形成装置100における直近過去のマシン情報から得られたトラブルTに関するn種の特徴量X(1≦i≦n)の各値をそれぞれxとし、当該マシン情報から得られたm種の使用状況s(1≦j≦m)の組み合わせを状態Sとして、(式1)により、障害予測対象の画像形成装置100にトラブルTが発生する確率を算出する。なお、(式1)は、各々の特徴量の間に相関が無いことを前提としている。
Figure 2015152709
ここで、P(T=yes|S)は、画像形成装置100の使用状況が状態Sの場合にトラブルTが発生した確率(事前確率)であり、P(T=no|S)は、画像形成装置100の使用状況が状態Sの場合にトラブルTが発生しなかった確率(事前確率)である。なお、P(T=yes|S)+P(T=no|S)=1という関係を有する。
また、P(x|(T=yes))は、トラブルTが発生した場合にi番目の特徴量Xの値がxであった確率であり、トラブルTに対応する特徴量Xについてのトラブル種類判定用確率分布(トラブル有り)におけるxの確率を用いる。
また、P(x|(T=no))は、トラブルTが発生しなかった場合にi番目の特徴量Xの値がxであった確率であり、トラブルTに対応する特徴量Xについてのトラブル種類判定用確率分布(トラブル無し)におけるxの確率を用いる。
すなわち、(式1)では、画像形成装置100の使用状況が状態Sの場合にトラブルTが発生した確率(事前確率)と、トラブルTが発生した場合にn種の特徴量X(1≦i≦n)の各値として(x,x,・・・,x)という組み合わせが得られた確率とを乗じた値[P(T=yes|S)・ΠP(x|(T=yes))]、及び、画像形成装置100の使用状況が状態Sの場合にトラブルTが発生しなかった確率(事前確率)と、トラブルTが発生しなかった場合にn種の特徴量X(1≦i≦n)の各値として(x,x,・・・,x)という組み合わせが得られた確率とを乗じた値[P(T=no|S)・ΠP(x|(T=no))]を用いて、障害予測対象の画像形成装置100にトラブルTが発生する確率[P((T=yes)|x,x,・・・,x,S)]を算出する。
本例の管理装置300は、図6に示すように、障害予測対象の画像形成装置100についてトラブル種類毎にトラブル発生予兆確率を算出すると、当該画像形成装置100の管理者や保守作業の担当者などに算出結果を通知する。算出結果の通知は、該当する者に宛てたメール送信や、その者が使用する保守情報入力端末200による表示出力などの種々の手法により行うことができる。
また、本例では、トラブル種類毎に算出したトラブル発生予兆確率の全てを確率の高い順に通知するが、予め定めた閾値を上回るトラブル発生予兆確率のみの通知や、上位から予め定めた個数のトラブル発生予兆確率のみの通知など、選択的な通知を行うようにしてもよい。
以上のように、本例の障害予測システムでは、管理装置300において、モデル情報記憶部306に、画像形成装置100にトラブルが発生した場合における監視パラメータのデータ傾向を示す異常時モデルと、画像形成装置100にトラブルが発生しなかった場合における監視パラメータのデータ傾向を示す正常時モデルと、画像形成装置100の使用状況のデータと被監視装置に障害が発生した確率との関係を示す事前分布モデルとを記憶しており、保守・マシン情報収集部301が、障害予測対象の画像形成装置100からマシン情報(監視パラメータのデータ及び使用状況のデータ)を取得し、トラブル予兆判定部307が、当該取得した監視パラメータのデータ及び使用状況のデータと、モデル情報記憶部306に記憶されている異常時モデル、正常時モデル、事前分布モデルとに基づいて、障害予測対象の画像形成装置100に障害が発生する確率(トラブル発生予兆確率)を算出するようにした。
より具体的には、トラブル予兆判定部307が、以下のようにしてトラブル発生予兆確率を算出するようにした。
すなわち、異常時モデルを用いて、トラブルが発生した画像形成装置100における監視パラメータのデータが障害予測対象の画像形成装置100から取得した監視パラメータのデータと同じ傾向であった確率[ΠP(x|(T=yes))]を演算する。
また、正常時モデルを用いて、トラブルが発生しなかった画像形成装置100における監視パラメータのデータが障害予測対象の画像形成装置100から取得した監視パラメータのデータと同じ傾向であった確率[ΠP(x|(T=No))]を演算する。
また、事前分布モデルを用いて、障害予測対象の画像形成装置100から取得した使用状況のデータと同じ条件で障害が発生した確率[P(T=yes|S)]および障害が発生しなかった確率[P(T=No|S)]を演算する。
そして、これらの演算結果に基づいて、(式1)により、トラブル発生予兆確率を算出する。
これにより、障害予測対象の画像形成装置100のトラブル発生予兆確率を、当該画像形成装置100と同じような使用状況にあった画像形成装置100におけるトラブル発生確率に応じて調整することができるため、トラブル発生予兆確率を精度よく算出することができる。
