JP2015138832A - 半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光電変換装置における光電変換効率の向上を目的とする。
【解決手段】 半導体層3の製造方法は、11族元素、13族元素およびカルコゲン元素を含み、少なくとも前記13族元素が有機錯体の状態で存在する皮膜を作製する工程と、該皮膜をアルコールを含む雰囲気で加熱して、皮膜中の有機成分を熱分解することによって熱分解皮膜を作製する工程と、該熱分解皮膜を加熱してI−III−VI族化合物を含む半
導体層3を作製する工程とを具備する。
【選択図】 図2
【解決手段】 半導体層3の製造方法は、11族元素、13族元素およびカルコゲン元素を含み、少なくとも前記13族元素が有機錯体の状態で存在する皮膜を作製する工程と、該皮膜をアルコールを含む雰囲気で加熱して、皮膜中の有機成分を熱分解することによって熱分解皮膜を作製する工程と、該熱分解皮膜を加熱してI−III−VI族化合物を含む半
導体層3を作製する工程とを具備する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、I−III−VI族化合物を含む半導体層の製造方法およびそれを用いた光電変
換装置の製造方法に関するものである。
換装置の製造方法に関するものである。
太陽光発電等に使用される光電変換装置として、CISやCIGS等のカルコパイライト系のI−III−VI族化合物によって光吸収層が形成されたものがある。このような光電
変換装置は、例えば特許文献1に記載されている。
変換装置は、例えば特許文献1に記載されている。
このようなI−III−VI族化合物を含む光電変換装置は、複数の光電変換セルが平面的
に並設された構成を有する。各光電変換セルは、ガラス等の基板の上に、金属電極等の下部電極と、光吸収層やバッファ層等からなる光電変換層と、透明電極や金属電極等の上部電極とが、この順に積層されて構成される。また、複数の光電変換セルは、隣り合う一方の光電変換セルの上部電極と他方の光電変換セルの下部電極とが接続導体によって電気的に接続されることで、電気的に直列に接続されている。
に並設された構成を有する。各光電変換セルは、ガラス等の基板の上に、金属電極等の下部電極と、光吸収層やバッファ層等からなる光電変換層と、透明電極や金属電極等の上部電極とが、この順に積層されて構成される。また、複数の光電変換セルは、隣り合う一方の光電変換セルの上部電極と他方の光電変換セルの下部電極とが接続導体によって電気的に接続されることで、電気的に直列に接続されている。
このようなI−III−VI族化合物を含む光吸収層は、下部電極上にI−III−VI族化合物の原料を含む皮膜が形成され、この皮膜が熱処理されることによって形成される。
このようなI−III−VI族化合物の原料としては、I−III−VI族化合物を構成する元素の塩や錯体等が用いられる。例えば特許文献2には、1つの有機化合物内にCuと、Seと、InもしくはGaとを存在させた単一源錯体がI−III−VI族化合物半導体の原料と
して用いられることが記載されている。
して用いられることが記載されている。
上記I−III−VI族化合物の原料を含む皮膜は、熱処理により有機成分が熱分解され、
その後、原料元素同士が反応してI−III−VI族化合物の多結晶体(半導体層)となる。
しかしながら、上記皮膜にGa等の13族元素が錯体として含まれていると、熱処理の際、13族元素が何らかの状態で皮膜から放出されることにより、消失しやすい傾向がある。そのため、大きな面積の半導体層が形成される場合、組成ばらつきが生じ、半導体層の光電変換効率を十分に高めることが困難である。
その後、原料元素同士が反応してI−III−VI族化合物の多結晶体(半導体層)となる。
しかしながら、上記皮膜にGa等の13族元素が錯体として含まれていると、熱処理の際、13族元素が何らかの状態で皮膜から放出されることにより、消失しやすい傾向がある。そのため、大きな面積の半導体層が形成される場合、組成ばらつきが生じ、半導体層の光電変換効率を十分に高めることが困難である。
そこで本発明は、I−III−VI族化合物の原料から成る皮膜中の金属元素の含有量を良
好に制御することにより、光電変換効率の高い半導体層および光電変換装置を提供することを目的とする。
好に制御することにより、光電変換効率の高い半導体層および光電変換装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係る半導体層の製造方法は、11族元素、13族元素およびカルコゲン元素を含み、少なくとも前記13族元素が有機錯体の状態で存在する皮膜を作製する工程と、該皮膜をアルコールを含む雰囲気で加熱して、前記皮膜中の有機成分を熱分解することによって熱分解皮膜を作製する工程と、該熱分解皮膜を加熱してI−III−VI族
化合物を含む半導体層を作製する工程とを具備する。
化合物を含む半導体層を作製する工程とを具備する。
本発明の第2の態様に係る半導体層の製造方法は、11族元素および13族元素を含み、少なくとも前記13族元素が有機錯体の状態で存在する皮膜を作製する工程と、該皮膜をアルコールを含む雰囲気で加熱して、前記皮膜中の有機成分を熱分解することによって熱分解皮膜を作製する工程と、該熱分解皮膜をカルコゲン元素を含む雰囲気で加熱して、I−III−VI族化合物を含む半導体層を作製する工程とを具備する。
本発明の第3の態様に係る光電変換装置の製造方法は、上記半導体層の製造方法によって第1の半導体層を作製する工程と、該第1の半導体層に電気的に接続されるように、該第1の半導体層とは異なる導電型の第2の半導体層を作製する工程とを具備する。
