JP2015148115A - 路面ライン標示用塗料及び路面ライン標示 - Google Patents

路面ライン標示用塗料及び路面ライン標示 Download PDF

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明人 松尾
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Abstract

【課題】平面部と凸部(凸条)とを備えた帯状ラインで構成される路面ライン標示をスリッタ(スリッタ式塗布機)で形成しようとした場合、凸部の形態維持性とともに凸部表面の平滑性及びガラスビーズ固着性に問題が発生しないライン標示用塗料を提供すること。【解決手段】熱可塑性結合材、体質材、可塑剤、着色顔料およびガラスビーズを必須成分とするとともに、該必須成分に加えてベントナイトと酸化PEワックスとの併用系である搖変性付与剤を含有する。それらの塗料全量に対する組成を前者:0.1〜0.55%、後者:0.17〜0.33%とする。該塗料は路面にスリッタ式塗布装置21を用いて、路面17上に平面部11と凸条(凸部)13とを備えた帯状ラインで構成されるライン標示を施工するのに好適である。【選択図】図3

Description

本発明は、平面部と凸部(凸条)を備えた1本又は複数本の帯状ライン(以下、単に「帯状ライン」と表記する。)で構成される路面ライン標示に好適な路面ライン標示用塗料に関する。特に、自動車の走行制御をするためのレーザレーダの検知対象となる路面ライン標示であって、路面との反射強度差を増大させるために凸部(凸条)を備えた帯状ラインで構成される路面ライン標示を形成するのに好適な、路面ライン標示用塗料に係る発明である。
本発明の路面ライン標示は、高速道路や一般道路における路面ばかりでなく、駐車場、テーマパーク、工場内等における、路面にも適用できる。
本明細書および特許請求の範囲における各用語の意味は次の通りである。
・「%」(配合単位における)は、特に断らない限り、「質量%」を意味する。
・「屈折率」とは、ナトリウムD線を用いた25℃における測定値(n25 D)を意味する。
・「メジアン粒径」は、JIS標準ふるい(JIS Z 8801)で求めたものを意味する。
通常、道路区画等を形成する路面ライン標示(帯状ライン)は、扁平断面(例えば、厚み1〜3mm)の平面部のみからなる帯状ラインの塗面にガラスビーズが散布固着されている。ガラスビーズからの再帰反射により、ドライバーの視認性を確保するためである(特許文献1・2の各[0003]等)。
しかし、雨天時等には、ガラスビーズが水に水没してしまい、光は水面で鏡面反射するため再帰反射性が損なわれることがある。このため、路面ライン標示を構成する帯状ラインを平面部と該平面部上に形成される凸部(凸条部を含む。以下、同じ。)(例えば、高さ5〜10mm)とを備えたものとし、前記平面部及び凸部に対してガラスビーズを散布し、雨天時等にガラスビーズが水没しないようにして対処することが提案実施されている(同各[0004]等)。
しかし、上記のような平面部と凸部とを備えた帯状ラインで構成される路面ライン標示を特許文献1〜5等で示すようなスリッタ式塗布装置(以下「スリッタ」という。)で形成しようとした場合、凸部の形態保持性および塗面形成直後のガラスビーズ付着性に問題があることが分かった。
なお、特許文献5には、本発明と同様な目的(凸部の形態維持性)のための溶融式の路面ライン標示用塗料組成物(道路区画線用路材)が提案されている。
「上面に凹凸を有する道路区画線に用いる路材において、軟化点110℃以上の熱可塑性樹脂10〜20%、骨材40〜80%、ガラスビーズ15〜30%、着色顔料5〜10%、長さ10〜2000ミクロン、直径3〜30ミクロンのファイバー0.5〜5%を成分とする道路区画線用路材。」
