JP2015151580A - 多孔質金属箔及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明導電膜として利用可能な程に高い開口率を有し、安価且つ簡素なプロセスで量産可能な多孔質金属箔を提供する。【解決手段】不規則に張り巡らされてなる金属繊維11で構成される二次元網目構造からなり、前記金属繊維が略半円又は略半楕円の断面形状を有する多孔質金属箔であって、該多孔質金属箔が80%を超える開口率、好ましくは85%以上の開口率を有する、多孔質金属箔。【選択図】図1

Description

本発明は、多孔質金属箔及びその製造方法に関するものであり、より具体的には、透明導電膜としての利用に適した高開口率の多孔質金属箔及びその製造方法に関する。
ディスプレイ画面上の表示に接触することで入力が行われるタッチパネルがスマートフォンやパソコン等に広く普及している。タッチパネルは、ガラス板等の透明基板上に透明導電膜が電極として形成されてなる構成を一般的に有している。この透明導電膜として最も広く使用される材料はITO(酸化インジウム錫)である。しかしながら、ITOは、レアメタルであるインジウムを含むため高価であり且つ供給懸念を伴うこと、また、スパッタリング法により成膜しなければならず設備及び製造コストが増大すること、さらにはスパッタリング時の熱により基材の材質によっては基材が歪んでしまうことがある等の問題がある。
このような事情に鑑み、ITOに代わる透明導電膜材料として、金属製の透明導電膜が提案されている。例えば、特許文献1(特開2012−94254号公報)は、規則的な金属細線ネットワークとグラフェンシートを組み合せた透明導電膜が開示されている。特許文献2(特許第4610416号公報)には網目構造の導電性膜として金属を用いた静電容量型タッチパネルが開示されている。特許文献3(特許第5282991号公報)には金属ナノワイヤーを含有する透明導電層が開示されている。特許文献4(特表2012−527071号公報)にも、特許文献3と同様、ナノワイヤーを含有する透明導電層が開示されている。特許文献5(特開2013−178550号公報)には、凹凸形状を有する基材を利用して、蒸着等により金属細線シートを製造する方法が開示されている。しかしながら、これらの技術には、製造工程数が多く製造コストが高くなる、表面抵抗率や光透過率が透明導電膜としては不十分である等の種々の問題があり、更なる改善が望まれている。
また、特許文献6(国際公開第2010/034949号公報)には実質的に垂直のマスクゾーンの縁を有する、開口部のネットワークを有するマスクを用いて製造される不規則パターンの導電性グリッドが開示されている。この導電性グリッドは低い電気抵抗(<2Ω)及び高い光透過率(>80%)を有することができるとされているが、マスキング層を乾燥させて開口部のネットワークを有するマスクを形成させる工程、マスキング層を除去する工程等の煩雑な工程を経なくてはならず、しかも除去されたマスキング層は再利用できないため、製造工程数が多く製造コストが高くなる。また、マスキング層をその都度形成するためそれを経て得られるネットワーク形状の再現性に劣るものと解される。また、マスキングを経て作製されるため、導電性グリッドを構成するストランドの断面形状が、実質的に垂直のマスクゾーンの縁に起因して略矩形状になる。
一方で、リチウムイオン電池の負極集電体を主たる用途として想定した多孔質金属箔が提案されている。例えば、特許文献7(特許第4762368号公報)には、金属繊維が不規則に張り巡らされてなる二次元網目構造からなる多孔質金属箔が開示されている。しかしながら、この文献に開示される多孔質金属箔の開口率は十分に高いとはいえず、光透過率85%以上が望まれる透明導電膜の用途に適したものではない。
特開2012−94254号公報 特許第4610416号公報 特許第5282991号公報 特表2012−527071号公報 特開2013−178550号公報 国際公開第2010/034949号公報 特許第4762368号公報
本発明者らは、今般、透明導電膜として利用可能な程に高い開口率を有し、安価且つ簡素なプロセスで量産可能な多孔質金属箔を提供できることを知見した。
したがって、本発明の目的は、透明導電膜として利用可能な程に高い開口率を有し、安価且つ簡素なプロセスで量産可能な多孔質金属箔を提供することにある。
本発明の一態様によれば、不規則に張り巡らされてなる金属繊維で構成される二次元網目構造からなり、前記金属繊維が略半円又は略半楕円の断面形状を有する多孔質金属箔であって、該多孔質金属箔が80%を超える開口率を有する、多孔質金属箔が提供される。
本発明の他の一態様によれば、多孔質金属箔の製造方法であって、
導電性基材に電解クロムめっきを施してクロム、クロム合金及び/又はクロム酸化物からなる剥離層を形成し、その際、前記剥離層自体の応力によって前記剥離層にクラックを発生させる工程と、