本発明の上記の各態様によれば、光電変換効率の高い半導体層および光電変換装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同一符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。
<(1)光電変換装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置を示す断面図である。図2は、図1の光電変換装置のXZ断面図である。なお、図1および図2には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の製造方法を用いて作製した光電変換装置を示す断面図である。図2は、図1の光電変換装置のXZ断面図である。なお、図1および図2には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
光電変換装置11は、基板1の上に複数の光電変換セル10が並設された構成を有している。図1では、図示の都合上、2つの光電変換セル10のみが示されているが、実際の光電変換装置11には、図面のX軸方向、或いは更に図面のY軸方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配列されている。
各光電変換セル10は、下部電極層2、第1の半導体層3、第2の半導体層4、上部電極層5、および集電電極7を主に備えている。そして、隣接する光電変換セル10のうち、一方の光電変換セル10の集電電極7と、他方の光電変換セル10の下部電極層2とが、接続導体7を介して電気的に接続されている。このような構成によって、隣接する光電変換セル10同士が直列接続されている。
光電変換装置11では、上部電極層5および集電電極7が設けられた側の主面が受光面となっているが、これに限定されず、基板1側の主面が受光面となっていてもよい。また、光電変換装置11には、第1〜3溝部P1,P2,P3といった3種類の溝部が設けられている。
基板1は、複数の光電変換セル10を支持するものであり、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、または金属等の材料で構成されている。具体例として、例えば、基板1として、1〜3mm程度の厚さを有する青板ガラス(ソーダライムガラス)が挙げられる。
下部電極層2は、基板1の一主面の上に設けられた導電層であり、例えば、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、または金(Au)等の金属、あるいはこれらの金属の積層構造体からなる。また、下部電極層2は、0.2〜1μm程度の厚さを有する。
第1の半導体層3は、I−III−VI族化合物を主に含んだ半導体層であり、光を吸収し
て光電変換を行なう光吸収層として機能する。第1の半導体層3は、下部電極層2の+Z側の主面の上に、例えば1〜3μm程度の厚さで設けられている。なお、I−III−VI族
化合物を主に含むとは、I−III−VI族化合物を70mol%以上含んでいるものをいう
。I−III−VI族化合物とは、11族元素(I−B族元素ともいう)と13族元素(III−B族元素ともいう)と16族元素(VI−B族元素ともいう)との化合物であり、カルコパイライト構造を有している。I−III−VI族化合物としては、例えば、Cu(In,Ga
)Se2(CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)2(CIGSSともいう)、およびCuInSe2(CISともいう)等が挙げられる。
て光電変換を行なう光吸収層として機能する。第1の半導体層3は、下部電極層2の+Z側の主面の上に、例えば1〜3μm程度の厚さで設けられている。なお、I−III−VI族
化合物を主に含むとは、I−III−VI族化合物を70mol%以上含んでいるものをいう
。I−III−VI族化合物とは、11族元素(I−B族元素ともいう)と13族元素(III−B族元素ともいう)と16族元素(VI−B族元素ともいう)との化合物であり、カルコパイライト構造を有している。I−III−VI族化合物としては、例えば、Cu(In,Ga
)Se2(CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)2(CIGSSともいう)、およびCuInSe2(CISともいう)等が挙げられる。
第2の半導体層4は、第1の半導体層3と異なる導電型の半導体層であり、第1の半導体層3と第2の半導体層4とで、光照射によって生じた正負のキャリアの電荷分離を良好に行なうことができる。例えば、第1の半導体層3がp型であれば、第2の半導体層4はn型である。あるいは、第2の半導体層4が、電気抵抗率が1Ω・cm以上の高抵抗層と第1の半導体層3とは異なる導電型の半導体層とを含む複数層であってもよい。第2の半導体層4の厚みは、例えば5〜200nmに設定される。
第2の半導体層4としては、CdS、ZnS、ZnO、In2Se3、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)O等が挙げられる。第2の半導体層4は、例えばケミカルバスデポジション(CBD)法等で形成される。なお、In(OH,S)は、インジウム(In)が水酸化物および酸化物として含まれている化合物である。また、(Zn,In)(Se,OH)は、亜鉛(Zn)およびInがそれぞれセレン化物および水酸化物として含まれている化合物である。また、(Zn,Mg)Oは、ZnおよびMgが酸化物として含まれている化合物である。
上部電極層5は、第2の半導体層4の上に設けられた透明導電膜であり、第1の半導体層3および第2の半導体層4において分離した電荷を取り出す電極である。上部電極層5は、第2の半導体層4よりも低い電気抵抗率を有する物質によって構成されている。
