JP2013238365A - 観測装置及び観測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来に比して演算に使用するデータ量を大幅に削減することが可能であり、幅広い分野において応用可能な物理現象の観測装置及び観測方法を提供する。
【解決手段】
ガスタービンモデル燃焼器の燃焼室内の圧力変動を圧力トランスデューサが検出し、圧力変動信号として出力する。出力された圧力変動信号の波形を、位相空間上の軌道に変換し、軌道から並進誤差を演算する。並進誤差を閾値と比較することで吹き消えの発生を推定し、2次燃料流量の目標値を設定する。得られた目標値に近づけるように2次燃料流量を制御することで、燃焼状態を制御する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、物理現象を非線形解析により観測する観測装置及び観測方法に関するものである。
例えば、ガスタービン燃焼器において振動燃焼及び吹き消えのような不安定な燃焼状態の発生は好ましくない。ガスタービンエンジンでは、かかる不安定な燃焼状態以外にも、回転翼フラッタ、旋回失速、及びサージ等の不安定な現象が発生することもある。また、ガスタービンエンジン以外の分野では、例えば熱交換器又は化学反応器において、流体の好ましくない不安定な流動状態が発生することがある。従来、かかる不安定な物理現象の発生を検知することが望まれている。
不安定な物理現象には、ガスタービン燃焼器における吹き消えのように突発的に発生するものがある。このような突発的に発生する不安定な物理現象は、周波数解析のような線形解析では正確に検知することができない。そこで、従来非線形解析を用いて、不安定な物理現象を検知する方法が開発されている。例えば特許文献1には、カオス時系列解析で用いられている手法を採用して、火炎のゆらぎを測定する方法が開示されている。特許文献1に記載の方法では、ターケンスの埋め込み定理を用いてアトラクタを再構成し、相関次元と最大リアプノフ指数とを求め、これらから燃焼状態を計測するようになっている。
特開2006−138517号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載の方法において用いられている相関次元及びリアプノフ指数は古典的な非線形動力学理論であり、特に相関次元では膨大なデータ点数の時系列データを必要とする。したがって、演算負荷が高く、しかもまとまった時系列データを取得した後にしか演算処理を行うことができない。このため、特許文献1に記載の方法は、物理現象の発生をリアルタイムに推定するような用途には向かず、その応用分野が限られる。
そこで、本発明は、従来に比して工業的に応用可能な分野が広い物理現象の観測装置及び観測方法を提供することを目的とする。
(1)本発明は、物理現象を非線形解析により観測する観測装置であって、時間的に変化する物理量を検出する検出部と、前記検出部により検出された物理量に関する並進誤差を演算する演算手段と、前記演算手段により演算された並進誤差に基づいて、特定の物理現象の発生を推定する推定手段と、を備えることを特徴とする物理現象の観測装置である。
上記本発明によれば、演算手段が物理量に関する並進誤差を演算する。この並進誤差は、従来に比して演算に使用する物理量のデータ数が少ない。また、並進誤差は、検出された物理量の時系列データをD次元の位相空間上の軌道に変換し、この軌道から任意の点を複数選択し、選択された各点に基づいて求められる。即ち、位相空間における次元数D、選択する軌道上の点数等を適宜設定することで、従来に比してデータ量を大幅に削減することが可能である。このため、従来に比して幅広い分野において応用可能である。
(2)前記検出部は、燃焼器の燃焼室内の圧力変動を検出し、検出された圧力変動信号を出力するように構成されており、前記演算手段は、前記検出部により出力された圧力変動信号に基づいて、圧力変動に関する並進誤差を演算するように構成されている。前記推定手段は、前記演算手段により演算された圧力変動の並進誤差に基づいて、前記燃焼器における燃焼の不安定の発生を推定するように構成されているのが好ましい。
この場合、燃焼器における燃焼状態を監視し、振動燃焼又は吹き消え等のような燃焼の不安定の発生を推定することができる。
(3)前記推定手段は、前記演算手段により演算された並進誤差に基づいて、前記燃焼の不安定として、前記燃焼器における吹き消えの発生を推定するように構成されているのが好ましい。
この場合、非周期的に変動する燃焼の不安定現象である吹き消えの発生を推定することができる。
(4)前記推定手段は、前記演算手段により演算された並進誤差を所定の閾値と比較し、前記並進誤差が前記所定の閾値よりも大きい場合に、前記吹き消えの発生を推定するように構成されているのが好ましい。
並進誤差が一定より大きくなれば、燃焼状態の周期性が崩れ、カオス的な振動が発生していると判断することができる。吹き消えが発生する直前には、燃焼状態がそれまでの状態から変化するため燃焼室内の圧力が変動し、これによって並進誤差が大きくなる。したがって、吹き消えが発生する場合における並進誤差の大きさを閾値として設定することにより、正確に吹き消えの発生を推定することができる。
