JP2015150604A - 両ねじ体転造用ダイス構造、両ねじ体転造方法 - Google Patents

両ねじ体転造用ダイス構造、両ねじ体転造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】両ねじ体を形成する際に、円柱状のねじ素材に対する転動不良を低減し、高精度な両ねじ体の大量生産を可能にする。
【解決手段】ねじ素材Bに対して圧接しつつ相対変位する剛性の表面を有するダイ部材10を用いて両ねじ体Dの転造を行う。ダイ部材10は、表面の最外部間を繋いで得られる仮想表面22の法線方向視において略平行四辺形状を成し、仮想表面22から凹設される複数の凹部30が、相対変位する方向に沿って複数配列される両ねじ部形成領域Uを備える。更にダイ部材10は、両ねじ部形成領域Uにおける凹部30の相対変位する方向の配列ピッチが、ねじ素材Bと相対変位する際の上流側から下流側に向かって小さく設定される領域を有するようにした。
【選択図】図3

Description

本発明は、ねじ部の軸方向における同一領域上に右ねじ部と左ねじ部とを有する両ねじ体を転造によって効率よく高精度且つ安定的に生産するための転造用ダイス構造等に関する。
従来、右ねじ又は左ねじの何れか一方のみのねじ部を有する雄ねじを転造によって製造する場合には、ブランクとも呼ばれる金属製円柱状の棒状体であるねじ素材を、多条の条部を表面に有する複数の剛性平板、剛性円柱若しくは剛性円筒体となるダイ部材によって押圧しつつ、ねじ素材とダイ部材を相対変位させて、ねじ素材表面を塑性変形させながらねじ山若しくはねじ溝を形成するのが一般的である。ダイ部材に形成される条部は、断面が所望の形状、例えば略三角形に形成され互いにほぼ平行でリード角をもった状態で形成される。
雄ねじ体としては、雄ねじ体のねじ部の軸方向における同一領域上に、右ねじ部と左ねじ部とを有する両ねじ体が知られ、これを転造によって生産するための試みがなされている(特許文献1)。
特許文献1によれば、ダイ部材に凹設される両ねじ体の条部となる平行四辺形の凹みの形状を最適化することで、転造後の軸形状が比較的安定し、なおかつ、条部を高精度に形成できる。しかし、今後は、一層高精度な両ねじ体を、転造装置の簡易なセッティングで大量生産できるようにする技術が求められている。
特開2013−43183号公報
本発明は、上述の如くの問題を解決すること、即ち、両ねじ体を形成する際の円柱状のねじ素材に対する転動不良を低減し、高精度な両ねじ体の大量生産が可能な両ねじ体の転造用ダイス構造及び転造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する為に両ねじ体転造用ダイス構造が採用した手段は、ねじ素材に対して圧接しつつ相対変位する剛性の表面を有するダイ部材を備え、前記ダイ部材は、前記表面の最外部間を繋いで得られる仮想表面の法線方向視において略平行四辺形状を成し、該仮想表面から凹設される複数の凹部が、前記相対変位する方向に沿って複数配列される両ねじ部形成領域を備え、前記両ねじ部形成領域における前記凹部の前記相対変位する方向の配列ピッチが、前記ねじ素材と相対変位する際の上流側から下流側に向かって小さく設定される領域を有することを特徴とする。
上記手段に関連して、複数の前記凹部における前記相対変位する方向の最大寸法が、上流側から下流側に向かう配列順に小さく設定されることを特徴とする。
上記手段に関連して、前記両ねじ部形成領域において前記ねじ素材の中心軸と前記仮想表面との距離が、前記ねじ素材が相対変位する上流側から下流側に向かって小さく設定されることを特徴とする。
上記手段に関連して、前記ダイ部材は、前記表面の最外部間を繋いで得られる仮想表面において前記相対変位する方向に沿って前記ねじ素材の軸心に次第に接近していく領域と、該軸心から次第に離反していく領域を有する前駆体加工領域を備えることを特徴とする。
上記手段に関連して、前記ダイ部材における前記前駆体加工領域の少なくとも一部は、前記両ねじ部形成領域に対して、前記ねじ素材が相対変位する際の上流側に存在することを特徴する。
上記手段に関連して、前記ダイ部材における前記前駆体加工領域と前記両ねじ部形成領域が独立配置されることを特徴する。
上記手段に関連して、前記両ねじ部形成領域において前記相対変位する方向に沿って直線上に配置される複数の前記凹部の配列ピッチは、前記前駆体加工領域における前記接近する領域と前記離反する領域の間のピッチの整数倍に設定されることを特徴とする。
上記手段に関連して、前記ダイ部材は、前記両ねじ部形成領域に対して前記ねじ素材の軸方向にずれた状態で隣接配置され、前記仮想表面において帯状に延在して該仮想表面から凹設される谷部が前記相対変位する方向に対してリード角分傾斜配置される片ねじ部形成領域を備えることを特徴とする。
上記手段に関連して、前記ダイ部材は、前記両ねじ部形成領域と前記片ねじ部形成領域の境界で分割可能となっていることを特徴とする。
上記手段に関連して、前記ダイ部材は、前記片ねじ部形成領域における前記軸方向の途中の境界で分割可能となっていることを特徴とする。
