JP2015140332A - 金属錯体、金属錯体溶液、薄膜及びその製造方法、電子素子、薄膜トランジスタ、表示装置、イメージセンサ、並びにx線センサ - Google Patents

金属錯体、金属錯体溶液、薄膜及びその製造方法、電子素子、薄膜トランジスタ、表示装置、イメージセンサ、並びにx線センサ Download PDF

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亮 浜崎
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真宏 高田
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Abstract

【課題】金属酸化物及び金属硫化物の少なくとも一方を含む薄膜を容易に作製でき、かつ、薄膜作製時の窒素酸化物(NOX)の発生を低減できる、金属錯体、金属錯体溶液、及び薄膜の製造方法、並びに、薄膜、電子素子、薄膜トランジスタ、表示装置、イメージセンサ、及びX線センサを提供する。【解決手段】一般式(1)で表される金属錯体〔M:In、Ga;(L11d−−R11):d価のアニオン配位子;L2:中性配位子;a、c:1〜3の整数;d:1又は2;e:0〜3の整数;3?a=c?d;L11d−:d価のアニオン部位;R11:求核性を示す置換基を有する、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数3〜20のヘテロアリール基〕。【選択図】なし

Description

本発明は、金属錯体、金属錯体溶液、薄膜及びその製造方法、電子素子、薄膜トランジスタ、表示装置、イメージセンサ、並びにX線センサに関する。
半導体薄膜又は導電体薄膜としての金属酸化物薄膜は、真空成膜法による製造において実用化がなされ、現在注目を集めている。
近年では、上記金属酸化物薄膜をより簡便に形成する技術として、金属酸化物薄膜の前駆体を含む溶液を塗布することによって上記金属酸化物薄膜を形成する方法(以下、「塗布法」ともいう)が検討されている。
例えば、硝酸インジウムを含む溶液を塗布し、紫外線を照射することによりIn−Ga−Zn−O(IGZO)薄膜を形成すること、及び、得られたIn−Ga−Zn−O(IGZO)薄膜を備えた薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が高い移動度を有することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
また、基板上に、金属酸化物半導体の前駆体である有機金属化合物を含有する薄膜を形成した後、該薄膜に対し、プラズマ酸化を施す金属酸化物半導体の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、薄膜トランジスタ等の作製において、基体上への第3a族金属の堆積を容易にするように設計された第3a族インクとして、ポリアミン溶媒、第3a族物質/有機物錯体、および還元剤を初期成分として含む第3a族インクが知られている(例えば、特許文献2参照)。そして特許文献2の段落0027では、第3a族元素として、アルミニウム、インジウム、ガリウムが例示されている。特許文献2にいう「第3a族」は、より一般的には、「第13族」であると解される。
また、ジエチル亜鉛またはジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物の部分加水分解物をベースとした組成物であってIGZO等の酸化物半導体膜等に適用可能な複合酸化物薄膜を成膜することができる新たな組成物として、特定の有機亜鉛化合物または前記有機亜鉛化合物の水による部分加水分解物と3B族元素化合物または3B族元素化合物の水による部分加水分解物を、亜鉛に対する3B族元素のモル比が0.1を超え5以下の範囲で含有する複合酸化物薄膜製造用組成物が知られている(例えば、特許文献3参照)。そして特許文献3の段落0025では、3B族元素として、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムが例示されている。特許文献3にいう「3B族」は、より一般的には、「第13族」であると解される。
国際公開第2009/028452号 特開2011−122150号公報 特開2012−106916号公報
Nature, 489(2012) 128.
しかしながら、硝酸インジウムを含む溶液を用いた金属酸化物薄膜の製造では、製造過程で多量の窒素酸化物(NO)が放出される。
また、金属酸化物及び金属硫化物の少なくとも一方を含む薄膜を塗布法によって作製する技術について、上記薄膜を、より容易に作製することが望まれる。
従って、本発明の目的は、金属酸化物及び金属硫化物の少なくとも一方を含む薄膜を容易に作製でき、かつ、薄膜作製時の窒素酸化物(NO)の発生を低減できる、金属錯体、金属錯体溶液、及び薄膜の製造方法を提供することである。
また、本発明の目的は、上記薄膜の製造方法によって作製された薄膜、並びに、上記薄膜を備えた、電子素子、薄膜トランジスタ、表示装置、イメージセンサ、及びX線センサを提供することである。
本発明者等は鋭意検討した結果、求核性を示す置換基を有する配位子を含む金属錯体を用いて薄膜を作製すると、求核反応によって上記配位子の分解が促進される作用により、金属酸化物又は金属硫化物を含む薄膜を容易に製造できる、との知見を得、かかる知見に基づき本発明を完成させた。
即ち、上記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 下記一般式(1)で表される金属錯体。
一般式(1)中、Mは、インジウム又はガリウムを示す。
(L11 d−−R11)は、d価のアニオン配位子を示し、Lは、中性配位子を示す。
a及びcは、それぞれ独立に、1〜3の整数を示し、
dは、1又は2を示し、
eは、0〜3の整数を示す。
但し、3×a=c×dである。
11 d−は、d価のアニオン部位を示す。
11は、求核性を示す置換基を有する、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数3〜20のヘテロアリール基を示す。
<2> 求核性を示す置換基が、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルコキシ基、アミノ基、又は炭素数1〜10の置換アミノ基である<1>に記載の金属錯体。
<3> R11が、求核性を示す置換基を有する、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数2〜20のアルキニル基である<1>又は<2>に記載の金属錯体。
<4> R11が、求核性を示す置換基を有する、炭素数3〜5のアルキル基、炭素数3〜5のアルケニル基、又は炭素数3〜5のアルキニル基である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の金属錯体。
<5> dが、1である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の金属錯体。
<6> (L11 d−−R11)が、下記一般式(2)で表されるアニオン配位子である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の金属錯体。
一般式(2)中、Aは、O又はSを示し、Bは、上記式(a)〜上記式(e)のいずれか一つで表される基を示す。上記式(a)〜上記式(e)中、*は、Aとの結合位置を示し、**は、R11との結合位置を示す。
<7> Aが、Oであり、Bが、式(a)で表される基である<6>に記載の金属錯体。
<8> <1>〜<7>のいずれか1項に記載の金属錯体と、溶媒と、を含む金属錯体溶液。
<9> 溶媒が、ルイス塩基性を有する溶媒及びハロゲン系溶媒の少なくとも一方を含む<8>に記載の金属錯体溶液。
<10> 溶媒が、水を含む<8>又は<9>に記載の金属錯体溶液。
<11> 更に、酸化剤を含む<8>〜<10>のいずれか1項に記載の金属錯体溶液。
<12> 酸化剤が、有機系酸化剤を含む<11>に記載の金属錯体溶液。
<13> 酸化剤が、下記一般式(X)で表される化合物を含む<11>又は<12>に記載の金属錯体溶液。
一般式(X)中、R21は、一般式(X)中の窒素原子とともにヘテロ環を形成する2価の連結基を示し、X21は、ヒドロキシ基又はオキシル基を示す。
<14> 金属酸化物及び金属硫化物の少なくとも一方を含む薄膜の作製に用いられる<8>〜<13>のいずれか1項に記載の金属錯体溶液。
<15> <8>〜<14>のいずれか1項に記載の金属錯体溶液を塗布し、乾燥させて塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、前記塗布膜を加熱処理することにより、金属酸化物及び金属硫化物の少なくとも一方を含む薄膜を得る加熱処理工程と、を有する薄膜の製造方法。
<16> <15>に記載の薄膜の製造方法によって製造された薄膜。
<17> <16>に記載の薄膜を備えた電子素子。
<18> <16>に記載の薄膜を備えた薄膜トランジスタ。
<19> <18>に記載の薄膜トランジスタを備えた表示装置。
<20> <18>に記載の薄膜トランジスタを備えたイメージセンサ。
<21> <18>に記載の薄膜トランジスタを備えたX線センサ。
本発明によれば、金属酸化物及び金属硫化物の少なくとも一方を含む薄膜を容易に作製でき、かつ、薄膜作製時の窒素酸化物(NO)の発生を低減できる、金属錯体、金属錯体溶液、及び薄膜の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記薄膜の製造方法によって作製された薄膜、並びに、上記薄膜を備えた、電子素子、薄膜トランジスタ、表示装置、イメージセンサ、及びX線センサが提供される。
本発明により製造される薄膜トランジスタの一例(トップゲート−トップコンタクト型)の構成を示す概略図である。 本発明により製造される薄膜トランジスタの一例(トップゲート−ボトムコンタクト型)の構成を示す概略図である。 本発明により製造される薄膜トランジスタの一例(ボトムゲート−トップコンタクト型)の構成を示す概略図である。 本発明により製造される薄膜トランジスタの一例(ボトムゲート−ボトムコンタクト型)の構成を示す概略図である。 実施形態の液晶表示装置の一部分を示す概略断面図である。 図5の液晶表示装置の電気配線の概略構成図である。 実施形態の有機EL表示装置の一部分を示す概略断面図である。 図7の有機EL表示装置の電気配線の概略構成図である。 実施形態のX線センサアレイの一部分を示す概略断面図である。 図9のX線センサアレイの電気配線の概略構成図である。
