JP2015142929A - 溶接金属の外観に優れる隅肉溶接方法と隅肉溶接設備 - Google Patents

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【課題】ガスシールド溶接において、シールドガスの吹出し口に付着した集積スパッタが落下しても、溶接金属の外観に悪影響を与えない手法を見いだす。
【解決手段】水平隅肉溶接方法において、溶接トーチと下側鋼板の間に、シールドガスの吹出し口を配置して溶接を行うことを特徴とする溶接金属の外観に優れる水平隅肉溶接方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、ガスシールドアーク溶接を使用した水平隅肉溶接に関するもので、良好な溶接金属外観を確保することができる隅肉溶接方法及び隅肉溶接設備に関するものである。
水平隅肉溶接は、造船、橋梁、建築等の分野で多く使用されている。水平隅肉溶接では、近年、溶接速度の高速化や大脚長溶接が強く要求されており、溶接施工時には高電流を用いる場合が増えてきている。
高電流を使用した溶接で問題となるのは、スパッタの発生量の増加である。スパッタは、溶接ワイヤと同心円状に配置したシールドガスの吹出し口に付着して集積するが(以下、これを集積スパッタと称する場合がある)、集積スパッタが溶接中に剥がれ落ちると、溶融池を直撃するので、溶接の安定性が著しく損なわれ、溶接金属が外観不良となる場合がある。
スパッタの発生量を抑制する技術としては、例えば、特許文献1に、フラックス入りワイヤを電極ワイヤとしてパルスアーク溶接を行なう高電流密度ガスシールドアーク溶接方法が開示されている。しかし、パルスアーク電源は、通常の溶接電源に比べて高価であり、造船、橋梁、建築等の分野には広くは普及していない。この方法でスパッタを低減することは、経済性の観点から実用的でない。
特許文献2には、二重ガスシールドアーク溶接方法によるスパッタ低減方法が開示されている。また、特許文献3には、ワイヤ中の各種成分を最適化することでスパッタ発生量を軽減する溶接ワイヤが開示されている。しかし、特許文献2のスパッタ低減方法を用いても、また、特許文献3の溶接ワイヤを使用しても、スパッタの発生を無くすることは困難である。
したがって、従来のガスシールドアーク溶接においては、シールドガスの吹出し口に付着した集積スパッタが脱落して溶融池上に落下し、溶接金属の外観に悪影響を与えることを根本的に解決するには至っていない。
従来の知見を総括すると、シールドガスの吹出し口に付着した集積スパッタが脱落することによって生じる溶接金属の外観不良を根本的に解決できるガスシールドアーク溶接は、これまで開示されていない。
集積スパッタが溶融池上に落下して溶接金属の外観が損なわれると、溶接作業を中断し、外観が損なわれた部位の溶接金属(溶接ビード)を除去してから溶接を再開する工程を組まざるを得ない。例えば、150mの長さをガスシールドアークで隅肉溶接すると、2回程度、スパッタの脱落によって溶接作業が中断するのが現状である。したがって、溶接金属の外観に優れる溶接方法を開発することが望まれていた。
特開平2011―218437号公報 特開平2013―202677号公報 特開平2010―194595号公報
本発明は、シールドガスの吹出し口に付着した集積スパッタが脱落することによって生じる、溶接金属の外観不良を根本的に解決できるガスシールドアーク溶接が開示されていない現状に鑑み、ガスシールド溶接において、シールドガスの吹出し口に付着した集積スパッタが落下しても溶接金属に悪影響を与えない手法を見いだすことを課題とし、該課題を解決する手法を具体化して、溶接金属の外観に優れた隅肉溶接方法と隅肉溶接設備を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意検討した。現在のガスシールドアーク溶接においては、溶接時に発生するスパッタの量を低減することはできても、スパッタ発生量をゼロにすることは不可能である。それ故、シールドガスの吹出し口が溶融池の上方に位置する限り、集積スパッタが脱落して溶融地に落下する危険性を解消することはできない。
