JP2015148229A - 油圧バルブを備えたカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター - Google Patents

油圧バルブを備えたカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター Download PDF

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Abstract

【課題】電子的制御手段により簡素な方法で制御できるカムシャフト調整用揺動型アクチュエーターを提供する。【解決手段】カムシャフト調整用揺動型アクチュエーター4において、カム交番トルクの値が十分な状況、及び/又は油ポンプ12からの流量の削減が必要な状況下に限定して、ソフトウェアを通じて、カムシャフトの交番トルクを使用する。カム交番トルクによる駆動でカムシャフトの交番トルクが不十分な場合、ソフトウェアは油圧バルブ3のスプールの位置を変えて若干のカムシャフトの交番トルクと同時に、油ポンプ12から油圧流体を供給して位相調整を高速化する。【選択図】図1

Description

本発明は、2つの作動ポートを有する油圧バルブを備えたカムシャフト調整用揺動型アクチュエーターに関する。
特許文献1及び特許文献2の発明は、2つの作動ポートを有する油圧バルブを備えたカムシャフト調整用揺動型アクチュエーターに関する。これら2つの作動ポートはそれぞれ、軸方向にお互い隣接する標準開口部及びカムシャフトの交番トルクによる圧力ピークを利用する開口部を有する。この場合、カムシャフトを調整するには、負荷対象の作動ポートに油圧が供給ポートから導入される一方、圧力から解放される作動ポートはタンクポートへと導かれる。油圧バルブは複数
ポート及び複数位置のカートリッジ構造バルブとして設計される。バンド形状のリングとして設計される逆止弁は、カートリッジまたは中央ボルトの内部に挿入される。これらの逆止弁があるため、カムシャフトの交番トルクを使用すると、迅速かつ比較的低油圧でカムシャフトを調整することができる。そのために、逆止弁を開放してカムシャフトの交番トルクによる圧力ピークを利用し、逆止弁で開口部を閉鎖して解放されたポートへの逆流を防ぐ。
独国特許出願公開第102006012733号 独国特許出願公開第102006012775号
本発明の実施例の目的は、電子的制御手段により簡素な方法で制御できるカムシャフト調整用揺動型アクチュエーターを提供することである。
本発明の実施例によるカムシャフト調整用揺動型アクチュエーターでは、トルクが十分な状況、及び/または流量を減らすことが重要な状況に限定して、ソフトウェアを通じて、カムシャフトの交番トルクが使用される。2段階のリフトがある場合であって、その低リフト時にカムシャフトの交番トルクが不十分な場合、若干の交番トルクを使用するようにソフトウェアがスプールの位置決めを実行し、その間油を送って位相調整を高速化する。
本発明のその他の利点は、発明の詳細な説明および図面から導き出すことができる。
添付の図面に従い、以下で本発明について説明するが、類似の参照番号は類似の要素を示す。
5つの主要位置で作動することができるとともに、比例制御が可能な油圧バルブの回路図の実施例を示す図である。 油圧バルブのスプール要素の斜視図である。 スプールのランドの中の1のランドの拡大断面図である。 様々な位置での図1の油圧バルブの実装を構造的に示す図である。 様々な位置での図1の油圧バルブの実装を構造的に示す図である。 様々な位置での図1の油圧バルブの実装を構造的に示す図である。 様々な位置での図1の油圧バルブの実装を構造的に示す図である。 様々な位置での図1の油圧バルブの実装を構造的に示す図である。 様々な位置での図1の油圧バルブの実装を構造的に示す図である。 様々な位置での図1の油圧バルブの実装を構造的に示す図である。
以下の記載は模範的な実施例のみに関するものであり、発明の技術的範囲、適用性、または構成を限定することを意図するものではない。模範的な実施例に関する以下の記載は、当業者が本発明の実施例を実施するためのものである。添付の請求項の精神と請求項に記載された発明の技術的範囲を逸脱しない限り、構成要素の機能及び配置に様々な変更を加えることができることが理解できるはずである。
