(A)第1の実施形態
以下では、本発明の入出金装置及び入出金プログラムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
第1の実施形態では、例えば商業施設等に設けられる入出金装置に本発明を適用する場合を例示する。
(A−1)第1の実施形態の構成
(A−1−1)入出金装置10の全体構成
図2は、第1の実施形態に係る入出金装置10の外観斜視図である。図1は、第1の実施形態に係る入出金装置10の制御系の構成を示すブロック図である。図3は、第1の実施形態の入出金装置10の内部構成を示す内部構成図である。なお、図1〜図3において、対応する構成要素には同一の符号を付している。
入出金装置10は、例えば、ある店舗に設けられたレジスタが取り扱う現金を管理したり、また例えば、ショッピングセンタ等のように複数のショップからなる大規模な商業施設において、各ショップのレジスタが取り扱う現金だけでなく、ショップ毎の現金を管理したりするものである。
入出金装置10は、例えば、「釣銭出金取引」、「売上入金取引」、「計数取引」、「補充取引」、「抜き取り取引」、「精査集計取引」、「回収取引」、「精査取引」等の取引機能を有している。
図3において、入出金装置10は、大別して、硬貨処理機1、紙幣処理機2、操作表示部3、カードリーダ部5、レシートプリンタ部6、記憶部7、主制御部8を有する。
操作表示部3は、レジスタの現金を入出金するレジスタ担当者や売上の締めを行なう管理者等のオペレータが操作したり、入出金装置10の各種の取引操作の案内、入力画面、入力情報、金種別の入金金額又は出金金額等を表示したりするものである。
操作表示部3は、レジスタ毎又はレジスタ担当者毎の入出金処理を行なうために、レジスタを使用するシフト毎に割り当てたパターン出金の入力、レジスタに割り当てるシフト設定の入力、訂正処理の入力等を受け付けるものである。操作表示部3は、例えば、キーボードやテンキーなどの物理的な入力手段や、例えば、LCDやタッチパネル方式等の入力手段を適用することができる。
カードリーダ部5は、入出金装置10の利用者であるレジスタ担当者や管理者等が使用するIDカードの情報を読み取るものである。ここで、IDカードは、管理者が用いる管理カード、レジスタを識別するレジスタカード、レジスタを担当する担当者を識別する担当者IDカード、店舗毎に発行された店舗カード等がある。
レシートプリンタ部6は、硬貨処理機1や紙幣処理機2で行われた入金処理又は出金処理の金額、金種別枚数等を伝票に記録して出力するものである。
記憶部7は、入金・出金処理履歴、回収庫交換履歴、釣銭収納庫入出金履歴、回収庫入金履歴等を格納するカウンタテーブルを有したり、また後述する主制御部8が実行する制御プログラムを格納したり、更に主制御部8による処理結果も記憶するものである。
主制御部8は、記憶部7に格納された制御プログラムに基づいて、入出金装置10全体の処理を制御するものである。この実施形態において、主制御部8は、それぞれのレジスタに対して割り当てられているシフトを1つの集計単位として入出金処理を行なう入出金処理機能を有するものである。
硬貨処理機1は、硬貨入金口11、硬貨鑑別部12、硬貨一時保留部13、釣銭用硬貨収納庫14、硬貨回収庫15、硬貨出金庫16、硬貨返却箱17、制御部18を有する。
制御部18は、硬貨処理機1全体の動作制御を行うものである。
硬貨入金口11は、入金処理や精査の際に、硬貨を一括して受け入れるものである。
硬貨鑑別部12は、硬貨入金口11に受け入れた硬貨を1枚ずつ分離して、硬貨の金種等を鑑別すると共に、鑑別した硬貨を金種毎に計数するものである。また、硬貨入金口11と硬貨鑑別部12との間には、分離部により分離された硬貨を搬送する搬送ベルト等による搬送路が設けられている。
硬貨一時保留部13は、硬貨鑑別部12による鑑別計数の際に、一時的に硬貨を集積するものである。
硬貨返却箱17は、硬貨鑑別部12による鑑別計数の際にリジェクトされた硬貨や、売上入金の取消しの際に硬貨を返却する部分である。
釣銭用硬貨収納庫14は、レジスタ用の釣銭準備金として使用する硬貨を金種別に収納するものであり、いわゆる出金ホッパと呼ばれるものである。釣銭用硬貨収納庫14は、売上入金の際に硬貨鑑別部12により正常貨と鑑別された硬貨を収納するものであり、釣銭出金の際に、釣銭用硬貨収納庫14は収納されている正常貨である硬貨を出金する。また、釣銭用硬貨収納庫14は、金種毎に硬貨を収納するようにしている。釣銭用硬貨収納庫14は、収納することができる保管基準額(又は保管基準枚数)が設定されている。釣銭用硬貨収納庫14に収納される硬貨が保管基準額を超える場合に、抜き取り取引がなされる。また、釣銭用硬貨収納庫14は、硬貨を搬送路に繰り出す繰出し手段が設けられている。
硬貨回収庫15は、精算集計の際に、売上金としての硬貨を回収するために、釣銭用硬貨収納庫14から売上金としての硬貨を受け取り、硬貨を収納する部分である。硬貨回収庫15は金種毎に複数用意されている。また、硬貨回収庫15は、脱着可能なものであり必要に応じて交換可能なものである。硬貨回収庫15には記憶部(識別情報保有部)15aが設けられている。この記憶部15aには硬貨回収庫15を識別するためのID番号等の固有の識別情報が記憶されている。硬貨回収庫15が脱着されると、記憶部15aに記憶される固有の識別情報が制御部18又は主制御部8に与えられる。これにより、脱着された硬貨回収庫15を特定することができる。
硬貨出金庫16は、釣銭出金の際に、出金すべき硬貨を出金する部分である。
