JP2017141728A - ガスタービン制御装置、ガスタービン制御方法及びプログラム - Google Patents
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Description
負荷遮断が実行されるとガスタービンの負荷が軽くなるため、タービン回転数が上がる。ガスタービンプラントは、一般的に、タービンが所定の回転数を超えると異常が発生したと判断し、自動停止する機能を備えている。そのため、負荷遮断が実行された直後は、タービン回転数は、タービン回転数を所定の回転数以下に抑えると共に、燃料カロリーが減少して燃焼器の火炎が失火させない燃料流量指令値の最小値MINCSOでタービン回転数の安定性と火炎の安定性とが制御されている。
このような場合、ガスタービンの燃焼器に投入する予め定められた燃料カロリーとガスタービンの燃焼器における実際の燃料カロリー(燃料カロリーの実測値)とがかい離する可能性がある。
ところで、燃料カロリーの実測に掛かる時間は、数分から十数分程度である。そのため、ガスタービンの燃焼器に投入する予め定められた燃料カロリーとガスタービンの燃焼器における実際の燃料カロリーとがかい離しているときに負荷遮断が実行された場合、特許文献1に記載の技術では、燃料カロリーの実測に掛かる時間が原因で、燃料流量指令値の最小値MINCSOの補正が適切に行われない可能性がある。
その結果、特許文献1に記載の技術では、ガスタービンの燃焼器に投入する予め定められた燃料カロリーとガスタービンの燃焼器における実際の燃料カロリーとがかい離しているときに負荷遮断が実行された場合、不適切に補正された燃料流量指令値の最小値MINCSOによりタービン回転数が所定の回転数を超えてしまう、または、ガスタービンの燃焼器の火炎が失火してしまうという問題があった。
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
本発明の第一の実施形態によるガスタービンプラント1の構成について説明する。
本発明の第一の実施形態によるガスタービンプラント1は、図1に示すように、ガスタービン制御装置10と、ガスタービン20と、発電機30と、を備える。
図1で示した本発明の第一の実施形態によるガスタービンプラント1の構成は、本発明のすべての実施形態に共通の構成である。
補正部102は、補正パラメータαを用いて無負荷燃料流量指令値CSOnlを補正する。
燃料流量調整部103は、補正後無負荷燃料流量指令値CSOnlrevを燃料流量調整弁204に送信することにより、燃料流量調整弁204の開度を調整し、後述するノズル205に供給する燃料流量を制御する。
ノズル205は、燃料流量調整弁204から供給される燃料を燃焼器202へ噴射する。
発電機30は、ガスタービン20の回転エネルギーを利用して発電する。
このように現在の補正パラメータαを用いて無負荷燃料流量指令値CSOnlを補正すれば、ガスタービン制御装置10は、燃料カロリーを使用せずにガスタービン20の燃焼器202に投入する予め定められた燃料カロリーとガスタービン20の燃焼器202における実際の燃料カロリーとがかい離していても、負荷遮断後のタービン実回転数Nrを負荷遮断後のタービン基準回転数Nstに追随させることができる。
まず、ガスタービン制御装置10が、負荷遮断後のタービン実回転数Nrの単位時間当たりの変化率ΔP(以下、「変化率ΔP」と記載)に基づいて、無負荷燃料流量指令値CSOnlを補正し、負荷遮断後のタービン実回転数Nrを負荷遮断後のタービン基準回転数Nstに追随させる例について説明する。
なお、無負荷燃料流量指令値CSOnlは、無負荷かつ定格回転を維持するために必要な燃料流量指令値である。
補正部102は、燃料流量指令値算出部101が負荷遮断信号を検知すると、負荷遮断後のタービン実回転数Nrの変化率ΔPを算出する(ステップS101)。
具体的には、補正部102は、算出した変化率ΔPをヒステリシス付き高低モニタに入力し、変化率ΔPとしきい値Pthとを比較する。しきい値Pthは、負荷遮断後のタービン実回転数Nrの変化率ΔPが大きいか小さいかを判定するために用いられる予め定められたしきい値である。この高低モニタは、しきい値を超えると1を出力し、しきい値を超えない場合は0(ゼロ)を出力する。
なお、しきい値Pthは、変化率ΔPの値に依存するヒステリシスを示す。したがって、変化率ΔPが小さい値から増加してしきい値Pthを跨いだと判定するしきい値と、変化率ΔPが大きい値から減少してしきい値Pthを跨いだと判定するしきい値とは異なる。
補正部102は、このヒステリシスにより不感帯を生成し、しきい値Pth近辺での変化率ΔPの微小変化による影響(変化率ΔPが頻繁にしきい値Pthを跨ぐこと)を排除している。
