JP2015135235A - 加熱調理器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 1段調理をする場合において、調理をスピードアップでき、かつ、簡単な構造で故障しにくく、安価な加熱調理器を提供する。
【解決手段】 加熱室13の側面に上段棚受け39aおよび棚受け39bを設け、上段棚受け39aと棚受け39bとの間に側面吹出口25を開口する。上側へ凸形状であって、ガイド面53を有するスピードアップトレイ50を棚受け39b,39bに着脱自在に係止
して、側面吹出口25と天面吹出口24とが開口する上部空間13aを形成する。
【選択図】 図2

Description

この発明は、例えば、蒸気調理器や電子レンジ等の加熱調理器に関する。
従来、加熱調理器としては、特開2003−254537号公報(特許文献1)に記載されたものがある。
この加熱調理器では、加熱室内を上段トレイと下段トレイによって仕切り、加熱室の天面上に上ヒータを設け、加熱室の側方に吹出口、吸込口、側方ヒータ、正逆回転するファン、熱風の吹出方向および位置を切り換える切換え装置を設けている。そして、この調理器では、上記ファンを正回転させて、側方ヒータで加熱された熱風を吹出口から上段トレイと下段トレイとの間に吹き込み、下段トレイの下を通して熱風を吸込口に吸い込む順方向に流す一方、上記ファンを逆回転させて、熱風を吹出し口から下段トレイの下へ吹き出し、上段トレイと下段トレイとの間を通して熱風を吸込口に吸い込む逆方向に流して2段調理を可能にしている。
しかしながら、上記従来の加熱調理器では、側方ヒータで加熱された熱風が正逆方向に流れる空間のボリュームが常に同じであるため、上段または下段のみで1段調理する場合において、熱ロスが大きく、調理のスピードをアップすることができないという問題があった。
また、上記従来の加熱調理器では、上段トレイのみの1段で上段トレイ上の調理物を調理する場合、上ヒータの熱を利用することはできるが、上段トレイ上には熱風が直接吹き付けられないため、調理のスピードが遅いという問題があった。
また、上記従来の加熱調理器では、下段トレイのみの1段で下段トレイ上の調理物を調理する場合、上ヒータの熱を利用することができないため、やはり、調理のスピードが遅いという問題があった。
さらに、上記従来の加熱調理器では、高温にさらされる上に機械的に動く切換え装置を必要とするため、構造が複雑で故障しやすく、コストが高くなるという問題があった。
特開2003−254537号公報
そこで、この発明の課題は、1段調理をする場合において、調理をスピードアップでき、かつ、簡単な構造で故障しにくく、安価な加熱調理器を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の加熱調理器は、
ケーシングと、
上記ケーシング内に設けられた加熱室と、
上記加熱室の外側上方に設けられて熱媒体を加熱する上ヒータと、
上記加熱室の側面に設けられた棚受けと、
上記加熱室の側面に上記棚受けの上部に位置するように設けられ、上記上ヒータで加熱された熱媒体を上記加熱室内に吹き出すための側面吹出口と、
上記加熱室内を下部空間と上記側面吹出口が開口する上部空間とに仕切るように上記棚受けに係脱自在に係止され、上側へ凸形状であるトレイと、
上記トレイ上に配置され、被調理物を載置すると共に、上記熱媒体が流通可能な孔を有する載置台とを備え、
上記側面吹出口から吹き出された熱媒体が、上記トレイの凸部によって、上記被調理物の下側に向かって案内されるようにしたことを特徴としている。
上記構成によれば、上記棚受けに係止されると共に、加熱室内の上側に凸形状であるトレイによって、上記加熱室室内は、側面吹出口が開口する上部空間と、下部空間とに仕切られる。したがって、上記上部空間の容積が、上記トレイが上側に凸形状であるため、下側に凸形状あるいは平坦なトレイで仕切る場合より小さくなることと、上記トレイ上の上部空間内の被調理物が、側面吹出口から吹き出された熱媒体からの熱を受けることと、上記加熱室の天面上の上ヒータからの輻射熱を受けることとの3つが相俟って、調理をスピードアップできる。