そこで、本発明者らは、上記のことを踏まえ、シールドガスの吹出し口を、溶接トーチの下に位置するように配置すれば、シールドガスの吹出し口に付着した集積スパッタが脱落しても溶融地に落下せず、溶接金属の外観には全く影響を及ぼさないと発想した。
本発明は、上記発想のもとになされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)水平隅肉溶接方法において、溶接トーチと下側鋼板の間に、シールドガスの吹出し口を配置して溶接を行うことを特徴とする溶接金属外観に優れる水平隅肉溶接方法。
(2)前記シールドガスの吹出し口の内部に、開口率が10%以上90%以下の整流材が配置されていることを特徴とする前記(1)に記載の溶接金属外観に優れる水平隅肉溶接方法。
(3)前記溶接トーチ及び/又はシールドガスの吹出し口が水冷されていることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の溶接金属外観に優れる水平隅肉溶接方法。
(4)水平隅肉溶接設備において、溶接トーチと下側鋼板の間にシールドガスの吹出し口が配置されていることを特徴とする溶接金属外観に優れる水平隅肉溶接設備。
(5)前記シールドガスの吹出し口の内部に、開口率が10%以上90%以下の整流材が配置されていることを特徴とする前記(4)に記載の溶接金属外観に優れる水平隅肉溶接設備。
(6)前記溶接トーチ及び/又はシールドガスの吹出し口が水冷されていることを特徴とする前記(4)又は(5)に記載の溶接金属外観に優れる水平隅肉溶接設備。
本発明によれば、ガスシールドアーク溶接時に発生し、シールドガスの吹出し口に付着した集積スパッタが、上記吹出し口から脱落しても、溶融池に落下しないので、溶接金属の外観不良が発生しない。
従来設備におけるシールドガスの吹出し口の配置を示す図である。 従来設備におけるスパッタの付着と脱落の態様を示す図である。 本発明におけるシールドガスの吹出し口の配置を示す図である。 本発明におけるスパッタの付着と脱落の態様を示す図である。 本発明において整流材を配置しないシールドガスの吹出し口とシールドガスの流れの一態様を示す図である。 吹出し口に整流材を配置したシールドガスの吹出し口とシールドガスの流れの一態様を示す図である。 シールドガスの吹出し口の断面を示す図である。 シールドガスの吹出し口の側面を示す図である。 鋼板の寸法を示す図である。 溶接トーチと吹出し口の配置の断面を示す図である。 溶接トーチと吹出し口の配置の側面を示す図である。 比較例で用いた溶接トーチと吹出し口の配置の断面を示す図である。 比較例で用いた溶接トーチと吹出し口の配置の側面を示す図である。
本発明で開示する溶接金属の外観に優れる水平隅肉溶接方法(以下「本発明溶接方法」ということがある。)は、水平隅肉溶接方法において、溶接トーチと下側鋼板の間に、シールドガスの吹出し口を配置して溶接を行うことを特徴とする。
本発明に開示する溶接金属の外観に優れる水平隅肉溶接設備(以下「本発明溶接設備」ということがある。)は、水平隅肉溶接設備において、溶接トーチと下側鋼板の間にシールドガスの吹出し口が配置されていることを特徴とする。
以下、本発明について図面に基づいて説明する。
図1に、従来設備におけるシールドガスの吹出し口の配置を示す。下側鋼板1aの上に上側鋼板1bを立て、下側鋼板1aと上側鋼板1bが形成する隅角部に、溶接トーチ2から溶接ワイヤ3を送り出し、溶接トーチ2と同心円状に配置した吹出しノズル4の吹出し口5からシールドガスを吹き出して溶融池を蔽い、一体の溶接トーチ2と吹出しノズル4を溶接方向に移動させて溶接金属6を形成する。
このとき、発生したスパッタが、シールドガスの吹出し口5の内面に付着する。図2に、従来設備におけるスパッタの付着と脱落の態様を示す。図2に示すように、吹出しノズル4の吹出し口5の内面にスパッタが付着して集積し、集積スパッタ7が形成される。
集積スパッタ7に何らかの力が作用して、集積スパッタ7が、吹出し口5から脱落して溶融池6aに落下する。集積スパッタ7は、吹出し口5の内側にリング状に付着し、リング状のまま、又は、その一部分として落下する。この落下で、溶接金属の外観が不良となる。