変化率ΔPがしきい値Pthよりも小さい場合、補正部102は、モニタ出力値1と燃料量高側設定バイアスBhとを乗算する。燃料量高側設定バイアスBhは、最小燃料流量CSOminを補正するバイアスであり、例えば、0.1である。また、補正部102は、モニタ出力値ゼロと燃料量高側設定バイアスBlとを乗算する。燃料量低側設定バイアスBlは、最小燃料流量CSOminを補正するバイアスであり、例えば、−0.1である。そして、補正部102は、両方の乗算結果を加算して、補正パラメータα1を算出する。
また、変化率ΔPがしきい値Pthよりも大きい場合、補正部102は、モニタ出力値ゼロと燃料量高側設定バイアスBhとを乗算する。また、補正部102は、モニタ出力値1と燃料量低側設定バイアスBlとを乗算する。そして、補正部102は、両方の乗算結果を加算して、補正パラメータα1を算出する。
補正部102は、補正パラメータα1を燃料流量指令値算出部101に送信する。
なお、変化率ΔPは、負荷遮断後における回転数の低下時にマイナスの値を示すものと定義している。
変化率ΔPは、負荷遮断後のタービン実回転数Nrが図3(a)に示すように時間経過に伴って変化する場合、図3(b)に示すように変化する。
具体的には、負荷遮断後のタービン実回転数Nrが図3(a)における符号3a1に示すように変化する場合、変化率ΔPは、図3(b)における符号3b1に示すように変化する。また、負荷遮断後のタービン実回転数Nrが図3(a)における符号3a2に示すように変化する場合、変化率ΔPは、図3(b)における符号3b2に示すように変化する。負荷遮断後のタービン実回転数Nrが図3(a)における符号3a3に示すように変化する場合、変化率ΔPは、図3(b)における符号3b3に示すように変化する。
また、しきい値Pthは、図3(b)に示すように、例えば、−10rpm/秒である。なお、しきい値Pthは、上述のように、ヒステリシスを示す。
燃料流量指令値算出部101は、標準設定パラメータαstを図示していない記憶部から読み出す。標準設定パラメータαstは、定数であり、例えば、0.7である。
燃料流量指令値算出部101は、補正パラメータα1と標準設定パラメータαstとを加算して、加算結果α2を算出する(ステップS103)。
なお、燃料流量指令値算出部101は、無負荷燃料流量指令値CSOnlのほかに、複数の燃料流量指令値を算出しており、複数の燃料流量指令値の中から最小の燃料流量指令値を特定し、出力する機能を有する。
ただし、無負荷燃料流量指令値CSOnlのほかの複数の燃料流量指令値は、例えば、発電機30の出力が制限された所定の値となるための燃料流量指令値、タービンの実回転数Nrが制限された所定の値となるための燃料流量指令値、排ガスの温度が制限された所定の値となるための燃料流量指令値などである。
したがって、負荷遮断が実行された場合、複数の燃料流量指令値の中で最小の燃料流量指令値となるのは、無負荷燃料流量指令値CSOnlであることがわかっている。そのため、本発明の実施形態では、無負荷燃料流量指令値CSOnlのみを示し、そのほかの燃料流量指令値については省略している。
図4(a)に示すように、燃料カロリーが通常の値である場合の負荷遮断後のタービン実回転数Nrは、符号4a1に示すように変化する。
また、燃料カロリーが通常よりも高い値である場合の負荷遮断後のタービン実回転数Nrは、符号4a2に示すように変化する。
なお、負荷遮断後のタービン基準回転数Nstは、符号4a3に示すように変化する。
図4(a)から、燃料カロリーが通常よりも高い値である場合の負荷遮断後のタービン実回転数Nrが負荷遮断後のタービン基準回転数Nstにほぼ一致するまでの時間は、燃料カロリーが通常の値である場合の負荷遮断後のタービン実回転数Nr負荷遮断後のタービン基準回転数Nstにほぼ一致するまでの時間の約1.5倍である。
それに対して、燃料カロリーが通常よりも高い値である場合に本発明の第1実施例で示す技術を用いると、図4(b)に示すように、負荷遮断後のタービン実回転数Nrは、符号4b1に示すように、符号4b2に示す負荷遮断後のタービン基準回転数Nstにほぼ追随する。
次に、ガスタービン制御装置10が、負荷遮断後のタービン実回転数Nrと、任意に設定した回転数スケジュールに基づく負荷遮断後のタービン基準回転数Nstとの偏差ΔNに基づいて、無負荷燃料流量指令値CSOnlを補正し、負荷遮断後のタービン実回転数Nrを負荷遮断後のタービン基準回転数Nstに追随させる例について説明する。
補正部102は、燃料流量指令値算出部101が負荷遮断信号を検知すると、負荷遮断信号を検知して以降の積算時間を算出する(ステップS201)。