また、単に上記トレイを棚受けに係止するだけで、調理をスピードアップでき、従来のように熱媒体の吹出し方向を切り換えるための切換え装置が不要なので、この加熱調理器は、構造が簡単で故障しにくく、安価である。さらに、上記加熱室の側面吹出口から吹き出された熱媒体は、上記トレイによってスムーズに被調理物の下側に向かって案内される。したがって、上記載置台上の被調理物に効率よく熱媒体を供給して、効率よく加熱することができる。
また、一実施形態の加熱調理器では、上記熱媒体を吸い込む吸込口が、上記上部空間に開口している。
上記実施形態によれば、熱媒体を吸い込む吸込口が、加熱室内の上部空間に開口しているので、上記トレイを用いて上部空間で調理する場合、側面吹出口から吹き出された熱媒体は上部空間を通り、上記吸込口を通って吸い出されて、上ヒータで加熱されて、側面吹出口から吹き出すという循環を繰り返して、下部空間を経由しないので、熱ロスが少なくて高速で調理をすることができる。
また、一実施形態の加熱調理器では、上記側面吹出口の上方に、上段棚受けが配置されている。
上記実施形態によれば、側面吹出口から吹き出された熱媒体は、加熱室の上部空間の上段棚受けよりも下の空間に吹き出されて、上段棚受けよりも下の空間に配置された被調理物を加熱する一方、上記上段棚受けにトレイを係止すれば、このトレイに配置された被調理物は、加熱室の天面上の上ヒータによって加熱されたトレイからの輻射熱と、トレイの下側の熱媒体から伝えられる伝導熱によって加熱されるため、トレイの上側と下側とで2段調理を行うことができる。
また、一実施形態の加熱調理器では、上記棚受けよりも下方に位置する下段棚受けと、
上記下段棚受けに係脱自在に係止された下トレイとを備えている。
上記実施形態によれば、上記側面吹出口からの熱媒体が、上段棚受けに係止されたトレイと下トレイとの間に吹き出されて、下トレイ上の被調理物が加熱される一方、上段棚受けに係止されたトレイ上の被調理物が、上ヒータの輻射熱と、このトレイの下側の熱媒体から伝えられる伝導熱によって加熱されるため、2段調理を行うことができる。
また、一実施形態の加熱調理器では、上記トレイは、上記側面吹出口から吹き出される熱媒体を上方に案内するガイド面を有しており、
上記トレイの上記ガイド面は、上記側面吹出口側から中央に向かって徐々に高くなり、かつ、水平方向に対して10度から45度の角度をなす傾斜面を有している。
上記実施形態によれば、上記加熱室の側面吹出口から吹き出された熱媒体は、上記トレイのガイド面によって、スムーズに上方に流れる。したがって、上記トレイ上の被調理物に効率よく熱媒体を供給して、効率よく加熱することができる。
さらに、上記側面吹出口から吹き出した熱媒体は、上記側面吹出口側から中央に向かって徐々に高くなり、かつ、水平方向に対して10度から45度の角度をなすトレイの傾斜面によってスムーズに上方に案内されて、殆ど熱ロスを生じることなく被調理物を効果的に加熱することができる。
もし、仮に、傾斜面の角度が10度よりも小さいと、上方への案内効果が小さくなる。一方、仮に、傾斜面の角度が45度よりも大きいと、側面吹出口より吹き出された熱媒体が傾斜面から剥離されて、被調理物に熱媒体が直接かつ充分供給されなくなるため、調理時間短縮の効果が無くなる。
また、一実施形態の加熱調理器では、上記加熱室の下側に下ヒータがさらに設けられている。
上記実施形態によれば、上記加熱室の下側の下ヒータによって、下トレイ上の被調理物が加熱されて、2段調理時において、調理時間を短縮できる。
また、一実施形態の加熱調理器では、上記加熱室の天面に熱媒体を吹き出す天面吹出口が設けられている。
