JP2015140728A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】SI燃焼から過給HCCI燃焼に効率良く切り換えできるハイブリッド車両の制御装置を提供すること。【解決手段】エンジン2は火花点火燃焼モードと過給予混合圧縮着火燃焼モードとの切り換えが可能であり、エンジン2の始動時に火花点火燃焼モードを実行し、火花点火燃焼モードから過給予混合圧縮着火燃焼モードに切り換える際に、エンジン2に対して燃料の供給を停止した状態でエンジン2の実効圧縮比を高くした後、エンジン2の回転数を低下させることで、過給予混合圧縮着火燃焼モードの実行が可能な条件下でエンジン2に対して燃料の供給を再開するとともに過給予混合圧縮着火燃焼モードを実行するシリーズ型ハイブリッド車両1の制御装置10である。【選択図】図4

Description

本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関する。
従来、内燃機関及び電動機を備えるハイブリッド車両(以下、「HEV」という。)として、パラレル方式とシリーズ方式が知られている。パラレル方式では、内燃機関及び電動機のいずれか一方又は両方の動力により、車両は走行する。これに対してシリーズ方式では、通常、電動機の動力のみで走行し、内燃機関の動力は発電のみに利用される。即ち、内燃機関の動力は発電機にのみ供給され、発電機で発電された電力は、電動機又は蓄電器に供給される。
ところで、上記のようなHEVにおいても、内燃機関の効率の向上が求められており、例えば、内燃機関の回転数を駆動力に変換する変速比(レシオ)を2種類備えたシリーズ方式のHEVが提案されている(特許文献1参照)。このHEVによれば、内燃機関の動力をより適切な駆動力に変換できるため、内燃機関の効率を向上できる。
また例えば、さらなる内燃機関の効率の向上を目的として、予混合圧縮着火燃焼(以下、「HCCI燃焼」という。)と火花点火燃焼(以下、「SI燃焼」という。)とで燃焼方式の切り換えが可能な内燃機関を備えるHEVが提案されている(特許文献2参照)。このHEVによれば、過給下でのHCCI燃焼(以下、「過給HCCI燃焼」という。)時における圧縮比及び過給圧を所定の値に設定することで、内燃機関に要求される駆動力の全域を効率の良いHCCI燃焼でほぼ賄うことができ、内燃機関の効率を向上できる。
国際公開第2011/138892号 特許第3933012号
しかしながら、特許文献2で提案されている過給HCCI燃焼は、その成立条件が非常に厳しく、非常に狭い運転領域でしか成立し得ない。従って、SI燃焼での始動が必須となるが、両燃焼の成立条件が相違するため、SI燃焼から過給HCCI燃焼に如何に効率良く切り換えできるかが課題である。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、SI燃焼から過給HCCI燃焼に効率良く切り換えできるハイブリッド車両の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明は、内燃機関(例えば、後述のエンジン2)と、前記内燃機関に接続され、前記内燃機関の動力により発電する発電機(例えば、後述の発電機3)と、前記内燃機関及び前記発電機とは独立して設けられ、前記発電機により発電した電力により出力して車両を駆動する電動機(例えば、後述の電動機4)と、を備えるシリーズ型ハイブリッド車両(例えば、後述のハイブリッド車両1)の制御装置(例えば、後述のECU10)であって、前記内燃機関は、燃焼室内の混合気を前記燃焼室に設けられた点火手段により点火燃焼させる火花点火燃焼モード(例えば、後述のSI燃焼モード)と、前記燃焼室内の混合気を過給下で圧縮着火燃焼させる過給予混合圧縮着火燃焼モード(過給HCCI燃焼)との切り換えが可能であり、前記制御装置は、前記内燃機関の始動時に前記火花点火燃焼モードを実行し、前記火花点火燃焼モードから前記過給予混合圧縮着火燃焼モードに切り換える際に、前記内燃機関に対して燃料の供給を停止した状態で前記内燃機関の実効圧縮比を高くした後、前記内燃機関の回転数を低下させることで、前記過給予混合圧縮着火燃焼モードの実行が可能な条件下で前記内燃機関に対して燃料の供給を再開するとともに前記過給予混合圧縮着火燃焼モードを実行する内燃機関制御手段(例えば、後述のECU10)を備えることを特徴とするシリーズ型ハイブリッド車両の制御装置を提供する。
上述した特許文献2の技術は、パラレル方式で内燃機関の動力により走行する際の内燃機関の効率の向上に着目してなされた技術であり、シリーズ方式で電動機の動力のみにより走行する際、即ち、内燃機関を発電用として運転させる際の内燃機関の効率の向上に着目した技術ではない。