(5)前記演算手段は、前記検出部により出力された圧力変動信号に基づいて、圧力変動に関する多次元の位相空間内において各時刻の圧力変動に対応する位置ベクトルを演算することにより、前記圧力変動信号の波形を前記位相空間における軌道に変換し、当該軌道に基づいて、前記並進誤差を演算するように構成されているのが好ましい。
(6)前記位相空間は、時刻tにおける圧力変動p’(t)、p’(t+τ)、p’(t+2τ)、…、p’(t+(D−1)τ)(τ:遅れ時間、D:位相空間の次元定数)の各独立変数によって規定される多次元空間であるのが好ましい。
(7)前記位相空間は、前記次元定数Dを3とした3次元の位相空間であるのが好ましい。
この場合、位相空間を規定する独立変数の数が3となり、並進誤差を演算するために用いられるデータ量を可及的に少なくすることができる。
(8)前記推定手段により吹き消えの発生が推定された場合に、前記吹き消えが発生しないように、前記燃焼器への燃料供給を制御する制御手段をさらに備えるのが好ましい。
この場合、吹き消えの発生を防ぐことができ、燃焼器において安定した燃焼状態を維持することができる。
(9)前記制御手段は、前記推定手段により吹き消えの発生が推定された場合に、前記燃焼器へ供給する燃料を増加させるように構成されているのが好ましい。
(10)前記制御手段は、前記演算手段によって演算された並進誤差の大きさに応じて、前記燃焼器へ供給する燃料を増加させるように構成されているのが好ましい。
燃焼状態は不安定になる程、並進誤差が大きくなる。したがって、並進誤差の大きさに応じて燃料を増加させることにより、燃焼状態の不安定さに応じた量の燃料が供給されることになり、安定した燃焼状態へ適切に遷移させることができる。
(11)前記観測装置は、前記検出部から出力される所定期間分の圧力変動信号を記憶する記憶部をさらに備え、前記演算手段は、前記記憶部に記憶された前記所定期間分の圧力変動信号に基づいて、圧力変動に関する並進誤差を演算するように構成されているのが好ましい。
(12)前記検出部は、所定周期で圧力変動の検出動作を繰り返すように構成されており、前記記憶部は、前記検出部から新たに出力された圧力変動信号によって、記憶する前記所定期間分の圧力変動信号を更新するように構成されているのが好ましい。
この場合、記憶部に記憶される圧力変動信号の更新に応じて、演算手段が繰り返し並進誤差を演算することで、継続して燃焼状態の監視を行うことが可能となる。
(13)前記燃焼器は、ガスタービンエンジン燃焼器であるのが好ましい。
(14)他の観点からみた本発明は、物理現象を非線形解析により観測する観測方法であって、時間的に変化する物理量を検出する検出ステップと、検出された物理量に関する並進誤差を演算する演算ステップと、演算された並進誤差に基づいて、特定の物理現象の発生を推定する推定ステップと、を有することを特徴とする物理現象の観測方法である。
本発明によれば、従来に比して演算に使用するデータ量を大幅に削減することが可能であり、幅広い分野において応用可能である。
実施形態に係る燃焼状態の監視装置の構成を示す模式図である。 信号解析装置の機能ブロックである。 アトラクタの軌道の作成方法を説明するための模式図である。 (A)は、平行度が高い場合の軌道群を示す模式図であり、(B)は、平行度が低い場合の軌道群を示す模式図である。 燃焼制御処理の手順を示すフローチャートである。 位相空間構築処理の手順を示すフローチャートである。 並進誤差演算処理の手順を示すフローチャートである。 2次燃料流量計算処理の手順を示すフローチャートである。 並進誤差の演算に使用される圧力変動信号の一例を示すグラフである。 実施形態に係る監視装置の性能評価試験の結果を示すグラフである。 燃焼室壁面の圧力変動振幅の二乗平均平方根と、当量比との関係を示すグラフである。 並進誤差と、当量比との関係を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
以下では、ガスタービン燃焼器の燃焼状態を監視する監視装置の構成及びその動作について説明する。
[1.監視装置の構成]
本実施形態に係る監視装置は、ガスタービンモデル燃焼器(ガスタービンエンジン燃焼器の部分要素を模擬した燃焼器)の燃焼状態を並進誤差を用いて解析し、吹き消えの発生を推定するものである。まず、監視装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る燃焼状態の監視装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、この監視装置100は、ガスタービンモデル燃焼器1と、圧力トランデューサ2と、制御部3と、燃料タンク4と、コンプレッサ5とを備えている。
ガスタービンモデル燃焼器1は、燃料と空気の混合気を燃焼させる予混合燃焼器(希薄予混合燃焼器)である。ガスタービンモデル燃焼器1は、燃焼室11と、水冷室12と、インテーク部13と、図示しないスワーラとを具備する。かかるガスタービン燃焼器1は、コンプレッサ5から供給される空気と、燃料タンク4から供給されるメタンとをインテーク部で混合させて予混合気を形成し、スワーラによって当該予混合気に旋回を与えながら燃焼室11で燃焼させる構成である。
なお、燃焼器1は、ジェットエンジンや産業用ガスタービンエンジンの燃焼器であってもよい。