上記手段に関連して、前記ダイ部材は、前記片ねじ部形成領域に対して前記ねじ素材の軸方向にずれた状態で隣接配置され、平面状となる円筒部形成領域を備え、前記円筒部形成領域と前記片ねじ部形成領域の境界で分割可能となっていることを特徴とする。
上記課題を解決する為に両ねじ体転造方法が採用した手段は、剛性の表面を有するダイ部材をねじ素材に対して相対変位させる際に、前記ダイ部材は、前記表面の最外部間を繋いで得られる仮想表面の法線方向視において略平行四辺形状を成し、該仮想表面から凹設される複数の凹部が、前記相対変位する方向に沿って複数配列される両ねじ部形成領域を備えるようにし、前記両ねじ部形成領域における前記凹部の前記相対変位する方向の配列ピッチが、前記ねじ素材と相対変位する際の上流側から下流側に向かって小さく設定される領域を有するようにし、前記ダイ部材を前記ねじ素材に対して圧接しつつ相対変位させることで両ねじ体を転造することを特徴とする。
上記手段に関連して、複数の前記凹部における前記相対変位する方向の最大寸法が、上流側から下流側に向かう配列順に小さく設定されることを特徴とする。
上記手段に関連して、前記両ねじ部形成領域において前記ねじ素材の中心軸と前記仮想表面との距離が、前記ねじ素材が相対変位する上流側から下流側に向かって小さく設定されることを特徴とする。
本発明によれば、両ねじ体を形成する際の円柱状のねじ素材に対する転動不良を低減し、高精度な両ねじ体の大量生産を可能にするという優れた効果を奏し得る。
本発明の実施形態で採用される両ねじ体転造用ダイス構造及び転造方法の概要を示すものであり、(A)は平ダイス転造、(B)はローリング転造、(C)はプラネタリ転造を示す図である。 (A)は同ダイス構造のダイ部材を示す正面図、(B)は側面図、(C)は分解図である。 (A)は同ダイス構造における両ねじ部形成領域の凹部の配置を説明する正面図であり、(B)は同両ねじ部形成領域によるねじ素材の変形工程を示す図であり、(C)は同凹部の断面形状を拡大して示す断面図である。 同ダイス構造における両ねじ部形成領域の凹部の配列ピッチを説明する正面図である。 (A)はローリング転造の応用例を示す図であり、(B)はプラネタリ転造の応用例を示す図である。 (A)乃至(C)は、同ダイス構造における前駆体加工領域によってねじ素材を加工する工程を示す側面図である。 (A)は両ねじ体の一部を拡大して示す側面図であり、(B)は両ねじ領域のねじ山の最高頂部の断面積を示す断面図であり、(C)同両ねじ体の底面図である。 (A)は両ねじ体の一部を拡大して示す側面図であり、(B)は両ねじ領域のねじ山の交差部の断面積を示す断面図であり、(C)同両ねじ体の底面図である。 (A)は本発明の実施形態の両ねじ体転造用ダイス構造の他の構成例を示す正面図及び側面図であり、(B)はこれによって転造される両ねじ体Dの例を示す側面図であり、(C)及び(D)は、ねじ素材Bの他の構成例を示す正面図である。
以下本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
先ず、本発明の実施形態に係る両ねじ体転造用ダイス構造について説明する。両ねじ体転造用ダイス構造は、円柱状のねじ素材Bに対して圧接しつつ、このねじ素材Bの軸方向に直交する方向に相対変位しながら当該ねじ素材B表面を変形させて、軸方向における同一領域上に右ねじ部と左ねじ部を有する両ねじ体Dを転造するためのものである。
転造方法としては、図1(A)に示す、プレート状のダイ部材10を二つ用いる所謂平ダイス転造や、図1(B)に示す、円柱状若しくは円筒型の二つ以上の丸ダイ部材12,12を合わせて用いる所謂ローリング転造、図1(C)に示す、一方が円弧型のダイ部材13で、他方が円柱若しくは円筒型の丸ダイ部材12を用いて転造する所謂プラネタリ転造などがある。以降、本実施形態では平ダイス構造の場合を具体的に説明するが、これらに例示されない他のあらゆる転造方法に本発明を適用することができる。
本実施の形態の転造ダイス構造は、ねじ素材Bに圧接される二つ以上のダイ部材10を備えており、各ダイ部材10は剛性表面20を有する。これら二つ以上のダイ部材10は、ねじ素材Bに対して圧接されながら、互いの剛性表面20同士が相対変位すると共にねじ素材Bに対して相対変位する
図2(A)に示すように、ダイ部材10の剛性表面20は、この剛性表面20の最外部(最もねじ素材Bに接近する部分)間を繋いで得られる仮想表面22において、凹部30が複数独立して整列して設けられる両ねじ部形成領域Uを備える。両ねじ部形成領域Uの凹部30は、法線方向視において略平行四辺形状を成しており、図2(B)に示すように仮想表面22から凹設される。ここで、仮想表面22は、プレート状のダイ部材10の場合には平面状に、丸ダイス形態の場合には円筒面状に、円弧状ダイス形態の場合には部分円筒面(円弧面)状に設定することが望ましい。