しかし、上記塗料組成物は、本発明における良好な搖変性(チキソトロピー)を確保するために「ベントナイトおよび酸化PEワックスを併用して少量添加する」ことは、何ら開示若しくは示唆されていない。
また、特許文献6は、凸部を有しない排水性舗装に標示ラインを施工するに際して、塗膜平滑性が得られるとともに塗膜に対するガラスビーズ固着性が得られる適度な搖変性を有する塗料組成物を提供することを目的として、下記組成の路面ライン標示用塗料(路面標示用塗料組成物)が提案されている。
「熱可塑性結合材、体質材、可塑剤及びガラスビーズを必須成分とする路面標示用塗料組成物において、ベントナイトと酸化ポリエチレンワックスとが併用されて揺変性(チキソトロピー)付与剤として添加されていることを特徴とする路面標示用塗料組成物。」
しかし、図1に示すスリッタ21を用いて特許文献6における標示用塗料で、平面部11と凸条(凸部)13とを備えた帯状ライン15で構成される路面ライン標示を施工した場合、凸条13の形態保持性に欠ける(搖変性「低」)又は凸条13の表面平滑性及びガラスビーズ固着性に欠ける(搖変性「過高」)ことが分かった。後述の表2の比較例3,5は、それぞれ特許文献6表1の実施例2,7に相当する。
特許第2587344号公報 特許第2587345号公報 特開平3−280665号公報 実開平5−57005号公報 特開平4−20605号公報 特開2007−326993号公報
本発明は、上記にかんがみて、平面部と凸部(凸条を含む。)を備えた帯状ラインで構成される路面ライン標示をスリッタで施工しようとした場合、凸部の形態保持性とともに凸部上面の平滑性及びガラスビーズ固着性に問題が発生しないライン標示用塗料を提供することを目的(課題)とする。
本発明の他の目的は、自動車の走行制御をするためのレーザレーダの検知対象となる平面部と凸部(凸条を含む。)を備えた帯状ラインで構成され、該帯状ラインにガラスビーズが散布固着されてなる路面ライン標示において、さらなる反射強度の増大が容易となるライン標示用塗料を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意、開発に努力をする過程で、路面ライン標示用塗料を下記構成とすればよいことを知見して、本発明に想到した。
帯状ラインで構成され、前記帯状ラインの塗膜の上面にガラスビーズが散布固着されてなる路面ライン標示に使用する溶融式の塗料であって、
熱可塑性結合材、体質材、可塑剤、着色顔料およびガラスビーズを必須成分とするとともに、該必須成分に加えて、ベントナイトと酸化PEワックスとの併用系である搖変性(チキソトロピー)付与剤を含有し、
前記搖変性付与剤の塗料全量に対する組成が前記ベントナイト:0.1〜0.55%、前記酸化PEワックス:0.17〜0.33%である、ことを特徴とする。
スリッタの使用時の概念断面図(A)及び概念斜視図(B)である。 (A)及び(B)は、揺変性試験及び反射強度差の測定に使用した路面ライン標示を形成するための膜厚調節板の正面図、及び、該膜厚調節板を使用して凸部を備えた路面ライン標示の斜視図である。 形態保持性(揺変性)とベントナイト/酸化PEワックスの含有率(配合量)との関係を示すグラフ図である。 本発明の効果を確認するために路面ライン標示と路面との反射強度差を測定した場合における測定原理図である。 本発明の効果を確認するために測定距離を1m、走査角度0〜60°の範囲で15°間隔で行った晴天時における実施例3の塗料組成物で形成した帯状ラインの凸部側面及び平面部と路面との反射強度差を示す各グラフ図である。