例えば、補正部102は、算出した積算時間毎(負荷遮断を検知したタイミングを基準とした各タイミング毎)にタービン回転数を特定し、任意の回転数スケジュールを設定することにより負荷遮断後のタービン基準回転数Nstを生成する。具体的には、補正部102は、図6(a)に示すように、各時刻におけるガスタービン20の回転数を任意に決定することにより負荷遮断後のタービン基準回転数Nst(符号6a1)を生成する。また、補正部102は、理想的な算出式を用いて各時刻におけるガスタービン20の回転数を決定することにより負荷遮断後のタービン基準回転数Nstを生成してもよい。
なお、補正部102は、図6(b)に示すように、各負荷に対して回転スケジュールを用意して、負荷毎のタービン基準回転数(例えば、25%負荷(符号6b1)、50%負荷(符号6b2)、75%負荷(符号6b3)、100%負荷(符号6b4))を生成してもよい。
また、補正部102は、標準的な動作を行うガスタービンプラント1の実機のデータを用いて負荷遮断後のタービン基準回転数Nstを生成してもよい。
補正部102は、生成した負荷遮断時のタービン基準回転数Nstから負荷遮断後のタービン実回転数Nrを減算して、偏差ΔNを算出する。
補正部102は、算出した補正パラメータα3を燃料流量指令値算出部101に送信する。
燃料流量指令値算出部101は、標準設定パラメータαstを図示していない記憶部から読み出す。
燃料流量指令値算出部101は、読み出した標準設定パラメータαstと無負荷燃料流量指令値CSOnlとを乗算して、最小燃料流量指令値CSOminを算出する(ステップS204)。最小燃料流量指令値CSOminは、無負荷燃料流量指令値CSOnlと基準設定パラメータαstとを乗算した乗算結果である。
本発明の第一の実施形態によるガスタービンプラント1において、燃料流量指令値算出部101は、燃焼器202に投入する燃料の流量を指示する燃料流量指令値CSOを算出する。負荷遮断が実行された場合には、燃料流量指令値算出部101は、負荷遮断時に燃焼器202に投入する燃料の流量を指示する無負荷燃料流量指令値CSOnlを算出する。補正部102は、負荷遮断を検知した場合には、負荷遮断後の時間経過に応じた基準となるタービン回転数Nstに負荷遮断後の実際のタービン回転数Nrが追随させるために利用する現在の補正パラメータα(α1、α3)を算出する。補正部102は、現在の補正パラメータαを用いて負荷遮断後の無負荷燃料流量指令値CSOnlを補正する。
このようにすれば、ガスタービン制御装置10は、燃料カロリーを使用せずにガスタービン20の燃焼器202に投入する予め定められた燃料カロリーとガスタービン20の燃焼器202における実際の燃料カロリーとがかい離していても、負荷遮断後のタービン実回転数Nrを負荷遮断後のタービン基準回転数Nstに追随させることができる。
本発明の第二の実施形態によるガスタービンプラント1の構成について説明する。
本発明の第二の実施形態によるガスタービンプラント1は、図7に示すように、本発明の第一の実施形態によるガスタービンプラント1と同様に、ガスタービン制御装置10と、ガスタービン20と、発電機30と、を備える。
下限値算出部104は、燃焼器202におけるパイロット燃料流量比率に基づく最小必要燃空比と、入口案内翼207の開度に基づく空気流量とに基づいて、燃料流量指令値CSOの下限値を算出する。
入口案内翼207は、圧縮機201への空気の流入を調整する。
このように燃料流量指令値CSOの下限値に基づいて、補正パラメータαを用いて燃料流量指令値CSOを補正すれば、ガスタービン制御装置10は、燃料カロリーを使用せずにガスタービン20の燃焼器202に投入する予め定められた燃料カロリーとガスタービン20の燃焼器202における実際の燃料カロリーとがかい離していても、燃焼器202の火炎が失火することなく、負荷遮断後のタービン実回転数Nrを負荷遮断後のタービン基準回転数Nstに追随させることができる。
次に、ガスタービン制御装置10が、第2実施例で示した負荷遮断後タービン回転数Nの補正において、算出した燃料流量指令値CSOの下限値に基づいて補正を行う例について説明する。
燃料流量調整弁における流量Gは、次の式(3)により示される。
下限値算出部104は、取得した入口案内翼207の開度に基づいて、燃焼器202に供給される空気流量を算出する(ステップS303)。
図10(a)における符号10a1は最小必要燃空比を示しており、これを下回ると失火する可能性がある。負荷遮断時のパイロット燃料流量比率と燃空比の作動線を10a2に示すが、図10(a)における円で示すように、作動線10a2が最小必要燃空比10a1を下回っており、失火する可能性があることがわかる。
