JP2015141270A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーの製造方法 Download PDF

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【課題】本発明の課題は、加熱定着時に複写機から排出される臭気を低減することができる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することである。【解決手段】本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤からなる静電荷像現像用トナーの製造方法であって、少なくとも下記工程(A)〜工程(C)を有し、かつ下記工程(B)では、シクロデキストリン水溶液を添加し静電荷像現像用トナーを洗浄することを特徴とする。工程(A):少なくとも、結着樹脂、着色剤、離型剤からなる静電荷像現像用トナーを水系媒体中にて形成する工程工程(B):工程(A)で形成した静電荷像現像用トナーを洗浄する工程工程(C):工程(B)で洗浄した静電荷像現像用トナーを乾燥する工程【選択図】図1

Description

本発明は、静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。より詳しくは、加熱定着時に複写機から排出される臭気を低減する静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
定着時において静電荷現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)中に含まれる微量成分を大気中に放出し、使用者にとって不快臭をもたらす場合がある。更に近年、複写機やプリンターの小型化に伴い、オフィス等ではそれらを身近で使用する機会が益々多くなってきている。また、一般家庭で使用される機会も増し、結果として、トナーから発せられる臭気は、従来にも増して使用者に不快感を与えるケースが多くなっているという問題がある。
上記問題に対し、特許文献1では、ラテックス、着色剤分散液、ワックス分散液及びシクロデキストリン水溶液の混合物を凝集させてトナー粒子を形成するトナー製造方法を開示している。
特許文献1に開示された技術は、シクロデキストリン水溶液等の上記混合物を凝集させることで、シクロデキストリンに揮発性化合物(VOC)を吸着させて、VOCを低減させるものである。
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、トナー中にシクロデキストリンが残るものである。このためシクロデキストリンが臭気原因物質を包接したとしても、加熱定着時にトナー中に残存しているシクロデキストリンが臭気原因物質を徐放し、問題の本質的改善にはならない。
なお、シクロデキストリンを用いたトナーとして、特許文献2には、結着樹脂、着色剤、ワックス及びシクロデキストリンを含有するトナーが開示されている。
しかしながら、特許文献2に開示された技術は、トナー中にシクロデキストリンを含有させることで帯電制御剤として機能させ、低温定着性及び高温オフセット性良好にするものであり、上記問題を解決するものではない。
特表2012−514232号公報 特開2000−089512号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、加熱定着時に複写機から排出される臭気を低減することができる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、シクロデキストリン水溶液を添加し前記静電荷像現像用トナーを洗浄することで、シクロデキストリンにより臭気原因物質を包接し、さらに、当該シクロデキストリン水溶液を洗浄廃水としてそのままトナー外に除去できるため、加熱定着時に複写機から排出される臭気を低減できることを見いだし臭気原因物質を包接したシクロデキストリンを除去でき、この結果、加熱定着時に複写機から排出される臭気を低減することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤からなる静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
少なくとも下記工程(A)〜工程(C)を有し、かつ下記工程(B)では、シクロデキストリン水溶液を添加し前記静電荷像現像用トナーを洗浄することを特徴とするトナーの製造方法。
工程(A):少なくとも、前記結着樹脂、前記着色剤、前記離型剤からなる前記静電荷 像現像用トナーを水系媒体中にて形成する工程
工程(B):前記工程(A)で形成した前記静電荷像現像用トナーを洗浄する工程
工程(C):前記工程(B)で洗浄した前記静電荷像現像用トナーを乾燥する工程
2.前記シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンであることを特徴とする第1項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
3.前記シクロデキストリン水溶液中に含有される前記シクロデキストリンの総量が、前記結着樹脂に対し0.1〜10質量%の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
4.前記結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂又はポリエステル樹脂を含有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
5.前記工程(A)で使用する着色剤として、あらかじめ前記シクロデキストリン水溶液で洗浄した着色剤を用いることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
6.前記工程(B)において、酵素系消臭剤を添加することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明の上記手段により、加熱定着時に複写機から排出される臭気を低減することができる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明者らは、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)を洗浄する工程において、シクロデキストリン水溶液を用いてトナーを洗浄することで、シクロデキストリンにより臭気原因物質を包接し、さらに、当該シクロデキストリン水溶液を洗浄廃水としてそのままトナー外に除去できるため、加熱定着時に複写機から排出される臭気を低減できることを見いだした。
これは、シクロデキストリンには包接効果があり、疎水性物質をその構造内部に取り込む性質を有するためと考える。すなわち、静電荷像現像用トナーを洗浄する工程においてシクロデキストリン水溶液で洗浄することで、トナー中に含まれる疎水性の臭気原因物質(揮発性有機化合物)をシクロデキストリン内部に取り込み、かつ、トナー外に除去することで、複写機から排出される臭気を低減できると推察している。
(A)シクロデキストリンの化学構造を示す図 (B)シクロデキストリンの環状構造の内側が疎水性であり、外側が親水性であることを示す概念図 本発明のトナーを用いた画像形成方法において使用する定着装置の一例
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤からなる静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
少なくとも前記工程(A)〜工程(C)を有し、かつ前記工程(B)では、シクロデキストリン水溶液を添加し前記静電荷像現像用トナーを洗浄することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項6までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。これにより、本発明は、加熱定着時に複写機から排出される臭気を低減することができる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することができる。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンであることが好ましい。
さらに、本発明においては、シクロデキストリン水溶液中に含有されるシクロデキストリンの総量が、結着樹脂に対し0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。これにより、トナー中に存在する揮発性有機化合物量に対して、シクロデキストリンの量が不十分となるおそれを回避し、臭気低減効果を向上することができる。また、揮発性有機化合物を内包した状態のシクロデキストリンが洗い流されきれずにトナーに残存してしまう、というおそれを回避でき、ひいては、臭気低減効果を向上することができる。
さらに、本発明においては、結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂又はポリエステル樹脂を含有することが、溶融特性が低粘度で高いシャープメルト性を有するため好ましい。
また、本発明においては、工程(A)で使用する着色剤として、あらかじめシクロデキストリン水溶液で洗浄した着色剤を用いることが、加熱定着時に複写機から排出される臭気をより低減することができ、好ましい。
また、本発明においては、工程(B)において、酵素系消臭剤を添加することが、加熱定着時に複写機から排出される臭気をより低減することができ、好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
(本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法)