本発明者らは、集積スパッタの生成、脱落は避けられないにしても、溶融池への落下を回避する手法を鋭意検討した。その結果、シールドガスの吹出し口を溶融池の上方とは異なる位置に配置することとした。
図3に、本発明におけるシールドガスの吹出し口の配置を示す。図3に示すように、吹出しノズル4の吹出し口5は、溶接トーチ2と下側鋼板1aの間に配置されている。吹出し口5は、溶融池の上方に位置していないので、吹出し口5から集積スパッタが脱落しても、溶融池に落下しない。
溶接トーチ2及び吹出し口5は、長時間、高温に曝されるので、水冷装置(図示なし)を備えている。
図4に、本発明におけるスパッタの付着と脱落の態様を示す。図4に示すように、シールドガスの吹出し口5が、溶接トーチ2と下側鋼板1aの間に配置されていると、集積スパッタ7が脱落しても、下側鋼板1aの上面に落下するだけであるので、溶接に何ら悪影響を及ぼさない。このため、隅肉溶接を安定して継続することができる。
本発明者らは、シールドガスの吹出し口を、溶接トーチと下側鋼板の間に配置しても、吹出し口から吹き出されるシールドガスは、流れが上側鋼板1bに遮られ、下側鋼板と上側鋼板が形成する隅角部に滞留して溶融池及び溶接金属を蔽うことを確認した。したがって、シールドガスの吹出し口を、溶接トーチと下側鋼板の間に配置することは、溶融池及び溶接金属を蔽う点で問題はない。
シールドガスの吹出し口の形状は、溶融地の幅や、溶接トーチの本数、溶接トーチの先端と下側鋼板の間隔を考慮して、適宜設計すればよい。なお、シールドガスの吹出し口の先端は、できるだけ、上側鋼板に近い方がよい。
ここで、図5及び図6に、シールドガスの吹出し口とシールドガスの流れの一態様を示す。図5に、シールドガスの吹出し口とシールドガスの流れの一態様を示す。吹出しノズルに流れ込んだシールドガスの流れ5aは、吹出し口5で左右に(溶接方向に)広がり、吹出し口5から、流速分布が山形状をなす流れ5bとなって吹き出ることになる。
この場合、吹出し口5の両端に位置する溶融地では、シールドが不安定となり、溶接金属の窒素量が増加することで溶接金属にピットやブローホールのような溶接欠陥が生成し易くなる。
図6に、吹出し口に整流材を配置したシールドガスの吹出し口とシールドガスの流れの一態様を示す。図5に示す吹出し口5と異なり、吹出し口に整流材8が配置されている。シールドガスの流れ5aは、吹出し口5で左右に広がるが、整流材8の存在で、流速分布が均一な流れ5cとなって、吹出し口5から吹き出ることになる。
この場合、シールドガスの流速は平準化されて、溶接方向に均一なシールドガスの流速が得られるので、溶接金属の窒素量は十分に低く抑制され、ピットやブローホールのような溶接欠陥は発生しない。
水平隅肉溶接の場合、電極が2〜4本の多電極溶接の場合が多く、形成される溶融池は、溶接方向に伸長した形状となるので、この溶融池全体を完全に覆うようにシールドガスを供給するためには、シールドガスの吹出し口も、必然的に、溶接方向に伸長した形状となる。それ故、吹出し口の全幅において、流速分布が均一なシールドガスの流れを形成する必要があるので、吹出し口に整流材を配置するのが好ましい。
なお、シールドガスは、溶融池を完全に蔽うように吹き出せば、溶接欠陥の発生を抑制することができるので、この限りで、吹出し口に、シールドガスの流れを整流化する整流材を配置してもよいし、配置しなくてもよい。
水平隅肉溶接の場合、鋼板のルート部分を未溶着のままにする場合も多く、溶接金属中にある程度のピットやブローホールが存在しても、構造上問題とならない場合がある。この場合、吹出し口に整流材を配置することは必ずしも必要でないが、配置する方がより好ましい。
整流材には、例えば、パンチメタルを用いることができるが、これ以外にも、均一な孔が開口していて整流機能を発現するものであれば適宜使用できる。なお、整流材は、ステンレス、低合金鋼、銅等の金属やセラミックスなどの耐熱性を有する材料が好ましい。