燃焼室11には、圧力トランスデューサ2が取り付けられている。かかる圧力トランスデューサ2により、燃焼室11壁面位置の圧力変動を検出するようになっている。圧力トランスデューサ2は、検出した圧力変動に応じた電圧信号である圧力変動信号を出力するようになっている。
圧力トランスデューサ2には、増幅器21が接続されており、圧力トランスデューサ2から出力された圧力変動信号は増幅器21によって増幅される。
制御部3は、信号解析装置31と、マスフローコントローラ32,33とを具備する。信号解析装置31は、以下に説明する燃焼制御処理を実行するコンピュータプログラムをコンピュータにインストールして構成されたものであり、信号解析装置31における各種の機能は、このコンピュータプログラムによって実現されている。
なお、前記コンピュータは、演算処理装置、記憶部、入出力デバイス等を有している。
図2は、信号解析装置31の機能ブロックを示している。この信号解析装置31は、圧力変動信号入力部311、記憶部312、位相空間構築部313、並進誤差演算部314、閾値設定部315、吹き消え発生推定部316、2次燃料流量計算部317、及び2次燃料流量制御部318としての機能を有している。
圧力変動信号入力部311は、圧力トランスデューサ2から出力され、増幅器21によって増幅された圧力変動信号を受信するためのものである。
記憶部312は、所定期間(例えば、100msec)の圧力変動信号を記憶するためのものである。燃焼室11の圧力変動は、圧力トランスデューサ2によって検出され、時系列の圧力変動信号として出力される。圧力変動信号入力部4311により取り込まれた圧力変動信号は、FIFO形式で記憶部312に記憶される。つまり、かかる記憶部312には、新たな圧力変動信号が追加されると、古い圧力変動信号(約100msec前に記憶された圧力変動信号)が消去される。このように記憶部312の圧力変動信号が更新されることにより、常時100msecの期間の圧力変動信号が記憶されるようになっている。
位相空間構築部313は、記憶部312に記憶されている100msec分の圧力変動信号に基づいて、仮想的な位相空間上にアトラクタの軌道を作成するためのものである。
ここで、アトラクタの軌道の作成について説明する。図3は、アトラクタの軌道の作成方法を説明するための模式図である。記憶部312に記憶されている圧力変動信号は、N個のデータ点からなる時系列データ{p’(t)}i=1 Nである。この時系列データ{p’(t)}i=1 Nについて、D個の独立変数p’(t),p’(t+τ),p’(t+2τ),…,p(t+(D−1)τ)を考える。ここで、Dは次元定数、τは所定の遅れ時間である。D個の独立変数p’(t),p’(t+τ),p’(t+2τ),…,p’(t+(D−1)τ)によって規定されるD次元の位相空間を想定し、時系列データ{p’(t)}t=0 N−1から当該位相空間上の位置ベクトルX(t)=(p’(t),p’(t+τ),p’(t+2τ),…,p’(t+(D−1)τ))(但し、j=1,2,…,N−(D−1)τ)を求め、アトラクタの軌道を描く。
本実施形態ではDを3とする。つまり、記憶部312に記憶されている圧力変動信号の波形を、独立変数p’(t),p’(t+τ),p’(t+2τ)で規定される3次元の位相空間上の軌道に変換する。図3を用いてこれを説明する。圧力変動信号から、時刻tにおける圧力変動p’(t)と、時刻t+τにおける圧力変動p’(t+τ)と、時刻t+2τにおける圧力変動p’(t+2τ)とを抽出し、位置ベクトルX(t)=(p’(t),p’(t+τ),p’(t+2τ))を求める。同様に、位置ベクトルX(t)=(p’(t),p’(t+τ),p’(t+2τ)),X(t)=(p’(t),p’(t+τ),p’(t+2τ)),…を求める。これらの位置ベクトルX(t),X(t),X(t),…を位相空間上にアトラクタとして描き、アトラクタの軌道を作成する。
並進誤差演算部314は、位相空間構築部313によって作成されたアトラクタの軌道から、並進誤差を演算するためのものである。上述したアトラクタは、圧力変動が規則的であれば概ね一定の経路を繰り返し通過する規則的な環状の軌道を描き、圧力変動が不規則になるにつれて、軌道の形状が崩れていく。このことを、図4(A)(B)を用いて説明する。圧力変動が規則的な場合、位相空間内の軌道に決定論的な特徴が残っている。つまり、図4(A)に示すように、位相空間の局所領域に含まれる軌道群の平行度が高い。他方、圧力変動の規則性が崩れてくると、位相空間内の軌道に決定論的な特徴が少なくなっていく。圧力変動の不規則性が極めて強い場合(ランダム的な場合)、図4(B)に示すように、位相空間の局所領域に含まれる軌道群は互いに交差し、平行度は低くなる。
並進誤差演算部314は、上記のような軌道群の平行度を評価するための指標として、並進誤差を演算する。以下、本実施形態に係る並進誤差の演算方法について説明する。まず、ランダムに選択した時刻tにおける位相空間内の位置ベクトルX(t)を基準点とし、当該基準点X(t)と軌道群上の各点間のユークリッド距離を算出する。基準点X(t)との距離が短いものから順に、K個(本実施形態ではK=5)の最近傍ベクトルX(t)(k=1,2,…,K)を決定する。基準点をX(t)として、基準点X(t)及び最近傍ベクトルX(t)(k=1,2,…,K)からなる位置ベクトルX(t)(k=0,1,2,…,K)を考える。位置ベクトルX(t)からTだけ時間が経過した後の位置ベクトルはX(t+T)になる。このとき、時間の経過に伴う各軌道の変化は式(1)により近似的に表される。また、v(t)の方向の分散は、並進誤差Etransとして式(2)により表される。