光透過性が高く、且つ低い電気抵抗率を有するという観点からは、上部電極層5は、禁制帯幅が広い半導体材料が採用されてもよい。このような半導体材料としては、例えば、ZnO、In2O3およびSnO2等の金属酸化物半導体等が挙げられる。これらの金属酸化物半導体には、Al、B、Ga、InおよびF等のうちの何れかの元素が含まれても良い。このような元素が含まれた金属酸化物半導体の具体例としては、例えば、AZO(Aluminum Zinc Oxide)、BZO(Boron Zinc Oxide)、GZO(Gallium Zinc Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine tin Oxide)等がある。
上部電極層5は、例えば0.05〜3.0μmの厚さを有するように形成される。ここ
で、光電変換層20から電荷が良好に取り出される観点から言えば、上部電極層5は、1Ω・cm未満の抵抗率と、50Ω/□以下のシート抵抗とを有するものとすることができる。
で、光電変換層20から電荷が良好に取り出される観点から言えば、上部電極層5は、1Ω・cm未満の抵抗率と、50Ω/□以下のシート抵抗とを有するものとすることができる。
また、図1および図2に示すように、上部電極層5の上に集電電極7が設けられていてもよい。集電電極7は、Y軸方向に離間して設けられ、それぞれがX軸方向に延在している。集電電極7は、導電性を有する電極であり、例えば、銀(Ag)等の金属を含む。
集電電極7は、上部電極層5において取り出された電荷を集電する役割を担う。集電電極7が設けられれば、上部電極層5の薄層化が可能となる。
集電電極7および上部電極層5によって集電された電荷は、第2溝部P2に設けられた接続導体6を通じて、隣の光電変換セル10に伝達される。接続導体6は、例えば、図2に示されるように集電電極7のY軸方向への延在部分によって構成されている。なお、接続導体6は、これに限定されず、上部電極層5の延在部分によって構成されていてもよい。
集電電極5は、良好な導電性が確保されつつ、光吸収層3への光の入射量を左右する受光面積の低下が最小限にとどめられるように、50〜400μmの幅を有するものとすることができる。
<(2)第1の半導体層の製造方法の第1実施形態>
上記のI−III−VI族化合物を含む第1の半導体層3は、以下のようにして作製するこ
とができる。
上記のI−III−VI族化合物を含む第1の半導体層3は、以下のようにして作製するこ
とができる。
まず、11族元素、13族元素およびカルコゲン元素を含み、少なくとも13族元素が有機錯体の状態で存在する皮膜を作製する。次に、この皮膜を、アルコールを含む雰囲気で加熱して、皮膜中の有機成分を熱分解によって除去することによって熱分解皮膜を作製する。次に、この熱分解皮膜を加熱して、I−III−VI族化合物を含む第1の半導体層3
を作製する。なお、カルコゲン元素とは、16族元素のうちのS、Se、Teをいう。
を作製する。なお、カルコゲン元素とは、16族元素のうちのS、Se、Teをいう。
このようにアルコールを含む雰囲気下で皮膜を熱分解することにより、皮膜中の13族元素の消失を有効に低減できる。これは以下の理由によると考えられる。つまり、皮膜を加熱する際、皮膜中の13族元素の有機錯体が良好に熱分解されて有機成分だけが皮膜から除去される現象と、13族元素が有機錯体の状態で気化して13族元素も皮膜から除去される現象とが両立しやすいと考えられる。これに対し、上記のようにアルコールを含む雰囲気で皮膜を加熱すると、13族元素に配位している有機配位子に対してアルコールが水素元素を供給することによって、有機配位子を13族元素から良好に切り離すことができる。その結果、13族元素が有機錯体の状態で気化するのを有効に低減できる。
このような熱分解時の雰囲気ガスに含めるアルコールは、熱分解時の雰囲気温度で気体の状態になるものであればよい。このようなアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等がある。なお、熱分解時の雰囲気ガスに含めるアルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールおよび第3級アルコールのいずれも用いることができるが、13族元素の有機錯体に配位している有機配位子に対して水素元素をより良好に供給し易いという観点からは、第2級アルコールを用いてもよい。これは、ヒドロキシ基の水素元素の供給のし易さ、および13族元素を含む有機錯体に対する立体障害を考慮して、第2級アルコールがともに優れていることによる。
このような第1の半導体層3の製造方法の具体例として、以下に示す第1〜第3の方法
が挙げられる。
が挙げられる。
<(2-1)第1の方法>
第1の方法では、まず、11族元素と13族元素と有機カルコゲン化合物とを含む単一源錯体が溶媒に溶解された原料溶液(第1の方法における原料溶液を第1の原料溶液ともいう)を用意する。なお、単一源錯体とは、I−III−VI族化合物を構成する元素である
、11族元素、13族元素および16族元素(カルコゲン元素)を、1つの錯体分子中にすべて含んでいる錯体化合物のことである(特許文献2参照)。
第1の方法では、まず、11族元素と13族元素と有機カルコゲン化合物とを含む単一源錯体が溶媒に溶解された原料溶液(第1の方法における原料溶液を第1の原料溶液ともいう)を用意する。なお、単一源錯体とは、I−III−VI族化合物を構成する元素である
、11族元素、13族元素および16族元素(カルコゲン元素)を、1つの錯体分子中にすべて含んでいる錯体化合物のことである(特許文献2参照)。