以下、適宜図面を参照しながら、本発明の金属錯体、金属錯体溶液、薄膜及びその製造方法、電子素子、薄膜トランジスタ、表示装置、イメージセンサ、並びにX線センサについて具体的に説明する。
なお、図中、同一又は対応する機能を有する部材(構成要素)には同じ符号を付して適宜説明を省略する。
また、本明細書において「〜」の記号により数値範囲を示す場合、下限値及び上限値が含まれる。
<金属錯体>
本発明の金属錯体は、下記一般式(1)で表される金属錯体である。
一般式(1)中、Mは、インジウム又はガリウムを示す。
(L11 d−−R11)は、d価のアニオン配位子を示し、Lは、中性配位子を示す。
a及びcは、それぞれ独立に、1〜3の整数を示し、
dは、1又は2を示し、
eは、0〜3の整数を示す。
但し、3×a=c×dである。
11 d−は、d価のアニオン部位を示す。
11は、求核性を示す置換基を有する、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は、炭素数3〜20のヘテロアリール基を示す。
一般式(1)において、Mが複数存在するとき(即ち、aが2又は3であるとき)、複数のMは、同一であっても異なっていてもよい。L11 d−、R11、Lが、それぞれ複数ずつ存在するときについても同様に、複数のL11 d−、複数のR11、複数のLは、同一であっても異なっていてもよい。
本発明の金属錯体によれば、金属酸化物及び金属硫化物の少なくとも一方を含む薄膜の塗布法による作製が、従来の金属錯体を用いた場合と比較してより容易となる。
この理由は、以下のように推測される。
即ち、上記金属錯体を含む金属錯体溶液が基材等に塗布された後の過程(例えば、加熱処理される過程)において、金属錯体中の一つの(L11 d−−R11)に注目すると、この(L11 d−−R11)中の求核性を示す置換基が、同じ(L11 d−−R11)内のプラス電荷を帯びた原子を攻撃する反応(アニオン配位子内での求核反応)が起こると考えられる。この求核反応により(L11 d−−R11)の分解が促進され、分解により生じた生成物がM3+側から脱離する。これにより、M3+を含む金属酸化物又は金属硫化物が容易に形成されると考えられる。
以上のように、本発明の金属錯体によれば、薄膜の塗布法による作製が、従来の金属錯体を用いた場合と比較してより容易となる。このため、例えば、製造環境の制約(例えば低湿度条件下など)を必要とせずとも、上記薄膜をより容易に製造できる。
また、後述の<薄膜及びその製造方法>の項でも述べるとおり、本発明の金属錯体によれば、例えば、紫外線照射やプラズマ照射といった特別な処理を行わなくても、上記薄膜を容易に製造することができる。
また、本発明の金属錯体を用いた上記薄膜の形成では、硝酸インジウムを用いた薄膜の形成と比較して、窒素酸化物(NO)の発生が抑制される。このため、環境負荷を低減でき、また、薄膜の製造装置へのダメージを低減できる。
また、本発明の金属錯体は、アニオン配位子である(L11 d−−R11)を有しているため、水等の溶媒への溶解性に優れる。
このため、本発明の金属錯体は、金属錯体溶液としたときの安定性にも優れる。
溶媒は、水には限定されず、水以外のルイス塩基性を有する溶媒、ハロゲン系溶媒を用いることができる。
金属錯体溶液中の溶媒が水を含む場合には、環境負荷を低減できる点で有利である。
本発明の金属錯体を用いて形成された薄膜は、半導体薄膜又は導電体薄膜として好適に用いることができる。
一般式(1)中、Mは、インジウム(In)又はガリウム(Ga)を示す。
即ち、M3+は、In3+又はGa3+を示す。
これにより、本発明の金属錯体を用いて形成された薄膜には、酸化インジウム、硫化インジウム、酸化ガリウム、及び硫化ガリウムからなる群から選択される少なくとも1種が含まれることとなる。
一般式(1)中、(L11 d−−R11)は、d価のアニオン配位子を示す。
即ち、(L11 d−−R11)は、d価のアニオン部位であるL11 d−を含んでおり、かつ、(L11 d−−R11)全体としてもd価のアニオンとなっている。
(L11 d−−R11)の好ましい形態については後述する。
一般式(1)中、Lは、中性配位子を示す。
で表される中性配位子としては、水(HO);テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル配位子;メタノール、エタノール等のアルコール配位子;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル配位子;トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン等のアミン配位子;などが挙げられる。
また、後述する金属錯体溶液において、上記中性配位子を溶媒として用いた場合には、金属錯体の溶解時に上記中性配位子が溶媒和することにより、金属錯体の一分子中に上記中性配位子が取り込まれると考えられる。溶媒として用い得る中性配位子としては、水、エーテル配位子、アルコール配位子が好ましい。
一般式(1)中、a及びcは、それぞれ独立に、1〜3の整数を示し、dは、1又は2を示し、eは、0〜3の整数を示す。但し、3×a=c×dである。
3×a=c×dであることは、一般式(1)で表される金属錯体が、全体として中性であることを示している。
上記dは、薄膜作製の容易性の点から、1であることが好ましい。
薄膜作製の容易性の点からみた、a、c、及びdの特に好ましい組み合わせは、aが1であり、cが3であり、dが1である組み合わせである。
上記(L11 d−−R11)は、下記一般式(2)で表されるアニオン配位子であることが好ましい。
一般式(2)中、Aは、O又はSを示し、Bは、上記式(a)〜上記式(e)のいずれか一つで表される基を示す。上記式(a)〜上記式(e)中、*は、Aとの結合位置を示し、**は、R11との結合位置を示す。
一般式(2)中のR11は、一般式(1)中のR11と同義である。
上記(L11 d−−R11)が、上記一般式(2)で表されるアニオン配位子であると、R11中における求核性を示す置換基が、上記式(a)〜上記式(c)における炭素原子や上記式(d)及び上記式(e)における硫黄原子を攻撃することにより、上述したアニオン配位子内での求核反応((L11 d−−R11)の分解反応)がより生じやすくなる。これにより金属酸化物又は金属硫化物が容易に形成される。
詳細には、上記(L11 d−−R11)が上記一般式(2)で表されるアニオン配位子である場合、求核反応により、一般式(2)中の−B−R11がM3+から脱離し易くなる。一般式(2)中のA(O又はS)はM3+の側に残る。これにより、金属酸化物又は金属硫化物が容易に形成される。
一般式(1)中、R11は、求核性を示す置換基を有する炭素数1〜20のアルキル基、求核性を示す置換基を有する炭素数2〜20のアルケニル基、求核性を示す置換基を有する炭素数2〜20のアルキニル基、求核性を示す置換基を有する炭素数6〜20のアリール基、又は、求核性を示す置換基を有する炭素数3〜20のヘテロアリール基を示す。
11中、求核性を示す置換基としては特に限定はないが、例えば、非共役電子対を有する原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子、等)を含む一価の置換基が挙げられる。
上記求核性を示す置換基としては、具体的には、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基(好ましくは炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基)、ヒドロキシアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10のヒドロキシアルコキシ基)、アミノ基、置換アミノ基(好ましくは炭素数1〜10の置換アミノ基)、カルボキシル基、チエニル基、等が挙げられる。
上記求核性を示す置換基としては、上述したアニオン配位子内での求核反応がより起こり易い点で、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜10の置換アミノ基が好ましく、
ヒドロキシ基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜6の置換アミノ基がより好ましく、
ヒドロキシ基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜6の置換アミノ基が特に好ましい。
上記置換アミノ基としては、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ジアルコキシカルボニルアミノ基、N−アルコキシカルボニル−N−アルキルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、N−アリールオキシカルボニル−N−アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、等が挙げられる。
上記置換アミノ基が、構造中にアリール基を有する場合、当該アリール基は、置換基(例えば、アルコキシ基、ニトロ基等)によって置換されていてもよい。
11中、炭素数1〜20のアルキル基は、鎖状アルキル基であっても、分岐構造を有するアルキル基であっても、環状構造を有するアルキル基であってもよい。
そして上述のとおり、上記炭素数1〜20のアルキル基は、上記求核性を示す置換基によって置換されている。上記炭素数1〜20のアルキル基は、必要に応じ、求核性を示さない置換基によって置換されていてもよい。
上記アルキル基の炭素数は、1〜20であるが、上述したアニオン配位子内での求核反応がより起こり易い点で、1〜10がより好ましく、2〜7が更に好ましく、3〜5が特に好ましい。例えば、上記アルキル基の炭素数が3〜5であると、上記求核反応により、分解生成物として、安定な5員〜7員環の化合物が生成され易いので、上記求核反応がより促進される。