また、本例の障害予測システムでは、複数種類の使用状況のデータに基づいて、各種類のデータが取り得る値を複数に区分した単位での使用状況の組み合わせ毎に、その組み合わせに使用状況のデータが合致する画像形成装置100で障害が発生した確率を対応付けたクロス集計表を、事前分布モデルとして用いるようにした。
これにより、事前分布モデルのデータ量の削減や、トラブル発生予兆確率の算出に係る処理負担の軽減を図りつつ、トラブル発生予兆確率を精度よく算出することができる。
また、本例の障害予測システムでは、モデル情報記憶部306に、異常時モデル、正常時モデル、事前分布モデルのそれぞれをトラブル種類毎に保持させておき、トラブル予兆判定部307が、トラブル種類毎に、そのトラブル種類に対応する各モデルを用いて、トラブル発生予兆確率を算出するようにした。
これにより、障害予測対象の画像形成装置100のトラブル発生予兆確率を、トラブル種類毎に把握できるようになる。
また、本例の障害予測システムでは、保守・マシン情報収集部301により配下の画像形成装置100及び保守情報入力端末200から収集されて保守情報蓄積部302及びマシン情報蓄積部303に蓄積されたデータ(保守情報及びマシン情報)に基づいて、予兆判定モデル生成部304が予兆判定モデル(異常時モデル及び正常時モデル)を作成し、また、事前分布モデル生成部305が事前分布モデルを作成し、これらのモデルをモデル記憶部306に記憶させるようにした。
これにより、トラブル発生予兆確率の算出に用いる各モデルを適宜に更新することができ、トラブル発生予兆確率の算出精度を高めることができる。
ここで、本例の管理装置300は、各種演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)、CPUの作業領域となるRAM(Random Access Memory)や基本的な制御プログラムなどを記録したROM(Read Only Memory)等の主記憶装置、各種のプログラムやデータを記憶するHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置、各種の情報を表示出力するための表示装置及び操作者により入力操作に用いられる操作ボタンやタッチパネル等の入力機器とのインタフェースである入出力I/F、他の装置との間で有線又は無線により通信を行うインタフェースである通信I/F、といったハードウェア資源を備えたコンピュータにより実現されている。
そして、本発明に係るプログラムを補助記憶装置等から読み出してRAMに展開し、これをCPUにより実行させることで、本発明に係る障害予測装置の各機能を管理装置300のコンピュータにより実現している。
なお、本例では、本発明に係る記憶手段の機能をモデル記憶部306により実現し、本発明に係る取得手段の機能を保守・マシン情報収集部301により実現し、本発明に係る算出手段の機能をトラブル予兆判定部307により実現している。
ここで、本発明に係るプログラムは、例えば、当該プログラムを記憶したCD−ROM等の外部記憶媒体から読み込む形式や、通信網等を介して受信する形式などにより、管理装置300のコンピュータに設定される。
なお、本例のようなソフトウェア構成により各機能部を実現する態様に限られず、各機能部を専用のハードウェアモジュールで実現するようにしてもよい。
また、本例では、本発明に係る障害予測装置の各機能を1台の装置(管理装置300)に設けた構成としてあるが、互いに通信可能に接続された複数台の装置に各機能を分散して設ける構成としてもよい。
また、本発明に係る障害予測装置の各機能を各々の画像形成装置100に持たせ、各画像形成装置100が、自装置について障害が発生する確率を算出(自己診断)する構成としてもよく、この場合には、管理装置300が予兆判定モデル及び事前分布モデルを作成して各画像形成装置100に配信し、記憶させればよい。
また、これまでの説明では、画像形成装置100を例にして障害の発生確率を算出する処理の説明を行ったが、使用状況の相違が障害の発生確率に影響を及ぼす他の装置を被監視装置としてもよく、障害の発生確率の算出に必要なデータを各装置から収集することが可能な仕組みがあればよい。
本発明は、使用状況の相違が障害の発生確率に影響を及ぼす装置を被監視装置として障害予測を行う種々のシステムや装置、これらのプログラム、方法等に利用することができる。
100:画像形成装置、 200:保守情報入力端末、 300:管理装置、
301:保守・マシン情報収集部、 302:保守情報蓄積部、 303:マシン情報蓄積部、 304:予兆判定モデル生成部、 305:事前分布モデル生成部、 306:モデル情報記憶部、 307:トラブル予兆判定部

Claims (7)

  1. 1以上の被監視装置について取得したデータに基づいて予め作成されたモデルであって、被監視装置に障害が発生した場合における被監視装置が動作制御に用いる制御パラメータのデータ傾向を示す第1のモデルと、被監視装置に障害が発生しなかった場合における制御パラメータのデータ傾向を示す第2のモデルと、被監視装置の使用状況のデータと被監視装置に障害が発生した確率との関係を示す第3のモデルと、を記憶する記憶手段と、