シールドガスの吹出し口に整流材を配置する場合、整流材の開口率は10%から90%とすることが必要である。開口率が10%未満であると、開口部の面積が少なすぎて十分なガス量を供給することができない。
一方、開口率が90%を超えると、開口部面積が広すぎて整流材の強度が弱くなり、溶接中の振動や輻射熱で損傷し、シールドガスの供給を不安定にする危険性が高まる。このため、整流材の開口率は10%以上90%以下とする。なお、開口率とは、整流材において、単位面積当たりで貫通している孔の合計面積の割合である。
整流材において、孔の一つ当たりの面積は0.5mm2以上300mm2であることが好ましい。孔の一つ当たりの面積が0.5mm2より少ないと、スパッタや粉塵等で孔が塞がって目詰まりして、シールドガスの供給に支障がでる場合がある。一方、孔の一つ当たりの面積が300mm2を超えると、孔が大きすぎてガス流が乱れ、シールド性を高める効果が発現し難くなる。
次にシールドガスの吹出し口の先端の形状について説明する。
図7に、シールドガスの吹出し口の断面を示す。図8に、シールドガスの吹出し口の側面を示す。図7において、溶接線の断面におけるシールドガスの吹出し口5の先端の大きさAは、5mm≦A≦40mmが好ましい。
シールドガスの吹き出し口7は、溶接トーチ2と下側鋼板1aに接触しない範囲で、極力、上側鋼板1bに近づけて配置するのが好ましい。具体的には、図7において、上側鋼板1bと吹出し口5の先端の間隔Bは、B≦100mmが好ましく、B≦50mmがより好ましい。
図8において、溶接方向におけるシールドガスの吹出し口5の大きさは、第1溶接トーチ2aの溶接ワイヤ3の先端と吹出し口の前端面(溶接方向を前とした)の間隔Cと、最終溶接トーチ2bの溶接ワイヤ3の先端と吹出し口の後端面の間隔Dで設定することが好ましく、具体的には、3mm≦C≦50mm、5mm≦D≦100mmが好ましい。
本発明溶接方法及び本発明溶接設備は、1電極の隅肉溶接でも、多電極の隅肉溶接でも問題なく適用することが可能である。例えば、2電極の隅肉溶接の場合、特許3124439号公報を参考にして溶接条件を設定すればよい。3電極溶接の場は、特許第3423467号公報、4電極溶接の場合は、特開平09−314334号公報等を参考にして溶接条件を設定すればよい。
シールドガスの流量は、使用する電極数の数に応じて、適宜設定するが、使用する電極数をNとした場合、15N(リットル/分)以上100N(リットル/分)以下が好ましい。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
JISで定めるSM490の9mm厚鋼板を用い、図9に示す寸法で水平隅肉溶接を行った。溶接は2電極溶接で実施した。図10と図11に、発明例で用いた溶接トーチと吹出し口の配置を示す。
図10に示すように、溶接トーチ2を上側鋼板1bから45°の位置に配置し、シールドガスの吹出し口5を、溶接トーチ2と下側鋼板1aの間で、できるだけ上側鋼板1bに近い位置に配置した。また、図11に示すように、2本の溶接トーチ2を、溶接線から80°傾け、かつ、溶接ワイヤの間隔が35mmとなるよう配置した。
図12と図13に、比較例で用いた溶接トーチと吹出し口の配置を示す。
図12に示すように、溶接トーチ2を上側鋼板1bから45°の位置に配置し、シールドガスの吹出し口5を、溶接トーチ2と同心円状に配置した。また、図13に示すように、2本の溶接トーチ2を、溶接線から80°傾け、かつ、溶接ワイヤの間隔が35mmとなるよう配置した。
表1に、シールドガスの吹出し口の配置条件を示す。表2に、溶接条件を示す。溶接長は3mとして隅肉溶接を行い、これを50回繰り返して集積スパッタの脱落の有無を調べた。また、整流材の有無についても、同様の繰返し数で、集積スパッタの脱落の有無を調べた。整流材は厚さ1mmのSUS304ステンレス製パンチメタル板を用いた。
Figure 2015142929
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表3に、試験項目と判定基準を示し、表4に実施結果を示す。
Figure 2015142929