本発明の路面ライン標示用塗料(組成物)は、基本的には、下記熱可塑性結合材、体質材、可塑剤、着色顔料およびガラスビーズを必須成分とするとともに、該必須成分に加えてベントナイトと酸化PEワックスとが併用されて搖変性(チキソトロピー)付与剤として添加されてなることを前提とするものである。
(1)熱可塑性結合材は、スリッタ式施工装置を用いる塗布時に塗料が溶融して施工可能な粘度を付与するためのものである。粘性率:1〜2.6dPas(200℃)のものを使用することが望ましい。
熱可塑性結合材としては、例えば、脂肪族系石油樹脂、ポリブテン等の石油系炭化水素系樹脂;クマロン・インデン樹脂等のクマロン系樹脂;フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等のフェノール系樹脂;テルペン・フェノール樹脂、ポリテルペン樹脂等のテルペン系樹脂;合成ポリテルペン樹脂;芳香族系炭化水素樹脂;不飽和炭化水素重合体;イソプレン系樹脂;水素添加炭化水素樹脂;炭化水素系粘着化樹脂;水素添加ロジン、水素添加ロジンのエステル樹脂、重合ロジン、硬化ロジン等のロジン誘導体等が使用可能である。上記熱可塑性結合材のうち、淡色のものを使用することが、後述の着色の見地から好ましい。
また、熱可塑性結合材の含有率は、10〜25%、さらには13〜23%が望ましい。配合量が過少では、粘性率が高くて良好な流動性が得難く塗布性(作業性)が低下し、他方、過多では、耐汚染性が低下したり、溶融時に体質材、着色顔料、ガラスビーズが沈降したりして(ガラスビーズの反射性が低下する。)、綺麗な塗膜を得難い。
(2)体質材としては、通常、後述する着色顔料の着色性を損なわない、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム等の白色系フィラーを好適に使用できる。体質材の配合量は、40〜75%、さらには45〜70%が望ましい。配合量が過少では、耐摩耗性及び耐汚染性において劣りやすく、他方、過多では、耐衝撃性及び接着性に劣りやすい。
(3)可塑剤としては、フタル酸エステル類(DOP、DBP等)、大豆油等の植物油、植物油変性アルキド樹脂、鉱物油、エポキシ化油、液状合成ゴム類等が使用できる。鉱物油としては、例えば、ナフテン系、パラフィン系、オレフィン系のものが使用できる。可塑剤の配合量は、0.5〜5%、さらには1〜3%が望ましい。配合量が過少では、耐衝撃性及び接着性において劣りやすく、他方、過多では、耐汚染性及び乾燥性に劣りやすい。
(4)上記着色顔料としては、白色に着色する場合、酸化チタン、亜鉛華等の白色顔料が挙げられる。同じく、黄色に着色する場合、耐熱黄鉛、有機系黄色顔料、黄色酸化鉄、チタンイエロー等が挙げられる。
着色顔料の配合量は、1〜15%、さらには2〜10%が望ましい。配合量が過少では、着色力、隠蔽力、視認性及び耐候性に劣りやすく、他方、過多でも、視認性に大差なく実用的でない。
(5)ガラスビーズとしては、特に、限定されない。通常、従来多用されている汎用のもの、例えば、屈折率1.5、粒径範囲106〜850μmのものを使用する。しかし、レーザレーダ検知対象となる路面ライン標示の如く、路面との大きな反射強度差が要求される場合は、従来の汎用品より高屈折(例えば、屈折率:1.6〜2.5)及び/又は大径(メジアン粒径500〜1500μm)のものを使用することが望ましい。路面標示における路面ライン標示と路面との反射強度差をさらに増大できるためである。
ガラスビーズの配合量(組成物中の)は、10〜25%、さらには12〜20%が望ましい。配合量が過少では、経時塗料表面摩耗にともなって夜間の反射性能が低下しやすく、他方過多では、溶融中にガラスビーズが沈降しやすくなって、作業性が悪くなるためである。