前記剥離層に、前記クラックに優先的に析出可能な金属を電解めっきして、前記クラックに沿って無数の金属粒子を成長させ、それにより金属繊維で構成される二次元網目構造からなり且つ80%を超える開口率を有する多孔質金属箔を形成する工程と、
を含んでなる、製造方法が提供される。
本発明による多孔質金属箔の一例の上面模式図である。 本発明による多孔質金属箔を構成する金属繊維の模式断面図である。 本発明による多孔質金属箔の製造工程の流れを示す図である。 例1で作製された試料1の多孔質金属箔を真上から観察したFE−SEM画像である。 例1で作製された試料1の多孔質金属箔を構成する金属繊維を拡大観察したFE−SEM画像である。 例1で作製された試料3の多孔質金属箔を真上から観察したFE−SEM画像である。 例1で作製された試料3の多孔質金属箔を構成する金属繊維を拡大観察したFE−SEM画像である。 例1で作製された試料2の多孔質金属箔を構成する金属繊維の垂直に切断した切断面を示す傾斜角60℃にて測定したSIM画像である。 例1で作製された試料3の多孔質金属箔を構成する金属繊維の垂直に切断した切断面を示す傾斜角60℃にて測定したSIM画像である。 例1で作製された試料4の多孔質金属箔を構成する金属繊維の垂直に切断した切断面を示す傾斜角60℃にて測定したSIM画像である。 例3において粘着テープにより剥離した、試料3の多孔質金属箔の写真である。 例3においてCrエッチング液に浸漬して剥離した、試料3の多孔質金属箔の写真である。 例4で測定された開口率と電解銅めっき時間の関係を示すグラフである。 例4で測定された金属繊維の線径と電解銅めっき時間の関係を示すグラフである。 例4で測定された各種開口率の金属箔の可視光領域における光透過率プロファイルを示す図である。
多孔質金属箔
図1に本発明による多孔質金属箔の一例の上面模式図を示す。図1に示されるように、本発明による多孔質金属箔10は、不規則に張り巡らされてなる金属繊維11で構成される二次元網目構造からなる。この二次元網目構造はマスクメロンの表皮模様を連想させる独特の模様を呈することから、この種の多孔質金属箔を出願人はマスクメロン箔と称している。そして、本発明の多孔質金属箔10は80%を超える開口率を有する。この80%を超える極めて高い開口率は、透明導電膜に望まれる高い光透過率(特に可視光領域の透過率)を可能とするものである。金属製の透明導電膜は既に知られているが(例えば特許文献1〜6を参照)、本発明者らの知るかぎり、電解銅箔由来の製法で作製された不規則二次元網目構造の透明導電膜は今まで存在しなかった。実際、特許文献7には不規則二次元網目構造からなる多孔質金属箔が開示されているものの、開口率は例えば28%や33%と低めであり、透明導電膜の用途には適さないものであった。しかしながら、その一方で、特許文献7の多孔質金属箔は、クラックが形成された剥離層の形成を伴うこと以外は電解銅箔と同様の手法で製造できるため、この手法で透明導電膜を製造することができれば製造コスト及び量産性等の観点から極めて好都合といえる。というのも、製造工程数が多いが故に製造コストが高くなりがちな他の従来製法とは異なり、電解銅箔由来の製法によれば透明導電膜が安価且つ簡素なプロセスで量産可能なものとなるからである。実際に電解銅箔由来の上記アプローチにより80%を超える開口率を有する多孔質金属箔を得ることは決して容易なことではなかったが、本発明者らは、今般、80%を超える開口率を有する不規則二次元網目構造からなる多孔質金属箔の製造に成功し、本発明に至った。すなわち、本発明によれば、透明導電膜として利用可能な程に高い開口率を有し、安価且つ簡素なプロセスで量産可能な多孔質金属箔を提供することができる。また、多孔質金属箔10は金属製であるため、透明導電膜に適した低いシート抵抗を有することができる。
この多孔質金属箔10は、80%を超える開口率を有し、好ましくは83%以上、より好ましく85%以上、さらに好ましくは87%以上、特に好ましくは90%以上、93%以上又は95%以上である。開口率が高いほど光透過率が高くなる。特に、多孔質金属箔においては、開口率の高低を問わず、開口率と光透過率(特に可視光領域の光透過率)は高い相関関係を有し、開口率の値と可視光領域内の波長における光透過率の値と概ね同等であるか又はそうでなくとも極めて近い。したがって、上述のように高い開口率を有することで、多孔質金属箔10は高い光透過率(特に可視光領域の光透過率)を有することができ、金属繊維11を構成する金属の導電性と相まって、透明導電膜としての用途に極めて有用な箔となる。このように開口率は高いことが望まれるため、その上限は所望の導電性が確保されるかぎり特に限定されないが、開口率は98%以下、97%以下、又は96%以下が現実的である。本発明における開口率は、面積開口率として定義されるものであり、具体的には以下の手順により測定されるものである。すなわち、電子顕微鏡で一定面積の拡大写真を真上から撮影し、これを画像解析ソフトを用いて、その面積に占める開口部面積の割合を算出することにより測定される。