図1の回路図は、本発明の実施例の油圧バルブ3を示す。この油圧バルブ3は、ばね21のばね力に抗する形で電磁石17により作動される比例制御バルブであり、カムシャフト調整用揺動型アクチュエーター4はこの油圧バルブ3により回転する。カムシャフトとクランクシャフトの角位置は、内燃機関が作動中にカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター4で変えることができる。カムシャフトを回転すると、吸排気バルブの開閉時点が移動し、内燃機関が負荷量及び速度に応じた最適な性能を発揮するようになる。カムシャフト調整用揺動型アクチュエーター4は、カムシャフトのクランクシャフトに対する連続的な調整を可能にする。
第1作動ポートA及び第2作動ポートBは、油圧バルブ3を起点にカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター4につながっている。油圧バルブ3は4つのポートと5つの主要な作動位置を有するため、中央遮断位置7を有する4ポート5位置バルブと定義することができる。厳密にバルブの状態は7つあるが、システム全体からの漏れを補う上で必要なため、位置7a、7bによって油がポートB、Aにそれぞれ流れるようにして位置7、7a、7bはローターのステーターに対する位置を保持するために用いられる。作動する位置で流れる油の経路が変わるが、バルブの流動開口部は、作動が可能な状態にある漸増する(incremental)位置によって変わりうる。
カムシャフト調整用揺動型アクチュエーター4を第1の回転方向1へ回すには、油圧バルブ3は中央遮断位置7の右の2つの区分を示す位置16または位置19のどちらか1つにある。図1では、油圧バルブ3は位置19に移動して、油圧バルブ3がアクチュエーターによってフルストローク状態にある。回転方向1に移動する圧力室6は、第1作動ポートAから油圧(供給ポートPから来る)を受ける。
対照的に、位置16または位置19のどちらかで、第2作動ポートBに割り当てられた圧力室5は圧力から解放される。このため、位置19では、第2作動ポートBはタンクポートT経由でタンク20へと導かれる。中央遮断位置7と位置19の間の中間位置7b、16では、圧力室6に供給ポートPから来る油圧が第1作動ポートAに印加されるが、第2作動ポートBはタンクポートTから遮断される。
上記の逆も成り立つ。カムシャフト調整用揺動型アクチュエーター4を第2の回転方向2へ回すには、油圧バルブ3は中央遮断位置7の左の2つの区分である位置15または位置18のどちらか1つにある。図1では、ばね21により完全に伸びて、油圧バルブ3は枠内の位置18にある。回転方向2に移動する圧力室5は、第2作動ポートBから油圧(供給ポートPから来る圧力)を受ける。
対照的に、位置15または位置18のどちらかで、第2作動ポートAに割り当てられた圧力室6は圧力から解放される。このため、位置18では、第2作動ポートAがタンクポートT経由でタンク20へと導かれる。中央遮断位置7と位置18の間の中間位置15、7aでは、圧力室5に供給ポートPから来る油圧が第2作動ポートBから印加されるが、第1作動ポートAはタンクポートTから遮断される。
中央遮断位置7では、4のポートA、B、P、Tはすべて閉鎖される。この位置と位置7a、7b(隣接する位置)は、ローターのステーターに対する位置を一定に保つために用いられる。
このため、位置7aでは、供給ポートPが第2作動ポートBに接続される一方、第1作動ポートAはタンクポートTから遮断される。さらに位置7aでは、スプールの内側ランドと中央バルブボルトまたはカートリッジのランドがお互いに作用し、第1作動ポートAが供給ポートPに連通するのを防ぐ。それゆえ、位置7aでは、第1作動ポートAがタンクポートTと供給ポートPとの両方に連通しないようになっている。
位置7bでは、供給ポートPが第1作動ポートAに接続される一方、第2作動ポートBはタンクポートTから遮断される。さらに位置7bでは、スプールの内側ランドと中央バルブボルトまたはカートリッジのランドがお互いに作用し、第2作動ポートBが供給ポートPに連通するのを防ぐ。それゆえ、位置7bでは、第2作動ポートBがタンクポートTと供給ポートPとの両方に連通しないようになっている。位置7a、7bでは、低いポンプ圧でアクチュエーターが油で満杯の状態に保たれる利点が得られる。供給ポートPから1の作動ポートを遮断することで、供給ポートPはもう1つの作動ポートをより効率的に充填できる。