ここで、硬貨一時保留部13、釣銭用硬貨収納庫14、硬貨回収庫15、及び硬貨出金庫16は金種毎に分けて硬貨を集積、収納できるように内部が区切られている。また、釣銭用硬貨収納庫14と、硬貨回収庫15及び硬貨出金庫16との間には、釣銭用硬貨収納庫14から排出される硬貨を硬貨回収庫15又は硬貨出金庫16に導く振分け手段と、通過する硬貨を金種毎に計数する計数手段とが設けられている。
紙幣処理機2は、紙幣入出金口21、紙幣鑑別部22、紙幣一時保留部23、釣銭用紙幣収納庫24、紙幣回収庫25、紙幣リジェクト部26、制御部27を有する。
制御部27は、紙幣処理機2全体の機能を制御するものである。
紙幣入出金口21は、入金処理や精査の際に、紙幣を一括して受け入れる部分である。また、紙幣入出金口21は、入金処理の取消しで紙幣を返却したり、出金処理時に釣銭としての紙幣を返却したり、入金リジェクト紙幣を返却したりする部分である。
紙幣鑑別部22は、紙幣入出金口21に受け入れた紙幣を1枚ずつ分離して、紙幣の金種等を鑑別すると共に、鑑別した紙幣を金種毎に計数するものである。
紙幣一時保留部23は、入金紙幣の計数の際や売上金の集計の際に、紙幣鑑別部22で鑑別計数された紙幣を一時的に集積するものである。紙幣一時保留部23には、紙幣を繰り出して搬送路に送り出す繰り出し手段が設けられている。
釣銭用紙幣収納庫24(24−1〜24−3)は、レジスタ用の釣銭準備金として使用する紙幣を金種別に収納するものであり、いわゆるカセットである。釣銭用紙幣収納庫24は、金種別の紙幣を収納するものであり、例えば、通貨が日本円の場合、千円券、五千円券、一万円券等を区別して収納する。
この実施形態では、釣銭用紙幣収納庫24−1が一万円券を収納するものであり(図1では「万券カセット」と表記している。)、釣銭用紙幣収納庫24−2が五千円券を収納するものであり(図1では「五千券カセット」と表記している。)、釣銭用紙幣収納庫24−3が千円券を収納するものである(図1では「千券カセット」と表記している。)。
この実施形態では、釣銭用紙幣収納庫24の種類が、入金された紙幣を収納すると共に、出金処理の際に、入金された紙幣を出金するいわゆる還流型リサイクルカセットである場合を例示する。つまり、釣銭用紙幣収納庫24は、入金処理の際に紙幣鑑別部22により正券と鑑別された紙幣を収納し、出金処理の際に収納されている紙幣を出金する。なお、釣銭用紙幣収納庫24の種類は、還流型リサイクルカセットに限定されるものではなく、釣銭出金用又は釣銭入金用のカセットであっても良い。
また、釣銭用紙幣収納庫24は、収納する紙幣の金種毎に保管基準額(又は保管基準枚数)が設定されており、その保管基準額を保つために入金処理された紙幣を収納するようになっている。釣銭用紙幣収納庫24には、紙幣を搬送路に繰り出す繰り出し手段が設けられている。
さらに、釣銭用紙幣収納庫24は脱着可能なものである。紙幣回収庫25には、紙幣のニアフルやフルを検知するセンサが設けられており、これらのセンサにより紙幣の有無や、満杯状態が確認できるようになっている。但し、収納量は後述する装置情報管理部105(図4参照)に格納される装置情報(例えば、入金履歴)等からも把握可能である。
更に、各釣銭用紙幣収納庫24には、記憶部(識別情報保有部)24aが設けられている。この記憶部24aには各釣銭用紙幣収納庫24を識別するためのID番号等の固有の識別情報が記憶され、制御部27又は主制御部8がこの識別情報を認識することで、脱着された釣銭用紙幣収納庫24を特定するものとなっている。
紙幣回収庫25は、入金時又は精算集計時に、釣銭用紙幣収納庫24から売上金としての紙幣を受け取り、その紙幣を収納するものである。
また、紙幣回収庫25は複数用意されるようにしても良く、必要に応じて脱着可能なものであっても良い。紙幣回収庫25には、紙幣のニアフルやフルを検知するセンサが設けられており、これらのセンサにより紙幣の有無や、満杯状態が確認できるようになっている。但し、収納量は後述する装置情報管理部105(図4参照)に格納される装置情報(例えば、入金履歴)等からも把握可能である。
更に、紙幣回収庫25には、記憶部(識別情報保有部)25aが設けられている。この記憶部25aには紙幣回収庫25を識別するためのID番号等の固有の識別情報が記憶され、制御部27がこの識別情報を認識して紙幣回収庫25を特定するものとなっている。
紙幣リジェクト部26は、紙幣鑑別部22によりリジェクトされた紙幣を集積するものである。例えば、紙幣リジェクト部26は、売上入金の際に、紙幣一時保留部23から釣銭用紙幣収納庫24に紙幣を収納するときに、紙幣鑑別部22によりリジェクトされたリジェクト紙幣を集積する。また、紙幣リジェクト部26は、売上金を集計する際に、釣銭用紙幣収納庫24から紙幣回収庫25に移動するときに、紙幣鑑別部22によりリジェクトされたリジェクト紙幣を集積する。
制御部27は、制御プログラムに基づいて紙幣処理機2全体の動作制御を行うものである。なお、硬貨処理機1の制御部18及び紙幣処理機2の制御部27は主制御部8の指示により硬貨処理機1及び紙幣処理機2を制御する。
(A−1−3)主制御部8の機能構成
図4は、第1の実施形態に係る入出金装置10の主制御部8の主な機能を説明するブロック図である。
図4において、主制御部8の主な機構部は、認証部101、メニュー画面表示部102、取引処理部103、個別取引情報管理部104、装置情報管理部105を有する。
認証部101は、カードリーダ部5により読み取られたIDカードの識別情報に基づいて、識別情報の認証処理を行うものである。認証部101は、管理者の認証やレジスタを担当する担当者の認証等を行うことができる。また、認証部101は、商業施設内の店舗毎に、管理者やレジスタ担当者の認証を行うようにしても良い。この場合、認証部101は、店舗の認証を行う共に、管理者又は担当者の認証を行うようにしても良い。