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤からなる静電荷像現像用トナーの製造方法であって、少なくとも下記工程(A)〜工程(C)を有し、かつ下記工程(B)では、シクロデキストリン水溶液を添加し前記静電荷像現像用トナーを洗浄することを特徴とする。
工程(A):少なくとも、前記結着樹脂、前記着色剤、前記離型剤からなる前記静電荷
像現像用トナーを水系媒体中にて形成する工程
工程(B):前記工程(A)で形成した前記静電荷像現像用トナーを洗浄する工程
工程(C):前記工程(B)で洗浄した前記静電荷像現像用トナーを乾燥する工程
ここで、本発明でいう水系媒体とは、水50〜100質量%と水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等を例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
本発明に係るトナーの製造方法の一例を以下に示す。
トナーの製造工程は、主に、以下に示す工程より構成されている。
1:結着樹脂粒子を得るための多段重合工程(I)
2:結着樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させてトナー粒子を得る塩析/融着工程(II)
3:トナー粒子の分散液系から当該トナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程
4:洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程、
5:乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程
から構成される。
なお、本実施形態において、上記工程1及び2は工程(A)に相当し、工程3は工程(B)に相当し、工程4は工程(C)に相当する。
以下、各工程について、さらに詳細に説明する。
(工程(A))
工程(A)は、少なくとも、結着樹脂、着色剤、離型剤からなる静電荷像現像用トナーを水系媒体中にて形成する工程である。形成方法は、特に限定されず従来公知の方法を適用できる。その一例を以下に説明する。
〔多段重合工程(I)〕
多段重合工程(I)は、多段重合法により、樹脂粒子の表面に、単量体の重合体からなる被覆層を形成することにより、結着樹脂(複合樹脂)粒子を製造する工程である。
本発明においては、製造の安定性及び得られるトナーの破砕強度の観点から三段重合以上の多段重合法を採用することが好ましい。
以下に、多段重合法の代表例である二段重合法及び三段重合法について説明する。
〈二段重合法〉
二段重合法は、離型剤を含有する高分子量樹脂から形成される中心部(核)と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される結着樹脂粒子を製造する方法である。すなわち、二段重合法で得られる結着樹脂粒子は、核と1層の被覆層より構成されるものである。
この方法を具体的に説明すると、まず、離型剤を単量体Lに溶解させて単量体溶液を調製し、この単量体溶液を水系媒体(例えば、界面活性剤水溶液)中に油滴分散させた後、この系を重合処理(第1段重合)することにより、離型剤を含む高分子量の樹脂粒子の分散液を調製するものである。
次いで、この樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体Lとを添加し、樹脂粒子の存在下で単量体Lに対し重合処理(第2段重合)を行うことにより、樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体Lの重合体)からなる被覆層を形成する方法である。
〈三段重合法〉
三段重合法は、高分子量樹脂から形成される中心部(核)、離型剤を含有する中間層及び低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される結着樹脂粒子を製造する方法である。すなわち、三段重合法で得られる結着樹脂粒子は、核と2層の被覆層から構成されるものである。
この方法を具体的に説明すると、まず、常法に従った重合処理(第1段重合)により得られた樹脂粒子の分散液を、水系媒体(例えば、界面活性剤の水溶液)に添加するとともに、上記水系媒体中に、離型剤を単量体Mに溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させた後、この系を重合処理(第2段重合)することにより、樹脂粒子(核粒子)の表面に、離型剤を含有する樹脂(単量体Mの重合体)からなる被覆層(中間層)を形成して、結着樹脂粒子(高分子量樹脂−中間分子量樹脂)の分散液を調製する。
次いで、得られた結着樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体Lとを添加し、結着樹脂粒子の存在下で単量体Lを重合処理(第3段重合)することにより、結着樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(単量体Lの重合体)からなる被覆層を形成する。上記方法において、第2段重合を組み入れることにより、離型剤を微細かつ均一に分散することができ好ましい。
離型剤を含有する樹脂粒子又は被覆層を形成するために好適な重合法としては、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、離型剤を単量体に溶解した単量体溶液を、機械的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、油滴内でラジカル重合させる方法(以下、本発明では「ミニエマルジョン法」という。)を挙げることができ、本発明の効果をより発揮することができ好ましい。なお、上記方法において、水溶性重合開始剤に代えて、あるいは水溶性重合開始剤とともに、油溶性重合開始剤を用いても良い。
機械的に油滴を形成するミニエマルジョン法によれば、通常の乳化重合法とは異なり、油相に溶解させた離型剤が脱離することがなく、形成される樹脂粒子又は被覆層内に十分な量の離型剤を導入することができる。
ここで、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、例えば、高速回転するローターを備えた撹拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリン及び圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmの範囲内とされ、好ましくは50〜1000nmの範囲内、更に好ましくは30〜300nmの範囲内である。
なお、離型剤を含有する樹脂粒子又は被覆層を形成するための他の重合法として、乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法などの公知の方法を採用することもできる。また、これらの重合法は、結着樹脂粒子を構成する樹脂粒子(核粒子)又は被覆層であって、離型剤及び結晶性ポリエステルを含有しないものを得るためにも採用することができる。
この重合工程(I)で得られる結着樹脂粒子の粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定される質量平均粒径で10〜1000nmの範囲内にあることが好ましい。
また、結着樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は48〜74℃の範囲内にあることが好ましく、更に好ましくは52〜64℃の範囲内である。
また、結着樹脂粒子の軟化点は95〜140℃の範囲内にあることが好ましい。
〔塩析/融着工程(II)〕
この塩析/融着工程(II)は、前記多段重合工程(I)によって得られた結着樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させる(塩析と融着とを同時に起こさせる)ことによって、トナー粒子を得る工程である。
本発明でいう塩析とは、水性媒体中に分散した状態にある結着樹脂粒子を塩の作用を利用して凝集させることをいう。また、融着とは、上記塩析によって凝集した樹脂粒子同士の粒子間界面を消失させることをいう。本発明の塩析/融着とは、塩析と融着の二つの工程が順次に起こること、又は順次に起こさせる行為をさす。塩析と融着とを同時に行わせるためには、結着樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下において粒子(結着樹脂粒子、着色剤粒子)を凝集させる必要がある。
この塩析/融着工程(II)では、結着樹脂粒子及び着色剤粒子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子(数平均一次粒子径が10〜1000nmの範囲内程度の微粒子)を塩析/融着させてもよい。また、着色剤粒子は、表面改質されていてもよく、表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができる。
着色剤粒子は、水性媒体中に分散された状態で塩析/融着処理が施される。着色剤粒子が分散される水性媒体は、臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で界面活性剤が溶解されている水溶液が好ましい。
着色剤粒子の分散処理に使用する分散機は、特に限定されないが、好ましくは、高速回転するローターを備えた撹拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、ゲッツマンミル、ダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
結着樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させるためには、結着樹脂粒子及び着色剤粒子が分散している分散液中に、臨界凝集濃度以上の塩析剤(凝集剤)を添加するとともに、この分散液を、結着樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以上に加熱することが必要である。