11中、炭素数2〜20のアルケニル基は、鎖状アルケニル基であっても、分岐構造を有するアルケニル基であっても、環状構造を有するアルケニル基であってもよい。
そしてR11では、上記炭素数2〜20のアルケニル基が、上記求核性を示す置換基によって置換されている。上記炭素数2〜20のアルケニル基は、必要に応じ、求核性を示さない置換基によって置換されていてもよい。
上記アルケニル基の炭素数は、2〜20であるが、上述したアニオン配位子内での求核反応がより起こり易い点で、2〜10がより好ましく、2〜7が更に好ましく、3〜5が特に好ましい。例えば、上記アルケニル基の炭素数が3〜5であると、上記求核反応により、分解生成物として、安定な5員環〜7員環の化合物が生成され易いので、上記求核反応がより促進される。
11中、炭素数2〜20のアルキニル基は、鎖状アルキニル基であっても、分岐構造を有するアルキニル基であっても、環状構造を有するアルキニル基であってもよい。
そしてR11では、上記炭素数2〜20のアルキニル基が、上記求核性を示す置換基によって置換されている。上記炭素数2〜20のアルキニル基は、必要に応じ、求核性を示さない置換基によって置換されていてもよい。
上記アルキニル基の炭素数は、2〜20であるが、上述したアニオン配位子内での求核反応がより起こり易い点で、2〜10がより好ましく、2〜7が更に好ましく、3〜5が特に好ましい。例えば、上記アルキニル基の炭素数が3〜5であると、上記求核反応により、分解生成物として、安定な5員環〜7員環の化合物が生成され易いので、上記求核反応がより促進される。
11中、炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、及びこれらのベンゾ縮環基、等が挙げられる。
そしてR11では、上記炭素数6〜20のアリール基が、上記求核性を示す置換基によって置換されている。上記炭素数6〜20のアリール基は、必要に応じ、求核性を示さない置換基によって置換されていてもよい。
上記アリール基の炭素数は、6〜20であるが、上述したアニオン配位子内での求核反応がより起こり易い点で、6〜12がより好ましい。
11中、炭素数3〜20のヘテロアリール基としては、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、及びこれらのベンゾ縮環基、等が挙げられる。
そしてR11では、上記炭素数3〜20のヘテロアリール基が、上記求核性を示す置換基によって置換されている。上記炭素数3〜20のヘテロアリール基は、必要に応じ、求核性を示さない置換基によって置換されていてもよい。
上記アリール基の炭素数は、3〜20であるが、上述したアニオン配位子内での求核反応がより起こり易い点で、3〜12がより好ましい。
11としては、上述したアニオン配位子内での求核反応がより起こり易い点で、求核性を示す置換基を有する炭素数1〜20(より好ましく1〜10、更に好ましくは2〜7、特に好ましくは3〜5)のアルキル基、求核性を示す置換基を有する炭素数1〜20(より好ましく1〜10、更に好ましくは2〜7、特に好ましくは3〜5)のアルケニル基、求核性を示す置換基を有する炭素数1〜20(より好ましく1〜10、更に好ましくは2〜7、特に好ましくは3〜5)のアルキニル基であることが好ましく、求核性を示す置換基を有する炭素数1〜20(より好ましく1〜10、更に好ましくは2〜7、特に好ましくは3〜5)のアルキル基であることがより好ましい。
以下、(L11 d−−R11)で表されるアニオン配位子の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によって限定されることはない。
一般式(1)で表される金属錯体は、M(インジウム又はガリウム)を含む化合物(例えば、ハロゲン化物)と、(L11 d−−R11)を生じる化合物(例えば、酸又はその塩)と、必要に応じLと、を反応させることによって合成することができる。
<金属錯体溶液>
本発明の金属錯体溶液は、上述した本発明の金属錯体と、溶媒と、を含む。
このため、本発明の金属錯体溶液によれば、金属酸化物及び金属硫化物の少なくとも一方を含む薄膜の塗布法による作製が、従来の金属錯体を用いた場合と比較してより容易となる。
本発明の金属錯体溶液は、上述した本発明の金属錯体を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
例えば、本発明の金属錯体溶液が、Mがインジウムである金属錯体を含む場合には、本発明の金属錯体溶液により、酸化インジウム及び硫化インジウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む薄膜を作製できる。
本発明の金属錯体溶液が、Mがガリウムである金属錯体を含む場合には、本発明の金属錯体溶液により、酸化ガリウム及び硫化ガリウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む薄膜を作製できる。
本発明の金属錯体溶液が、Mがインジウムである金属錯体とMがガリウムである金属錯体との両方を含む場合、又は、aが2又は3である金属錯体であってMとしてインジウム及びガリウムの両方を含む金属錯体を含む場合には、本発明の金属錯体溶液により、酸化インジウム、酸化ガリウム、インジウムとガリウムとを含む複合酸化物(例えば、In−Ga−O)、硫化インジウム、硫化ガリウム、並びに、インジウムとガリウムとを含む複合硫化物からなる群から選択される少なくとも1種を含む薄膜を作製できる。
また、本発明の金属錯体溶液が、配位子中に酸素原子を含む金属錯体を含む場合には、本発明の金属錯体溶液により、M(インジウム又はガリウム)の酸化物を含む薄膜を作製できる。
また、本発明の金属錯体溶液が、配位子中に硫黄原子を含む金属錯体を含む場合には、本発明の金属錯体溶液により、Mの硫化物を含む薄膜を作製できる。
また、本発明の金属錯体溶液が、配位子中に硫黄原子及び酸素原子を含む金属錯体を含む場合、又は、配位子中に酸素原子を含む金属錯体と配位子中に硫黄原子を含む金属錯体との両方を含む場合には、本発明の金属錯体溶液により、Mの酸化物及びMの硫化物の両方を含む薄膜を作製できる。
また、本発明の金属錯体溶液は、溶媒を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
上記溶媒としては特に限定はないが、金属錯体の溶解性に優れる点で、ルイス塩基性を有する溶媒、ハロゲン系溶媒が好適である。
特に、ルイス塩基性を有する溶媒を用いた場合には、金属錯体溶液中における金属錯体の安定性を向上させる効果も期待できる。
ルイス塩基性を有する溶媒としては、非共役電子対を有する原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子、等)を含む化合物を用いることができる。
ルイス塩基性を有する溶媒として、具体的には、水、アルコール溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール等)、アミド溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド等)、アミン溶媒(トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン等)、ケトン溶媒(アセトン、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等)、エーテル溶媒(テトラヒドロフラン、メトキシエタノール、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテル等)、エステル溶媒(酢酸エチル等)、ニトリル溶媒(アセトニトリル、ベンゾニトリル等)、その他上記以外のヘテロ原子含有溶媒、等が挙げられる。
ハロゲン系溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロフェノール、等が挙げられる。
特に、本発明の金属錯体溶液中の溶媒が水を含む場合には、環境負荷を低減できる点で有利である。
本発明の金属錯体溶液中における上記金属錯体の濃度は、上記薄膜をより容易に作製できる点で、0.01〜0.5mol/Lが好ましい。
本発明の金属錯体溶液は、亜鉛、錫、及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属原子を含む化合物を含有することが好ましい。
これにより、In及びGaの少なくとも一方と、上記少なくとも1種の金属原子と、を含む複合酸化物を作製することができる。
かかる複合酸化物としては、In−Ga−Zn−O、In−Zn−O、In−Sn−O、In−Sn−Zn−O、等が挙げられる。
また、本発明の金属錯体溶液は、更に、酸化剤を含むことが好ましい。
本発明の金属錯体溶液は、更に、酸化剤を含むことにより、(L11 d−−R11)の分解がより促進されるので、より良質な薄膜を形成できる。例えば、薄膜を備えた薄膜トランジスタ(TFT)の移動度をより向上させることができる。
酸化剤としては特に制限はなく、公知の有機系酸化剤や、公知の無機系酸化剤を用いることができる。
また、本発明の金属錯体溶液が酸化剤を含む場合、金属錯体溶液に含まれる酸化剤は、1種のみであっても2種以上であってもよい。
また、酸化剤は、有機系酸化剤を含むことが好ましく、下記一般式(X)で表される化合物を含むことがより好ましい。
酸化剤が有機系酸化剤(特に、下記一般式(X)で表される化合物)を含むと、薄膜の形成の際、有機系酸化剤自体が分解されることにより、薄膜中の不純物をより低減することができる。従って、より良質な薄膜を形成できる。例えば、薄膜を備えた薄膜トランジスタ(TFT)の移動度をより向上させることができる。
一般式(X)中、R21は、一般式(X)中の窒素原子とともにヘテロ環を形成する2価の連結基を示し、X21は、ヒドロキシ基又はオキシル基を示す。
ここで、オキシル基とは、−O基(酸素ラジカル基)を意味する。
21で表される2価の連結基は、置換基を有していてもよい。
上記置換基は、アルキル基、オキソ基(=O基)、又はカルボキシル基であることが好ましい。
また、アルキル基、オキソ基(=O基)、又はカルボキシル基である置換基は、少なくとも、一般式(X)中の窒素原子に隣接する炭素原子に結合していることが好ましい。
また、一般式(X)中の窒素原子及びR21によって形成されるヘテロ環は、単環であっても縮環(例えばベンゾ縮環)であってもよい。
