以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態における構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るガスタービン1の一例を示す図である。図1に示すように、ガスタービン1は、燃焼用空気を圧縮する圧縮機2と、圧縮機2から供給された圧縮空気に燃料を噴射して燃焼させ、燃焼ガスを生成する燃焼器3と、燃焼器3から供給された燃焼ガスにより駆動するタービン4と、燃焼器3に燃料を供給する燃料供給装置10とを備えている。
タービン4は、動翼5を有するロータ6と、ロータ6の周囲に配置される静翼7を有するステータ8とを備えている。ロータ6は、回転軸AXを中心に回転する。動翼5は、タービン4のロータ軸に設けられる。動翼5は、軸方向に複数段配置される。静翼7は、ステータ8のケーシングに設けられる。静翼7は、軸方向に複数段配置される。軸方向に関して、動翼5(動翼列)と静翼7(静翼列)とは、交互に配置される。
次に、本実施形態に係る燃料供給装置10の一例について説明する。図2は、本実施形態に係る燃料供給装置10の一例を示す模式図である。本実施形態において、燃料供給装置10は、第1燃料G1と第2燃料G2との混合燃料Gmをガスタービン1の燃焼器3に供給する。燃焼器3に燃料供給装置10から混合燃料Gmが供給される。燃焼器3は、圧縮機2から供給された圧縮空気に混合燃料Gmを噴射して燃焼させることによって、燃焼ガスを生成する。
第1燃料G1及び第2燃料G2のそれぞれは、ガス(気体燃料)である。混合燃料Gmも、ガス(気体燃料)である。本実施形態において、第1燃料G1は、天然ガスである。第2燃料G2は、第1燃料G1とは性状が異なるガスである。第2燃料G2は、水素ガス、エタンガス、プロパンガス、及びブタンガスの少なくとも一つを含む。なお、第2燃料G2が、窒素ガス及び二酸化炭素ガスのような不活性ガスを含んでもよい。
図2に示すように、燃料供給装置10は、第1燃料G1を供給する第1燃料供給装置11と、第2燃料G2を供給する第2燃料供給装置12と、第1燃料G1と第2燃料G2とが混合される混合部15と、混合部15で生成された第1燃料G1と第2燃料G2との混合燃料Gmの温度を調整する温度調整装置16と、温度調整装置16で温度調整された混合燃料Gmの温度を検出する温度センサ17と、第1燃料供給装置11から混合部15に供給される第1燃料G1の供給量を調整する第1供給量調整装置13と、第2燃料供給装置12から混合部15に供給される第2燃料G2の供給量を調整する第2供給量調整装置14と、燃焼器3に供給される混合燃料Gmの圧力を調整する圧力調整弁18と、燃焼器3に供給される混合燃料Gmの供給量を調整する供給量調整弁19と、燃料供給装置10を制御する制御装置20と、を備えている。
第1燃料供給装置11は、第1燃料G1を送出可能である。第1燃料供給装置11と混合部15とは配管41を介して接続される。第1燃料供給装置11から送出された第1燃料G1は、配管41を介して混合部15に供給される。
第2燃料供給装置12は、第2燃料G2を送出可能である。第2燃料供給装置12と混合部15とは配管42を介して接続される。第2燃料供給装置12から送出された第2燃料G2は、配管42を介して混合部15に供給される。
第1供給量調整装置13は、第1燃料供給装置11から混合部15に供給される単位時間当たりの第1燃料G1の供給量を調整する。第1供給量調整装置13は、配管41に配置される。第1供給量調整装置13は、バルブ機構を含み、バルブ機構の開度(又は配管41の流路の開口率P)を調整することによって、第1燃料G1の供給量を調整する。第1供給量調整装置13は、制御装置20に制御される。第1燃料供給装置11から送出された第1燃料G1は、第1供給量調整装置13を介して、混合部15に供給される。
第2供給量調整装置14は、第2燃料供給装置12から混合部15に供給される単位時間当たりの第2燃料G2の供給量を調整する。第2供給量調整装置14は、配管42に配置される。第2供給量調整装置14は、バルブ機構を含み、バルブ機構の開度(又は配管42の流路の開口率Q)を調整することによって、第2燃料G2の供給量を調整する。第2供給量調整装置14は、制御装置20に制御される。第2燃料供給装置12から送出された第2燃料G2は、第2供給量調整装置14を介して、混合部15に供給される。
混合部15は、第1燃料G1と第2燃料G2とを混合する。混合部15において、第1燃料G1と第2燃料G2との混合燃料Gmが生成される。混合部15で生成された混合燃料Gmは、配管43を介して、燃焼器3に供給される。
温度調整装置16は、混合部15で生成され、燃焼器3に供給される混合燃料Gmの温度を調整する。温度調整装置16は、配管43に配置される。温度調整装置16は、加熱装置及び冷却装置を含む。温度調整装置16は、制御装置20に制御される。温度調整装置16は、混合燃料Gmの温度が目標温度になるように、混合部15で生成された混合燃料Gmの温度を調整する。
温度センサ17は、温度調整装置16で温度調整された混合燃料Gmの温度を検出する。温度センサ17は、配管43を流れる混合燃料Gmの温度を検出する。温度センサ17の検出信号は、制御装置20に出力される。制御装置20は、温度センサ17の検出値に基づいて、温度調整装置16を制御する。
制御装置20は、燃料の供給に関する各種の処理を実行する。制御装置20は、CPU(Central Processing Unit)を含み、燃料の供給に関する演算処理及び信号処理を含む各種の処理を実行する。制御装置20は、燃料の供給に関する各種の情報を記憶する記憶部を含む。記憶部は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、及びハードディスクドライブの少なくとも一つを含む。
図3は、本実施形態に係る燃料供給装置10の一例を示す機能ブロック図である。図3に示すように、制御装置20は、第1燃料G1と第2燃料G2との混合比率を設定する混合比率設定部21と、第1燃料G1の特性情報を記憶する第1燃料データベース(第1記憶部)22と、第2燃料G2の特性情報を記憶する第2燃料データベース(第2記憶部)23と、混合燃料Gmの特性情報を算出する演算部24と、燃焼器3に供給される混合燃料Gmの目標温度Trを設定する温度設定部25と、を備えている。