さらに、その他の添加剤として、適宜、沈降防止剤、表面改質剤、汚れ防止剤及び流動性付与剤等を配合することができる。具体的には、添加剤として、未変性PEワックス、酸変性PEワックス(例えば、マレイン酸変性)等が好適に使用できる。
ここで、添加剤の配合量は、5%以下、さらには3%以下が望ましい。配合量が過多であると、体質材及びガラスビーズが沈降しやすくなり、耐汚染性が低下し易くなる。
(6)そして、本発明においては、上記基本処方の路面標示用塗料組成物においてベントナイトと酸化PEワックスとの併用系である揺変性(チキソトロピー)付与剤を含有する。
ここで、ベントナイトとしては、市販されている汎用品から、適宜選択して使用できる。
酸化PEワックスとは、PEワックス(平均分子量500〜10000)を空気酸化することによって、カルボニル基やカルボキシル基等を含有させて酸価(KOHmg/g)(JIS K5902)(以下同じ。)1.0〜40を示すものを意味する。
そして、平均分子量(Mw)が約1000〜3500、さらには1500〜2500で、酸価:約10〜25、さらには約15〜20の範囲が望ましい。
上記要件を満たす酸化PEワックスとして、具体的には、下記のものが市場から得やすくて望ましい。
例えば、三井化学(株)から「三井ハイワックス(酸価タイプ)」の、三洋化成工業(株)から「サンワックス(酸化型)」の、ヤスハラケミカル(株)から「ネオワックス(酸化タイプ)」等の各商品名で上市されている。
そして、ベントナイトの含有率は、0.1〜0.55%、望ましくは0.35〜0.55%とする。ベントナイトが過少では、本発明に必要な揺変性を得難い。他方、過多では、塗料の粘性率が高くなりすぎて、塗装に適した流動性を塗料に得難い。ちなみに、本発明の参考とした特許文献6に係る塗料組成物(以下、従来例という。)におけるベントナイトの含有率は、0.1〜0.6%、望ましくは0.35〜0.5%である。これらの範囲は、本発明のベントナイトの含有率と略重なるが、酸化PEワックスについては、本発明の含有率と下記の如く異なる。
また、酸化PEワックスの含有率は、0.17〜0.33%とする。酸化PEワックスの含有率が過少では、ベントナイトと併用した場合の揺変性増大効果を得難い。他方過多では、耐汚染性が低下し易くなる。ちなみに、従来例における酸化PEワックスの含有率は、0.04〜0.20%、望ましくは0.07〜0.16%であり、下限値が一部重なるが、望ましい範囲では明らかに下限値も異なる。
すなわち、ベントナイトに酸化PEワックスを併用する系における塗料組成物において、本発明と特許文献6に記載の発明とは、技術的思想が異なる。このことは、後述の試験例における搖変性/酸化PEワックスの含有率(配合量)との関係を示すグラフ図において、本発明の比較例3が特許文献6表1の実施例2に、比較例5が同じく実施例7にそれぞれ相当することからも支持される。
なお、特許文献6段落0040では本発明の如く酸化PEワックスが0.2%以上では耐汚染性が低下し易くなる旨記載されているが、可塑剤と汚れ防止剤の量を微調整することにより解決している。すなわち、添加剤である可塑剤およびワックスの添加量を微減量して、その分を酸化PEワックスで置換することにより解決している。
また、搖変性付与剤の添加量(ベントナイトと酸化PEワックスとの合計)は、それらの下限値及び上限値を合計した値、すなわち、0.27〜0.88%、望ましくは0.52〜0.88%となる。
上記塗料組成物は、通常、スリッタを用いて、路面に塗布して路面標示等の施工を行う。このとき、加熱溶融温度は、200℃前後とする。