上記ヘテロ環としては、ピペリジン環、フタルイミド環、マレイミド環、スクシンイミド環が挙げられ、ピペリジン環、フタルイミド環がより好ましい。
一般式(X)で表される化合物の具体例としては、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(TEMPO)、N−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシマレイミドが挙げられ、TEMPO、NHPIが好ましい。
また、酸化剤としては、一般式(X)で表される化合物以外のその他の酸化剤を用いることもできる。
その他の酸化剤としては、マンガン錯体、鉄錯体、コバルト錯体が挙げられる。
ここで、「錯体」は広義の錯体を意味し、例えば、塩化鉄などの無機塩(無機錯体)も、「錯体」の概念に含まれる。
マンガン錯体の具体例としては、二酸化マンガン、過マンガン酸カリウム、塩化マンガン、臭化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン等のマンガン無機錯体;マンガン−サレン錯体、マンガン−フタロシアニン錯体、マンガン−ポルフィリン錯体等のマンガン有機錯体;が挙げられ、好ましくはマンガン有機錯体であり、より好ましくはマンガン−サレン錯体である。
鉄錯体の具体例としては、酸化鉄、塩化鉄、臭化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄等の鉄無機錯体;鉄−サレン錯体、鉄−フタロシアニン錯体、鉄−ポルフィリン錯体等の鉄有機錯体;が挙げられ、好ましくは鉄無機錯体であり、より好ましくは塩化鉄である
コバルト錯体の具体例としては、酸化コバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト等のコバルト無機錯体;二酢酸コバルト、コバルト−サレン錯体、コバルト−フタロシアニン錯体、コバルト−ポルフィリン錯体等のコバルト有機錯体;が挙げられ、好ましくはコバルト有機錯体であり、より好ましくはコバルト−サレン錯体である。
本発明の金属錯体溶液が酸化剤を含む場合、金属錯体溶液中の酸化剤の濃度は、金属錯体に対する濃度として、0.1mol%〜50mol%が好ましく、1mol%〜20mol%がより好ましく、5mol%〜15mol%が更に好ましく、5mol%〜10mol%が特に好ましい。
また、本発明の金属錯体溶液が有機系酸化剤(例えば上記一般式(X)で表される化合物)を含む場合、金属錯体溶液中の有機系酸化剤の濃度は、金属錯体に対する濃度として、0.1mol%〜50mol%が好ましく、1mol%〜20mol%がより好ましく、5mol%〜15mol%が更に好ましく、5mol%〜10mol%が特に好ましい。
<薄膜及びその製造方法>
本発明の薄膜の製造方法は、上述した本発明の金属錯体溶液を塗布し、乾燥させて塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、塗布膜を加熱処理することにより、金属酸化物及び金属硫化物の少なくとも一方を含む薄膜を得る加熱処理工程と、を有する。
本発明の薄膜の製造方法では上述した本発明の金属錯体溶液を用いるため、本発明の薄膜の製造方法によれば、金属酸化物及び金属硫化物の少なくとも一方を含む薄膜の塗布法による作製が、従来の金属錯体を用いた場合と比較してより容易となる。従って、本発明の薄膜の製造方法によれば、例えば、紫外線照射やプラズマ照射といった特別な処理を行わなくても、上記薄膜を容易に製造することができる。但し、本発明の薄膜の製造方法において、補助的に、紫外線照射やプラズマ照射を行ってもよいことは言うまでもない。
(塗布膜形成工程)
塗布膜形成工程は、上述した本発明の金属錯体溶液を塗布し、乾燥させて塗布膜を形成する工程である。
本工程において、金属錯体溶液は、好ましくは基板上に塗布される。
基板の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。基板の構造は単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
基板を構成する材料としては特に限定はなく、ガラス、YSZ(Yttria−Stabilized Zirconia;イットリウム安定化ジルコニウム)等の無機基板、樹脂基板、その複合材料等を用いることができる。中でも軽量である点、可撓性を有する点から樹脂基板又はその複合材料が好ましい。
具体的には、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンズアゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、液晶ポリマー、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アイオノマー樹脂、シアネート樹脂、架橋フマル酸ジエステル、環状ポリオレフィン、芳香族エーテル、マレイミド・オレフィン、セルロース、エピスルフィド化合物等の合成樹脂基板、酸化珪素粒子との複合プラスチック材料、金属ナノ粒子、無機酸化物ナノ粒子、無機窒化物ナノ粒子等との複合プラスチック材料、カーボン繊維、カーボンナノチューブとの複合プラスチック材料、ガラスフレーク、ガラスファイバー、ガラスビーズとの複合プラスチック材料、粘土鉱物や雲母派生結晶構造を有する粒子との複合プラスチック材料、薄いガラスと上記単独有機材料との間に少なくとも1つの接合界面を有する積層プラスチック材料、無機層と有機層を交互に積層することで、少なくとも1つ以上の接合界面を有するバリア性能を有する複合材料、ステンレス基板或いはステンレスと異種金属を積層した金属多層基板、アルミニウム基板或いは表面に酸化処理(例えば陽極酸化処理)を施すことで表面の絶縁性を向上させた酸化皮膜付きのアルミニウム基板等を用いることができる。また、樹脂基板は耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、加工性、低通気性、又は低吸湿性等に優れていることが好ましい。樹脂基板は、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層や、樹脂基板の平坦性や下部電極との密着性を向上するためのアンダーコート層等を備えていてもよい。
基板の厚みに特に制限はないが、50μm以上500μm以下であることが好ましい。基板の厚みが50μm以上であると、基板自体の平坦性がより向上する。また、基板の厚みが500μm以下であると、基板自体の可撓性がより向上し、フレキシブルデバイス用基板としての使用がより容易となる。
本工程における塗布方法は特に限定されず、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、ミスト法、インクジェット法、ディスペンサー法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、及び凹版印刷法等が挙げられる。
本工程では、塗布された金属錯体溶液を乾燥し、塗布膜を得る。
この乾燥は、自然乾燥であってもよいし、加熱乾燥であってもよい。
加熱乾燥とする場合に加熱温度には特に限定はないが、例えば、40℃〜200℃が挙げられ、60℃〜180℃が好ましく、80℃〜180℃がより好ましく、100℃〜170℃が特に好ましい。
加熱乾燥とする場合の加熱の方法には特に限定されず、ホットプレート加熱、電気炉加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱等から選択することができる。
加熱乾燥は膜の平坦性を均一に保つ観点から、塗布後、5分以内に開始することが好ましい。
乾燥を行う時間は特に制限はないが、膜の均一性、生産性の観点から15秒以上10分以下であることが好ましい。
また、乾燥における雰囲気に特に制限はないが、製造コスト等の観点から大気圧下、大気中で行うことが好ましい。
本工程では、塗布から乾燥までの操作を複数回行ってもよい。
これにより、最終的に得られる薄膜の膜質をより向上させることができる。
(加熱処理工程)
加熱処理工程は、上記塗布膜形成工程で形成された塗布膜を加熱処理することにより、金属酸化物及び金属硫化物の少なくとも一方を含む薄膜を得る工程である。
本工程における加熱処理により、上記金属錯体が、金属酸化物及び金属硫化物の少なくとも一方に転化され、上記薄膜が得られる。
本工程における加熱処理は、例えば、炉を用いて行うことができる。
加熱処理における最高到達温度は、より良質な薄膜を作製する観点から、200℃〜300℃が好ましく、220℃〜280℃がより好ましく、230℃〜270℃が特に好ましい。
また、加熱処理において、最高到達温度での保持時間は、5分〜2時間が好ましく、10分〜1時間がより好ましく、20分〜1時間が特に好ましい。
加熱処理における最高到達温度への昇温速度には特に制限はないが、10℃/sec〜100℃/secが好ましく、20℃/sec〜80℃/secがより好ましく、30℃/sec〜70℃/secが特に好ましい。
昇温速度が100℃/sec以下であると、より良質な薄膜が得られる。
昇温速度が10℃/sec以上であると、薄膜の生産性に優れる。
加熱処理の雰囲気には特に制限はなく、大気雰囲気下であってもよいし、不活性ガス(窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等)を含む雰囲気下であってもよい。
本発明の薄膜として、金属酸化物を含む薄膜(例えば、金属酸化物からなる薄膜)を作製する場合には、加熱処理を、大気雰囲気下、不活性ガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気下、又は、酸素100体積%の雰囲気下で行うことが好ましい。この場合の不活性ガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気における酸素濃度としては、例えば、1体積%〜50体積%以下が挙げられ、5体積%〜40体積%が好ましく、10体積%〜30体積%がより好ましい。
また、本発明の薄膜として、金属硫化物からなる薄膜を作製する場合には、加熱処理を、不活性ガス100体積%の雰囲気下で行うか、又は、酸素濃度が10体積%以下(より好ましくは5体積%以下、特に好ましくは1体積%以下)の不活性ガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明の薄膜の製造方法は、上記以外のその他の工程を含んでもよい。
