JP2015151528A - 硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】吐出装置を用いて吐出する場合には吐出量を精度良くコントロールすることができ、バインダー樹脂としてフェニルスルフィド誘導体を含むフィル材を使用して有機EL素子を封止する際にダム材として使用することができ、防湿性及び低アウトガス性を兼ね備えたダムを形成することができる硬化性組成物を提供する。【解決手段】本発明の硬化性組成物は、下記化合物(A)を99〜50重量%、下記充填材(B)を1〜50重量%、及び重合開始剤(C)を含む。化合物(A):下記式(a)で表される化合物充填材(B):モース硬度が5以下である無機粒子の表面の少なくとも一部が、炭素数2以下のアルキル基、アルケニル基、及びアシル基から選択される少なくとも1種を含む基で修飾された表面修飾無機粒子【化1】【選択図】なし

Description

本発明は、低透湿性を有する硬化物を形成することができ、水分やガスによって劣化し易い有機EL素子を封止する用途に使用できる硬化性組成物に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(本明細書では「有機EL素子」と称する場合がある)は、発光層を一対の対向電極で挟んだ構造体で構成されており、一方の電極から注入された電子と、他方の電極から注入された正孔が発光層内で再結合するときに発光が生ずる。前記有機EL素子を含む有機ELデバイスは、耐衝撃性や視認性の高さと発光色の多様性から、フルカラーのフラットパネルディスプレーとして、又はLEDに代わるものとして期待されている。
しかし、有機EL素子は他の電子部品に比べて水分やガス(酸素等)の影響を受けやすく、有機EL素子内に浸入した水分やガスによって電極の酸化や有機物の変性等が引き起こされ、発光特性が著しく低下することが知られている。このような発光特性の低下を防止する方法としては、有機EL素子をガラス層で覆う方法や、硬化性樹脂で封止する方法等が知られている。しかし、前記ガラス層で覆う方法では気体が有機EL素子と共に封じ込められ、その気体の屈折率がITO等の透明電極やガラスより低いため光取り出し効率が低下すること、及び大きなディスプレイの場合はガラスがたわみ、形状を保持することが困難となることが問題であった。
硬化性樹脂で封止する方法としては、有機EL素子の周りに高粘度の硬化性樹脂(ダム材)によりダムを形成し、その中に低粘度の硬化性樹脂(フィル材)を流し込んで硬化させる方法が知られている。この方法によれば気体を封じ込めることなく有機EL素子を水分やガスから保護することができる。そして、高屈折率を有する硬化物を形成することができる硬化性樹脂を使用すると、光取り出し効率を低下させることなく有機EL素子を保護することができる。従来は、ダム材及びフィル材のバインダー樹脂としてエポキシ樹脂が多用されていた(特許文献1〜4)。しかし、光取り出し効率の点で未だ満足できるものではなかった。また、エポキシ樹脂のなかでも、2−(グリシジルオキシ)ビフェニル等のオルト位にグリシジルエーテル基を有するエポキシ樹脂は、硬化させる際等にアクロレインガスが発生しやすく、そのガスによって有機EL素子が劣化することが問題であった。
一方、フェニルスルフィド誘導体は、高屈折率を有する硬化物を形成できることが知られている(特許文献5)。
特開2011−225773号公報 特許第5153498号公報 特開2010−163566号公報 特開2011−14885号公報 特開2013−71959号公報
しかし、フェニルスルフィド誘導体をバインダー樹脂として含むフィル材を使用した場合、バインダー樹脂としてのエポキシ樹脂と防湿性を付与するための充填材とを含む従来のダム材を使用すると、フェニルスルフィド誘導体とエポキシ樹脂が接触し混ざり合う部分において硬化不良が生じてダムが決壊し、フィル材が流出したり、ダム材に含まれる充填材がフィル材中に流出して光取り出し効率を低下させることがわかった。
また、通常、ダム材には防湿性を向上させるために多量の充填材が配合されるが、真球状で比較的硬い充填材を使用した場合、吐出装置を用いて吐出する際に吐出量をコントロールすることが困難となることがわかった。
従って、本発明の目的は、吐出装置を用いて吐出する場合には吐出量を精度良くコントロールすることができ、バインダー樹脂としてフェニルスルフィド誘導体を含むフィル材を使用して有機EL素子を封止する際にダム材として使用することができ、防湿性及び低アウトガス性を兼ね備えたダムを形成することができる硬化性組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記特性を有し、更に、含有する充填材の流出を抑制して、フィル材の硬化物の透明性を低下させることなく、防湿性に優れたダムを形成することができる硬化性組成物を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、上記硬化性組成物を用いて有機ELデバイスを製造する方法、及び前記方法により得られる有機ELデバイスを提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のモース硬度を有する無機粒子の表面が特定の基で修飾された表面修飾無機粒子を充填材として使用すると、硬化性組成物を吐出装置を用いて吐出する場合に吐出量を精度良くコントロールすることができること、バインダー樹脂としてフェニルスルフィド誘導体を含み、更に前記充填材を含有する硬化性組成物は、バインダー樹脂としてフェニルスルフィド誘導体を含むフィル材と混ざり合っても硬化不良を起こすことなく硬化することができ、防湿性及び低アウトガス性に優れた硬化物を形成することができること、硬化性組成物にカルバゾール骨格を含有するモノマー単位を含む線状重合体を添加すると、硬化性組成物に適度な粘度を付与して含有する充填材が流出してフィル材等に混入することを防止することができ、且つ得られる硬化物の防湿性は高く保持することができることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、下記化合物(A)を99〜50重量%、下記充填材(B)を1〜50重量%、及び重合開始剤(C)を含む硬化性組成物を提供する。
化合物(A):下記式(a)で表される化合物
Figure 2015151528
(式中、Raは反応性官能基を示す。Rbはハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいスルホ基、ニトロ基、シアノ基、又は保護基で保護されていてもよいアシル基を示す。Rcは単結合又は連結基を示す。mは0〜4の整数を示し、nは0〜10の整数を示す。尚、2つのRaは、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。また、Rb及びmが複数ある場合は、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい)
充填材(B):モース硬度が5以下である無機粒子の表面の少なくとも一部が、炭素数2以下のアルキル基、アルケニル基、及びアシル基から選択される少なくとも1種を含む基で修飾された表面修飾無機粒子
本発明は、また、充填材(B)が、モース硬度が5以下である無機粒子の表面の少なくとも一部が、Si(OR’)k(R”)3-k基(R'、R”は同一又は異なって、炭素数2以下のアルキル基、アルケニル基、又はアシル基を示し、kは0〜3を示す)を含む基で修飾された表面修飾無機粒子である前記の硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、充填材(B)における表面修飾無機粒子を構成する無機粒子が板状である前記の硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、充填材(B)における表面修飾無機粒子は、無機粒子(100重量%)に対して0.01〜10重量%の表面修飾部を有する前記の硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、充填材(B)における表面修飾無機粒子を構成する無機粒子が、タルク及び/又は焼成カオリンである前記の硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、化合物(A)が、下記式(a’)で表される化合物である前記の硬化性組成物を提供する。
Figure 2015151528
(式中、Ra、Rb、mは、前記に同じ)