各凹部30は、仮想平面22の法線方向視において略平行四辺形状に形成され、好ましくは略菱形状を成す。このように略菱形状に設定すれば、転造される両ねじ体Dの右ねじ部と左ねじ部におけるそれぞれのねじピッチが互いに等しいものとすることが出来る。
これらの凹部30は、それぞれ法線方向視における略平行四辺形状の四つ角対応部位のうち、二つ以上の角部31,31が、図3(A)に示すように法線方向視において丸く形成される。本実施形態では、略平行四辺形状の四つ角対応部位の全ての角部31,31,32,32を丸く形成している。なお、これら二つ以上の角部31,31は、互いに対角位置状に設定することが好ましく、特に、二つ以上の角部31,31をねじ素材Bの転動する方向、即ち相対変位の方向における対角位置として設定すれば、転造の際に万一発生した切り子が相対変位の際に凹部30から流れ出易くなって好ましい。
また凹部30は、この開口面を一構成面とするような仮想的な略四角錐形状の穴状を成しており、この略四角錐形状の中央頂部が凹部30の最深部位34を構成する。より好ましくは、凹部30の最深部位34が略扁平な底部35を有するような形状とする。こうすることで、底部35が広くなり、万一発生した切り子が詰まることなく流れ出易くなると共に、両ねじ体Dのねじ山Mの最高頂部が両ねじ体Dの軸直角方向において鋭角と成らずに済み、両ねじ体Dに対する雌ねじ体の螺合時における安定性を向上させることが出来る。また大量生産によって得られる両ねじ体Dの製品精度を著しく向上させることが出来る。
図3(A)に示すように、両ねじ部形成領域Uにおける凹部30の相対変位する方向の配列ピッチT1、T2、T3・・・が、ねじ素材Bと相対変位する際の上流側から下流側に向かって小さく設定される。即ちT1>T2>T3>・・・とする。図3(B)に示すように、ねじ素材Bを両ねじ部形成領域U上において上流から下流へ転動させると、ねじ山Mを除いた軸部Eが次第に形作られる。軸部Eの外周距離(正円と仮定した場合は、直径×π)は下流に向かって徐々に小さくなり、最終的に略正円形状となる。従って、ねじ素材Bが一回転することによって進む転動距離も、下流に向かって徐々に小さくなるので、それに合わせて、凹部30の相対変位する方向の配列ピッチT1、T2、T3・・・を小さく設定しておくと、転動中のねじ素材Bに対して、いつも同じ位相で凹部30を圧接することが可能になり、ねじ山Mの形状精度を著しく高めることが出来る。なお、ここでは両ねじ部形成領域Uの全域に亘って、配列ピッチT1、T2、T3・・・が次第に小さくなる場合を例示しているが、相対変位方向の部分的な領域に限って配列ピッチT1、T2、T3・・・を次第に小さくしても良い。
図3(B)に示すように、転造ダイス構造を用いた転造中は、本両ねじ部形成領域Uにおいてねじ素材Bの軸心E1と仮想表面22との距離L1、L2、L3・・・を、ねじ素材Bが相対変位する上流側から下流側に向かって小さくすることが好ましい。即ちL1>L2>L3>・・・とする。このようにすると、ねじ素材Bの軸部Eの直径が下流に向かって徐々に小さくなるように、ねじ素材Bを圧縮することができるので、凹部30の相対変位する方向の配列ピッチT1、T2、T3・・・を小さくすることとの相乗効果によって、より一層ねじ山Mの形状精度を高めることが出来る。
なお、図3(A)では、全ての凹部30に関して、相対変位する方向の最大寸法Wが一定となる場合を例示しているが、例えば図4に示すように、両ねじ部形成領域Uにおける複数の凹部30の相対変位する方向の最大寸法W1、W2、W3・・・が、上流側から下流側に向かう配列順に、次第に小さくなるように設定することも好ましい。即ちW1>W2>W3>・・・とする。ねじ山Mの最終形状は、両ねじ部形成領域Uの最下流側の凹部30と近似する。一方で、上流側は、配列ピッチT1、T2、T3・・・が最下流側よりも大きいことから、スペースに余裕があるので、凹部30の同最大寸法W1、W2、W3・・・を大きく設定できる。凹部30の同最大寸法W1、W2、W3・・・が大きい方が、ねじ素材Bの塑性変形量を増やすことが出来るので、上流側の凹部30で可能な限り素早く塑性変形させていき、下流側に進むにつれて最終のねじ山Mの形状に近づけていくような転造が可能となる。
図3(C)に示すように、これらの凹部30は、仮想表面22の法線方向に沿う断面形状において、その周縁33部分が、例えばR加工等のように丸く形成され、略平行四辺形状を成す周縁33の周回上に沿って丸く形成される。このように、凹部30の周縁33部分を、周縁33の周回上に亘って丸くすることによって、転造時にダイ部材10表面とねじ素材Bとの不合理な当たりによってねじ素材Bから削り出されて発生する切り子の発生を防止することが可能となる。なお、本発明はこれに限定されず、例えば、図3(D)に示すように台形形状にしてもよく、V字形状にすることも可能である。