混合比率設定部21は、第1燃料G1と第2燃料G2との混合比率を設定する。本実施形態において、制御装置20に入力装置50が接続される。入力装置50は、例えばキーボード及びタッチパネルの少なくとも一つを含み、作業者によって操作される。作業者により、混合比率に関する情報が入力装置50を介して制御装置20に入力される。入力装置50が操作されることによって生成された入力信号は、混合比率設定部21に入力される。混合比率設定部21は、入力装置50からの入力信号に基づいて、第1燃料G1と第2燃料G2との混合比率を設定する。
混合比率設定部21で設定された混合比率に基づいて、第1供給量調整装置13及び第2供給量調整装置14が制御される。第1供給量調整装置13は、混合比率設定部21で設定された混合比率に基づいて、混合部15に供給される第1燃料G1の供給量(単位時間当たりの供給量)を調整する。第2供給量調整装置14は、混合比率設定部21で設定された混合比率に基づいて、混合部15に供給される第2燃料G2の供給量(単位時間当たりの供給量)を調整する。制御装置20は、混合部15において生成される混合燃料Gmの第1燃料G1と第2燃料G2との混合比率が混合比率設定部21で設定した混合比率になるように、第1供給量調整装置13及び第2供給量調整装置14を制御する。混合比率設定部21で設定された混合比率で、混合部15において第1燃料G1と第2燃料G2とが混合される。
第1燃料データベース22は、第1燃料G1の特性情報を記憶する。第1燃料G1の特性情報は、第1燃料G1の低位発熱量LHV1、及び第1燃料G1の比重d1を含む。第2燃料データベース23は、第2燃料G2の特性情報を記憶する。第2燃料G2の特性情報は、第2燃料G2の低位発熱量LHV2、及び第2燃料G2の比重d2を含む。第1燃料G1の特性情報及び第2燃料G2の特性情報は、事前に測定された既知情報である。
演算部24は、混合燃料Gmの特性情報を算出する。混合燃料Gmの特性情報は、混合燃料Gmの低位発熱量LHVm、及び混合燃料Gmの比重dmを含む。演算部24は、第1燃料データベース22に記憶されている第1燃料G1の特性情報と、第2燃料データベース23に記憶されている第2燃料G2の特性情報と、混合比率設定部21で設定された混合比率とに基づいて、混合燃料Gmの特性情報を算出する。
例えば、第1燃料G1と第2燃料G2との混合比率がk1:k2である場合、混合燃料Gmの低位発熱量LHVm、及び混合燃料Gmの比重dmは、以下の(1)式及び(2)式に基づいて算出される。
温度設定部25は、第1燃料G1の特性情報と、第2燃料G2の特性情報と、混合比率設定部21で設定された混合比率とに基づいて、混合比率設定部21で設定された混合比率で混合された混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIが目標値MWIrになるように、燃焼器3に供給される混合燃料Gmの目標温度Trを設定する。本実施形態において、温度設定部25は、第1燃料G1の特性情報と第2燃料G2の特性情報と混合比率設定部21で設定された混合比率とに基づいて演算部24において算出された混合燃料Gmの特性情報に基づいて、混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIが目標値MWIrになるように、混合燃料Gmの目標温度Trを設定する。
例えば特開2010−156324号公報に記載されているように、ガスの低位発熱量をLHV[kcal/kg]、ガスの比重(空気に対するガスの密度比)をd、ガスの温度をT[K]としたとき、ガスのモディファイドウォッベ指数MWIは、以下の(3)式で定義される。
したがって、混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIの目標値をMWIrとしたとき、目標値MWIrは、以下の(4)式で定義される。
低位発熱量LHVm及び比重dmを含む混合燃料Gmの特性は、混合燃料Gmの性状(成分)に依存する。混合燃料Gmの温度Tは、温度調整装置16で調整可能である。本実施形態において、温度設定部25は、混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIが目標値MWIrになるように、混合燃料Gmの目標温度Trを設定する。目標温度Trは、以下の(5)式に基づいて設定される。
温度調整装置16は、温度設定部25で設定された目標温度Trに基づいて、燃焼器3に供給される混合燃料Gmの温度を調整する。温度調整装置16は、燃焼器3に供給される混合燃料Gmの温度が目標温度Trになるように、混合部15で生成された混合燃料Gmの温度を調整する。これにより、モディファイドウォッベ指数MWIが目標値MWIrに調整された混合燃料Gmが燃焼器3に供給される。
次に、本実施形態に係る燃料供給方法の一例について説明する。本実施形態においては、第1燃料G1と第2燃料G2との混合比率が任意のタイミングで変更される。混合比率が変更されても、温度設定部25は、混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIが目標値MWIrになるように、混合燃料Gmの目標温度Trを設定する。温度調整装置16は、混合比率が変更される前と後とのそれぞれにおいて、混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIが目標値MWIrになるように、温度設定部25で設定された目標温度Trに基づいて、混合燃料Gmの温度を調整する。
目標値MWIrは、所期の数値でもよいし、所期の数値及びその数値を基準とした許容範囲内の数値でもよい。本実施形態においては、混合比率の変更前と変更後とのそれぞれにおいて、混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIが許容範囲内の数値となるように、目標温度Trが設定される。