本発明は、また、25℃、せん断速度20(1/s)における粘度が5〜1000Pa・sである前記の硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、充填材(B)における表面修飾無機粒子を構成する無機粒子の平均粒子径が10μm以下である前記の硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、更に、カルバゾール骨格を含有するモノマー単位を含む線状重合体(D)を、硬化性組成物全量の1〜50重量%含有する前記の硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、重合開始剤(C)が、光カチオン重合開始剤である前記の硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、有機エレクトロルミネッセンス素子封止において、ダム材として使用する前記の硬化性組成物を提供する。
本発明は、また、前記の硬化性組成物の硬化物で有機エレクトロルミネッセンス素子を封止することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造方法を提供する。
本発明は、また、硬化物(厚さ:100μm)の水蒸気透過率(60℃、90%RHにおける)が25g/m2・24hrs・atm以下である前記の有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造方法を提供する。
本発明は、また、前記の有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造方法によって得られる有機エレクトロルミネッセンスデバイスを提供する。
本発明の硬化性組成物は上記構成を有するため、バインダー樹脂としてフェニルスルフィド誘導体を含むフィル材と混ざり合っても硬化不良を起こすことなく硬化することができ、水蒸気透過率が低く防湿性に優れ、更に低アウトガス性を併せて有する硬化物を形成することができる。また、硬化性組成物に含まれる充填材は凝集することなく高分散性した状態を維持することができる。そのため、本発明の硬化性組成物は、吐出装置を用いて吐出する場合には、吐出圧力をコントロールすることにより吐出量を精度良く調整することができ、取り扱い性に優れる。
更に、本発明の硬化性組成物がカルバゾール骨格を含有するモノマー単位を含む線状重合体を含有する場合は、適度な粘度を有することにより充填材が流出してフィル材等に混入することを防止することができ、且つ得られる硬化物の防湿性は高く保持することができる。
そのため、本発明の硬化性組成物は、有機EL素子封止においてダム材として好適に使用することができる。
そして、本発明の硬化性組成物をダム材として使用した場合は、本発明の硬化性組成物により形成されたダムがフィル材の流出を堰き止めることができ、フィル材を有機EL素子の周囲の空間を充填させて、有機EL素子を完全に封止することができる。さらに、本発明の硬化性組成物の硬化物は低アウトガス性、低透湿性の特性を併せて有する。
そのため、本発明の硬化性組成物で有機EL素子を封止して得られる有機ELデバイスは、有機EL素子の水分やガスによる劣化が抑制されるため、長寿命で信頼性が高い。
本発明の硬化性組成物をダム材として使用した有機EL素子の封止方法の一例を示す概略図である。
(化合物(A))
本発明の化合物(A)は、下記式(a)で表される重合性化合物である。式(a)中の2つのRaは反応性官能基(重合性官能基)を示し、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基等を挙げることができる。本発明においては、なかでもビニル基、アリル基、アクリロイル基、及びメタクリロイル基から選択される基が好ましい。2つのRaは同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2015151528
上記式(a)中のRbは、ハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいスルホ基、ニトロ基、シアノ基、又は保護基で保護されていてもよいアシル基を示す。また、mが2〜4の整数である場合、同一の芳香環に結合した2〜4個のRbが互いに結合して、芳香環を構成する炭素原子とともに環を形成していてもよい。更に、式(a)中の複数のRbはそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記Rbにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。上記Rbにおけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のC1-10(好ましくはC1-5)アルキル基等を挙げることができる。上記Rbにおけるハロアルキル基としては、例えば、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基等のC1-10(好ましくはC1-5)ハロアルキル基等を挙げることができる。上記Rbにおけるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。尚、上記アリール基の芳香環は、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子、メチル基等のC1-4アルキル基、トリフルオロメチル基等のC1-5ハロアルキル基、ヒドロキシル基、メトキシ基等のC1-4アルコキシ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、メトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、アセチル基等のアシル基等の置換基を有していてもよい。
上記Rbにおけるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基等の、C1-10アルキル基が有する水素原子の少なくとも1つがヒドロキシル基で置換されたC1-10(好ましくはC1-5)ヒドロキシアルキル基等を挙げることができる。上記Rbにおけるヒドロキシル基の保護基、ヒドロキシアルキル基の保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基、t−ブチル基等のC1-4アルキル基等);アルケニル基(例えば、アリル基等);シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基等);アリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基等);アラルキル基(例えば、ベンジル基等);置換メチル基(例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、ベンジルオキシメチル基、t−ブトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基等)、置換エチル基(例えば、1−エトキシエチル基等)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、1−ヒドロキシアルキル基(例えば、1−ヒドロキシエチル基等)等のヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基;アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基等のC1-6脂肪族アシル基;アセトアセチル基;ベンゾイル基等の芳香族アシル基等);アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基等のC1-4アルコキシ−カルボニル基等);アラルキルオキシカルボニル基;置換又は無置換カルバモイル基;置換シリル基(例えば、トリメチルシリル基等);分子内にヒドロキシル基やヒドロキシメチル基が2以上存在するときには置換基を有していてもよい二価の炭化水素基(例えば、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、ベンジリデン基等)等]を挙げることができる。
上記Rbにおけるアミノ基の保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基(例えば、上記ヒドロキシル基の保護基として例示したアルキル基、アラルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基等)を挙げることができる。
上記Rbにおけるカルボキシル基の保護基、スルホ基の保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基[例えば、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のC1-6アルコキシ基等)、シクロアルキルオキシ基、アリルオキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、トリアルキルシリルオキシ基、置換基を有していてもよいアミノ基、ヒドラジノ基、アルコキシカルボニルヒドラジノ基、アラルキルカルボニルヒドラジノ基等]を挙げることができる。