ここでX(t)を無作為にM個(本実施形態ではM=100)選択し、その中央値を並進誤差Etransとして求める。ここで平均値を用いると一部のデータに飛躍した大きさの値が出た場合に、並進誤差Etransに大きな影響を与える恐れがあることから、より信憑性のある値を得る為に中央値を用いている。
本実施形態では上記の並進誤差の演算を100msec毎に繰り返し、リアルタイムでの観測を行う。
閾値設定部315は、吹き消えが発生するか否かを判定するための閾値Etrans,threを設定するためのものである。本実施形態においては、閾値Etrans,threはコンピュータのハードディスク等に記憶されており、閾値設定部315がこの記憶された閾値Etrans,threを読み出し、RAMに設定値として格納することで設定する。なお、閾値設定部315は、ユーザから閾値Etrans,threを示す情報を受け付けて当該閾値Etrans,threを設定値として記憶部に記憶するものであってもよいし、他のソフトウェアから与えられた閾値情報を受け付けて記憶部に設定値として記憶するものであってもよい。
吹き消え発生推定部316は、並進誤差演算部314によって演算された並進誤差に基づいて、吹き消えの発生を推定するためのものである。燃焼室内の燃焼状態が不安定になる程、位相空間内の局所領域における軌道群の平行度は低くなる。つまり、燃焼状態が不安定な吹き消えが発生する直前には、安定した燃焼状態のときに比べて並進誤差Etransが大きくなる。そこで、吹く消え発生推定部316は、並進誤差Etransと閾値設定部315により設定された閾値Etrans,threとを比較して、並進誤差Etransが閾値Etrans,threより大きい場合に、吹き消えの発生に近づくと推定する。
2次燃料流量計算部317は、吹き消え発生推定部316による推定結果に基づいて、2次燃料流量を計算するためのものである。後述するように、燃料タンク4から延びる燃料供給路は途中で分岐しており、一方が主燃料供給路、他方が2次燃料供給路となっている(図1参照)。2次燃料流量計算部317は、この2次燃料供給路から供給される2次燃料の流量を計算する。並進誤差Etransが大きい程、燃焼状態は不安定であるといえる。並進誤差Etransが大きい程、吹き消えの発生が近いことが推定される。吹き消えは予混合気の当量比が小さいときに発生する現象であり、吹き消えの発生を解消するためには、当量比を増大させる必要がある。そこで、2次燃料流量計算部317は、並進誤差Etransと閾値Etrans,threの差が大きくなるにしたがって、2次燃料流量を増大させる。具体的には、式(3)にしたがって2次燃料流量の変化量を計算し、その時点における2次燃料流量に対して、当該変化量だけ変化させた値を、2次燃料流量の目標値として決定する。
2次燃料流量制御部318は、2次燃料流量計算部によって決定された2次燃料流量の目標値に近づけるよう、2次燃料流量を制御するためのものである。かかる2次燃料流量制御部318は、2次燃料供給路の途中に設けられたマスフローコントローラ33に、前記目標値を示す情報を出力する。
マスフローコントローラ32は、主燃料供給路の途中に設けられている。かかるマスフローコントローラ32は、信号解析装置31に接続されており、信号解析装置31から出力される制御信号にしたがって、主燃料供給路における主燃料流量を制御する。
マスフローコントローラ33は、2次燃料供給路の途中に設けられている。かかるマスフローコントローラ33は、信号解析装置31に接続されており、信号解析装置31から出力される制御信号(目標値を示す情報)にしたがって、2次燃料流量を目標値に近づけるよう制御する。
燃料タンク4は、燃料であるメタンを収容する。かかる燃料タンク4からは燃料供給路が延びており、ガスタービンモデル燃焼器1のインテーク部13に接続されている。
コンプレッサ5は、酸化剤である酸素を含有する空気を供給する。かかるコンプレッサ5からは空気供給路が延びており、ガスタービンモデル燃焼器1のインテーク部13に接続されている。
空気供給路の途中には、マスフローコントローラ51が設けられている。かかるマスフローコントローラ51は、与えられた設定値にしたがって、ガスタービンモデル燃焼器1へと供給される空気流量を制御する。
[2.監視装置の動作]
以下、監視装置100の動作について説明する。
信号解析装置31の指示に応じて、マスフローコントローラ32及び33のそれぞれが、主燃料流量及び2次燃料流量を制御し、これによって燃料タンク4からメタンが供給される。また、コンプレッサ5からは空気が供給され、その供給量はマスフローコントローラ51によって制御される。
燃料タンク4から供給されるメタン及びコンプレッサ5から供給される空気は、インテーク部13に取り込まれる。インテーク部13は、燃料と空気とを混合して混合気を生成する。生成された混合気は、スワーラによって旋回され、燃焼室11へと導入され、混合気が燃焼される。
圧力トランスデューサ2によって、燃焼室の圧力変動が検出される。圧力トランスデューサ2から出力される圧力変動信号は、増幅器21によって増幅され、信号解析装置31に与えられる。