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表4に示す実施番号1と2は、シールドガスの吹出し口の配置の違いによる効果の差異を検証するものである。
シールドガスの吹出し口を溶接トーチと下側鋼板の間に配置した実施番号1(発明例)では、集積スパッタの脱落が生じても、下側鋼板上に落下するだけであるので、溶接には何らの支障も生じず、脚長が揃った良好な外観の溶接金属を得ることができた。また、溶接金属の窒素量も合否基準を満足して合格であった。
一方、シールドガスの吹出し口を溶接トーチと同心円に配置した実施番号2(比較例)では、発明例と同一回数で集積スパッタが脱落したが、吹出し口が溶融池の直上に位置しているため、脱落した集積スパッタが溶融池を直撃してしまい、脚長が著しく乱れたため、溶接金属の外観が不良となり不合格となった。
表4に示す実施番号3〜12は、整流材の効果を検証したものである。吹出し口に整流材を配置した場合、その開口率が本発明の範囲にある実施番号3〜10(発明例)においては、溶接金属の窒素量が少なくて合格である。
一方、整流材の開口率が本発明の範囲の下限より少ない実施番号11(比較例)では、十分なシールドガスが供給されずシール不良が発生し、溶接金属の窒素量が合否判断基準を満たさないため不合格である。
また、整流材の開口率が本発明の範囲の上限を超える実施番号12(比較例)では、整流材が溶接中に損傷し、シールドガスの流れが不安定になってシールド不良が発生した。このため、溶接金属の窒素量が合否判断基準を満たさず不合格である。
表4に示す実施番号13〜15は溶接トーチ、シールドガス吹出し口の水冷効果を検証するものである。溶接トーチ、シールドガスの吹出し口の一方が水冷された実施番号13、14は溶接中の熱によるトーチ、吹出し口の損傷が少なく、水冷無しの場合より溶接が安定していたため、溶接金属の窒素量が減少し合格であった。
また、溶接トーチ、シールドガスの吹出し口の両方が水冷された実施番号15は、双方の効果が重畳して、尚一層溶接が安定し、溶接金属の窒素量は明瞭な改善効果が認められた。
前述したように、本発明によれば、ガスシールドアーク溶接時に発生し、シールドガスの吹出し口に付着した集積スパッタが、該吹出し口から脱落しても、溶融池に落下しないので、溶接金属の外観不良が発生しない。よって、本発明は、安定した水平隅肉溶接を継続することが可能なものであり、溶接構造物建造産業において利用可能性が高いものである。
1a 下側鋼板
1b 上側鋼板
2 溶接トーチ
2a 第1溶接トーチ
2b 第2溶接トーチ
3 溶接ワイヤ
4 吹出しノズル
5 吹出し口
5a、5b、5c シールドガスの流れ
6 溶接金属
6a 溶融池
7 集積スパッタ
8 整流材

Claims (6)

  1. 水平隅肉溶接方法において、溶接トーチと下側鋼板の間に、シールドガスの吹出し口を配置して溶接を行うことを特徴とする溶接金属外観に優れる水平隅肉溶接方法。
  2. 前記シールドガスの吹出し口の内部に、開口率が10%以上90%以下の整流材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の溶接金属外観に優れる水平隅肉溶接方法。
  3. 前記溶接トーチ及び/又はシールドガスの吹出し口が水冷されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接金属外観に優れる水平隅肉溶接方法。
  4. 水平隅肉溶接設備において、溶接トーチと下側鋼板の間にシールドガスの吹出し口が配置されていることを特徴とする溶接金属外観に優れる水平隅肉溶接設備。
  5. 前記シールドガスの吹出し口の内部に、開口率が10%以上90%以下の整流材が配置されていることを特徴とする請求項4に記載の溶接金属外観に優れる水平隅肉溶接設備。
  6. 前記溶接トーチ及び/又はシールドガスの吹出し口が水冷されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の溶接金属外観に優れる水平隅肉溶接設備。
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