上記Rbにおけるアシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基等のC1-6脂肪族アシル基;アセトアセチル基、ベンゾイル基等の芳香族アシル基等を挙げることができる。上記アシル基の保護基としては、上記有機合成の分野で慣用の保護基を使用できる。上記アシル基が保護された形態としては、例えば、アセタール(ヘミアセタールを含む)等を挙げることができる。
上記Rbが芳香環1つあたりに2つ以上結合している場合(即ち、式(a)中のmが2〜4の場合)において、2つ以上のRbが互いに結合して式(a)中の芳香環を構成する炭素原子と共に形成する環としては、例えば、5員の脂環式炭素環、6員の脂環式炭素環、2以上の脂環式炭素環(単環)の縮合環等の脂環式炭素環;5員のラクトン環、6員のラクトン環等のラクトン環等を挙げることができる。
上記式(a)中のRcは、単結合又は連結基(1以上の原子を有する二価の基)を示す。前記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)、及びこれらが複数個連結した基等を挙げることができる。上記連結基は、水酸基、カルボキシル基等の置換基を有していてもよく、このような連結基としては、例えば、1以上の水酸基を有する二価の炭化水素基等を挙げることができる。
上記二価の炭化水素基としては、炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、二価の脂環式炭化水素基等を挙げることができる。炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等を挙げることができる。二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の二価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等を挙げることができる。
上記式(a)中のmは、同一又は異なって、0〜4の整数を示す。また、n(nが付された括弧内の構造単位の繰り返し数)は、0〜10の整数を示す。
化合物(A)の重量平均分子量は特に限定されないが、例えば300〜10000程度であり、好ましくは300〜1000、特に好ましくは300〜500である。
上記式(a)中のnは、なかでも、硬化性組成物の粘度を広い範囲で調整することができる点で、0〜3が好ましく、特に好ましくは0である。即ち、化合物(A)としては、特に、下記式(a’)で表される化合物が好ましい。
Figure 2015151528
(式中、Ra、Rb、mは、前記に同じ)
本発明における化合物(A)としては、下記式で示される化合物等を挙げることができる。尚、下記式におけるRは、水素原子又はメチル基である。
Figure 2015151528
Figure 2015151528
化合物(A)は、公知乃至慣用の方法によって製造することができる。例えば、式(a)中のRaが水素原子である化合物(例えば、4,4’−チオビスベンゼンチオール等)を原料とし、これに塩基の存在下でハロゲン化ビニル、ハロゲン化アリル、(メタ)アクリル酸のハロゲン化物、エピハロヒドリン等を反応させる方法等を挙げることができる。また、式(a)中のRaがビニル基である化合物は、式(a)中のRaが水素原子である化合物(例えば、4,4’−チオビスベンゼンチオール等)とジハロエタンとを反応させ、続いて、脱ハロゲン化水素する方法によっても製造することができる。
化合物(A)は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明の硬化性組成物全量(100重量%)における化合物(A)の含有量(配合量)は99〜50重量%であり、好ましくは95〜55重量%、特に好ましくは90〜60重量%、最も好ましくは85〜65重量%である。
また、化合物(A)はカチオンをトラップしてカチオン重合の進行を抑制する作用を有する。そのため、本発明の硬化性組成物が重合開始剤(C)として光カチオン重合開始剤を含有する場合は、光照射によりカチオンを発生させるのみでは完全に硬化せず、その後加熱処理を施してトラップされたカチオンを放出することにより硬化を進行させ、完全に硬化させることができる。そのため、速やかに硬化させたい場合は光ラジカル重合開始剤を使用して光照射を施すことにより速やかに硬化させることができ、硬化遅延性を所望する場合は光カチオン重合開始剤を使用して、光照射と加熱処理を組み合わせて、光照射−加熱処理の順で施すことで硬化開始時を任意にコントロールすることができる。
(充填材(B))
本発明の充填材(B)は、モース硬度が5以下(特に好ましくは4〜1)である無機粒子の表面の少なくとも一部が、炭素数2以下のアルキル基、アルケニル基、及びアシル基から選択される少なくとも1種を含む基で修飾された表面修飾無機粒子である。本発明の充填材は前記表面修飾基を有するため、充填材同士の凝集が抑制され、硬化性組成物中で充填材が高分散された状態を維持することができ、吐出装置を用いて吐出する場合に吐出圧力に比例した吐出量を得ることができるため、吐出量のコントロールをより精度良く行うことができる。
充填材(B)における表面修飾無機粒子を構成する無機粒子としては、カオリン、焼成カオリン、タルク、マイカ、硫酸バリウムなど挙げることができる。本発明においては、なかでも、焼成カオリン及び/又はタルクが好ましい。
充填材(B)における表面修飾無機粒子を構成する無機粒子の形状としては、例えば、真球状、略真球状、板状(角板状、円板状)、立方体、直方体、角柱状、円柱状、塊状等を挙げることができる。本発明においては、なかでも、優れた防湿性を有する硬化物を形成することができる点で板状が好ましい。尚、本明細書において「板状」とは、無機粒子を3方向(x、y、z方向)から撮影して求めた各投影図の平均幅(X、Y、Z)(X≧Y>Z)について、X/Z≧5である形状のことである。
充填材(B)における表面修飾無機粒子を構成する無機粒子の平均粒子径(無機粒子が板状を呈する場合は、長軸長さ(X))は、例えば10μm以下が好ましく、特に好ましくは0.1〜10μmである。尚、本発明における平均粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定法等により求めた値である。
前記炭素数2以下のアルキル基、アルケニル基、及びアシル基から選択される少なくとも1種を含む基としては、充填材に高分散性を付与することができ、且つ充填材のチキソトロピー性を低下させることができる基であることが好ましく、例えば、Si(OR’)k(R”)3-k基(R'、R”は同一又は異なって、炭素数2以下のアルキル基、アルケニル基、又はアシル基を示し、kは0〜3を示す)を挙げることができる。すなわち、本発明の表面修飾無機粒子としては、分散性に優れる点で、無機粒子の表面の少なくとも一部が、Si(OR’)k(R”)3-k基(R'、R”は同一又は異なって、炭素数2以下のアルキル基、アルケニル基、又はアシル基を示し、kは0〜3を示す)を含む基で修飾された表面修飾無機粒子であることが好ましく、特に、無機粒子の表面に存在する水酸基の少なくとも一部に、Si(OR’)k(R”)3-k基(R'、R”は同一又は異なって、炭素数2以下のアルキル基、アルケニル基、又はアシル基を示し、kは0〜3を示す)が結合した表面修飾無機粒子が好ましい。
前記炭素数2以下のアルキル基、炭素数2以下のアルケニル基、及び炭素数2以下のアシル基としては、メチル基、エチル基、ビニル基、及びアセチル基を挙げることができる。また、これらの基はハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基などの置換基を1種又は2種以上有していてもよい。
前記R'、R”の炭素数は2個以下であるため、本発明の硬化性組成物はチキソトロピー性が低く、25℃におけるTI値は、例えば6未満、好ましくは4以下、特に好ましくは4未満である。そのため、吐出装置を用いて吐出する場合には吐出量を精度良くコントロールすることができる。一方、前記R'、R”の炭素数が2個を上回ると、本発明の硬化性組成物のチキソトロピー性が高くなり、吐出量をコントロールすることが困難となる傾向がある。これは、表面修飾基とバインダー樹脂の相互作用が強くなるためであると考えられる。尚、チキソトロピー性はTI値(Thixotropy Index)[せん断速度5(1/S)/せん断速度50(1/S)]によって評価することができる。TI値はレオメーター(商品名「MCR−301」、Anton Paar社製)を使用して測定可能である。
充填材(B)における表面修飾無機粒子は、無機粒子(100重量%)に対して0.01〜10重量%程度(好ましくは0.05〜7重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%)の表面修飾部を有することが好ましい。表面修飾部が過剰であると、アウトガスが増加する傾向がある。一方、表面修飾部が過少であると、充填材同士の凝集の抑制効果が不十分となる場合がある。また、無機粒子がアルカリ性を示す場合(例えば、タルク等)は、表面修飾部が過少であると、カチオン重合開始剤から発生した酸がアルカリ性の無機粒子によりトラップされ、硬化性組成物の硬化の進行が阻害される傾向がある。尚、表面修飾無機粒子に占める無機粒子と表面修飾部の割合は、焼成法による重量減少により求めることができる。