油圧バルブ3の2の最外部の位置18、19でどちらか一方のベーンに負荷をかけてカムシャフトを調整するため、供給ポートPから導入される油とともに、カムシャフトの交番トルクによって利用可能となる再循環油を使用する。負荷がかかっているベーンに油を再循環させ、同時にタンクにオイルを供給することで、もう一方のベーンが圧力から解放される。このため、最外部の位置18では、第1作動ポートAに割り当てられた逆止弁RSV−Aからの圧力油の流量は供給ポートP、Bで利用できる。また、位置18では、逆止弁を備えていない追加のポートAがタンクポートT経由でタンク20に排出することができる。対照的に、位置19では、第1作動ポートAに割り当てられた逆止弁RSV−Bからの油圧流体の流量は供給ポートP、Aで利用できる。また、位置19では、逆止弁を備えていない追加のポートBがタンクポートT経由でタンク20に排出することができる。
同様に、油圧バルブ3の位置15、16でどちらか一方のベーンに負荷をかけてカムシャフトを調整するため、供給ポートPから導入される油とともに、カムシャフトの交番トルクによって利用可能となる再循環油を使用する。位置18、19とは異なり、負荷がかかっているベーンに油を再循環させるだけで、ベーンの反対側が圧力から解放される。このため、位置15では、第1作動ポートAに割り当てられた逆止弁RSV−Aからの油圧流体の流量は供給ポートP、Bで利用できる。対照的に、位置16では、第2作動ポートBに割り当てられた逆止弁RSV−Bからの油圧流体の流量は供給ポートP、Aで利用できる。位置15、16では、どのポートもタンクに接続されない。
位置15、16、18、19では、圧力から解放される作動ポートAまたはBからのこの追加の流量が、供給ポートPの油ポンプ12からの流量に加えられる。供給ポートPは、ポンプ逆止弁RSV−P経由で油ポンプ12に接続されており、油ポンプ12はカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター4による調整作業を支援すべく圧力を加える。この場合のポンプ逆止弁RSV−Pは、油圧バルブ3で圧力を遮断し、それによって開放油ポンプライン14a、14bの場合と比べて、圧力から解放される作動ポートAまたはBからのピーク圧力がより多く調整作業の支援に使えるようになる。
図4〜図10は、図1の7の位置18、15、7a、7、7b、16、19における油圧バルブ3の構造に係る実施例を示す。
図4は、第1位置18の油圧バルブ3を示し、ここで、図1の電磁石17は油圧バルブ3のスプール22を動かしていない。そのため、スプール22のストロークはゼロである。スプール22は、コイル型の圧力ばねとして設計されたばね21の力に抗する形で、中心ボルト27の内部を動くことができる。電磁石17に面したスプール22の端部50は電磁石17の作動軸棒の軸受表面を作るために封止されている一方、スプール22のもう1つの端部52はばね21の端部を受け止めるため開口している。スプール22は、保持リング54を介して中央ボルト27に保持される。スプール22は、その両端部に、中央ボルト27に導かれる外側ランド(溝山)23、24を有する。中央ボルト27の端部からタンクポートTへのアクセスが流動面29、30に沿って保たれるように、これら2つの外側ランド23、24は、部分的にこれらのランドを横切る平坦な流動面29、30を有する。代替の実施例では、スプール22が中空で、タンクポートTへの流動のために軸方向のポートボアが備えられるようにすることができる。
スプール22の周りを通る2つの細いリブすなわちランド31、32は、軸方向で2つの外側ランド23、24に挟まれている。これらの円周リブ31、32は、内側に向かって中央ボルト27から径方向に延びる2の環状ウェブ33、34に対応する。これらの環状ウェブ33、34に加え、2の軸方向の外側環状ウェブ35、36も備えられている。これら4つの環状ウェブ33、34、35、36が形成されるのは、5つの内側環状溝37、38、39、40、41が中心ボルト27に形成されているからである。中心ボルト27の壁を貫通する5つのポートボア60、62、64、66、68が5つの内側環状溝37、38、39、40、41に向けて開放されている。流動条件によっては、環状溝1つに対して複数のボアを設けることもできる。
電磁石17からボルトに沿って軸方向に並ぶ5つのポートボア60、62、64、66、68は、第2作動ポートBに属する標準開口部B、第2作動ポートBに属しカムシャフトの交番トルクを利用する開口部B1、供給ポートP、第1作動ポートAに属しカムシャフトの交番トルクを利用する開口部A1、及び第1作動ポートAに属する開口部Aを形成する。