これに対して本発明では、シリーズ型ハイブリッド車両の内燃機関を、SI燃焼モードと過給HCCI燃焼モードの切り換えが可能な内燃機関とする。ここで、過給HCCI燃焼は、SI燃焼と比べて低回転数、高実効圧縮比及び高空燃比(即ち、よりリーンな状態)の条件下でなければ成立し得ず、失火することが分かっている。また、過給HCCI燃焼の成立条件下では、ノッキングが発生する等してSI燃焼が成立し得ないことも分かっている。
そこで本発明では、SI燃焼モードで始動した後、SI燃焼モードから効率の良い過給HCCI燃焼モードに切り換える際に、燃料の供給を停止した状態で内燃機関の実効圧縮比を高くする。次いで、内燃機関の回転数を低下させることで、過給HCCI燃焼モードの実行が可能な条件下で燃料の供給を再開するとともに過給HCCI燃焼モードを実行する。
本発明によれば、シリーズ型ハイブリッド車両であるため、発電機で発電された電力により電動機を出力して車両を駆動することから、SI燃焼モードから過給HCCI燃焼モードに切り換える際に、内燃機関への燃料の供給を停止できる。これにより、内燃機関の空燃比を過給HCCI燃焼モードに適したリーン状態(超リーン状態)へと速やかに移行できる。
また、この状態で内燃機関の実効圧縮比を高くすることで、燃焼室内に導入する吸気量を増加でき、過給圧を低下できる。次いで、内燃機関の回転数を低下させることで、過給HCCI燃焼モードの実行が可能な状態へと移行でき、燃料の供給を再開して過給HCCI燃焼を速やかに実行できる。
従って本発明によれば、始動時のSI燃焼から過給HCCI燃焼に効率良く速やかに切り換えができる。ひいては、シリーズ型ハイブリッド車両における内燃機関の効率を向上できる。
本発明によれば、SI燃焼から過給HCCI燃焼に効率良く切り換えできるハイブリッド車両の制御装置を提供できる。
本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両の概略構成を示す模式図である。 上記実施形態に係るハイブリッド車両の走行モードを示す図である。 上記実施形態に係る内燃機関の構成を示す図である。 上記実施形態に係る内燃機関の燃焼切り換えの手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るハイブリッド車両1の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、ハイブリッド車両1は、内燃機関(以下、「エンジン」という。)2と、発電機3と、電動機4と、高圧バッテリ5と、クラッチ6と、トランスミッション7と、駆動輪8と、パワードライブユニット(以下、「PDU」という。)9と、電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)10と、を備える。
ハイブリッド車両1は、シリーズ方式での走行が可能なシリーズ型ハイブリッド車両である。従って、ハイブリッド車両1は、クラッチ6が切断された状態では、電動機4の動力のみで走行し、エンジン2の動力は発電のみに利用される。即ち、エンジン2の動力は発電機3にのみ供給され、発電機3で発電された電力は、電動機4又は高圧バッテリ5に供給される。
なお、ハイブリッド車両1は、クラッチ6が締結された状態では、エンジン2の動力により走行可能となっている。
エンジン2は、4気筒のガソリンエンジンであり、SI燃焼モードと過給HCCI燃焼モードの切り換えが可能なエンジンである。エンジン2の出力軸は、発電機3の出力軸に連結されている。また、エンジン2の出力軸は途中で分岐し、クラッチ6を介してトランスミッション及び駆動輪8に連結可能となっている。このエンジン2は、ECU10からの制御信号に基づいて動作する。なお、エンジン2の詳細な構成については、後段で詳述する。
発電機3は、その出力軸がエンジン2の出力軸に連結されている。発電機3は、エンジン2の動力により発電する。
電動機4は、その出力軸がトランスミッション7を介して駆動輪8(図1では右駆動輪のみを示す。)に連結されている。電動機4は、発電機3で発電された電力により出力して駆動輪8を駆動する。
なお、これら発電機3及び電動機4としては、三相のDCブラシレスモータが用いられる。
発電機3及び電動機4は、蓄電器としての高圧バッテリ5に接続されている。高圧バッテリ5は、例えば複数のリチウムイオン型のバッテリで構成される。
クラッチ6は、エンジン2の出力軸と駆動輪8の駆動軸とを断続する。クラッチ6は、ECU10からの制御信号に基づいて動作する。
トランスミッション7は、ロックアップ機構を具備するトルクコンバータと、自動変速機とを備えた所謂オートマチックトランスミッションである。トルクコンバータや自動変速機の変速動作を駆動制御するための油圧ポンプや制御バルブは、ECU10からの制御信号に基づいて動作する。