信号解析装置31は、燃焼制御処理を実行し、これによって求められた目標値を示す制御信号をマスフローコントローラ33へ出力する。マスフローコントローラ33は、目標値に近づけるよう2次燃料流量を制御する。このようにして、ガスタービンモデル燃焼器1の燃焼状態がフィードバック制御される。
以下、信号解析装置31による燃焼制御処理について説明する。図5は、燃焼制御処理の手順を示すフローチャートである。まず、圧力変動信号の取得が行われる(ステップS1)。この処理では、圧力変動信号入力部311が、入力された圧力変動信号を記憶部312に記憶する。ここで、記憶部312には100msec分の圧力変動信号の時系列データが格納される。
次に、位相空間構築処理が実行される(ステップS2)。位相空間構築処理では、位相空間構築部313が、記憶部312に記憶されている圧力変動信号に基づいて、位相空間におけるアトラクタの軌道を作成する。
図6は、位相空間構築処理の手順を示すフローチャートである。位相空間構築処理では、まず、圧力変動データの正規化が行われる(ステップS21)。続いて、変数jが初期値である1に設定される(ステップS22)。さらに、その時点におけるjについて、位置ベクトルX(t)=(p’(t),p’(t+τ),p’(t+2τ))が算出される(ステップS23)。
次に、jが上限値である500−2τに達したか否かが判定され(ステップS24)、jが500−2τに達していない場合には(ステップS24においてNO)、jが1だけインクリメントされる(ステップS25)。この後、ステップS23に処理が移り、その時点におけるjについて、位置ベクトルX(t)が算出される。
ステップS24において、jが500−2τに達している場合には(ステップS24においてYES)、メインルーチンにおける位相空間構築処理の呼び出しアドレスに処理が戻される。
以上の位相空間構築処理により、500−2τ点の位置ベクトルX(t)、即ちアトラクタの時系列データ群が算出され、位相空間上のアトラクタの軌道が作成される。
燃焼制御処理において、次に、並進誤差演算処理が実行される(ステップS3)。並進誤差演算処理では、並進誤差演算部314が、位相空間上のアトラクタの軌道に基づいて、並進誤差Etransを演算する。
図7は、並進誤差演算処理の手順を示すフローチャートである。並進誤差演算処理では、まず、位相空間の軌道において、M個の局所領域の基準点が無作為に決定される(ステップS31)。次に、変数iが初期値である1に設定される(ステップS32)。
続いて、基準点X(t)の最近傍ベクトルがK個選択される(ステップS33)。そして、基準点及び最近傍ベクトルからなる位置ベクトルX(t)(k=0,1,2,…,K)のそれぞれにおけるベクトルv(t)が式(1)にしたがって算出される(ステップS34)。続いて、並進誤差Etransが、式(2)にしたがって算出される(ステップS35)。
次に、iが上限値であるMに到達したか否かが判定され(ステップS36)、iがMに達していない場合には(ステップS36においてNO)、iが1だけインクリメントされる(ステップS37)。その後、処理がステップS33に移る。
ステップS36において、iがMに達している場合には(ステップS36においてYES)、演算されたM個の並進誤差の中央値が選択され、これが並進誤差Etransとされる(ステップS38)。ステップS38の処理が終わると、メインルーチンにおける並進誤差演算処理の呼び出しアドレスに処理が戻される。
燃焼制御処理において、次に、2次燃料流量計算処理が実行される(ステップS4)。図8は、2次燃料流量計算処理の手順を示すフローチャートである。まず、2次燃料流量計算処理では、閾値Etrans,threが設定される(ステップS41)。この処理では、閾値設定部315が、閾値Etrans,threをハードディスク等から読み出し、RAMに格納することで閾値Etrans,threを設定する。
次に、その時点における2次燃料流量QCH4,secondが算出される(ステップS42)。この処理では、2次燃料流量計算部317が、マスフローコントローラ33の設定値等を用いて、その時点における2次燃料流量QCH4,secondを算出する。
次に、2次燃料流量の変化量ΔQCH4,secondが算出される(ステップS43)。この処理では、吹き消え発生推定部316が、並進誤差Etransと閾値Etrans,threとを比較することにより吹き消えの発生を推定し、並進誤差Etransと閾値Etrans,threとの差に応じた2次燃料流量の変化量ΔQCH4,secondを式(3)にしたがって算出する。
次に、2次燃料流量の目標値が算出される(ステップS44)。この処理では、2次燃料流量計算部317が、ステップS42において算出されたその時点における2次燃料流量QCH4,secondと、ステップS43において算出された2次燃料流量の変化量ΔQCH4,secondとを加算することにより、2次燃料流量QCH4,secondの目標値を算出する。ステップS44の処理が終わると、メインルーチンにおける2次燃料流量計算処理の呼び出しアドレスに処理が戻される。
燃焼制御処理において、次に、2次燃料流量制御処理が実行される(ステップS5)。この処理では、2次燃料流量制御部318が、ステップS4において算出された目標値を示す制御信号をマスフローコントローラ33へ送信し、これによって目標値に近づけるように2次燃料流量を制御する。
