JP2015135433A - 音響素子及びその製造方法 - Google Patents

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Yuriko Kaneko
由利子 金子
卓也 岩本
Takuya Iwamoto
卓也 岩本
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Ushio Sagawa
潮 寒川
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Norihisa Mino
規央 美濃
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Masahiko Hashimoto
雅彦 橋本
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Abstract

【課題】音波の伝播減衰が抑制された、ガラスとエアロゲルとの接合を有する音響光学素子の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る音響光学素子の製造方法は、ガラス表面を洗浄するガラス洗浄工程S10と、乾燥雰囲気下においてクロロ基を3個以上含むシラン化合物を含む溶液に洗浄後のガラスを浸漬するゾル液浸漬工程S31と、乾燥雰囲気下において当該溶液に浸漬されたガラスを非水系溶媒で洗浄し乾燥するガラス乾燥工程S32と、乾燥雰囲気下において非水系溶媒で洗浄され乾燥されたガラスを、シラノール基を含むゾル液に浸漬するゾル液浸漬工程S51と、当該ゾル液がゲル化したエアロゲルを洗浄するゲル洗浄工程S52と、洗浄された当該エアロゲルを超臨界乾燥するゲル乾燥工程S70とを含む。【選択図】図3

Description

本発明は、音響素子及びその製造方法に関し、特に、被撮影物体の超音波画像を光学画像として再生し取得する音響光学撮像装置における音響光学素子とその製造方法に関するものである。
エアロゲルは、音波の通過により屈折率が変化することから、生体内における臓器の診断装置などに適用できる小型の音響光学素子として検討されている。エアロゲルを音響光学素子として適用するにあたり、その気孔の多さ及び低密度性に由来する脆弱性を克服するための製法が要求される。
エアロゲルの中でも、最も一般的に検討されているシリカエアロゲルは、その組成などからガラスとの親和性が高いため、ガラスによりシリカエアロゲルを支持する製法が報告されている。ガラスに接合された形態でのエアロゲルが作製されれば、エアロゲルの音響光学素子としての応用展開が劇的に進展することが期待される。
特許文献1では、ガラスの表面に接合したシリカエアロゲルの製造方法が開示されている。具体的には、ガラスをフッ化水素酸水溶液に浸漬する。次に、上記ガラスを洗浄した後、当該ガラスの表面を空気に曝さずに、当該表面上にエアロゲル前駆体となる反応液を流し込む。これにより、ガラス表面上でゲル化を起こさせ、当該ガラスに付着した状態の湿潤ゲルを作製する。最後に、生成された湿潤ゲルを超臨界乾燥する。特許文献1には、上記製造方法により、目視観察で、ガラスとシリカエアロゲルとが十分に接合されたことが記載されている。また、シリカエアロゲル及びガラスに対して、手によるずれ応力を働かせたときに、ガラスとシリカエアロゲルとの接合面ではなくシリカエアロゲル自身が破損したことから、ガラスとシリカエアロゲルとが十分に接合していることが確認されたことも記載されている。
また、特許文献2では、基体の表面に400nm未満の凹凸を形成する工程と、基体表面を、クロロ基を複数個含むシラン化合物を混合した非水系溶媒に接触させて当該シラン化合物を基体表面に析出させる工程と、基体表面を水と反応させて当該基体上にシラノール基を含む物質よりなる単分子膜を形成する工程と、フッ化炭素基を含むクロロシラン系界面活性剤を基体上に化学吸着して単分子吸着膜を累積する工程とを含む撥水撥油防汚性被膜の製造方法が開示されている。つまり、特許文献2では、基体上にシロキサン単分子膜を形成し、さらにシロキサン結合を介してフッ素を含む被膜を結合形成することが提案されている。
特許第3084394号公報 特公平7−86146号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたシリカエアロゲルの製造方法では、シリカエアロゲルとガラスとの接合が、音波が低損失で伝播することが可能な接合までには至らない。
また、特許文献2に記載された撥水撥油防汚性被膜の製造方法において生成されたシロキサン単分子膜を形成したガラス表面とエアロゲルとを反応させて接合させても、音波が低損失で伝播することが可能な接合までには至らない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、音波の伝播減衰が抑制された、ガラスとエアロゲルとの接合を有する音響素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る音響素子の製造方法は、音波により屈折率が変化するエアロゲルと当該エアロゲルを支持するガラスとを備える音響素子の製造方法であって、ガラスの表面を洗浄するガラス洗浄工程と、乾燥雰囲気下において、クロロ基を3個以上含むシラン化合物を含む溶液に、表面が洗浄された前記ガラスを浸漬する溶液浸漬工程と、乾燥雰囲気下において、前記溶液に浸漬された後の前記ガラスを非水系溶媒で洗浄した後、乾燥するガラス乾燥工程と、乾燥雰囲気下において、前記非水系溶媒で洗浄され乾燥された前記ガラスを、シラノール基を含むゾル液に浸漬するゾル液浸漬工程と、前記ガラスを浸漬した前記ゾル液のゲル化により、前記ガラスの前記表面に形成されたエアロゲルを洗浄するゲル洗浄工程と、洗浄された前記エアロゲルを超臨界乾燥するゲル乾燥工程とを含むことを特徴とする。
本発明の音響素子及びその製造方法によれば、音波の伝播減衰が抑制された、ガラスとエアロゲルとの接合を実現することが可能となるので、音波通過特性が低損失化された音響素子を得ることが可能となる。
実施の形態1に係る音響光学素子の斜視図である。 実施の形態1に係る保護容器の斜視図である。 実施の形態1に係る音響光学素子の製造方法を説明する工程図である。 シリカエアロゲルを通過する音波の減衰率を測定する測定システム図である。 親水性シリカエアロゲル及び疎水性シリカエアロゲルの光路長変化と測定位置との関係を示すグラフである。 2クロロエタノールで置換した後のガラス表面の分子状態を表す図である。 ガラス表面のSn含有量と付着Cl量との関係を表すグラフである。 実施の形態2に係る音響光学素子の製造方法を説明する工程図である。 音響光学素子を通過する音波の減衰率を測定する測定システム図である。 ガラス表面の付着Cl量と音響光学素子の作製歩留まりとの関係を表すグラフである。
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した音響素子及びその製造方法に関し、以下の問題が生じることを見出した。
前述したように、シリカエアロゲルは脆いため、音響素子としての強度を確保すべく、シリカエアロゲルと同組成であり親和性の高いガラスのような保護部材と接合する必要がある。ここで、例えば、シリカエアロゲルとガラスとの接合面に、空気が介在すると、ガラスと空気との間で音響インピーダンスの不整合が生じるため、当該接合面において音波の減衰が顕著となってしまう。上記観点から、上記接合面においては、シリカエアロゲル及びガラス以外の媒体が介在しない、いわゆる音響的な接合が必要とされる。
特許文献1で開示されたシリカエアロゲルの製造方法では、ガラスをフッ化水素酸水溶液に浸す工程により、ガラス表面の洗浄に加えガラス表面の侵食により表面積を確保することで水酸基の密度を高めていると考えられる。また、洗浄後のガラス表面を空気に曝さないことで、高活性の水酸基が汚染物と反応してしまうことを防止していると考えられる。上記対策を施しているにもかかわらず、上記製造方法では、ガラスとシリカエアロゲルとの接合面での音の伝播は充分なものとはならず、ガラス反対面から音波を入射しても低損失伝播の接合を示す回折光が現れなかった。これは、ガラス表面の水酸基の密度が低いため、当該水酸基とシリカエアロゲルとが、音波が十分に伝播できる程に接合していないことを示唆するものである。
また、特許文献2で開示された撥水撥油防汚性被膜の製造方法をシリカエアロゲルとガラスとの接合に適用すべく、シロキサン単分子膜を形成したガラス表面と、酸素プラズマ洗浄により表面に水酸基を露出させたシリカエアロゲルとの接合を試みた。上記ガラス表面と上記シリカエアロゲルとを密着させ、単分子膜と水酸基の加水分解と縮重合反応を促進させるために100℃に約2時間加熱した。しかし、その結果、両者は全く接合しなかった。
以上のように、特許文献1及び2の製造方法では、音波を低減衰で伝播するシリカエアロゲルを用いた音響光学素子が得られない。