図3(A)に示すように、仮想表面22の法線方向視において略平行四辺形状の凹部30は、その対角線のうち少なくとも一方の対角線距離Wを、ねじ素材Bの半径をR0、円周率をπとするとき、2πR0以下となるように設定する。好ましくは、本発明の実施によって得られる両ねじ体Dの谷径をd(図7参照。)とするとき、凹部30を成す略平行四辺形の対角線のうち少なくとも一方の対角線距離Wをπd以下とする。より好ましくは、凹部30を成す略平行四辺形の対角線のうち少なくとも相対変位方向に平行な対角線の対角線距離をπd以下に設定する。このように設定することによって、右ねじ部と左ねじ部のねじピッチを同等に設定可能となる上、高精度な両ねじ体Dを得ることが出来るようになる。
また、図3(A)のように、凹部30の開口は、仮想表面22の法線方向視における略平行四辺形の一方の対角線距離、好ましくは相対変位方向の対角線距離Wを比較的長く設定し、他方の対角線距離、好ましくは相対変位方向に対して直交する方向の対角線距離Fを比較的短く設定する。なお、凹部30は、該凹部30の容積をv、円周率をπ、ダイ部材10の相対変位の方向に対する直交方向における凹部30の凹設ピッチをp、両ねじ体Dの谷径をd(図7参照)、凹部30の最深部位34の深さをhとするとき、ここの凹部30の容積vの設定範囲が、πpdh/7≦v≦πpdh/5で規定されるように構成することが好ましい。この範囲よりも小さく設定すると、ねじ山Mが痩せ過ぎたり、小さくなり過ぎて強度不足になったり、或いは、本発明の実施によって得られる雄ねじである両ねじ体Dに雌ねじ体を螺合した際に遊びが大きくなり過ぎてガタ付きが大きくなり過ぎてしまう。逆に、この範囲よりも大きく設定すると、ねじ山Mが太り過ぎたり、大きくなり過ぎて、本発明の実施によって得られる雄ねじである両ねじ体Dに雌ねじ体を螺合した際に遊びが小さくなり過ぎて螺合困難若しくは螺合不能になったり、或いは、ねじ山Mを高精度に転造することが困難となる。
従って、図4に示すように凹部30のサイズを変化させる場合は、上記容積vの条件を満たす範囲内で変化させることが好ましい。
以上説明の両ねじ体Dの転造用ダイス構造のダイ部材10を用いて転造すれば、高精度な両ねじ体Dを効率的に大量生産することが可能となる。
ダイ部材の剛性表面は、この剛性表面の最外部(最もねじ素材Bに接近する部分)間を繋いで得られる仮想表面22において前駆体加工領域を有する。この前駆体加工領域は、例えば、断面形状が楕円形、或いは、長円形等の如くの前駆的な断面形状(以下、略楕円形状という)に加工するためのものであり、これに続く両ねじ部形成領域Uにおいて、両ねじ部を形成しやすくするための前駆的形状を形成するためのものである。特に、前駆的な断面形状を略楕円形状に加工するダイ部材10の剛性表面20は、図2(A)に示すように、仮想表面22において前駆体加工領域Qを有する。
この前駆体加工領域Qは、図6に示すように、ねじ素材Bと相対変位する方向に沿って、仮想表面22自体が面状態を維持したまま、当該ねじ素材Bの軸心E1に次第に接近していく接近領域Q1と、軸心E1から次第に離反していく離反領域Q2を繰り返している。従って、図6(A)のように、当初は断面正円形状となるねじ素材Bが、接近領域Q1で圧縮される工程が同位相で繰り返されることにより、最終的に、図6(C)のように、長軸と短軸を有する断面非円形となる。なお、ここでは接近領域Q1及び離反領域Q2が曲面となっている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば図6(D)に示すように、断面が台形となるような凹凸であっても良く、また、鋸刃状の凹凸であっても良い。
図2(A)のように、ダイ部材10における前駆体加工領域Qの少なくとも一部は、両ねじ部形成領域Uに対して、ねじ素材Bが相対変位する際の上流側に存在する。望ましくは、前駆体加工領域Qと両ねじ部形成領域Uを独立配置する。このようにすると、両ねじ部形成領域Uにねじ素材Bが進入する前に、予め、前駆体加工領域Qにおいて、ねじ素材Bを略楕円形状に変形させることが可能となる。勿論この前駆体加工領域Qの一部または全部が、両ねじ部形成領域Uと重複するようにしても良い。重ねる場合は、ねじ素材Bを楕円加工しながら、ねじ山も同時に形成していくことになる。
両ねじ部形成領域Uにおいて相対変位する方向に沿って直線上に配置される複数の凹部30の配列ピッチPUに対して、前駆体加工領域Qにおける接近領域Q1と離反領域Q2の間の変形ピッチPQはその整数倍、ここでは四倍に設定される。なお凹部30は、平行四辺形が斜め格子状に配置されていることから、ジグザグ状に配置される複数凹部30の格子ピッチPXが、直線上に配置される凹部30の配列ピッチPUの二分の一となる。更に、前駆体加工領域Qとこれに隣接する両ねじ部形成領域Uの間は、変形ピッチPQの位相と配列ピッチPUの位相が一致している。このようにすると、前駆体加工領域Qから両ねじ部形成領域Uへのねじ素材Bの転動が円滑に行われる。