その他の工程としては、金属酸化物薄膜の製造工程として公知の工程を適宜採用することができる。
また、その他の工程として、薄膜に対し、補助的に紫外線照射やプラズマ照射を行う工程を採用することもできる。
<薄膜>
本発明の薄膜は、上記本発明の薄膜の製造方法によって製造された薄膜である。
即ち、本発明の薄膜は、金属酸化物及び金属硫化物の少なくとも一方を含む薄膜である。
ここで、金属酸化物には、上記Mを含む酸化物が含まれ、金属硫化物には、Mを含む硫化物が含まれる。
上記Mを含む酸化物としては、酸化インジウム、酸化ガリウム、In−Ga−O、In−Ga−Zn−O、In−Zn−O、In−Sn−O、In−Sn−Zn−O、等が挙げられる。
上記Mを含む硫化物としては、上記で例示されたMを含む酸化物中の酸素原子を、硫黄原子に置き換えた化合物が挙げられる。
本発明の薄膜中における、金属酸化物及び金属硫化物の総含有量(好ましくは、上記Mを含む酸化物及び上記Mを含む硫化物の総含有量)は、本発明の薄膜の全質量に対し、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。
なお、言うまでもないが、「金属酸化物及び金属硫化物の総含有量」とは、本発明の薄膜が金属酸化物を含み金属硫化物を含まない場合には、金属酸化物の含有量を指し、本発明の薄膜が金属硫化物を含み金属酸化物を含まない場合には、金属硫化物の含有量を指す。
また、本発明の薄膜に含まれる全金属元素中に占める上記M(インジウム、ガリウム)の比率は、50atom%以上であることが好ましく、80atom%以上であることがより好ましい。
また、薄膜の膜厚には特に制限はないが、薄膜の平坦性及び生産性の観点から、5nm〜200nmが好ましく、5nm〜100nmがより好ましく、10nm〜80nmが更に好ましく、30nm〜70nmが特に好ましい。
また、本発明の薄膜は、パターニングされていない薄膜であってもよいし、パターニングされた薄膜であってもよい。パターニングの方法としては、エッチングやリフトオフ法等の公知の方法を用いることができる。
本発明の薄膜は、半導体薄膜又は導電体薄膜として好適に用いられるものである。
<電子素子>
本発明の電子素子は、上記本発明の薄膜を備える。
本発明の電子素子としては、例えば、薄膜トランジスタ、キャパシタ(コンデンサ)、ダイオード、センサー類(撮像素子など)等、半導体薄膜及び導電体薄膜の少なくとも一方を備えた各種の素子が挙げられる。
<薄膜トランジスタ>
以下、活性層(半導体層)として、本発明の薄膜を備えた薄膜トランジスタ(TFT)の実施形態について説明する。
尚、実施形態としてはトップゲート型の薄膜トランジスタについて記述するが、本発明の薄膜トランジスタはトップゲート型に限定されることなく、ボトムゲート型の薄膜トランジスタであってもよい。
本発明におけるTFTの素子構造は特に限定されず、ゲート電極の位置に基づいた、いわゆる逆スタガ構造(ボトムゲート型とも呼ばれる)及びスタガ構造(トップゲート型とも呼ばれる)のいずれの態様であってもよい。また、活性層とソース電極及びドレイン電極(適宜、「ソース・ドレイン電極」という。)との接触部分に基づき、いわゆるトップコンタクト型、ボトムコンタクト型のいずれの態様であってもよい。
トップゲート型とは、TFTが形成されている基板を最下層としたときに、ゲート絶縁膜の上側にゲート電極が配置され、ゲート絶縁膜の下側に活性層が形成された形態である。ボトムゲート型とは、ゲート絶縁膜の下側にゲート電極が配置され、ゲート絶縁膜の上側に活性層が形成された形態である。また、ボトムコンタクト型とは、ソース・ドレイン電極が活性層よりも先に形成されて活性層の下面がソース・ドレイン電極に接触する形態である。トップコンタクト型とは、活性層がソース・ドレイン電極よりも先に形成されて活性層の上面がソース・ドレイン電極に接触する形態である。
図1は、トップゲート構造でトップコンタクト型の本発明に係るTFTの一例を示す模式図である。図1に示すTFT10では、基板12の一方の主面上に活性層14として上述の本発明の薄膜が積層されている。そして、活性層14上にソース電極16及びドレイン電極18が互いに離間して設置され、更にこれらの上にゲート絶縁膜20と、ゲート電極22とが順に積層されている。
図2は、トップゲート構造でボトムコンタクト型の本発明に係るTFTの一例を示す模式図である。図2に示すTFT30では、基板12の一方の主面上にソース電極16及びドレイン電極18が互いに離間して設置されている。そして、活性層14として上述の本発明の薄膜と、ゲート絶縁膜20と、ゲート電極22と、が順に積層されている。
図3は、ボトムゲート構造でトップコンタクト型の本発明に係るTFTの一例を示す模式図である。図3に示すTFT40では、基板12の一方の主面上にゲート電極22と、ゲート絶縁膜20と、活性層14として本発明の薄膜と、が順に積層されている。そして、活性層14の表面上にソース電極16及びドレイン電極18が互いに離間して設置されている。
図4は、ボトムゲート構造でボトムコンタクト型の本発明に係るTFTの一例を示す模式図である。図4に示すTFT50では、基板12の一方の主面上にゲート電極22と、ゲート絶縁膜20と、が順に積層されている。そして、ゲート絶縁膜20の表面上にソース電極16及びドレイン電極18が互いに離間して設置され、更にこれらの上に、活性層14として本発明の薄膜が積層されている。
以下の実施形態としては図1に示すトップゲート型の薄膜トランジスタ10について主に説明するが、本発明の薄膜トランジスタはトップゲート型に限定されることなく、ボトムゲート型の薄膜トランジスタであってもよい。
(活性層)
本実施形態の薄膜トランジスタ10を製造する場合、まず、本発明の薄膜の製造方法により、基板12上に薄膜を形成する。
薄膜のパターニングは前述したインクジェット法、ディスペンサー法、凸版印刷法、又は凹版印刷法によって行ってもよく、薄膜の形成後にフォトリソグラフィー及びエッチングによりパターニングを行ってもよい。
フォトリソグラフィー及びエッチングによりパターン形成を行うには、薄膜を形成した後、活性層14として残存させる部分にフォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成した後、塩酸、硝酸、希硫酸、又は燐酸、硝酸及び酢酸の混合液等の酸溶液によりエッチングすることにより活性層14のパターンを形成する。
(保護層)
活性層14上にはソース・ドレイン電極16,18のエッチング時に活性層14を保護するための保護層(不図示)を形成することが好ましい。保護層の成膜方法に特に限定はなく、本発明の薄膜を形成した後、パターニングする前に形成してもよいし、本発明の薄膜のパターニング後に形成してもよい。
また、保護層としては金属酸化物層であってもよく、樹脂のような有機材料であってもよい。なお、保護層はソース電極16及びドレイン電極18(適宜「ソース・ドレイン電極」と記す)の形成後に除去しても構わない。
(ソース・ドレイン電極)
本発明の薄膜で形成される活性層14上にソース・ドレイン電極16,18を形成する。ソース・ドレイン電極16,18はそれぞれ電極として機能するように高い導電性を有するものを用い、Al,Mo,Cr,Ta,Ti,Au,Au等の金属、Al−Nd、Ag合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)、In−Ga−Zn−O等の金属酸化物導電膜等を用いて形成することができる。
ソース・ドレイン電極16,18を形成する場合、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式等の中から使用する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って成膜すればよい。
ソース・ドレイン電極16,18の膜厚は、成膜性、エッチング又はリフトオフ法によるパターニング性、導電性等を考慮すると、10nm以上1000nm以下とすることが好ましく、50nm以上100nm以下とすることがより好ましい。
ソース・ドレイン電極16,18は、導電膜を形成した後、例えば、エッチング又はリフトオフ法により所定の形状にパターニングして形成してもよく、インクジェット法等により直接パターン形成してもよい。この際、ソース・ドレイン電極16,18及びこれらの電極に接続する配線(不図示)を同時にパターニングすることが好ましい。
(ゲート絶縁膜)
ソース・ドレイン電極16,18及び配線(不図示)を形成した後、ゲート絶縁膜20を形成する。ゲート絶縁膜20は高い絶縁性を有するものが好ましく、例えばSiO、SiN、SiON、Al、Y、Ta、HfO等の絶縁膜、又はこれらの化合物を2種以上含む絶縁膜としてもよい。
ゲート絶縁膜20は、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式等の中から使用する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って成膜すればよい。
尚、ゲート絶縁膜20はリーク電流の低下及び電圧耐性の向上のための厚みを有する必要がある一方、ゲート絶縁膜20の厚みが大きすぎると駆動電圧の上昇を招いてしまう。ゲート絶縁膜20は材質にもよるが、ゲート絶縁膜20の厚みは10nm以上10μm以下が好ましく、50nm以上1000nm以下がより好ましく、100nm以上400nm以下が特に好ましい。
(ゲート電極)
ゲート絶縁膜20を形成した後、ゲート電極22を形成する。ゲート電極22は高い導電性を有するものを用い、Al,Mo,Cr,Ta,Ti,Au,Au等の金属、Al−Nd、Ag合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)、IGZO等の金属酸化物導電膜等を用いて形成することができる。ゲート電極22としてはこれらの導電膜を単層構造又は2層以上の積層構造として用いることができる。
ゲート電極22は、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式等の中から使用する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って成膜する。
