JP2015138829A - 太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】高い開放電圧と高い短絡電流を両立させて出力特性の向上を図ったヘテロ接合を有する太陽電池素子を用いた太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】表面側が光入射面となるヘテロ接合を有する太陽電池素子14及び太陽電池素子14を封止する封止材13を備える太陽電池モジュール10において、太陽電池素子14の開放電圧が720mV以上であり、封止材13は、太陽電池素子14の表面側に配設される波長変換層27を有し、波長変換層27は、励起光スペクトルのピーク波長が380nm以上450nm以下、蛍光スペクトルのピーク波長が480nm以上である波長変換剤26を含む。
【選択図】図1
【解決手段】表面側が光入射面となるヘテロ接合を有する太陽電池素子14及び太陽電池素子14を封止する封止材13を備える太陽電池モジュール10において、太陽電池素子14の開放電圧が720mV以上であり、封止材13は、太陽電池素子14の表面側に配設される波長変換層27を有し、波長変換層27は、励起光スペクトルのピーク波長が380nm以上450nm以下、蛍光スペクトルのピーク波長が480nm以上である波長変換剤26を含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、ヘテロ接合を有する太陽電池素子を備えた太陽電池モジュールに関する。
環境問題への関心の高まりからクリーンな発電手段として、また、操業安全性の高い発電手段として、太陽電池素子(光電変換素子)を備えた太陽電池モジュールへの関心が高まっている。太陽電池モジュールは、板状の太陽電池素子と、太陽電池素子を封止する封止材と、封止材の太陽光入射側面(表面)に積層される表面側透明保護部材と、封止材の裏面側に積層される裏面側保護部材を備えている。
太陽電池モジュールでは、限られた設置面積で効率よく太陽光を電力に変換する高い発電効率(光電変換効率)が求められている。このため、シリコン系の太陽電池素子では、ヘテロ接合を有する太陽電池素子が注目されている。ヘテロ接合を有する太陽電池素子では、例えばn型結晶シリコン基板とp型又はn型非晶質系シリコン系薄膜層との間に、真性非晶質系シリコン系薄膜層を積層し、真性非晶質系シリコン系薄膜層によりキャリアの再結合を抑制し、太陽電池素子における高い開放電圧を実現している(特許文献1参照)。
太陽電池素子の発電効率は、短絡電流(Isc)、開放電圧(Voc)及び曲線因子(FF)の積で算出される。ヘテロ接合を有する太陽電池素子の開放電圧及び曲線因子は、非晶質系シリコン系薄膜層を厚くすると増大する傾向にある。一方、非晶質系シリコン系薄膜層を厚くすると、この非晶質系シリコン系薄膜層による太陽光の吸収量(遮断量)が増加し、外部量子効率の低下、短絡電流の低下が生じる。このため、ヘテロ接合を有する太陽電池素子では、短絡電流を大きく低下させないために、非晶質系シリコン系薄膜層の厚さに制約が生じ、高い開放電圧の実現と高い短絡電流との実現を両立させることができないという本質的な問題が存在している。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、ヘテロ接合を有する太陽電池素子を用い、高い開放電圧の実現と高い短絡電流の実現とを両立させて発電効率を向上させることが可能な太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために、ヘテロ接合を有する太陽電池素子において、各波長(Wavelength)に対する外部量子効率(External Quantum Efficiency)における表面側の非晶質系シリコン系薄膜層の厚さ依存性を測定し(実施例及び図4参照)、このデータに基づき本発明の完成を導いた。すなわち、前記データによると、(1)300〜600nmの波長範囲において、短波長になるにつれて外部量子効率は低下すること、(2)波長が380〜450nmの範囲の光は、非晶質系シリコン系薄膜層の厚さ依存性(厚さの増加に伴う外部量子効率の低下量)が大きく、波長が450nmを超える、特に480nm以上となると厚さ依存性は小さくなっていることがわかる。そこで発明者らは、外部量子効率が低くかつ厚さ依存性の大きい波長の光を、外部量子効率が高くかつ厚さ依存性が低い波長の光に変換することにより、非晶質系シリコン系薄膜層を厚くするデメリット(外部量子効率、短絡電流の減少)を効果的に抑制しつつ、非晶質系シリコン系薄膜層を厚くするメリット(開放電圧の増加)を得ることができることを見出し、本発明の完成に至った。さらには、短波長になるにつれて外部量子効率が大きく低下する範囲の中でも、地表への到達量の多い長波長側の光(380〜450nm)の光を長波長側へシフトすることで、より発電効率を高めることができる。
すなわち、前記目的に沿う本発明に係る太陽電池モジュールは、表面側が光入射面となる太陽電池素子及び該太陽電池素子を封止する封止材を備え、前記太陽電池素子が、n型結晶シリコン系基板と、該n型結晶シリコン系基板の前記表面側にこの順で積層される表面側非晶質系シリコン系薄膜層及び表面側透明導電性酸化物層と、前記n型結晶シリコン系基板の裏面側にこの順で積層される裏面側非晶質系シリコン系薄膜層及び裏面側透明導電性酸化物層とを有し、前記表面側及び裏面側非晶質系シリコン系薄膜層のうちのいずれか一方がn型非晶質系シリコン系薄膜層を有し、他方がp型非晶質系シリコン系薄膜層を有する太陽電池モジュールにおいて、前記太陽電池素子の開放電圧が720mV以上であり、前記封止材は、前記太陽電池素子の前記表面側に配設される波長変換層を有し、該波長変換層は、励起光スペクトルのピーク波長が380nm以上450nm以下、蛍光スペクトルのピーク波長が480nm以上である波長変換剤を含む。