いずれの場合においても、2つの開口部A、A1または2つの開口部B、B1が2の作動ポートA、Bに配置されている。カムシャフトの交番トルクを利用する軸方向内側開口部A1、B1は、これらに備えられている。外側ランド23、24のみにより内側から遮断することができる軸方向外側開口部A、Bとは対照的に、軸方向内側開口部A1、B1はバンド形状の逆止弁RSV−A、RSV−Bを有する。バンド形状の逆止弁RSV−A、RSV−Bはそれぞれ、中央ボルト27の軸方向内側開口部A1、B1の径方向内側に位置する内側環状溝40、38に挿入される。特許文献1に記載の方法で、逆止弁RSV−A、RSV−Bにより、供給ポートPの領域で油圧を加えることができる。この油圧は、カムシャフトの交番トルクにより、圧力が負荷される油圧室6または5での油圧水準を短時間上回る。そして供給ポートPから来るこれらの油圧ピークまたはこの油圧流体流は、油ポンプ12によって供給ポートPに加えられる油圧とともに、負荷の対象となる油圧室6または5で利用できるようになる。
さらに、バンド形状のポンプ逆止弁RSV−Pが内側環状溝39に配置される。このポンプ逆止弁RSV−Pは、基本的に2のバンド形状の逆止弁RSV−A、RSV−Bと同様に作られているが、別の応答力を有することもできる。
図4の位置18では、2つの中央リブ31、32が2つの環状ウェブ33、34と軸方向で離れているため、その間の空隙に油圧流体が入り込むことができる。同様に、中央ボルト27では、最前部の外側ランド23とそれに対応する環状ウェブ35の間の空隙に圧力油が入り込むことができる。対照的に、他の外側ランド24は、最後部の内側環状溝41または第1作動ポートAに属する標準開口部A1を遮断する。このため、外側ランド24と最後部の環状ウェブ36が重なっており、重なった部分の封止は長くなっている。
これにより、位置18では、供給ポートPからの油圧流体が、ポンプ逆止弁RSV−P経由で第2作動ポートBに属する標準開口部Bに到達することができる。このように、その他の2つの逆止弁RSV−A、RSV−Bは開口部A1、B1を、供給ポートP及び第2作動ポートBに属する標準開口部Bからの圧力から遮断する。対照的に、カムシャフトの交番トルクにより、逆止弁RSV−Aが第1作動ポートAに属する標準開口部A1から短期間のピーク圧力を発出させる。カムトルクが原因で作動ポートAに関連する圧力が高い場合、その圧力は圧力Pよりも大きい。RSV−Aチェックバルブは第1作動ポートAからの流動油に開放される一方、Pチェックバルブ(RSV−P)は閉鎖される。位置18では、第1作動ポートAからの圧力がAからBへと再循環され(開口部A1経由)、第1作動ポートAがタンクポートTへと排出する(標準開口部A及び流動面30経由)。
図5は、ストロークが0.4mmのスプール22を示す。この場合、油圧バルブ3は位置15に位置する。位置15は位置18とほぼ同じで、違いはランド24とボルト面98の結合により第1作動ポートAがタンクポートTに接続できず、また第1作動ポートAが流動面30から遮断される場所までスプール22が動いていることだけである。
図5の位置15と図4の位置18の間で、第1作動ポートAはタンクポートTに対してさらに開放される。これにより、第1作動ポートAから第2作動ポートBへの再循環と第1作動ポートAのタンクへの排出(油圧流体の作動ポートAからタンクポートTへの流入)が可能になる。
図6は、ストロークが1.1mmのスプール22を示す。この場合、油圧バルブ3は位置7aで機能する。位置7aでは、ランド24とボルト面98の結合により第1作動ポートAがタンクポートTから遮断されており、位置15と概ね同じである。しかし、位置7aでは、ランド32とウェブ34の結合により、第1作動ポートAは第2作動ポートBからも遮断される。供給ポートPは、第2作動ポートBに接続される。
図6の位置7aと図5の位置15の間で、カムトルクのパルスにより第1作動ポートAの圧力が第2作動ポートB及び供給ポートPのそれを上回る場合、供給ポートPは第2作動ポートBへより多くアクセスでき、第1作動ポートAからの流体流がより多く第2作動ポートBに再循環するようになる。
図7は、ストロークが1.7mmのスプール22を示す。この場合、油圧バルブ3は中央遮断位置7に位置する。供給ポートPは2のリブ31、32により閉鎖される。このため、リブ31、32は、対応する環状ウェブ33、34を相応に大きく覆う。ランド24と面98の結合及びランド23と面99の結合により、2の作動ポートA、Bはタンク排出口Tからも遮断される。
図7の中央遮断位置7が効率的に位置を保持している間は、この位置と図6の位置7aとの間、またはこの位置と図8との位置7bの間をスプールが動き、油圧流体の漏れを補う。
図8は、ストロークが2.3mmのスプール22を示す。この場合、油圧バルブ3は位置7bに位置し、ランド23とボルト面99の結合により第2作動ポートBがタンクポートTから遮断されている。しかし、位置7bでは、ランド31とウェブ33の結合により、第2作動ポートBは第1作動ポートAからも遮断される。供給ポートPは、第1作動ポートAに接続される。