このような問題を解決するために、本発明の一態様に係る音響素子の製造方法は、音波により屈折率が変化するエアロゲルと当該エアロゲルを支持するガラスとを備える音響素子の製造方法であって、ガラスの表面を洗浄するガラス洗浄工程と、乾燥雰囲気下において、クロロ基を3個以上含むシラン化合物を含む溶液に、表面が洗浄された前記ガラスを浸漬する溶液浸漬工程と、乾燥雰囲気下において、前記溶液に浸漬された後の前記ガラスを非水系溶媒で洗浄した後、乾燥するガラス乾燥工程と、乾燥雰囲気下において、前記非水系溶媒で洗浄され乾燥された前記ガラスを、シラノール基を含むゾル液に浸漬するゾル液浸漬工程と、前記ガラスを浸漬した前記ゾル液のゲル化により、前記ガラスの前記表面に形成されたエアロゲルを洗浄するゲル洗浄工程と、洗浄された前記エアロゲルを超臨界乾燥するゲル乾燥工程とを含むことを特徴とする。
本態様によれば、洗浄されたガラスの表面の1個の水酸基が2個以上のクロロ基に置換されることにより、ゾル液と反応する活性基の密度が高められる。この高密度のクロロ基とゾル液とが反応することにより、ガラス表面においてガラスとエアロゲルとが一体的に結合される。よって、脆弱な構造を有するエアロゲルをガラスにて支持しつつ、音波を低損失にて伝播する音響素子を提供することが可能となる。また、この音響素子を音響光学撮像装置に用いることにより、結像光学系を小型化することが可能となる。
また、例えば、前記ガラスは、前記表面にSn粒子が配置されているフロートガラスであり、前記ガラス洗浄工程では、前記フロートガラスの前記表面を洗浄してもよい。
本態様によれば、フロートガラスの表面にはSn粒子が配置されているので、吸着起点である水酸基が多く存在する。上記表面に水酸基が多く存在することにより、当該水酸基を置換したクロロ基の数も多くなり、結果的にシリカエアロゲルとガラスとの音響的な結合が強化される。
また、例えば、前記ゾル液浸漬工程では、乾燥雰囲気下において、前記非水系溶媒で洗浄され乾燥された前記フロートガラスを、珪酸イオンとアルコキシ基と触媒とを含む前記ゾル液に浸漬してもよい。
本態様によれば、Sn粒子を起点として存在するガラスの表面の水酸基が2個以上のクロロ基に置換されることにより、ゾル液と反応する活性基の密度が高められる。
また、例えば、さらに、前記ガラス乾燥工程の後、かつ、前記ゾル液浸漬工程の前に、前記ゾル液に含まれるアルコキシ基と同類のアルコキシ基を前記ガラスの前記表面に付加するアルコキシ基付加工程を含んでもよい。
活性基付加工程において生成されるクロロ基は、加水分解すると塩酸を生成する。よって、活性基付加工程では、クロロ基置換により塩酸など副生成物が生成される。本態様によれば、ガラス乾燥工程の後かつゾル液浸漬工程の前に、アルコキシ基付加工程が実行されることにより、上記副生成物がゾル液と反応することを防止することが可能となる。また、ガラス表面に、ゾル液に含まれるアルコキシ基と同類のアルコキシ基を配置することで、ゲル化工程において、均質に加水分解と縮重合が起こり、音響的接合が生成され易くなる。よって、接合を安定的に生成できる。
また、例えば、さらに、前記ゲル乾燥工程で超臨界乾燥された前記エアロゲルを、乾燥雰囲気下で封止する封止工程を含んでもよい。
本態様によれば、水分吸着により音響伝播特性が劣化する親水性シリカエアロゲルを、本発明の音響光学素子のエアロゲルとして使用する場合には、水分吸着を防止できるので音響伝播特性の経時変化を抑制できる。
また、例えば、前記ガラス洗浄工程では、前記ガラスの表面を酸素プラズマに曝してもよい。
これにより、ガラスの表面の水酸基に結合している有機物及び酸化金属を効果的に除去することが可能となる。さらに、酸素プラズマによる洗浄により、ガラス表面を侵食して、当該表面に水酸基をより多く露出または付与させることも可能となる。
なお、本発明は、このような特徴的な手段を工程とする音響素子の製造方法として実現することができるだけでなく、当該製造方法により形成された特徴的な構成要素を備える音響素子として実現することができる。
本発明の一態様に係る音響素子は、容器と、前記容器内に配置されたシリカエアロゲルとを備え、前記容器は、外部から音波を前記容器内へ伝播する音伝播部を有し、前記音伝播部は、Sn粒子が表面に配置されたフロートガラスで構成され、前記表面と前記シリカエアロゲルとは結合していることを特徴とする。
これにより、フロートガラスの表面においてガラスとエアロゲルとが一体的に結合される。よって、脆弱な構造を有するエアロゲルをガラスにて支持しつつ、音波を低損失にて伝播することが可能となる。また、この音響素子を音響光学撮像装置に用いることにより、結像光学系を小型化することが可能となる。
また、例えば、前記容器内には露点温度が−30度以下である乾燥ガスが封入されていてもよい。
これにより、容器内に充填された乾燥ガスにより、経時変化のない音響素子を提供することが可能となる。
また、例えば、前記フロートガラスの表面は、前記Sn粒子が、X線光電子分光分析法による半定量分析により0.26atm%以上配置されている領域を含んでもよい。
また、例えば、前記領域には、前記Sn粒子が、X線光電子分光分析法による半定量分析により1.2atm%以下配置されていてもよい。
これらにより、本音響素子を用いて作製される音響光学素子の歩留まりを50%以上とすることが可能となる。
また、例えば、さらに、前記容器内に乾燥剤を備えてもよい。
これにより、水分吸着により音響伝播特性が劣化する親水性シリカエアロゲルを、本発明の音響光学素子のエアロゲルとして使用する場合には、水分吸着を防止できるので音響伝播特性の経時変化を抑制できる。
なお、本発明は、このような特徴的な構成要素を備える音響素子として実現することができるだけでなく、当該音響素子を備える音響光学素子として実現することができる。
本態様によれば、例えば、音波を被撮影物体に照射し、発生した散乱音波を音伝播部からガラスを介してシリカエアロゲルに導入して屈折率分布を形成し、光入射部から当該屈折率分布に光を照射することにより回折光出射部から出射されるブラッグ回折光を結像させる。これにより、被撮影物体の音波画像を光学画像として再生し取得する音響光学撮像装置の構成要素として、シリカエアロゲルを有する音響光学素子を適用することが可能となる。
以下、本発明の一態様に係る音響素子及びその製造方法について、図面を参照しながら説明する。また、以下の図面において同一の構成要素には同一の符号を用いている。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
[音響光学素子の構成]
図1は、実施の形態1に係る音響光学素子の斜視図である。同図に記載された音響光学素子1は、シリカエアロゲル6と保護容器10とを備えた音響素子である。
シリカエアロゲル6は、音波の通過により屈折率が変化する、波長圧縮率の高いナノフォーム材料である。この性質から、例えば、パルス状超音波を被撮影物体に照射し、発生した散乱超音波をシリカエアロゲル6に導入して屈折率分布を形成し、当該屈折率分布に光を照射することにより生じるブラッグ回折光を結像させる。これにより、被撮影物体の超音波画像を光学画像として再生し取得する音響光学撮像装置の構成要素として、シリカエアロゲル6を有する音響光学素子1を適用することが可能となる。また、エアロゲルは波長圧縮率が高いため、音響光学素子1を含む結像光学系を小型化することが可能であり、また、周波数が低い音波を用いることができる。周波数が低い音は、減衰が少なく、例えば人体深部の観察に有利である。
以下、シリカエアロゲル6の詳細について説明する。一般的なシリカエアロゲルの製法としては、例えば、まず、エタノールなどのアルコール溶媒で希釈されたシリカアルコキシドに、アンモニア水などの触媒水が加えられ加水分解及び縮重合によるゲル化反応が起こることで、シリカ湿潤ゲルが作製される。ここで、シリカアルコキシドとアルコール溶媒及び触媒水とを混合した液をエアロゲル前駆体のゾル液という。次に、エタノールなどのアルコール溶媒による置換洗浄によりシリカ湿潤ゲルに含まれるアンモニア水、生成物(例えばメタノールなど)及び残留物などが除去される。つぎに、湿潤ゲルが二酸化炭素による超臨界乾燥されることでシリカエアロゲルが生成される。ここで得られたシリカエアロゲルは、雰囲気中の水分を表面に吸着して親水性の高いシラノール基を形成するため、水分をよく吸着する特性を有する。ここで、上記シリカエアロゲルを親水性シリカエアロゲルと称す。一方、プロセスの途中で疎水化処理を行い、水分の吸着を防止したシリカエアロゲルを疎水性シリカエアロゲルと称す。親水性シリカエアロゲルとは、疎水性を示す炭素化合物を主に含まないエアロゲルである。
音響光学素子1には、上述した音響光学撮像装置の構成要素としての観点から、封止面5と、レーザー光入射面(光入射部)3と、回折光出射面(回折光出射部)4と、音伝播面(音伝播部)2とが設けられている。封止面5は、保護容器10内部を密閉し、シリカエアロゲル6の耐環境性を向上させる機能を有する封止部である。レーザー光入射面3は、シリカエアロゲル6内部にレーザー光を入射させる光入射面である。回折光出射面4は、レーザー光入射面3と対向し回折光を出射させる干渉光取り出し面である。音伝播面2は、レーザー光入射面3及び回折光出射面4と直交し保護容器10であるガラスとシリカエアロゲル6とが音響的に接合された接合面である。上記接合面におけるガラス表面とシリカエアロゲル6との結合状態については、音響光学素子の製造方法とともに後述する。
ここで、保護容器10内には、吸水によるシリカエアロゲル6の劣化を防止するため、露点温度が−30度以下である乾燥ガスが封入されている。
さらに、保護容器10内部には、乾燥剤7が配置されていることが望ましい。