本発明に係る太陽電池モジュールによれば、励起光スペクトルのピーク波長が380nm以上450nm以下、蛍光スペクトルのピーク波長が480nm以上である波長変換剤を用いることで、ヘテロ接合を有する太陽電池素子において、外部量子効率が低くかつ厚さ依存性の大きい波長(380nm以上450nm以下)の光を、外部量子効率が高くかつ厚さ依存性が低い波長(480nm以上)の光に変換することができる。従って、非晶質系シリコン系薄膜層を厚くすることによる外部量子効率や短絡電流の減少を効果的に抑えることができ、高い開放電圧の実現と高い短絡電流の実現とを両立させて発電効率を向上させることが可能となる。
本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、前記表面側非晶質系シリコン系薄膜層の厚さが、6nm以上12nm以下であることが好ましい。表面側非晶質系シリコン系薄膜層の厚さを前記範囲とすることで、開放電圧と短絡電流とをよりバランスよく高めることができる。
本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、前記表面側及び裏面側非晶質系シリコン系薄膜層のうちの少なくとも一方が、前記n型結晶シリコン系基板に直接積層される真性非晶質系シリコン系薄膜層をさらに有することが好ましい。このように真性非晶質系シリコン系薄膜層を設けることで、キャリアの再結合を抑制し、発電効率をより高めることができる。
本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、前記表面側非晶質系シリコン系薄膜層が前記n型非晶質系シリコン系薄膜層を有し、該n型非晶質系シリコン系薄膜層が前記n型結晶シリコン系基板に直接積層される第1層、及び該第1層よりも電気抵抗が低い第2層を有することが好ましい。このようにすることで、n型結晶シリコン系基板とn型非晶質系シリコン系薄膜層との接合界面のパッシベーション性能が高まることなどにより、開放電圧とフィルファクターとをより高め、発電効率をより高めることができる。
本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、前記封止材が前記太陽電池素子の前記裏面側に配設される裏面側封止層を有し、該裏面側封止層が紫外線吸収剤を含むことが好ましい。また、本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、前記封止材がシリコーン樹脂及びアイオノマー樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の樹脂を含むことが好ましい。また、本発明に係る太陽電池モジュールにおいて、前記封止材の前記裏面側に配設される裏面側保護部材をさらに備え、該裏面側保護部材が、ガラス又は前記表面側に耐紫外線樹脂層を有する樹脂シートであることが好ましい。
本発明に係る太陽電池モジュールの波長変換層に含まれる波長変換剤の励起光スペクトルのピークは380nm以上450nm以下であり、紫外線を積極的に吸収、除去するものではない。そのため、裏面側封止層に紫外線吸収剤を含ませたり、封止材に紫外線耐性の強いシリコーン樹脂及びアイオノマー樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の樹脂を含ませたり、裏面側保護部材にガラス又は光入射面側に耐紫外線樹脂層を有する樹脂シートを用いることで、長期に使用した際の紫外線による劣化等を抑制することができる。
本発明に係る太陽電池モジュールの波長変換層に含まれる波長変換剤の励起光スペクトルのピークは380nm以上450nm以下であり、紫外線を積極的に吸収、除去するものではない。そのため、裏面側封止層に紫外線吸収剤を含ませたり、封止材に紫外線耐性の強いシリコーン樹脂及びアイオノマー樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の樹脂を含ませたり、裏面側保護部材にガラス又は光入射面側に耐紫外線樹脂層を有する樹脂シートを用いることで、長期に使用した際の紫外線による劣化等を抑制することができる。
ここで、「非晶質系」とは、非晶質のみならず、微結晶を含む意味である。「微結晶」とは、ラマン分光法により結晶ピークが観察されるものを意味する。「シリコン系」とは、シリコン(Si)以外に、シリコンと同様に半導体特性を有するシリコン化合物(例えば、SiC、SiGe等)を含む意味である。真性非晶質系シリコン系薄膜層における「真性」とは、不純物が意図的にドープされていないことをいい、原料に本来含まれる不純物や製造過程において非意図的に混入した不純物が存在するものも含む意味である。波長変換剤の励起光スペクトル及び吸収スペクトルは、波長変換剤を構成する基材中での測定値である。表面側非晶質系シリコン系薄膜層や裏面側非晶質系シリコン系薄膜層等は、単層で形成されていてもよいし、ドーパントの有無やドーパント量等が異なる層からなる複数層で形成されていてもよい。