PDU9は、インバータを備え、発電機3及び電動機4に接続されてこれらの動作を制御する。PDU9は、ECU10から入力されたトルク指令信号に基づいて動作し、電動機4を力行運転したり回生運転したりする。具体的には、PDU9は、電動機4に対し力行運転を指令する信号がECU10から入力されると、高圧バッテリ5に蓄えられた電力を三相交流電力に変換して電動機4に供給するとともに、トルク指令信号に応じたトルクを電動機4で発生させる。また、PDU9は、電動機4に対し回生運転を指令する信号がECU10から入力されると、エンジン2で発生したトルクの一部又はハイブリッド車両1の減速走行時に駆動輪8から駆動軸に伝達するトルクを高圧バッテリ5に回生するべく、トルク指令信号に応じた回生制動力を発生させるとともに、電動機4から出力される三相交流電力を直流電力に変換して高圧バッテリ5を充電する。
ECU10は、各種センサ等からの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路と、中央演算処理ユニット(以下、「CPU」という)とを備える。この他、ECU10は、CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶回路と、エンジン2、クラッチ6、トランスミッション7、PDU9等に制御信号を出力する出力回路と、を備える。なお、このECU10は、後段で詳述するエンジン2の燃焼切り換え制御を実行する。
以上の構成を備えるハイブリッド車両1の走行モードについて、図2を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係るハイブリッド車両1の走行モードを示す図である。
図2に示すように、ハイブリッド車両1は、ECU10からの制御信号に基づいて、(A)に示すEV走行モードと、(B)に示すハイブリッド走行モードと、(C)に示すエンジン走行モードの3つの走行モードの切り換えが可能となっている。
EV走行モードでは、高圧バッテリ5から電動機4に電力が供給されることで、駆動輪8を駆動する。このとき、エンジン2は停止しており、クラッチ6は切断されている。このEV走行モードは、発進時や街中でのクルーズ走行時に実行される。
ハイブリッド走行モードでは、エンジン2の動力により発電機3を発電させるとともに、発電機3により発電した電力により電動機4を出力させることで、駆動輪8を駆動する。このとき、クラッチ6は切断されており、エンジン2の動力は発電機3の発電のみに利用される。このハイブリッド走行モードは、力強い加速が必要なときに実行される。
エンジン走行モードでは、クラッチ6が締結されることで、エンジン2の動力が直接、トランスミッション7及び駆動輪8に伝達される。これにより、エンジン2の動力により、ハイブリッド車両1を駆動する。このエンジン走行モードは、高速クルーズ走行時に実行される。
次に、本実施形態に係るエンジン2について、図3を参照して説明する。
図3は、本実施形態に係るエンジン2の構成を示す図である。
エンジン2は、4つのシリンダ21aを備えた4気筒エンジンであり、図3には、このうちの1つを代表的に示す。エンジン2は、シリンダ21aが形成されたシリンダブロック21と、シリンダヘッド22とを組み合わせて構成される。このエンジン2には、吸気が流通する吸気管31と、排気が流通する排気管32とが設けられている。
シリンダ21a内にはピストン23が摺動可能に設けられており、このピストン23の頂面とシリンダヘッド22のシリンダ21a側の面により、エンジン2の燃焼室2aが形成される。ピストン23は、コンロッド24を介してクランクシャフト25に連結されている。即ち、シリンダ21a内におけるピストン23の往復動に応じてクランクシャフト25が回転する。
シリンダヘッド22には、燃焼室2aと吸気管31とを接続する吸気ポート22aと、燃焼室2aと排気管32とを接続する排気ポート22bとが形成されている。吸気ポート22aのうち燃焼室2aに臨む吸気開口は吸気バルブ22cにより開閉され、排気ポート22bのうち燃焼室2aに臨む排気開口は排気バルブ22dにより開閉されるようになっている。吸気バルブ22cは、吸気側バルブ機構29aにより駆動され、排気バルブ22dは、排気側バルブ機構29bにより駆動される。
吸気側バルブ機構29aは、吸気バルブ22cのカムシャフトのクランクシャフト25に対する位相を変更するカム位相可変機構(VTC)と、吸気バルブ22cのリフト量を変更するリフト可変機構(VTEC)と、を備えており、吸気バルブ22cのバルブリフト量及びバルブタイミングを変更することが可能となっている。