前記充填材(B)における表面修飾無機粒子を構成する無機粒子は、例えば国際公開第96/31572号に記載されている火炎加水分解法や、火炎熱分解法、プラズマ法等の公知の方法で製造することができる。
また、無機粒子の表面修飾は、無機粒子に、例えば下記式(b-1)で表されるシランカップリング剤等の表面修飾剤を反応させることにより行うことができる。
Figure 2015151528
(式中、R'、R”、kは上記に同じ。tは1又は2を示し、Xはアルコキシ基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、(メタ)アクリル基、及びメルカプト基から選択される基を示す)
上記表面修飾剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジエトキシメトキシ、トリメチルエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン等のアルキルアルコキシシラン又はアルケニルアルコキシシラン;ヘキサメチルジシラザン等のビス(トリアルキル又はアルケニルシリル)アミン;前記化合物の炭素原子にハロゲン原子、ヒドロキシル基、及びシアノ基から選択される基が置換した化合物等を挙げることができる。
充填材(B)の含有量(配合量)は、硬化性組成物全量(100重量%)の10〜50重量%であり、好ましくは15〜45重量%、特に好ましくは20〜40重量%である。充填材(B)を上記範囲で含有すると、防湿性に優れたダムを形成することができる。充填材(B)の含有量が多すぎると、粘度が高くなりすぎて、塗布し難くなる傾向がある。一方、充填材(B)が少なすぎると、十分な防湿性が得られにくく成る傾向がある。
(重合開始剤(C))
本発明の硬化性組成物は、上記成分以外にも必要に応じて他の成分を含有していてもよく、重合開始剤(C)を含有することが好ましい。重合開始剤(C)としては、周知慣用の重合開始剤を使用することができる。本発明においては光重合開始剤を使用することが好ましい。光重合開始剤には光カチオン重合開始剤と光ラジカル重合開始剤が含まれる。本発明の硬化性組成物に硬化遅延性を所望する場合は光カチオン重合開始剤を使用することが好ましく、本発明の硬化性組成物に速硬化性を所望する場合は光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。尚、重合開始剤(C)は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(光カチオン重合開始剤)
光カチオン重合開始剤は、光の照射によってカチオン種を発生してカチオン重合性化合物の硬化反応を開始させる化合物であり、光を吸収するカチオン部と酸の発生源となるアニオン部からなる。
本発明の光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩系化合物、ヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、ホスホニウム塩系化合物、セレニウム塩系化合物、オキソニウム塩系化合物、アンモニウム塩系化合物、臭素塩系化合物等を挙げることができる。
なかでも、スルホニウム塩系化合物を使用することが、硬化性に優れた硬化物を形成することができる点で好ましい。スルホニウム塩系化合物のカチオン部としては、例えば、トリフェニルスルホニウムイオン、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムイオン、トリ−p−トリルスルホニウムイオン等のアリールスルホニウムイオン(特に、トリアリールスルホニウムイオン)を挙げることができる。
光カチオン重合開始剤のアニオン部としては、例えば、BF4 -、B(C654 -、PF6 -、[(Rf)nPF6-n-(Rf:水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基、n:1〜5の整数)、AsF6 -、SbF6 -、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート等を挙げることができる。
本発明の光カチオン重合開始剤としては、例えば、4−(4−ビフェニルチオ)フェニル−4−ビフェニルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4−(4−ビフェニルチオ)フェニル−4−ビフェニルフェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、商品名「サイラキュアUVI−6970」、「サイラキュアUVI−6974」、「サイラキュアUVI−6990」、「サイラキュアUVI−950」(以上、米国ユニオンカーバイド社製)、「イルガキュア250」、「イルガキュア261」、「イルガキュア264」、「CG−24−61」(以上、BASF社製)、「SP−150」、「SP−151」、「SP−170」、「オプトマーSP−171」(以上、(株)ADEKA製)、「DAICAT II」((株)ダイセル製)、「UVAC1590」、「UVAC1591」(以上、ダイセル・サイテック(株)製)、「CI−2064」、「CI−2639」、「CI−2624」、「CI−2481」、「CI−2734」、「CI−2855」、「CI−2823」、「CI−2758」、「CIT−1682」(以上、日本曹達(株)製)、「PI−2074」(ローディア社製、ペンタフルオロフェニルボレートトルイルクミルヨードニウム塩)、「FFC509」(3M社製)、「BBI−102」、「BBI−101」、「BBI−103」、「MPI−103」、「TPS−103」、「MDS−103」、「DTS−103」、「NAT−103」、「NDS−103」(以上、ミドリ化学(株)製)、「CD−1010」、「CD−1011」、「CD−1012」(以上、米国、Sartomer社製)、「CPI−100P」、「CPI−101A」(以上、サンアプロ(株)製)等の市販品を使用できる。
光カチオン重合開始剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができ、その使用量(配合量)は硬化性組成物全量(100重量%)において、0.01〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%、最も好ましくは0.1〜3重量%である。
(硬化促進剤)
本発明の硬化性組成物が光カチオン重合開始剤を含有する場合は、光カチオン重合開始剤と共に硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤は、本発明の硬化性組成物中の重合性化合物が光カチオン重合開始剤により硬化する際に、硬化速度を促進する機能を有する化合物であり、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、及びこれらの塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩);ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等の3級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール;リン酸エステル、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラ(p−トリル)ボレート等のホスホニウム化合物;オクチル酸スズ、オクチル酸亜鉛等の有機金属塩;金属キレート等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記硬化促進剤としては、例えば、商品名「U−CAT SA 506」、「U−CAT SA 102」、「U−CAT 5003」、「U−CAT 18X」、「12XD」(開発品)(以上、サンアプロ(株)製)、「TPP−K」、「TPP−MK」(以上、北興化学工業(株)製)、「PX−4ET」(日本化学工業(株)製)等の市販品を使用することができる。
上記硬化促進剤の含有量としては、本発明の硬化性組成物全量(100重量%)の0.01〜5重量%程度が好ましく、より好ましくは0.02〜3重量%、特に好ましくは0.05〜3重量%、最も好ましくは0.1〜2.5重量%である。硬化促進剤を上記範囲で含有すると、硬化物に着色を生じることなく硬化促進効果を発揮することができる。
(光ラジカル重合開始剤)