図4は、本実施形態に係る燃料供給方法の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、本実施形態においては、第1の混合比率(k1a:k2a)で第1燃料G1と第2燃料G2とを混合して、第1の混合比率の混合燃料Gmを生成すること(ステップSA1)と、第1の混合比率の混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIが目標値MWIrになるように目標温度Trを設定すること(ステップSA2)と、ステップSA2で設定した目標温度Trになるように混合部15で生成された第1の混合比率の混合燃料Gmの温度を調整すること(ステップSA3)と、第1の混合比率から第2の混合比率に変更するための指令信号を出力すること(ステップSA4)と、第2の混合比率(k1b:k2b)で第1燃料G1と第2燃料G2とを混合して、第2の混合比率の混合燃料Gmを生成すること(ステップSA5)と、第2の混合比率の混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIが目標値MWIrになるように目標温度Trを設定すること(ステップSA6)と、ステップSA6で設定した目標温度Trになるように混合部15で生成された第2の混合比率の混合燃料Gmの温度を調整すること(ステップSA7)と、が実行される。
第1の混合比率は、変更前の混合比率である。第1燃料G1と第2燃料G2との第1の混合比率は、k1a:k2aである。第2の混合比率は、変更後の混合比率である。第1燃料G1と第2燃料G2との第2の混合比率は、k1b:k2bである。
第1の混合比率の混合燃料Gmが燃焼器3に供給されるように、制御装置20は、第1供給量調整装置13及び第2供給量調整装置14を制御する。本実施形態において、第1の混合比率k1a:k2a=1:0である。すなわち、第1燃料G1の混合比率k1aは、100%であり、第2燃料G2の混合比率k2aは、0%である。換言すれば、第1の混合比率の混合燃料Gmは、第1燃料G1のみを含み、第2燃料G2を含まない。制御装置20は、第1燃料供給装置11から混合部15に第1燃料G1が供給され、第2燃料供給装置12から混合部15に第2燃料G2が供給されないように、第1供給量調整装置13及び第2供給量調整装置14を制御する。第1供給量調整装置13は、配管41の流路の開口率がPa%(100%)となるように、配管41の流路を開ける。第2供給量調整装置14は、配管42の流路の開口率がQa%(0%)となるように、配管42の流路を閉じる。これにより、第1の混合比率の混合燃料Gmが生成される(ステップSA1)。
制御装置20は、上述の(1)式から(5)式に従って、第1の混合比率の混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIが目標値MWIrになるように目標温度Trを設定する(ステップSA2)。制御装置20は、温度調整装置16を制御して、ステップSA2で設定した目標温度Trになるように、第1の混合比率の混合燃料Gmの温度を調整する(ステップSA3)。温度調整装置16は、第1の混合比率(k1a:k2a)に対応する目標温度Trに基づいて、混合燃料Gmの温度調整を開始する。混合燃料Gmの温度は、温度センサ17で検出される。温度センサ17の検出信号は、制御装置20に出力される。制御装置20は、温度センサ17の検出値に基づいて、目標温度Trになるように、温度調整装置16を使って混合燃料Gmの温度を調整する。
これにより、モディファイドウォッベ指数MWIが目標値MWIrに調整された第1の混合比率の混合燃料Gmが燃焼器3に供給される。
本実施形態においては、第1の混合比率の混合燃料Gmが燃焼器3に供給されている状態で、燃焼器3の燃焼調整作業が行われる。燃焼調整作業とは、燃焼時における燃焼器3の内部の圧力変動(燃焼振動)の防止及びNOxの低減のために、ガスタービン1が有する複数の燃焼器3に対する燃料の供給量の配分を調整する作業をいう。
ガスタービン1は、例えば拡散燃焼器のようなパイロット燃焼器、及び予混合燃焼器のようなメイン燃焼器など、複数の燃焼器(燃焼系統)を有する。燃料供給装置10は、それら複数の燃焼系統(拡散燃焼系統及び予混合燃焼系統)に燃料を供給する。それら複数の燃焼系統に対する燃料の供給量の配分が適切に行われないと、燃焼振動が発生したり、NOxの量が増大したりして、燃焼器3の性能が低下する可能性がある。本実施形態においては、燃焼振動の防止及びNOxの低減のために、燃焼調整作業により複数の燃焼器3に対する燃料の供給量の配分が調整される。
燃焼調整作業が終了した後、混合燃料Gmの混合比率の変更が行われる(ステップSA4)。第1燃料G1と第2燃料G2との混合比率の変更のために、作業者により任意のタイミングで入力装置50が操作される。その入力装置50の入力信号に基づいて、混合比率設定部21は、混合比率を変更するための指令信号を第1供給量調整装置13及び第2供給量調整装置14のそれぞれに出力する。第1供給量調整装置13及び第2供給量調整装置14のそれぞれは、混合比率設定部21から出力された混合比率を変更する指令信号に基づいて、混合比率を変更するための動作を開始する。
混合比率を変更するための動作は、第1燃料供給装置11から混合部15に対して供給される第1燃料G1の供給量を変更する動作、及び第2燃料供給装置12から混合部15に対して供給される第2燃料G2の供給量を変更する動作を含む。制御装置20は、第1燃料G1の供給量が変更されるように、第1供給量調整装置13を制御する。また、制御装置制御装置20は、第2燃料G2の供給量が変更されるように、第2供給量調整装置14を制御する。
上述のように、本実施形態において、第1供給量調整装置13は、バルブ機構を含み、バルブ機構の開度(又は配管41の流路の開口率P)を調整することによって、第1燃料G1の供給量を調整する。第2供給量調整装置14は、バルブ機構を含み、バルブ機構の開度(又は配管42の流路の開口率Q)を調整することによって、第2燃料G2の供給量を調整する。本実施形態において、第1燃料G1の供給量を変更する動作は、配管41の流路の開口率Pを変更する動作を含む。第2燃料G2の供給量を変更する動作は、配管42の流路の開口率Qを変更する動作を含む。