ゲート電極22を形成するための金属膜の膜厚は、成膜性、エッチングやリフトオフ法によるパターニング性、導電性等を考慮すると、10nm以上1000nm以下とすることが好ましく、50nm以上200nm以下とすることがより好ましい。
成膜後、エッチング又はリフトオフ法により所定の形状にパターニングすることにより、ゲート電極22を形成してもよく、インクジェット法等により直接パターン形成してもよい。この際、ゲート電極22及びゲート配線(不図示)を同時にパターニングすることが好ましい。
以上で説明した本実施形態の薄膜トランジスタ10の用途には特に限定はないが、高い輸送特性を示すことから、例えば電気光学装置、具体的には、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)表示装置、無機EL表示装置等の表示装置における駆動素子、耐熱性の低い樹脂基板を用いたフレキシブルディスプレイの作製に好適である。
更に本発明により製造される薄膜トランジスタは、X線センサ、イメージセンサ等の各種センサ、MEMS(Micro Electro Mechanical System)等、種々の電子デバイスにおける駆動素子(駆動回路)として好適に用いられる。
<液晶表示装置>
本発明の一実施形態である液晶表示装置について、図5にその一部分の概略断面図を示し、図6に電気配線の概略構成図を示す。
図5に示すように、本実施形態の液晶表示装置100は、図1に示したトップゲート構造でトップコンタクト型のTFT10と、TFT10のパッシベーション層102で保護されたゲート電極22上に画素下部電極104およびその対向上部電極106で挟まれた液晶層108と、各画素に対応させて異なる色を発色させるためのR(赤)G(緑)B(青)のカラーフィルタ110とを備え、TFT10の基板12側およびRGBカラーフィルタ110上にそれぞれ偏光板112a、112bを備えた構成である。
また、図6に示すように、本実施形態の液晶表示装置100は、互いに平行な複数のゲート配線112と、該ゲート配線112と交差する、互いに平行なデータ配線114とを備えている。ここでゲート配線112とデータ配線114は電気的に絶縁されている。ゲート配線112とデータ配線114との交差部付近に、TFT10が備えられている。
TFT10のゲート電極22は、ゲート配線112に接続されており、TFT10のソース電極16はデータ配線114に接続されている。また、TFT10のドレイン電極18はゲート絶縁膜20に設けられたコンタクトホール116を介して(コンタクトホール116に導電体が埋め込まれて)画素下部電極104に接続されている。この画素下部電極104は、接地された対向上部電極106とともにキャパシタ118を構成している。
<有機EL表示装置>
本発明の一実施形態に係るアクティブマトリックス方式の有機EL表示装置について、図7に一部分の概略断面図を示し、図8に電気配線の概略構成図を示す。
本実施形態のアクティブマトリックス方式の有機EL表示装置200は、図1に示したトップゲート構造のTFT10が、パッシベーション層202を備えた基板12上に、駆動用TFT10aおよびスイッチング用TFT10bとして備えられ、TFT10a,10b上に下部電極208および上部電極210に挟まれた有機発光層212からなる有機EL発光素子214を備え、上面もパッシベーション層216により保護された構成となっている。
また、図8に示すように、本実施形態の有機EL表示装置200は、互いに平行な複数のゲート配線220と、該ゲート配線220と交差する、互いに平行なデータ配線222および駆動配線224とを備えている。ここで、ゲート配線220とデータ配線222、駆動配線224とは電気的に絶縁されている。スイッチング用TFT10bのゲート電極22は、ゲート配線220に接続されており、スイッチング用TFT10bのソース電極16はデータ配線222に接続されている。また、スイッチング用TFT10bのドレイン電極18は駆動用TFT10aのゲート電極22に接続されるとともに、キャパシタ226を用いることで駆動用TFT10aをオン状態に保つ。駆動用TFT10aのソース電極16は駆動配線224に接続され、ドレイン電極18は有機EL発光素子214に接続される。
なお、図7に示した有機EL表示装置において、上部電極210を透明電極としてトップエミッション型としてもよいし、下部電極208およびTFTの各電極を透明電極とすることによりボトムエミッション型としてもよい。
<X線センサ>
本発明の一実施形態であるX線センサについて、図9にその一部分の概略断面図を示し、図10にその電気配線の概略構成図を示す。
本実施形態のX線センサ300は基板12上に形成されたTFT10およびキャパシタ310と、キャパシタ310上に形成された電荷収集用電極302と、X線変換層304と、上部電極306とを備えて構成される。TFT10上にはパッシベーション膜308が設けられている。
キャパシタ310は、キャパシタ用下部電極312とキャパシタ用上部電極314とで絶縁膜316を挟んだ構造となっている。キャパシタ用上部電極314は絶縁膜316に設けられたコンタクトホール318を介し、TFT10のソース電極16およびドレイン電極18のいずれか一方(図9においてはドレイン電極18)と接続されている。
電荷収集用電極302は、キャパシタ310におけるキャパシタ用上部電極314上に設けられており、キャパシタ用上部電極314に接している。
X線変換層304はアモルファスセレンからなる層であり、TFT10およびキャパシタ310を覆うように設けられている。
上部電極306はX線変換層304上に設けられており、X線変換層304に接している。
図10に示すように、本実施形態のX線センサ300は、互いに平行な複数のゲート配線320と、ゲート配線320と交差する、互いに平行な複数のデータ配線322とを備えている。ここでゲート配線320とデータ配線322は電気的に絶縁されている。ゲート配線320とデータ配線322との交差部付近に、TFT10が備えられている。
TFT10のゲート電極22は、ゲート配線320に接続されており、TFT10のソース電極16はデータ配線322に接続されている。また、TFT10のドレイン電極18は電荷収集用電極302に接続されており、電荷収集用電極302はキャパシタ310に接続されている。
本実施形態のX線センサ300において、X線は図9中、上部電極306側から入射してX線変換層304で電子−正孔対を生成する。X線変換層304に上部電極306によって高電界を印加しておくことにより、生成した電荷はキャパシタ310に蓄積され、TFT10を順次走査することによって読み出される。
なお、上記実施形態の液晶表示装置100、有機EL表示装置200、及びX線センサ300においては、トップゲート構造のTFTを備えるものとしたが、TFTはこれに限定されず、図2〜図4に示す構造のTFTであってもよい。
以下に実施例を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
<インジウム錯体及びガリウム錯体の合成>
インジウム錯体として、本発明の金属錯体の範囲に含まれる例示化合物1〜6、並びに、本発明の金属錯体の範囲に含まれない比較化合物a及びbの合成をそれぞれ行った。更に、ガリウム錯体として、本発明の金属錯体の範囲に含まれる例示化合物7の合成を行った。
以下、詳細を説明する。
〔実施例1−1〕(例示化合物1の合成)
メタノール(10mL)に、Journal of Organic Chemistry, 1985, Vol.50, p.1302に記載の4−(tert−ブチルオキシカルボニル−N−メチルアミノ)ブタン酸(650mg、3mmol)と、塩化インジウム・4水和物(290mg、1mmol)と、をそれぞれ加え、10分間攪拌した。
次いで、ここに2N NaOH水溶液(1.5mL)を加え、室温にて1時間攪拌した。得られた溶液から溶媒を留去し、残渣に塩化メチレン(30mL)を加え、1時間攪拌した。
得られた溶液から不溶物をろ別し、次いで、ろ液から溶媒を留去することで、例示化合物1を450mg得た。
−例示化合物1のNMR測定結果−
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6)δ1.5(s、27H)、1.8−1.9(m、6H)、2.5(m、6H)、2.9(s、9H)、3.3(t、6H).
〔実施例1−2〕(例示化合物2の合成)
実施例1−1において、4−(tert−ブチルオキシカルボニルーN−メチルアミノ)ブタン酸を4−(メチルアミノ)ブタン酸塩酸塩(460mg、3mmol)に変更し、かつ、2N NaOH水溶液の量を3mLに変更したこと以外は実施例1−1と同様の操作を行い、例示化合物2を300mg得た。
−例示化合物2のNMR測定結果−
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6)δ1.8−1.9(m、6H)、2.5−3.0(m、21H).
〔実施例1−3〕(例示化合物3の合成)
実施例1−1において、4−(tert−ブチルオキシカルボニル−N−メチルアミノ)ブタン酸を、Tetrahedron, 1989, vol.45, p.7783に記載の4−ヒドロキシブタン酸(350mg、3mmol)に変更したこと以外は実施例1−1と同様の操作を行い、例示化合物3を200mg得た。
−例示化合物3のNMR測定結果−
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6)δ1.7−1.8(m、6H)、2.5(t、6H)、3.5(t、6H).
〔実施例1−4〕(例示化合物4の合成)
実施例1−1において、4−(tert−ブチルオキシカルボニルーN−メチルアミノ)ブタン酸を、Chemistry Letters, 2007, vol.36, p.452に記載の4−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸(630mg、3mmol)に変更したこと以外は実施例1−1と同様の操作を行い、例示化合物4を450mg得た。
−例示化合物4のNMR測定結果−
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6)δ3.7−3.8(m、6H)、4.4−4.5(m、6H)、7.1(d、6H)、8.0(m、6H).