本発明の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノンベンジル、ベンジルジメチルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ジメトキシアセトフェノン、ジメトキシフェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ジフェニルジサルファイト、オルトベンゾイル安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬(株)製、商品名「カヤキュアEPA」等)、2,4−ジエチルチオキサンソン(日本化薬(株)製、商品名「カヤキュアDETX」等)、2−メチル−1−[4−(メチル)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1(チバガイギ−(株)製、商品名「イルガキュア907」等)、2−ジメチルアミノ−2−(4−モルホリノ)ベンゾイル−1−フェニルプロパン等の2−アミノ−2−ベンゾイル−1−フェニルアルカン化合物、テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンジル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゼン誘導体、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾ−ル(保土谷化学(株)製、商品名「B−CIM」等)等のイミダゾール化合物、2,6−ビス(トリクロロメチル)−4−(4−メトキシナフタレン−1−イル)−1,3,5−トリアジン等のハロメチル化トリアジン化合物、2−トリクロロメチル−5−(2−ベンゾフラン2−イル−エテニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。光ラジカル重合開始剤としては、感度及び耐薬品性等の観点から、イミダゾール化合物とアミノベンゼン誘導体の組合せ、2−アミノ−2−ベンゾイル−1−フェニルアルカン化合物、ハロメチル化トリアジン化合物、ハロメチルオキサジアゾール化合物等が好ましい。また、本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、光増感剤を加えることができる。
上記光ラジカル重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、その使用量(配合量)は、本発明の硬化性組成物全量(100重量%)の0.01〜5重量%が好ましく、特に好ましくは0.1〜3重量%である。
(線状重合体(D))
本発明の硬化性組成物は、また、カルバゾール骨格を含有するモノマー単位(繰り返し単位)を含む線状重合体(D)を1種又は2種以上含有していてもよい。
前記カルバゾール骨格を有するモノマー単位としては、例えば、下記式(d)で表されるモノマー単位を挙げることができる。式(d)中、R1〜R9は同一又は異なって、水素原子又は有機基を示す。Yは単結合又は連結基を示す。
Figure 2015151528
1〜R9における有機基としては、例えば、ハロゲン原子、炭化水素基、複素環式基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基等)、カルボキシル基、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、硫黄酸基、硫黄酸エステル基、アシル基(アセチル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基等の芳香族アシル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基等のC1-6アルコキシ基等)、N,N−ジ置換アミノ基(N,N−ジメチルアミノ基、ピペリジノ基等)等、及びこれらが2以上結合した基等を挙げることができる。前記カルボキシル基等は有機合成の分野で公知乃至慣用の保護基で保護されていてもよい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素原子を挙げることができる。
前記炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、及びこれらの結合した基が含まれる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基等の炭素数1〜20(好ましくは1〜10、特に好ましくは1〜3)程度のアルキル基;ビニル基、アリル基、1−ブテニル基等の炭素数2〜20(好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜3)程度のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数2〜20(好ましくは2〜10、特に好ましくは2〜3)程度のアルキニル基等を挙げることができる。
脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の3〜20員(好ましくは3〜15員、特に好ましくは5〜8員)程度のシクロアルキル基;シクロペンテニル基、シクロへキセニル基等の3〜20員(好ましくは3〜15員、特に好ましくは5〜8員)程度のシクロアルケニル基;パーヒドロナフタレン−1−イル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン−3−イル基等の橋かけ環式炭化水素基等を挙げることができる。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14(好ましくは6〜10)程度の芳香族炭化水素基を挙げることができる。
脂肪族炭化水素基と脂環式炭化水素基とが結合した炭化水素基には、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、2−シクロヘキシルエチル基等のシクロアルキル−アルキル基(例えば、C3-20シクロアルキル−C1-4アルキル基等)等が含まれる。また、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合した炭化水素基には、アラルキル基(例えば、C7-18アラルキル基等)、アルキル置換アリール基(例えば、1〜4個程度のC1-4アルキル基が置換したフェニル基又はナフチル基等)等が含まれる。
上記炭化水素基は、種々の置換基[例えば、ハロゲン原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシルオキシ基等)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基等)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基等]を有していてもよい。前記ヒドロキシル基やカルボキシル基は有機合成の分野で慣用の保護基で保護されていてもよい。また、脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基の環には芳香族性又は非芳香属性の複素環が縮合していてもよい。
前記複素環式基を構成する複素環には、芳香族性複素環及び非芳香族性複素環が含まれる。このような複素環としては、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、γ−ブチロラクトン環等の5員環;4−オキソ−4H−ピラン環、テトラヒドロピラン環、モルホリン環等の6員環;ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、4−オキソ−4H−クロメン環、クロマン環、イソクロマン環等の縮合環;3−オキサトリシクロ[4.3.1.14,8]ウンデカン−2−オン環、3−オキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−2−オン環等の橋かけ環)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環等の5員環;4−オキソ−4H−チオピラン環等の6員環;ベンゾチオフェン環等の縮合環等)、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール環、ピロリジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環等の5員環;ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環等の6員環;インドール環、インドリン環、キノリン環、アクリジン環、ナフチリジン環、キナゾリン環、プリン環等の縮合環等)等を挙げることができる。上記複素環式基には、前記炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等のC1-4アルキル基等)、シクロアルキル基、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)等の置換基を有していてもよい。