上記実施形態によれば、加熱室の天面に熱媒体を吹き出す天面吹出口が設けられているので、トレイを用いた1段調理時には、熱媒体が、側面吹出口に加えて天面吹出口から吹き出されるため、さらに調理時間を短縮できる。
一方、上段棚受けに係止されたトレイおよび下トレイを用いた2段調理時には、上段棚受けに係止されたトレイ上の被調理物に天面吹出口から熱媒体が供給され、下トレイ上の被調理物に側面吹出口から熱媒体が供給されるため、2段調理を迅速に行うことができる。
以上より明らかなように、この発明によれば、1段調理をする場合において、調理をスピードアップでき、かつ、簡単な構造で故障しにくく、安価な加熱調理器を実現できる。
図1は、この発明の第1実施形態の加熱調理器の斜視図である。 図2は、上記加熱調理器の縦断面の摸式図である。 図3は、上記加熱調理器のスピードアップトレイの斜視図である。 図4は、上記加熱調理器のスピードアップトレイを示す図3のA-A線断面図である。 図5は、上記加熱調理器のスピードアップトレイを示す図3のB-B線断面図である。 図6は、この発明の第1実施形態の加熱調理器の2段調理時における縦断面の模式図である。 図7は、この発明の第2実施形態の加熱調理器の縦断面の摸式図である。 図8は、この発明の第2実施形態の加熱調理器の2段調理時における縦断面の模式図である。
以下、この発明の加熱調理器を図示の実施の形態により詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態の加熱調理器の斜視図である。
この加熱調理器は、図1に示すように、直方体状のケーシング1の正面に、下端側の辺を略中心に回動する扉2を取り付けている。この扉2の上部にハンドル3を取り付けると共に、扉2の略中央に耐熱ガラス4を取り付けている。また、上記扉2の耐熱ガラス4の右側に操作パネル5を設けている。この操作パネル5は、カラー液晶表示部6とボタン群7を有している。また、上記ケーシング1の上側かつ右側後方に排気ダクト8を設けている。さらに、上記ケーシング1の扉2の下方に、露受容器9を着脱自在に取り付けている。
図2は、上記加熱調理器の縦断面の摸式図である。
図2に示すように、上記ケーシング1内に加熱室13を設け、この加熱室13の右側方に、前面側から着脱自在に挿入される給水タンク11を配置している。この給水タンク11の後面側に、蒸気発生装置12を配置している。この蒸気発生装置12は、給水タンク11から供給された水を加熱して飽和水蒸気を生成する。蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気は、蒸気供給通路(図示せず)を介して循環ユニット14の吸込口28側に供給される。
上記循環ユニット14内には、蒸気吸込口15に対向するように循環ファン18を配置し、この循環ファン18は、ファンモータ19によって回転駆動するようにしている。
上記加熱室13の天面および左側面を覆うように、L字状に屈曲した、蒸気ダクト100を取り付けている。この蒸気ダクト100は、加熱室13の天面側に固定された過熱蒸気生成室110と、過熱蒸気生成室110の左側方から下側に屈曲する屈曲部120と、加熱室13の左側面側に固定され、屈曲部120を介して過熱蒸気生成室110に連なるダクト部130とを有している。
この蒸気ダクト100の過熱蒸気生成室110内に、上ヒータの一例としての過熱蒸気生成ヒータ20を設けている。上記蒸気ダクト100の過熱蒸気生成室110と過熱蒸気生成ヒータ20とで過熱蒸気生成装置21を構成している。なお、過熱蒸気生成装置21は、蒸気ダクト100とは別に設けてもよい。
そして、上記蒸気ダクト100の過熱蒸気生成室110の右側は、循環ユニット14の上部に連通している。加熱室13の天面には、天面吹出口24を複数設けており、蒸気ダクト100のダクト部130は、加熱室13の左側面に設けた側面吹出口25を介して加熱室13内に連通している。