同様に排気側バルブ機構29bは、排気バルブ22dのカムシャフトのクランクシャフト25に対する位相を変更するカム位相可変機構(VTC)と、排気バルブ22dのリフト量を変更するリフト可変機構(VTEC)と、を備えており、排気バルブ22dのバルブリフト量及びバルブタイミングを変更することが可能となっている。
吸排気バルブ22c,22dのバルブリフト量及びバルブタイミングの変更にかかるバルブ機構29a,29bの各種アクチュエータは、ECU10に接続されており、このECU10からの制御信号に基づいて動作する。なお、これらバルブ機構29a,29bのリフト可変機構やカム位相可変機構には、既知のものが用いられる。より具体的には、リフト可変機構には、例えば本願出願人による特開2008−75614号公報に詳細に記載されたものが用いられ、カム位相可変機構には、例えば本願出願人による特開2009−222021号公報に記載されたものが用いられる。
本実施形態では、上記VTC及びVTECを備えることにより、エンジン2の各気筒の燃焼室の実効圧縮比を可変的に制御可能となっている。また、より効率の良いアトキンソンサイクルでのエンジン2の運転が可能となっている。
ここで、アトキンソンサイクルは、圧縮側と膨張側とで異なったストロークを有する。アトキンソンサイクルは、膨張側の長いストロークにより、最も一般的で基本的なサイクルで圧縮比と膨張比が同一のオットーサイクルでは回収不能な領域までエネルギを回収し続けることができる。
吸気ポート22aのうち上記吸気開口よりも吸気管31側には、燃焼室2a側へ向って燃料を噴射する第1インジェクタ26が設けられ、シリンダヘッド22には、燃焼室2a内に臨み、この燃焼室2a内に燃料を直接噴射する第2インジェクタ27が設けられている。第1インジェクタ26からの噴射燃料量及びその燃料噴射タイミング、並びに、第2インジェクタ27からの噴射燃料量及びその燃料噴射タイミングは、ECU10により制御される。
また、シリンダヘッド22には、燃焼室2a内に図示しない点火プラグが設けられている。この点火プラグによる混合気の点火時期は、ECU10により制御される。
吸気管31には、吸気を溜める吸気チャンバ33と、吸気管31を流通しエンジン2の燃焼室2aに供給される空気の吸気量を制御するスロットル弁34と、が設けられている。このスロットル弁34は、図示しないアクチュエータを介してECU10に接続されており、その開度はECU10により制御される。
排気管32には、エンジン2の排気を浄化する三元触媒を担持した触媒コンバータ35が設けられている。この三元触媒は、例えば、排気浄化能を有する触媒貴金属に加えて排気中の酸素を吸着し貯蔵する酸素吸蔵能を有するOSC材を含有しており、排気中のHC及びCOを酸化するとともに、排気中のNOxを還元する。
また、吸気管31及び排気管32には、吸気管31に吸気を圧送する過給機80が設けられている。過給機80は、排気管32に設けられたタービン81と、吸気管31に設けられたコンプレッサ82と、を備える。タービン81は、排気管32を流通する排気の運動エネルギにより駆動される。コンプレッサ82は、タービン81により回転駆動され、吸気を加圧して吸気管31内へ圧送する。また、タービン81は、複数の可変ベーン(図示せず)を備えており、可変ベーンの開度を変化させることにより、タービン回転数(回転速度)を変更できるように構成されている。タービン81のベーン開度は、ECU10により電磁的に制御される。なお、吸気管31には、インタークーラ36が設けられている。
以上のように構成されたエンジン2は、運転領域に応じてその燃焼モードを、SI燃焼モードと過給HCCI燃焼モードとで切り換えることが可能となっている。
SI燃焼モードでは、吸気工程中に第1インジェクタ26により吸気管31内に所定量の燃料を噴射し、更に圧縮工程中に第2インジェクタ27により特に点火プラグの近傍が理論空燃比よりもリッチになるように所定量の燃料を噴射する。そして、以上のようにして供給された混合気を、所定のタイミングで点火プラグから発せられた火花で着火燃焼させる。ここで、SI燃焼モードにおいて、2つのインジェクタ26,27からの噴射燃料量は、燃焼室2a内の混合気の空燃比、即ち燃焼空燃比が理論空燃比の近傍になるように調整される。
過給HCCI燃焼モードでは、吸気工程中に第1インジェクタ26により吸気管31内に所定量の燃料を噴射し、この噴射により燃焼室2aに供給された空気との混合気を圧縮し、自己着火させる。ここで、HCCI燃焼モードにおいて、第1インジェクタ26からの噴射燃料量は、燃焼空燃比が理論空燃比よりもリーンになるように調整される。
次に、本実施形態に係るエンジン2の燃焼切り換え制御について説明する。