保護容器10は、シリカエアロゲル6と、音伝播面2においてシリカエアロゲル6及びガラス以外の媒体が介在しない、いわゆる音響的に接合されており、脆弱性を示すシリカエアロゲル6を支持している。
図2は、実施の形態1に係る保護容器の斜視図である。保護容器10は、その組成がシリカエアロゲル6と同様であることから、例えば、硼珪酸ガラスが用いられる。硼珪酸ガラスは、代表的なエアロゲルであるシリカエアロゲルの主組成である二酸化珪素を多く含む。よって、エアロゲルと強固な接合を形成することが可能となる。保護容器10は、例えば、10mm幅×10mm奥行き×20mm高さの直方体の容器であり、封止面5に対応した上板ガラスと、レーザー光入射面3及び回折光出射面4に対応した透光性の側板ガラスと、音伝播面2に対応した音波伝播性の高い底板ガラスとで構成されている。
保護容器10は、上述したように、シリカエアロゲル6の耐環境性を向上させるため、シリカエアロゲル6を密閉する構造であることが好ましい。
[音響光学素子の製造方法]
本発明者らは、保護容器10であるガラスの表面を洗浄、あるいは侵食して、露出あるいは付与する水酸基だけでは、エアロゲル前駆体であるゾル液と反応できる活性基(以後、エアロゲル前駆体であるゾル液と反応できる基を活性基と称す)の密度が少ないと考えた。なぜなら、エアロゲルは密度が低いことから、前駆体であるゾル液のシリカアルコキシド濃度も低いからである。
そこで、本実施の形態に係る製造方法では、ガラス表面の活性基密度を高めるために、クロロ基を3個以上含むシラン化合物を含む溶液にガラス表面を浸す。但し、シラン化合物は、水との反応性が高いため必ず乾燥雰囲気で扱う。この雰囲気中においては、上記シラン化合物のクロロ基と脱塩化水素反応ができるのは、ガラス表面の水酸基のみである。例えば、ガラス表面の活性基(水酸基)1個と上記シラン化合物のクロロ基1個が反応し結合すると、上記シラン化合物には2個以上のクロロ基が残留する。つまり、上記シラン化合物を用いた場合、ガラス表面の1個の活性基(水酸基)が、2個以上の活性基(クロロ基)に置換されるので、活性基の密度が高められる。もちろん、上記シラン化合物のクロロ基のうち2個以上がガラス表面の水酸基と反応する可能性はあるが、上記シラン化合物のクロロ基の数が多いほど、ガラス表面の活性基の密度が高められる確率が高い。また、上記シラン化合物のクロロ基全部がガラス表面の水酸基と反応及び結合することは構造上不可能である。クロロ基がガラス表面に結合した後、ガラス表面上に残った未反応シラン化合物を、非水系溶媒でよく洗浄除去した後、乾燥を行う。乾燥後は、ガラス表面には、クロロ基が結合した状態になる。そこに、エアロゲル前駆体であるゾル液を流し込む。活性基としては、水酸基よりもクロロ基の方がより反応性が高く、さらにガラス表面にあるクロロ基の密度が高い。上記製造方法により、より強固にガラスとエアロゲルとが一体的に形成され、いわゆる音響的な接合が形成される。
図3は、実施の形態1に係る音響光学素子の製造方法を説明する工程図である。本実施の形態に係る音響光学素子の製造方法の要部は、保護容器10の音伝播面2において、保護容器10の底板内面とシリカエアロゲル6とを、低損失の音響伝播特性を有する接合とする工程である。以下、当該工程を中心に説明する。
<ガラス洗浄工程>
まず、保護容器10であるガラス容器の内部表面を洗浄する(S10)。これにより、ガラスの表面の水酸基に結合している有機物及び酸化金属を除去する。さらには、上記洗浄により、保護容器10の表面を侵食して、保護容器10の表面に水酸基をより多く露出または付与させる。
洗浄方法としては、例えば、アセトンなど有機溶媒を用いた超音波洗浄、酸素プラズマ、中性洗剤を用いた洗浄、酸素RIE(Reactive Ion Etching)、UV(Ultraviolet)アッシャー、及びフッ化水素酸水溶液を用いた洗浄などが挙げられる。なお、各々の洗浄方法だけでなく、複数の洗浄方法を用いることで水酸基の露出効果が向上する。
<活性基付加工程>
次に、乾燥雰囲気下で、クロロ基を3個以上含むシラン化合物を含む溶液に、保護容器10であるガラス容器の底板を浸漬する(S31)。シラン化合物は、例えば、化1で表されるヘキサクロロジシロキサン(以下、HCDSと記す)であり、上記溶液とは、例えば、HCDSと非水系溶媒とを混合したものである。非水系溶媒は、例えば、ハイドロフルオロエーテル、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロロホルムなどが挙げられる。
Figure 2015135433
これにより、ガラス表面の1個の水酸基が、2個以上のクロロ基に置換されるので、活性基の密度が高くなる。つまり、工程S31は、乾燥雰囲気下において、クロロ基を3個以上含むシラン化合物を含む溶液に、表面が洗浄されたガラスを浸漬する溶液浸漬工程に相当する。
次に、乾燥雰囲気下で、ガラス容器の底板を非水系溶媒で洗浄し、乾燥させる(S32)。これにより、ガラス表面に残留する未反応のHCDSが除去されるので、その後のゾル液注入によりガラスに結合しないHCDSとゾル液とが反応してしまうことが抑制される。つまり、工程S32は、乾燥雰囲気下において、上記溶液に浸漬された後のガラスを非水系溶媒で洗浄した後、乾燥するガラス乾燥工程に相当する。
<ゲル化工程>
次に、乾燥雰囲気下で、保護容器10であるガラス容器の底板を、シラノール基(−Si−OH)を含むゾル液に浸漬する(S51)。これにより、ガラス表面のクロロ基が、エアロゲル前駆体であるゾル液と反応し、縮重合反応する。ここで、ガラス表面のクロロ基は、水酸基に置換されずに、ゾル液のシラノール基と直接反応している。つまり、工程S51は、乾燥雰囲気下において、非水系溶媒で洗浄され乾燥されたガラスを、シラノール基を含むゾル液に浸漬するゾル液浸漬工程に相当する。
なお、エアロゲル前駆体とは、シリカエアロゲルの前駆体であり、シリカアルコキシドを含むゾル液の一種のことである。
上記縮重合反応が、所定の湿度及び温度下にて行われ、エアロゲル前駆体のゲル化が進行し、ガラス表面と一体化され、音波を低損失で伝播するよう接合されたシリカエアロゲルが生成される。
次に、生成されたシリカエアロゲルを洗浄する(S52)。エアロゲル前駆体のゾル液にはアンモニア水が含まれている。よって、上記工程S51にて加水分解及び縮重合反応させた後には、生成されたシリカエアロゲルにアンモニア水が残留している。これを、ゾル液の溶媒でもあるエタノールで洗い流す。これにより、アンモニア水が除去されると同時に、ゲル化が停止する。つまり、工程S52は、ガラスを浸漬したゾル液のゲル化により、ガラスの表面に形成されたエアロゲルを洗浄するゲル洗浄工程に相当する。
<乾燥工程>
次に、シリカエアロゲルを超臨界乾燥する(S70)。具体的には、高温、高圧及び二酸化炭素雰囲気下にシリカエアロゲルを配置し、溶媒を除去する。脆弱性を有するシリカエアロゲルを常圧下で乾燥させると、表面張力により構造を壊してしまう恐れがある。一方、超臨界乾燥によれば、液相と気相との界面がない状態で細かい構造を保持したままの乾燥が可能となりシリカエアロゲルの構造を破壊することが回避される。つまり、工程S70は、洗浄されたエアロゲルを超臨界乾燥するゲル乾燥工程に相当する。
<封止工程>
最後に、乾燥雰囲気下で、シリカエアロゲルを封止する(S90)。特に、吸水により経時変化が大きい親水性シリカエアロゲルの場合には、露点温度が−30度以下である窒素ガスをガラス容器内に封入することが好ましい。例えば、保護容器10の上板周囲にUV硬化性樹脂を塗布して保護容器10の側板と貼り合わせ、当該接合部にUVを照射して封止する。つまり、工程S90は、ゲル乾燥工程で超臨界乾燥されたエアロゲルを、乾燥雰囲気下で封止する封止工程に相当する。なお、UV硬化性樹脂は、水分脱離が少ないものを使用することが好ましい。
以上、本実施の形態に係る音響光学素子1の製造方法により、保護容器10であるガラスの表面の1個の水酸基が、2個以上のクロロ基に置換されるので、活性基の密度が高められる。このクロロ基とエアロゲル前駆体であるゾル液とが反応することにより、強固にガラスとエアロゲルとが一体的に形成され、音波を低損失で伝播するように接合される。よって、音響的な伝播減衰が抑制された、ガラスとエアロゲルとの接合を実現することが可能となるので、低減衰の音響光学素子を得ることができる。また、小型の結像光学系を有する音響光学素子を得ることができる。
なお、本発明に係る音響素子の製造方法において、上記封止工程は必須工程ではない。親水性シリカエアロゲルを使用した場合には、水分吸着による音響伝播特性の劣化を防止するため上記封止工程は必要であるが、疎水性シリカエアロゲルを使用した場合には、水分吸着を考慮する必要がないため上記封止工程は不要である。
[シリカエアロゲルの音響的伝播特性]
以下、親水性シリカエアロゲル及び疎水性シリカエアロゲルをエアロゲルとして用いた場合の音響的伝播特性の差異について説明する。
本発明者らは、親水性シリカエアロゲル及び疎水性エアロゲルの減衰率を測定した。具体的には、その内部を音波が伝播しているシリカエアロゲルに対して光を照射し、1次回折光の強度を測定した。