    障害予測対象の被監視装置について制御パラメータのデータおよび使用状況のデータを取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された制御パラメータのデータおよび使用状況のデータと、前記記憶手段に記憶されている前記第1〜第3のモデルとに基づいて、前記障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率を算出する算出手段と、
    を備えたことを特徴とする障害予測システム。
  2. 前記算出手段は、
    前記第1のモデルを用いて、被監視装置に障害が発生した場合における制御パラメータのデータが前記取得された制御パラメータのデータと同じ傾向であった確率を演算し、
    前記第2のモデルを用いて、被監視装置に障害が発生しなかった場合における制御パラメータのデータが前記取得された制御パラメータのデータと同じ傾向であった確率を演算し、
    前記第3のモデルを用いて、前記取得された使用状況のデータと同じ条件で被監視装置に障害が発生した確率および障害が発生しなかった確率を演算し、
    これらの演算結果に基づいて、前記障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率を算出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の障害予測システム。
  3. 前記第3のモデルは、複数種類の使用状況のデータに基づいて、各種類のデータが取り得る値を複数に区分した単位での使用状況の組み合わせ毎に、その組み合わせに使用状況のデータが合致する被監視装置で障害が発生した確率を対応付けたものである、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の障害予測システム。
  4. 前記記憶手段は、前記第1〜第3のモデルを障害の種類毎に記憶し、
    前記算出手段は、障害の種類毎に、その種類の障害に対応する前記第1〜第3のモデルを用いて、前記障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率を算出する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の障害予測システム。
  5. 1以上の被監視装置について取得したデータに基づいて、前記第1〜第3のモデルを作成する作成手段を備え、
    前記記憶手段は、前記作成手段により作成された前記第1〜第3のモデルを記憶する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の障害予測システム。
  6. 1以上の被監視装置について取得したデータに基づいて予め作成されたモデルであって、被監視装置に障害が発生した場合における被監視装置が動作制御に用いる制御パラメータのデータ傾向を示す第1のモデルと、被監視装置に障害が発生しなかった場合における制御パラメータのデータ傾向を示す第2のモデルと、被監視装置の使用状況のデータと被監視装置に障害が発生した確率との関係を示す第3のモデルと、を記憶する記憶手段と、
    障害予測対象の被監視装置について制御パラメータのデータおよび使用状況のデータを取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された制御パラメータのデータおよび使用状況のデータと、前記記憶手段に記憶されている前記第1〜第3のモデルとに基づいて、前記障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率を算出する算出手段と、
    を備えたことを特徴とする障害予測装置。
  7. コンピュータに、
    1以上の被監視装置について取得したデータに基づいて予め作成されたモデルであって、被監視装置に障害が発生した場合における被監視装置が動作制御に用いる制御パラメータのデータ傾向を示す第1のモデルと、被監視装置に障害が発生しなかった場合における制御パラメータのデータ傾向を示す第2のモデルと、被監視装置の使用状況のデータと被監視装置に障害が発生した確率との関係を示す第3のモデルと、を記憶する記憶機能と、
    障害予測対象の被監視装置について制御パラメータのデータおよび使用状況のデータを取得する取得機能と、
    前記取得機能により取得された制御パラメータのデータおよび使用状況のデータと、前記記憶機能により記憶されている前記第1〜第3のモデルとに基づいて、前記障害予測対象の被監視装置に障害が発生する確率を算出する算出機能と、
    を実現させるためのプログラム。
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