図4は、本実施形態に係るエンジン2の燃焼切り換え制御の手順を示すフローチャートである。本実施形態に係るエンジン2の燃焼切り換え制御は、シリーズ方式のハイブリッド走行モード中に実行されるものであり、エンジン2の始動に応じてECU10により実行される。
先ずステップS1では、エンジン2の始動時であるため、SI燃焼を実行する。実行後、ステップS2に移る。
ステップS2では、エンジン2への燃料の供給を停止する燃料カットを実行する。これにより、エンジン2の空燃比が過給HCCI燃焼モードに適したリーン状態(超リーン状態)へと速やかに移行する。なおこのとき、電動機4の出力のみにより、ハイブリッド車両1を駆動する。その後、ステップS3に移る。
ステップS3では、実効圧縮比を増加(高く)する。これにより、燃焼室2a内に導入される吸気量が増加し、過給圧が低下する。その後、ステップS4に移る。
ここで、実効圧縮比とは、上死点でのエンジン2の燃焼室2aの全体の容積に対する、吸気バルブ22cの開弁終了時におけるエンジン2の燃焼室2aの全体の容積(気筒毎の容積)の比率を意味する。
具体的には、VTCによりカムの位相を変化させ、オーバーラップ量を増加させることで、実効圧縮比を高くする。あるいは、VTECによりLOWカム(バルブタイミング)をHIGHカム(バルブタイミング)に切り替え、吸気バルブ22cを遅閉じすることで、実効圧縮比を高くする。
ステップS4では、エンジン2の回転数を低下させる。これにより、過給HCCI燃焼モードの実行が可能な状態に移行する。なおこのとき、エンジン2の回転数を低下させることで不足するトルク分は、電動機4の出力により補充される。その後、ステップS5に移る。
ステップS5では、燃料カットの実行から復帰し、エンジン2への燃料の供給を再開する。その後、ステップS6に移る。
ステップS6では、過給HCCI燃焼を実行し、本処理を終了する。
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、SI燃焼モードで始動した後、SI燃焼モードから効率の良い過給HCCI燃焼モードに切り換える際に、燃料の供給を停止した状態で内燃機関の実効圧縮比を高くした。次いで、内燃機関の回転数を低下させることで、過給HCCI燃焼モードの実行が可能な条件下で燃料の供給を再開するとともに過給HCCI燃焼モードを実行した。
本実施形態によれば、シリーズ型ハイブリッド車両1であるため、発電機3で発電された電力により電動機4を出力して車両を駆動することから、SI燃焼モードから過給HCCI燃焼モードに切り換える際に、エンジン2への燃料の供給を停止できる。これにより、エンジン2の空燃比を過給HCCI燃焼モードに適したリーン状態(超リーン状態)へと速やかに移行できる。
また、この状態でエンジン2の実効圧縮比を高くすることで、燃焼室2a内に導入する吸気量を増加でき、過給圧を低下できる。次いで、エンジン2の回転数を低下させることで、過給HCCI燃焼モードの実行が可能な状態へと移行でき、燃料の供給を再開して過給HCCI燃焼を速やかに実行できる。
従って本実施形態によれば、始動時のSI燃焼から過給HCCI燃焼に効率良く速やかに切り換えができる。ひいては、シリーズ型ハイブリッド車両におけるエンジン2の効率を向上できる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
1…ハイブリッド車両
2…エンジン(内燃機関)
3…発電機
4…電動機
10…ECU(制御装置、内燃機関制御手段)

Claims (1)

  1. 内燃機関と、
    前記内燃機関に接続され、前記内燃機関の動力により発電する発電機と、
    前記内燃機関及び前記発電機とは独立して設けられ、前記発電機により発電した電力により出力して車両を駆動する電動機と、を備えるシリーズ型ハイブリッド車両の制御装置であって、
    前記内燃機関は、燃焼室内の混合気を前記燃焼室に設けられた点火手段により点火燃焼させる火花点火燃焼モードと、前記燃焼室内の混合気を過給下で圧縮着火燃焼させる過給予混合圧縮着火燃焼モードとの切り換えが可能であり、
    前記制御装置は、前記内燃機関の始動時に前記火花点火燃焼モードを実行し、前記火花点火燃焼モードから前記過給予混合圧縮着火燃焼モードに切り換える際に、前記内燃機関に対して燃料の供給を停止した状態で前記内燃機関の実効圧縮比を高くした後、前記内燃機関の回転数を低下させることで、前記過給予混合圧縮着火燃焼モードの実行が可能な条件下で前記内燃機関に対して燃料の供給を再開するとともに前記過給予混合圧縮着火燃焼モードを実行する内燃機関制御手段を備えることを特徴とするシリーズ型ハイブリッド車両の制御装置。
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