ステップS5の処理が終わると、燃焼制御処理を終了するか否かが判定される(ステップS6)。この処理では、例えばユーザから信号解析装置31に動作の停止が指示される等、所定の終了条件が満たされた場合に、燃焼制御処理を終了すると判定される。燃焼制御処理を終了しないと判定された場合には(ステップS6においてNO)、ステップS1に処理が戻され、これによって100msec毎に上記のステップS1〜S6の処理が繰り返し実行される。他方、ステップS6において燃焼制御処理を終了すると判定された場合には(ステップS6においてYES)、燃焼制御処理が終了される。
上記のように、燃焼制御処理は、100msec毎に繰り返し実行される。つまり、図9に示すように、100msecの期間分の圧力変動信号から、位相空間上のアトラクタの軌道が作成され、並進誤差Etransが算出される。かかる並進誤差Etransが100msec毎に算出され、100msec毎にガスタービンモデル燃焼器1の燃焼状態がリアルタイム制御される。
[3.評価試験結果]
本願発明者らは、本実施形態に係る観測装置100の性能評価試験を実施した。図10は、この性能評価試験の結果を示すグラフである。図10に示すように、主燃料の流量を約10L/minの初期値から、約5L/minまで一定の比率で減少させ、その後約5L/minの流量を維持した。吹き消えの発生限界は燃料の総流量が約7L/minのときであり、主燃料流量はこの限界を下回るまで変化させられることになる。本実施形態に係る観測装置100では、主燃料流量が約9L/min付近に至った時点でフィードバック制御が掛かり、2次燃料の供給が開始された。この結果、吹き消えの発生限界より上の9L/min付近で総燃料流量が維持され、吹き消えの発生が回避された。
また、当量比Φについては、吹き消えの発生限界が約0.48である。主燃料流量の減少に伴って、当量比Φも減少するが、吹き消え発生限界の約0.48を上回る約0.6に至った時点でフィードバック制御が掛かり、当量比が約0.6で維持されていることが分かる。
二酸化炭素及びNOの発生を低減させるために、予混合気を可及的に希薄化させることが望まれている。しかしながら、予混合気が希薄すぎると、吹き消えが発生することになり、安定した燃焼状態を維持することができない。本評価試験結果からは、本実施形態に係る観測装置100が、吹き消えの発生を回避しつつ、吹き消え発生限界付近の低当量比を維持することが分かる。このように、本実施形態に係る観測装置100によれば、安定した希薄予混合燃焼を維持することができる。
図11は、燃焼室内の圧力変動振幅の二乗平均平方根P’rmsと、当量比との関係を示すグラフであり、図12は、並進誤差と、当量比との関係を示すグラフである。図11に示すように、当量比0.65が振動燃焼の発生限界であり、当該発生限界を上回る当量比においては、圧力変動振幅が非常に高い。他方、当量比0.65の振動燃焼の発生限界以下の範囲では、圧力変動振幅は非常に低い。当量比0.47付近に吹き消えの発生限界が存在するが、当量比0.65から0.55に至るまでの変化は緩やかで、更に0.55から吹き消え発生に至るまでは圧力変動振幅は概ね一定である。このため、圧力変動そのものを用いて燃焼状態の観測を行っても、吹き消えの発生を推定することは困難であることが分かる。
図12に示すように、当量比0.75から当量比0.65に至るまでの範囲では、並進誤差Etransは比較的低いレベルで推移する。振動燃焼の発生限界である当量比0.65の前後では、並進誤差Etransの値は顕著に異なり、当量比0.65以下の範囲では、当量比0.65を上回る範囲に比べて並進誤差Etransが非常に高くなっている。また、当量比0.65から吹き消え発生限界の当量比0.47に至るまで、当量比が減少するにしたがって、並進誤差Etransは増加している。このことから、吹き消え限界付近における並進誤差Etransの値(例えば、0.6〜0.8)を閾値Etrans,threとして設定することで、吹き消えの発生を適切に推定することができる。
このように、並進誤差Etransを用いた本実施形態に係る燃焼状態の観測方法は、吹き消えの発生の推定に好適であることが分かる。また、上記のように振動燃焼の発生限界である当量比0.65の前後でも並進誤差Etransの値が顕著に異なることから、振動燃焼の発生の推定にも好適であることが分かる。
上記の如く、本実施形態に係る観測装置100によれば、圧力変動に関する並進誤差を演算する構成としたことにより、従来に比して演算に使用する圧力変動のデータ数が少なくて済む。また、位相空間の次元及び位相空間の軌道において選択する近傍点の数を適宜設定することにより、従来に比して演算に使用するデータ量を少なくすることができる。したがって、リアルタイム観測が可能になるなど、従来に比して幅広い分野に応用可能である。
また、本実施形態に係る観測装置100によれば、位相空間の次元を3としている。このため、演算に使用するデータ数を可及的に少なくしながら、燃焼状態の決定論的な特徴を正確に表した並進誤差を求めることができ、正確に吹き消えの発生を推定することができる。