また、有機カルコゲン化合物とは、カルコゲン元素を含む有機化合物であり、炭素元素とカルコゲン元素との共有結合を有する有機化合物である。有機カルコゲン化合物としては、例えば、チオール、スルフィド、ジスルフィド、チオフェン、スルホキシド、スルホン、チオケトン、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルホン酸アミド、セレノール、セレニド、ジセレニド、セレノキシド、セレノン、テルロール、テルリド、ジテルリド等が挙げられる。安定な錯体構造を保持できるという観点から、単一源錯体に用いる有機カルコゲン化合物として、金属に対する配位力の高い、チオール、スルフィド、ジスルフィド、セレノール、セレニド、ジセレニド、テルロール、テルリド、ジテルリド等を用いてもよい。
単一源錯体の構造の一例を一般式(1)に示す。一般式(1)において、M11は、目的とするI−III−VI族化合物に含まれる11族元素であり、M13は、目的とするI−III−VI族化合物を含む半導体層に含まれる13族元素である。また、X1〜X4はカルコゲン元素であり、これらはそれぞれ異なっていてもよく、2つ以上(全部でもよい)が同じであってもよい。R1〜R4は有機基であり、これらはそれぞれ異なる構造であってもよく、2つ以上(全部でもよい)が同じ構造であってもよい。そして、R1〜R4はX1〜X4と結合して有機カルコゲン化合物を形成している。つまり、R1X1、R2X2、R3X3およびR4X4が、それぞれチオールやセレノール、テルロール等の有機カルコゲン化合物を形成している。R1〜R4としては、例えば、アルキル基やアリール基等の炭素数が1〜8程度のものがあり、これらは任意の置換基で置換されていてもよい。R1〜R4の具体例としては、例えば、メチル基やエチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ベンジル基等がある。また、L1〜L2は非共有電子対を有する配位子であり、ルイス塩基として機能する。L1〜L2は、R1X1〜R4X4で表される有機カルコゲン化合物よりも配位力の高いものを用いることができ、例えば、非共有電子対を有する15族元素(V−B族元素ともいう)を具備した官能基や非共有電子対を有する16族元素を具備した官能基を有する有機化合物(好ましくは、炭素数が1〜8程度のもの)を用いることができる。また、L1〜L2はそれぞれ異なる構造であってもよく、同じ構造であってもよい。L1〜L2としては、例えば、P(Ph)3やP(C4H9)3等がある(なお、Phはフェニル基である)。
一般式(1)で表わされる単一源錯体の構造の具体例として、11族元素にCu、13族元素にGa、有機カルコゲン化合物にフェニルセレノールを用いた構造の一般式(2)がある。また、他の具体例として、11族元素にCu、13族元素にIn、有機カルコゲン化合物にフェニルセレノールを用いた構造の一般式(3)がある。これらの単一源錯体は特許文献2に示されるような方法を用いて作製可能である。なお、一般式(2)および一般式(3)中のPhはフェニル基を示す。
また、第1の原料溶液に用いる溶媒としては、単一源錯体を溶解できるものであればよく、例えば、ピリジンやアニリン等の極性溶媒を用いることができる。
次に、上記第1の原料溶液を、例えば、スピンコーティング、スクリーン印刷、ディッピング、スプレーコーティング、またはダイコーティング等によって下部電極層2上に膜状に被着することによって皮膜を作製する。そして、この皮膜を、アルコールを含む雰囲気下で加熱することによって、皮膜中の有機成分を熱分解によって除去し、熱分解皮膜にする。
また、熱分解時の雰囲気ガスとしては、窒素およびアルゴン等から選ばれる不活性ガスとアルコールとの混合ガス、水素等の還元性ガスとアルコールとの混合ガス、あるいは、不活性ガスと還元性ガスとアルコールとの混合ガスを用いることができる。また、加熱温度は、50〜350℃とすることができる。上記アルコールを含む雰囲気におけるアルコールの濃度は、例えば、雰囲気全体の圧力に対するアルコールの分圧の比率として10〜1000ppmvとすることができる。特に50〜150ppmvであれば、生成する熱分解皮膜にクラックや剥離が生じ難くなり、その結果、第1の半導体層3がより良好に結晶化し、光電変換装置11の光電変換効率がさらに向上する。
次に、上記熱分解皮膜を、さらに400〜650℃で加熱することによって、I−III
−VI族化合物の多結晶体としての第1の半導体層3を形成する。この第1の半導体層3を形成するための加熱時の雰囲気ガスとしては、不活性ガス、還元性ガスまたはこれらの混合ガスを用いることができる。この雰囲気ガスには、カルコゲン元素を、例えば、Se蒸気、S蒸気、H2SeまたはH2Sとして混合してもよい。これにより、カルコゲン化反応をより良好に行なうことができ、光電変換効率をより高めることができる。
−VI族化合物の多結晶体としての第1の半導体層3を形成する。この第1の半導体層3を形成するための加熱時の雰囲気ガスとしては、不活性ガス、還元性ガスまたはこれらの混合ガスを用いることができる。この雰囲気ガスには、カルコゲン元素を、例えば、Se蒸気、S蒸気、H2SeまたはH2Sとして混合してもよい。これにより、カルコゲン化反応をより良好に行なうことができ、光電変換効率をより高めることができる。
<(2-2)第2の方法>
I−III−VI族化合物を含む第1の半導体層3を作製するための第2の方法について説
明する。
I−III−VI族化合物を含む第1の半導体層3を作製するための第2の方法について説
明する。
第2の方法では、まず、13族元素に有機カルコゲン化合物が配位した有機錯体(以下では、13族元素に有機カルコゲン化合物が配位した有機錯体を13−16族錯体という)と
、11族元素とが溶媒に溶解された原料溶液(第2の方法における原料溶液を第2の原料溶液ともいう)を用意する。
、11族元素とが溶媒に溶解された原料溶液(第2の方法における原料溶液を第2の原料溶液ともいう)を用意する。