本発明に係る太陽電池モジュールによれば、ヘテロ接合を有する太陽電池素子を用い、高い開放電圧の実現と高い短絡電流の実現とを両立させて発電効率を向上させることが可能となる。
続いて、添付した図面を参照しながら本発明を具体化した実施の形態について説明する。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る太陽電池モジュール10は、太陽光が入射する側に設けられた光入射側透明保護部材11と裏面側保護部材12との間に封止材13を介して複数の太陽電池素子14が並べて(直列に接続されて)挟持されて構成されている。太陽電池素子14を直列接続して使用することで、発電電圧を高めることができる。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る太陽電池モジュール10は、太陽光が入射する側に設けられた光入射側透明保護部材11と裏面側保護部材12との間に封止材13を介して複数の太陽電池素子14が並べて(直列に接続されて)挟持されて構成されている。太陽電池素子14を直列接続して使用することで、発電電圧を高めることができる。
封止材13に封止された太陽電池素子14は、図2に示すように、板状の多層構造体である。太陽電池素子14は、表面側(図2における上側)が光(太陽光)入射面となる。太陽電池素子14は、n型結晶シリコン系基板15と、n型結晶シリコン系基板15の表面側にこの順で積層されるn型非晶質系シリコン系薄膜層16、17(第1層16及び第2層17)及び表面側透明導電性酸化物層18とを有する。また、太陽電池素子14は、n型結晶シリコン系基板15の裏面側にこの順で積層される真性非晶質系シリコン系薄膜層19、p型非晶質系シリコン系薄膜層20、及び裏面側透明導電性酸化物層21を有する。n型非晶質系シリコン系薄膜層16、17が2層で表面側非晶質系シリコン系薄膜層を構成し、真性非晶質系シリコン系薄膜層19及びp型非晶質系シリコン系薄膜層20が2層で裏面側非晶質系シリコン系薄膜層を構成している。更に、太陽電池素子14は、表面側透明導電性酸化物層18の表面側(太陽光入射側)に配設される第1の集電極22と、裏面側透明導電性酸化物層21の裏面側に配設される第2の集電極23とを有する。なお、太陽電池素子14の開放電圧は720mV以上であり、728mV以上がより好ましい。なお、太陽電池素子14の開放電圧の上限はヘテロ接合型の性能上、例えば732mVとすることができ、より具体的には例えば厚さ170μmで比抵抗1Ωcmの基板(n型非晶質系シリコン系基板15)を用いた場合、740mVとすることができる。
n型結晶シリコン系基板15としては、n型のシリコン系結晶体の基板であれば特に限定されず公知のものを用いることができる。n型結晶シリコン系基板15は、単結晶であっても、多結晶であってもよいが、単結晶が好ましい。
n型非晶質系シリコン系薄膜層16、17(表面側非晶質系シリコン系薄膜層)は、n型結晶シリコン系基板15の表面に積層されている。n型非晶質系シリコン系薄膜層16、17は、n型結晶シリコン系基板15の表面に直接積層される第1層16と、第1層16の表面に積層される第2層17とから構成されている。第2層17の電気抵抗は第1層16の電気抵抗よりも低い。すなわち、第1層16及び第2層17共にn型非晶質系シリコン系薄膜層であるが、第2層17のドーパント量は、第1層16のドーパント量よりも多い。このような多層構造にすることで、n型結晶シリコン系基板15とn型非晶質系シリコン系薄膜層16、17との接合界面のパッシベーション性能を高めることができる。
表面側非晶質系シリコン系薄膜層であるn型非晶質系シリコン系薄膜層16、17の厚さ(第1層16と第2層17との合計の厚さ)としては、特に限定されないが、6nm以上12nm以下が好ましく、7nm以上がより好ましく、8nm以上がさらに好ましく、9nm以上が特に好ましい。このような範囲の厚さとすることで、開放電圧と短絡電流とをよりバランスよく高めることができる。第1層16の厚さとしては、例えば、3nm以上9nm以下が好ましく、4nm以上がより好ましく、5nm以上がさらに好ましく、6nm以上が特に好ましい。第2層17の厚さとしては、例えば1nm以上5nm以下とすることができる。
n型非晶質系シリコン系薄膜層16、17は、化学気相成長法(例えば、プラズマCVD法等)などの公知の方法により製膜することができる。プラズマCVD法によりn型非晶質系シリコン系薄膜層16、17を形成する場合、原料ガスとしては、例えば、SiH4とH2とPH3との混合ガスを用いることができる。第1層16を形成するときの、PH3/(SiH4+PH3)の混合比Aとしては、100ppm以上2000ppm以下程度とすることができる。第2層17を形成するときの、PH3/(SiH4+PH3)の混合比Bとしては、4000ppm以上20000ppm以下程度とすることができる。混合比Bは混合比Aの2倍以上50倍以下とすることができ、5倍以上20倍以下が好ましい。
表面側透明導電性酸化物層18は、例えば、インジウム錫酸化物(Indium TinOxide:ITO)、タングステンドープインジウム酸化物(Indium Tungsten Oxide:IWO)、セリウムドープインジウム酸化物(Indium Cerium Oxide:ICO)、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(アルミドープZnO)、GZO(ガリウムドープZnO)等の公知のものを用いることができる。これらの中でも、良好な導電性と透光性とを両立させることができるなどの点から、IWOが好ましい。また、第1の透明導電性酸化物層18の厚さは例えば80nm以上120nm以下とすることができる。表面側透明導電性酸化物層18の厚さを80〜120nmの範囲に調節することにより、透光性と集電性とを両立させることができる。