塩析/融着させるために好適な温度範囲としては、(Tg+10)〜(Tg+50℃)の範囲内とされ、特に好ましくは(Tg+15)〜(Tg+40℃)の範囲内とされる。また、融着を効果的に行わせるために、水に無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。
(工程(B))
〔濾過・洗浄工程〕
この濾過・洗浄工程は、シクロデキストリン水溶液を添加し工程(A)で形成した静電荷像現像用トナーを洗浄する工程を含む。具体的には、上記の工程で得られたトナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物、いわゆる「ウェットケーキ」)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
なお、シクロデキストリン水溶液による洗浄方法は特に限定されず、例えば、シクロデキストリン水溶液に当該ウェットケーキを混ぜ、撹拌することで、トナー粒子の分散液を調製することで洗浄する方法でも良いし、当該ウェットケーキをシクロデキストリン水溶液によってかけ洗いする方法でもよい。
また、本実施形態において、洗浄工程では、シクロデキストリン溶液を添加したのち、水(例えば、イオン水など)でトナー粒子を洗浄することが好ましい。
なお、洗浄に用いられるシクロデキストリン溶液に含有されるシクロデキストリンの総量は、前記結着樹脂に対し0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
0.1質量%以上の場合、トナー中に存在する揮発性有機化合物量に対して不十分となるおそれを回避し、臭気低減効果が小さくなることを回避できる。
また、10質量%以下の場合、揮発性有機化合物を内包した状態のシクロデキストリンが洗い流されきれずにトナーに残存してしまう、というおそれを回避でき、ひいては、臭気低減効果が小さくなるおそれを回避できる。
なお、シクロデキストリン水溶液を添加する際の温度は35〜40℃の範囲内であることが好ましい。また、シクロデキストリン水溶液のpHは、上記温度範囲において2〜5であることが好ましい。
濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
また、洗浄工程においては、シクロデキストリン溶液のほか、酵素系消臭剤を添加してもよい。これにより、加熱定着時に複写機から排出される臭気をより低減することができ、好ましい。
(工程(C))
〔乾燥工程〕
この工程は、工程(B)で洗浄した前記静電荷像現像用トナーを乾燥する工程である。
この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
乾燥処理されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。
なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
本発明のトナーは、着色剤の不存在下において結着樹脂粒子を形成し、当該結着樹脂粒子の分散液に着色剤粒子の分散液を加え、当該結着樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させることにより調製されることが好ましい。
このように、結着樹脂粒子の調製を着色剤の存在しない系で行うことにより、結着樹脂粒子を得るための重合反応が阻害されることない。このため、本発明のトナーによれば、優れた耐オフセット性が損なわれることはなく、トナーの蓄積による定着装置の汚染や画像汚れを発生させることはない。
また、結着樹脂粒子を得るための重合反応が確実に行われる結果、得られるトナー粒子中に単量体やオリゴマーが残留するようなことはなく、当該トナーを使用する画像形成方法の熱定着工程において、異臭を発生させることはない。
さらに、得られるトナー粒子の表面特性は均質であり、帯電量分布もシャープとなるため、鮮鋭性に優れた画像を長期にわたり形成することができる。このようなトナー粒子間における組成・分子量・表面特性が均質であるトナーによれば、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法において、画像支持体に対する良好な接着性(高い定着強度)を維持しながら、耐オフセット性及び巻き付き防止特性の向上を図ることができ、適度の光沢を有する画像を得ることができる。
次に、トナー製造工程で用いられる各構成因子について、詳細に説明する。
(シクロデキストリン)
本発明の工程(B)では、シクロデキストリン水溶液を添加し前記静電荷像現像用トナーを洗浄することを特徴とする。
当該シクロデキストリンとしては、シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンが挙げられる。また、本発明のシクロデキストリン水溶液に含有されるシクロデキストリンは、1種類のシクロデキストリンのみでもよいし、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリン等の複数種類のシクロデキストリンであってもよい。
本発明では、特に、シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンであることが好ましい。
なお、グルコースが6、7、8個と環状に結合したものが、それぞれα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンと呼ばれている(以下に構造を示す)。
図1(A)は、本実施形態に係るシクロデキストリンの一例を示す化学構造式であり、図1(B)は、シクロデキストリンの環状構造の内側が疎水性であり、外側が親水性であることを示す概念図である。
図1(A)及び(B)に示すようにシクロデキストリン1は環状(バケツのような円錐台形状)構造を有しており、外部は親水性、内部は疎水性を示す物質である。シクロデキストリンは環状構造である疎水性空洞2内に色々な有機分子を包み込むように取り込む(包接する)ことができる。
包接効果を有するシクロデキストリンを水に溶解した水溶液を、トナー製造方法における洗浄工程に使用することで、トナー中に含まれる揮発性有機化合物をシクロデキストリン内部に取り込み、トナー外に除去することが可能である。
実施形態に係るシクロデキストリンは、従来公知の方法で合成されたものであってよく、また、市販されているものであってもよい。市販のものとしては、例えば、α−シクロデキストリンとしてセルデックスA−100(日本食品化工(株)製)、β−シクロデキストリンとしてセルデックスB−100(日本食品化工(株)製)、γ−シクロデキストリンセルデックスG−100(日本食品化工(株)製)が挙げられる。
(酵素系消臭剤)
本実施形態では、重合性単量体を水系媒体中で重合せしめ、少なくとも樹脂と着色剤を含有するトナー粒子を水系媒体から分離する以前に、酵素を含有する消臭剤を、該トナー粒子表面に吸着させる表面処理を施すことが特徴である。
生体酸化酵素、とりわけ、ある種の金属含有酵素類のなかに、アンモニア、アミン、硫化水素、メルカプタン類、インドール、カルボニル化合物等を酸化分解する機能を持つものが多い。すなわち、臭気分子の多くは移動性水素を有するため、これを脱水素酸化し、ダイマー化、水溶性化及び不揮発化させることにより消臭が可能となる。
消臭効果を有する酵素の具体例としては、タカラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、パパイン、キモパパイン、ペプシン等の酵素を挙げることができる。タカラーゼ酵素は、ヘマトポルフィリンを含み、アポタンパク質と結合し、鉄が3価スピンの電子状態で、タンパク質のヒスチジンイミダゾール窒素が第5配位座に配位している。また、市販の酵素系消臭剤としては、バイオC(コンソルコーポレーション製)、バイオダッシュP−500(ダイソー社製)が好ましく用いられる。
(結着樹脂)
トナー粒子を構成する結着樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
このような結着樹脂としては、一般にトナーを構成する結着樹脂として用いられているものを特に制限なく用いることができ、具体的には、例えば、スチレン系樹脂やアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、スチレンアクリル系共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、オレフィン系樹脂、アミド樹脂及びエポキシ樹脂などが挙げられる。
このなかでも、溶融特性が低粘度で高いシャープメルト性を有するスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系共重合体樹脂及びポリエステル樹脂が好適に挙げられる。主要樹脂として、スチレンアクリル系共重合体樹脂を50%以上用いることが好ましい。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(ポリエステル樹脂)
本発明に係るポリエステル樹脂は、多価カルボン酸モノマー(誘導体)及び多価アルコールモノマー(誘導体)を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって製造されたものである。