Yは単結合又は連結基を示す。前記連結基としては、例えば、二価の炭化水素基、カルボニル基(−CO−)、エーテル結合(−O−)、エステル結合(−COO−)、アミド結合(−CONH−)、カーボネート結合(−OCOO−)、及びこれらが複数個連結した基等を挙げることができる。前記二価の炭化水素基としては、前記式(a)中のRcにおける例と同様の例を挙げることができる。
本発明の線状重合体(D)は上記カルバゾール骨格を含有するモノマー単位に対応する重合性単量体(例えば、N−ビニルカルバゾール、N−アクリロイルカルバゾール、N−(ビニルベンジル)カルバゾール等)を重合に付すことにより得ることができる。尚、重合の方式は、特に限定されず、溶液重合、溶融重合等の公知の方法を採用できる。
また、本発明の線状重合体(D)は、上記カルバゾール骨格を含有するモノマー単位以外にも他のモノマー単位を有する共重合体(例えば、グラフト共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体等)であってもよい。前記共重合体は、前記上記カルバゾール骨格を含有するモノマー単位に対応する重合性単量体と、他のモノマー単位に対応する重合性単量体を重合に付すことにより製造することができる。
前記他のモノマー単位に対応する重合性単量体としては、例えば、オレフィン[例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン等の鎖状オレフィン(特に、C2-12アルケン);シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン等の環状オレフィン]、芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、1−プロペニルベンゼン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−ビニルピリジン、3−ビニルフラン、3−ビニルチオフェン、3−ビニルキノリン等のC6-14芳香族ビニル化合物)、(メタ)アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等のアクリル酸C1-10アルキルエステル、及びこれらに対応するメタクリル酸エステル等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプロン酸ビニル等のC1-16脂肪酸ビニルエステル等)、マレイン酸エステル又はフマル酸エステル(例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸2−エチルへキシル等のマレイン酸ジC1-10アルキルエステル、及びこれらに対応するフマル酸エステル等)、カルボキシル基含有単量体(例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等のモノカルボン酸;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の多価カルボン酸又はその酸無水物;前記多価カルボン酸のモノアルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、オクチルエステル、ラウリルエステル等のC1-16アルキルエステル)、インデン類(例えば、インデン、メチルインデン、エチルインデン、ジメチルインデン等のアルキルインデン;クロロインデン、ブロモインデン等のハロゲン化インデン等)等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は二種以上組み合わせて使用することができる。
本発明においては、なかでも化合物(A)への溶解性に優れる点で、芳香族ビニル化合物(特に、スチレン類)及びインデン類から選択される少なくとも1種の重合性単量体由来のモノマー単位を有することが好ましい。
線状重合体(D)を構成する全モノマー単位に占めるカルバゾール骨格を含有するモノマー単位の割合としては、例えば30重量%以上、好ましくは30〜95重量%、特に好ましくは50〜90重量%である。カルバゾール骨格を含有するモノマー単位を上記範囲で含有する線状重合体は、化合物(A)に対する溶解性に優れる点で好ましい。一方、カルバゾール骨格を含有するモノマー単位の割合が上記範囲を下回ると、硬化物が白濁する傾向がある。
線状重合体(D)の重量平均分子量は、化合物(A)との相溶性に優れる点で、例えば500〜1000000程度、好ましくは3000〜500000である。尚、上記重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の分子量である。線状重合体(D)の重量平均分子量が上記範囲を外れると、得られる硬化物の屈折率を高く維持しつつ、所望の粘度及び硬化収縮率を有する硬化性組成物を形成することが困難となる傾向がある。
本発明の線状重合体(D)としては、商品名「PVCZ 8K」、「PVCZ」、(以上、ポリ−N−ビニルカルバゾール、丸善石油化学(株)製)、「P0656」(ポリ−N−ビニルカルバゾール、東京化成(株)製)等の市販品を使用してもよい。
本発明の硬化性組成物全量(100重量%)における線状重合体(D)の含有量(配合量)は、例えば1〜50重量%程度であり、好ましくは5〜40重量%、特に好ましくは10〜30重量%である。線状重合体(D)を上記範囲で添加すると、硬化性組成物を増粘させることができるため、フィル材の流出を極めて低く抑制することができ、且つ防湿性に優れた硬化物を得ることができる点で好ましい。
(スペーサーフィラー)
また、本発明の硬化性組成物には、形成されるダムの膜厚の制御を容易とするために真球状のスペーサーフィラーを添加してもよい。
スペーサーフィラーの原料としては、例えば、アクリル重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体、ジビニルベンゼン共重合体等のプラスチックを挙げることができる。
スペーサーフィラーの平均粒子径は、例えば0.5〜100μm程度であり所望するダムの膜厚に応じて適宜調整することができる。
スペーサーフィラーの含有量(配合量)は、硬化性組成物全量(100重量%)の0.01〜10重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%、特に好ましくは0.3〜3重量%である。
(他の添加剤)
本発明の硬化性組成物は、更に、必要に応じて、例えば、重合禁止剤、シランカップリング剤、有機フィラー、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、レベリング剤、消泡剤、顔料、有機溶剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、顔料、蛍光体、離型剤等の慣用の添加剤を含有していてもよいが、本発明の硬化性組成物全量に占める添加剤の割合は、例えば40重量%以下、好ましくは30重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。添加剤の含有量が上記範囲を上回ると、防湿性や低アウトガス性の効果を得難くなる傾向がある。また、本発明の硬化性組成物は上記化合物(A)以外にも他の重合性化合物(例えば、アクリル系化合物、オレフィン系化合物等)を含有していても良いが、本発明の硬化性組成物に含まれる全重合性化合物に占める化合物(A)の割合は、例えば70重量%以上、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上である。他の重合性化合物の含有量が上記範囲を上回ると、防湿性が低下する傾向がある。
本発明の硬化性組成物は、化合物(A)、充填材(B)、重合開始剤(C)、及び必要に応じて他の添加剤(例えば、線状重合体(D)等)を、自公転式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、3本ロールミル、ビーズミル等の一般的に知られる混合用機器を使用して均一に混合することにより製造することができる。尚、各成分は、同時に混合してもよいし、逐次混合してもよい。
本発明の硬化性組成物は、上記充填材(B)を含有するため凝集することなく高分散性を維持することができる。そのため、吐出装置を用いて吐出する場合には吐出量を精度良くコントロールすることができ(すなわち、吐出圧力に比例した吐出量を得ることができ)、取り扱い性に優れる。
そして、本発明の硬化性組成物の粘度(25℃、せん断速度:20(1/s))としては、例えば5〜1000Pa・s程度が好ましく、より好ましくは20〜500Pa・s、特に好ましくは40〜300Pa・s、最も好ましくは70〜200Pa・sである。前記粘度を有する硬化性組成物は、フィル材の流出を防止することができ、且つ防湿性に優れたダムを形成することができる。