メニュー画面表示部102は、認証部101による認証が成功した場合に、入出金装置10が実行可能な各種取引種類の選択ボタンを有するメニュー画面を操作表示部3に表示するものである。
ここで、メニュー画面表示部102は、認証部101による認証結果に基づいて、管理者毎(又は担当者毎)若しくは店舗毎のメニュー画面を表示するようにしても良い。
具体的には、個別取引操作情報管理部104は、IDカードの識別情報に紐付けされて、過去に実行された取引操作履歴情報(個別取引操作情報ともいう。)を管理しておく。メニュー画面表示部102は、認証成功した識別情報に基づいて、個別取引操作情報管理部104から対応する個別取引操作情報を検索して、例えば、操作回数の多い取引種類から順にメニュー画面上に表示したり、また例えば、操作回数の多い取引種類の選択ボタンを他の取引種類の選択ボタンよりも拡大して表示したりしても良い。
取引処理部103は、操作表示部3に表示されるメニュー画面を通じて選択された取引種類の取引処理を行うものである。取引処理部103は取引実行部51を有する。さらに、取引実行部51は、実行する各種取引のうち精査取引に関する処理を実行する精査処理部52を含むものである。
取引実行部51は、「釣銭出金取引」、「売上入金取引」、「計数取引」、「補充取引」、「抜き取り取引」、「精査集計取引」、「回収取引」、「精査取引」等の取引処理を実行するものである。取引実行部51が実行可能な取引の種類は、上記各種取引に限定されるものではなく、他の取引処理を実行するものであっても良い。取引実行部51は、上記取引種類を選択可能な選択ボタンがメニュー画面上に表示され、そのメニュー画面を通じて選択された種類の取引処理を行う。
「釣銭出金取引」は、釣銭準備金を出金する取引である。例えば、取引実行部51は、メニュー画面から「釣銭出金」ボタンが選択されると、出金する金種及び枚数を選択するサブメニュー画面を表示する。そして、取引実行部51は、サブメニュー画面を通じて選択された金種及び枚数の紙幣・硬貨を出金する。
ここで、サブメニュー画面で出金する金種及び枚数の選択方法は種々の方法を広く適用することができる。例えば、IDカード(管理者カード、担当者IDカード、レジスタカード、店舗カード等)の識別情報やレジスタ毎の担当者に割り当てられたシフトに、事前に出金する金種及び枚数が登録されており、その金種及び枚数を選択する方法を選択するようにしても良い。なお、この事前に登録されている金種及び枚数を出金する方法を「パターン出金」ともいう。また例えば、釣銭準備金の不足時に釣銭を補充できるようにするため、管理者や担当者が個別に出金する金種及び枚数を選択することができるようにしても良い。
「売上入金取引」は、レジスタに収められている現金を入金する取引である。取引実行部51は、メニュー画面から「売上入金」ボタンが選択されると、紙幣及び硬貨の入金誘導画面を表示する。レジスタからの紙幣と硬貨(売上金+釣銭準備金)が投入口にセットされると、紙幣鑑別部22、硬貨鑑別部12は計数を開始する。紙幣鑑別部22、硬貨鑑別部12が正常と判別された紙幣、硬貨は紙幣一時保留部23、硬貨一時保留部13に集積される。一方、計数でリジェクトされた紙幣は紙幣入出金口21に戻され、硬貨は硬貨返却箱17に移動される。これにより、リジェクトされた紙幣、硬貨はオペレータに返却される。取引実行部51は、紙幣鑑別部22、硬貨鑑別部12による計数結果(すなわち、金種及び枚数、金種ごとの金額、入金合計額、釣銭準備金の額(出金合計額)、売上合計額等)を操作表示部3に表示する。操作表示部3においてオペレータにより計数結果の確認がなされると、紙幣一時保留部23、硬貨一時保留部13の紙幣、硬貨が釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14に搬送され収納される。また、紙幣、硬貨の収納時点で売上(すなわち、「入金合計額」−「出金合計額」)が発生している場合、取引実行部51は、紙幣のみ高額券を優先して、売上額の範囲内で紙幣回収庫25に収納する。
「計数取引」は、紙幣入出金口21、硬貨入金口11から投入された紙幣、硬貨の金種を判別すると共に、金種毎の枚数を計数する取引である。取引実行部51は、メニュー画面から「計数取引」ボタンが選択されると、紙幣入出金口21、硬貨入金口11から投入された紙幣、硬貨の計数を開始する。紙幣鑑別部22、硬貨鑑別部12により正常と判別された紙幣、硬貨は紙幣一時保留部23、硬貨一時保留部13に集積される。一方、計数でリジェクトされた紙幣は紙幣入出金口21に戻され、硬貨は硬貨返却箱17に移動される。これにより、リジェクトされた紙幣、硬貨はオペレータに返却される。取引実行部51は、紙幣鑑別部22、硬貨鑑別部12による計数結果(すなわち、金種及び枚数、金種ごとの金額、入金合計額、釣銭準備金の額(出金合計額)、売上合計額等)を操作表示部3に表示する。オペレータにより計数結果の確認がなされると、取引実行部51は、紙幣一時保留部23の紙幣を紙幣入出金口21に返却し、硬貨一時保留部13の硬貨を硬貨返却箱17に返却する。
「補充取引」は、釣銭準備金としての現金を補充するために、紙幣入出金口21、硬貨入金口11から投入された紙幣、硬貨を、釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14に収納する取引である。取引実行部51は、メニュー画面から「補充取引」ボタンが選択されると、紙幣入出金口21、硬貨入金口11から投入された紙幣、硬貨の計数を開始する。紙幣鑑別部22、硬貨鑑別部12により正常と判別された紙幣、硬貨は釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14に集積される。