金属繊維11は金属製の繊維であり、使用する金属は目的とする用途に応じて適宜決定すればよく、特に限定されない。好ましい金属は、銅、金、銀、ニッケル、コバルト、錫、及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも一種を含んでなる。ここで、「含んでなる」とは、上記列挙される金属元素を主として含む金属又は合金であればよく、残部として他の金属元素や不可避不純物を含むことが許容されることを意味し、より好ましくは金属ないし合金の50重量%以上が上記列挙される金属元素で構成されるとの意味であり、典型例としては上記列挙される金属元素及び不可避不純物からなるものが挙げられる。これらの定義は以下に金属に関して記述される同種の表現に同様に適用されるものとする。これらの金属において、透明導電膜に適するものは、銅、銅合金、金、銀、ニッケル、コバルト、錫、及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも一種を含んでなるものであり、より好ましくは導電性の点から銅である。金属繊維は母材としての金属繊維を母材と異なる種類の金属を含む表面処理剤で表面処理したものであってもよく、そのような表面処理に用いられる金属の例としてはニッケル、コバルト、錫及び亜鉛が挙げられる。
金属繊維11の線径は14μm以下であるのが好ましく、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは7μm以下、最も好ましくは4μm以下である。このように線径が細いことで高開口率に寄与する。このため線径の下限は所望の導電性が確保されるかぎり特に限定されないが、ハンドリング性の観点から、線径は1μm以上が好ましく、より好ましくは2μm以上である。なお、「線径」は、多孔質金属箔10を真上から見た場合の金属繊維11の幅(太さ)として定義され、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)、走査イオン顕微鏡(SIM)等を用いて測定することができる。
金属繊維11は、図2に示されるように、略半円又は略半楕円の断面形状を有する。この略半円又は略半楕円の断面形状は後述する図3に示されるように本発明の製造方法に由来して付与される形状であるが、特許文献6に開示されるようなマスキングを経て作製される矩形状の断面形状を有する金属繊維と比べて、角が取れているため表面がより滑らかであり各種処理を高精度にしやすいとの利点がある。例えば、透明導電膜に反射防止層を設ける場合に反射防止コーティング剤を金属繊維の側面部分の全域にわたって十分に行き渡らせることができる。また、金属箔の黒化処理(例えば酸化銅を付着させる処理)をムラなく均一に行うことができる。さらには、金属繊維側面における透過光の反射が少なく表示の輝度低下を少なくできるとの利点もある。
金属繊維11は、図1に示されるように、分枝状繊維であるのが好ましく、分枝状繊維が不規則に張り巡らされた二次元網目構造とすることで多孔質金属箔10が高開口率でありながら剥離可能な箔形態を好ましく保持することができる。特に、二次元網目構造は、基材の表面に形成されたクラックに起因した不規則形状を有してなるのが好ましい。
金属繊維11の上述した断面形状や分枝状形状は、後述する剥離層のクラックに沿った核生成に起因して、無数の金属粒子が連結されてなることにより形成されたものということができる。もっとも、金属繊維を構成するためには粒子成長によって隣接する金属粒子同士が緊密に結合することが望ましいことから金属繊維を構成する金属粒子はもはや完全な粒子形状を有しなくてよく、典型的には、金属繊維11を構成する金属粒子は、数珠状又は芋虫状(キャタピラー状)の継ぎ目を有する形状に連なっているが、継ぎ目が実質的に観察されない形状に連なっていてもよい。したがって、金属繊維11を構成する金属粒子は、図2に示されるように、球状部11aと底部11bとを有する半球状の形態を有し、全ての金属粒子の底部11bが同一基底面上に位置し、全ての金属粒子の球状部11aが基底面を基準として同じ側に位置すると表現することも可能である。この場合、基底面に沿った底部11bの幅Dが線径となり、球状部11aの最大断面高さHが多孔質金属箔の厚さに相当する。この基底面及びその上に位置する底部11bは、製造時に用いられる剥離層の平面形状が反映されたものである。その結果、上述したとおり、金属繊維11は略半円又は略半楕円の断面形状を有することになる。金属繊維11において、最大断面高さHの線径Dに対する平均比率は、特に限定されるものではない。
本発明の好ましい態様によれば、金属繊維11は略半円の断面形状を有し、最大断面高さHの線径Dに対する平均比率(H/D)は、典型的には0.30〜0.70であり、より典型的には0.40〜0.60であり、より一層典型的には0.45〜0.55、最も典型的には約0.50であることができる。この平均比率はめっき条件等を適宜変えることによって調整することができる。