図4は、シリカエアロゲルを通過する音波の減衰率を測定する測定システム図である。振動子50を有するSUS(ステンレス)製ケース51の表面と、シリカエアロゲル6とは、エポキシ樹脂により接合されている。ファンクションジェネレータ52により、振動子50から2.6MHzのバースト波(超音波)が発振される。振動子50から発振されたバースト波は、シリカエアロゲル6に伝播する。シリカエアロゲル6中を伝播する超音波の主な導波モードは、疎密波(縦波)である。よって、超音波波面に一致した屈折率分布が、シリカエアロゲル6中に生成される。ある瞬間においては、シリカエアロゲル6中に生成される屈折率分布は、超音波波長で繰り返される正弦波状の一次元格子となる。
一次元格子を有するシリカエアロゲル6中をレーザー光55(He−Neレーザー光源54:波長632nm)で透過すると、回折光が生成される。スクリーン58上には、0次光56と1次回折光57とが光点として現れる。1次回折光57の強度Iを光パワーメータで測定する。ここで、1次回折光57の強度Iは、以下に示される1次のベッセル関数に従う。
Figure 2015135433
上式において、Jはベッセル関数であり、Iは、シリカエアロゲル6に音波が入射していない場合の、シリカエアロゲル6のレーザー光55透過強度である。また、Δθは、屈折率変化による光路長の変化である。上記測定システムにより測定されたI及びIと、上式とから、Δθが算出される。
上記測定及び算出を、レーザー光55の通過位置を振動子50から離す方向(x方向)に位置を変えながら実行することにより、各位置の光路長変化が算出される。
図5は、親水性シリカエアロゲル及び疎水性シリカエアロゲルの光路長変化と測定位置との関係を示すグラフである。同図のグラフにおいて、横軸は、レーザー光55の通過位置と振動子50との距離を示し、縦軸は、光路長変化の2乗を対数表示したものを示している。グラフの傾きから、各シリカエアロゲルの音響的伝播特性の減衰率が求まる。疎水性シリカエアロゲルの減衰率は13dB/mmであるのに対し、親水性シリカエアロゲルの減衰率は4dB/mmである。これより、親水性シリカエアロゲルの減衰率は、疎水性のシリカエアロゲルの減衰率よりも小さいことが解る。
親水性シリカエアロゲルは、図5に表されるように、音響的減衰率が小さいので、音響信号から光学信号への変換特性の観点から性能が優れている。一方、親水性シリカエアロゲルは、大気中の水分を吸収する。これにより、吸着水が減衰率を増加させて経時劣化を起こす。これを防止するため、親水性シリカエアロゲルをシリカエアロゲル6として適用する場合には、封止工程を必要とする。
一方、疎水性シリカエアロゲルは、メチル基やエチル基で終端していることにより、水と反応して加水分解を起こすことがない。よって、水分吸収による経時変化がないので、封止工程を必要としない。
但し、親水性シリカエアロゲル及び疎水性シリカエアロゲルの双方とも、共通して構造的な脆弱性を有するため、音響光学素子として、ガラスとの接合は必須である。
(実施の形態2)
本実施の形態に係る音響光学素子は、実施の形態1に係る音響光学素子と比較して、さらに、ガラス表面とシリカエアロゲルとの音響的な結合度を向上させている。以下、実施の形態2に係る音響素子及びその製造方法を説明する。
本実施の形態では、実施の形態1に係る音響素子と比較して、表面に水酸基が多く存在するガラス(フロートガラス)が用いられている点、及び、当該ガラス表面の水酸基がクロロ基に置換された後、当該クロロ基をアルコキシ基(例えばOメチル基)に置換した状態でエアロゲル前駆体をゲル化する点が異なる。以下、実施の形態1と同じ点は説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
[音響光学素子の構成]
実施の形態2に係る音響光学素子は、保護容器と、当該保護容器内に配置されたシリカエアロゲル6とを備える音響素子である。上記保護容器は、外部から音波を保護容器内へ伝播する音伝播面(音伝播部)を有する。音伝播面(音伝播部)は、Sn粒子が表面に配置されたフロートガラスで構成される。本実施の形態に係る保護容器は、シリカエアロゲル6と、音伝播面においてシリカエアロゲル6及びガラス以外の媒体が介在しない、いわゆる音響的に接合されており、脆弱性を示すシリカエアロゲル6を支持している。
フロートガラスとは、溶融したスズ(Sn)上に溶融ガラスを浮かべて成型した板状のガラスである。この製法に起因して、フロートガラスには表裏がある。以下、製造工程において溶融スズと接した面をボトム面と称し、その逆面をトップ面と称す。ボトム面とトップ面とは、異なる性質を有する。酸化錫はシリカよりも水と反応しやすいため、ボトム面は、トップ面と比較して、吸着起点である水酸基が多く存在する。その反面、炭化水素系の物質が吸着し易い。また、ガラス基板がシリコーンで汚染されると、例えば、ガラス基板にスパッタした金属膜の付着力が弱くなる等の不具合が発生し易い。上記性質より、従来、単分子膜を形成する場合には、フロートガラスのボトム面よりもトップ面を選択して膜の耐久性を向上させている。よって、上記従来の技術においては、通常のガラス洗浄のみでボトム面に単分子膜を形成することは困難であると考えられる。
発明者らは、従来では単分子膜を形成する基板表面として採用されなかったボトム面の水酸基の多さに着目し、フロートガラスのボトム面をシリカエアロゲルとの接合面として積極的に適用することに着想した。上記ボトム面に水酸基が多く存在することにより、当該水酸基を置換したクロロ基の数も多くなり、結果的にシリカエアロゲルとガラスとの音響的な結合が強化される。
表1に、ガラス種類とSn量、付着Cl量、及び音響光学素子の試作結果との対応を示す。
Figure 2015135433
ガラス1〜ガラス5は、いずれもフロートガラスであり、いわゆる、テンパックス(SCHOOT社製)と呼ばれるガラスである。なお、ガラス4及び5は、ガラスペースト(日本電気硝子製PLS−3075/250)をテンパックスのボトム面の一部に塗布している。また、ガラス6及び7は、いずれもフロートガラスであり、いわゆる、SS−1ガラス(日本電気硝子会社製)と呼ばれるガラスである。また、ガラス8は、フッ素ドープド酸化スズを含有した透明電極用ガラス(FTO:フルウチ化学株式会社製)であり、スプレー熱分解法を用いて、ガラス表面に酸化スズ膜を形成している。また、ガラス9は、合成石英を使用している。表1には、上記ガラス1〜9のSn量及び付着Cl量が示されているが、Sn量及び付着Cl量の分析手法について、以下説明する。
ガラス表面の状態を分析する方法は、X線光電子分光分析法(以後、XPSと称す。)である。XPSは、軟X線を物質表面に照射し、表面数ナノメートル領域より放出される光電子のエネルギー測定により、物質表面の構成元素、化学結合状態の分析を行う方法である。分析深さは、およそ5nmと非常に薄く、表層の分析に向いている。使用した装置は、日本電子株式会社製JPS−9010TRである。線源はMgKα線(固有値1253.6eV)を用い、光電子の結合エネルギー(BE)で測定を行った。分析に用いたピーク名は、Si_2p_3/2、O_1s、Na_1s、C_1s、Cl_2p_3/2、Sn_3d_5/2であり、半定量解析を行った。表1には、Sn量、付着Cl量として、上記6つのピークエリアを用いて、atomic%(atm%)で表している。
ガラスのSn量については、洗浄(アセトン超音波洗浄10分、酸素プラズマ洗浄10分)後のガラスを分析して求めた。また、HCDS処理後に付着したCl量(付着Cl量)については、HCDS処理を行ったガラス表面を2クロロエタノール(シグマアルドリッチ製)で置換したガラスを用いて求めた。HCDS処理後のCl基は非常に活性が高く、大気中の水分と反応を起こすため、このままでは正確なCl量を計測できない。よって、大気中でも安定なCl基を有する2クロロエタノールで置換した後のガラスを用いて求めた。
図6は、2クロロエタノールで置換した後のガラス表面の分子状態を表す図である。同図には、HCDS処理した後に2クロロエタノールに置換した状態のガラス表面の分子状態が表されている。この分子状態におけるガラスを半定量解析して得られたCl基の量から、洗浄後ガラスのCl基の量を差し引いたものを付着Cl量とした。なお、2クロロエタノールに置換する方法について簡単に説明する。窒素雰囲気中において、ガラスにHCDS処理膜が形成された後、当該ガラスを2クロロエタノールに浸す。1時間の攪拌浸漬後、ガラス表面に反応していない2クロロエタノールがガラス表面に残留しないようにエタノールで2回洗浄する。その後、乾燥を行い分析する。
ガラス1及び2、ならびに、ガラス6及び7を比較して、フロートガラスのボトム面は、トップ面よりもSn量が多いことが分かる。なお、トップ面にもスズの存在が確認されるのは、スズの溶融液からの蒸発成分の影響と考えられる。
次に、ガラス3では、テンパックスの表面を研磨している。ガラス3では、ガラス表面を研磨しているため、Sn量が少ないことが分かる。
次に、ガラス4及び5では、ガラスペーストをテンパックスのボトム面の一部に塗布している。ガラスペーストの塗布後、仮焼成(380℃10分)及び本焼成(450℃10分)を経る。ガラス4及び5の比較から、ガラス1及び2と同様に、フロートガラスのボトム面は、トップ面よりもSn量が多いことが分かる。
次に、ガラス6及び7では、フロート法によりガラスを作製している。SS−1ガラスであるガラス6のSn量は、テンパックスであるガラス1のSn量よりも少ないことが分かる。