「抜き取り取引」は、現金精査のために入出金装置10内の全ての紙幣・硬貨、若しくは、入金過多で溢れそうになった釣銭用紙幣収納庫24や釣銭用硬貨収納庫14の紙幣や硬貨を出金して抜き取る取引である。
「精算集計取引」は、それまでの出金取引及び売上入金取引の結果を集計して売上額を算出する取引である。取引実行部51は、メニュー画面から「精算集計」ボタンを選択すると、それまでの出金取引及び入金取引の結果を集計して、「入金合計額」−「出金合計額」から売上額を算出する。取引実行部51は、売上額と、既に回収庫(紙幣回収庫25、硬貨回収庫15)に収納した金額額との差分を売上移動金額とし、高額券を優先して紙幣及び硬貨を、釣銭用紙幣収納庫24及び釣銭用硬貨収納庫14から、回収庫(紙幣回収庫25、硬貨回収庫15)に移動させ、売上金を作成する。
ここで、取引実行部51は、店舗毎の精算集計を行うため、出金取引結果及び入金取引結果を店舗識別情報に対応付けておくことで、店舗毎の売上額を求めるようにしても良い。また例えば、取引実行部51は、レジスタ毎や担当者毎の売上集計を行うために、出金取引結果及び入金取引結果をレジスタ識別情報や担当者識別情報に対応付けておくことで、レジスタ毎及び又は担当者毎の売上額を求めるようにしても良い。
「回収取引」は、釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14に収納されている紙幣、硬貨を回収する取引である。取引実行部51は、メニュー画面から「売上回収」ボタンが選択されると、入出金装置10の扉(入出金装置10のフロント扉)を開錠する。取引実行部51は、紙幣回収庫25、硬貨回収庫15の脱着誘導画面を操作表示部3に表示する。取引実行部51は、紙幣回収庫25、硬貨回収庫15が取り外され、再度、紙幣回収庫25、硬貨回収庫15がセットされることを検知する。紙幣回収庫25、硬貨回収庫15は、収納されている紙幣、硬貨の枚数を検知する検知部があり、取引実行部51は、紙幣回収庫25、硬貨回収庫15の検知部からのデータに基づいて、紙幣回収庫25、硬貨回収庫15内が空であることを確認して取引を終了する。なお、オペレータは、回収した現金を金融機関等に売上金として入金する。
「精査取引」は、入出金装置10内の現金を精査する取引である。例えば、釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14に紙幣、硬貨を補充する前に現在の収納枚数を精査するときや、いわゆる締めを行うときなどに利用される。
精査取引に関する処理は、取引実行部51の機能のうち精査処理部52が実行する。精査処理部52は、メニュー画面から「精査」ボタンが選択されると、入出金装置10の扉(フロント扉)を開錠する。精査処理部52は、釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14から現金を抜き取るための誘導画面を操作表示部3に表示する。このとき、精査処理部52は、釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14毎の精査するため、精査対象とする釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14を表示するようにしても良い。
精査処理部52は、入出金装置10の扉(入出金装置10のフロント扉)を開錠する。精査処理部52は、釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14の脱着誘導画面を操作表示部3に表示する。脱着誘導画面を通じてオペレータが対象とする釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14が取り外されると、精査処理部52は、釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14が取り外されたことを検知し、再度、釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14がセットされることを検知する。精査処理部52は、入出金装置10の扉が閉められると、入金誘導画面を表示する。
精査処理部52は、紙幣入出金口21、硬貨入金口11から投入された紙幣、硬貨の計数を開始する。紙幣鑑別部22、硬貨鑑別部12により正常と判別された紙幣、硬貨は紙幣一時保留部23、硬貨一時保留部13に集積される。一方、計数でリジェクトされた紙幣は紙幣入出金口21に戻され、硬貨は硬貨返却箱17に移動される。これにより、リジェクトされた紙幣、硬貨はオペレータに返却される。
精査処理部52は、紙幣鑑別部22、硬貨鑑別部12による計数結果(すなわち、精査対象の釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14に収納されている金種及び枚数、金種ごとの金額(収納金額)を操作表示部3に表示する。