以下の説明において、混合比率を変更するための動作が開始される時点を、時点ta、と称する。本実施形態においては、時点taにおいて、第1燃料供給装置11から混合部15に対して供給される第1燃料G1の供給量を変更する動作、及び第2燃料供給装置12から混合部15に対して供給される第2燃料G2の供給量を変更する動作が開始される。すなわち、時点taにおいて、配管41の流路の開口率Pを変更する動作、及び配管42の流路の開口率Qを変更する動作が開始される。
第2の混合比率の混合燃料Gmが燃焼器3に供給されるように、制御装置20は、第1供給量調整装置13及び第2供給量調整装置14を制御する。本実施形態において、第2の混合比率(k1b:k2b)において、第1燃料G1の混合比率k1b及び第2燃料G2の混合比率k2bのそれぞれは0%でない。例えば、第2の混合比率において、第1燃料G1の混合比率k1bは、100%未満90%以上であり、第2燃料G2の混合比率k2bは、その残余である。制御装置20は、第1燃料供給装置11から混合部15に混合比率k1bで第1燃料G1が供給され、第2燃料供給装置12から混合部15に混合比率k2bで第2燃料G2が供給されるように、第1供給量調整装置13及び第2供給量調整装置14を制御する。第1供給量調整装置13は、配管41の流路の開口率がPb%(例えば95%)となるように、配管41の流路を開ける。第2供給量調整装置14は、配管42の流路の開口率がQb%(例えば5%)となるように、配管42の流路を開ける。これにより、第2の混合比率の混合燃料Gmが生成される(ステップSA5)。
すなわち、本実施形態においては、第1の混合比率(k1a:k2a)の混合燃料Gmの生成のために、配管41の流路の開口率がPa%になるように調整され、配管42の流路の開口率がQa%になるように調整される。第1の混合比率(k1a:k2a)から第2の混合比率(k1b:k2b)の変更のために、時点taにおいて配管41の流路の開口率がPa%からPb%に変更され、配管42の流路の開口率がQa%からQb%に変更される。第2の混合比率(k1b:k2b)の混合燃料Gmの生成のために、配管41の流路の開口率がPb%になるように調整され、配管42の流路の開口率がQb%になるように調整される。
制御装置20は、上述の(1)式から(5)式に従って、第2の混合比率の混合燃料混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIが目標値MWIrになるように目標温度Trを設定する(ステップSA6)。制御装置20は、温度調整装置16を制御して、ステップSA5で設定した目標温度Trになるように、第2の混合比率の混合燃料Gmの温度を調整する(ステップSA7)。温度調整装置16は、第2の混合比率(k1b:k2b)に対応する目標温度Trに基づいて、混合燃料Gmの温度調整を開始する。混合燃料Gmの温度は、温度センサ17で検出される。温度センサ17の検出信号は、制御装置20に出力される。制御装置20は、温度センサ17の検出値に基づいて、目標温度Trになるように、混合燃料Gmの温度を調整する。
これにより、モディファイドウォッベ指数MWIが目標値MWIrに調整された第2の混合比率の混合燃料Gmが燃焼器3に供給される。本実施形態においては、第2の混合比率の混合燃料Gmが燃焼器3に供給されている状態で、燃焼器3がその混合燃料Gmを圧縮空気に噴射して燃焼ガスを生成する。これにより、ガスタービン1が作動する。
図5は、第1燃料G1の混合比率k1及び第2燃料G2の混合比率k2の変化の一例を示すタイミングチャートである。図5において、横軸は、時間であり、縦軸は、混合比率を示す。図5に示すように、時点taにおいて、混合比率を変更するための動作が開始される。時点taよりも前の期間において、混合比率は、k1a:k2aである。時点taよりも後の期間において、混合比率は、k1b:k2bである。
図6は、混合燃料Gmの温度の変化の一例を示すタイミングチャートである。図6において、横軸は、時間であり、縦軸は、混合燃料Gmの温度(ガス温度)を示す。図6に示すように、混合比率を変更するための動作が開始される時点taと同時に、目標温度Trが変更される。また、時点taと同時に、変更後の目標温度Trに基づく温度調整装置16による温度調整が開始される。図6において、目標温度Tr1は、第1の混合比率の混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIを目標値MWIrにするための温度である。目標温度Tr2は、第2の混合比率の混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIを目標値MWIrにするための温度である。
図7は、混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIの変化の一例を示すタイミングチャートである。図7において、横軸は、時間であり、縦軸は、混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIを示す。図7に示すように、混合比率を変更するための動作が開始される時点taと同時に、混合燃料Gmの温度が変更されることによって、混合比率の変更前及び混合比率の変更後のそれぞれにおいて、モディファイドウォッベ指数MWIは一定の値(目標値)MWIrに維持される。すなわち、第1の混合比率の混合燃料Gmの温度が目標温度Tr1に調整され、第2の混合比率の混合燃料Gmの温度が目標温度Tr2に調整されることにより、第1の混合比率の混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIと、第2の混合比率の混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIとは、等しい値になる。