本発明の別の好ましい態様によれば、金属繊維11は略楕円の断面形状を有し、最大断面高さHの線径Dに対する平均比率(H/D)は、0.50を超えるのが好ましく、より好ましくは0.50〜2.00、さらに好ましくは0.75〜1.75、特に好ましくは1.00〜1.50である。このような比率であると、金属繊維11が半円状断面よりも高く盛り上がった形状となり、電析後に多孔質金属箔を剥離層から剥離容易性が向上するとともに、多孔質金属箔のシート抵抗が低減される。このような形状は多孔質金属箔のめっき浴に添加剤を加えること、及び/又は電解時間を長くすることによって実現することができる。
多孔質金属箔10は0.5〜28μmの厚さを有するのが好ましく、より好ましくは0.75〜17.5μm、さらに好ましくは1.5〜12.5μm、特に好ましくは1.75〜10μm、最も好ましくは2〜6μmである。この範囲内であると高開口率でありながら比較的ハンドリングがしやすく、シート抵抗も低減できる。もっとも、多孔質金属箔10のハンドリングは、基材から剥離された自立した形態であってもよいし、基材に被膜されたままの形態であってもよいし、基材から他の基材に転写された形態であってもよく、採用する形態に応じて多孔質金属箔10の厚さを上記範囲内で適宜設定すればよい。本発明の多孔質金属箔は金属繊維で構成される二次元網目構造からなるため、多孔質金属箔の厚さは金属繊維の最大断面高さに相当する。このような厚さは多孔質金属箔の孔サイズよりも大きな測定子を用いた市販の膜厚測定装置によって測定するのが好ましい。
製造方法
本発明による多孔質金属箔の好ましい製造方法を説明する。この製造方法は、(1)導電性基材を用意する工程と、(2)電解クロムめっきによりクラック入りの剥離層を形成する工程と、(3)電解めっきにより多孔質金属箔を形成する工程と、所望により(4)多孔質金属箔を剥離する工程とを含む。この製造方法は、電解銅箔由来の製法であるため、透明導電膜が安価且つ簡素なプロセスで量産可能なものとなる。したがって、多孔質金属箔の製造方法は連続製造方式で行われるのが好ましいが、枚葉式で行われてもよい。特に、クラック入りの剥離層を導電性基材上に一旦形成してしまえば、その後はその剥離層/導電性基材を再利用できるため、電解めっき工程1プロセスのみの簡素で且つ連続製造も可能な製法となり、製造コストの大幅な低減を実現することができる。
(1)導電性基材の用意
図3に本発明による多孔質金属箔の製造工程の流れを示す。本発明の製造方法にあっては、まず、多孔質金属箔を製造するための支持体として、導電性基材12を用意する。導電性基材はめっきされることができる程度の導電性を有する基材であればよく、無機材料、有機材料、積層体、及び表面を金属とした材料のいずれも使用可能であるが、好ましくは金属である。そのような金属の好ましい例としては、銅、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、錫、亜鉛、インジウム、銀、金、アルミニウム、及びチタン等の金属、ならびにこれらの金属元素の少なくとも一種を含む合金が挙げられ、より好ましくは銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、及びステンレスである。導電性基材の形態も限定されず、箔、板、ドラム等の様々な形態の基材が使用可能である。ドラムの場合は、ドラム本体に導電性金属板を巻き付けて使用してもよく、この場合の導電性金属板の厚さは1〜20mmとするのが好ましい。導電性基材は、製造された多孔質金属箔をその加工中に、あるいはさらにその使用の直前まで支持しておき、多孔質金属箔の取り扱い性を向上させる。特に、金属箔又は金属板を導電性基材として用いるのが、多孔質金属箔の製造後に導電性基材としての金属箔又は金属板をそのまま再利用、又は溶解及び製箔してリサイクルできるという利点があるため好ましい。その場合、金属箔又は金属板の厚さを10μm〜1mmとするのが、金属箔又は金属板の製造工程及びその後の加工・搬送工程等においてヨレ等が生じないような強度を確保できることから好ましい。
なお、後述する剥離層13の形成に先立ち、導電性基材12に酸洗浄、脱脂等の前処理を施してその表面を清浄にしておくことが好ましい。
(2)電解クロムめっきによるクラック入り剥離層の形成
導電性基材12に電解クロムめっきを施してクロム、クロム合金及び/又はクロム酸化物からなる剥離層13を形成し、その際、剥離層13自体の応力によって剥離層13にクラック13aを発生させる。剥離層13はその上に形成されることになる多孔質金属箔10の剥離を容易とするための層であり、クラック13aを発生可能で、かつ、クラック13aでめっきされやすく、クラックの無い部分13bでめっきされにくい性質を有する材料が用いられ、具体的にはクロム、クロム合金及び/又はクロム酸化物である。すなわち、発生したクラック13aにある種の金属をめっきにより優先的に析出可能な材料が剥離層13として用いられる。特に、電解クロムめっきを用いることで、剥離層13の形成条件を制御しやすくなり、その結果、剥離層13へのクラック13aの入り方を巧みに制御することができる。こうして、クラックに沿って形成される金属繊維の発生比率を低めに制御することができ、それにより80%を超える開口率の多孔質金属箔を実現することができる。