オペレータにより計数結果の確認がなされると、精査処理部52は、紙幣一時保留部23の紙幣、硬貨を、それぞれの金種毎の釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14に収納する。これにより、精査対象の釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14に収納されている収納金額を精査することができ、精査後に、金種毎の釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14への収納も可能となる。
装置情報管理部105は、入出金装置10における各種取引の取引履歴情報や、釣銭用硬貨収納庫14、硬貨回収庫15、釣銭用紙幣収納庫24、紙幣回収庫25に収納されている硬貨、紙幣の収納量に関する情報等を管理するものである。取引履歴情報は、既存の入出金装置10が管理する履歴情報と同様の内容とすることができ、例えば、取引日時情報、取引種別、レジスタ識別情報、担当者識別情報(担当者ID、担当者名等を含む情報)、取引金額(例えば入金金額、出金金額)、売上金額等を含む。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態に係る入出金装置10における精査時の処理の動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図5及び図6は、第1の実施形態に係る入出金装置10における精査時の処理を示すフローチャートである。
まず、精査操作を希望するオペレータは入出金装置10の操作表示部3に表示される操作画面を操作して行なう。このとき、入出金装置10の操作表示部3は、主制御部8の制御を受けて待機画面を表示する(S101)。
図7は、第1の実施形態に係る待機画面の画面例を示す図である。図7に例示する待機画面500は、硬貨処理、紙幣処理及び入出金履歴に関する情報を表示することができるものである。待機画面500は、硬貨処理に関する情報を表示するための「硬貨部」ボタン502、紙幣処理に関する情報を表示するための「紙幣部」ボタン503、入出金履歴に関する情報を表示するための「レシート部」ボタン504を有する。
釣銭用紙幣収納庫24に関して精査する場合には、オペレータは「紙幣部」ボタン503を選択し、釣銭用硬貨収納庫14に関して精査する場合には、オペレータは「硬貨部」ボタン504を選択して、オペレータは取引の選択処理を続ける。ここでは、釣銭用紙幣収納庫24に関して精査する場合を例示する。
図7は、「紙幣部」ボタン503がされており、紙幣処理に関する情報が表示されている状態を例示している。図7の待機画面500は、釣銭用紙幣収納庫(図1の「万券カセット」)24−1と、釣銭用紙幣収納庫(図1の「五千券カセット」)24−2と、釣銭用紙幣収納庫(図1の「千券カセット」)24−3と、紙幣回収庫(図1の「回収カセット」)25と、紙幣リジェクト部26との紙幣の収納状態を、紙幣処理に関する情報として表示している。
例えば、図7において、釣銭用紙幣収納庫(万券カセット)24−1は、紙幣の収納量が閾値未満となっており、紙幣の補充が必要であるとする。紙幣の補充には現在収納されている紙幣の収納枚数の精査が必要となる。この場合、図7に示すように、待機画面500は、「一万円:補充してください」と表示されるものとしている。釣銭用紙幣収納庫(五千券カセット)24−2についても同様である。
また例えば、図7において、釣銭用紙幣収納庫(千券カセット)24−3は、収納されている紙幣の枚数の計数が必要であるとする。この場合、図7に示すように、待機画面500は、「千円:数え直してください」と表示されるものとしている。
さらに、図7に示す待機画面500は、取引処理を開始するために必要な認証を促すために、例えば「カードパスまたはバーコードリードしてください」等のガイダンス表示部501を有する。なお、ガイダンス表示部501に表示される内容は、認証に必要な情報が表示できるようにしており、IDカードのカードパスやバーコードリードに限定されるものではない。
オペレータは、図7の待機画面500のガイダンス表示部501のガイダンス表記に従い、認証に必要なIDカードをカードリーダ部5でカードパスする。カードリーダ部5は、IDカードの識別情報の読み取りを行い(S102)、主制御部8の認証部101がIDカードの識別情報を用いて認証処理を行う(S103)。そうすると、操作表示部3は、取引種類を選択することができるメニュー画面を表示する(S104)。
図8は、第1の実施形態に係るメニュー画面510の画面例を示す画面図である。図8に示すように、メニュー画面510は、入出金装置10が実行可能な取引処理の種類を選択する取引選択ボタン511を有する。この実施形態の場合、メニュー画面510の取引選択ボタン511は、「釣銭出金」ボタン、「売上入金」ボタン、「計数」ボタン、「補充」ボタン、「抜き取り」ボタン、「精算集計」ボタン、「回収」ボタン、「精査」ボタンを有する。
メニュー画面510においてオペレータ操作により「精査」ボタンが選択されると(S105)、操作表示部3は、精査対象とする釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14を選択させる釣銭用収納庫表示画面(カセット選択画面)が表示される(S106)。
図9は、第1の実施形態に係る釣銭用収納庫表示画面の画面例を示す画面図である。図9の釣銭用収納庫表示画面520は、精査対象とする釣銭用紙幣収納庫24を表示している。具体的には、図9の釣銭用収納庫表示画面520は、精査対象の釣銭用紙幣収納庫24として、「第2カセット」ボタン521、「第3カセット」ボタン522、「第4カセット」ボタン523を表示している。
