JP2015152373A - 原子力プラント計装装置 - Google Patents
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Abstract
Description
1.第1実施形態:差圧測定用の圧力伝送器の適用例
2.第2実施形態:水素透過防止層を設けた差圧測定用の圧力伝送器の適用例
3.第3実施形態:絶対圧力測定用の圧力伝送器の適用例
4.第4実施形態:中間ダイアフラムを備えた圧力伝送器の適用例
(差圧測定用の圧力伝送器の適用例)
図1は、原子力プラント一次系を対象とした第1実施形態に係る原子力プラント計装装置の適用例を示す図であり、沸騰水型の原子力プラント(Boiling Water Reactor:BWR)における給水系及び復水系の構成を示す図である。以下この図に基づいて、原子力プラント100の一次系においてプロセス計測する部位に、本実施形態の原子力プラント計装装置を用いる例を示す。
この図に示すように、原子力プラント100は、核燃料の集合体である炉心51を、炉水52に浸漬させた状態で収容する圧力容器53を備えている。圧力容器53には、主蒸気配管54を介して高圧タービン55が接続され、この高圧タービン55には湿分分離加熱器56を介して低圧タービン57が接続されている。高圧タービン55と、低圧タービン57とは同軸状に配置され、さらにこれらのタービンによって稼働する発電機58が接続されている。湿分分離加熱器56には、ドレン配管59を介してドレンタンク60が設けられている。
原子力プラント計装装置10は、圧力伝送器1と、圧力伝送器1の出力信号が取り込まれる制御装置80と、該制御装置80を介して計測した水位情報が出力されるモニター81とを備えている。そして特に、第1実施形態の原子力プラント計装装置10は、差圧測定用の圧力伝送器1を備えており、その構成が特徴的である。以下に、原子力プラント計装装置10の特徴部である圧力伝送器1を詳述する。
図2は、第1実施形態に係る原子力プラント計装装置の要部である圧力伝送器の構成を示す図である。この図に示す圧力伝送器1は、原子力プラント一次系における炉水52を測定流体とした圧力測定に用いられるものであり、2点間(高圧側と低圧側)の圧力差を測定するものである。
導圧路11,11’は、それぞれの一方の開口部分において開口径を拡大した受圧室11a,11a’を備えている。この受圧室11a,11a’によって拡大された導圧路11,11’の開口部分が、それぞれ受圧ダイアフラム13,13’によって閉塞されている。そしてこの導圧路11,11’は、原子力プラント100の一次系における計測部位に設置される。導圧路11,11’は、受圧ダイアフラム13,13’で閉塞される側の開口において、測定流体が流れる配管に接続されることとする。各受圧室11a,11a’は、受圧ダイアフラム13,13’の受圧による動きを妨げることのない内部形状で形成されていることとする。
封入液Lは、以上のように閉塞された一対の導圧路11,11’内に封入されたもので、受圧室11a,11a’、放圧室11b,11b’、および分岐した圧力センサ15までの部分を含む導圧路11,11’内に充填されている。これら一対の導圧路11,11’内に充填される封入液Lは、同一の種類のものであって良い。これらの封入液Lは、例えばシリコンオイルであり、一例としてジメチルシリコンオイル、またはフェニル基を含むメチルフェニルシリコンオイルである。フェニル基を含むシリコンオイルは、具体的には下記構造式(1)に示すメチルフェニルシリコンオイルである。フェニル基は、結合力が高い二重結合構造を有する基であり、放射線分解や熱分解によって水素原子やメチル基が脱離し難い。このため、特に原子力プラント100の一次系に適用される原子力プラント計装装置の封入液としては、より放射線分解や熱分解しやすい部分にメチルフェニルシリコンオイルを充填することが好ましい。
受圧ダイアフラム13,13’は、測定流体Fh,Flに対して直接晒されてその圧力を受圧するダイアフラムである。尚、測定流体Fh,Flは、この圧力伝送器1が設置される原子力プラント一次系における炉水52である。