本発明の硬化性組成物は、(1)光照射のみ、又は(2)光照射と加熱処理をこの順で施すことにより硬化することができる。(1)光照射のみを行う場合は、厚み100μmの塗膜の場合、水銀ランプ等で500mJ/cm2以上の光を照射することが好ましい。また、(2)光照射と加熱処理を行う場合の光照射は、厚み100μmの塗膜の場合、水銀ランプ等で500mJ/cm2以上の光を照射することが好ましく、加熱処理は、オーブン等により、例えば40〜150℃(特に好ましくは60〜120℃、最も好ましくは80〜110℃)で、10〜200分間(特に好ましくは30〜120分間)加熱することが好ましい。
本発明の硬化性組成物はカチオントラップ作用を有する上記化合物(A)を含有するため、速やかに硬化させたい場合は、重合開始剤(C)として光ラジカル重合開始剤を使用して光照射を施すことにより速やかに硬化することができる。また、硬化遅延性を所望する場合は、重合開始剤(C)として光カチオン重合開始剤を使用し、光照射と加熱処理をこの順で施すことにより、光照射を施した段階では硬化の進行が抑制されて接着性が維持され、その後、加熱処理を施すことにより硬化を進行させ、完了させることができる。
本発明の硬化性組成物の硬化物は防湿性に優れ、硬化物(厚さ:100μm、硬化度:50%以上)の水蒸気透過率は、例えば25g/m2・24hrs・atm以下、好ましくは20〜5g/m2・24hrs・atm、特に好ましくは15〜5g/m2・24hrs・atmである。尚、硬化物の水蒸気透過率は、JIS L 1099およびJIS Z 0208に準じて、厚み100μmの硬化物の透湿量を、60℃、90%RHの条件下で測定することにより算出することができる。尚、前記「24hrs」は「24hours」の意味である。また、硬化物の硬化度はDSCにて250℃まで加熱したときの完全硬化の発熱量と、所定の硬化条件の発熱量から換算することが可能である。
更に、本発明の硬化性組成物の硬化物(60mg)のアウトガス量は1000ppm以下程度(好ましくは100ppm以下、特に好ましくは50ppm以下、最も好ましくは35ppm未満)であり、低アウトガス性を示す。尚、アウトガス量はヘッドスペースGC/MSにより測定することができる。
本発明の硬化性組成物は、バインダー樹脂としての化合物(A)と重合開始剤を含むフィル材を使用して封止する際にダム材として使用することが好ましい。
前記フィル材としては、上記式(a)で表される化合物(A)を、フィル材全量(100重量%)の99.99〜50重量%程度(好ましくは99.9〜60重量%、特に好ましくは99.7〜70重量%、最も好ましくは99.5〜75重量%)含有することが好ましい。化合物(A)を上記範囲で含有するフィル材は流動性が高く充填性に優れ、硬化することにより高い屈折率を有し光透過性に優れ、且つアウトガスが少ない硬化物が得られる。
前記重合開始剤としては、上記硬化性組成物に使用される重合開始剤(C)と同様の例を挙げることができる。例えば、重合開始剤として光カチオン重合開始剤を使用する場合、その使用量(配合量)はフィル材全量(100重量%)において、0.01〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜10重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%、最も好ましくは0.1〜3重量%である。
前記フィル材には上記化合物(A)、及び重合開始剤以外にも必要に応じて他の成分を含有していても良い。他の成分としては、上記硬化性組成物に使用される充填材(B)や他の添加剤を挙げることができる。これら他の成分の含有量としては、フィル材全量(100重量%)の40重量%以下、好ましくは30重量%以下である。他の成分の含有量が上記範囲を上回ると、得られる硬化物の屈折率が低下する傾向があり、光透過性が低下する傾向がある。また、フィル材は上記化合物(A)以外にも他の重合性化合物(例えば、アクリル系化合物、オレフィン系化合物等)を含有していても良いが、フィル材に含まれる全重合性化合物に占める化合物(A)の割合は、例えば70重量%以上、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上である。他の重合性化合物の含有量が上記範囲を上回ると、屈折率の低下により光透過性が低下する傾向がある。
前記フィル材の粘度(25℃、せん断速度:20(1/s))は、0.010〜20Pa・s程度(好ましくは0.015〜5Pa・s、特に好ましくは0.020〜1Pa・s)であることが、吐出性及び充填性に優れる点で好ましい。
本発明の硬化性組成物をダム材として使用すると、上記フィル材を使用しても、ダムの硬化が阻害されることがなく、フィル材の流出を堰き止めることができ、ダム材とフィル材の硬化物によって有機EL素子を完全に封止することができる。
更に本発明の硬化性組成物及び上記フィル材は、カチオントラップ作用を有する化合物(A)を含むため、重合開始剤として光カチオン重合開始剤を使用する場合は、光照射を施し、その後加熱処理を施すことにより硬化を進行させ、完了させることができ、光照射を施した段階では硬化の進行は抑制されて、接着性が維持される。そのため、例えば、下記方法を採用することにより、直に光に曝されることによる有機EL素子の劣化を防止しつつ、低透湿性且つ低アウトガス性の硬化物で有機EL素子を封止することができ、光取り出し効率に優れ、長寿命で信頼性の高い有機ELデバイス(トップ・エミッション方式、ボトム・エミッション方式)を形成することができる(図1参照)。
工程1:リッド(蓋)上に本発明の硬化性組成物を使用してダムを形成する
工程2:ダム内にフィル材を充填して封止材/リッド(蓋)積層体を形成し、光照射を施す
工程3:基板上に有機EL素子を設置し、有機EL素子設置面に光照射後の封止材/リッド(蓋)積層体を封止材面が有機EL素子設置面に相対するように貼り合わせる
工程4:加熱処理を施すことにより封止材を硬化させる
前記基板及びリッド(蓋)としては防湿性基材を使用することが好ましく、例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス等のガラス基板;ステンレス・アルミニウム等の金属基板;三フッ化ポリエチレン、ポリ三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、PCTFEとPVDFとの共重合体、PVDFとポリフッ化塩化エチレンとの共重合体等のポリフッ化エチレン系ポリマー、ポリイミド、ポリカーボネート、ジシクロペンタジエン等のシクロオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン等の樹脂基板等を挙げることができる。
前記有機EL素子には、陽極/発光層/負極の積層体が含まれる。必要に応じてSiN膜等のパッシベーション膜を設けてもよい。
ダムの形成は、例えば、リッド(蓋)上にダム材を塗布することにより行うことができる。ダムの形成範囲は、有機EL素子を水分から保護する目的を達成することができる範囲であれば特に制限されることはない。
フィル材の充填は、例えば、ディスペンサー等を使用してダム内に吐出することにより行うことができる。フィル材の充填量は、有機EL素子を水分から保護することができ、且つ光取り出し効率を向上することができる範囲であれば特に制限されることはない。
上記方法により得られる本発明の有機ELデバイス(トップ・エミッション方式、ボトム・エミッション方式)は、光取り出し効率に優れ、長寿命で信頼性が高い。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
BSV(ビス(4−ビニルチオフェニル)スルフィド、住友精化(株)製)64重量部、重合開始剤(4−(4−ビフェニルチオ)フェニル−4−ビフェニルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)1重量部、及び充填材として表面修飾カオリン粒子(板状)35重量部を、自転・公転ミキサー(商品名「あわとり練太郎 ARE−310」、(株)シンキー製)内に投入して撹拌し、硬化性組成物(1)(粘度:150Pa・s)を得た。硬化性組成物(1)の吐出性を下記方法により評価した。
ガラス基板上に、得られた硬化性組成物(1)を塗布し、200W/cmの水銀ランプで紫外線を照射(照射量:2000mJ/cm2)し、その後、100℃で1時間加熱して硬化物(1)を得た。
得られた硬化物について、アウトガス、フィラー流出距離、及び水蒸気透過率を下記方法により評価した。
実施例2〜6、比較例1〜3
下記表に示すように処方を変更した以外は実施例1と同様にして硬化性組成物を調製し、硬化物を作製して評価した。
<粘度の測定>
粘度は、レオメーター(商品名「Physica MCR301」、Anton Paar社製)を使用して測定した、25℃、せん断速度が20(1/s)の時の値である。
<吐出性>
レオメーター(商品名「MCR−301」、Anton Paar社製)を使用して、25℃におけるTI値[せん断速度5(1/S)/せん断速度50(1/S)]を測定し、下記基準で吐出性を評価した。
評価基準
TI値が6未満の場合:吐出性良好(○)