なお、本実施形態において、第1の混合比率から第2の混合比率に変更後の混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIの目標値は、第1の混合比率の混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIrを基準とする許容範囲(MWIr−ΔMとMWIr−ΔMとの間の範囲)に定められる。ΔMは、第1の混合比率の混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIの5%である。
図7に、混合比率(k1:k2)が変更されても混合燃料Gmの温度が変更されないときのモディファイドウォッベ指数MWIの一例をラインMLJに示す。図7に示すように、混合比率が変更されても混合燃料Gmの温度が変更されないと、混合比率の変更により、モディファイドウォッベ指数MWIが大きく変化し、許容範囲を逸脱する可能性がある。本実施形態においては、混合燃料Gmの特性情報と混合比率とに基づいて、混合比率の変更前と変更後とにおいて混合燃料Gmの温度(目標温度)を変更するようにしたので、混合比率の変更前と変更後とにおいてモディファイドウォッベ指数MWIが大きく変化することが抑制される。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1燃料G1の特性情報と、第2燃料G2の特性情報と、混合比率設定部21で設定された混合比率とに基づいて、混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIが目標値MWIrになるように、混合燃料Gmの目標温度Trを設定するようにしたので、その目標温度Trに基づいて混合燃料Gmの温度を調整することにより、混合比率が変更されても、燃焼器3に供給される混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIを一定にすることができる。
これにより、混合比率の変更前と変更後とで、燃料供給装置10から燃焼器3に供給される混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIが変動することが抑制される。そのため、混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIの変化に起因する、燃焼器3の内部における燃焼振動の発生が抑制される。
燃焼振動は、燃焼器3の内部において発生する圧力変動であり、過大な燃焼振動は、燃焼器3及びタービン部品の劣化(損傷)をもたらす。また、第1燃料G1である天然ガスの主成分はメタンである。メタンは、エタン、プロパンなどの他の炭化水素成分に比べて燃焼速度が遅く、燃焼性が悪い。そのため、第1燃料G1(天然ガス)と第2燃料G2(他のガス)とを混合して、混合燃料Gm中のメタン濃度が変化すると、燃焼性が変化し、その結果、燃焼振動が発生する可能性がある。
本実施形態においては、モディファイドウォッベ指数MWIを一定に維持することにより、燃焼振動が抑制される。燃焼振動が抑制されることにより、燃焼器3において燃焼が不安定になること、及び燃焼器3及びタービン部品が劣化することなどが抑制される。したがって、燃焼器3及びガスタービン1の性能の低下が抑制される。
また、混合比率が変更されてもモディファイドウォッベ指数MWIが一定になるように混合燃料Gmの温度が調整されることによって、燃焼調整作業の再実行を回避できるなど、作業の負担を低減することができる。
また、本実施形態においては、混合比率が設定された後、その設定された混合比率に基づいて混合燃料Gmの温度が調整される方法である。モディファイドウォッベ指数MWIを一定にするために、温度が一定に維持された状態で混合比率が調整される方法に比べて、モディファイドウォッベ指数MWIを一定にするための処理が円滑に行われる。
また、本実施形態においては、混合比率の変更において、混合比率設定部21から混合比率を変更する指令信号が出力される。第1供給量調整装置13及び第2供給量調整装置14のそれぞれは、混合比率設定部21から出力された混合比率を変更する指令信号に基づいて、変更比率を変更するための動作を開始する。本実施形態においては、混合比率を変更するための動作を開始する時点taにおいて目標温度Trを変更する処理が行われる。また、本実施形態において、温度調整装置16は、変更後の混合比率に対応する目標温度Trに基づいて、混合燃料混合燃料Gmの温度調整を開始する。すなわち、時点taに基づいて、変更後の目標温度Trに基づく混合燃料Gmの温度調整の開始時点が規定される。したがって、混合比率の変更後、その変更後の混合比率に対応する目標温度Trに基づく温度調整装置16による温度調整が適切な時点で開始される。
また、本実施形態においては、第1燃料G1の特性情報及び第2燃料G2の特性情報が事前に測定され、その第1燃料G1の特性情報が第1燃料データベース22に記憶され、第2燃料G2の特性情報が第2燃料データベース23に記憶される。温度設定部25は、第1燃料データベース22の記憶情報と、第2燃料データベース23の記憶情報と、混合比率設定部21で設定された混合比率とに基づいて、混合燃料Gmの目標温度Trを設定する。これにより、温度設定部25は、目標温度Trの設定を迅速に行うことができる。
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図8は、本実施形態に係る燃料供給装置10の一例を示す機能ブロック図である。本実施形態において、燃料供給装置10は、温度調整装置16で調整される混合燃料Gmの実温度Tgの変化率に基づいて、第1燃料G1の混合比率k1の変化率及び第2燃料G2の混合比率k2の変化率を調整する混合比率変化率調整部26を備えている。
本実施形態において、混合比率変化率調整部26は、温度調整装置16で温度調整されたる混合燃料Gmの実温度Tgの変化率に基づいて、第1供給量調整装置13の第1燃料第1燃料G1の供給量の変化率及び第2供給量調整装置14の第2燃料G2の供給量の変化率のそれぞれを調整する。
本実施形態において、混合比率の変化率とは、単位時間当たりの混合比率の変化量(変化速度)である。温度の変化率とは、単位時間当たりの温度の変化量(変化速度)である。供給量の変化率とは、単位時間当たりの供給量の変化量(変化速度)である。