また、本実施形態に係る観測装置100によれば、並進誤差Etransと閾値Etrans,threとを比較することにより、吹き消えの発生を推定している。並進誤差が一定より大きくなれば、燃焼状態の周期性が崩れ、カオス的な振動が発生していると判断することができる。吹き消えが発生する直前には、燃焼状態がそれまでの状態から変化するため燃焼室内の圧力が変動し、これによって並進誤差が大きくなる。したがって、吹き消え発生に近い並進誤差の大きさを閾値Etrans,threとして設定することにより、正確に吹き消え発生の予兆を推定することができる。
また、本実施形態に係る観測装置100によれば、吹き消えが発生すると推定されたときに、2次燃料流量を制御して、吹き消えの発生を回避する構成としている。これにより、吹き消えの発生を抑制することができ、ガスタービンモデル燃焼器1において安定した燃焼状態を維持することができる。
吹き消えの発生をリアルタイムで推定しない場合、燃焼吹き消えが起きないように、予め燃焼器の吹き消え限界を把握した上で、それに安全マージンを十分にとった運転範囲で運用する必要がある。安全マージンを、吹き消えに係る燃焼状態のリアルタイムモニタリングができない条件で設けると、実際の吹き消え限界に比べてかなりの余裕を取ったものとならざるを得ず、燃焼器の運転範囲がその分狭い範囲に限定される。
しかし、本実施形態によれば、燃焼吹き消え前兆現象の検知が可能となるため、検知した情報を利用して,吹き消えが起こらないような安定化制御が実現できる。したがって、燃焼器の運転の安全マージンを縮小することが可能となり、運転条件範囲が広がる。
また、本実施形態に係る観測装置100によれば、新たに入力された圧力変動信号により、記憶部312に記憶された圧力変動信号を更新することにより、常時100msec分の圧力変動信号を記憶するようにし、この記憶部312に記憶されている100msec分の圧力変動信号を用いて、100msec毎に並進誤差を演算する構成としている。このため、継続して燃焼状態のリアルタイム監視を行うことが可能となる。
[4.その他の実施形態]
上述した実施形態においては、ガスタービンモデル燃焼器1における燃焼状態を監視する構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、ジェットエンジンや産業用ガスタービンエンジンに搭載された燃焼器が対象であってもよい。また、ガスタービンエンジンの回転翼(ファンや圧縮器)の歪みや回転翼前後の圧力変動の時系列計測信号について並進誤差を演算し、この並進誤差に基づいてフラッタ、旋回失速、サージの発生を推定する構成とすることもできる。さらに、工業用プラントを対象として、蒸発管内の気液二相流の不安定な圧力変動信号や温度差の異なる2流体が混合する配管合流部における流体の温度変動信号についても並進誤差を演算し、ボイラーの蒸発管の破損やサーマルストライピングによる配管部の破損のヘルスモニタリングなど、他の物理現象の発生を推定する構成とすることもできる。
また、上述した実施形態においては、並進誤差に基づいて、吹き消えの発生を推定し、吹き消えの発生を回避するように燃焼状態を制御する構成について述べたが、これに限定されるものではない。並進誤差に基づいて、吹き消えの発生を推定するが、燃焼状態を制御しない構成とすることもできる。他の物理現象の発生を推定する構成の場合も同様である。
また、上述した実施形態においては、ガスタービンモデル燃焼器1における燃焼の不安定として、吹き消えの発生を推定する構成について述べたが、これに限定されるものではない。並進誤差に基づいて、振動燃焼の発生を推定する構成としてもよい。また、この場合、振動燃焼の発生を回避するために、並進誤差に基づいて、主燃料流量又は2次燃料流量を制御する構成とすることもできる。
また、上述した実施形態においては、2次燃料流量を制御して、吹き消えの発生を回避するように燃焼状態を制御する構成について述べたが、これに限定されるものではない。並進誤差に基づいて、主燃料流量を制御することで、吹き消えの発生を回避するようにしてもよいし、空気流量を制御することで、吹き消えの発生を回避するようにしてもよい。また、主燃料供給路と2次燃料供給路とを個別に設ける構成ではなく、1つの燃料供給路のみを設け、この燃料供給路における燃料流量を、並進誤差に基づいて制御することで、吹き消えの発生を回避する構成とすることも可能である。
また、上述した実施形態においては、演算に使用するために100msec分の圧力変動信号を記憶部に記憶し、この記憶部の圧力変動信号を更新しつつ、100msec毎に繰り返し並進誤差の演算を行う構成について述べたが、これに限定されるものではない。例えば50msec等、100msec以外の期間の圧力変動信号を記憶部に記憶し、これを用いて並進誤差を演算する構成とすることもできる。この場合、データ量が大きくなりすぎないように、300msec以下の期間とすることが好ましい。また、圧力変動信号のデータ量が少なすぎでも、燃焼状態の決定論的特徴を正確に反映した並進誤差を求めることができない。このため、1msec以上の期間とすることが好ましい。
また、100msec以上の期間(例えば、1sec)の圧力変動信号を記憶部に記憶しておき、このうち最新の所定期間(例えば、100msec)の圧力変動信号を並進誤差の演算に使用する構成としてもよい。
また、100msec毎に繰り返し並進誤差の演算を行うのではなく、例えば、1回だけ並進誤差の演算を行う構成としてもよいし、10msec等、100msec以外の期間毎に繰り返し並進誤差の演算を行う構成としてもよい。しかし、燃焼状態のリアルタイム制御を適切に行うためには、制御対象とする現象の特性時間に応じて、10μsec〜300msecの周期で並進誤差を演算し、燃焼状態を制御する構成とすることが好ましい。