図7(B)及び図8(B)に示すように、両ねじ体Dにおいて、右ねじと左ねじが重なって形成される両ねじ領域の特徴として、180度の位相差を有する一対のねじ山M、Mの最高頂部のねじ山Mのみの総断面積S1(図7(B)参照)と、この最高頂部に対して周方向に90度ずれて、互いのねじ山M、Mが交差している交差部のねじ山Mのみの総断面積S2(図8(B)参照)が、大幅に異なることが挙げられる。即ち、両ねじ体Dの転造は、軸部Eを正円に近似させるようにねじ素材Bを変形させつつも、その周囲のねじ山Mは、最高頂部近傍の体積と、それに対して90度ずれた交差部近傍の体積が異なるように転造しなければならない。従って、仮に断面正円のねじ素材Bのまま、両ねじ部形成領域Uを用いて転造する場合、交差部近傍のねじ素材Bを減肉し、最高頂部近傍のねじ素材Bを増肉しなければならず、ねじ素材Bの材質によっては、そのような材料の流動が困難な場合がある。
従って、本実施形態のように、両ねじ部形成領域Uよりも上流側の前駆体加工領域Qにおいて、ねじ素材Bを、将来のねじ山Mの最高頂部となり得る場所を長軸とし、将来のねじ山Mの交差部となり得る場所を短軸とする略楕円形状に変形させておくことで、両ねじ部形成領域Uでは、ねじ素材Bの塑性変形量を少なくすることが可能となる。しかも、ダイ部材10に、前駆体加工領域Qと両ねじ部形成領域Uを一体的に配置しておき、前駆体加工領域Qの変形ピッチPQ(短軸と長軸のピッチ)と、両ねじ部形成領域Uにおけるねじ山の最高頂部と交差部のピッチ(配列ピッチPUの四分の一)の位相を一致させる。その結果、一連の転造動作で、楕円形又は長円形の加工とねじ山加工をまとめて行うことで、極めて高精度な両ねじ領域を、極めて高い作業効率で転造することが可能となる。
図2(A)に示すように、ダイ部材10の剛性表面20は、両ねじ部形成領域Uに対してねじ素材Bの軸方向にずれた状態で隣接配置される片ねじ部形成領域Jを備える。この片ねじ部形成領域Jには、仮想表面22に対して帯状に延在する谷部50が凹設され、この谷部50によって、図7及び図8の両ねじ体Dの片ねじ領域のねじ山を転造する。この谷部50は、ねじ素材Bが相対変位する方向に対してリード角分傾斜配置されていればよい。ねじ素材Bを、両ねじ部形成領域Uと片ねじ部形成領域Jの双方に跨るように配置して転造すれば、図7及び図8に示すように、片ねじ部形成領域Jによって片ねじ領域が形成され、両ねじ部形成領域Uによって両ねじ領域が形成される両ねじ体Dを得ることが出来る。
図2(C)に示すように、ダイ部材10は、両ねじ部形成領域Uと片ねじ部形成領域Jの境界で部品として分割可能となっている。両ねじ体Dは、仕様に応じて片ねじ領域の長さを変更する必要がある。ダイ部材10を分割可能にしておくと、片ねじ部形成領域Jに相当する部品だけ軸方向の幅が異なるものに交換すれば、簡単に、両ねじ体Dの片ねじ領域の長さを変更できる。また、両ねじ部形成領域Uも部品として簡単に交換できるので、両ねじ部形成領域Uのねじ山Mの形状を変更したり、あるいは、両ねじ部形成領域Uと片ねじ部形成領域Jの軸方向配置を入れ替えたり、更には、片ねじ部形成領域Jの両脇に両ねじ部形成領域Uを配置するなど、様々なバリエーションに柔軟に対応できる。通常は、両ねじ部形成領域Uの軸方向寸法を、余裕をもって大きく設定しておけば、あらゆる長さの両ねじ領域に対応できることになる。
ダイ部材10は、片ねじ部形成領域Jにおける軸方向の途中の境界で、ここでは三つの部品片J1、J2、J3に分割可能となっている。このようにすると、例えば5mmの軸方向幅となる部品片を多数個用意しておき、部品片の連結数によって、片ねじ部形成領域Jの軸方向幅を5mm単位で自在に調整できる。この思想を両ねじ部形成領域Uに適用することも可能である。
図2(A)に示すように、ダイ部材10の剛性表面20は、片ねじ部形成領域Jに対して、ねじ素材Bの軸方向にずれた状態で隣接配置される平面状の円筒(円柱であってもよい)部形成領域Kを備える。この円筒部形成領域Kは、図7及び図8の両ねじ体Dの円筒領域を転造する。図2(C)に示すように、円筒部形成領域Kと片ねじ部形成領域Jの境界は分割可能となっている。両ねじ体Dでは、その仕様に応じて円筒領域の長さを変更する必要がある。このように分割可能にしておくと、ダイ部材10において、円筒部形成領域Kに相当する部品だけ軸方向の幅が異なるものに交換すれば、簡単に両ねじ体Dの円筒領域の長さを変更できる。
なおここでは特に図示しないが、ダイ部材10は、円筒部形成領域Kにおける軸方向の途中の境界で、更に部品片として分割可能としてもよい。このようにすると、例えば5mmの軸方向幅となる円筒部形成領域Kの部品片を多数個用意しておき、部品片の連結数によって、円筒部形成領域Kの軸方向幅を5mm単位で自在に調整できる。
本実施形態の転造用ダイス構造を用いた両ねじ体Dの転造方法は、円柱状のねじ素材Bに対して圧接しつつ、このねじ素材Bの軸方向に直交する方向に相対変位しながら当該ねじ素材B表面を変形させて軸方向における同一領域上に右ねじ部と左ねじ部を有する両ねじ体Dを転造する。
本実施例のようなプレート状のダイ部材10を用いて転造する場合、図1(A)に示すように、一方の平ダイ部材10を固定し、これに対して最外表面間の距離が所定間隔dとなるように他方の平ダイ部材10を配置し、この他方の平ダイ部材10を、この間隔dを保持しながら相対変位させる。勿論、これらの平ダイ部材10,10は、両方の平ダイ部材10,10が相対変位していればよく、両方を互い違いの方向に変位させるように構成してもよく、間隔dも一定でなく、幾分か平ダイ部材10同士を傾斜させて配設してもよい。