次に、ガラス8では、酸化スズ膜が形成されたガラス表面に対して分析を行った。ガラス表面のSn量は、フロート法で作製したガラス1〜7よりも多い。しかし、HCDS処理後のCl基は、まったく付加されなかった。
次に、ガラス9では、フロート法により作製されていない。このため、スズはほとんど検出されない。
図7は、ガラス表面のSn含有量と付着Cl量との関係を表すグラフである。図7に示されたグラフにおいて、横軸は洗浄後のSn量であり、縦軸はHCDS処理後の付着Cl量である。後述する音響光学素子の試作歩留まりを50%以上とするCl付着量である1.8atm%以上を確保するには、洗浄後ガラスのSn量は0.26atm%以上必要であることがわかる。この結果より、音響光学素子の歩留まりが50%以上であるためには、洗浄後のフロートガラスの表面は、Sn粒子が0.26atm%以上配置されている領域を含むことが好ましい。
[音響素子の製造方法]
次に、実施の形態2に係る音響素子の製造方法について説明する。本実施の形態に係る音響素子の製造方法は、実施の形態1に係る音響素子の製造方法と比較して、(1)ガラスとして、表面にSn粒子が配置されているフロートガラスを用いる点、及び(2)活性基付加工程とゲル化工程との間に、クロロ基などの活性基をアルコキシ基に置換するアルコキシ基付加工程が付加される点が異なる。
図8は、実施の形態2に係る音響光学素子の製造方法を説明する工程図である。本実施の形態に係る音響光学素子の製造方法の要部は、保護容器の音伝播面において、保護容器の底板内面とシリカエアロゲルとを、低損失の音響伝播特性を有する接合とする工程である。以下、実施の形態1に係る音響素子の製造方法と異なる点を中心に説明する。
<洗浄工程>
まず、表面にSn粒子が配置されているフロートガラスを準備する。このフロートガラスの表面を保護容器の内部表面とし、当該内部表面を洗浄する(S10)。これにより、ガラスの表面の水酸基に結合している有機物及び酸化金属を除去する。さらには、上記洗浄により、保護容器10の表面を侵食して、保護容器10の表面に、Sn粒子を起点とする水酸基をより多く露出または付与させる。
洗浄方法としては、例えば、アセトンなど有機溶媒を用いた超音波洗浄、酸素プラズマ、中性洗剤を用いた洗浄、酸素RIE(Reactive Ion Etching)、UV(Ultraviolet)アッシャー、及びフッ化水素酸水溶液を用いた洗浄などが挙げられる。なお、各々の洗浄方法だけでなく、複数の洗浄方法を用いることで水酸基の露出効果が向上する。
<アルコキシ基付加工程>
活性基付加工程の後、乾燥雰囲気下で、保護容器であるフロートガラス容器の底板を、無水メタノールに浸漬する(S41)。これにより、フロートガラス表面のクロロ基が、無水メタノールに反応し、縮重合反応する。そして、フロートガラス表面のクロロ基は、Oメチル基(メトキシ基:図6の−OCH)に置換される。なお、クロロ基が置換されたOメチル基は、後述するゾル液に含まれるメトキシ基と同類のアルコキシ基である。例えば、工程S41において、無水メタノールの代わりに無水エタノールを使用した場合には、クロロ基は、エトキシ基(−OC)に置換される。この場合には、工程S51では、エトキシ基を含むゾル液が使用される。本置換後、塩酸等の副生成物を除去するために、無水メタノールで洗浄して、乾燥する(S42)。上記工程S41及びS42は、活性基付加工程の後、かつ、ゾル液浸漬工程の前に、ゾル液に含まれるアルコキシ基(メトキシ基及びエトキシ基など)と同類のアルコキシ基をフロートガラスの上記表面に付加するアルコキシ基付加工程に相当する。
<ゲル化工程>
次に、乾燥雰囲気下で、保護容器であるフロートガラス容器の底板を、珪酸イオンとアルコキシ基と触媒とを含むゾル液に浸漬する(S51)。これにより、ガラス表面のOメチル基が、エアロゲル前駆体であるゾル液と反応し、縮重合反応する。ここで、ガラス表面とシリカアルコキシドは実質的に同質であるOメチル基で終端されているので、両者は、均質に反応がすすむと予想される。
なお、エアロゲル前駆体とは、シリカエアロゲルの前駆体であり、シリカアルコキシドを含むゾル液の一種のことである。
上記縮重合反応が、所定の湿度及び温度下にて行われ、エアロゲル前駆体のゲル化が進行し、ガラス表面と一体化され、低音速の音波を低損失で伝播するよう接合されたシリカエアロゲルが生成される。工程S51は、乾燥雰囲気下において、非水系溶媒で洗浄され乾燥されたフロートガラスを、珪酸イオンとアルコキシ基と触媒とを含むゾル液に浸漬するゾル液浸漬工程である。
次に、生成されたシリカエアロゲルを洗浄する(S52)。エアロゲル前駆体のゾル液にはアンモニア水が含まれている。よって、上記工程S51にて加水分解及び縮重合反応させた後には、生成されたシリカエアロゲルにアンモニア水が残留している。これを、ゾル液の溶媒でもあるエタノールで洗い流す。これにより、アンモニア水が除去されると同時に、ゲル化が停止する。
以下、実施の形態1に係る音響素子の製造方法と同様にして、乾燥工程及び封止工程を実行する。
上記活性基付加工程において生成されるクロロ基は、加水分解すると塩酸を生成する。よって、活性基付加工程では、クロロ基置換により塩酸など副生成物が生成される。アルコキシ基付加工程がない場合、生成された塩酸とゾル液内の触媒であるアンモニアとが反応し、固体である塩化アンモニウムを生成し、これが沈殿すると、接合を阻害する要因となる。また、この反応により触媒であるアンモニアを消費してしまう。これに対して、本実施の形態に係る製造方法では、アルコキシ基付加工程を導入することにより、上記副生成物がゾル液と反応することを防止することが可能となる。
また、ガラス表面をOメチル基にすることで、ゾル液のシリカアルコキシドと同質となり、均質に加水分解と縮重合が起こり、ゲル化工程において、音響光学的接合が生成され易くなる。よって、アルコキシ基付加工程を入れることで、接合を安定的に生成できる(回折光が確認できる)。さらに、音響光学素子の外側もOメチル基に置換される。Oメチル基は、クロロ基に比べて活性度が低く、汚染されにくい。つまり、特に、音響光学素子として用いる場合、素子外側の汚染により光の散乱などの不具合が発生することを防止できる。
次に、実施例及び比較例を挙げながら本開示の音響素子及びその製造方法を説明する。本発明者らは、本発明に係る製造方法により製造した音響光学素子(実施例1〜4)、本発明に係る製造方法によらずに製造した音響光学素子(比較例1〜4)の音響伝播特性を評価した。
図9は、音響光学素子を通過する音波の減衰率を測定する測定システム図である。同図に記載された測定システムは、図4に記載された測定システムと比較して、被測定対象が、ガラス容器及びシリカエアロゲル6で構成された音響光学素子である点のみが異なる。以下、図9に記載された測定システムについて、図4に記載された測定システムと異なる点を中心に説明する。
振動子50(富士セラミックス(株)製の超音波(A)5Z10D−SYX(C−6))を貼り合わせたSUS製ケース51の上に、シリカエアロゲル6を充填接合したガラス容器を載置する。SUS製ケース51とガラス容器との間には極少量の水またはシリコーンジェル(サーンテック株式会社製ソニコートSHN−B25)を薄く塗布し、SUS製ケース51とガラス容器との間の空隙をなくした。当該空隙は、音の伝播を阻害するためである。振動子50から発振された2.6MHzの超音波は、ガラス容器へ伝播し、さらにシリカエアロゲル6に伝播する。シリカエアロゲル中に音が伝播していれば回折光が生成されるので、1次回折光57の光点が現れると接合状態が良であるとし、1次回折光57の光点が現れないと接合状態が否であると判定した。
(実施例1)
以下に示された本発明に係る音響素子の製造方法により、実施例1に係る音響光学素子を製造した。
保護容器10であるガラス容器は、硼珪酸ガラス(SCHOTT社製 DURAN)で作製した。ガラス容器は、音伝播面2に対応した底板ガラスと、レーザー光入射面3に対応した側板ガラスと、回折光出射面4に対応した側板ガラスとを有する。底板ガラスの厚みは0.37mmである。なお、底板ガラスの内側表面は研磨されている。
<洗浄工程>
中性洗剤を用いて、ガラス容器の内部を洗浄し(S10)、乾燥させた。その後、アセトンにガラス容器を浸した状態で5分間超音波洗浄した。さらに、超音波洗浄したガラス容器を乾燥させた後、HARRICK PLASMA社製プラズマクリーナー(PDC−001)を用いて、ガラス容器を10分間酸素プラズマ処理した。このときの入力RF信号のレベルはHIGHであった。
上記酸素プラズマ処理後、プラズマに曝されたガラス容器の表面には、水酸基が多数形成され、親水性になっている。
この状態で、水酸基が不純物と結合しないよう、ガラス容器を窒素雰囲気のグローブボックスへ保管した。
<活性基付加工程>
クロロ基を3個以上含むシラン化合物であるHCDSとハイドロフルオロエーテルとの混合液を準備した。HCDSは、Gelest社製品番SIH5910.0を用い、ハイドロフルオロエーテルは住友スリーエム社製NovecTM7200を用いた。50mlのハイドロフルオロエーテルと0.5mlのHCDSとの混合液を上記ガラス容器に入れた(S31)。
上記混合液が入ったガラス容器を、フッ素樹脂製の容器へ入れ、密閉された状態で約10時間程度静置した。