時点taにおいて混合燃料Gmの目標温度Trが目標温度Tr1から目標温度Tr2に変更された場合、時点taにおいて温度調整装置16がその目標温度Tr2に基づいて混合燃料Gmの温度調整を開始したとしても、例えば、温度調整装置16の熱伝達遅れ、及び混合燃料Gmの熱容量などに起因して、混合燃料Gmの実温度Tgに、制御遅れ(温度調整遅れ)が発生する可能性がある。
図9は、制御遅れの一例を説明するための図である。図9において、横軸は、時間であり、縦軸は、混合燃料Gmの温度(ガス温度)である。時点taにおいて、第1燃料G1と第2燃料G2との混合比率が第1の混合比率から第2の混合比率に変更される。時点taにおいて、温度調整装置16は、目標温度Tr2に基づいて混合燃料Gmの温度調整を開始する。制御遅れにより、時点taにおいて、混合燃料Gmの実温度Tgは、目標温度Tr1から目標温度Tr2に直ちに変化しない。混合燃料Gmの実温度Tgは、目標温度Tr1から目標温度Tr2に徐々に変化し、時点taから所定時間(遅れ時間)Hb経過後の時点tbにおいて、目標温度Tr2に達する。
図10は、混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIの変化の一例を示す模式図である。図10は、実温度Tgに制御遅れが発生しているにも関わらず、その制御遅れを考慮せずに、第1供給量調整装置13及び第2供給量調整装置14が作動した例を示す。図10は、時点taにおいて、配管41の開口率Pが開口率Paから開口率Pbに瞬時に変更され、配管42の開口率Qが開口率Qaから開口率Qbに瞬時に変更された例を示す。すなわち、第1燃料G1の供給量が、第1の混合比率に対応する供給量から第2の混合比率に対応する供給量に瞬時に変更され、第2燃料G2の供給量が、第1の混合比率に対応する供給量から第2の混合比率に対応する供給量に瞬時に変更された例を示す。
時点taにおいて、実温度Tgが目標温度Tr2に変化しきれていないにもかかわらず、開口率Pが目標温度Tr2に対応した開口率Pbに変更され、開口率Qが目標温度Tr2に対応した開口率Qbに変更される。その結果、モディファイドウォッベ指数MWIが大きく変動し、図10に示すように、許容範囲を逸脱する可能性がある。
本実施形態において、混合比率変化率調整部26は、実温度Tgの制御遅れを考慮して、第1燃料G1の混合比率k1の変化率、及び第2燃料G2の混合比率k2の変化率のそれぞれを調整する。
第1燃料G1の混合比率k1の調整は、第1供給量調整装置13の第1燃料G1の供給量の調整を含む。第2燃料G2の混合比率k2の調整は、第2供給量調整装置14の第2燃料G2の供給量の調整を含む。
したがって、混合比率変化率調整部26は、実温度Tgの制御遅れを考慮して、第1供給量調整装置13の第1燃料G1の供給量の変化率、及び第2供給量調整装置14の第2燃料G2の供給量の変化率のそれぞれを調整する。
すなわち、混合比率変化率調整部26は、温度調整装置16で調整される混合燃料Gmの実温度Tgの変化率に基づいて、第1供給量調整装置13の第1燃料G1の供給量の変化率及び第2供給量調整装置14の第2燃料G2の供給量の変化率のそれぞれを調整する。
本実施形態において、第1燃料G1の供給量の調整は、配管41の流路の開口率Pの調整を含む。第2燃料G2の供給量の調整は、配管42の流路の開口率Qの調整を含む。
したがって、混合比率変化率調整部26は、温度調整装置16で調整される混合燃料Gmの実温度Tgの変化率に基づいて、開口率Pの変化率及び開口率Qの変化率を調整する。開口率の変化率とは、単位時間当たりの開口率の変化量(変化速度)である。
図11は、実温度Tgの制御遅れを考慮して変化率が調整された第1燃料G1の混合比率k1’、及び第2燃料G2の混合比率k2’を示す。図11に示すように、実温度Tgの制御遅れを考慮して、第1燃料G1の混合比率k1’、第2燃料G2の混合比率k2’のそれぞれは、時点taからゆっくりと変化する。
実温度Tgの時定数をt1としたとき、混合比率k1’及び混合比率k2’は、以下の(6)式及び(7)式で定義される。時定数t1は、実温度Tgの制御遅れを考慮して定められる。
図12は、実温度Tgの制御遅れを考慮して、第1燃料G1の混合比率k1’の変化率、及び第2燃料G2の混合比率k2’の変化率が調整されたときの、混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIの変化の一例を示す模式図である。実温度Tgに制御遅れが発生する場合、実温度Tgの制御遅れを考慮して、混合比率の変化率(供給量の変化率、開口率の変化率)が調整されることにより、図12に示すように、モディファイドウォッベ指数MWIは、許容範囲に収まる。
以上説明したように、実温度Tgに制御遅れが発生する場合、温度調整装置16で調整される混合燃料Gmの実温度Tgの変化率に基づいて、混合比率の変更の前後においてモディファイドウォッベ指数MWIが許容範囲を逸脱しないように、第1燃料G1の混合比率k1’の変化率及び第2燃料G2の混合比率k2’の変化率が調整されることによって、混合比率が変更された場合でも、混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIを許容範囲に収めることができる。したがって、燃焼振動の発生が抑制され、燃焼器3及びガスタービン1の性能の低下が抑制される。
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態においては、混合比率変化率調整部26が、温度センサ17の検出結果(検出値Tm)と温度センサ17の検出遅れとを考慮して推定された混合燃料Gmの実温度推定値Testに基づいて、混合比率の変化率を調整する例について説明する。
時点taにおいて、第1燃料G1と第2燃料G2との混合比率が第1の混合比率から第2の混合比率に変更される。時点taにおいて、混合燃料Gmの目標温度Trが目標温度Tr1から目標温度Tr2に変更される。時点taにおいて、温度調整装置16は、温度センサ17の検出値Tmに基づいて、混合燃料Gmの温度が目標温度Tr2になるように、混合燃料Gmの温度調整を開始する。温度センサ17に検出遅れが発生する場合、時点taにおいて、温度調整装置16が目標温度Tr2になるように混合燃料Gmの温度調整を開始しても、温度センサ17の検出遅れに起因して、混合燃料Gmの温度調整が精度良く行われない可能性がある。