また、上述した実施形態においては、次元定数Dを3、近傍点の選択数Kを5、位置ベクトルの選択数Mを100としたが、これに限定されるものではない。
また、上述した実施形態においては、コンピュータにより信号解析装置31を実現する構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、ASIC、FPGA等により燃焼制御処理を実行可能なハードウェアを構成し、これを信号解析装置としてもよい。また、1つのコンピュータにより信号解析装置31を構成するのではなく、燃焼制御処理を複数のコンピュータにより分散処理で実行させて、複数のコンピュータからなる分散システムとしてもよい。
1 ガスタービンモデル燃焼器
11 燃焼室
2 圧力トランスデューサ
3 制御部
31 信号解析装置
311 圧力変動信号入力部
312 記憶部
313 位相空間構築部
314 並進誤差演算部
315 閾値設定部
316 吹き消え発生推定部
317 2次燃料流量計算部
318 2次燃料流量制御部
32,33 マスフローコントローラ
4 燃料タンク
5 コンプレッサ

Claims (14)

  1. 物理現象を非線形解析により観測する観測装置であって、
    時間的に変化する物理量を検出する検出部と、
    前記検出部により検出された物理量に関する並進誤差を演算する演算手段と、
    前記演算手段により演算された並進誤差に基づいて、特定の物理現象の発生を推定する推定手段と、
    を備えることを特徴とする物理現象の観測装置。
  2. 前記検出部は、燃焼器の燃焼室内の圧力変動を検出し、検出された圧力変動を示す圧力変動信号を出力するように構成されており、
    前記演算手段は、前記検出部により出力された圧力変動信号に基づいて、圧力変動に関する並進誤差を演算するように構成されており、
    前記推定手段は、前記演算手段により演算された圧力変動の並進誤差に基づいて、前記燃焼器における燃焼の不安定の発生を推定するように構成されている
    請求項1記載の観測装置。
  3. 前記推定手段は、前記演算手段により演算された並進誤差に基づいて、前記燃焼の不安定として、前記燃焼器における吹き消えの発生を推定するように構成されている
    請求項2記載の観測装置。
  4. 前記推定手段は、前記演算手段により演算された並進誤差を所定の閾値と比較し、前記並進誤差が前記所定の閾値よりも大きい場合に、前記吹き消えの発生を推定するように構成されている
    請求項3記載の観測装置。
  5. 前記演算手段は、前記検出部により出力された圧力変動信号に基づいて、圧力変動に関する多次元の位相空間内において各時刻の圧力変動に対応する位置ベクトルを演算することにより、前記圧力変動信号の波形を前記位相空間における軌道に変換し、当該軌道に基づいて、前記並進誤差を演算するように構成されている
    請求項3又は4に記載の観測装置。
  6. 前記位相空間は、時刻tにおける圧力変動p’(t)、p’(t+τ)、p’(t+2τ)、…、p’(t+(D−1)τ)(τ:遅れ時間、D:位相空間の次元定数)の各独立変数によって規定される多次元空間である
    請求項5記載の観測装置。
  7. 前記位相空間は、前記次元定数Dを3とした3次元の位相空間である
    請求項6記載の観測装置。
  8. 前記推定手段により吹き消えの発生が推定された場合に、前記吹き消えが発生しないように、前記燃焼器への燃料供給を制御する制御手段をさらに備える
    請求項3〜7のいずれか1項に記載の観測装置。
  9. 前記制御手段は、前記推定手段により吹き消えの発生が推定された場合に、前記燃焼器へ供給する燃料を増加させるように構成されている
    請求項8記載の観測装置。
  10. 前記制御手段は、前記演算手段によって演算された並進誤差の大きさに応じて、前記燃焼器へ供給する燃料を増加させるように構成されている
    請求項9記載の観測装置。
  11. 前記検出部から出力される所定期間分の圧力変動信号を記憶する記憶部をさらに備え、
    前記演算手段は、前記記憶部に記憶された前記所定期間分の圧力変動信号に基づいて、圧力変動に関する並進誤差を演算するように構成されている
    請求項2〜10のいずれか1項に記載の観測装置。
  12. 前記検出部は、所定周期で圧力変動の検出動作を繰り返すように構成されており、
    前記記憶部は、前記検出部から新たに出力された圧力変動信号によって、記憶する前記所定期間分の圧力変動信号を更新するように構成されている
    請求項11記載の観測装置。
  13. 前記燃焼器は、予混合燃焼器である
    請求項2〜12のいずれか1項に記載の観測装置。
  14. 物理現象を非線形解析により観測する観測方法であって、
    時間的に変化する物理量を検出する検出ステップと、
    検出された物理量に関する並進誤差を演算する演算ステップと、
    演算された並進誤差に基づいて、特定の物理現象の発生を推定する推定ステップと、
    を有することを特徴とする物理現象の観測方法。
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