この間、上記ガラス容器の内表面の水酸基は、HCDSのクロロ基と脱塩化水素反応する。その結果、上記ガラス容器の内部表面の全面にクロロ基が生成される。
次に、非水系溶媒であるクロロホルム(SIGMA−ALDRICH社製372978−1L)を用いて、上記ガラス容器の表面に残留する未反応のHCDSを除去した(S32)。リンス液であるクロロホルムは1次液と2次液を用意し、それぞれ上記ガラス容器表面を丹念に洗浄した。洗浄の後、乾燥させた。これにより、結合しなかったHCDSが除去される。
<ゲル化工程>
ガラス容器を密閉容器に入れ、グローブボックスから、同様に窒素フローされている簡易ボックス(エントリーボックスのないグローブボックスを簡易ボックスと称す)へ移動させた。簡易ボックスには、調合したエアロゲル前駆体のゾル液を密閉容器内に予め用意した。
表1に、エアロゲル前駆体のゾル液の調合重量比を示す(以下、実施例2〜4、比較例3及び4のゾル液も同じである)。
Figure 2015135433
密閉容器の開封後、即座にシラノール基を含むゾル液をガラス容器に流し込んだ(S51)。その後、ゾル液が充填されたガラス容器を含む密閉容器を再度密閉し、ゾル液の乾燥を防ぎつつゲル化させる。ここで、HCDSとガラスとを反応させるグローブボックスと、ガラスとゾル液とを反応させるグローブボックスとは異なる方が好ましい。これは、前者のグローブボックスをより乾燥雰囲気に保つためである。エアロゲル前駆体のゾル液には水分が含まれているため、HCDSとゾル液とを同じ雰囲気で扱えば、水分への反応性がより高いHCDSが変質する恐れや、反応処理に悪影響を及ぼす可能性がある。しかし、どちらのグローブボックスとも、湿度は20%未満であることが好ましい。
ゲル化は、恒温槽で40℃に保ち、およそ一晩静置した。ゲル化後、ガラス容器をエタノールに2日間浸して洗浄を行った(S52)。ゾル液にはアンモニア水が含まれており、加水分解や縮重合の後にもアンモニア水が残留している。これをゾル液の溶媒でもあるエタノールで洗い流す。これにより、ゲル化が停止する。
<乾燥工程>
二酸化炭素雰囲気による超臨界乾燥(17MPa、80℃)を行った(S70)。80℃までの昇温速度及び乾燥後の降温速度は、ともに0.5℃/minであった。この速度は緩やかである方が好ましい。シリカエアロゲルと酸化物ガラスとの熱膨張係数の違いを緩和させるためである。
なお、本実施例で作製されたシリカエアロゲルは、親水性エアロゲルであり、疎水性のための処理を実施していない。よって、以下の封止工程を実行した。
<封止工程>
室温となった超臨界乾燥用の圧力容器をガス管から取り外し、窒素雰囲気のグローブボックスへ移した。このグローブボックス中の露点を、鏡面冷却式露点計(株式会社山武製FINEDEW−FDW10)で測定した。グローブボックス中の露点は−30度から−32度であった。グローブボックスの中で、圧力容器の蓋を外し、圧力容器内にあるガラス容器を取り出した。ガラス容器の中には、音伝播面2にてガラス容器と接合しているシリカエアロゲル6が乾燥状態で充填されている。
ガラス容器の中に、乾燥剤7(ダイニック株式会社製)を入れた。UV硬化性樹脂(長瀬産業株式会社製XNR5516Z)が塗布されたガラス上板とガラス容器とを貼り合わせて、LED−UVライトガン(EDMUND製)を用いて、2分照射し封止した(S90)。UV硬化性樹脂は、水分脱離が少ないものを使用することが好ましい。
上記実施例1に記載された製造方法により作製した音響光学素子1を、図9のように振動子50の上に置き、音響的伝播特性の評価を行った。その結果、1次回折光が確認された。また、経時変化を確認するために、1ヶ月後も測定を行ったところ、同様に1次回折光が確認された。
(実施例2)
実施例1に記載された乾燥工程までは、実施例1と同様に行った。その後、ガラス上板による封止を行わなかった。この音響光学素子を、図9のように振動子50の上に置き、音響的伝播特性の評価を行った。その結果、1次回折光が確認された。また、経時変化を確認するために、1ヵ月後も測定を行ったが、1次回折光は確認されなかった。
(実施例3)
保護容器であるガラス容器を、フロートガラス(SCHOTT社製 テンパックス)で作製した。なお、底板ガラスの内側表面は、Sn粒子が配置されたフロートガラスのボトム面である。各工程は、実施例1と同様に行った。この音響光学素子を、図9のように振動子50の上に置き、音響的伝播特性の評価を行った。その結果、1次回折光が確認された。また、経時変化を確認するために、1ヶ月後も測定を行ったところ、同様に1次回折光が確認された。
(実施例4)
保護容器であるガラス容器を、フロートガラス(SCHOTT社製 テンパックス)で作製した。なお、底板ガラスの内側表面は、Sn粒子が配置されたフロートガラスのボトム面である。また、実施例1の各工程に対して、活性基付加工程とゲル化工程との間に、アルコキシ基付加工程を実施した。具体的には、活性基付加工程(工程S32)の後、乾燥雰囲気下で、保護容器であるフロートガラス容器の底板を、無水メタノールに浸漬した(S41)。その後、塩酸等の副生成物を除去するために、無水メタノールで洗浄して、乾燥した(S42)。この音響光学素子を、図9のように振動子50の上に置き、音響的伝播特性の評価を行った。その結果、1次回折光が確認された。また、経時変化を確認するために、1ヶ月後も測定を行ったところ、同様に1次回折光が確認された。
(比較例1)
以下に示された製造方法により、比較例1に係る音響光学素子を製造した。
まず、硼珪酸ガラス(SCHOTT社製 DURAN)で作製したガラス基板を準備した。なお、底板ガラスの内側表面は研磨されている。
<洗浄工程>
中性洗剤を用いて、ガラス基板を洗浄し、乾燥させた。その後、アセトンにガラス基板を浸した状態で5分間超音波洗浄した。さらに、超音波洗浄したガラス基板を乾燥させた後、HARRICK PLASMA社製プラズマクリーナー(PDC−001)を用いて、ガラス容器を10分間酸素プラズマ処理した。このときの入力RF信号のレベルはHIGHであった。
上記酸素プラズマ処理後、プラズマに曝されたガラス表面は、水酸基が多数形成され、親水性になっている。この状態で、水酸基が不純物と結合しないよう、ガラス基板を窒素雰囲気のグローブボックスへ保管した。
<活性基付加工程>
HCDS(Gelest社製品番SIH5910.0)とハイドロフルオロエーテル(住友スリーエム社製 NovecTM7200)との混合液を準備した。50mlのハイドロフルオロエーテルと0.5mlのHCDSとを混合し、テフロン(登録商標)製容器に入れた。そこへガラス基板を浸し、テフロン(登録商標)製容器を密閉して、約10時間程度静置した。
この間、ガラス基板の表面の水酸基は、HCDSのクロロ基と脱塩化水素反応する。その結果、ガラス表面全面にクロロ基が生成される。
次に、クロロホルム(SIGMA−ALDRICH社製372978−1L)を用いて、ガラス表面に残留する未反応のHCDSを除去した。リンス液であるクロロホルムは1次液と2次液を用意し、それぞれガラス表面を丹念に洗浄した。洗浄の後、乾燥させた。これにより、結合しなかったHCDSが除去される。
<ゲル接合工程>
ガラス基板を密閉されたテフロン(登録商標)容器に入れ、グローブボックスから、同様に窒素フローされている簡易ボックスへ移動させた。簡易ボックスには、エアロゲルを予め用意した(エアロゲルとは、表1の調合比において作製したエアロゲル前駆体のゾル液からゲル化、洗浄、及び超臨界乾燥を経て作製された最終形態を指す)。また、簡易ボックスに入れる前に、エアロゲル表面に水酸基を露出させ付与するために、酸素プラズマ処理(HARRICK PLASMA社製プラズマクリーナー(PDC−001)で、RF信号のレベルはHIGH)を10分間行った。酸素プラズマ処理を行った後は、速やかに簡易ボックスへ移動した。テフロン(登録商標)容器を開封後、即座に上記乾燥エアロゲルをガラス基板にのせ、平板な重石をのせ、ガラス基板とエアロゲルとを密着させ、1時間ほど静置した。
その後、重石を外し、ガラス基板とエアロゲルとが接合しているかを確かめた。しかし、ガラス基板を傾けただけでエアロゲルは滑落し、接合していないことが判明した。
(比較例2)
以下に示された製造方法により、比較例2に係る音響光学素子を製造した。
まず、硼珪酸ガラス(SCHOTT社製 DURANR)で作製したガラス基板を準備
した。なお、底板ガラスの内側表面は研磨されている。
<洗浄工程>
中性洗剤を用いて、ガラス基板洗浄した。次に、アセトンにガラス基板を浸して5分間超音波洗浄した。さらに、超音波洗浄したガラス基板を乾燥させた後、酸素プラズマ処理(HARRICK PLASMA社製プラズマクリーナー(PDC−001)で、RF信号のLレベルはHIGH)を10分間行った。
上記酸素プラズマ処理後、プラズマに曝されたガラス表面には、水酸基が多数形成され、親水性になっている。この状態で、水酸基が不純物と結合しないよう、ガラス基板を窒素雰囲気のグローブボックスへ保管した。
<活性基付加工程>
HCDS(Gelest社製品番SIH5910.0)とハイドロフルオロエーテル(住友スリーエム社製NovecTM7200)との混合液を準備した。50mlのハイドロフルオロエーテルと0.5mlのHCDSとを混合し、テフロン(登録商標)製容器に入れた。そこへガラス基板を浸し、テフロン(登録商標)製容器を密閉して約10時間程度静置した。