図1に示すスリッタ21は、塗料充填容器23の前面側に上下動する膜厚調節板25を備えるとともに、塗料供給口27を備え、該塗料供給口27は元側水平部と先側水平部との間が傾斜部で連結され、水平移動する水平シャッター29を備えている。該水平シャッター29は前進して先側水平部を膜厚調節板25に当接させることにより(二点鎖線位置)、塗料供給口27を閉じるようになっている。なお、図示しないが、水平シャッター29及び膜厚調節板25は、それぞれ駆動シリンダ等で水平・垂直移動可能とされている。また、塗料充填容器には、塗料を保温溶融可能な加熱手段(例えば、ガスバーナ)が付設されている。
膜厚調節板25を下端が凸条13の本数に対応した数の切欠き25aを備えたものを使用して、かつ、平面部11の膜厚に対応した高さに調節して標示施工(塗布作業)を行う。こうして、塗料充填容器23内に充填された溶融塗料が流下しながら路面17と膜厚調節板25との塗料供給口27から、スリットs及び切欠き25aを介して押し出されて、凸条13を備えた帯状ライン15が路面17上に形成される。このとき、溶融塗料の搖変性が適度(「中」又は「高」)で、後述の実施例で示す如く、凸条13を備えていても、該凸条は、表面平滑な平面部を備え、かつ、ガラスビーズ固着性にも問題が発生しない。
ここで、ライン標示を構成する帯状ライン15の幅は、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和35年総理府・建設省令第3号)」で規定されている150mm、200mm、300mm又は450mmとする。そして、凸条13の幅は、各ライン標示23の幅以下であればよく、通常、約5mm以上の幅で適宜選定することができる。凸条の幅が狭すぎては凸条を形成し難く、逆に凸条の幅が広すぎては塗料使用量が嵩む。また、凸条13の高さは、3〜10mmの範囲から適宜選択する。凸条13の高さが低すぎては、レーザレーダの検知ビームの反射強度差を確保し難い。逆に凸条13の高さが高すぎては、幅が相対的に狭い場合、凸条13の断面形状を確保し難い。
以上、平面部と凸部とを備えた帯状ライン15で構成されるライン標示に適用する場合を例に採り説明したが、本発明の路面ライン標示用塗料は、平面部のみのライン標示にも適用できる。その場合は、搖変性が高くなっても粘度上昇が低いため、塗布作業性およびガラスビーズ固着性が確保し易くなる。
そして、本発明の標示用塗料で形成した凸条(凸部)を備えた、路面ライン標示は、ガラスビーズ固着性が確保し易くなることが相まって、自動車の車両走行を制御するためのレーザレーダの検知対象となる路面ライン標示における路面との反射強度差を確保し易くなる。このとき、ガラスビーズとして、高屈折率及び/又は大径のものを使用することで、この傾向はさらに強まる。ここで、高屈折率とは、汎用品のそれに比して高屈折率であることを意味し、例えば、屈折率1.6〜2.5の範囲のものを好適に使用可能である。また、大径とは、汎用品のそれに比して大径であることを意味し、例えば、メジアン粒径500〜1500μmの範囲のものを好適に使用可能である。なお、路面ライン標示に散布する汎用ガラスビーズとしては、例えば屈折率1.5前後でかつメジアン粒径500μm前後のものを使用していた。
以下、本発明を比較例とともに実施例に基づいて更に詳細に説明する。
下記基本処方に基づいて、表1・2に示す実施例及び比較例の各塗料組成物をそれぞれ調製する。
なお、表1・2における各処方は、従来例の基本処方において、揺変性付与剤の配合量に対応させて体質材の配合量を減量したものである。
<基本処方(配合単位:質量%)>
熱可塑性結合材(石油系炭化水素樹脂) 15
(粘性率:1.5dPas(200℃)、分子量:1100〜1400)
体質材(炭酸カルシウム)
61−(ベントナイト+酸化PEワックス)
ガラスビーズ 16
屈折率:1.5、メジアン粒径:475μm(分布範囲110〜840μm)
着色顔料(酸化チタン) 5
可塑剤(フタル酸エステル系) 1.5