13−16族錯体は、有機カルコゲン化合物が13族元素に配位した錯体であり、例えば、一般式(4)のような構造が挙げられる。一般式(4)において、A+はアンモニウムイオン等の任意の陽イオンである。R1E1〜R4E4は上述した有機カルコゲン化合物である。
一般式(4)で表わされる13−16族錯体の具体例として、Gaとフェニルセレノールとの錯体構造である一般式(5)や、Inとフェニルセレノールとの錯体構造である一般式(6)がある。
また、11族元素は、種々の化合物の状態で第2の原料溶液に含むことができる。13−16族錯体との反応性を高めるという観点から、11族元素は、11族元素に有機カルコゲン化合物が配位した有機錯体(以下では、11族元素に有機カルコゲン化合物が配位した有機錯体を11−16族錯体という)の状態で第2の原料溶液に含めてもよい。11−16族錯体の具体例としては、11族元素(例えばCu)とフェニルセレノールとの錯体がある。
上記の13−16族錯体は、例えば13族元素の金属単体(地金)を、有機カルコゲン化合物およびルイス塩基性有機化合物を含む溶媒中に溶解することによって作製できる。同様に11−16族錯体は、例えば11族元素の金属単体(地金)を、有機カルコゲン化合物およびルイス塩基性有機化合物を含む溶媒中に溶解することによって作製できる。
なお、ルイス塩基性有機化合物とは、ルイス塩基となり得る官能基を有する有機化合物のことである。ルイス塩基となり得る官能基としては、例えば、非共有電子対を有する15族元素(V−B族元素とも言う)を具備した官能基、および非共有電子対を有する16族元素を具備した官能基等が挙げられる。ルイス塩基性有機化合物の具体例としては、ピリジン、アニリン等がある。
次に、上記第2の原料溶液を第1の電極層2上に膜状に被着することによって皮膜を作製する。そして、この皮膜をアルコールを含む雰囲気下で加熱することによって、皮膜中の有機成分を熱分解によって除去し、熱分解皮膜にする。なお、この熱分解時の条件(例えば、雰囲気ガスの種類、アルコールの濃度および加熱温度等)は、上記第1の方法と同様の条件を採用することができる。
次に、上記熱分解皮膜を、さらに400〜600℃で加熱することによって、I−III
−VI族化合物の多結晶体としての第1の半導体層3を形成する。この第1の半導体層3を形成するための加熱時の雰囲気ガスとしては、不活性ガス、還元性ガスまたはこれらの混合ガスを用いることができる。この雰囲気ガスには、カルコゲン元素を、例えば、Se蒸気、S蒸気、H2SeまたはH2Sとして混合してもよい。これにより、カルコゲン化反応をより良好に行なうことができ、光電変換効率をより高めることができる。
−VI族化合物の多結晶体としての第1の半導体層3を形成する。この第1の半導体層3を形成するための加熱時の雰囲気ガスとしては、不活性ガス、還元性ガスまたはこれらの混合ガスを用いることができる。この雰囲気ガスには、カルコゲン元素を、例えば、Se蒸気、S蒸気、H2SeまたはH2Sとして混合してもよい。これにより、カルコゲン化反応をより良好に行なうことができ、光電変換効率をより高めることができる。
<(2-3)第3の方法>
I−III−VI族化合物を含む第1の半導体層3を作製するための第3の方法について説
明する。
I−III−VI族化合物を含む第1の半導体層3を作製するための第3の方法について説
明する。
第3の方法では、まず、13族元素に有機配位子が配位した有機錯体(以下、13族元素に有機配位子が配位した有機錯体を13族錯体という)と、11族元素と、カルコゲン元素とが溶媒に溶解された原料溶液(第3の方法における原料溶液を第3の原料溶液ともいう)を用意する。
13族錯体に用いる有機配位子としては、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アミノ基、シアノ基等を有する有機化合物が挙げられる。第3の原料溶液に含める13族錯体としては、例えば、モノエタノールアミンがGaに配位した錯体等が挙げられる。
また、11族元素は、種々の化合物の状態で第3の原料溶液に含むことができる。例えば、11族元素に有機配位子が配位した有機錯体や、11−16族錯体等がある。また、16族元素は種々の化合物の状態で第3の原料溶液に含むことができる。例えば、有機カルコゲン化合物や、金属カルコゲナイド等がある。
次に、上記第3の原料溶液を第1の電極層2上に膜状に被着することによって皮膜を作製する。そして、この皮膜をアルコールを含む雰囲気下で加熱されることによって、皮膜中の有機成分を熱分解によって除去し、熱分解皮膜にする。なお、この熱分解時の条件(例えば、雰囲気ガスの種類、アルコールの濃度および加熱温度等)は、上記第1の方法と同様の条件が採用することができる。
次に、上記熱分解皮膜が、さらに400〜600℃で加熱することによって、I−III
−VI族化合物の多結晶体としての第1の半導体層3を形成する。この第1の半導体層3を形成するための加熱時の雰囲気ガスとしては、不活性ガス、還元性ガスまたはこれらの混合ガスを用いることができる。この雰囲気ガスには、カルコゲン元素を、例えば、Se蒸気、S蒸気、H2SeまたはH2Sとして混合してもよい。これにより、カルコゲン化反応をより良好に行なうことができ、光電変換効率をより高めることができる。
−VI族化合物の多結晶体としての第1の半導体層3を形成する。この第1の半導体層3を形成するための加熱時の雰囲気ガスとしては、不活性ガス、還元性ガスまたはこれらの混合ガスを用いることができる。この雰囲気ガスには、カルコゲン元素を、例えば、Se蒸気、S蒸気、H2SeまたはH2Sとして混合してもよい。これにより、カルコゲン化反応をより良好に行なうことができ、光電変換効率をより高めることができる。
<(3)第1の半導体層の製造方法の第2実施形態>