また、この剥離層は多層に形成されていてもよく、この場合、上層のみにクラックが形成されるものであってもよいし、上層のみならずそれより下の層にもクラックが形成されるものであってよい。また、剥離層の表面にはダイヤモンドライクカーボン(DLC)等が存在していてもよい。クラック13aは、剥離層13の応力によって自然に発生するように制御することが好ましく、成膜と同時に形成される必要はなく、その後の洗浄及び乾燥工程、機械加工等において発生するものであってよい。クラックは、通常は望ましくないものであるが、本発明の製造方法ではむしろそれを積極的に活用することを特徴としている。特に、クラックは、通常、枝分かれした線が二次元網目状に張り巡らされるように形成される特性があるため、このクラックに沿って金属繊維を形成させることで極めて高い開口率の多孔質金属箔を得ることができる。なお、クラックについては通常の成膜プロセスにおいてその発生が常に懸念されていることから、クラックを発生させること自体は、成膜に従事する当業者が経験的に熟知しており、その経験及び知識の範囲内で容易に選択可能である。例えば、めっき浴等の組成制御、剥離層の厚さ、電流密度の条件、浴温度、攪拌条件、後熱処理を工夫したりすること等によりクラックの発生を行えばよい。
剥離層13は、クロム、クロム合金及び/又はクロム酸化物からなるクロムめっき層である。クロムは硬度が高く、連続剥離性、耐久性及び耐食性の観点から優れるとともに、不動態の形成により剥離しやすい点でも有利である。剥離層13の厚さは4〜120μmであるのが好ましく、より好ましくは6〜80μm、さらに好ましくは8〜60μm、最も好ましくは10〜40μmである。このような組成及び厚さとすることで、クラックの発生を可能としながら、導電性基材に対して剥離層を高抵抗とすることで層上に形成されることになる多孔質金属箔10を成膜及び剥離しやすくなる。もっとも、上述した剥離層13の厚さ範囲は剥離性のみを考えた場合には不必要なまでに厚いものでありうるが、厚い剥離層とすることでクラックの発生比率を低減し、それにより得られる多孔質金属箔10の開口率を有意に高くすることができる。この理由は必ずしも定かではないが、剥離層13が厚くなることで内部応力ないし内部歪を蓄積しやすくなり、その結果、クラックの安易な発生が抑制されるためではないかと考えられる。
電解クロムめっきのための好ましいクロムめっき液としては、サージェント浴(組成:無水クロム酸250g/L及び硫酸2.5g/L)及び硬質クロムめっき浴が挙げられる。市販の硬質クロムめっき浴の例としては、メルテックス社製のアンカー1127、アトテック社製のHEEF−25、及び日本マクダーミッド社製のマック・1が挙げられる。中でも、サージェント浴は、クラックが比較的少なく発生する傾向があり、多孔質金属箔の開口率を高くしやすいことから特に好ましい。実際、本発明者らの知見によれば、サージェント浴は、添加剤を入れたHEEF浴(例えばクロム酸、硫酸及びHEEF−25を含有する浴)よりもクラックが少なく入るため、高い開口率が得られる。電解クロムめっきは、使用するクロムめっき浴の組成に応じた電解条件を適宜設定して所望の厚さが得られるように行えばよいが、30〜100A/dmの電流密度で20分間以上行われるのが好ましく、より好ましくは40〜90A/dmの電流密度で25分間以上であり、さらに好ましくは45〜70A/dmの電流密度で30分間以上である。特に、サージェント浴を用いる場合、好ましくは45〜70A/dm、より好ましくは50〜65A/dm、さらに好ましくは50〜65A/dm、特に好ましくは55〜65A/dm電流密度で、好ましくは30分間以上、より好ましくは40〜120分間、さらに好ましくは50〜90分間、特に好ましくは60〜80分間行われる。電流密度が高く、クロムめっきの時間が長いほど、クーロン量が増加する結果、剥離層13の膜厚が大きくなる。そして、上述したように、剥離層13の膜厚が大きくなると上述したように開口率が上がる傾向がある。とりわけ60A/dm前後の高電流密度においては開口率が高くなる。電解クロムめっきにおける好ましい浴温は45〜65℃であり、より好ましくは45〜60℃である。
なお、安定したクロムめっき浴は、典型的には、少量の3価クロムが存在しており、その量は2〜6g/L程度である。また、硬質クロムめっき浴には有機スルホン酸などの触媒を添加してもよい。無水クロム酸の濃度はボーメ度により管理することができる。さらに、鉄、銅、塩化物イオン等の不純物はめっきの状態に影響を与えるので、不純物の溶解量の上限管理には注意が必要である。クロムめっきに用いられるアノードとしては、チタンに酸化鉛やPb−Sn合金をコーティングしたものを好ましく用いることができ、そのようなアノードの代表的な市販品として、SPF社のTi−Pb電極(Sn:5%)や日本カーリット社製のエクセロードLDが挙げられる。