上記加熱室13と蒸気ダクト100との隙間は、耐熱樹脂などによりシールしている。また、加熱室13と蒸気ダクト100は、加熱室13の前面開口を除いて断熱材により覆っている。
上記循環ユニット14と過熱蒸気生成装置21と加熱室13とダクト部130とによって、熱媒体の一例としての過熱蒸気の循環経路を形成している。そして、この循環ユニット14に、蒸気発生装置12で生成された飽和水蒸気を供給するようにしている。
また、上記加熱室13の下側には下ヒータ30を配置している。
また、上記加熱室13の左壁面および右壁面には、上段棚受け39a,39aと、棚受け39b,39bと、下段棚受け39c,39cとを上から順に上下方向3段に設けている。上記中段にある棚受け39b,39bに、上側に凸形状の調理をスピードアップするためのトレイ、すなわち、スピードアップトレイ50を両端部を係止して加熱室13内に着脱自在に配設している。上記加熱室13の左壁面には、第1下段棚受け39bよりもやや上側に、つまり、棚受け39bと上段棚受け39aとの間に位置するように側面吹出口25を設けている。
また、上記加熱室13の右壁面には、上記棚受け39bと上段棚受け39aとの間に位置するように吸込口28を設けて、吸込口28がスピードアップトレイ50の上方の上部空間13aに開口するようにしている。
また、上記ケーシング1内の下側には、電装品部17を配置している。上記電装品部17は、加熱調理器の各部を駆動する駆動回路やこの駆動回路を制御する制御回路等を有している。
図3は、上記加熱調理器のスピードアップトレイ50の斜視図であり、図4は、上記加熱調理器のスピードアップトレイ50を示す図3のA-A線断面図であり、図5は、上記
加熱調理器のスピードアップトレイ50を示す図3のB-B線断面図である。
トレイの一例である上記スピードアップトレイ50は、図4に示すように、断面略台形で、上側に凸形状をしていて、傾斜部51a,51aと平板部51bとを有する突出部51と角皿部52からなる一体構造である。
上記突出部51は、図3に示すように、平面視において、上記角皿部52の内径寸法より多少小さい外形寸法を有する略矩形状である。この突出部51は、角皿部52の外周縁から中央に向かって上側に傾斜するガイド面53を有する傾斜部51a,51aと、この傾斜部51a,51aを繋ぐ平板部51bとからなる。突出部51のガイド面53のない側面は、図5に示すように、略垂直になっている。上記突出部51の角部分は、図4,図5に示すように、丸みを帯びている。
上記ガイド面53は、図2に示すように、加熱室13の底面と平行な面の水平方向に対して、θの角度をなすように傾斜している。この加熱調理器のスピードアップトレイ50では、θが30度となるように形成している。
上記角皿部52は、図3に示すように、平面視において、加熱室13の内径寸法よりもやや小さい外形寸法を有する略矩形状である。この角皿部52の外周部分は、図4,図5に示すように、略垂直の側壁を内側から外側に向かって折り返していて、角部分が丸みを帯びている。上記角皿部52の外周部分と突出部51との間には、突出部51の周囲を取り囲むように同じ幅の平面が延在している。
この加熱調理器において、スピードアップトレイ50は、1つの板部材から一体に成形している。スピードアップトレイ50を一体成形することで、製造コストを低減することができる。
また、上記スピードアップトレイ50は、セラミック塗装したアルミニウムから形成することで熱放散性を高めて、加熱速度を高くなるようにしている。もっとも、スピードアップトレイ50は、例えば、ホーロー加工した金属板等から形成してもよい。