この間、ガラス基板の表面の水酸基は、HCDSのクロロ基と脱塩化水素反応する。その結果、ガラス表面全面にクロロ基が生成される。
次に、クロロホルム(SIGMA−ALDRICH社製372978−1L)を用いて、ガラス表面に残留する未反応のHCDSを除去した。リンス液であるクロロホルムは1次液と2次液を用意し、それぞれガラス表面を丹念に洗浄した。洗浄の後、乾燥させた。これにより、結合しなかったHCDSが除去される。
次に、ガラス基板を密閉されたテフロン(登録商標)容器に入れ、グローブボックスから、同様に窒素フローされている簡易ボックスへ移動させた。簡易ボックスには、純水(ヤマト科学株式会社製超純水製造装置オートピュアWR700で作製)を予め用意した。テフロン(登録商標)容器の開封後、即座に純水をテフロン(登録商標)容器内に流し込んだ。これにより、ガラス基板のクロロ基と水とが脱塩化水素反応を起こす。次に、ガラス基板を窒素雰囲気で充分に乾燥させた。ガラス基板が乾燥した後、ガラス基板の表面には全面にわたり水酸基が結合している。
<ゲル接合工程>
ガラス基板を、密閉されたテフロン(登録商標)容器に入れ、グローブボックスから、同様に窒素フローされている簡易ボックスへ移動させた。簡易ボックスには、エアロゲルを予め用意した(エアロゲルとは、表1の調合比において作製したエアロゲル前駆体のゾル液からゲル化、洗浄、及び超臨界乾燥を経て作製された最終形態を指す)。また、簡易ボックスに入れる前に、エアロゲル表面に水酸基を露出させ付与するために、酸素プラズマ処理(HARRICK PLASMA社製プラズマクリーナー(PDC−001)で、RF信号のレベルはHIGH)を10分間行った。酸素プラズマ処理を行った後は、速やかに簡易ボックスへ移動した。テフロン(登録商標)容器を開封後、即座に上記乾燥エアロゲルをガラス基板にのせ、平板な重石をのせ、ガラス基板とエアロゲルとを密着させた。エアロゲルとガラス基板の水酸基との間で加水分解及び縮重合反応を起こさせるために、雰囲気温度を100℃まで昇温し、2時間ほど静置した。昇温速度及び降温速度は、0.5℃/minであった。
その後、重石を外し、ガラス基板とエアロゲルとが接合しているかを確かめた。しかし、ガラス基板を傾けただけでエアロゲルは滑落し、接合していないことが判明した。
(比較例3)
以下に示された製造方法により、比較例3に係る音響光学素子を製造した。
まず、硼珪酸ガラス(SCHOTT社製 DURANR)で作製したガラス容器を準備
した。なお、底板ガラスの内側表面は研磨されている。
<洗浄工程>
中性洗剤を用いて、ガラス容器の内部を洗浄した。乾燥後、バッファードフッ酸(ステラケミファ社製50%フッ化水素酸水溶液と40%フッ化アンモニウム水溶液とを1:10で混合)に3分間浸した。
<ゲル化工程>
その後、ガラス容器を蒸留水で洗浄し、乾燥させずに直ちにゾル液を流し込んだ。ゾル液が充填されたガラス容器をテフロン(登録商標)容器に入れ、密閉した状態でゲル化を進行させた。ゲル化は、恒温槽で40℃に保ち、およそ一晩静置した。ゲル化後、ガラス容器を2日間エタノールに浸して洗浄を行った。
<乾燥工程>
二酸化炭素雰囲気による超臨界乾燥(17MPa、80℃)を行った。80℃までの昇温速度及び乾燥後の降温速度は、ともに0.5℃/minであった。
上記比較例3に記載された製造方法により作製したエアロゲル入りガラス容器を、図6のように振動子50の上に置き、音響的伝播特性の評価を行った。その結果、1次回折光は確認されなかった。
(比較例4)
以下に示された製造方法により、比較例4に係る音響光学素子を製造した。
まず、硼珪酸ガラス(SCHOTT社製 DURAN)で作製したガラス容器を準備した。なお、底板ガラスの内側表面は研磨されている。
<洗浄工程>
中性洗剤を用いて、ガラス容器を洗浄し、乾燥させた。その後、アセトンにガラス容器を浸した状態で5分間超音波洗浄した。さらに、超音波洗浄したガラス容器を乾燥させた後、HARRICK PLASMA社製プラズマクリーナー(PDC−001)を用いて、ガラス容器を10分間酸素プラズマ処理した。このときの入力RF信号のレベルはHIGHであった。
上記酸素プラズマ処理後、プラズマに曝されたガラス表面は、水酸基が多数形成され、親水性になっている。この状態で、水酸基が不純物と結合しないよう、ガラス容器を窒素雰囲気のグローブボックスへ保管した。
<活性基付加工程>
HCDS(Gelest社製品番SIH5910.0)とハイドロフルオロエーテル(住友スリーエム社製 NovecTM7200)との混合液を準備した。50mlのハイドロフルオロエーテルと0.5mlのHCDSとを混合し、ガラス容器に入れた。この間、ガラス容器の表面の水酸基は、HCDSのクロロ基と脱塩化水素反応する。その結果、ガラス表面全面にクロロ基が生成される。
次に、クロロホルム(SIGMA−ALDRICH社製372978−1L)を用いて、ガラス表面に残留する未反応のHCDSを除去した。リンス液であるクロロホルムは1次液と2次液を用意し、それぞれガラス表面を丹念に洗浄した。洗浄の後、乾燥させた。これにより、結合しなかったHCDSが除去される。
次に、ガラス容器を密閉されたテフロン(登録商標)容器に入れ、グローブボックスから、同様に窒素フローされている簡易ボックスへ移動させた。簡易ボックスには、純水(ヤマト科学株式会社製超純水製造装置オートピュアWR700で作製)を予め用意した。テフロン(登録商標)容器の開封後、即座に純水をテフロン(登録商標)容器内に流し込んだ。これにより、ガラス容器のクロロ基と水とが脱塩化水素反応を起こす。次に、ガラス容器を窒素雰囲気で充分に乾燥させた。ガラス容器が乾燥した後、ガラス基板の表面には全面にわたり水酸基が結合している。
<ゲル化工程>
次に、調合したエアロゲル前駆体のゾル液が入った容器を簡易ボックスに入れ、当該ゾル液をガラス容器に流し込んだ。その後、ゾル液が充填されたガラス容器を含む容器を密閉し、ゲル化させる。
ゲル化は、恒温槽で40℃に保ち、およそ一晩静置した。ゲル化後、ガラス容器をエタノールに2日間浸して洗浄を行った。
<乾燥工程>
二酸化炭素雰囲気による超臨界乾燥(17MPa、80℃)を行った(S70)。80℃までの昇温速度及び乾燥後の降温速度は、ともに0.5℃/minであった。
上記比較例4に記載された製造方法により作製したエアロゲル入りガラス容器を、図6のように振動子50の上に置き、音響的伝播特性の評価を行った。その結果、1次回折光は確認されなかった。
表2に、上述した実施例1〜4、ならびに、比較例1〜4についての、ガラス表面に付与した活性基の種類、活性基を付与する方法、ガラスと反応させるエアロゲルの状態、及び接合可否などを示す。
Figure 2015135433
表2の結果より、ガラス表面を洗浄するガラス洗浄工程と、乾燥雰囲気下においてクロロ基を3個以上含むシラン化合物を含む溶液に当該ガラスを浸す溶液浸漬工程と、乾燥雰囲気下において当該ガラスを非水系溶媒で洗浄した後乾燥するガラス乾燥工程と、乾燥雰囲気下において当該ガラスを、シラノール基を含むゾル液に浸漬するゾル液浸漬工程と、ゲル化後のゲルを洗浄するゲル洗浄工程と、当該ゲルを超臨界乾燥するゲル乾燥工程とにより製造された実施例1及び2に係る音響光学素子において、1次回折光が確認されている。これは、洗浄工程において洗浄されたガラスの表面の1個の水酸基が、活性基付与工程にて2個以上のクロロ基に置換されたことにより、活性基の密度が高められたことによるものと判断される。さらに、このクロロ基とエアロゲル前駆体であるゾル液とが反応することにより、強固にガラスとエアロゲルとが一体的に接合された、低損失の音響伝播特性を有する接合が形成されたものと判断される。これより、実施例1及び2に係る音響光学素子によれば、音波を低損失にて通過させ、当該通過により屈折率が変化する音響光学素子を得ることが可能となる。また、この音響光学素子を音響光学撮像装置に用いれば、結像光学系を小型化することが可能となる。
また、上記工程に加え、乾燥ゲルを乾燥雰囲気下で封止する工程を有する実施例1に係る音響光学素子では、作製後1ヶ月が経過した時点でも1次回折光が確認されている。これは、上記封止工程が、親水性シリカエアロゲルの吸着水による経時劣化を抑制するという効果を奏したためと判断される。これより、実施例1に係る音響光学素子によれば、さらに、経時変化が少なく品質が安定した音響光学素子を得ることが可能となる。
また、実施例1に対し、ガラスとして、表面にSn粒子が配置されているフロートガラスを用いた実施例3に係る音響光学素子において、1次回折光が確認されている。これは、洗浄工程において洗浄されたガラスの表面の1個の水酸基が、活性基付与工程にて2個以上のクロロ基に置換されたことにより、活性基の密度が高められたことによるものと判断される。さらに、このクロロ基とエアロゲル前駆体であるゾル液とが反応することにより、強固にガラスとエアロゲルとが一体的に接合された、低損失の音響伝播特性を有する接合が形成されたものと判断される。
ここで、表1には、ガラス1、3〜5、及び9とシリカエアロゲルとを接合させて音響光学素子を試作した歩留まりが示されている。
ガラス1を用いた試作では、接着剤を使用しないセル溶着プロセスでガラスの張り合わせを行っている。音伝播面である底板は、エアロゲルと接するセルの内側面がボトム面になるように張り合わせた。ガラス1を用いて試作した素子は、4個作製したが、全数回折光が発生した。