電解めっきによる多孔質金属箔の形成の前に、剥離層13に対して洗浄、乾燥、及び熱処理が行われるのが好ましい。洗浄は水等の水系溶媒で行ってもよいし、アセトン等の有機溶媒により行ってもよい。乾燥は自然乾燥及び加熱乾燥のいずれで行ってもよい。熱処理は好ましくは80〜180℃で2〜16時間行うのが好ましく、より好ましくは130〜170℃で4〜8時間である。この熱処理は空気雰囲気等の酸素含有雰囲気下で行われるのが好ましい。この熱処理によって剥離層13の表面が酸化されてCrが不動態として形成され、それにより多孔質金属箔10を剥離しやすくなるとの利点がある。
(3)電解めっきによる多孔質金属箔の形成
次に、剥離層13に、クラック13aに優先的に析出可能な金属を電解めっきして、クラック13aに沿って無数の金属粒子11を成長させ、それにより金属繊維で構成される二次元網目構造からなり且つ80%を超える開口率を有する多孔質金属箔10を形成する。前述したように、剥離層13には、めっきされやすい性質を有するクラック13aと、めっきされにくい性質を有するクラックの無い表面部分13bを有する。クラック13aでめっきされやすくなるのは、クラック13aのある部分の方が、それらの無い部分13bよりも電流が流れやすいことから、核生成及びその成長がクラック13aで優先的に起こるためである。クラック13aに優先的に析出可能な金属は、銅、金、銀、ニッケル、コバルト、錫、及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも一種を含んでなるのが好ましく、より好ましくは銅、銀、及び金からなる群から選択される少なくとも一種を含んでなり、さらに好ましくは銅である。
クラックに優先的に析出可能な金属の電解めっきの条件は、80%を超える開口率を与えるような電流密度及び時間を選択すること以外は、公知各種の金属めっき浴を用いて公知の条件従って行えばよい。そのような電解めっきは、好ましくは0.5〜10A/dm、より好ましくは1〜8A/dm、さらに好ましくは2〜6A/dmの電流密度で、好ましくは1〜500秒間、より好ましくは3〜150秒間、さらに好ましくは5〜75秒間行われる。このようにかなり低めの電流密度で短時間電解めっきを行うことで高い開口率をより一層実現しやすくなる。好ましい浴温は10〜60℃であり、より好ましくは15〜55℃であり、さらに好ましくは20〜50℃である。
特に、クラックに優先的に析出可能な金属が銅である場合、電解銅めっきは、1〜5A/dmの電流密度で2〜250秒間行われるのが好ましく、より好ましくは1.5〜4.5A/dmの電流密度で2〜170秒間、さらに好ましくは2〜4A/dmの電流密度で2.5〜120秒間行われる。このようにかなり低めの電流密度で短時間電解めっきを行うことで高い開口率をより一層実現しやすくなる。電解銅めっきは硫酸銅めっき浴を用いて行なわれるのが好ましく、硫酸銅めっき浴の好ましい組成は、硫酸銅5水和物濃度:150〜320g/L、硫酸濃度:15〜200g/Lである。また、硫酸銅めっきの好ましい浴温は15〜55℃であり、より好ましくは20〜50℃であり、さらに好ましくは25〜45℃である。
めっき液には、添加剤を適宜加えて金属箔の特性の向上を図ってもよい。例えば銅箔の場合、そのような添加剤の好ましい例としては、膠、ゼラチン、塩素、チオ尿素等の含硫黄化合物、ポリエチレングリコール等の合成系添加剤が挙げられる。これらの好ましい添加剤を用いることで、金属箔の力学的特性や表面状態をコントロールすることができる。添加剤の濃度は限定されないが、通常1〜300ppmである。
(4)多孔質金属箔の剥離
必要に応じて、多孔質金属箔を、剥離層を有する導電性基材から剥離して、単体の多孔質金属箔を得ることができる。剥離後、接着層付きのフィルム等の別基材に転写してもよいし、剥離自体を別の基材への転写により行ってもよい。例えば、多孔質金属箔の剥離は粘着テープによって行うこともできるし、エッチング液に浸漬することにより行うこともでき、多種多様な方法を採用しうる。もっとも、この剥離工程は必須ではなく、剥離層を介して基材が付けられたまま多孔質金属箔製品として取り扱われ、かつ、使用時に初めて剥離される構成としてもよい。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
例1:多孔質金属箔の作製
導電性基材として厚さ0.5μmのステンレス板を用意した。このステンレス板に剥離層としてクロムめっきを以下の手順で行った。まず、アセトン(和光純薬製99.0%)に10秒間浸漬した後に、純水にて洗浄、乾燥させて表面を清浄にする。次に、ステンレス板箔を、2.5g/Lの硫酸及び250g/Lのクロム酸が溶解されたサージェント浴に浸漬させ、浴温度:50℃、電流密度:60A/dm、陽極:Pb、陰極:ステンレス板の条件で72分間クロムめっきを行った。クロムめっき層が形成されたステンレス板をアセトンで洗浄後、乾燥した。得られたクロムめっきの厚さをXRF(蛍光X線分析)により測定したところ約15μmであり、クロムめっきの表面には、めっき応力により発生した無数のクラックが確認された。乾燥したクロムめっき層を空気雰囲気下、150℃で5時間熱処理した。