図9は、ストロークが3.0mmのスプール22を示す。この場合、油圧バルブ3は位置16に位置し、ランド23とボルト面99の結合により第2作動ポートBがタンクポートTから遮断されている。カムシャフトの交番トルクにより、逆止弁RSV−Bが第2作動ポートBに属する標準開口部B1から短期間のピーク圧力を発出させる。位置16では、第1作動ポートAが供給ポートPにより圧力を受け、第2作動ポートBからの圧力がBからAへと再循環される(開口部B1経由で)。
図8の位置7bと図9の位置16の間で、カムトルクのパルスにより第2作動ポートBの圧力が第1作動ポートA及び供給ポートPのそれを上回る場合、供給ポートPは第1作動ポートAにより多くアクセスでき、第2作動ポートBからの流体流がより多く第1作動ポートAに再循環するようになる。
図10は、ストロークが3.4mmのスプール22を示す。この場合、油圧バルブ3は位置19に位置している。位置19では、2つの中央リブ31、32は2の環状ウェブ33、34と軸方向で離れているため、その間の空隙に油圧流体が入り込むことができる。同様に、最後部の外側ランド24とそれに対応する環状ウェブ36の間の空隙に油圧流体が入り込むことができる。対照的に、他の外側ランド23は、最前部の内側環状溝37すなわち第2作動ポートBの標準開口部B1を遮断する。このため、外側ランド23と最前部の環状ウェブ35が長い封止が形成されて重なっている。これにより、位置19では、供給ポートPからの油圧流体が、ポンプ逆止弁RSV−P経由で第1作動ポートAの標準開口部Aに到達することができる。この場合、その他の2の逆止弁RSV−A、RSV−Bは、供給ポートPからの圧力から開口部A1、B1を遮断する。対照的に、カムシャフトの交番トルクにより、逆止弁RSV−Bが第2作動ポートBの開口部B1から短期間のピーク圧力を発出させる。このように、第2作動ポートBからの圧力がBからAへと再循環され(開口部B1経由で)、第2作動ポートBはタンクポートTにも排出する(標準開口部B及び流動面29経由)。
図9の位置16と図10の位置19の間で、第2作動ポートBはタンクポートTに対してさらに開放される。これにより、第2作動ポートBから第1作動ポートAへの油圧流体の再循環と第2作動ポートBのタンクへの排出(油圧流体の第2作動ポートBからタンクポートTへの流入)の両方が可能になる。
ここで述べるシステムの主な利点の一つが、カムトルクが所望の位相度を得るに十分であれば、油圧バルブのソフトウェア制御を通じて、再循環(位置15、16)のみにデューティサイクル(または流れ)を制限することができることである。エンジンオイルシステムで流動が不十分であってさらなる負荷が望ましくない場合、位置15、16に限定することもできる。
2段階リフトシステムで低リフトモードの場合など、カムトルクが十分でない場合、ソフトウェアは位相調整に位置18、19を使用する。rpmの値が高いときもカムトルクのパルスを効率的に利用するための時間がないため、必要であれば、rpmの値が高い状態で位置18、19を使用して位相調整速度を増加させる。タンクポートTへ開放される流量及び位置18、19が始まるバルブ移動位置は、使用目的により調整が可能である。
ここで記載した実施例では、標準開口部AまたはBと開口部A1またはB1を組み合わせて、最初に中心ボルト27の外側でそれぞれ作動ポートAまたはBを対象に、カムシャフト交番トルクを使用している。代替の実施例として、標準開口部AまたはBと開口部A1またはB1を組み合わせて、中心ボルト27の内側でカムシャフト交番トルクを使用することもできる。
その他の代替の実施例では、バンド形状の逆止弁の代わりに球形の逆止弁を用いることができる。例えば、独国特許第102007012967号などが示す通り、油圧バルブ内で球形の逆止弁を用いることもできる。しかし、この場合の球形の逆止弁は、必ずしもカートリッジバルブの中心バルブに組み込む必要はない。例えば、球形の逆止弁をローターで使用するとともに、スプールを中心バルブとして設計してローターハブの同軸方向及び中心を動くことができるよう配置することもできる。
バルブのそれぞれの使用状況に応じ、流動方向に沿って、フィルターを一つまたは複数、もしくはすべてのポートの前に設置することができ、こうして設置されるフィルターはスプールと中央バルブの接触面を保護する。
カムシャフトの交番トルクを両回転方向で用いる必要はなく、軸方向で最外部の2つの位置である位置18、19のどちらか1つを使用なくてもよい。カムシャフトの交番トルクを使用し、1回転方向のみを対象とする調整をより迅速に行うことができる。