多価カルボン酸モノマー誘導体としては、多価カルボン酸モノマーのアルキルエステル、酸無水物及び酸塩化物を用いることができ、多価アルコールモノマー誘導体としては、多価アルコールモノマーのエステル及びヒドロキシカルボン酸を用いることができる。多価カルボン酸モノマーとしては、例えばシュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p′−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸などの2価のカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸及びピレンテトラカルボン酸などの3価以上のカルボン酸などを挙げることができる。多価カルボン酸モノマーとしては、フマル酸、マレイン酸及びメサコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましく、特に、上記一般式(A)で表される不飽和脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましい。また、本発明においては無水マレイン酸などのジカルボン酸の無水物を用いることもできる。
多価アルコールモノマーとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物及びビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの2価のアルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン及びテトラエチロールベンゾグアナミンなどの3価以上のポリオールなどを挙げることができる。
(その他の樹脂)
その他は特に限定されるものではなく、公知の結晶性樹脂や非晶性樹脂を併用することもできる。トナーの機械的強度や、ワックスとの親和性の観点から、スチレン−アクリル樹脂を用いることが好ましい。
スチレン−アクリル系樹脂に用いられる重合性モノマーとしては、芳香族系ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸エステル系モノマーであり、ラジカル重合を行うことができるエチレン性不飽和結合を有するものが好ましい。例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン及び3,4−ジクロロスチレンなど及びその誘導体が挙げられる。これらの芳香族系ビニルモノマーは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、n−ブチルアクリレート(アクリル酸ブチル)、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル及びメタクリル酸ジエチルアミノエチルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記のなかでもスチレン系モノマーとアクリル酸エステル系モノマー又はメタクリル酸エステル系モノマーとを組み合わせて使用することが好ましい。
重合性モノマーとしては、第三のビニル系モノマーを使用することもできる。第三のビニル系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、ビニル酢酸等の酸モノマー及びアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブチレン塩化ビニル、N−ビニルピロリドン及びブタジエン等が挙げられる。重合性モノマーとしては、さらに多官能ビニルモノマーを使用してもよい。多官能ビニルモノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のジアクリレート、ジビニルベンゼン、ペンタエリスリトール及びトリメチロールプロパン等の三級以上のアルコールのジメタクリレート及びトリメタクリレート等が挙げられる。
本発明に係るトナー粒子は結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有し、その他にスチレン−アクリル樹脂を含有することが好ましい。シェル層にポリエステル樹脂を含有しコア粒子にスチレン−アクリル樹脂を含有するコア・シェル構造のトナー粒子を乳化凝集法で作製する場合、ポリエステル樹脂は、スチレン−アクリル重合セグメントとポリエステル樹脂セグメントが結合した複合樹脂(「スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂」ともいう。)であることが好ましい。ポリエステル樹脂が、スチレン−アクリル重合セグメントとポリエステル重合セグメントが結合した複合樹脂であるとシェルを構成するポリエステル樹脂とコアを構成するスチレン−アクリル樹脂との親和性が高まり表面が平滑で均一かつ薄層のシェル層を形成することができるので好ましい。
また、ポリエステル樹脂をドメインとし、スチレン−アクリル樹脂をマトリクスとするドメイン・マトリクス構造のトナー粒子を乳化凝集法で作製する場合も同様にポリエステル樹脂が、スチレン−アクリル重合セグメントとポリエステル重合セグメントとが結合した複合樹脂であるとマトリクス中にドメインが均一に分散したドメイン・マトリクス構造を有するトナー粒子とすることができるので好ましい。
スチレン−アクリル重合セグメントとポリエステル重合セグメントとが結合した複合樹脂において、スチレン−アクリル重合セグメントの割合は、複合樹脂中5〜30質量%の範囲内であることが好ましい。この範囲内であるとコア粒子若しくはマトリクスを構成するスチレン−アクリル樹脂と複合樹脂との親和性が良好に保たれるので好ましい。
(重合開始剤)
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は、水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)などのほか、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパーオキシド化合物等が挙げられる。更に、上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とすることが可能である。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇し、重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が達成でき好ましい。
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。ただし、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いることで、室温又はそれ以上の温度で重合することも可能である。
(連鎖移動剤:メルカプト基を有する化合物)
分子量を調整することを目的として、公知の連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、特にはメルカプト基を有する化合物は、分子量分布がシャープであるトナーが得られ、保存性、定着強度、耐オフセット性に優れるため好ましく用いられる。例えば、n−オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基を有する化合物を挙げることができ、好ましいものとしては、例えば、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t−ブチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのチオグリコール酸エステル、ネオペンチルグリコールのチオグリコール酸エステル、ペンタエリスリトールのチオグリコール酸エステル等を挙げることができる。このうち、トナー加熱定着時の臭気を抑制する観点で、n−オクチルメルカプタンが、特に好ましい。
(界面活性剤)
前述の重合性単量体を使用して、特にミニエマルジョン重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行うことが好ましい。この際に使用することのできる界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン及び2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム及びオクチル硫酸ナトリウム等)及び脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム及びオレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
本発明において、これら界面活性剤は、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程又は他の目的で使用してもよい。
(結着樹脂粒子、トナーの分子量分布)
本発明のトナーは、ピーク又は肩が100000〜1000000の範囲内及び1000〜50000の範囲内に存在することが好ましく、さらにピーク又は肩が100000〜1000000、25000〜150000及び1000〜50000の範囲内に存在することがさらに好ましい。
結着樹脂粒子の分子量は、100000〜1000000の範囲内の領域にピーク若しくは肩を有する高分子量成分と、1000から50000未満の領域にピーク若しくは肩を有する低分子量成分の両成分を少なくとも含有する結着樹脂が好ましい。さらに好ましくは、ピーク分子量で15000〜100000の範囲内の部分にピーク又は肩を有する中間分子量体の結着樹脂を使用することが好ましい。
トナーあるいは結着樹脂の分子量測定方法は、THF(テトラヒドロフラン)を溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定がよい。すなわち、測定試料0.5〜5mgの範囲内、より具体的には1mgに対してTHFを1.0ml加え、室温にてマグネチックスターラーなどを用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。次いで、ポアサイズ0.45〜0.50μmの範囲内のメンブランフィルターで処理した後に、GPCへ注入する。GPCの測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1.0mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSKguard columnの組合せなどを挙げることができる。また、検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)、あるいはUV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