このクラックが発生したクロムめっき上に硫酸銅めっきを行った。この硫酸銅めっきは、硫酸25g/L及び硫酸銅5水和物200g/Lが溶解された硫酸銅めっき浴に、クロムめっきが施されたステンレス板を浸漬させ、電流密度:3A/dm、浴温:25℃、陽極:Cu、陰極:クロムめっき層の条件で75秒間(試料1)、30秒間(試料2)、15秒間(試料3)、7秒間(試料4)又は3秒間(試料5)行った。このとき、クロムめっきの最表面よりもクラック部分の方で電流が流れやすいことから、銅の粒子がクラックを起点として成長した。その結果、クロムめっき上に銅繊維で構成される二次元網目構造が多孔質金属箔として形成された。
例2:多孔質金属箔の観察
例1で得られた試料1及び3の多孔質金属箔を、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で真上から観察したところ、それぞれ図4A及び図5Aに示される画像が得られた。また、試料1及び3の多孔質金属箔の金属繊維を電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で観察したところ、それぞれ図4B及び図5Bに示される画像が得られた。これらの図から明らかなように、成長面には金属粒子の球状部に起因する数珠状ないし芋虫状(キャタピラー状)の凹凸が観察された。
さらに、試料2、3及び4の多孔質金属箔における金属繊維の断面を、集束イオンビーム加工装置(FIB)を用いて加工後、走査イオン顕微鏡(SIM)を用いて観察したところ、図6A、6B及び6Cに示される画像が得られた。この図6A〜6Cに示されるように、金属繊維の断面組織はクラックを起点として放射状に析出しており、金属繊維の断面形状は球状部と平面状底面とを含む半円状であることが観察された。なお、図6A〜6Cでは金属繊維の断面が2層構成を有するように見えるが、これは加工面を鮮明に観察するために金属繊維を予めカーボンで被覆したことによるものである。金属繊維断面における最大断面高さHの線径Dに対する比率を算出したところ、約0.50であった。
例3:多孔質金属箔の剥離
(1)粘着テープによる剥離
例1で得られた試料1〜5(剥離層を介して導電性基材上に形成されている)の表面に、高い粘着性を有する粘着テープ(株式会社二トムズ製、超透明両面粘着シート・品番T:284)を貼り付け、粘着テープを引き剥がした。その結果、図7に示されるように、多孔質金属箔が粘着テープに転写された形態で剥離された。剥離された多孔質金属箔をガラス板に張り付けた。
(2)Crエッチング液による剥離
例1で得られた試料1〜5(剥離層を介して導電性基材上に形成されている)をCrエッチング液(メック株式会社製、メックリムーバー・品番CH−1925)に40〜50℃で数分間浸漬した。その結果、図8に示されるように、多孔質金属箔が単離ないし自立した形態で剥離された。
例4:開口率、線径及び厚さの測定
例1で得られた多孔質金属箔の開口率、線径及び厚さを以下の通り測定した。
(開口率の測定方法)
電子顕微鏡にて、多孔質金属箔の倍率100倍のSEM写真を観察面積が1.137mmとなるように撮影した。次に、画像処理ソフト:Image−Jを用いて、金属繊維部分と開口部分を識別し、全観察面積に対する開口部分面積の割合を算出し、開口率とした。より具体的には、a)SEM画像を画像解析ソフトImage−Jに取り込み、b)タブの[画像>調整>閾値設定]をクリックし取り込んだ画像に表示されている銅繊維部分とクロムめっき部分を二色化(二値化)し、c)タブの[画像解析>画像解析を実行]をクリックして、画像上の色の割合を算出させ、d)クロムめっき部分につけた色の割合を開口率として得た。すなわち、本例における開口率はSEM観察画像のうちクロムめっき部分の見えている面積の割合として算出した。
(線径の測定方法)
電子顕微鏡にて、多孔質金属箔の真上から倍率5千倍〜1万倍で観察を行い、金属繊維の線径を測定した。
(厚さの測定方法)
表面形状測定装置Dektak150(株式会社アルバック製)を使用して、多孔質金属箔の厚さを測定した。
測定の結果、表1に示される開口率、線径及び厚さが得られた。また、開口率と銅めっき時間との関係を図9に、線径と銅めっき時間との関係を図10に示す。これらの結果から、クロムめっきを厚く設け、かつ、硫酸銅めっきを低電流密度で短時間行うことで線径が小さく開口率が極めて高い多孔質金属箔が得られることが分かる。
例5:開口率と透過率の関係
開口率と透過率の関係を調べるために、例1においてクロムめっき及び硫酸銅めっき等の諸条件を適宜変更して、開口率が71.0%、46.0%、13.2%の多孔性銅箔をそれぞれ作製した。得られた多孔性銅箔の可視光領域における透過率を吸光光度計により測定したところ、図11に示される結果が得られた。また、各銅箔の開口率と波長550nmでの透過率との数値を併記すると表2のとおりであった。
図11及び表2から分かるように、多孔質金属箔の開口率は可視光領域における透過率と高い相関関係があること、さらには可視光領域に特異的な吸光ピークが無いことが確認された。したがって、開口率が80%、好ましくは85%を超える本発明の多孔質金属箔は可視光領域における極めて高い光透過率(概ね80%を超える、好ましくは85%以上の光透過率)を有しうるといえ、透明導電膜の用途に極めて適することが分かる。