代替の実施例では、カムシャフトの交番トルクを両回転方向で用いることもでき、この場合はバイパス逆止弁であるRSV−A及びRSV−Bのどちらか1つを使用しなくてもよい。
また、どのような位置の組み合わせも可能である。例えば、1つまたは複数の位置または状態を、使用しなくても、加えてもよい。
セルフセンタリングを行うミッドロック機能がA及びBに計量済みの油を供給し、センタリングが行われるまでAとBのどちらか一方で排出が行われるようにするために、他の位置を油圧バルブに備えてもよい。ピンが消耗すると、ロックピンホールに落ち、位相器をミッドロックの位置でロックする。ミッドロックについては、独国特許出願第102004039800号及び独国特許出願第102009022869.1−13号で述べている。
図2は、好ましいスプール22を示しており、特にこれまでの記載を参照すると、よく分かるはずである。ランド32の拡大図である図3が示す通り、ランド31、32はサメのひれの形をしていることが好ましい。機能面では、供給ポートPを作動ポートAまたはBに開放するために、ランド31、32の移動が最小限であることが重要である。しかし、ランドが非常に細ければ、ランドの熱処理が難しくなる。スプールは、好ましくはそのベースで厚さ0.3mmのランドを備え、そのランドは少なくとも1つの側面90で先細り、実際に中心ボルト27のウェブ33、34と物理的に接触する面92で厚さが0.1から0.3mmになる。上述の通り、図3はランド32の拡大図である。他のランド31の拡大図は図3に非常に似ているが、反転させて、先細面90を反対側に配置した状態になる。
1または複数の先細型ランド(形状がサメのひれの形など)は、スプール22またはボルト27、または両方に配置することができる。また、どちらか一方、または両方のランドの側面を先細らせることもできる。
ランドを細くすることによるその他の利点としては、スプールの動きが少なくなることがある。さらに、バルブを均等に制御するタイミング特性が向上する。その理由は、位置7aから位置7bまでのストロークが短くなり、一方向から他方向への移行が迅速になる。
図4〜図10について、重なりの部分(流体の流れを防ぐ)及び開口部(流体を流動させる)の好ましい大きさについて説明する。当然ながら、それ以外の大きさの重なりの部分及び開口部も、完全に本発明の技術的範囲内である限り適用可能である。
図4では、P地点からB1地点までに1.5mmの開口部があること、B1地点からB地点までに1.5mmの開口部があること、B地点からT地点までに3.0mmの重なりがあること、P地点からA1地点までに1.1mmの開口部があること、A1地点からA地点までに1.6mmの重なりがあること、及びA地点からT地点までに0.4mmの開口部があることが好ましい。
図5では、P地点からB1地点までに1.1mmの開口部があること、B1地点からB地点までに1.1mmの開口部があること、B地点からT地点までに2.6mmの重なりがあること、P地点からA1地点までに0.7mmの開口部があること、A1地点からA地点までに1.5mmの重なりがあること、及びA地点からT地点までに0.0mmの重なりがあることが好ましい。
図6では、P地点からB1地点までに0.4mmの開口部があること、B1地点からB地点までに0.4mmの開口部があること、B地点からT地点までに1.9mmの重なりがあること、P地点からA1地点までに0.0mmの開口部があること、A1地点からA地点までに0.8mmの重なりがあること、及びA地点からT地点までに0.7mmの重なりがあることが好ましい。
図7では、P地点からB1地点までに0.2mmの重なりがあること、B1地点からB地点までに0.2mmの重なりがあること、B地点からT地点までに1.3mmの重なりがあること、P地点からA1地点までに0.2mmの重なりがあること、A1地点からA地点までに0.2mmの重なりがあること、及びA地点からT地点までに1.3mmの重なりがあることが好ましい。
図8では、P地点からB1地点までに0.0mmの開口部があること、B1地点からB地点までに0.8mmの重なりがあること、B地点からT地点までに0.7mmの重なりがあること、P地点からA1地点までに0.4mmの開口部があること、A1地点からA地点までに0.4mmの開口部があること、及びA地点からT地点までに1.9mmの重なりがあることが好ましい。