表面側透明導電性酸化物層18の成膜方法としては、特に制限されず、例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法(反応性プラズマ蒸着法)等、公知の方法を用いることができるが、イオンプレーティング法を用いることが好ましい。高エネルギー粒子が生じないイオンプレーティング法により形成することにより、n型非晶質系シリコン系薄膜層16、17(表面側非晶質系シリコン系薄膜層)の表面劣化を抑制することができ、良好な品質を維持したn型非晶質系シリコン系薄膜層16、17を利用することができ、発電効率を高めることができる。また、イオンプレーティング法を用いることで、密着性の高い表面側透明導電性酸化物層18を形成でき、このことも発電効率を高める原因になっていると考えられる。
真性非晶質系シリコン系薄膜層19は、n型結晶シリコン系基板15の裏面側に直接積層されている。真性非晶質系シリコン系薄膜層19の厚さは、特に限定されないが、3nm以上10nm以下とすることができる。真性非晶質系シリコン系薄膜層19は、例えば、化学気相成長法(例えば、プラズマCVD法等)などの公知の方法により製膜することができる。プラズマCVD法により、真性非晶質系シリコン系薄膜層19を形成する場合、原料ガスとしては、例えば、SiH4とH2との混合ガスを用いることができる。
p型非晶質系シリコン系薄膜層20は、真性非晶質系シリコン系薄膜層19の裏面側に積層されている。p型非晶質系シリコン系薄膜層20の厚さとしては、特に限定されないが、例えば1nm以上10nm以下程度である。p型非晶質系シリコン系薄膜層20は、化学気相成長法(例えば、プラズマCVD法等)などの公知の方法により製膜することができる。プラズマCVD法によりp型非晶質系シリコン系薄膜層20を形成する場合、原料ガスとしては、例えば、SiH4とH2とB2H6との混合ガスを用いることができる。
裏面側透明導電性酸化物層21は、p型非晶質系シリコン系薄膜層20の裏面側に積層されている。裏面側透明導電性酸化物層21を形成する材料、厚さ、製膜方法等は、表面側透明導電性酸化物層18と同様である。
第1、第2の集電極22、23は、互いに平行に形成される複数のバスバー電極、及びこれらのバスバー電極に直交し、互いに平行に形成される複数のフィンガー電極を有する。バスバー電極及びフィンガー電極は、それぞれ線状又は帯状であり、導電性材料から形成されている。この導電性材料としては、銀ペースト等の導電性接着剤や、銅線等の金属導線を用いることができる。各バスバー電極の幅としては、例えば0.5mm以上2mm以下程度であり、各フィンガー電極の幅としては、例えば10μm以上300μm以下程度である。また、各フィンガー電極間の間隔としては、例えば0.5mm以上4mm以下程度である。第1、第2の集電極22、23の配設は公知の方法で行うことができ、第1、第2の集電極22、23の形成に導電性接着剤を用いる場合、スクリーン印刷やグラビアオフセット印刷等の印刷法を採用することができる。また、第1、第2の集電極22、23として金属導線を用いる場合、導電性接着剤や低融点金属(半田等)により第1、第2の透明導電性酸化物層18、21上に固定することができる。
封止材13は、太陽電池素子14の表面(太陽光入射面)側に密着して積層される波長変換層27と、太陽電池素子14の裏面側に密着して積層される裏面側封止層28とを有する。
波長変換層27は、基材樹脂中に分散して存在する波長変換剤26を含む。波長変換剤26の励起光(吸収)スペクトルのピーク波長は380nm以上450nm以下(好ましくは385nm以上420nm以下、より好ましくは390nm以上410nm以下)であり、蛍光スペクトルのピーク波長は480nm以上(好ましくは485nm以上550nm以下、より好ましくは490nm以上550nm以下)である。前述のように、このような特性を有する波長変換剤26を用いることで、ヘテロ接合を有する太陽電池素子14において外部量子効率が低くかつ厚さ依存性の大きい波長(380nm以上450nm以下)の光を、外部量子効率が高くかつ厚さ依存性が低い波長(480nm以上)の光に変換することができる。また、波長変換剤26のストークスシフトとしては、50nm以上200nm以下が好ましく、80nm以上200nm以下が好ましい。
波長変換剤26は、前記吸収及び蛍光特性を有する成分であれば特に限定されず、公知の蛍光物質を用いることができる。例えば、ナフタルイミド系色素、ペリレン系色素、ベンゾトリアゾール系色素、ベンゾチアゾール系色素等の有機蛍光材料、ユーロピウム錯体等の有機金属錯体、その他無機蛍光材料等を挙げることができる。波長変換剤26は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