上記第1〜第3の方法では、原料溶液を塗布して形成した皮膜中にカルコゲン元素を含んでおり、この皮膜中のカルコゲン元素がI−III−VI族化合物の原料となり得る。この
ような構成とは異なり、皮膜中にカルコゲン元素を含んでいない構成であっても、第1の半導体層3を作製可能である。以下に皮膜中にカルコゲン元素を含んでいない場合の例としての、第1の半導体層3の製造方法について説明する。
上記第1〜第3の方法では、原料溶液を塗布して形成した皮膜中にカルコゲン元素を含んでおり、この皮膜中のカルコゲン元素がI−III−VI族化合物の原料となり得る。この
ような構成とは異なり、皮膜中にカルコゲン元素を含んでいない構成であっても、第1の半導体層3を作製可能である。以下に皮膜中にカルコゲン元素を含んでいない場合の例としての、第1の半導体層3の製造方法について説明する。
まず、11族元素および13族元素を含み、少なくとも13族元素が有機錯体の状態で存在する皮膜を作製する。次に、この皮膜を、アルコールを含む雰囲気で加熱して、皮膜中の有機成分を熱分解することによって熱分解皮膜を作製する。次に、この熱分解皮膜を、カルコゲン元素を含む雰囲気で加熱して、I−III−VI族化合物を含む第1の半導体層3を作製する。
このような第1の半導体層3の製造方法の具体例として、以下に示す第4の方法が挙げられる。
<(3-1)第4の方法>
第4の方法では、上記第3の方法で示した第3の原料溶液において、カルコゲン元素を添加していないものを用いることができる(第4の方法における原料溶液を第4の原料溶液ともいう)。この第4の原料溶液を用いて、第3の方法と同様にして熱分解皮膜を形成
する。
第4の方法では、上記第3の方法で示した第3の原料溶液において、カルコゲン元素を添加していないものを用いることができる(第4の方法における原料溶液を第4の原料溶液ともいう)。この第4の原料溶液を用いて、第3の方法と同様にして熱分解皮膜を形成
する。
次に、上記熱分解皮膜を、カルコゲン元素を含む雰囲気中で、400〜600℃で加熱することにより、I−III−VI族化合物の多結晶体としての第1の半導体層3を形成する
。この雰囲気ガスとしては、Se蒸気、S蒸気等のカルコゲン蒸気ガスや、H2Se、H2S等のカルコゲン化水素ガス等を用いることができる。この雰囲気ガスには、不活性ガスや還元性ガスを混合してもよい。
。この雰囲気ガスとしては、Se蒸気、S蒸気等のカルコゲン蒸気ガスや、H2Se、H2S等のカルコゲン化水素ガス等を用いることができる。この雰囲気ガスには、不活性ガスや還元性ガスを混合してもよい。
<(4)光電変換装置の製造方法>
上記の光電変換装置11の製造方法の一例を以下に示す。まず、洗浄された基板1の略全面に、スパッタリング法等を用いて、Mo等からなる下部電極層2を成膜する。そして、下部電極層2の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の基板1の上面にかけて、第1溝部P1を形成する。第1溝部P1は、例えば、YAGレーザー等によるレーザー光を走査しつつ形成対象位置に照射することで溝加工を行なう、スクライブ加工によって形成することができる。
上記の光電変換装置11の製造方法の一例を以下に示す。まず、洗浄された基板1の略全面に、スパッタリング法等を用いて、Mo等からなる下部電極層2を成膜する。そして、下部電極層2の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の基板1の上面にかけて、第1溝部P1を形成する。第1溝部P1は、例えば、YAGレーザー等によるレーザー光を走査しつつ形成対象位置に照射することで溝加工を行なう、スクライブ加工によって形成することができる。
第1溝部P1を形成した後、下部電極層2の上に上記半導体層の製造方法(上記第1の方法〜第4の方法のいずれか)を用いて第1の半導体層3を作成する。
第1の半導体層3を形成した後、第1の半導体層3の上に、第2の半導体層4および上部電極層5を順に形成する。第2の半導体層4は、溶液成長法(CBD法ともいう)等によって形成することができる。例えば、塩化インジウムとチオアセトアミドとを塩酸で酸性にした水に溶解し、これに第1の半導体層3の形成まで行なった基板1を浸漬することで、第1の半導体層3の上にIn2S3を含む第2の半導体層4を形成することができる。また、上部電極層5は、例えば、Alが含まれた酸化亜鉛(AZO)等を主成分とする透明導電膜であり、スパッタリング法、蒸着法、またはCVD法等で形成することができる。
上部電極層5を形成した後、上部電極層5の上面のうちのY方向に沿った直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第2溝部P2を形成する。第2溝部P2は、例えば、40〜50μm程度のスクライブ幅のスクライブ針を用いたスクライビングを、ピッチをずらしながら連続して数回にわたって行なうことで形成できる。また、スクライブ針の先端形状が第2溝部P2の幅に近い程度にまで広げたうえでスクライブすることによって第2溝部P2を形成しても良い。あるいは、2本または2本を超えるスクライブ針を相互に当接または近接した状態で固定し、1回から数回のスクライブを行なうことによって第2溝部P2を形成しても良い。第2溝部P2は、第1溝部P1よりも若干X方向(図中では+X方向)にずれた位置に形成する。
第2溝部P2を形成した後、集電電極7および接続導体6を形成する。集電電極7および接続導体6については、例えば、Ag等の金属粉を樹脂バインダー等に分散した導電ペーストを、所望のパターンを描くように印刷し、これを乾燥し、固化することで形成できる。