特に本実施形態の転造方法では、図2(A)及び図3(A)に示すように、両ねじ部形成領域Uにおける凹部30の相対変位する方向の配列ピッチT1、T2、T3・・・を、ねじ素材Bと相対変位する際の上流側から下流側に向かって小さくする。即ちT1>T2>T3>・・・とする。図3(B)に示すように、ねじ素材Bを両ねじ部形成領域U上において上流から下流へ転動させると、ねじ山Mを除いた軸部Eが次第に形成されていく。軸部Eの外周距離(正円と仮定した場合は、直径×π)は下流に向かって徐々に小さくなり、最終的に略正円形状となる。従って、ねじ素材Bが一回転することによって進む転動距離も、下流に向かって徐々に小さくなるので、それに合わせて、凹部30の相対変位する方向の配列ピッチT1、T2、T3・・・を下流に向かって小さくなるように設定しておくと、転動中のねじ素材Bに対して、いつもほぼ同じ位相で凹部30を圧接することが可能になり、ねじ山Mの形状精度を著しく高めることが出来る。
図3(B)に示すように、両ねじ部形成領域Uにおいて、ねじ素材Bの中心軸E1と仮想表面22との距離L1、L2、L3・・・を、ねじ素材Bが相対変位する上流側から下流側に向かって小さくこともできる。その場合は、対向する一対の平ダイ部材10の仮想表面22を非平行にして、互いの距離が、ねじ素材Bの転動の進行方向に向かって次第に小さくなるように設定すればよい。
更に図4に示すように、本両ねじ体の転造方法では、両ねじ部形成領域Uにおける複数の凹部30の相対変位する方向の最大寸法W1、W2、W3・・・が、上流側から下流側に向かう配列順に、次第に小さくなるように設定することも出来る。即ちW1>W2>W3>・・・とする。ねじ山Mの最終形状は、両ねじ部形成領域Uの最下流側の凹部30と近似する。一方、上流側は、配列ピッチT1、T2、T3・・・が最下流側よりも大きいことから、スペースに余裕があるので、凹部30の同最大寸法W1、W2、W3・・・を大きく設定できる。凹部30の同最大寸法W1、W2、W3・・・が大きい方が、ねじ素材Bの塑性変形量を増やすことが出来るので、上流側の凹部30で可能な限り素早く塑性変形させていき、下流側に進むにつれて最終のねじ山Mの形状に近づけていくような転造が可能となる。
また、図1(B)に示すように、円柱状若しくは円筒型の二つ以上の丸ダイ部材12,12を合わせ用いる所謂ローリング転造の場合には、二つの丸ダイ部材12,12を、互いの回転軸が並行で、かつ最外表面間の距離が所定間隔dとなるように保持する。そしてこの間隔dを保持しながらそれぞれ回転可能にする。このとき、それぞれの丸ダイ部材12,12は互いに逆回転であっても同回転であってもよい。
この丸ダイ部材12を用いる場合でも、両ねじ部形成領域Uにおいて、ねじ素材Bの中心軸E1と仮想表面22との距離L1、L2、L3・・・を、ねじ素材Bが相対変位する上流側から下流側に向かって小さくできる。その場合は、図5(A)に示すように、少なくとも一方の丸ダイ部材12の中心軸E1から仮想表面22までの距離X1、X2、X3・・・を、周方向に進むにつれて次第に大きくなるように変位させる。結果、対向する一対の仮想表面22の距離が、ねじ素材Bの転動の進行方向に向かって次第に小さくなる。
また、図1(C)に示すように、一方が円弧型ダイ部材13で、他方が円柱若しくは円筒型の丸ダイ部材12を用いて転造するいわゆるプラネタリ方式の転造の場合には、一方の円弧型ダイ部材13を固定し、これに対して最外部間の距離が所定間隔dとなるように、他方の丸ダイ部材12を回転自在に保持する。そしてこの間隔dを保持しながら、剛性表面20,20間が相対変位可能となるように配設する。
この円弧型ダイ部材13を用いる場合でも、両ねじ部形成領域Uにおいて、ねじ素材Bの中心軸E1と仮想表面22との距離L1、L2、L3・・・を、ねじ素材Bが相対変位する上流側から下流側に向かって小さくできる。その場合は、図5(B)に示すように、円弧型ダイ部材13の内周側の仮想表面22と、相手側の円筒型の丸ダイ部材12の中心軸E1の間の距離Y1、Y2、Y3・・・を、周方向に進むにつれて次第に小さくなるように変位させる。結果、相手側の円筒型のダイ部材12の仮想表面22との距離が、ねじ素材Bの転動の進行方向に向かって次第に小さくなる。
また、本実施形態の転造方法によれば、図2(A)に示すように、ダイ部材10の前駆体加工領域Qを利用して、ねじ素材Bを楕円形又は長円形加工することができる。
より具体的には、両ねじ部形成領域Uにねじ素材Bを進入させる前に、予めねじ素材Bを略楕円形状に変形させる。