圧力センサ15は、導圧路11,11’に充填された封入液Lによって伝送された圧力を検出するためのものであり、例えば半導体圧力センサである。この圧力センサ15は、半導体チップの両面に印加された圧力の差を電気信号に変換して出力するものである。このような圧力センサ15は、一方の面において、導圧路11内の封入液Lによって伝達された圧力を受け、他方の面において導圧路11’内の封入液Lによって伝達された圧力を受けるように、導圧路11,11’に挟持されている。これにより、受圧ダイアフラム13で受けた高圧側の測定流体Fhと、受圧ダイアフラム13’で受けた低圧側の測定流体Flとの圧力差が検出される構成となっている。
センタダイアフラム17は、加わる圧力に対応して変形量が少ない過負荷保護用のダイアフラムであって、一対の導圧路11,11’に対して圧力センサ15と並列に配置されている。このようなセンタダイアフラム17は、各導圧路11,11’に設けられた放圧室11b、11b’の開口を閉塞し、この開口において導圧路11,11’同士を隔てると共に、両側が封入液Lに晒されるように設けられている。これにより、受圧ダイアフラム13,13’のうちの一方に過大な圧力が加わった場合にも、センタダイアフラム17自身が大きく変形しないので、受圧ダイアフラム13,13’の変形量も大きくならずに破損が起こり難い構成となっている。
水素吸蔵材は、導圧路11,11’の内部に設けられることで封入液Lに接触する状態で配置されている。ここでは特に、導圧路11,11’の配設方向に沿って水素吸蔵材が配置されていることが好ましい。
以上説明した原子力プラント100の給水系及び復水系は、原子力プラントの一次系であり、放射線量が高い特殊環境であり、このドレンタンク68の水位計測に設けた原子力プラント計装装置10においては封入液Lが放射線分解し易い環境である。
またさらに、原子力プラント100の炉心51を直接冷却する炉水52が測定流体であり、放射線分解等で発生した水素を多量に含んだものとなる。この炉水52は、蒸気として主蒸気配管54から、湿分分離加熱器56、ドレンタンク60、給水加熱器65、復水器61、およびドレンタンク68などに導入される。蒸気として導入された炉水52は、湿分分離加熱器56および給水加熱器65等により凝縮し、凝縮水となる。一方で、蒸気に含まれた非凝縮性の水素は、比重が飽和蒸気の比重より小さいため上部に蓄積され、次第に高濃度となる。測定流体である炉水52の上部に蓄積した水素は、濃度が高くなるほど受圧ダイアフラム13,13’を透過しやすくなる。
(水素透過防止層を設けた差圧測定用の圧力伝送器の適用例)
第2実施形態に係る原子力プラント計装装置は、圧力伝送器の構成のみが先の図2の原子力プラント計装装置と異なり、原子プラント一次系に対する配置状態を含む他の構成は同一である。以下に、本実施形態に係る原子力プラント計装装置の特徴部である圧力伝送器2を詳述する。
図9は、第2実施形態に係る原子力プラント計装装置の要部である圧力伝送器の構成を示す図である。この図に示す圧力伝送器2は、図1に示す原子力プラント一次系における炉水52を測定流体とした圧力測定に用いられるものであり、2点間(高圧側と低圧側)の圧力差を測定するものである。この圧力伝送器2が、図2を用いて説明した圧力伝送器1と異なるところは、受圧ダイアフラム13,13’に水素透過防止層21が設けられたところにあり、他の構成は同様である。このため、図2に示す圧力伝送器1と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
水素透過防止層21は、受圧ダイアフラム13,13’に設けられたものである。この水素透過防止層21は、受圧ダイアフラム13,13’における導圧路11,11’側の表面層または受圧ダイアフラム13,13’の中間層として設けられ、測定流体Fh,Flに接触することのない状態で配置されていることが好ましい。これにより、測定流体Fh,Flとなる炉水52や、この測定流体Fh,Flが関わるプロセス系に対する水素透過防止層21の影響が抑えられる構成となっている。