集電電極7および接続導体6を形成した後、上部電極層5の上面のうちの直線状の形成対象位置からその直下の下部電極層2の上面にかけて、第3溝部P3を形成する。第3溝部P3の幅は、例えば、40〜1000μm程度とすることができる。また、第3溝部P3は、第2溝部P2と同様に、メカニカルスクライビングによって形成することができる。このようにして、第3溝部P3の形成によって、図1および図2で示された光電変換装置11を製作したことになる。
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。
本発明の実施形態にかかる半導体層の製造方法および光電変換装置の製造方法について、以下のようにして評価した。本実施例においては第1の半導体層に含まれるI−III−VI族化合物としてCIGSを用いた。
まず、2種類の原料溶液(第1の原料溶液および第2の原料溶液)を調整した。これらの調整方法を以下に示す。
<第1の原料溶液の調整>
[a1]10ミリモル(mmol)のCu(CH3CN)4・PF6と、20mmolのP(C6H5)3とを、100mlのアセトニトリルに溶解した後、室温(25℃)における5時間の攪拌によって第1錯体溶液を調製した。
[a1]10ミリモル(mmol)のCu(CH3CN)4・PF6と、20mmolのP(C6H5)3とを、100mlのアセトニトリルに溶解した後、室温(25℃)における5時間の攪拌によって第1錯体溶液を調製した。
[a2]40mmolのナトリウムメトキシド(NaOCH3)と、有機カルコゲン化合物である40mmolのHSeC6H5とを、300mlのメタノールに溶解し、さらに、6mmolのInCl3と4mmolのGaCl3とを溶解した後、室温における5時間の攪拌によって第2錯体溶液を調製した。
[a3]工程[a1]で調製された第1錯体溶液に対して、工程[a2]で調製された第2錯体溶液を1分間に10mlの速度で滴下したところ、白い析出物(沈殿物)が生じた。上記滴下処理の終了後、室温における1時間の攪拌と、遠心分離機による沈殿物の抽出とを、順次に行なった。この沈殿物の抽出時には、遠心分離機によって一旦取り出された沈殿物を500mlのメタノールに分散させた後に遠心分離機で沈殿物を再度取り出す工程を2回繰り返し、最後にこの沈殿物を室温で乾燥することで、一般式(1)および一般式(2)に示すような単一源錯体の混合体を含む沈殿物を得た。この単一源前駆体の混合体では、1つの錯体分子に、CuとGaとSeとが含まれるか、またはCuとInとSeとが含まれる。
この単一源前駆体の混合体を含む沈殿物中に含まれるCu、In、Gaの各含有量は、蛍光X線分析(XRF)を用いた分析によって測定した。
[a4]工程[a3]で得られた単一源前駆体を含む沈殿物に、有機溶媒であるピリジンを添加することで、単一源前駆体の濃度が45質量%である第1の原料溶液を調製した。
<第2の原料溶液の調整>
[b1]有機カルコゲン化合物であるフェニルセレノール(HSeC6H5)を、ルイス塩基性有機溶剤であるアニリンに対して、100mol%の濃度となるように溶解して混合溶媒を調製した。
[b1]有機カルコゲン化合物であるフェニルセレノール(HSeC6H5)を、ルイス塩基性有機溶剤であるアニリンに対して、100mol%の濃度となるように溶解して混合溶媒を調製した。
[b2]次に、地金のCu、地金のIn、および地金のGaを、上記混合溶媒に直接溶解することで、第2の原料溶液を調製した(各金属元素はフェニルセレノールと錯体を形成することによって混合溶媒中に溶解すると考えられる)。この第2の原料溶液では、Cuの濃度を2.3質量%、Inの濃度を3.2質量%、Gaの濃度を1.3質量%とした。
<第1の半導体層の作製>
次に、ガラスを含む基板1の表面に、Mo等を含む第1の電極層2が成膜されたものを複数枚用意した。そして、窒素ガスの雰囲気下において第1の電極層2の上に上記第1の
原料溶液あるいは第2の原料溶液をそれぞれブレード法によって塗布し、複数種の皮膜(第1の原料溶液を用いた皮膜と、第2の原料溶液を用いた皮膜)を形成した。
次に、ガラスを含む基板1の表面に、Mo等を含む第1の電極層2が成膜されたものを複数枚用意した。そして、窒素ガスの雰囲気下において第1の電極層2の上に上記第1の
原料溶液あるいは第2の原料溶液をそれぞれブレード法によって塗布し、複数種の皮膜(第1の原料溶液を用いた皮膜と、第2の原料溶液を用いた皮膜)を形成した。
次に、上記の複数種の皮膜を、以下の第1条件〜第3条件の各雰囲気中において、300℃で10分間加熱することによって、各皮膜中の有機成分を熱分解により除去して熱分解皮膜を作製した。第1条件は、2−ブタノールが窒素ガス中に分圧比で100ppmv含まれる雰囲気である。第2条件は、水蒸気が窒素ガス中に分圧比で50ppmv含まれる雰囲気であり、比較例である。第3条件は、窒素ガスのみの雰囲気であり、比較例である。
さらに、これらの有機成分が除去された各熱分解皮膜を、水素ガスの雰囲気下において、550℃で1時間加熱することにより、主にCIGSから成る第1の半導体層3を形成した。これらの第1の半導体層3に対して、厚み方向にエッチングしながら、X線光電子分光法(XPS)を用いた分析によって第1の半導体層3中に含まれるCu、In、Gaおよび酸素(O)の含有量を測定した。なお、図3に第1の原料溶液を用いて第1の条件で作製した第1の半導体層3のXPS分析結果を示す。また、図4に第1の原料溶液を用いて第2の条件で作製した第1の半導体層のXPS分析結果を示す。後述する表1における各元素の含有量は、このXPS分析結果を用いて厚み方向の平均値を算出した結果を用いている。
そして、第1の原料溶液におけるCuに対するGaのモル比Ga/Cuを基準の100%とし、これに対して第1の原料溶液で作製された第1の半導体層3におけるGa/Cuがどのくらいであるかを求め、これをGaの残存率とした。つまり、Gaの残存率が100%であれば、Gaの消失がないことを意味する。Gaの残存率が100%よりも小さければ、Gaが消失していることを意味し、残存率が小さいほどGaの消失量は多いことになる。