上記構成の加熱調理器において、1段調理を行う場合は、図2に示すように、スピードアップトレイ50を棚受け39b,39bに着脱自在に係止する。このスピードアップトレイ50によって、加熱室13内は、天面吹出口24と側面吹出口25とが開口する上部空間13aと、下部空間13bとに仕切られる。そして、このスピードアップトレイ50上に腰高の調理網40を設置し、この調理網40上に被調理物としての食品27を載置して、上部空間13a内で調理を行う。
上記スピードアップトレイ50の形状が加熱室13内の上側に凸形状であるため、従来の下側に凸形状あるいは平坦なトレイで仕切るよりも上部空間13aの容積が小さくなり、加熱される容積を小さくすることができる。
また、上記加熱室13の側面吹出口25から吹き出された過熱蒸気は、スピードアップトレイ50のガイド面53によって、スムーズに上方に案内されるため、スピードアップトレイ50上の被調理物27の裏面に効率よく過熱蒸気を供給して、効率よく加熱することができる。
さらに、上記加熱室13の天面吹出口24から吹き出された過熱蒸気と、過熱蒸気生成ヒータ20によって加熱された天面からの輻射熱とによって、スピードアップトレイ50上の被調理物を迅速に加熱することができる。
このように、上記スピードアップトレイ50を用いて1段調理することで、上側で凸形状であるスピードアップトレイ50上の上部空間13aの容積が小さくなることと、側面吹出口25と天面吹出口24とから吹き出される過熱蒸気が食品27に供給されることと、天面上の過熱蒸気生成ヒータ20によって加熱された天面からの輻射熱によって食品27が加熱されることと、ガイド面53によって過熱蒸気が調理網40上の食品27の裏面に供給されて裏面が加熱されることと、スピードアップトレイ50上の上部空間13aに開口している側面吹出口25および天面吹出口24から吹き出された過熱蒸気が、上部空間13aに開口している吸込口28から吸い込まれて、上部空間13aのみを経由し、下部空間13bを経由しないで循環することとが相俟って、極めて熱ロスが少なく、調理を極めてスピードアップできる。
また、単に、上記スピードアップトレイ50を棚受け39b,39bに係止するだけで、調理をスピードアップでき、過熱蒸気の吹出し方向を切り換えるための切替え装置が不要なので、この加熱調理器は、構造が簡単で故障しにくく、安価に製造できる。
また、上記加熱室13の天面からスピードアップトレイ50上に置かれた調理網40までの距離H(図2に示す)は65mmであることが最も好ましい。距離Hが65mmより小さいと、食品27を置くスペースが十分確保できず、様々な食品27の調理に対応できなくなる。一方、距離Hが65mmより大きくなると、スピードアップトレイ50と天面上の過熱蒸気生成ヒータ20との間の距離が遠くなり、天面からの輻射熱による加熱の効果が低下するためである。
もっとも、上記距離Hは、65mmに限られず、どのような数値でも可能であることは勿論である。
次に、2段調理を行う場合は、図6に示すように、下側へ凸形状の上トレイ80と下トレイ81を、それぞれ上段棚受け39a,39aと下段棚受け39c,39cとに着脱自在に係止する。
上記上トレイ80上の食品27は、天面吹出口24から吹き出された過熱蒸気と、加熱室13の天面上の過熱蒸気生成ヒータ20からの輻射熱と、上トレイ80の下側の側面吹出口25から吹き出された過熱蒸気から伝えられる伝導熱によって加熱される。
一方、上記下トレイ81上の食品27は、上トレイ80と下トレイ81との間に開口している側面吹出口25から吹き出された過熱蒸気と、加熱室13の底面下の下ヒータ30によって加熱される。
このように、2段調理時においても、迅速に調理を行うことができる。
(第2実施形態)
図7は、この発明の第2実施形態の加熱調理器の1段調理時の縦断面摸式図であり、図8は、この加熱調理器の2段調理時における縦断面の模式図である。
図7,図8において、図1,図2,図6に示す第1実施形態の構成要素と同じ構成要素については、図1,図2の構成要素と同一参照番号を付して、詳しい説明は省略し、異なる構成要素について以下に説明する。