その際、両ねじ部形成領域Uよりも上流側の前駆体加工領域Qにおいて、ねじ素材Bを、将来のねじ山Mの最高頂部となり得る場所を長軸とし、将来のねじ山Mの交差部となる得る場所を短軸とするように略楕円形状に変形する。結果、両ねじ部形成領域Uでは、ねじ素材Bの塑性変形量を少なくできる。しかも、ダイ部材10上に前駆体加工領域Qと両ねじ部形成領域Uを一体的に配置しておき、前駆体加工領域Qの変形ピッチPQ(短軸と長軸のピッチ)と、両ねじ部形成領域Uにおけるねじ山の最高頂部と交差部のピッチ(配列ピッチPUの四分の一)の位相を一致させながら、一連の転造動作で、楕円形又は長円形加工とねじ山加工をまとめて行う。その結果、極めて高精度な両ねじ領域を、極めて高い作業効率で転造することが可能となる。
図2(A)に示すように、ダイ部材10の剛性表面20は、両ねじ部形成領域Uに対してねじ素材Bの軸方向にずれた状態で隣接配置される片ねじ部形成領域Jを備える。この片ねじ部形成領域Jには、仮想表面22に対して帯状に延在する谷部50が凹設され、この谷部50によって、図7及び図8の両ねじ体Dの片ねじ領域のねじ山を転造する。この谷部50は、ねじ素材Bが相対変位する方向に対してリード角分傾斜配置されていればよい。ねじ素材Bを、両ねじ部形成領域Uと片ねじ部形成領域Jの双方に跨るように配置して転造すれば、図7及び図8に示すように、片ねじ部形成領域Jによって片ねじ領域が形成され、両ねじ部形成領域Uによって両ねじ領域が形成される両ねじ体Dを得ることが出来る。
また更に、本実施形態の転造方法では、図2(C)に示すように、ダイ部材10が、両ねじ部形成領域Uと片ねじ部形成領域Jの境界で部品として分割可能としている。ダイ部材10を分割可能にしておくと、片ねじ部形成領域Jに相当する部品だけ軸方向の幅が異なるものに交換すれば、簡単に、両ねじ体Dの片ねじ領域の長さを変更できる。
ダイ部材10は、片ねじ部形成領域Jにおける軸方向の途中の境界で、ここでは三つの部品片J1、J2、J3に分割可能となっているので、これらの部品片の連結数によって、片ねじ部形成領域Jの軸方向幅を自在に調整できる。この思想を両ねじ部形成領域Uに適用することも可能である。
本実施形態の転造方法では、図2(C)に示すように、円筒部形成領域Kと片ねじ部形成領域Jの境界は分割可能としている。両ねじ体Dでは、その仕様に応じて円筒(円柱であってもよい)領域の長さを変更する必要がある。このように分割可能にしておくと、ダイ部材10において、円筒部形成領域Kに相当する部品だけ軸方向の幅が異なるものに交換すれば、簡単に両ねじ体Dの円筒領域の長さを変更できる。
上記実施形態の変更例として、例えば図9(A)に示す転造用ダイス構造が挙げられる。この転造用ダイス構造は、ダイ部材10の剛性表面20において、両ねじ部形成領域Uと片ねじ部形成領域Jの間にスペーサ領域SPが配置される。このスペーサ領域SPは、転造される両ねじ体Dの谷径に相当する突出量に設定されることで、両ねじ部形成領域Uと片ねじ部形成領域Jの境界部に幾分かの遊間を形成する役割を担う。このようにすると、図9(B)に示されるように、転造後の両ねじ体Dの両ねじ領域と片ねじ領域の間に、谷径となる微小幅のくびれ部Vが形成されるので、両ねじと片ねじのピッチを一致させておけば、片ねじ領域と両ねじ領域のねじ山の移行が円滑に行われる。
なお、ここでは両ねじ部形成領域Uと片ねじ部形成領域J間にスペーサ領域SPを配置する場合を例示したが、ダイ部材10の前駆体加工領域Q(図2参照)において、両ねじ部形成領域Uと片ねじ部形成領域Jに相当する境界にスペーサ領域SPを配置することも好ましい。このようにすると、図9(C)に示すように、ねじ素材Bが前駆体加工領域Qを通過した状態のいわゆる前駆体(この前駆体もねじ素材の一部と定義できる)にくびれ部Vを形成することができる。結果、その後の両ねじ部形成領域Uと片ねじ部形成領域Jの境界に仮にスペーサ領域が無くても、くびれ部Vの存在によって転造が円滑となる。なお、ダイ部材10のスペーサ領域SPによってくびれ部Vを形成する他に、ダイ部材10に供給されるねじ素材B自体に、事前工程で、くびれ部Vを形成しておくことも可能である。
また、上記実施形態では、ねじ素材Bが、ダイス構造における両ねじ部形成領域Uと片ねじ部形成領域Jの双方に亘って同じ断面積となる場合を例示しているが、本発明はこれに限定されない。例えば図9(C)に示すように、両ねじ部形成領域Uに相当するねじ素材Bの両ねじ対応領域BUの断面積と比較して、片ねじ部形成領域Jに相当するねじ素材Bの片ねじ対応領域BJの断面積を大きく設定することが好ましい。図9(B)の両ねじ体Dからわかるように、両ねじ領域と片ねじ領域は、谷径は同じであるにもかかわらず、ねじ山の高さは、両ねじ部の方が部分的に小さい。即ち、両ねじ体Dにおける両ねじ領域の単位ねじ山の体積と、片ねじ領域の単位ねじ山の体積は、片ねじ領域の方が大きい。従って、両ねじと片ねじのねじ山の体積差に相当する量だけ、ねじ素材Bの両ねじ対応領域BUと片ねじ対応領域BJに体積差を設けておくことが好ましい。
更に、ここではねじ素材Bの両ねじ対応領域BUと片ねじ対応領域BJの境界にくびれVを形成する以外に、境界にテーパ面を形成することも好ましい。このようにすると、ねじ素材Bを圧造によって成型する際に、予め形成することができる。