ガラス3では、ガラス表面を研磨しているため、Sn量が少ないことが分かる。ガラス1と同様の製造方法にて音響光学素子を、15個作製したが、回折光が発生したのは1個であった。
ガラス4及び5を用いた本試作では、音伝播面である底板を張り合わせる場合にガラスペーストを使用している。ガラス4について、音伝播面である底板を、エアロゲルと接するセルの内側面がボトム面になるように張り合わせて音響光学素子を試作した。ガラス4を用いて試作した素子は、12個作製したが、10個回折光が発生した。また、ガラス5について、エアロゲルと接するセルの内側面が研磨面になるように配置した素子は、13個作製したが、6個回折光が発生した。
ガラス9は、フロート法により作製されていない。このため、スズはほとんど検出されない。ガラス9を用いた本試作では、セル溶着によって合成石英セルを作製し、音響光学素子を1個作製したが、回折光は発生しなかった。
上記試作結果より、シリカエアロゲルとの接合面として研磨面を用いたガラス3、5、9では、試作歩留まりは、それぞれ、7%、46%、0%であった。これに対して、シリカエアロゲルとの接合面としてSn粒子が配置されたボトム面を用いたガラス1及び4では、試作歩留まりは、それぞれ、100%及び83%であった。上記歩留まりの比較結果より、Sn粒子が配置されたフロートガラスのボトム面を接合面として使用した方が、音響光学素子の歩留まりが向上することが分かる。
また、表4には、表面にSn粒子が配置されたフロートガラス(ガラス1)を用いて試作した音響光学素子と、研磨ガラス(ガラス5)を用いて試作した音響光学素子との回折光強度を比較した結果を示している。表1におけるガラス5を用いて試作されたサンプルNo.1〜4の回折光強度の平均値が1288(カウント)に対して、表1におけるガラス1を用いて試作されたサンプルNo.5〜8の回折光強度の平均値は464200(カウント)である。フロートガラスのボトム面をエアロゲルとの接合面になるように音伝播面に使用した音響光学素子の方が、平均値でおよそ360倍回折光強度が強いことが分かる。すなわち、エアロゲルと接合するガラス表面にスズがあることで歩留まりが向上するだけでなく、音の伝播効率が向上していることが分かる。これは、ガラス1のボトム面の方が吸着起点である水酸基が多く存在することに伴い、クロロ基も多く存在するため、結果的にシリカエアロゲルとガラスとの音響的な結合が強化された結果を反映したものと考えられる。
Figure 2015135433
図10は、ガラス表面の付着Cl量と音響光学素子の作製歩留まりとの関係を表すグラフである。横軸はXPS分析で求めたHCDS処理後の付着Cl量を表し、縦軸は同等の付着Cl量を有するガラスを音伝播面に使用した音響光学素子の回折光発生の有無による歩留まりを表す。図10より、付着Cl量が多いほど歩留まりが向上していることが分かる。これは、活性基密度が増加することで、ガラスとエアロゲルがより安定的に接合すると推測できる。同図から、音響光学素子の歩留まりを50%以上にしようとすると、HCDS処理後の付着Cl量は、1.8atm%以上であることが分かる。本グラフ、及び、実施の形態2で示した図7のグラフより、音響光学素子の歩留まりが50%以上であるためには、洗浄後のガラスの表面は、Sn粒子が0.26atm%以上配置されている領域を含むことが好ましい。なお、表1に示したガラス8(FTOガラス)では、HCDS処理後のCl基は、まったく付加されなかった。これより、音響光学素子の歩留まりが50%以上であるためには、洗浄後のガラスの上記領域に含まれるSn粒子は、多ければ多いほどよいというわけではなく、1.2atm%以下であることが好ましい。
表5に、Oメチル基への置換工程(アルコキシ基付加工程)を実行した場合(実施例4)、及び、Oメチル基への置換工程を実行しない場合(実施例3)の、音響光学素子の試作結果の比較を示す。上記置換工程を実行した場合の試作歩留まりは100%(12/12)に対して、上記置換工程を実行しなかった場合の試作歩留まりは78%(7/9)となった。この結果より、アルコキシ基付加工程を実行した製造方法の方が、製造歩留まりを向上することが可能となる。これは、アルコキシ基付加工程を導入することにより、クロロ基置換により生成された塩酸などの副生成物がゾル液と反応することを防止できることによるものであると考えられる。また、ガラス表面をOメチル基にすることで、ゾル液のシリカアルコキシドと同質となり、均質に加水分解と縮重合が起こり、ゲル化工程において、音響的な接合が生成され易くなったことによるものと考えられる。
Figure 2015135433
以上、本発明の音響光学素子及びその製造方法について、実施の形態及び実施例に基づいて説明したが、本発明は、上述した実施の形態及び実施例に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。
本発明の音響光学素子及びその製造方法は、経時変化が少なく小型化された結像光学系を要する音響光学撮像装置に適用できる。
1 音響光学素子
2 音伝播面(音伝播部)
3 レーザー光入射面(光入射部)
4 回折光出射面(回折光出射部)
5 封止面
6 シリカエアロゲル
7 乾燥剤
10 保護容器
50 振動子
51 SUS製ケース
52 ファンクションジェネレータ
54 He−Neレーザー光源
55 レーザー光
56 0次光
57 1次回折光
58 スクリーン

Claims (12)

  1. 音波により屈折率が変化するエアロゲルと当該エアロゲルを支持するガラスとを備える音響素子の製造方法であって、
    ガラスの表面を洗浄するガラス洗浄工程と、
    乾燥雰囲気下において、クロロ基を3個以上含むシラン化合物を含む溶液に、表面が洗浄された前記ガラスを浸漬する溶液浸漬工程と、
    乾燥雰囲気下において、前記溶液に浸漬された後の前記ガラスを非水系溶媒で洗浄した後、乾燥するガラス乾燥工程と、
    乾燥雰囲気下において、前記非水系溶媒で洗浄され乾燥された前記ガラスを、シラノール基を含むゾル液に浸漬するゾル液浸漬工程と、
    前記ガラスを浸漬した前記ゾル液のゲル化により、前記ガラスの前記表面に形成されたエアロゲルを洗浄するゲル洗浄工程と、
    洗浄された前記エアロゲルを超臨界乾燥するゲル乾燥工程とを含む
    音響素子の製造方法。
  2. 前記ガラスは、前記表面にSn粒子が配置されているフロートガラスであり、
    前記ガラス洗浄工程では、前記フロートガラスの前記表面を洗浄する
    請求項1に記載の音響素子の製造方法。
  3. 前記ゾル液浸漬工程では、乾燥雰囲気下において、前記非水系溶媒で洗浄され乾燥された前記フロートガラスを、珪酸イオンとアルコキシ基と触媒とを含む前記ゾル液に浸漬する
    請求項2に記載の音響素子の製造方法。
  4. さらに、
    前記ガラス乾燥工程の後、かつ、前記ゾル液浸漬工程の前に、
    前記ゾル液に含まれるアルコキシ基と同類のアルコキシ基を前記ガラスの前記表面に付加するアルコキシ基付加工程を含む
    請求項3に記載の音響素子の製造方法。
  5. さらに、
    前記ゲル乾燥工程で超臨界乾燥された前記エアロゲルを、乾燥雰囲気下で封止する封止工程を含む
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の音響素子の製造方法。
  6. 前記ガラス洗浄工程では、前記ガラスの表面を酸素プラズマに曝す
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の音響素子の製造方法。
  7. 容器と、
    前記容器内に配置されたシリカエアロゲルとを備え、
    前記容器は、
    外部から音波を前記容器内へ伝播する音伝播部を有し、
    前記音伝播部は、Sn粒子が表面に配置されたフロートガラスで構成され、
    前記表面と前記シリカエアロゲルとは結合している
    音響素子。
  8. 前記容器内には露点温度が−30度以下である乾燥ガスが封入されている
    請求項7に記載の音響素子。
  9. 前記フロートガラスの表面は、前記Sn粒子が、X線光電子分光分析法による半定量分析により0.26atm%以上配置されている領域を含む
    請求項7または8に記載の音響素子。
  10. 前記領域には、前記Sn粒子が、X線光電子分光分析法による半定量分析により1.2atm%以下配置されている
    請求項9に記載の音響素子。
  11. さらに、
    前記容器内に乾燥剤を備える
    請求項7〜10のいずれか1項に記載の音響素子。
  12. 容器と、
    前記容器内に配置されたシリカエアロゲルとを備え、
    前記容器は、
    外部から音波を前記容器内へ伝播する音伝播部と、
    透光性を有する光入射部と、
    前記光入射部に対向し、前記シリカエアロゲルにより回折された光を出射する透光性の回折光出射部とを有し、
    前記音伝播部は、Sn粒子が表面に配置されたフロートガラスで構成され、
    前記表面と前記シリカエアロゲルとは結合している
    音響光学素子。
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