同様に、第2の原料溶液におけるCuに対するGaのモル比Ga/Cuを基準の100%とし、これに対して第2の原料溶液で作製された第1の半導体層3におけるGa/Cuがどのくらいであるかを求め、これをGaの残存率とした。
表1は、第1の原料溶液および第2の原料溶液を用いて作製された第1の半導体層3のGaの残存率を示している。表1より、第1の原料溶液および第2の原料溶液のいずれを用いた場合においても、皮膜から有機成分を除去するための熱分解雰囲気中に2−ブタノールが含まれる場合の方が、高いGa残存率を示すことが分かる。また、比較例として熱分解雰囲気中に水が含まれる場合も、高いGa残存率を示すものの、作製した第1の半導体層中に酸素が多く含まれており、酸化物が多く生成していることがわかった。これに対し、2−ブタノールが含まれる場合は、酸素の含有量が少なく、良好なCIGSが生成していることがわかった。
<光電変換装置の作製>
次に、上述のように作製された各第1の半導体層3の上に、それぞれ、第2の半導体層4と第2の電極層5とを順に形成して光電変換装置を作製した。
次に、上述のように作製された各第1の半導体層3の上に、それぞれ、第2の半導体層4と第2の電極層5とを順に形成して光電変換装置を作製した。
具体的には、塩化インジウムおよびチオアセトアミドが溶解された水溶液に、上記第1の半導体層3が形成された基板1を浸漬することで、第1の半導体層3の上に厚さが50nmのIn2S3を含む第2の半導体層4を形成した。さらに、この第2の半導体層4の上に、スパッタリング法によってAlがドープされた酸化亜鉛を含む透明の導電膜を形成した。
<光電変換装置における光電変換効率の測定>
作製された光電変換装置の光電変換効率を、定常光ソーラーシミュレーターを用いて測定した。ここでは、光電変換装置の受光面に対する光の照射強度が100mW/cm2であり且つエアマス(AM)が1.5である条件下で光電変換効率を測定した。なお、光電変換効率は、光電変換装置において太陽光のエネルギーが電気エネルギーに変換される割合を示し、ここでは、光電変換装置から出力される電気エネルギーの値を、光電変換装置に入射される太陽光のエネルギーの値で除して、100を乗じることで導出した。
作製された光電変換装置の光電変換効率を、定常光ソーラーシミュレーターを用いて測定した。ここでは、光電変換装置の受光面に対する光の照射強度が100mW/cm2であり且つエアマス(AM)が1.5である条件下で光電変換効率を測定した。なお、光電変換効率は、光電変換装置において太陽光のエネルギーが電気エネルギーに変換される割合を示し、ここでは、光電変換装置から出力される電気エネルギーの値を、光電変換装置に入射される太陽光のエネルギーの値で除して、100を乗じることで導出した。
表1に上記各条件で作製した第1の半導体層を含む光電変換装置の光電変換効率を示している。この結果より、熱分解雰囲気に2−ブタノールを含む場合、Ga残存率が高く、良好なCIGSが形成可能になることから、光電変換効率が比較例よりも高くなっていることがわかる。
1:基板
2:下部電極層
3:第1の半導体層(I−III−VI族化合物を含む半導体層)
4:第2の半導体層
5:上部電極層
6:接続導体
7:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
2:下部電極層
3:第1の半導体層(I−III−VI族化合物を含む半導体層)
4:第2の半導体層
5:上部電極層
6:接続導体
7:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
Claims (8)
- 11族元素、13族元素およびカルコゲン元素を含み、少なくとも前記13族元素が有機錯体の状態で存在する皮膜を作製する工程と、
該皮膜をアルコールを含む雰囲気で加熱して、前記皮膜中の有機成分を熱分解することによって熱分解皮膜を作製する工程と、
該熱分解皮膜を加熱してI−III−VI族化合物を含む半導体層を作製する工程と
を具備する半導体層の製造方法。 - 前記アルコールとして第2級アルコールを用いる、請求項1に記載の半導体層の製造方法。
- 前記皮膜に、前記11族元素、前記13族元素および前記カルコゲン元素を単一源錯体の状態で含ませる、請求項1または2に記載の半導体層の製造方法。
- 前記皮膜に、前記11族元素、前記13族元素および前記カルコゲン元素を、11族元素とカルコゲン元素とを含む有機錯体の状態および13族元素とカルコゲン元素とを含む有機錯体の状態で含ませる、請求項1または2に記載の半導体層の製造方法。
- 前記雰囲気にカルコゲン元素を含ませる、請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体層の製造方法。
- 11族元素および13族元素を含み、少なくとも前記13族元素が有機錯体の状態で存在する皮膜を作製する工程と、
該皮膜をアルコールを含む雰囲気で加熱して、前記皮膜中の有機成分を熱分解することによって熱分解皮膜を作製する工程と、
該熱分解皮膜をカルコゲン元素を含む雰囲気で加熱して、I−III−VI族化合物を含む半
導体層を作製する工程と
を具備する半導体層の製造方法。 - 前記アルコールとして第2級アルコールを用いる、請求項6に記載の半導体層の製造方法。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体層の製造方法によって第1の半導体層を作製する工程と、
該第1の半導体層に電気的に接続されるように、該第1の半導体層とは異なる導電型の第2の半導体層を作製する工程と
を具備する光電変換装置の製造方法。
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