(凝集剤)
本発明で用いられる凝集剤は、金属塩のなかから選択されるものが好ましい。
金属塩としては、一価の金属、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属、例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩、マンガン、銅等の二価の金属塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属塩等が挙げられる。
これら金属塩の具体的な例を以下に示す。一価の金属の金属塩の具体例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、二価の金属の金属塩として塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられる。三価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等が挙げられる。これらは、目的に応じて適宜選択される。一般的には一価の金属塩より二価の金属塩のほうが臨界凝集濃度(凝析値あるいは凝析点)が小さく、更に三価の金属塩の臨界凝集濃度は小さい。
本発明でいう臨界凝集濃度とは、水性分散液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝集が起こる点の濃度を示している。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著高分子化学17601(1960)等に記述されており、これらの記載に従えば、その値を知ることができる。また、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とすることも可能である。
本発明では、金属塩を用いて臨界凝集濃度以上の濃度になるように重合体微粒子分散液を処理する。この時、当然のことながら、金属塩を直接加えるか、水溶液として加えるかは、その目的に応じて任意に選択される。水溶液として加える場合には、重合体粒子分散液の容量と金属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属塩が重合体粒子の臨界凝集濃度以上になる必要がある。
本発明における凝集剤たる金属塩の濃度は、臨界凝集濃度以上であれば良いが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上添加される。
(着色剤)
本発明のトナーは、上記の結着樹脂粒子と、着色剤粒子とを塩析/融着して得られる。
本発明のトナーを構成する着色剤(結着樹脂粒子との塩析/融着に供される着色剤粒子)としては、各種の無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
これらの無機顔料は所望に応じて単独又は複数を選択併用することが可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%の範囲内であり、好ましくは3〜15質量%の範囲内が選択される。
磁性トナーとして使用する際には、前述のマグネタイトを添加することができる。この場合には所定の磁気特性を付与する観点から、トナー中に20〜60質量%の範囲内添加することが好ましい。
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
マゼンタ又はレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド222、ピグメントレッド269等が挙げられる。
オレンジ又はイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
グリーン又はシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
これらの有機顔料及び染料は、所望に応じて、単独又は複数を選択併用することが可能である。また、顔料の添加量は、重合体に対して2〜20質量%の範囲内であり、好ましくは3〜15質量%の範囲内が選択される。
本発明のトナーを構成する着色剤(着色剤粒子)は、表面改質されていてもよい。表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を好ましく用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン及びヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン及びγ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。チタンカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクト」と称する商品名で市販されているTTS、9S、38S、41B、46B、55、138S及び238S等並びに日本曹達社製の市販品A−1、B−1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TOG、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TOA−30、TSDMA、TTAB及びTTOP等が挙げられる。アルミニウムカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクトAL−M」等が挙げられる。
これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に対して0.01〜20質量%の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5質量%の範囲内とされる。
着色剤粒子の表面改質法としては、着色剤粒子の分散液中に表面改質剤を添加し、この系を加熱して反応させる方法を挙げることができる。
表面改質された着色剤粒子は、濾過により採取され、同一の溶媒による洗浄処理と濾過処理が繰り返された後、乾燥処理される。
なお、着色剤は、あらかじめシクロデキストリン水溶液で洗浄してあるものを用いても良い。これにより、加熱定着時に複写機から排出される臭気をより低減することができ、好ましい。
(離型剤)
本発明に使用されるトナーは、離型剤を内包した樹脂粒子を水系媒体中において融着させたトナーであることが好ましい。この様に樹脂粒子中に離型剤を内包させた樹脂粒子を着色剤粒子と水系媒体中で塩析/融着させることで、微細に離型剤が分散されたトナーを得ることができる。
本発明のトナーでは、離型剤として、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量=1500〜9000の範囲内)や低分子量ポリエチレン等が好ましく、特に好ましくは、下記式で表されるエステル系化合物である。
−(OCO−R)n
式中、nは1〜4の範囲内の整数、好ましくは2〜4の範囲内、さらに好ましくは3又は4、特に好ましくは4である。R、Rは、各々置換基を有しても良い炭化水素基を示す。Rは、炭素数1〜40の範囲内、好ましくは1〜20の範囲内、さらに好ましくは2〜5の範囲内がよい。Rは、炭素数1〜40の範囲内、好ましくは16〜30の範囲内、さらに好ましくは18〜26の範囲内がよい。
次に代表的な化合物の例を以下に示す。
上記化合物の添加量は、トナー全体に対し1〜30質量%の範囲内、好ましくは2〜20質量%の範囲内、さらに好ましくは3〜15質量%の範囲内である。
本発明のトナーでは、ミニエマルジョン重合法により樹脂粒子中に上記離型剤を内包させ、トナー粒子とともに塩析、融着させて調製することが好ましい。
(荷電制御剤)
トナーは、着色剤、離型剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料を添加することができる。具体的には、荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は前述の塩析/融着段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
荷電制御剤は、種々の公知のもので、かつ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
本発明のトナー粒子中には、結着樹脂及び着色剤の他に、必要に応じてワックスや、荷電制御剤、磁性粉などの内添剤が含有されていてもよく、このような内添剤は、例えば、この多段重合工程において、あらかじめ、結着樹脂を形成するためのモノマー溶液に溶解又は分散させておくことによってトナー粒子中に導入することができる。
また、このような内添剤は、別途内添剤のみよりなる内添剤微粒子の分散液を調製し、コア粒子形成工程において樹脂微粒子及び着色剤微粒子とともに当該内添剤微粒子を凝集させることにより、トナー粒子中に導入することもできるが、工程(A)においてあらかじめ導入しておく方法を採用することが好ましい。
〔ワックス〕
ワックスとしては、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス及びパラフィンワックスのような炭化水素系ワックス類並びにカルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル及びクエン酸ベヘニルなどのエステルワックス類などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ワックスとしては、トナーの低温定着性及び離型性を確実に得る観点から、その融点が50〜95℃の範囲内であるものを用いることが好ましい。