ここでは、「第1カセット」が紙幣回収庫(回収カセット)25、「第2カセット」が釣銭用紙幣収納庫(万券カセット)24−1、「第3カセット」が釣銭用紙幣収納庫(五千券カセット)24−2、「第4カセット」が釣銭用紙幣収納庫(千券カセット)24−3としている。つまり、図7の待機画面500で表示されるように、釣銭用紙幣収納庫(万券カセット)24−1、釣銭用紙幣収納庫(五千券カセット)24−2、釣銭用紙幣収納庫24−3(千券カセット)が精査対象であるため、図9の釣銭用収納庫表示画面520は、精査対象として「第2カセット」、「第3カセット」、「第4カセット」を表示している。
オペレータは、釣銭用収納庫表示画面520を通じて、精査を実行する釣銭用紙幣収納庫24を選択する。ここで、オペレータ操作により、精査を実行する釣銭用紙幣収納庫24として、1個を選択できるようにしても良いし、複数個を選択することができるようにしても良い。
精査を実行する釣銭用紙幣収納庫24が選択されると、操作表示部3は、紙幣処理機2のフロント扉を開錠するための扉開誘導画面を表示する(S107)。例えば、図10に例示するように、扉開誘導画面530は、紙幣処理機1のフロント扉が開いた状態のイメージが表示される。また、扉開誘導画面530は、紙幣処理機1のフロント扉を「開」にするためのガイダンス表示部531として、例えば「レバーを回して、フロント扉を開けてください」が表示される。オペレータは扉開誘導画面530を見ながら、紙幣処理機1のフロント扉を開く。
主制御部8はセンサ等により紙幣処理機のフロント扉が開いたことを検知する、操作表示部3は紙幣抜取誘導画面を表示し、精査対象の釣銭用紙幣収納庫24から紙幣の抜き取るよう誘導する(S108)。
例えば、図11に例示するように、紙幣抜取誘導画面540は、例えば「下部フレームを引き出し、カセットの紙幣を抜いて下さい」等のガイダンス表示540を有して、紙幣の抜き取りを誘導している。また、紙幣抜取誘導画面540は、紙幣処理機2内にある釣銭用紙幣収納庫24及び紙幣回収庫25のうち、精査対象とする収納庫を特定するように表示しても良い。例えば、精査対象のカセットを赤色等のように異なる色表示したり、黒色太枠表示したり、点滅表示したりしても良い。
オペレータは、釣銭用紙幣収納庫24を取り外し、その釣銭用紙幣収納庫24に収納されている紙幣を全て抜き取り、空になった釣銭用紙幣収納庫24を紙幣処理機2内の元の位置にセットする。
このとき、精査処理部52は、釣銭用紙幣収納庫24が取り外されると、釣銭用紙幣収納庫24に設けられているセンサを通じて、釣銭用紙幣収納庫24の取り外しを検知する(S109)。さらに、精査処理部52は、紙幣処理機2内に再度釣銭用紙幣収納庫24がセットされることを検知する(S110)。
精査処理部52は、釣銭用紙幣収納庫24の取り外しからセットされるまでの脱着時間を計測しており、この脱着時間が予め設定された時間以内であるか否かを判断する(S111)。そして、脱着時間が予め設定された時間以内の場合、処理はS112に移行し、脱着時間が予め設定された時間を越えた場合、処理はS120に移行する。
つまり、オペレータが誤って精査対象の釣銭用紙幣収納庫24以外のものを取り外した際、オペレータがすぐに誤りに気づいて元に戻した場合には、そのまま通常の精査処理を続行することができる。その一方で、セキュリティの観点から、脱着時間が所定時間を越えた場合には、精査処理部52は「不確定」と判断し(S120)、精査取引を最初に戻って実行させるために、S101に戻って操作表示部3は待機画面500を表示する。
ここで、脱着時間を判断する時間は、例えば5秒、7秒、10秒等のように、事前に設定される。また、脱着時間を判断する時間は、設定を変更可能なものとしても良い。
オペレータにより精査対象とする釣銭用紙幣収納庫24から紙幣が抜き取られ、当該釣銭用紙幣収納庫24がセットされると、操作表示部3は、扉閉誘導画面を表示する。
例えば、図12に例示するように、扉閉誘導画面550は、紙幣処理機1のフロント扉を閉じるように誘導するイメージが表示される。また、扉閉誘導画面550は、紙幣処理機1のフロント扉を「閉」にするためのガイダンス表示部531として、例えば「フロント扉を閉めて確認を押してください」等が表示される。これにより、オペレータは、扉閉誘導画面550を見ながら、紙幣処理機1のフロント扉を閉じる。
紙幣処理機2のフロント扉が閉められ、扉閉誘導画面550の「確認」ボタン552が選択されると、図13に例示する待機画面560が表示される(S113)。
S114では、精査処理部52が、釣銭用紙幣収納庫24に設けられているセンサからの情報に基づいて、当該釣銭用紙幣収納庫24内が空であるか否かを判断する(S114)。
つまり、精査処理部52は、精査のため、全ての紙幣が抜き取られた釣銭用紙幣収納庫24がセットされたか否かを判断する。そして、釣銭用紙幣収納庫24が空の場合、処理はS115に移行し、釣銭用紙幣収納庫24が空でない場合、処理はS120に移行する。
このとき、精査処理部52は、精査対象として選択された釣銭用紙幣収納庫24の識別情報を認識している。また、精査処理部52は、取り外された釣銭用紙幣収納庫24の識別情報も記憶部24aから取得し、取り外された釣銭用紙幣収納庫24が精査対象の釣銭用紙幣収納庫24と一致するか否かを確認している。精査処理部52は、取り外された精査対象の釣銭用紙幣収納庫24について空(すなわち、紙幣が収納されていない状態)か否かを判断している。
なお、精査対象とする釣銭用紙幣収納庫24が複数ある場合、S108〜S115及びS120の処理は、それぞれの釣銭用紙幣収納庫24について行われる。
精査の準備が整うと、操作表示部3は、釣銭用紙幣収納庫24から抜き取られた紙幣枚数の投入を促すため、図14に例示する入金誘導画面570を表示する(S115)。