波長変換層27における波長変換剤26の含有量としては、特に限定されないが、基材樹脂100質量部に対して、例えば0.001〜3質量部程度である。波長変換層27の平均の厚さは、特に限定されないが、例えば0.1mm以上3mm以下とすることができる。波長変換層27には、酸化防止剤、可塑剤等の他の成分がさらに含有されていてもよい。ここで、波長変換層27においては紫外線吸収剤(例えば、200nm以上370nm未満の波長領域に吸収スペクトルのピークを有する化合物)を実質的に含有していないことが好ましい。具体的な波長変換層27における紫外線吸収剤の含有量の上限値は、基材樹脂100質量部に対して、1質量部が好ましく、0.1質量部が好ましく、0.01質量部以下がより好ましく、0.001質量部がさらに好ましい。波長変換層27自体の吸収スペクトルにおいても、200nm以上370nm未満、好ましくは300nm以上370nm未満の波長領域に吸収スペクトルのピークが表れないことが好ましい。紫外線吸収剤が含まれると波長変換剤26の変換量(変換効率)が低下しやすくなる。そこで、紫外線吸収剤を実質的に用いないことで、波長変換剤26を効果的に機能させることができる。
裏面側封止層28は、基材樹脂中に分散して存在する紫外線吸収剤を含むことが好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等の公知のものを挙げることができる。
封止材13(波長変換層27及び裏面側封止層28)の基材樹脂としては、十分な透光性及び密着性を有するものであれば特に限定されず、エチレンビニルアセテート等の公知のものを用いることができる。なお、この基材樹脂として、シリコーン樹脂及びアイオノマー樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を用いるとよい。これらの樹脂を用いることで、紫外線耐性を高めることができる。
光入射側透明保護部材11は、封止材13の太陽光入射側に積層されている。光入射側透明保護部材11は、太陽光の反射を防止するARコート層(反射防止膜)24と、ARコート層24の裏面側に密接して配置される透明な前面ガラス25を有している。ARコート層24は、太陽電池モジュール10による太陽光の照り返しを防止する機能を有する。ARコート層24は、例えばフッ化マグネシウムの蒸着膜である。前面ガラス25は、太陽光入射側の外部から太陽電池素子14に向けて水や粉塵等の異物が浸入することを防止する機能を有し、太陽電池モジュール10(太陽電池素子14)の光電変換効率を高める。
裏面側保護部材12は、裏面側封止層28の裏面に密接して積層されている。裏面側保護部材12は、太陽電池モジュール10の裏面側の外部から太陽電池素子14に向けて水や粉塵等の異物が浸入することを防止する機能を有している。裏面側保護部材12には、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等の公知の樹脂シート、ガラス等を用いることができる。なお、樹脂シートとして、光入射面側に耐紫外線樹脂層を有する単層、好ましくは多層の樹脂シートを用いることができる。耐紫外線樹脂層とは、紫外線耐性が高い樹脂を含む層(紫外線耐性が高い樹脂から形成されている層)をいう。耐紫外線が高い樹脂とは、ポリエチレンテレフタレートよりも紫外線耐性が高い樹脂とし、具体的には、ポリフッ化ビニル、シリコーン樹脂、アイオノマー樹脂等を挙げることができる。これらの中でもポリフッ化ビニルが好ましい。光入射面にポリフッ化ビニルにより形成された耐紫外線樹脂層を有する部材としては、デュポン社製のテドラー(登録商標)等を挙げることができる。裏面側保護部材12に、ガラス又は光入射面側に耐紫外線樹脂層を有する樹脂シートを用いることで、太陽電池モジュール10の紫外線耐性を高めることができる。
このように構成された太陽電池モジュール10によれば、ヘテロ接合を有する太陽電池素子14を用い、高い開放電圧の実現と高い短絡電流の実現とを両立させて発電効率を向上させることが可能となる。
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。例えば、太陽電池素子は真性非晶質系シリコン系薄膜層を有していなくてもよいし、n型結晶シリコン系基板の両面に真性非晶質系シリコン系薄膜層を設けてもよい。また、表面側非晶質系シリコン系薄膜層がp型非晶質系シリコン系薄膜層を有し、裏面側非晶質系シリコン系薄膜層がn型非晶質系シリコン系薄膜層を有していてもよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<製造例>太陽電池素子(光発電素子)の製造
n型単結晶シリコン基板の光入射面側にn型非晶質系シリコン薄膜層(表面側非晶質系シリコン系薄膜層)、表面側透明導電性酸化物層を順に積層した。n型単結晶シリコン基板の裏面側に真性非晶質系シリコン薄膜層、p型非晶質系シリコン薄膜層、裏面側透明導電性酸化物層を順に積層した。真性非晶質系シリコン薄膜層とp型非晶質系シリコン薄膜層とが裏面側非晶質系シリコン系薄膜層となる。各非晶質系シリコン薄膜層はプラズマCVD法により、各透明導電性酸化物層はイオンプレーティング法により積層した。n型非晶質系シリコン薄膜層(表面側非晶質系シリコン系薄膜層)の膜厚を以下に示すように変えて複数の太陽電池素子(光発電素子)を製造した。
n型非晶質系シリコン薄膜層の原料ガスはSiH4、PH3及びH2を使用した。n型非晶質系シリコン薄膜層は、PH3のドープ量を変えて2段階成膜した。まずPH3の濃度をPH3/(SiH4+PH3)の式から算出して800ppmとした低濃度ドープn型非晶質系シリコン薄膜層(第1層)を基板温度200℃、膜厚2〜9nmで成膜した。次にPH3の濃度をPH3/(SiH4+PH3)の式から算出して10000ppmとした高濃度ドープn型非晶質系シリコン薄膜層(第2層)を基板温度200℃、膜厚3nmで成膜した。