添加剤 1.5
ベントナイト 変量(表1・2)
酸化PEワックス 変量(表1・2)
なお、酸化PEワックスは、酸価:20、平均分子量(Mw):3200のものを使用した。
上記配合処方に従って調製した実施例及び従来例・比較例の各塗料組成物について、揺変性(A)、ガラスビーズ固着性(B)、粘性率(C)、さらには、実施例3については(D)反射率強度差を、それぞれ下記試験方法に従って試験を行った。
(A)搖変性
1)予め調製しておいた塗料を、専用溶融釜(ガスバーナ付き)に充填し、局部加熱を起こさないように掻き混ぜながら10〜20分間で180℃になるように加熱して溶融する。
2)約205℃まで昇温したところで、塗料充填容器(耐熱容器)23に移し、掻き混ぜながら200℃まで自然放冷する。
3)スリッタ21を走行させて、耐熱容器から路面17上に、平面部11(長さ1.2m)上に凸部13(上面形状:125mm×50mm、高さ:7mm)を複数個(1m当たり3個)備えた帯状ライン15で構成される路面ライン標示を、各塗料で塗布形成した(図2(B)参照)。スリッタ21は、図1に示すものにおいて、膜厚調整板25(幅150mm、下端隙間1.5mm)の下端中央に矩形状(幅:125mm×高さ:7mm)の切欠き25aを備えたものを使用した(図2(A)参照)。なお、凸部13は両断面台形状となっているが、塗布直後の塗料垂れ広がりに起因するものである。
前記凸部13の形成塗膜の形状の崩れ具合を下記基準の4段階評価で判断をした。
低・・・塗膜固化時の凸部の形態維持ができないもの。
中・・・塗膜固化時の凸部の形態が略維持されるとともに、凸部の上面が平滑である。
高・・・塗膜固化時の凸部の形態が維持されるとともに、凸部の上面が平滑である。
過高・・・塗膜固化時の凸部の形態が維持されるが、凸条の上面が平滑に仕上がらないもの。
(B)ガラスビーズ固着性
上記において、施工直後に帯状ライン(路面標示)15に対して、さらに、ガラスビーズを散布(200g/m2)してその固着性を、塗膜の固化後、プラスチック箒で掃いて余剰ガラスビーズを除去して下記基準で評価した。なお、ガラスビーズは、粒度分布範囲108〜850μmmのものを使用した。
○・・・ガラスビーズが表面全体に残るもの、
×・・・部分的にしか残らないもの又は全部脱落するもの。
(C)粘性率
各実施例及び従来例・比較例の各塗料組成物について、下記方法に従って、200℃における粘性率を測定した。
塗料組成物を230℃に加熱溶融して調製した組成物試料を、230℃以上に保温した専用容器(深さ:120mm、直径:8mm)に8分目程度まで入れ、粘性率計(ビスコテスター「T−04」リオン(株)製)のローターを浸して、掻き混ぜながら200℃まで自然放冷させ、該200℃における粘性率を測定する。
(D)反射強度差
実施例3の塗料で帯状ライン15を形成し、該帯状ラインにガラスビーズ散布した後における、平面部13及び凸部11側面(長手方向斜面)と、路面との反射強度差を測定した。具体的には、晴天時において、受光検知装置が一体化されたレーザレーダ(照射装置)30の検知ビームを、前記平面部13、凸部11a側面および路面17に対して、走査角度α:0°〜60°の範囲で15°おきで走査して、それら反射強度を測定して、前記反射強度差を求めた(図4参照)。
<試験結果・考察>
搖変性試験の結果を表1・2に示すとともに、形態維持性については、更に、図3にも示す。それらの試験結果から、下記のことが分かる。
・ベントナイトに酸化PEワックスを併用することにより、従来(特許文献6)におけるものより、形態維持性および塗布性を確保し易く、かつ、ガラスビーズの固着性を確保できる。