例えば、図15に例示する入金誘導画面570は、紙幣入出金口21に紙幣投入を誘導するイメージが表示される。また、扉閉誘導画面570は、紙幣投入を誘導するためのガイダンス表示部571として、例えば「紙幣を投入してください 紙幣がない場合は確認を押してください」が表示される。これにより、オペレータは、抜き取った紙幣を紙幣入出金口21に投入する。
紙幣が投入され、図14に例示する入金誘導画面570の「確認」ボタン572が選択されると、紙幣鑑別部22により投入された紙幣の正常が判断されると共に、投入紙幣の金種枚数が計数される(S116)。このとき、操作表示部3は、図15に例示する計数中画面580を表示する。また、紙幣鑑別部22により正常と判断された紙幣は、各金種の釣銭用紙幣収納庫24に収納される。このとき、操作表示部3は、図16に例示する収納中画面590を表示する。
そして、操作表示部3は、紙幣鑑別部22により計数された計数結果を表示し(S117)、オペレータにより計数結果が確認されると(S118)、釣銭用紙幣収納庫24の収納枚数を確定する(S119)。
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、オペレータが釣銭用収納庫を誤って脱着させた場合でも、すぐに「不確定」としないことで、余分な精査の手間をなくすことができる。また、次の取引を待たせないことで業務効率を上げることができる。
(B)第2の実施形態
次に、本発明の入出金装置及び入出金プログラムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に商業施設などに設けられる入出金装置に本発明を適用する場合を例示する。
(B−2)第2の実施形態の構成
第1の実施形態は、脱着時間が予め設定された時間以内に釣銭用収納庫の脱着されたときに「不確定」としない場合を例示した。
しかし、脱着時間を判断する所定時間が長く設定されると、その間に釣銭用収納庫から紙幣を抜き取る不正が生じ得ることがあり、セキュリティ上の問題が残ってしまう。
そこで、第2の実施形態では、釣銭用収納庫から紙幣の抜き取りの有無を確認することができるようにしようとするものである。
第2の実施形態では、主制御部8の機能が第1の実施形態と異なる。具体的には、取引実行部51の精査処理部52の機能が異なる。それ以外の入出金装置10の構成要素は第1の実施形態に係る図1〜図4で説明した構成要素と同一又は対応するものである。そのため、第2の実施形態でも、第1の実施形態に係る図1〜図4を用いて説明する。
第2の実施形態の精査処理部52は、第1の実施形態と同様に、精査の際に、脱着された釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14の脱着時間が所定時間以内の場合には「不確定」とせず、精査処理を続行するものである。さらに、第2の実施形態の精査処理部52は、誤って脱着された釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14も精査の対象とするものである。
つまり、第2の実施形態の精査処理部52は、精査対象の釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14について紙幣、硬貨の抜き取りを誘導して計数処理を行うと共に、脱着された全ての釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14について紙幣、硬貨が収納されているかを判断し、紙幣、硬貨が収納されている場合には、紙幣、硬貨の抜き取りを誘導して計数処理を行うようにするものである。
これにより、誤って脱着された釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14についても精査を行うことができるため、紙幣、硬貨の不正な抜き取りが行なわれたか否かを確認することができる。
また、精査処理部52は、精査対象以外の脱着された釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14について精査が行なわれないと、精査対象も含め次の精査処理のステップに進まないように制限する。つまり、例えば誤って脱着された釣銭用紙幣収納庫24、釣銭用硬貨収納庫14の精査をすることを、次のステップに進むための条件とすることで、セキュリティを向上させることができる。
(B−1)第2の実施形態の動作
図5及び図17は、第2の実施形態の入出金装置10における精査時の処理の処理を示すフローチャートである。
なお、第1の実施形態で説明した図5のS101〜S108の処理は、第2の実施形態においても同様の処理を適用することができる。また、図17において、第1の実施形態に係る図6の処理と同様の処理には、図6と同一符号を付している。
図17において、精査の際に、紙幣抜取誘導画面に従ってオペレータが釣銭用紙幣収納庫24を取り外し、オペレータが釣銭用紙幣収納庫24から紙幣を抜き取り、オペレータが釣銭用紙幣収納庫24をセットする。
このとき、第1の実施形態と同様に、精査処理部103は、釣銭用紙幣収納庫24の取り外しを検知し(S109)、釣銭用紙幣収納庫24のセットを検知し(S110)、脱着時間が所定時間以内であるかを判断する(S111)。
脱着時間が所定時間以内である場合、操作表示部3は扉閉誘導画面を表示し(S112)、フロント扉が閉められると、操作表示部3は待機画面を表示する(S113)。このとき、精査処理部103は、第1の実施形態と同様に、精査対象の釣銭用紙幣収納庫24内が空であるか否かを判断する(S114)。