以上のような第2実施形態の原子力プラント計装装置は、原子力プラント一次系に設けられ、受圧ダイアフラム13,13’に水素透過防止層21が設けられた圧力伝送器2を有する構成である。これにより、測定流体Fh,Flに含有される水素が導圧路11,11’に充填された封入液Lに混入することを防止できる。したがって、さらに水素濃度が高い炉水52を測定流体Fh,Flとする場合であっても、第1実施形態の原子力プラント計装装置の効果に加えて、十分に導圧路11,11’内部の圧力の安定化を図ることができ、さらに信頼性とともに保守性の向上が図られたものとなる。
(絶対圧力測定用の圧力伝送器の適用例)
第3実施形態に係る原子力プラント計装装置は、圧力伝送器の構成のみが先の図1の原子力プラント計装装置と異なり、他の構成は同一である。以下に、本実施形態に係る原子力プラント計装装置の特徴部である圧力伝送器3を詳述する。
図11は、第3実施形態に係る原子力プラント計装装置の要部である圧力伝送器の構成を示す図である。この図に示す圧力伝送器3は、図1に示す原子力プラント一次系における炉水52を測定流体とした圧力測定に用いられるものであり、測定流体Fの圧力を測定する絶対圧力測定用のものである。この圧力伝送器3が、図2を用いて説明した圧力伝送器1と異なるところは、1つの圧力センサ15に対して、1つの受圧ダイアフラム13と、1つの導圧路11とのみを有しているところにあり、他の構成は同様である。
以上のような圧力伝送器3を有する第3実施形態の原子力プラント計装装置であっても、第1実施形態および第2実施形態で説明したと同様の効果を得ることができる。
(中間ダイアフラムを備えた圧力伝送器の適用例)
第4実施形態に係る原子力プラント計装装置は、圧力伝送器の構成のみが先の図1の原子力プラント計装装置と異なり、原子プラント一次系に対する配置状態を含む他の構成は同一である。以下に、本実施形態に係る原子力プラント計装装置の特徴部である圧力伝送器4を詳述する。
図12は、第4実施形態に係る原子力プラント計装装置の要部の圧力伝送器の構成を示す図である。この図に示す圧力伝送器4は、図1に示す原子力プラント一次系における炉水52を測定流体とした圧力測定において、特に高温環境下に適して用いられるものであり、ここでは2点間(高圧側と低圧側)の圧力差を測定するものとして説明を行う。この圧力伝送器4が、図2を用いて説明した圧力伝送器1と異なるところは、導圧路11,11’が複数の管体部分41,42,…、41’,42’…を接続して構成されたもので、その接続部に中間ダイアフラム40が設けられているところであり、他の構成は同様である。このため、図2に示す圧力伝送器1と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
導圧路11,11’は、直列に接続された複数本の管体部分41,42,…、41’,42’,…を備えている。図示した例においては、導圧路11が3本の管体部分41,42,43で構成され、導圧路11’が3本の管体部分41’,42’,43’で構成されている。各管体部分41〜43’は、それぞれが測定流体Fh,Flの受圧側の開口部分において開口径を拡大した受圧室11a,11a’を構成し、他方の開口部分において開口径を拡大した放圧室11b,11b’を構成している。
中間ダイアフラム40は、受圧ダイアフラム13,13’から圧力センサ15にわたって配置された導圧路11,11’の中間部に設けられたものあって、過大圧による受圧ダイアフラム13,13’および圧力センサ15の破壊を防止するためのものである。このような中間ダイアフラム40は、各導圧路11,11’の中間部を閉塞することにより、各導圧路11,11’を複数の管体部分41,42,43、41’,42’,43’に分断すると共に、両側が各封入液Lに晒されるように設けられている。これにより、受圧ダイアフラム13,13’のうちの一方に過大な圧力が加わった場合にも、中間ダイアフラム40が過大圧の緩衝材となって、受圧ダイアフラム13,13’および圧力センサ15の破壊が起こり難い構成となっている。尚、中間ダイアフラム40のうち、最も圧力センサ15に近く配置されたものは、シールダイアフラムとして本体部を構成する。