それに対して、本発明の第3実施例で示す技術を用いた場合、作動線10b2が最小必要燃空比10b1を下回らない。したがって、本発明の第3実施例で示す技術を用いたガスタービンプラント1における燃焼器202の火炎は、失火しない。
本発明の第二の実施形態によるガスタービンプラント1において、燃料流量指令値算出部101は、燃焼器202に投入する燃料の流量を指示する燃料流量指令値CSOを算出する。補正部102は、負荷遮断を検知した場合には、負荷遮断後の時間経過に応じた基準となるタービン回転数Nstに負荷遮断後の実際のタービン回転数Nrが追随させるために利用する現在の補正パラメータαを算出する。補正部102は、負荷遮断を検知した場合には、負荷遮断後の時間経過に応じた基準となるタービン回転数Nstに負荷遮断後の実際のタービン回転数Nrが追随させるために利用する現在の補正パラメータαを算出する。下限値算出部104は、無負荷燃料流量指令値CSOnlの下限値を算出する。補正部102は、下限値算出部104が算出した無負荷燃料流量指令値CSOnlの下限値に基づいて、補正パラメータαを用いて無負荷燃料流量指令値CSOnlを補正する。
このようにすれば、ガスタービン制御装置10は、燃料カロリーを使用せずにガスタービン20の燃焼器202に投入する予め定められた燃料カロリーとガスタービン20の燃焼器202における実際の燃料カロリーとがかい離していても、燃焼器202の火炎が失火することなく、負荷遮断後のタービン実回転数Nrを負荷遮断後のタービン基準回転数Nstに追随させることができる。
10・・・ガスタービン制御装置
20・・・ガスタービン
30・・・発電機
101・・・燃料流量指令値算出部
102・・・補正部
103・・・燃料流量調整部
201・・・圧縮機
202・・・燃焼器
203・・・タービン本体
204・・・燃料流量調整弁
205・・・ノズル
206・・・ロータ
207・・・入口案内翼
Claims (6)
- ガスタービンの燃焼器に投入する燃料の流量を指示する燃料流量指令値を算出する燃料流量指令値算出部と、
負荷遮断を検知した場合には、前記燃料が予め定められたガスカロリーである場合の負荷遮断後の時間経過に応じた基準となるタービン回転数に前記負荷遮断後の実際のタービン回転数を追随させるために利用する現在の補正パラメータを算出し、前記補正パラメータを用いて前記燃料流量指令値を補正する補正部と、
を備えるガスタービン制御装置。 - 前記補正部は、
前記負荷遮断後の実際のタービン回転数の変化率が所定の変化率よりも低い場合、前記燃料の流量を増加させる前記補正パラメータを前記燃料流量指令値に乗算し、
前記負荷遮断後の実際のタービン回転数の変化率が所定の変化率よりも高い場合、前記燃料の流量を減少させる前記補正パラメータを前記燃料流量指令値に乗算する、
請求項1に記載のガスタービン制御装置。 - 前記補正部は、
前記負荷遮断後の実際のタービン回転数と前記負荷遮断後の時間経過に応じた基準となるタービン回転数との偏差についてPI制御を行うことにより前記燃料流量指令値を補正する、
請求項1または請求項2に記載のガスタービン制御装置。 - 前記燃焼器におけるパイロット燃料流量比率に基づく最小必要燃空比と、前記燃焼器に供給する入口案内翼の開度に基づく空気流量とに基づいて、前記燃料流量指令値の下限値を算出する下限値算出部、
を更に備える請求項1から請求項3の何れか一項に記載のガスタービン制御装置。 - ガスタービンの燃焼器に投入する燃料の流量を指示する燃料流量指令値を算出すること、
負荷遮断を検知した場合には、前記燃料が予め定められたガスカロリーである場合の負荷遮断後の時間経過に応じた基準となるタービン回転数に前記負荷遮断後の実際のタービン回転数を追随させるために利用する現在の補正パラメータを算出し、前記補正パラメータを用いて前記燃料流量指令値を補正すること、
を含むガスタービン制御方法。 - コンピュータに、
ガスタービンの燃焼器に投入する燃料の流量を指示する燃料流量指令値を算出する燃料流量指令値算出部と、
負荷遮断を検知した場合には、前記燃料が予め定められたガスカロリーである場合の負荷遮断後の時間経過に応じた基準となるタービン回転数に前記負荷遮断後の実際のタービン回転数を追随させるために利用する現在の補正パラメータを算出し、前記補正パラメータを用いて前記燃料流量指令値を補正する補正部と、
を実行させるプログラム。
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JP6680555B2 (ja) | 2020-04-15 |
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