すなわち、温度センサ17に検出遅れが発生する場合、実温度Tgとは異なる温度センサ17の検出値Tmに基づいて、混合比率k1の変化率及び第2燃料G2の混合比率k2の変化率が調整されることとなる。温度センサ17の検出遅れが考慮されない場合、制御装置20は、温度センサ17に騙された状態で、混合比率の変化率を調整してしまうこととなる。その結果、モディファイドウォッベ指数MWIが許容範囲から逸脱してしまう可能性がある。
温度センサ17の検出遅れが発生する場合、例えば、時点taにおいて実温度Tgが目標温度Tr2に変化したにもかかわらず、検出値Tmに基づいて第1燃料G1の供給量(開口率P)及び第2燃料G2の供給量(開口率Q)が調整されると、第1燃料G1の供給量(開口率P)及び第2燃料G2の供給量(開口率Q)は、目標温度Tr2に対応した値に変更されない可能性がある。その結果、モディファイドウォッベ指数MWIが大きく変動し、許容範囲を逸脱する可能性がある。
本実施形態においては、温度センサ17の検出値Tmと温度センサ17の検出遅れとを考慮して、実温度推定値Testが導出される。その実温度推定値Testに基づいて、混合比率の変化率が調整される。
温度センサ17の時定数をt2、温度センサ17の検出値をTmとしたとき、実温度推定値Testは、以下の(8)式で定義される。時定数t2は、温度センサ17の制御遅れを考慮して定められる。
制御装置20は、モディファイドウォッベ指数MWIが許容範囲を逸脱しないように、温度センサ17の検出値Tmと温度センサ17の検出遅れとを考慮して推定された混合燃料Gmの実温度推定値Testに基づいて、混合比率の変化率を調整する。温度センサ17の検出遅れのみならず、温度調整装置16による実温度Tgの制御遅れも発生する場合、制御装置20は、実温度Tgの制御遅れ及び温度センサ17の検出遅れの両方を考慮して、混合比率k1及び混合比率k2のそれぞれをゆっくりと変化させる。これにより、モディファイドウォッベ指数MWIが許容範囲から逸脱することが抑制される。
また、本実施形態において、混合比率変化率調整部26は、温度センサ17の検出値Tmと温度センサ17の検出遅れとを考慮して推定された混合燃料Gmの実温度推定値Testに基づいて、第1燃料G1の混合比率k1の制限値(上限値及び下限値)と、第2燃料G2の混合比率k2の制限値(上限値及び下限値)とを規定する。混合比率変化率調整部26は、その規定された混合比率の制限値に基づいて、モディファイドウォッベ指数MWIが許容範囲を逸脱しないように、混合比率の変化率を調整する。
なお、上述の実施形態と同様、混合比率を変更するための動作は、第1供給量調整装置13により配管41の流路の開口率Pを変更する動作、及び第2供給量調整装置14により配管42の流路の開口率Qを変更する動作を含む。
図13は、第1燃料G1の混合比率k1の上限値及び下限値の一例を示す図である。図13において、横軸は、温度センサ17の検出値及びその温度センサ17の検出遅れを考慮して推定される混合燃料Gmの実温度推定値Testを示す。縦軸は、第1燃料G1の混合比率k1を示す。図13に示す実温度推定値Testと第1燃料G1のk1との関係は、事前の実験(予備実験)により求められる。第2燃料G2の混合比率k2の制限値(上限値及び下限値)は、k2=1−k1により求められる。実温度推定値Testと第1燃料G1の混合比率k1の制限値との関係、及び実温度推定値Testと第2燃料G2の混合比率k2の制限値との関係は、制御装置20の記憶部に記憶される。
混合比率の制限値とは、実温度推定値Testにおいて、その制限値を逸脱しなければモディファイドウォッベ指数MWIを許容範囲に収めることができる値である。上述のように、混合比率の制限値は、予備実験により求められてもよい。なお、混合比率の制限値が、シミュレーションにより求められてもよい。制御装置20は、実温度推定値Testに基づいて混合比率を変化させる場合、混合比率が制限値を逸脱しないように、その混合比率をゆっくりと変化させる。これにより、モディファイドウォッベ指数MWIは、許容範囲に収まる。
以上説明したように、温度センサ17に検出遅れが発生する場合、実温度推定値Testに基づいて、第1燃料G1の混合比率k1の変化率及び第2燃料G2の混合比率k2の変化率を制限値の範囲内で調整することによって、混合比率を変更した場合でも、混合燃料Gmのモディファイドウォッベ指数MWIを許容範囲に収めることができる。したがって、燃焼振動の発生が抑制され、燃焼器3及びガスタービン1の性能の低下が抑制される。
<第4実施形態>
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態においては、混合比率を変更するための動作が開始されてから変更後の混合比率の混合燃料Gmが温度調整装置16に到達するまでの時間に基づいて、変更後の混合比率に対応する目標温度Tr2に基づく温度調整装置16による温度調整の開始時点が規定される例について説明する。
混合比率を変更するための動作(第1燃料G1の供給量を変更する動作及び第2燃料G2の供給量を変更する動作)が実行され、変更後の混合比率の混合燃料Gmが混合部15において生成されても、混合比率を変更するための動作が開始された時点及び直後の時点においては、温度調整装置16には、混合比率が変更される前の混合燃料Gmが存在する。その状態で、温度調整装置16が、変更後の混合比率に基づいて、混合燃料Gmの温度調整を開始してしまうと、変更前の混合比率の混合燃料Gmを、変更後の混合比率に対応する目標温度Tr2に基づいて温度調整してしまうこととなる。その結果、モディファイドウォッベ指数MWIが許容範囲を逸脱する可能性がある。
そこで、本実施形態においては、混合比率を変更するための動作が開始されてから変更後の混合比率の混合燃料Gmが温度調整装置16に到達するまでの時間Hcに基づいて、変更後の混合比率に対応する目標温度Tr2に基づく温度調整装置16による温度調整の開始時点tcを規定する。