すなわち、本発明によると、ベントナイトと酸化PEワックスとを特定比率で併用するため、ベントナイトの使用量が少なくして、塗料組成物の揺変性を高めることができるとともに、粘度上昇を抑制できガラスビーズ固着性に問題が発生し難い。すなわち、塗料組成物の粘度を余り上昇させずに、塗料組成物の揺変性を高めることができることが分かる。例えば、ベントナイトと酸化PEワックスの合計配合量において、比較例5(特許文献6表1の実施例7に相当)と同等乃至多い実施例3乃至5は、搖変性が過高とならず、粘性率も低い。したがって、凸条の形態維持性およびガラスビーズ固着性を確保し易くなる。
また、凸部と平面部との反射強度差の試験結果を図5に示す。図5は明らかに凸部側面からの反射強度差の方が、平面部に比して大きいことを示している。すなわち、本発明の塗料で形成した凸部(凸条)は、自動車の走行制御をするためのレーザレーダの検知対象となる平面部と凸部(凸条)を備え、該凸部にガラスビーズが散布される帯状ラインにおいて、さらに路面に対する反射強度差の増大が容易となることが伺える。そして、該凸部を備えた帯状ラインに高屈折率(屈折率1.6〜2.5)、大径(500〜1500μm)のガラスビーズを散布した場合は、凸部に対するガラスビーズの固着性が改善されることも相まって、さらに路面に対する反射強度差が増大することが期待できる。
11・・・帯状ラインの平面部
13・・・帯状ラインの凸条(凸部)
15・・・帯状ライン
17・・・路面
21・・・スリッタ式塗布装置
23・・・塗料充填容器
25・・・膜厚調節板
25a・・・切欠き
27・・・塗料供給口

Claims (7)

1本又は複数本の帯状ラインで構成され、前記帯状ラインの塗膜の上面にガラスビーズが散布固着されてなる路面ライン標示に使用する溶融式の塗料であって、
熱可塑性結合材、体質材、可塑剤、着色顔料およびガラスビーズを必須成分とするとともに、該必須成分に加えて、ベントナイトと酸化PEワックスとの併用系である搖変性(チキソトロピー)付与剤を含有し、
前記搖変性付与剤の塗料全量に対する組成が前記ベントナイト:0.1〜0.55%、前記酸化PEワックス:0.17〜0.33%である、
ことを特徴とする路面ライン標示用塗料。
前記ベントナイト/前記酸化PEワックス(質量比)=0.3〜3.1であることを特徴とする請求項1記載の路面ライン標示用塗料k
前記ベントナイト/酸化PEワックス(質量比)=1.5〜2.5であることを特徴とする請求項2記載の路面ライン標示用塗料。
前記塗料の粘性率(200℃)が100〜160dPasであることを特徴とする請求項1,2又は3記載の路面ライン標示用塗料。
請求項1〜4のいずれかに記載の路面ライン標示用塗料を200℃前後に加熱溶融して、平面部および凸部(凸条を含む)を備えた前記帯状ラインの塗膜を路面に形成後、さらに、前記ガラスビーズを散布することを特徴とする路面ライン標示の施工方法。
平面部と凸部(凸条を含む。)を備えた1本又は複数本の帯状ラインで構成される路面ライン標示であって、
前記帯状ラインが、熱可塑性結合材、体質材、可塑剤、着色顔料およびガラスビーズを必須成分とする溶融式の塗料の塗膜で形成されているとともに、該塗膜に前記ガラスビーズが散布固着されてなる路面ライン標示において、
前記塗料が、前記必須成分に加えてベントナイトと酸化PEワックスとの併用系である搖変性(チキソトロピー)付与剤を含有し、該搖変性付与剤の塗料全量に対する組成が前記ベントナイト:0.1〜0.55%、前記酸化PEワックス:0.17〜0.33%である、
ことを特徴とする路面ライン標示。
前記凸条が幅5mm以上の前記帯状ライン標示の幅以下で、高さ5〜10mmであることを特徴とする請求項6記載の路面ライン標示。
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