図9では、P地点からB1地点までに0.7mmの開口部があること、B1地点からB地点までに1.5mmの重なりがあること、B地点からT地点までに0.0mmの開口部があること、P地点からA1地点までに1.1mmの開口部があること、A1地点からA地点までに1.1mmの開口部があること、及びA地点からT地点までに2.6mmの重なりがあることが好ましい。
図10では、P地点からB1地点までに1.1mmの開口部があること、B1地点からB地点までに1.6mmの重なりがあること、B地点からT地点までに0.4mmの開口部があること、P地点からA1地点までに1.5mmの開口部があること、A1地点からA地点までに1.5mmの開口部があること、及びA地点からT地点までに3.0mmの重なりがあることが好ましい。
ここで記載した実施例は、模範的な実施例に過ぎない。記載された機能を組み合わせて別の実施例とすることも可能である。本発明の構成要素以外の機能で、特にここで記載されていない機能は、図面が示す構成要素の形状から導き出すことができる。
本発明の具体的な実施例を記載したが、当業者は、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り様々な変更を加えてよい。例えば、逆止弁は、球状または板状の逆止弁として設計が可能である。
1 第1回転方向
2 第2回転方向
3 油圧バルブ
4 カムシャフト調整用揺動型アクチュエーター
5 圧力室
6 圧力室
7 中央遮断位置
12 油ポンプ
17 電磁石
20 タンク
21 ばね
22 スプール
23 外側ランド
24 外側ランド
27 中心ボルト
31 中央リブ
32 中央リブ
33 環状ウェブ
34 環状ウェブ
35 環状ウェブ
36 環状ウェブ
37 内側環状溝
38 内側環状溝
39 内側環状溝
40 内側環状溝
41 内側環状溝
54 保持リング
90 先細面
A 第1作動ポート
B 第2作動ポート
P 供給ポート
T タンクポート

Claims (15)

  1. 油圧バルブを備えたカムシャフト調整用揺動型アクチュエーターであって、油圧バルブは2つの作動ポート、供給ポート、及びタンクポートを有し、前記供給ポートが他の作動ポートに圧力を加えている間に、前記油圧バルブは作動ポートの1つが前記タンクポートに排出するのを防ぐように構成されている、ことを特徴とするカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター。
  2. 各作動ポートが標準開口部及びカムシャフトの交番トルクによる圧力ピークを使用する追加の開口部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター。
  3. 各標準開口部が前記タンクポートに選択的に排出するよう構成されている、ことを特徴とする請求項2に記載のカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター。
  4. 前記1つの作動ポートの前記タンクポートへの排出を防ぎかつ前記供給ポートが前記他の作動ポートに圧力を加えている間に、前記油圧バルブが前記1つの作動ポートから前記他の作動ポートへの再循環を行うことができるように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター。
  5. 前記1つの作動ポートの前記タンクポートへの排出を防ぎかつ前記供給ポートが前記他の作動ポートに圧力を加えている間に、前記油圧バルブが前記1つの作動ポートから前記他の作動ポートへの再循環を防ぐように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター。
  6. 第1の状態においては、前記1つの作動ポートの前記タンクポートへの排出を防ぎかつ前記供給ポートが前記他の作動ポートに圧力を加えている間に、前記油圧バルブが前記1つの作動ポートから前記他の作動ポートへの再循環を行うことができるように構成されており、第2の状態においては、前記1つの作動ポートの前記タンクポートへの排出を防ぎかつ前記供給ポートが前記他の作動ポートに圧力を加えている間に、前記油圧バルブが前記1つの作動ポートから前記他の作動ポートへの再循環を防ぐように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター。
  7. 前記油圧バルブが少なくとも1つの先細型のランドを有するスプール及びボルトのどちらかを少なくとも1つ備える、ことを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター。