図7に示すように、この発明の第2実施形態は、加熱室13の左右の壁面に側面吹出口25と側面吹出口26とがそれぞれ設けられている点と、蒸気ダクト101の形状がコ字状である点と、吸込口28を加熱室13の背面に設けている点が第1実施形態と異なる。
上記加熱室13の左右のそれぞれの壁面に、側面吹出口25,26を、第1棚受け39bよりもやや上側に位置するように左右対称に設けている。また、上記吸込口28は、加熱室13の上部空間13aの背面側中央に位置するように設けている。
上記加熱室13の天面および左右の側面を覆うように、コ字状に屈曲した蒸気ダクト101を取り付けている。この蒸気ダクト101は、加熱室13の天面側に固定された過熱蒸気生成室110と、過熱蒸気生成室110の左側方から下側に、および右側方から下側に屈曲する屈曲部120,120と、加熱室13の左側面側と右側面側とに固定され、屈曲部120,120を介して過熱蒸気生成室110に連なるダクト部130,130とを有している。
そして、加熱室13の天面には、天面吹出口24を複数設けており、蒸気ダクト101のダクト部130,130は、加熱室13の左右側面に設けた側面吹出口25、第2側面吹出口26を介して加熱室13内に連通している。
上記構成の加熱調理器において、1段調理を行う場合は、図7に示すように、スピードアップトレイ50を棚受け39b,39bに着脱自在に係止する。
このとき、側面吹出口25,26から吹き出された過熱蒸気が、スピードアップトレイ50の突出部51の傾斜部51a,51aのガイド面53,53によって、左右両側からスムーズに上方に案内される。そして、スピードアップトレイ50上の被調理物27の裏面に過熱蒸気が左右両側から供給されるので、天面吹出口24から吹き出された過熱蒸気と、天面上の過熱蒸気生成ヒータ20による天面からの輻射熱と、スピードアップトレイ50上の上部空間13aのみを経由して過熱蒸気が循環することと相俟って、さらに効率よく迅速に加熱することができる。
上記スピードアップトレイ50を用いた1段調理をする場合、その具体的な調理時間の測定結果は次の通りである。ここで、(有)は、スピードアップトレイ50を用いた場合の調理時間を示し、(無)は、下側凸形状のトレイを用いた場合の調理時間を示している。また、ウォーターグリルは過熱水蒸気を使う加熱調理を意味している。
・鶏の照り焼き2人分(鶏もも肉250g)、ウォーターグリル
:(無)18分→(有)13分
・秋刀魚2尾、予熱ありウォーターグリル
:(無)28分(本加熱18分)→(有)18分(本加熱9分30秒)
このように、上記加熱調理器のスピードアップトレイ50を用いた1段調理では、調理を大幅にスピードアップすることができる。
次に、2段調理を行う場合は、図8に示すように、下側凸形状の上トレイ80と下トレイ81を、それぞれ上段棚受け39a,39aと下段棚受け39c,39cとに着脱自在に係止する。
上トレイ80上の食品27は、天面吹出口24から吹き出された過熱蒸気と、加熱室13の天面上の過熱蒸気生成ヒータ20からの輻射熱と、上トレイ80の下側の側面吹出口25,26から吹き出された過熱蒸気から伝えられる伝導熱によって効果的に加熱される。
一方、上記下トレイ81上の食品27は、上トレイ80と下トレイ81との間に開口している側面吹出口25,26から吹き出された過熱蒸気と、加熱室13の底面下の下ヒータ30によって効果的に加熱される。
このように、上記加熱調理器は、2段調理時においても迅速に調理を行うことができる。
上記第1,第2実施形態では、熱媒体として過熱蒸気を用いたが、過熱蒸気を用いない熱媒体として加熱空気を用いてもよい。この場合、図2,図7に示す加熱調理器において、蒸気発生器12と過熱蒸気生成装置21とを除去した構成とすればよい。