〔実施例1−5〕(例示化合物5の合成)
Journal of Medicinal Chemistry, 2000, vol.43, p.2946に記載の2−[2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)エチル]チオフェン(6.3g、30mmol)を、脱水THF100mLに溶解させ、得られた溶液を−78℃に冷却した。そこに、1.6mol/L n−ブチルリチウム ヘキサン溶液(18.9mL、30mmol)を滴下し、1時間攪拌した。
次いで、撹拌後の溶液に二硫化炭素(3.5mL、45mmol)を加え、−78℃で1時間、室温で3時間攪拌した。
次いで、溶液から溶媒を留去した後、残渣にジエチルエーテル50mLを加え、0.5N 塩酸(50mL)で油層を3回洗浄した。その後、0.5N NaOH水溶液 (40mL)で逆抽出を行い、水相を酸性化した後、再びジエチルエーテル(50mL)にて3回抽出操作を行い、油層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後の油層から乾燥剤(無水硫酸ナトリウム)をろ別した後、ろ液から溶媒を留去することで、5−ヒドロキシエチル−2−ジチオカルボキシ−チオフェンを1g得た。
次に、実施例1−1において、4−(tert−ブチルオキシカルボニルーN−メチルアミノ)ブタン酸を、上記の5−ヒドロキシエチル−2−ジチオカルボキシ−チオフェン(610mg、3mmol)に変更したこと以外は実施例1−1と同様の操作を行い、例示化合物5を250mg得た。
−例示化合物5のNMR測定結果−
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6)δ2.5−2.6(m、6H)、4.4−4.5(m、6H)、6.8(d、2H)、7.90(d、6H).
〔実施例1−6〕(例示化合物6の合成)

実施例1−1において、4−(tert−ブチルオキシカルボニル−N−メチルアミノ)ブタン酸を、Journal of Organic Chemistry, 1998, 63, p.6739に記載の5−ヒドロキシ−2−ペンチン酸(340mg、3mmol)に変更したこと以外は実施例1−1と同様の操作を行い、例示化合物6を100mg得た。
−例示化合物6のNMR測定結果−
1H−NMR(400MHz、acetone−d6)δ2.7(t、6H)、3.8(t、6H).
〔実施例1−7〕(例示化合物7の合成)
実施例1−1において、塩化インジウム・4水和物を塩化ガリウム(176mg、1mmol)に変更したこと以外は実施例1−1と同様の操作を行い、例示化合物7を300mg得た。
−例示化合物7のNMR測定結果−
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6)δ1.5(s、27H)、1.8−1.9(m、6H)、2.5−3.3(m、21H).
〔比較例1−a〕(比較化合物aの合成)
実施例1−1において、4−(tert−ブチルオキシカルボニルーN−メチルアミノ)ブタン酸を、ヘキサン酸(349mg、3mmol)に変更したこと以外は実施例1−1と同様の操作を行い、比較化合物aを100mg得た。
−比較化合物aのNMR測定結果−
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6)δ0.8〜1.8(m、27H)、2.2(t、6H).
〔比較例1−b〕(比較化合物bの合成)
実施例1−1において、4−(tert−ブチルオキシカルボニルーN−メチルアミノ)ブタン酸を、フェニルプロピオン酸(451mg、3mmol)に変更したこと以外は実施例1−1と同様の操作を行い、比較化合物bを100mg得た。
−比較化合物bのNMR測定結果−
1H−NMR(400MHz、DMSO−d6)δ2.6〜3.1(m、12H)、7.0〜7.5(t、15H).
<金属錯体溶液の作製>
上記で合成した、例示化合物1〜7、比較化合物a及びb、並びに、三酢酸インジウム(III)をそれぞれ用い、金属錯体溶液を作製した。
以下、詳細を説明する。
〔実施例2−1〕
例示化合物1(382mg)に常温(25℃、以下同じ)のイオン交換水を加え、振動攪拌することで、0.1mol/Lの透明溶液(下記表1に示す金属錯体溶液2−1)5mLを得た。
〔実施例2−2〜2−7、比較例2−a〜2−c〕
実施例2−1において、例示化合物1を下記表1に示す化合物に変更したこと以外は実施例2−1と同様の操作を行い、金属錯体溶液(下記表1に示す金属錯体溶液2−2〜2−7、2−a〜2−c)を得た。
また、溶質として、インジウム トリイソプロポキシドを用いて、金属錯体溶液調製を試みたが、加水分解し、沈殿を生じてしまい、調液を断念した。
<薄膜の作製>
上記で作製された、金属錯体溶液2−1〜2−7、2−a〜2−cをそれぞれ用い、薄膜を作製した。
以下、詳細を説明する。
〔実施例3−1〕
−塗布膜形成工程−
金属錯体溶液2−1を、25mm四方の熱酸化膜付p型Si基板上に、3000rpmの回転速度で60秒スピンコートした後、150℃に加熱したホットプレート上で5分間乾燥させる操作を5回繰り返すことで、塗布膜として、膜厚40nm程度の金属錯体薄膜(有機インジウム錯体薄膜)を得た。
−加熱処理工程−
上記で得られた金属錯体薄膜に下記条件の加熱処理(焼成)を施し、薄膜を得た。
加熱処理は、高速熱処理装置(Allwin21社製AW−410)を用いて、50℃/secの昇温速度で250℃の温度まで昇温し、次いで30分間保持し、その後、炉内で冷却することにより行った。
−−加熱処理の条件−−
・加熱温度: 250℃
・加熱雰囲気: 酸素濃度20体積%の酸素及びアルゴン雰囲気(体積基準の流量比〔O/(Ar+O)〕が0.2である雰囲気)
・雰囲気ガスの総流量: 2L/min
−X線回折測定−
上記で得られた薄膜について、X線回折測定を行った。
X線回折測定の結果、この実施例3−1では、酸化インジウムの存在を示す特徴的なピークが確認され、薄膜が、酸化インジウム薄膜であることが確認された。
以上の結果を、下記表2にまとめた。
〔実施例3−2〜3−4、3−6、比較例3−c〕
実施例3−1において、金属錯体溶液2−1を、下記表2に示す金属錯体溶液に変更したこと以外は実施例3−1と同様にして薄膜を作製し、実施例3−1と同様にX線回折測定を行った。
X線回折測定の結果、いずれの例においても、酸化インジウムの存在を示す特徴的なピークが確認され、薄膜が、酸化インジウム薄膜であることが確認された。
以上の結果を、下記表2にまとめた。
〔実施例3−5〕
実施例3−1において、金属錯体溶液2−1を下記表2に示す金属錯体溶液に変更し、かつ、加熱処理における加熱雰囲気をAr100体積%の雰囲気(酸素なし)に変更したこと以外は実施例3−1と同様にして薄膜を作製し、実施例3−1と同様にX線回折測定を行った。
X線回折測定の結果、硫化インジウムの存在を示す特徴的なピークが確認され、薄膜が、硫化インジウム薄膜であることが確認された。
以上の結果を、下記表2にまとめた。
〔実施例3−7〕
実施例3−1において、金属錯体溶液2−1を下記表2に示す金属錯体溶液に変更したこと以外は実施例3−1と同様にして薄膜を作製し、実施例3−1と同様にX線回折測定を行った。
X線回折測定の結果、酸化ガリウムの存在を示す特徴的なピークが確認され、薄膜が、酸化ガリウム薄膜であることが確認された。
以上の結果を、下記表2にまとめた。
〔比較例3−a、3−b〕
実施例3−1において、金属錯体溶液2−1を、下記表2に示す金属錯体溶液に変更したこと以外は実施例3−1と同様にして薄膜を作製し、実施例3−1と同様にX線回折測定を行った。
X線回折測定の結果、いずれの例においても、酸化インジウムの存在を示す特徴的なピークは観測されず、薄膜が、インジウム類縁体薄膜であることが確認された。
以上の結果を、下記表2にまとめた。
上記実施例3−1〜3−7及び比較例3−a〜3−cでは、硝酸インジウムを用いていないため、薄膜の作製過程において窒素酸化物(NO)が発生しないことは明らかである。
また、上記実施例3−1〜3−7及び比較例3−cで作製された薄膜の膜厚を、測定装置としてリガク社製ATX−Gを用い、走査速度0.2°/min、ステップ幅0.001°の条件で測定した。この測定では、得られたXRR(X-ray reflectivity)スペクトルの0.3〜4.0°の範囲を解析範囲とした。その結果、膜厚は、それぞれ、43nm(実施例3−1)、41nm(実施例3−2)、52nm(実施例3−3)、49nm(実施例3−4)、55nm(実施例3−5)、45nm(実施例3−6)、51nm(実施例3−7)、50nm(比較例3−c)であった。
<簡易型TFTの作製及び評価>
上記実施例3−1〜3−4及び3−6並びに比較例3−a〜3−cで作製された薄膜をそれぞれ用い、簡易型TFTの作製及び評価を行った。
具体的には、薄膜上に、メタルマスクを用いた蒸着(パターン成膜)により、膜厚50nmのTi膜である、ソース電極及びドレイン電極を形成した。ここで、ソース電極及びドレイン電極のサイズ(電極幅)は各々1mmとし、両電極間の距離は0.2mmとした。以上により、簡易型TFTを得た。
簡易型TFTについて、半導体パラメータ・アナライザー4156C(アジレントテクノロジー社製)を用い、トランジスタ特性(Vg−Id特性)の測定を行った。
Vg−Id特性の測定は、ドレイン電圧(Vd)を+1Vに固定し、ゲート電圧(Vg)を−15V〜+15Vの範囲内で変化させ、各ゲート電圧(Vg)におけるドレイン電流(Id)を測定することにより行った。