図14は、本実施形態に係る混合燃料Gmの温度の変化の一例を示すタイミングチャートである。図14において、横軸は、時間であり、縦軸は、混合燃料Gmの温度(ガス温度)を示す。図14に示すように、時点taにおいて、混合比率を変更するための動作が開始される。上述の実施形態で説明したように、混合比率を変更するための動作は、第1供給量調整装置13により配管41の流路の開口率Pを変更する動作、及び第2供給量調整装置14により配管42の流路の開口率Qを変更する動作を含む。時点taにおいて、第1供給量調整装置13により、配管41の流路の開口率Paが開口率Pbに変更される。時点taにおいて、第2供給量調整装置14により、配管42の流路の開口率Qaが開口率Qbに変更される。
変更後の混合比率に対応する目標温度Tr2に基づく温度調整装置16による温度調整は、時点taから時間Hc経過後の時点tcにおいて開始される。時点tcまで、温度調整装置16は、変更前の混合比率に対応する目標温度Tr1に基づいて混合燃料Gmの温度調整を実行する。
時間Hcは、第1燃料G1が第1供給量調整装置13から混合部15を経て温度調整装置16まで移動(流動)するのに要する時間である。また、時間Hcは、第2燃料G2が第2供給量調整装置14から混合部15を経て温度調整装置16まで移動(流動)するのに要する時間である。時間Hcは、第1燃料G1の流速と第1供給量調整装置13から温度調整装置16までの距離とに基づいて求められる。また、時間Hcは、第2燃料G2の流速と第2供給量調整装置14から温度調整装置16までの距離とに基づいて求められる。時間Hcは、事前の実験(予備実験)により求められてもよいし、シミュレーションにより求められてもよい。
以上説明したように、第1供給量調整装置13又は第2供給量調整装置14から温度調整装置16までの燃料の流動遅れがある場合、混合比率を変更するための動作が開始されてから変更後の混合比率の混合燃料Gmが温度調整装置16に到達するまでの時間Hcが経過するまでは、変更前の混合比率に対応する目標温度Tr1に基づいて温度調整装置16による混合燃料混合燃料Gmの温度調整が行われ、時間Hcが経過する時点tcで、変更後の混合比率に対応する目標温度Tr2に基づいて温度調整装置16による混合燃料Gmの温度調整が開始される。これにより、混合比率に対応した適切な目標温度に基づいて混合燃料Gmを温度調整することができる。したがって、モディファイドウォッベ指数MWIが許容範囲を逸脱することが抑制される。
<第5実施形態>
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図15は、本実施形態に係る燃料供給装置10の一例を示す模式図である。本実施形態において、燃料供給装置10は、第1燃料G1の特性情報を検出する第1検出装置31と、第2燃料G2の特性情報を検出する第2検出装置32とを備えている。第1検出装置31は、第1燃料供給装置11と混合部15との間の配管41に配置される。第1検出装置31は、第1燃料供給装置11から送出され、混合部15に供給される前の第1燃料G1の特性を検出する。第2検出装置32は、第2燃料供給装置12と混合部15との間の配管42に配置される。第2検出装置32は、第2燃料供給装置12から送出され、混合部15に供給される前の第2燃料G2の特性を検出する。
第1検出装置31は、第1燃料G1の低位発熱量LHV1を検出可能なカロリー計、及び第1燃料G1の比重d1を検出可能な密度計を含む。第2検出装置32は、第2燃料G2の低位発熱量LHV2を検出可能なカロリー計、及び第2燃料G2の比重d2を検出可能な密度計を含む。第1検出装置31の検出信号及び第2検出装置32の検出信号は、制御装置20に出力される。
本実施形態においては、第1検出装置31の検出結果に基づいて、第1燃料データベース22の記憶情報が更新される。第2検出装置32の検出結果に基づいて、第2燃料データベース23の記憶情報が更新される。
第1燃料データベース22の記憶情報と、第1燃料供給装置11から供給される第1燃料G1の特性とにずれが生じる可能性がある。本実施形態においては、第1検出装置31で第1燃料供給装置11から供給される第1燃料G1の特性を検出し、その検出結果に基づいて、第1燃料データベース22の記憶情報を定期的に更新する。これにより、第1燃料データベース22の記憶情報と、第1燃料供給装置11から供給される第1燃料G1の特性(実特性)とのずれの発生を抑制できる。同様に、第2検出装置32の検出結果に基づいて、第2燃料データベース23の記憶情報が定期的に更新されることにより、第2燃料データベース23の記憶情報と、第2燃料供給装置12から供給される第2燃料G2の特性(実特性)とのずれの発生を抑制できる。したがって、混合燃料Gmの目標温度Trの設定を精度良く行うことができる。
なお、上述の各実施形態においては、第1の混合比率(k1a:k2a)において、第2燃料G2の混合比率k2aが0%であることとした。すなわち、第1の混合比率の混合燃料Gmに第2燃料G2が含まれないこととした。第1の混合比率の混合燃料Gmに、第1燃料G1及び第2燃料G2の両方が含まれてもよい。
なお、上述の各実施形態においては、第1の混合比率の混合燃料Gmを使って燃焼調整作業が行われ、第2の混合比率の混合燃料Gmを使ってガスタービン1の実働が行われることとした。第1の混合比率の混合燃料Gm及び第2の混合比率の混合燃料Gmのそれぞれを使ってガスタービン1の実働が行われてもよい。
なお、上述の各実施形態においては、第1燃料G1と第2燃料G2とが混合されることにより混合燃料Gmが生成されることとした。異なる3種類以上の複数の燃料が混合されることにより混合燃料Gmが生成されてもよい。
なお、上述の各実施形態においては、混合比率が変更されたときに、モディファイドウォッベ指数MWIの変動が抑制されるように、混合燃料Gmの温度を調整することとした。燃焼器3に供給する燃料の種類(性状、成分)を切り替えたときに、モディファイドウォッベ指数MWIの変動が抑制されるように、混合燃料Gmの温度を調整してもよい。例えば、燃焼器3に供給する燃料を、天然ガスから他のガスに切り替えたときに、モディファイドウォッベ指数MWIの変動が抑制されるように、混合燃料Gmの温度を調整してもよい。