TI値が6以上の場合:吐出性不良(×)
<アウトガス>
実施例及び比較例で得られた硬化物のアウトガス量は、バイヤル瓶に硬化物60mgを入れ、UV照射(2000mJ/cm2)して100℃の条件下で1時間静置した後、バイヤル瓶中のアウトガス量を測定した。尚、トルエン標準液[標準物質としてのトルエン:100ppm(60μg)、溶媒:ヘキサン(60mg)]を用いて検量線を作成した。また、測定機器としては、商品名「HP−6890N」(ヒューレットパッカート社製)を使用し、カラムは商品名「DB−624」(アジレント社製)を使用した。
<フィラーの流出距離>
フィラーの流出距離は、CCDカメラを使用して500倍で観察することにより測定した。
<水蒸気透過率>
実施例及び比較例で得られた硬化物の水蒸気透過率は、硬化物(厚み:100μm)の透湿量を、JIS L 1099及びJIS Z 0208(カップ法)に準じて、60℃、90%RH条件下で測定した。
Figure 2015151528
*比較例2で得られた硬化性組成物は硬化しなかったため評価なし。
実施例及び比較例で用いた化合物は、以下の通りである。
[化合物(A)]
BSV:ビス(4−ビニルチオフェニル)スルフィド、分子量:302、住友精化(株)製
[充填材(B)]
表面修飾カオリン粒子:商品名「Translink77」(平均粒子径:0.8μm、焼成カオリンフィラー(板状、モース硬度:2〜3)+ビニルトリメトキシシラン、BASF社製)
表面修飾タルク粒子(1):タルク(板状、モース硬度:1、平均粒子径:1μm、商品名「D−1000」、日本タルク(株)製)にKBM−1003(ビニルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)を3重量%添加し、自転・公転ミキサー(商品名「あわとり練太郎 ARE−310」、(株)シンキー製)を使用して混練した後、真空乾燥機を使用して100℃で5時間乾燥して得られた、表面修飾された板状のタルク(タルク粒子(100重量%)に対して表面修飾部を1.2重量%含有)
表面修飾タルクフ粒子(2):タルク(板状、モース硬度:1、平均粒子径:1μm、商品名「D−1000」、日本タルク(株)製)にKBM−13(メチルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)を0.35重量%添加し、自転・公転ミキサー(商品名「あわとり練太郎 ARE−310」、(株)シンキー製)を使用して混練した後、真空乾燥機を使用して100℃で5時間乾燥して得られた、表面修飾された板状のタルク(タルク粒子(100重量%)に対して表面修飾部を0.3重量%含有)
表面修飾タルク粒子(3):タルク(板状、モース硬度:1、平均粒子径:1μm、商品名「D−1000」、日本タルク(株)製)にKBM−22(ジメトキシジメチルシラン、信越化学工業(株)製)を0.35重量%添加し、自転・公転ミキサー(商品名「あわとり練太郎 ARE−310」、(株)シンキー製)を使用して混練した後、真空乾燥機を使用して100℃で5時間乾燥して得られた、表面修飾された板状のタルク(タルク粒子(100重量%)に対して表面修飾部を0.5重量%含有)
表面修飾シリカ粒子:商品名「SE−2050GD」(真球状、モース硬度:5を超える、平均粒子径:0.6μm、シリカフィラー+ジメチルジメトキシシラン、アドマテックス(株)製)
表面非修飾タルク:板状、モース硬度:5を超える、平均粒子径:1μm、商品名「D−1000」、日本タルク(株)製
表面非修飾カオリン粒子:板状、モース硬度:2〜3、平均粒子径:0.8μm、商品名「SATINTONE No.5」、BASF社製
[重合開始剤(C)]
光カチオン重合開始剤:4−(4−ビフェニルチオ)フェニル−4−ビフェニルフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
[線状重合体(D)]
PVCZ:ポリ−N−ビニルカルバゾール、重量平均分子量:40000、丸善石油化学(株)製
1 リッド(蓋)
2 ダム
3 ディスペンサー
4 硬化性組成物
5 基板
6 陰極
7 発光層
8 陽極

Claims (14)

  1. 下記化合物(A)を99〜50重量%、下記充填材(B)を1〜50重量%、及び重合開始剤(C)を含む硬化性組成物。
    化合物(A):下記式(a)で表される化合物
    Figure 2015151528
    (式中、Raは反応性官能基を示す。Rbはハロゲン原子、アルキル基、ハロアルキル基、アリール基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシアルキル基、保護基で保護されていてもよいアミノ基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、保護基で保護されていてもよいスルホ基、ニトロ基、シアノ基、又は保護基で保護されていてもよいアシル基を示す。Rcは単結合又は連結基を示す。mは0〜4の整数を示し、nは0〜10の整数を示す。尚、2つのRaは、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい。また、Rb及びmが複数ある場合は、それぞれ同一であってもよく異なっていてもよい)
    充填材(B):モース硬度が5以下である無機粒子の表面の少なくとも一部が、炭素数2以下のアルキル基、アルケニル基、及びアシル基から選択される少なくとも1種を含む基で修飾された表面修飾無機粒子
  2. 充填材(B)が、モース硬度が5以下である無機粒子の表面の少なくとも一部が、Si(OR’)k(R”)3-k基(R'、R”は同一又は異なって、炭素数2以下のアルキル基、アルケニル基、又はアシル基を示し、kは0〜3を示す)を含む基で修飾された表面修飾無機粒子である請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 充填材(B)における表面修飾無機粒子を構成する無機粒子が板状である請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 充填材(B)における表面修飾無機粒子は、無機粒子(100重量%)に対して0.01〜10重量%の表面修飾部を有する請求項1〜3の何れか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 充填材(B)における表面修飾無機粒子を構成する無機粒子が、タルク及び/又は焼成カオリンである請求項1〜4の何れか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 化合物(A)が、下記式(a’)で表される化合物である請求項1〜5の何れか1項に記載の硬化性組成物。
    Figure 2015151528
    (式中、Ra、Rb、mは、前記に同じ)
  7. 25℃、せん断速度20(1/s)における粘度が5〜1000Pa・sである請求項1〜6の何れか1項に記載の硬化性組成物。
  8. 充填材(B)における表面修飾無機粒子を構成する無機粒子の平均粒子径が10μm以下である請求項1〜7の何れか1項に記載の硬化性組成物。
  9. 更に、カルバゾール骨格を含有するモノマー単位を含む線状重合体(D)を、硬化性組成物全量の1〜50重量%含有する請求項1〜8の何れか1項に記載の硬化性組成物。
  10. 重合開始剤(C)が、光カチオン重合開始剤である請求項1〜9の何れか1項に記載の硬化性組成物。
  11. 有機エレクトロルミネッセンス素子封止において、ダム材として使用する請求項1〜10の何れか1項に記載の硬化性組成物。
  12. 請求項1〜10の何れか1項に記載の硬化性組成物の硬化物で有機エレクトロルミネッセンス素子を封止することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造方法。
  13. 硬化物(厚さ:100μm)の水蒸気透過率(60℃、90%RHにおける)が25g/m2・24hrs・atm以下である請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造方法。
  14. 請求項12又は13に記載の有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造方法によって得られる有機エレクトロルミネッセンスデバイス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017099055A1 (ja) * 2015-12-08 2017-06-15 株式会社ダイセル 封止用組成物
US10367166B2 (en) 2017-05-29 2019-07-30 Lg Display Co., Ltd. Display device having dam with plate-shaped fillers

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