真性非晶質系シリコン薄膜層の原料ガスはSiH4及びH2を使用した。基板温度200℃、膜厚7nmで成膜した。
p型非晶質系シリコン薄膜層の原料ガスはSiH4、B2H6及びH2を使用した。p型非晶質系シリコン薄膜層は、B2H6の濃度をB2H6/(SiH4+B2H6)の式から算出して8000ppmとし、基板温度200℃、膜厚4nmで成膜した。
各透明導電性酸化物層の原料には、タングステンをドープしたインジウム酸化物を使用した。膜厚は100nmで成膜した。
次いで、表面側透明導電性酸化物層の表面及び裏面側透明導電性酸化物層の裏面にそれぞれ、集電極として、平行な複数のバスバー電極と、このバスバー電極にそれぞれ直交する複数のフィンガー電極とを形成した。この集電極は、銀ペーストを用いてスクリーン印刷により形成した。このようにして、実施例及び比較例で使用する太陽電池素子を得た。得られた太陽電池素子の短絡電流Isc、開放電圧Voc、曲線因子(フィルファクター:FF)及び変換効率Effを測定した(図3、図5、図6参照)。また、各太陽電池素子の300〜600nmの範囲での外部量子効率を測定した。図4に表面側非晶質系シリコン系薄膜層の膜厚(表側膜厚)が異なる4つの太陽電池素子の量子効率のグラフを示す。
n型単結晶シリコン基板の光入射面側にn型非晶質系シリコン薄膜層(表面側非晶質系シリコン系薄膜層)、表面側透明導電性酸化物層を順に積層した。n型単結晶シリコン基板の裏面側に真性非晶質系シリコン薄膜層、p型非晶質系シリコン薄膜層、裏面側透明導電性酸化物層を順に積層した。真性非晶質系シリコン薄膜層とp型非晶質系シリコン薄膜層とが裏面側非晶質系シリコン系薄膜層となる。各非晶質系シリコン薄膜層はプラズマCVD法により、各透明導電性酸化物層はイオンプレーティング法により積層した。n型非晶質系シリコン薄膜層(表面側非晶質系シリコン系薄膜層)の膜厚を以下に示すように変えて複数の太陽電池素子(光発電素子)を製造した。
n型非晶質系シリコン薄膜層の原料ガスはSiH4、PH3及びH2を使用した。n型非晶質系シリコン薄膜層は、PH3のドープ量を変えて2段階成膜した。まずPH3の濃度をPH3/(SiH4+PH3)の式から算出して800ppmとした低濃度ドープn型非晶質系シリコン薄膜層(第1層)を基板温度200℃、膜厚2〜9nmで成膜した。次にPH3の濃度をPH3/(SiH4+PH3)の式から算出して10000ppmとした高濃度ドープn型非晶質系シリコン薄膜層(第2層)を基板温度200℃、膜厚3nmで成膜した。
真性非晶質系シリコン薄膜層の原料ガスはSiH4及びH2を使用した。基板温度200℃、膜厚7nmで成膜した。
p型非晶質系シリコン薄膜層の原料ガスはSiH4、B2H6及びH2を使用した。p型非晶質系シリコン薄膜層は、B2H6の濃度をB2H6/(SiH4+B2H6)の式から算出して8000ppmとし、基板温度200℃、膜厚4nmで成膜した。
各透明導電性酸化物層の原料には、タングステンをドープしたインジウム酸化物を使用した。膜厚は100nmで成膜した。
次いで、表面側透明導電性酸化物層の表面及び裏面側透明導電性酸化物層の裏面にそれぞれ、集電極として、平行な複数のバスバー電極と、このバスバー電極にそれぞれ直交する複数のフィンガー電極とを形成した。この集電極は、銀ペーストを用いてスクリーン印刷により形成した。このようにして、実施例及び比較例で使用する太陽電池素子を得た。得られた太陽電池素子の短絡電流Isc、開放電圧Voc、曲線因子(フィルファクター:FF)及び変換効率Effを測定した(図3、図5、図6参照)。また、各太陽電池素子の300〜600nmの範囲での外部量子効率を測定した。図4に表面側非晶質系シリコン系薄膜層の膜厚(表側膜厚)が異なる4つの太陽電池素子の量子効率のグラフを示す。
<実施例1>
作成した太陽電池素子を用いて単一の太陽電池素子を有する太陽電池モジュールを作成した。
光入射側から光入射側透明保護部材(ガラス)、表面側封止層(波長変換層)、太陽電池素子、裏面側封止層、裏面側保護部材(バックシート)の順に積層することにより、実施例1の太陽電池モジュールを作成した。
光入射側透明保護部材には、中島硝子工業株式会社の反射防止層がコートされた白板ガラスを使用した。表面側封止層には日東電工株式会社で作成された波長変換剤が含まれているエチレンビニルアセテートのシートを、裏面側封止層には紫外線吸収剤が含まれているエチレンビニルアセテートのシートを、裏面側保護部材には凸版印刷株式会社のBS−TX−7031を使用した。表面側封止層に含まれている波長変換剤は、吸収ピークを398nmに有し、発光(蛍光)ピークを494nm(量子効率98%)に有する、日東電工株式会社が製造する発光性ベンゾチアジアゾール化合物である。
作成した太陽電池素子を用いて単一の太陽電池素子を有する太陽電池モジュールを作成した。
光入射側から光入射側透明保護部材(ガラス)、表面側封止層(波長変換層)、太陽電池素子、裏面側封止層、裏面側保護部材(バックシート)の順に積層することにより、実施例1の太陽電池モジュールを作成した。
光入射側透明保護部材には、中島硝子工業株式会社の反射防止層がコートされた白板ガラスを使用した。表面側封止層には日東電工株式会社で作成された波長変換剤が含まれているエチレンビニルアセテートのシートを、裏面側封止層には紫外線吸収剤が含まれているエチレンビニルアセテートのシートを、裏面側保護部材には凸版印刷株式会社のBS−TX−7031を使用した。表面側封止層に含まれている波長変換剤は、吸収ピークを398nmに有し、発光(蛍光)ピークを494nm(量子効率98%)に有する、日東電工株式会社が製造する発光性ベンゾチアジアゾール化合物である。