ここで、精査処理部103は、精査対象以外の釣銭用紙幣収納庫24が脱着されたか否かを確認する(S201)。つまり、操作表示部3が待機画面を表示しており、精査処理部103が精査対象の釣銭用紙幣収納庫24が空であるか否かを確認した後に、精査対象以外で脱着されたものがあるか否かを確認する。
つまり、釣銭用紙幣収納庫24の脱着があった場合には、精査処理部103は釣銭用紙幣収納庫24の記憶部24aから識別情報の通知を受けており、精査処理部103はどの釣銭用紙幣収納庫24が脱着したかを把握することができる。そのため、精査処理部103は、精査対象として選択指定された釣銭用紙幣収納庫24の識別情報と、実際に脱着された釣銭用紙幣収納庫24の識別情報とを照合することで、精査対象以外で脱着された釣銭用紙幣収納庫24を把握することができる。
そして、精査対象以外で脱着された釣銭用紙幣収納庫24がない場合、処理はS115に移行し、第1の実施形態と同様の処理が行なわれる。
一方、精査対象以外で脱着された釣銭用紙幣収納庫24がある場合、処理はS201に移行する。このとき、操作表示部3は脱着された収納庫の紙幣抜取画面を表示する(S202)。
図18は、第2の実施形態の紙幣抜取画面の画面例を示す画面図である。例えば、図18の紙幣抜取画面600は、精査対象以外の脱着された釣銭用紙幣収納庫24から紙幣の抜き出しを誘導するため、例えば「以下のカセットが脱着されました カセットの紙幣を抜いてください」等のガイダンス表示部602と、脱着された釣銭用紙幣収納庫24を表示している。
これを受けて、オペレータは紙幣処理機2のフロント扉を開き、オペレータは指示された釣銭用紙幣収納庫24を取り外し、オペレータは釣銭用紙幣収納庫24から紙幣を抜き取り、オペレータは釣銭用紙幣収納庫24を元の位置にセットする。この処理は、図17のS109〜S113と同様の処理を行うようにしても良い。
紙幣処理機2のフロント扉が閉められると、操作表示部3は待機画面を表示する。また、このとき、精査処理部103は、精査対象以外であって脱着された釣銭用紙幣収納庫24が空であるか否かを確認する(S203)。
このとき、精査対象以外であって脱着された釣銭用紙幣収納庫24が空でない場合、処理はS202に戻り、操作表示部3は紙幣抜取画面600を再度表示する。つまり、精査対象以外であって脱着された釣銭用紙幣収納庫24について紙幣の抜き取りが行なわれないとき、次のステップへの移行しないようにする。
S203において、精査対象以外であって脱着された釣銭用紙幣収納庫24が空である場合、処理S115に移行して、操作表示部3は入金誘導画面570を表示する(S203)。ここでは、精査対象の釣銭用紙幣収納庫24と、精査対象以外であって脱着された釣銭用紙幣収納庫24とに収納されていた紙幣が投入されて計数される。なお、S115以降の処理は、第1の実施形態と同様であるため、ここでの詳細な処理は省略する。
このようにすることで、精査対象以外であって脱着された釣銭用紙幣収納庫24についても精査することで、紙幣の不正な抜き取りを防止することができる。
(B−3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、脱着された全ての釣銭用収納庫について精査することができるため、最低限の手間で誤って抜いたカセットの精査をすることができ、作業効率の向上とセキュリティ向上を両立できる。
(C)他の実施形態
上述した各実施形態においても本発明の種々の変形実施形態を言及したが、本発明は以下の変形実施形態にも広く適用することができる。
(C−1)上述した各実施形態では、商業施設等に設置される入出金装置に適用する場合を例示した。しかし、商業施設に設置されるものに限定されるものではなく、紙幣、硬貨を収納する収納庫を有する種々の入出金装置に広く適用することができる。
また、上述した各実施形態では、精査対象が、釣銭用紙幣収納庫の場合とした。しかし、釣銭用硬貨収納庫を精査対象とする場合や、硬貨回収庫や紙幣回収庫の精査を行う場合にも適用することができる。
(C−2)上述した第1の実施形態と、第2の実施形態とのいずれの運用とするかを設定する切替機能又は設定機能を備えるようにしても良い。この切替機能や設定機能は、上述した第1の実施形態、第2の実施形態の精査処理部による操作表示画面上で設定できるものとしても良い。また、不正な紙幣の抜き取りを行う者による操作を回避するため、権限ある責任者のみが設定できるようにしても良い。
(C−3)上述した各実施形態の入出金装置は、オフラインで運用するようにしても良いし、又店舗会計システム等の上位サーバと連携してオンライン運用するようにしても良い。後者の場合、入出金装置がLAN等で接続されるサーバに対して各取引の結果を電文として送信するようにしても良い。これにより、サーバが統括的に管理できるようにしても良い。
(C−4)上述した各実施形態において、入出金装置は取引メニューが多く、メニュー画面が複数画面に分かれる。しかし、オペレータによる操作性を考慮し、IDカード毎に登録されている権限毎に、頻度の高いメニューキーが最初の画面になるよう、メニュー画面を切り替えるようにしても良い。
(C−5)上述した各実施形態において、操作表示部に表示する表示画面は、特定の取引しか使用しない権限の場合、必要なキーのみ拡大表示して視認性や操作性をよくするようにしても良い。
(C−6)上述した各実施形態において、セキュリティを考慮し、電源OFF中に装置扉が開けられた場合は不正な操作があったことをポップアップ画面やブザーで警告するようにしても良い。