その結果、実施例3−1〜3−4及び3−6並びに比較例3−cの薄膜は、いずれも半導体特性を有することが確認された。
一方、比較例3−a及び3−bの薄膜は、半導体特性を確認できなかった。
比較例3−cでの移動度を100とした場合の実施例3−1〜3−4及び3−6の相対移動度を下記表3にまとめた。
上記表3の結果から、一般式(1)で表される金属錯体を用いることで、高い半導体特性を有する薄膜を、加熱処理のみによって容易に(即ち、プラズマ処理や紫外線照射処理といった特別な処理を用いずに)作製できることがわかった(実施例3−1〜3−4及び3−6)。この理由は、アニオン配位子内に、求核性を有する置換基が含まれる金属錯体(例示化合物1〜4及び6)では、アニオン配位子内での求核反応が起こることによって金属錯体の分解が促進され、その結果、酸化インジウムが容易に生じたためと考えられる。
一方、比較例3−a及び3−bでは、半導体特性を有する薄膜を作製できなかった。この理由は、アニオン配位子内に、求核性を有する置換基が含まれない金属錯体(比較化合物a及びb)では、アニオン配位子内での求核反応が起こらないため金属錯体が分解しにくくなり、その結果、酸化インジウム又は硫化インジウムが生じなかったためと考えられる。
また、比較例3−cでは、半導体特性を有する薄膜を作製することはできたものの、実施例3−1〜3−4及び3−6よりも移動度が低い結果となった。この理由は、三酢酸インジウム(III)では、アニオン配位子内に、求核性を有する置換基が含まれないことにより、得られる酸化インジウム薄膜の膜質が、実施例3−1〜3−4及び3−6における酸化インジウム薄膜の膜質と比較して劣っていたためと考えられる。
実施例3−1〜3−4及び3−6の中でも、金属錯体の分解により5員環又は6員環生成物を生じる、実施例3−1(例示化合物1)、実施例3−2(例示化合物2)、実施例3−3(例示化合物3)、及び実施例3−6(例示化合物6)では、トランジスタの移動度が特に高い傾向が見られた。中でも、実施例3−1(例示化合物1)、実施例3−2(例示化合物2)、及び実施例3−3(例示化合物3)では、この傾向が一層顕著であった。
また、更なる移動度の向上を目指し、高い移動度特性を示した例示化合物1及び2の金属錯体溶液に対して、酸化剤を添加した(下記実施例4−1〜4−6)。
〔実施例4−1〕
<金属錯体溶液の調製>
金属錯体(溶質)としての例示化合物1(764mg)、及び、酸化剤としてのNHPI(16mg)を容器に入れ、ここに常温(25℃、以下同じ)のイオン交換水を加えて振動攪拌することで、金属錯体の濃度が0.1mol/Lの金属錯体溶液4−1(10mL)を得た。
金属錯体溶液4−1において、金属錯体に対する酸化剤(NHPI)の濃度は、10mol%である。
<薄膜の作製>
実施例3−1において、金属錯体溶液2−1を、上記で得られた金属錯体溶液4−1に変更したこと以外は実施例3−1と同様にして、薄膜を作製した。
作製された薄膜について、実施例3−1と同様のX線回折測定を行った結果、酸化インジウムの存在を示す特徴的なピークが観察され、薄膜が、酸化インジウム薄膜であることが確認された。
また、作製された薄膜について、実施例3−1と同様にして膜厚を測定したところ、膜厚は42nmであった。
以上の結果(薄膜の種類及び膜厚)を下記表4に示す。
<簡易型TFTの作製及び評価>
実施例3−1の簡易型TFTの作製及び評価において、金属錯体溶液2−1を用いて作製された薄膜を、上記で得られた薄膜(金属錯体溶液4−1を用いて作製された薄膜)に変更したこと以外は実施例3−1と同様にして、簡易型TFTの作製及び評価を行った。
本実施例4−1では、上記簡易型TFTについて、実施例3−1での移動度を100とした場合の相対移動度を求めた。
得られた相対移動度を下記表4に示す。
〔実施例4−2〜4−6〕
実施例4−1において、金属錯体(溶質)の種類と酸化剤の種類との組み合わせを、下記表4に示す組み合わせに変更したこと以外は実施例4−1と同様の操作を行った。
結果を下記表4に示す。
−表4中の酸化剤の種類−
・NHPI … N−ヒドロキシフタルイミド
・TEMPO … 2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル
・NHPI/Co(OAc) … mol比〔N−ヒドロキシフタルイミド/二酢酸コバルト(II)〕=1/1の混合物
・FeCl … 塩化鉄(III)
表4に示すように、酸化剤を含有する金属錯体溶液を用いた実施例4−1〜4−6では、酸化剤を含有しない金属錯体溶液を用いた実施例3−1と比較して、相対移動度が高かった。この理由は、金属錯体薄膜中に酸化剤が存在することで、焼成時に金属錯体の分解が促進され、酸化インジウム薄膜中に金属錯体の未分解物が減少することで、移動度が向上したため、と考えられる。
更に、実施例4−1〜4−6の結果から、酸化剤としてNHPI又はTEMPOを用いることで、移動度が特に高くなる傾向が確認された。この理由は、酸化剤自体も分解されることにより、薄膜中の不純物が極めて少なくなるためと考えられる。
10,30,40,50 薄膜トランジスタ
12 基板
14 活性層
16 ソース電極
18 ドレイン電極
20 ゲート絶縁膜
22 ゲート電極
100 液晶表示装置
200 有機EL表示装置
300 X線センサ

Claims (21)

  1. 下記一般式(1)で表される金属錯体。

    〔一般式(1)中、Mは、インジウム又はガリウムを示す。
    (L11 d−−R11)は、d価のアニオン配位子を示し、Lは、中性配位子を示す。
    a及びcは、それぞれ独立に、1〜3の整数を示し、
    dは、1又は2を示し、
    eは、0〜3の整数を示す。
    但し、3×a=c×dである。
    11 d−は、d価のアニオン部位を示す。
    11は、求核性を示す置換基を有する、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数3〜20のヘテロアリール基を示す。〕
  2. 前記求核性を示す置換基が、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシアルコキシ基、アミノ基、又は炭素数1〜10の置換アミノ基である請求項1に記載の金属錯体。
  3. 前記R11が、求核性を示す置換基を有する、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、又は炭素数2〜20のアルキニル基である請求項1又は請求項2に記載の金属錯体。
  4. 前記R11が、求核性を示す置換基を有する、炭素数3〜5のアルキル基、炭素数3〜5のアルケニル基、又は炭素数3〜5のアルキニル基である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の金属錯体。
  5. 前記dが、1である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の金属錯体。
  6. 前記(L11 d−−R11)が、下記一般式(2)で表されるアニオン配位子である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の金属錯体。

    〔一般式(2)中、Aは、O又はSを示し、Bは、上記式(a)〜上記式(e)のいずれか一つで表される基を示す。上記式(a)〜上記式(e)中、*は、Aとの結合位置を示し、**は、R11との結合位置を示す。〕
  7. 前記Aが、Oであり、前記Bが、前記式(a)で表される基である請求項6に記載の金属錯体。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の金属錯体と、溶媒と、を含む金属錯体溶液。
  9. 前記溶媒が、ルイス塩基性を有する溶媒及びハロゲン系溶媒の少なくとも一方を含む請求項8に記載の金属錯体溶液。
  10. 前記溶媒が、水を含む請求項8又は請求項9に記載の金属錯体溶液。
  11. 更に、酸化剤を含む請求項8〜請求項10のいずれか1項に記載の金属錯体溶液。
  12. 前記酸化剤が、有機系酸化剤を含む請求項11に記載の金属錯体溶液。
  13. 前記酸化剤が、下記一般式(X)で表される化合物を含む請求項11又は請求項12に記載の金属錯体溶液。

    〔一般式(X)中、R21は、一般式(X)中の窒素原子とともにヘテロ環を形成する2価の連結基を示し、X21は、ヒドロキシ基又はオキシル基を示す。
  14. 金属酸化物及び金属硫化物の少なくとも一方を含む薄膜の作製に用いられる請求項8〜請求項13のいずれか1項に記載の金属錯体溶液。
  15. 請求項8〜請求項14のいずれか1項に記載の金属錯体溶液を塗布し、乾燥させて塗布膜を形成する塗布膜形成工程と、
    前記塗布膜を加熱処理することにより、金属酸化物及び金属硫化物の少なくとも一方を含む薄膜を得る加熱処理工程と、
    を有する薄膜の製造方法。
  16. 請求項15に記載の薄膜の製造方法によって製造された薄膜。
  17. 請求項16に記載の薄膜を備えた電子素子。
  18. 請求項16に記載の薄膜を備えた薄膜トランジスタ。
  19. 請求項18に記載の薄膜トランジスタを備えた表示装置。
  20. 請求項18に記載の薄膜トランジスタを備えたイメージセンサ。
  21. 請求項18に記載の薄膜トランジスタを備えたX線センサ。
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