以上説明の両ねじ体Dの転造用ダイス構造及び転造方法について説明したが、勿論、これらに限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
10 ダイ部材
20 剛性表面
22 仮想表面
30 凹部
31 角部
35 底部
50 谷部
B ねじ素材
D 両ねじ体
E 軸部
J 片ねじ部形成領域
K 円筒部形成領域
M ねじ山
Q 前駆体加工領域
U 両ねじ部形成領域

Claims (14)

  1. ねじ素材に対して圧接しつつ相対変位する剛性の表面を有するダイ部材を備え、
    前記ダイ部材は、前記表面の最外部間を繋いで得られる仮想表面の法線方向視において略平行四辺形状を成し、該仮想表面から凹設される複数の凹部が、前記相対変位する方向に沿って複数配列される両ねじ部形成領域を備え、
    前記両ねじ部形成領域における前記凹部の前記相対変位する方向の配列ピッチが、前記ねじ素材と相対変位する際の上流側から下流側に向かって小さく設定される領域を有することを特徴とする、
    両ねじ体転造用ダイス構造。
  2. 複数の前記凹部における前記相対変位する方向の最大寸法が、上流側から下流側に向かう配列順に小さく設定されることを特徴とする、
    請求項1に記載の両ねじ体転造用ダイス構造。
  3. 前記両ねじ部形成領域において前記ねじ素材の中心軸と前記仮想表面との距離が、前記ねじ素材が相対変位する上流側から下流側に向かって小さく設定されることを特徴とする、
    請求項1又は2に記載の両ねじ体転造用ダイス構造。
  4. 前記ダイ部材は、
    前記表面の最外部間を繋いで得られる仮想表面において前記相対変位する方向に沿って前記ねじ素材の軸心に次第に接近していく領域と、該軸心から次第に離反していく領域を有する前駆体加工領域を備えることを特徴とする、
    請求項1乃至3の何れかに記載の両ねじ体転造用ダイス構造。
  5. 前記ダイ部材における前記前駆体加工領域の少なくとも一部は、前記両ねじ部形成領域に対して、前記ねじ素材が相対変位する際の上流側に存在することを特徴する、
    請求項4に記載の両ねじ体転造用ダイス構造。
  6. 前記ダイ部材における前記前駆体加工領域と前記両ねじ部形成領域が独立配置されることを特徴する、
    請求項4又は5に記載の両ねじ体転造用ダイス構造。
  7. 前記両ねじ部形成領域において前記相対変位する方向に沿って直線上に配置される複数の前記凹部の配列ピッチは、前記前駆体加工領域における前記接近する領域と前記離反する領域の間のピッチの整数倍に設定されることを特徴とする、
    請求項4乃至6の何れかに記載の両ねじ体転造用ダイス構造。
  8. 前記ダイ部材は、
    前記両ねじ部形成領域に対して前記ねじ素材の軸方向にずれた状態で隣接配置され、前記仮想表面において帯状に延在して該仮想表面から凹設される谷部が前記相対変位する方向に対してリード角分傾斜配置される片ねじ部形成領域を備えることを特徴とする、
    請求項1乃至7の何れかに記載の両ねじ体転造用ダイス構造。
  9. 前記ダイ部材は、前記両ねじ部形成領域と前記片ねじ部形成領域の境界で分割可能となっていることを特徴とする、
    請求項8に記載の両ねじ体転造用ダイス構造。
  10. 前記ダイ部材は、前記片ねじ部形成領域における前記軸方向の途中の境界で分割可能となっていることを特徴とする、
    請求項8又は9に記載の両ねじ体転造用ダイス構造。
  11. 前記ダイ部材は、
    前記片ねじ部形成領域に対して前記ねじ素材の軸方向にずれた状態で隣接配置され、平面状となる円筒部形成領域を備え、
    前記円筒部形成領域と前記片ねじ部形成領域の境界で分割可能となっていることを特徴とする、
    請求項8乃至10の何れかに記載の両ねじ体転造用ダイス構造。
  12. 剛性の表面を有するダイ部材をねじ素材に対して相対変位させる際に、
    前記ダイ部材は、前記表面の最外部間を繋いで得られる仮想表面の法線方向視において略平行四辺形状を成し、該仮想表面から凹設される複数の凹部が、前記相対変位する方向に沿って複数配列される両ねじ部形成領域を備えるようにし、
    前記両ねじ部形成領域における前記凹部の前記相対変位する方向の配列ピッチが、前記ねじ素材と相対変位する際の上流側から下流側に向かって小さく設定される領域を有するようにし、
    前記ダイ部材を前記ねじ素材に対して圧接しつつ相対変位させることで両ねじ体を転造することを特徴とする、
    両ねじ体転造方法。
  13. 複数の前記凹部における前記相対変位する方向の最大寸法が、上流側から下流側に向かう配列順に小さく設定されることを特徴とする、
    請求項12に記載の両ねじ体転造方法。
  14. 前記両ねじ部形成領域において前記ねじ素材の中心軸と前記仮想表面との距離が、前記ねじ素材が相対変位する上流側から下流側に向かって小さく設定されることを特徴とする、
    請求項12又は13に記載の両ねじ体転造方法。
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