10 多孔質金属箔
11 金属繊維、金属粒子
11a 球状部
11b 底部
12 導電性基材
13 剥離層
13a クラック
13b 表面部分

Claims (21)

  1. 不規則に張り巡らされてなる金属繊維で構成される二次元網目構造からなり、前記金属繊維が略半円又は略半楕円の断面形状を有する多孔質金属箔であって、該多孔質金属箔が80%を超える開口率を有する、多孔質金属箔。
  2. 前記開口率が85%以上である、請求項1に記載の多孔質金属箔。
  3. 前記金属繊維が14μm以下の線径を有する、請求項1又は2に記載の多孔質金属箔。
  4. 前記金属繊維が4μm以下の線径を有する、請求項1又は2に記載の多孔質金属箔。
  5. 前記金属繊維が分枝状繊維である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔質金属箔。
  6. 前記金属繊維が、無数の金属粒子が連結されてなるものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多孔質金属箔。
  7. 前記金属粒子が球状部と底部とを有する半球状の形態を有し、全ての前記金属粒子の底部が同一基底面上に位置し、全ての前記金属粒子の球状部が前記基底面を基準として同じ側に位置する、請求項6に記載の多孔質金属箔。
  8. 前記多孔質金属箔が1〜7μmの厚さを有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の多孔質金属箔。
  9. 前記二次元網目構造が、クラックに起因した不規則形状を有してなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の多孔質金属箔。
  10. 前記金属繊維が、銅、金、銀、ニッケル、コバルト、錫、及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも一種を含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の多孔質金属箔。
  11. 前記金属繊維は、略半楕円の断面形状を有し、最大断面高さの線径に対する平均比率が0.50を超える、請求項1〜10のいずれか一項に記載の多孔質金属箔。
  12. 多孔質金属箔の製造方法であって、
    導電性基材に電解クロムめっきを施してクロム、クロム合金及び/又はクロム酸化物からなる剥離層を形成し、その際、前記剥離層自体の応力によって前記剥離層にクラックを発生させる工程と、
    前記剥離層に、前記クラックに優先的に析出可能な金属を電解めっきして、前記クラックに沿って無数の金属粒子を成長させ、それにより金属繊維で構成される二次元網目構造からなり且つ80%を超える開口率を有する多孔質金属箔を形成する工程と、
    を含んでなる、製造方法。
  13. 前記クラックに優先的に析出可能な金属の電解めっきの前に、前記剥離層に対して洗浄、乾燥、及び熱処理が行われる、請求項12に記載の方法。
  14. 前記多孔質金属箔を前記剥離層から剥離する工程をさらに含んでなる、請求項12又は13に記載の方法。
  15. 前記電解クロムめっきがサージェント浴を用いて行われる、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記電解クロムめっきが、30〜100A/dmの電流密度で20分間以上行われる、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記電解クロムめっきが、45〜70A/dmの電流密度で30分間以上行われる、請求項12〜15のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記剥離層の厚さが4〜120μmである、請求項12〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記クラックに優先的に析出可能な金属が、銅、金、銀、ニッケル、コバルト、錫、及び亜鉛からなる群から選択される少なくとも一種を含んでなる、請求項12〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記クラックに優先的に析出可能な金属の電解めっきが、0.5〜10A/dmの電流密度で1〜500秒間行われる、請求項12〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記クラックに優先的に析出可能な金属が銅であり、銅の電解めっきが、1〜5A/dmの電流密度で2〜250秒間行われる、請求項12〜19のいずれか一項に記載の方法。
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