ワックスの含有割合は、結着樹脂全量に対して2〜20質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜18質量%の範囲内、さらに好ましくは4〜15質量%の範囲内である。
〔荷電制御剤〕
また、本発明に係るトナー粒子中に、荷電制御剤を含有させる場合は、荷電制御剤としては、公知の種々のものを使用することができる。
荷電制御剤としては、水系媒体中に分散することができる公知の種々の化合物を用いることができ、具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体などが挙げられる。
トナー粒子中に荷電制御剤を含有させる方法としては、上記に示したオフセット防止剤(ワックス)を含有させる方法と同様の方法を挙げることができる。
荷電制御剤の含有割合は、結着樹脂全量に対して0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲内とされる。
(外添剤)
本発明のトナーには、流動性の改良やクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されるものでは無く、シリカ、チタニア及びアルミナなどの無機酸化物微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
外添剤として使用できる無機微粒子としては、従来公知のものを挙げることができる。具体的には、シリカ微粒子、チタン微粒子及びアルミナ微粒子等を好ましく用いることができる。これら無機微粒子は疎水性であることが好ましい。
シリカ微粒子の具体例としては、日本アエロジル(株)製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト(株)製のHVK−2150、H−200、キャボット(株)製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5及びMS−5等が挙げられる。
チタン微粒子の具体例としては、例えば、日本アエロジル(株)製の市販品T−805及びT−604並びにテイカ(株)製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS及びJA−1並びに富士チタン(株)製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510及びTAF−510T並びに出光興産(株)製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB及びIT−OC等が挙げられる。
アルミナ微粒子の具体例としては、例えば、日本アエロジル(株)製の市販品RFY−C及びC−604並びに石原産業(株)製の市販品TTO−55等が挙げられる。
外添剤として使用できる有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nmの範囲内程度の球形の微粒子を挙げることができる。かかる有機微粒子の構成材料としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート及びスチレン−メチルメタクリレート共重合体などを挙げることができる。
外添剤として使用できる滑剤としては、高級脂肪酸の金属塩を挙げることができる。かかる高級脂肪酸の金属塩の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩;オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸銅及びオレイン酸マグネシウム等のオレイン酸金属塩;パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸マグネシウム及びパルミチン酸カルシウム等のパルミチン酸金属塩;リノール酸亜鉛及びリノール酸カルシウム等のリノール酸金属塩;リシノール酸亜鉛及びリシノール酸カルシウムなどのリシノール酸金属塩等が挙げられる。
外添剤の添加量としては、トナーに対して0.1〜5質量%の範囲内程度であることが好ましい。
〈外添剤の添加工程〉
この工程は、乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程である。
外添剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
〔トナー粒子の粒径〕
本発明のトナーを構成するトナー粒子の粒径は、例えば体積基準のメジアン径で3〜10μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは5〜8μmの範囲内とされる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
トナー粒子の体積基準のメジアン径は、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出される。
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加してなじませた後、超音波分散処理を1分間行い、トナー粒子の分散液を調製し、このトナー粒子の分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10%の範囲内になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径を体積基準のメジアン径とする。
〔トナー粒子の円形度〕
本発明のトナーを構成するトナー粒子は、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.930〜1.000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.950〜0.995の範囲内である。
トナー粒子の円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)によって測定される値である。
具体的には、市販の専用シース液に界面活性剤を溶解させたものに試料(トナー)を添加してなじませた後、超音波分散処理を1分間行って分散液を調製し、この分散液について、「FPIA−2100」を用い、測定条件をHPF(高倍率撮像)モードとし、HPF検出数3000〜10000個の範囲内の適正濃度にて測定を行う。ここで、この範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、この測定によって得られた測定値に基づいて下記式(T)で示される円形度を算出する。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
また、平均円形度は、上記の円形度の測定対象である各トナー粒子の円形度の平均値、すなわち各トナー粒子の円形度を足し合わせ、全トナー粒子数で割り算することによって算出される。
(現像剤)
本発明のトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよい。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、あるいはトナー中に0.1〜0.5μmの範囲内程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものがあげられ、いずれも使用することができる。
また、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μmの範囲内、より好ましくは25〜80μmの範囲内のものがよい。
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
(画像形成方法)
本発明のトナーは、トナー像が形成された画像形成支持体を、定着装置を構成する加熱ローラーと加圧ローラーとの間に通過させて定着する工程を含む画像形成方法(本発明の画像形成方法)に好適に使用される。
図2は、本発明のトナーを用いた画像形成方法において使用する定着装置の一例を示す断面図であり、図2に示す定着装置は、加熱ローラー10と、これに当接する加圧ローラー20とを備えている。なお、図2において、Tは転写紙(画像形成支持体)上に形成されたトナー像である。
加熱ローラー10は、フッ素樹脂又は弾性体からなる被覆層12が芯金11の表面に形成されてなり、線状ヒーターよりなる加熱部材13を内包している。
芯金11は、金属から構成され、その内径は10〜70mmの範囲内とされる。芯金11を構成する金属としては特に限定されるものではないが、例えば鉄、アルミニウム、銅等の金属あるいはこれらの合金を挙げることができる。
芯金11の肉厚は0.1〜15mmの範囲内とされ、省エネルギーの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定される。例えば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。
被覆層12を構成するフッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)及びPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などを例示することができる。
フッ素樹脂からなる被覆層12の厚さは10〜500μmの範囲内とされ、好ましくは20〜400μmの範囲内とされる。
フッ素樹脂からなる被覆層12の厚さが10μm未満であると、被覆層としての機能を十分に発揮することができず、定着装置としての耐久性を確保することができない。一方、500μmを超える被覆層の表面には紙粉によるキズがつきやすく、当該キズ部にトナーなどが付着し、これに起因する画像汚れを発生する問題がある。