  8. 前記油圧バルブが少なくとも1つのランドを有するスプール及びボルトのどちらかを少なくとも1つ備え、前記ランドの少なくとも1つの側面がサメのひれの形をしている、ことを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター。
  9. 各作動ポートが標準開口部及びカムシャフトの交番トルクによる圧力ピークを使用する追加の開口部を有するカムシャフト調整用揺動型アクチュエーターであって、各作動ポートの前記追加の開口部に逆止弁をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター。
  10. 前記供給ポートに逆止弁をさらに備える、ことを特徴とする請求項9に記載のカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター。
  11. 前記油圧バルブが1の位置から他の位置に動く際に、前記油圧バルブが前記供給ポートから前記1つの作動ポートへのより多くの流動を可能とし、前記他の作動ポートから前記1つの作動ポートへのより多くの再循環を可能とするよう構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター。
  12. 前記油圧バルブが第1の位置から第2の位置に動く際に、カムトルクのパルスにより前記1つの作動ポートの圧力が前記第2の作動ポート及び供給ポートの圧力より大きくなる場合、前記油圧バルブが前記供給ポートから前記1つの作動ポートへのより多くの流動を可能とし、前記他の作動ポートから前記1つの作動ポートへのより多くの再循環を可能とするよう構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター。
  13. 前記油圧バルブが1つの位置から他の位置に動く際に、前記油圧バルブが前記1つの作動ポートから前記タンクポートへのより多くの流動を可能とし、前記1つの作動ポートから前記他の作動ポートへのより多くの再循環を可能とするよう構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター。
  14. 前記2の作動ポートは第1作動ポートと第2作動ポートを備え、前記油圧バルブが
    前期第2作動ポートが前記第1作動ポートへの再循環を可能とすると同時に前記タンクポートに排出する間に、前記供給ポートが前記第1作動ポートに圧力を加える第1の状態、
    前期第2作動ポートが前記タンクポートに排出せずに前記第1作動ポートへ再循環している間に、前記供給ポートが前記第1作動ポートに圧力を加える第2の状態、及び
    前期第2作動ポートの前記第1作動ポートへの再循環及び前記タンクポートへの排出が防止されている間に、前記供給ポートが前記第1作動ポートに圧力を加える第3の状態、
    になるように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター。
  15. 前記2の作動ポートは第1作動ポートと第2作動ポートを備え、前記油圧バルブが
    前期第2作動ポートが前記第1作動ポートへの再循環を可能とすると同時に前記タンクポートに排出する間に、前記供給ポートが前記第1作動ポートに圧力を加える第1の状態、
    前期第2作動ポートが前記タンクポートに排出せずに前記第1作動ポートへ再循環している間に、前記供給ポートが前記第1作動ポートに圧力を加える第2の状態、
    前期第2作動ポートの前記第1作動ポートへの再循環及び前記タンクポートへの排出が防止されている間に、前記供給ポートが前記第1作動ポートに圧力を加える第3の状態、
    供給ポートによる前記第1作動ポートと前記第2作動ポートの両方への圧力の負荷が防止され、また両方からの前記タンクポートへの排出が防止されている第4の状態、
    前期第1作動ポートの前記第2作動ポートへの再循環及び前記タンクポートへの排出が防止されている間に、前記供給ポートが前記第2作動ポートに圧力を加える第5の状態、
    前期第1作動ポートが前記タンクポートに排出せずに前記第2作動ポートへ再循環している間に、前記供給ポートが前記第2作動ポートに圧力を加える第6の状態、及び
    前期第1作動ポートが前記第1作動ポートへの再循環を可能にすると同時に前記タンクポートに排出している間、前記供給ポートが第2作動ポートに圧力を加える第7の状態、
    になるように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のカムシャフト調整用揺動型アクチュエーター。

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