以上のような第4実施形態の原子力プラント計装装置は、高温環境で使用されるものであるため、使用時においては瞬時的に高温(例えば300℃を超える)雰囲気に晒される場合もある。このような場合であっても、原子力プラント計装装置は、導圧路11,11’を構成する各管体部分41,42,43、41’,42’,43’に水素吸蔵材を設けた圧力伝送器4を有する構成であるため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第2実施形態と組み合わせて受圧ダイアフラム13,13’に水素透過防止層を設けた構成とすることにより、第2実施形態の効果を得ることができる。
11,11’…導圧路
11a,11a’…受圧室(導圧路)
11b,11b’…放圧室(導圧路)
13,13’…受圧ダイアフラム
15…圧力センサ
17…センタダイアフラム
19,19a,19b,19c…水素吸蔵材
21,21a,21b…水素透過防止層
31…真空チャンバー
40…中間ダイアフラム
41,41,42,41’,42’,43’…管体部分
F…測定流体
Fh…測定流体(高圧側)
Fl…測定流体(低圧側)
L…封入液
80…制御装置
81…モニター
82…中央操作監視盤
10…原子力プラント計装装置
100…原子力プラント
Claims (14)
- 原子力プラント一次系における測定流体を計測する部位に設けられる管状の導圧路と、
前記導圧路内に充填された封入液と、
前記導圧路における一方の開口を閉塞する状態で設けられ測定流体の圧力を受圧する受圧ダイアフラムと、
前記封入液に晒された状態で前記導圧路における他方の開口に設けられた圧力センサと、
前記導圧路の内部に設けられた水素吸蔵材とを有する
原子力プラント計装装置。 - 前記封入液はフェニル基を含むシリコンオイルである
請求項1記載の原子力プラント計装装置。 - 前記シリコンオイルは、メチルフェニルシリコンオイルである
請求項2記載の原子力プラント計装装置。 - 前記水素吸蔵材は、水素および前記導圧路内において発生した炭化水素中の水素原子を吸蔵する
請求項1記載の原子力プラント計装装置。 - 前記水素吸蔵材は、前記導圧路の配設方向に沿って配置されている
請求項1記載の原子力プラント計装装置。 - 前記水素吸蔵材は、前記封入液中に混合されている
請求項5記載の原子力プラント計装装置。 - 前記水素吸蔵材は、パラジウム、マグネシウム、バナジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ニッケル、ニオブ、コバルト、カルシウム、または、これらの合金である
請求項1記載の原子力プラント計装装置。 - 前記受圧ダイアフラムに水素透過防止層が設けられた
請求項1〜7の何れか記載の原子力プラント計装装置。 - 前記水素透過防止層は、前記受圧ダイアフラムにおける前記導圧路側の表面層または当該受圧ダイアフラムの中間層として設けられている
請求項8記載の原子力プラント計装装置。 - 前記水素透過防止層は、水素吸蔵材または水素遮断材で構成された
請求項8記載の原子力プラント計装装置。 - 前記水素透過防止層は、金、銀、銅、白金、アルミニウム、クロム、チタン、またはそれらの合金で構成された
請求項8記載の原子力プラント計装装置。 - 前記封入液が充填されると共に一方の開口が前記受圧ダイアフラムで閉塞された一対の前記導圧路が、前記圧力センサを両面側から挟持する状態で配置された
請求項1記載の原子力プラント計装装置。 - 前記一対の導圧路に対して前記圧力センサと並列に挟持されたセンタダイアフラムを有し、当該センタダイアフラムに前記水素吸蔵材が設けられている
請求項12記載の原子力プラント計装装置。 - 前記導圧路は、直列に接続された複数の管体部分と、当該各管体部分の接続部に設けられた中間ダイアフラムとを備え、
前記中間ダイアフラムに前記水素吸蔵材が設けられた
請求項1記載の原子力プラント計装装置。
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