また、被覆層12を構成する弾性体としては、LTV、RTV、HTVなどの耐熱性の良好なシリコーンゴム及びシリコーンスポンジゴムなどを用いることが好ましい。
被覆層12を構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは60°未満とされる。
また、弾性体からなる被覆層12の厚さは0.1〜30mmの範囲内とされ、好ましくは0.1〜20mmの範囲内とされる。
被覆層12を構成する弾性体のアスカーC硬度が80°を超える場合及び当該被覆層12の厚さが0.1mm未満である場合には、定着のニップを大きくすることができず、ソフト定着の効果(例えば、平滑化された界面のトナー層による色再現性の向上効果)を発揮することができない。
加熱部材13としては、ハロゲンヒーターを好適に使用することができる。
加圧ローラー20は、弾性体からなる被覆層22が芯金21の表面に形成されてなる。被覆層22を構成する弾性体としては特に限定されるものではなく、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの各種軟質ゴム及びスポンジゴムを挙げることができ、被覆層12を構成するものとして例示したシリコーンゴム及びシリコーンスポンジゴムを用いることが好ましい。
被覆層22を構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは70°未満、更に好ましくは60°未満とされる。
また、被覆層22の厚さは0.1〜30mmの範囲内とされ、好ましくは0.1〜20mmの範囲内とされる。
被覆層22を構成する弾性体のアスカーC硬度が80°を超える場合及び被覆層22の厚さが0.1mm未満である場合には、定着のニップを大きくすることができず、ソフト定着の効果を発揮することができない。
芯金21を構成する材料としては特に限定されるものではないが、アルミニウム、鉄、銅などの金属又はそれらの合金を挙げることができる。
加熱ローラー10と加圧ローラー20との当接荷重(総荷重)としては、通常40〜350Nの範囲内とされ、好ましくは50〜300Nの範囲内、さらに好ましくは50〜250Nの範囲内とされる。この当接荷重は、加熱ローラー10の強度(芯金11の肉厚)を考慮して規定され、例えば0.3mmの鉄よりなる芯金を有する加熱ローラーにあっては、250N以下とすることが好ましい。
また、耐オフセット性及び定着性の観点から、ニップ幅としては4〜10mmの範囲内であることが好ましく、当該ニップの面圧は0.6×10〜1.5×10Paの範囲内であることが好ましい。
図2に示した定着装置による定着条件の一例を示せば、定着温度(加熱ローラー10の表面温度)が150〜210℃の範囲内とされ、定着線速が80〜640mm/secの範囲内とされる。
本発明において使用する定着装置には、必要に応じてクリーニング機構を付与してもよい。この場合には、シリコーンオイルを定着部の上ローラー(加熱ローラー)に供給する方式として、シリコーンオイルを含浸したパッド、ローラー、ウェッブ等で供給し、クリーニングする方法が使用できる。
シリコーンオイルとしては耐熱性の高いものが使用され、ポリジメチルシリコーン、ポリフェニルメチルシリコーン、ポリジフェニルシリコーン等が使用される。粘度の低いものは使用時に流出量が大きくなることから、20℃における粘度が1〜100Pa・sの範囲内のものが好適に使用される。
ただし、本発明による効果は、シリコーンオイルを供給しない、又は、シリコーンオイルの供給量が極めて低い定着装置により、画像を形成する工程を含む場合に特に顕著に発揮される。したがって、シリコーンオイルを供給する場合であっても、その供給量はA4用紙1枚当たり2mg以下とすることが好ましい。
シリコーンオイルの供給量をA4用紙1枚当たり2mg以下とすることにより、定着後の転写紙(画像支持体)に対するシリコーンオイルの付着量が少なくなり、転写紙へ付着したシリコーンオイルによるボールペン等の油性ペンの記入しづらさがなく、加筆性が損なわれることはない。
また、シリコーンオイルの変質による耐オフセット性の経時的な低下、シリコーンオイルによる光学系や帯電極の汚染などの問題を回避することができる。
ここに、シリコーンオイルの供給量は、所定温度に加熱した定着装置(ローラー間)に転写紙(A4サイズの白紙)を連続して100枚通過させ、通紙前後における定着装置の質量変化(Δw)を測定して算出される(Δw/100)。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
なお、本実施例においては、α−シクロデキストリンとしてセルデックスA−100(日本食品化工(株)製)、β−シクロデキストリンとしてセルデックスB−100(日本食品化工(株)製)、γ−シクロデキストリンセルデックスG−100(日本食品化工(株)製)を使用した。
[トナー〔1〕の製造]
(1)結着樹脂微粒子分散液の調製工程
(1−1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、温度制御装置、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器にあらかじめアニオン性界面活性剤「ラウリル硫酸ナトリウム」2.0質量部をイオン交換水2900質量部に溶解させたアニオン性界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。このアニオン性界面活性剤溶液に重合開始剤「過硫酸カリウム(KPS)」9.0質量部を添加し、内温を78℃とさせた後、
スチレン 540質量部
n−ブチルアクリレート 154質量部
メタクリル酸 77質量部
n−オクチルメルカプタン 17質量部
からなる単量体溶液〔1〕を3時間かけて滴下した。滴下終了後、78℃において1時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第1段重合)を行うことにより、「樹脂微粒子〔a1〕」の分散液を調製した。
(1−2)第2段重合:中間層の形成
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、
スチレン 94質量部
n−ブチルアクリレート 27質量部
メタクリル酸 6質量部
n−オクチルメルカプタン 1.7質量部
からなる溶液に、オフセット防止剤(ワックス)としてパラフィンワックス(融点:73℃)51質量部、85℃に加温して溶解させて単量体溶液〔2〕を調製した。一方、アニオン性界面活性剤「ラウリル硫酸ナトリウム」2質量部をイオン交換水1100質量部に溶解させた界面活性剤溶液を90℃に加温し、この界面活性剤溶液に上記の「樹脂微粒子〔a1〕」の分散液を、樹脂微粒子〔a1〕の固形分換算で28質量部添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、前記単量体溶液〔2〕を4時間混合・分散させ、分散粒子径350nmの乳化粒子を含有する分散液を調製し、この分散液に重合開始剤「KPS」2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、この系を90℃において2時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第2段重合)を行うことにより、「樹脂微粒子〔a11〕」の分散液を調製した。
(1−3)第3段重合:外層の形成
上記の「樹脂微粒子〔a11〕」の分散液に、重合開始剤「KPS」2.5質量部をイオン交換水110質量部に溶解させた開始剤水溶液を添加し、80℃の温度条件下において、
スチレン 230質量部
n−ブチルアクリレート 78質量部
メタクリル酸 16質量部
n−オクチルメルカプタン 4.2質量部
からなる単量体溶液〔3〕を1時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間にわたって加熱・撹拌することによって重合(第3段重合)を行った。その後、28℃まで冷却し、アニオン性界面活性剤溶液中に結着樹脂微粒子〔A〕が分散された「結着樹脂微粒子〔A〕の分散液」を作製した。結着樹脂微粒子〔A〕のガラス転移点は45℃、軟化点は100℃であった。
(2)シェル樹脂微粒子分散液の調製工程
(2−1)シェル樹脂(スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂B)の合成
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した容量10リットルの四つ口フラスコに、
ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物 500質量部
テレフタル酸 117質量部
フマル酸 82質量部
エステル化触媒(オクチル酸スズ) 2質量部
を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに、8kPaで1時間反応させ、160℃まで冷却した後、
アクリル酸 10質量部
スチレン 30質量部
ブチルアクリレート 7質量部
重合開始剤(ジ−t−ブチルパーオキサイド) 10質量部
の混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下し、滴下後、160℃に保持したまま、1時間付加重合反応を継続させた後、200℃に昇温し、10kPaで1時間保持した後、アクリル酸、スチレン、ブチルアクリレートを除去することにより、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕を得た。このスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕のガラス転移点は60℃、軟化点は105℃であった。
(2−2)シェル樹脂微粒子分散液の調製
得られたスチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂〔1〕100質量部を、「ランデルミル 形式:RM」(徳寿工作所社製)で粉砕し、あらかじめ作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)を用いてV−LEVEL、300μAで30分間超音波分散し、体積基準のメジアン径(D50)が250nmであるシェル樹脂微粒子〔B〕が分散された「シェル樹脂微粒子〔B〕の分散液」を作製した。
(3)着色剤微粒子分散液の調製工程
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「モーガルL」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子〔C〕が分散されてなる「着色剤微粒子〔C〕の分散液」を調製した。この分散液における着色剤微粒子〔C〕の粒子径を、ナノ粒度分布測定装置「UPA−EX150」(日機装社製)を用いて測定したところ、117nmであった。
(4)凝集、融着−熟成工程
撹拌装置、温度センサー、冷却管を取り付けた反応容器に、「結着樹脂微粒子〔A〕の分散液」を固形分換算で288質量部、イオン交換水2000質量部を投入し、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して液温23℃でのpHを10に調整した。
その後、「着色剤微粒子〔C〕の分散液」を固形分換算で40質量部投入し、次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。
その後、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「コールターマルチサイザー3」(コールター・ベックマン社製)にてコア粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径(D50)が6.0μmになった時点で、「シェル樹脂微粒子〔B〕の分散液」を固形分換算で72質量部を30分間かけて投入し、反応液の上澄みが透明になった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。
さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナーの平均円形度の測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個)平均円形度が0.945になった時点で30℃に冷却し、「トナー粒子〔1〕の分散液」を得た。
(5)洗浄工程
この「トナー粒子〔1〕の分散液」を遠心分離機で固液分離し、トナー粒子のウェットケーキを形成し、これに対し遠心分離機を用いて、温度35℃、pH4環境下にて、β−シクロデキストリン水溶液(水溶液濃度1.8%)でかけ洗いした。なお、シクロデキストリン水溶液は、β−シクロデキストリンの量が固形分換算で12質量部(即ち、結着樹脂微粒子の3.0質量%)となる量を注いだ。
次いで、イオン交換水のみで洗浄した。
(6)乾燥工程
その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥した。
(7)外添剤添加工程
乾燥させたトナー粒子〔1〕に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量%及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合することにより、トナー〔1〕を作製した。
[トナー〔2〕〜〔7〕までの製造]
トナー〔1〕の製造において、使用したシクロデキストリンの種類及び量、シクロデキストリン溶液投入のタイミングを表1のようにしたほかは、トナー〔1〕の製造と同様にして、トナー〔2〕〜〔7〕を製造した。
[トナー〔8〕の製造]
トナー〔1〕の製造において、着色剤として、あらかじめβ−シクロデキストリン(セルデックスB−100(日本食品化工(株)製))溶液で洗浄した着色剤を使用したほかは、トナー〔1〕の製造と同様にしてトナー〔8〕を製造した。なお、使用した着色剤は、下記のようにして洗浄した。
(着色剤の洗浄方法)
(3)着色剤微粒子分散液の調製工程で使用したのと同じカーボンブラック「モーガルL」(キャボット社製)に対し、トナー〔1〕の製造の洗浄工程と同様のβ−シクロデキストリン水溶液を用い、温度35℃、pH4環境下にて、かけ洗いした。上記のように洗浄した着色剤を用い、あとは(3)着色剤微粒子分散液の調製工程と同様にして、着剤微粒子分散液を得た。
[トナー〔9〕の製造]
トナー〔1〕の製造の洗浄工程において、さらに、市販の消臭剤であるバイオダッシュP−500(ダイソー社製)5gを、40℃のイオン交換水2kgに溶解し酵素系消臭剤として投入したほかは、トナー〔1〕の製造と同様にしてトナー〔9〕を製造した。
[トナー〔10〕の製造]
トナー〔1〕の製造の洗浄工程において、シクロデキストリン溶液を投入しなかったほかは、トナー〔1〕の製造と同様にしてトナー〔10〕を製造した。
[トナー〔11〕の製造]
トナー〔1〕の製造において、洗浄工程ではなく凝集工程に、表1に記載のシクロデキストリン溶液を投入したほかは、トナー〔1〕の製造と同様にしてトナー〔11〕を製造した。
[現像剤〔1〕の製造]
(1)キャリアの作製
フェライトコア100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコアの表面に樹脂コート層を形成させることにより、体積基準のメジアン径が50μmであるキャリアを得た。キャリアの体積基準のメジアン径は、湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定した。
(2)トナーとキャリアの混合
トナー〔1〕に対して、上記のキャリアをトナー濃度が6%となるように添加し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器株式会社)によって回転速度45rpmで30分間混合することにより、現像剤〔1〕を製造した。
[現像剤〔2〕〜〔11〕の製造]
トナー〔2〕〜〔11〕について、現像剤〔1〕の製造と同様にして、現像剤〔2〕〜〔11〕を製造した。
[現像剤〔1〕〜〔11〕の評価]
下記のようにして現像剤〔1〕〜〔11〕を評価した。評価結果は表2に示す。
(VOC評価)
トナーを30mlのビーカーに採取して、ビーカーごとアウトガス捕集装置の容器に入れ、捕集装置の温度を50℃に設定、高純度Nガスを容器内に通気して排出されるガスを吸着管で捕集を行った。捕集後の吸着管をパージ&トラップGC/MSによりVOC測定を行った。
判定基準は下記のとおりである。
○:30ppm未満
△:30ppm以上、80ppm未満
×:80ppm以上
(臭気ランク)
現像剤〔1〕〜〔11〕を、排気フィルターを取り外した市販の複合機「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタ社製)に装着し、事前に換気された常温常湿環境下の横3m、奥行き2m、高さ2mの閉め切った部屋の中で、画像面積7%のチャートを連続1000枚プリントした。その後、一般的なパネラー20人による臭覚評価を行った。ほぼ無臭と判定した場合を5点、非常に不快な臭気と判定した場合を1点として5段階で点数をつけ、下記の基準に則り臭気ランクの判定を行った。
◎:被験者20人の平均点は、4.0点以上である
○:被験者20人の平均点は、2.0点以上、4.0点未満である
×:被験者20人の平均点は、2.0点未満である
(まとめ)
表2より、現像剤〔1〕〜〔9〕は、比較例である現像剤〔10〕及び〔11〕よりもVOC及び臭気ランクにおいて良好なことが認められた。
1 シクロデキストリン
2 疎水性空洞
10、20 加熱ローラー
11、21 芯金
12、22 被覆層
13 加熱部材
T 転写紙(画像形成支持体)上に形成されたトナー像

Claims (6)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤からなる静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    少なくとも下記工程(A)〜工程(C)を有し、かつ下記工程(B)では、シクロデキストリン水溶液を添加し前記静電荷像現像用トナーを洗浄することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
    工程(A):少なくとも、前記結着樹脂、前記着色剤、前記離型剤からなる前記静電荷
    像現像用トナーを水系媒体中にて形成する工程
    工程(B):前記工程(A)で形成した前記静電荷像現像用トナーを洗浄する工程
    工程(C):前記工程(B)で洗浄した前記静電荷像現像用トナーを乾燥する工程
  2. 前記シクロデキストリンが、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記シクロデキストリン水溶液中に含有される前記シクロデキストリンの総量が、前記結着樹脂に対し0.1〜10質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 前記結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂又はポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 前記工程(A)で使用する着色剤として、あらかじめ前記シクロデキストリン水溶液で洗浄した着色剤を用いることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  6. 前記工程(B)において、酵素系消臭剤を添加することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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