実施例1の太陽電池モジュールのIsc、Voc、FF、及びEffを測定した。実施例1の太陽電池モジュールの測定値を太陽電池素子の測定値と共に図3に示す。
図3に示される範囲においてヘテロ接合を有する太陽電池素子は、光入射側に存在するn型非晶質系シリコン薄膜層の膜厚を厚くすればするほどVocとFFが増加していることがわかる。これはシリコンへテロ接合特有の現象であり、VocとFFとを向上させるという観点からは厚い膜厚が好ましいといえる。しかし一方で、Iscは膜厚の増加とともに減少してしまっている。そのためn型非晶質系シリコン薄膜の膜厚に制約が生じていることがわかる。すなわち、太陽電池素子においては、膜厚の増大に対してIscの減少とVoc及びFFの増大とが相反して発生する結果、膜厚8nm付近でEffの最大値が現れる。
次に、作成した太陽電池素子と実施例1の太陽電池モジュールの特性値の違いを以下に説明する。Iscが太陽電池素子に比べて太陽電池モジュールで向上している理由は、太陽電池素子単体に比べモジュールは屈折率整合性に優れているためである。加えて波長変換剤が太陽電池素子に照射された光のうち、外部量子効率が低い領域の波長を量子効率の高い領域の波長へと変換させているためである。FFが太陽電池素子に比べてモジュールで低下している理由は、モジュールでは測定時にインターコネクタの抵抗が測定値に加わるためである。
ここで、太陽電池素子と太陽電池モジュールにおける膜厚増大時のIscの減少率(傾き)が異なっていることがわかる。これもまたヘテロ接合を有する太陽電池素子特有の現象であり、実施例1で用いた波長変換剤の吸収(励起光)スペクトルと蛍光スペクトルと、太陽電池素子の外部量子効率の膜厚依存性(図4)から説明できる。実施例1で用いた波長変換剤の吸収スペクトルのピーク値は398nm、蛍光スペクトルのピーク値は495nmである。398nmと495nmにおいて太陽電池素子の膜厚ごとの外部量子効率の値を比較すると、398nmのときの膜厚に対する外部量子効率の変化量は、495nmのときの膜厚に対する外部量子効率の変化量に比べて大きい。このため、実施例1の波長変換剤を使用した太陽電池モジュールと太陽電池素子単体と比較した場合、モジュールの膜厚に対するIscの減少率は小さくなる。
<比較例1>他の波長変換剤を用いた太陽電池モジュール
比較例1で用いた波長変換剤は、吸収ピークを344nmに有し、発光ピークを415nm(量子効率98%)に有する、日東電工株式会社が製造する発光性ベンゾトリアゾール化合物である。
比較例1で用いた波長変換剤は、吸収ピークを344nmに有し、発光ピークを415nm(量子効率98%)に有する、日東電工株式会社が製造する発光性ベンゾトリアゾール化合物である。
比較例1の太陽電池モジュールのIsc、Voc、FF、及びEffを測定した。比較例1の太陽電池モジュールの測定値を太陽電池素子の測定値と共に図5に示す。図5に示されている比較例1の太陽電池モジュールと太陽電池素子との特性値の違いを以下に説明する。
Iscが太陽電池素子に比べて太陽電池モジュールで向上している理由は、実施例1と同様の理由である。FF低下の理由も実施例1と同様の理由である。ここで、比較例1では実施例1とは異なり太陽電池素子とモジュールでIscの減少率が変化していない(太陽電池素子とモジュールとで傾きが同様)。この理由は、比較例1で用いた波長変換剤の吸収スペクトル及び蛍光スペクトルと、太陽電池素子の外部量子効率の膜厚依存性(図4)から説明できる。比較例1で用いた波長変換剤の吸収スペクトルのピーク値は346nm、蛍光スペクトルのピーク値は415nmである。346nmと415nmとにおいて太陽電池素子の膜厚ごとの量子効率の値を比較すると、両方の波長において膜厚に対する外部量子効率の変化量に変化がないことがわかる。そのため、比較例1の波長変換剤を使用したモジュールと太陽電池素子単体とを比較した場合では、膜厚によってIscの減少率は変わらない。
<比較例2>波長変換剤を用いていない太陽電池モジュール
表面側封止層に波長変換剤を含有させなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の太陽電池モジュールを作成した。
表面側封止層に波長変換剤を含有させなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の太陽電池モジュールを作成した。
比較例2の太陽電池モジュールのIsc、Voc、FF、及びEffを測定した。比較例2の太陽電池モジュールの測定値を太陽電池素子の測定値と共に図6に示す。図6に示されている比較例2の太陽電池モジュールと太陽電池素子との特性値の違いを以下に説明する。
Iscが太陽電池素子に比べてモジュールで向上している理由は、太陽電池素子単体に比べてモジュールは屈折率整合性に優れているためである。波長変換剤が含まれていないため、実施例1や比較例1と比較してIscの向上が少ない。FFが低下している理由は実施例1や比較例1と同様の理由である。比較例2でも比較例1と同様に、太陽電池素子とモジュールでIscの減少率は変わらない。これは太陽電池素子とモジュールの違いが、ガラスと表面側封止材があるかないかの違いしかないためである。
実施例1は比較例1と比較すると、特定の波長変換剤を用いることで、膜厚増加に伴うIscの減少を抑え、膜厚の大きい太陽電池素子を用いた際のEffが高まることがわかる。すなわち、比較例1においては膜厚が7nmを超えたあたりからEffはほぼ一定となっている(非常に小さい)が、実施例1においては、膜厚が7〜10nmの範囲でもEffは増加し、10nmあたりに21.5%程度のピークがあることがわかる。
ここで、本実施例における各非晶質系シリコン薄膜層と透明導電性酸化物層の膜厚について説明する。平滑部51と凹凸部52を両方有する仮想的な基板50を図7に示す。例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることで、基板50に垂直な厚さt、平面に垂直な厚さt’、凹凸部52の角度αをそれぞれ測定することができる。本明細書において、平滑部51に積層された非晶質系シリコン薄膜層53の膜厚はtを指し、凹凸部52に積層された非晶質系シリコン薄膜層53の膜厚はt’を指す。実際の作業では、測定時間の短縮が可能であり、かつ簡便である触針段差計等を用いた膜厚評価方法を用いるのが好ましい。例えば、KOH又はNaOHを40〜50℃に加熱した液で非晶質系シリコン薄膜層53をウェットエッチングすることにより段差54を形成させ、触針段差計を用いた膜厚評価方法によりtが測定される。三角関数からt’=t×cosαが成り立つので、測定されたtにより、t’が算出される。TEM測定で得られたt’と、触針段差計を用いた膜厚評価方法により算出されたt’とは一致することが確認されたので、本実施例では触針段差計を用いた膜厚評価方法を採用した。なお、触針段差計は、あらかじめ段差をつけておいたサンプルの上を、針でサンプルに触れて水平に表面をなぞることによって、サンプルの段差に応じて針を上下させる測定方法である。
10:太陽電池モジュール、11:光入射側透明保護部材、12:裏面側保護部材、13:封止材、14:太陽電池素子、15:n型結晶シリコン系基板、16:n型非晶質系シリコン系薄膜層(第1層)、17:n型非晶質系シリコン系薄膜層(第2層)、18:表面側透明導電性酸化物層、19:真性非晶質系シリコン系薄膜層、20:p型非晶質系シリコン系薄膜層、21:裏面側透明導電性酸化物層、22:第1の集電極、23:第2の集電極、24:ARコート層、25:前面ガラス、26:波長変換剤、27:波長変換層、28:裏面側封止層、50:基板、51:平滑部、52:凹凸部、53:非晶質系シリコン薄膜層、54:段差
Claims (7)
- 表面側が光入射面となる太陽電池素子及び該太陽電池素子を封止する封止材を備え、
前記太陽電池素子が、n型結晶シリコン系基板と、該n型結晶シリコン系基板の前記表面側にこの順で積層される表面側非晶質系シリコン系薄膜層及び表面側透明導電性酸化物層と、前記n型結晶シリコン系基板の裏面側にこの順で積層される裏面側非晶質系シリコン系薄膜層及び裏面側透明導電性酸化物層とを有し、前記表面側及び裏面側非晶質系シリコン系薄膜層のうちのいずれか一方がn型非晶質系シリコン系薄膜層を有し、他方がp型非晶質系シリコン系薄膜層を有する太陽電池モジュールにおいて、
前記太陽電池素子の開放電圧が720mV以上であり、
前記封止材は、前記太陽電池素子の前記表面側に配設される波長変換層を有し、
該波長変換層は、励起光スペクトルのピーク波長が380nm以上450nm以下、蛍光スペクトルのピーク波長が480nm以上である波長変換剤を含むことを特徴とする太陽電池モジュール。 - 請求項1記載の太陽電池モジュールにおいて、前記表面側非晶質系シリコン系薄膜層の厚さが、6nm以上12nm以下であることを特徴とする太陽電池モジュール。
- 請求項1又は2記載の太陽電池モジュールにおいて、前記表面側及び裏面側非晶質系シリコン系薄膜層のうちの少なくとも一方が、前記n型結晶シリコン系基板に直接積層される真性非晶質系シリコン系薄膜層をさらに有することを特徴とする太陽電池モジュール。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記表面側非晶質系シリコン系薄膜層が前記n型非晶質系シリコン系薄膜層を有し、該n型非晶質系シリコン系薄膜層が前記n型結晶シリコン系基板に直接積層される第1層、及び該第1層よりも電気抵抗が低い第2層を有することを特徴とする太陽電池モジュール。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記封止材が前記太陽電池素子の前記裏面側に配設される裏面側封止層を有し、該裏面側封止層が紫外線吸収剤を含むことを特徴とする太陽電池モジュール。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記封止材がシリコーン樹脂及びアイオノマー樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の樹脂を含むこと特徴とする太陽電池モジュール。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の太陽電池モジュールにおいて、前記封止材の前記裏面側に配設される裏面側保護部材をさらに備え、
該裏面側保護部材が、ガラス又は前記表面側に耐紫外線樹脂層を有する樹脂シートであることを特徴とする太陽電池モジュール。
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