このとき、上記加熱空気を用いて、過熱蒸気を用いない場合の具体的な調理時間は次の通りであった。ここで、(有)は、スピードアップトレイ50を用いた場合の調理時間を示し、(無)は、下側凸形状のトレイを用いた場合の調理時間を示している。また、グリルは過熱水蒸気を使わない加熱調理を意味している。
・トースト4枚、グリル
:(無)13分→(有)6分30秒
・鶏の照り焼き2人分(鶏もも肉250g)、グリル
:(無)16分→(有)11分
このように、上記スピードアップトレイ50を用いると、熱媒体として加熱空気を用いても調理を大幅にスピードアップすることができる。
また、この発明の加熱調理器として、例えば、過熱水蒸気を使用するオーブンレンジのみならず、過熱水蒸気を使用するオーブン、過熱水蒸気を使用しないオーブンレンジ、過熱水蒸気を使用しないオーブンなどにも用いることができるのは勿論である。
上記第1,第2実施形態では、上記加熱調理器のスピードアップトレイ50は、上記ガイド面53の角度θが水平面に対して30度となるように形成しているが、この角度θは、10度から45度の間にある角度であればよい。
もし、仮に、ガイド面53の傾斜の角度が10度よりも小さいと、上方への案内効果が小さくなる。一方、仮に、ガイド面53の傾斜の角度が45度よりも大きいと、側面吹出口25,26より吹出された過熱蒸気がガイド面53から剥離されて、食品27に過熱蒸気が直接かつ充分供給されなくなるため、調理時間短縮の効果が少なくなる。もっとも、上記傾斜の角度は、これに限らなくても使用可能である。
また、上記第1,第2実施形態では、スピードアップトレイ50の形状を、左右対称の断面略台形状としたが、スピードアップトレイ50の形状はこれに限られるものではない。例えば、側面吹出口25側の傾斜部51aのガイド面53を長くかつ緩やかにした非対称の断面略台形状としてもよい。
上記第1,第2実施形態の加熱調理器の各々の構成要素は、可能ならば、お互いに入れ換え、あるいは追加してもよいことは勿論である。
1…ケーシング
2…扉
3…ハンドル
4…耐熱ガラス
5…操作パネル
6…カラー液晶表示部
7…ボタン群
8…排気ダクト
11…水タンク
12…蒸気発生器
13…加熱室
13a…上部空間
13b…下部空間
14…循環ユニット
15…蒸気吸込口
17…電装品部
18…循環ファン
19…ファンモータ
20…過熱蒸気生成ヒータ
21…過熱蒸気生成装置
24…天面吹出口
25,26…側面吹出口
27…食品
28…吸込口
30…下ヒータ
39a…上段棚受け
39b…棚受け
39c…下段棚受け
40…調理網
50…スピードアップトレイ
51…突出部
51a…傾斜部
51b…平板部
52…角皿部
53…ガイド面
80…上トレイ
81…下トレイ
100,101…蒸気ダクト
110…過熱蒸気生成室
120…屈曲部
130…ダクト部

Claims (8)

  1. ケーシングと、
    上記ケーシング内に設けられた加熱室と、
    上記加熱室の側面に設けられた棚受けと、
    上記加熱室に上記棚受けの上部に位置するように設けられ、熱媒体を上記加熱室内に吹き出すための吹出口と、
    上記棚受けに係止され、上側へ凸形状であるトレイと、
    上記トレイ上に配置され、被調理物を載置すると共に、上記熱媒体が流通可能な孔を有する載置台とを備え、
    上記吹出口から吹き出された熱媒体が、上記トレイの凸部によって、上記被調理物の下側に向かって案内されるようにしたことを特徴とする加熱調理器。
  2. 請求項1に記載の加熱調理器において、
    上記加熱室の外側に設けられて熱媒体を加熱するヒータを備えることを特徴とする加熱調理器。
  3. 請求項1または2に記載の加熱調理器において、
    上記熱媒体を吸い込む吸込口が、上記上部空間に開口していることを特徴とする加熱調理器。
  4. 請求項1から3のいずれか1つに記載の加熱調理器において、
    上記側面吹出口の上方に、上段棚受けが配置されていることを特徴とする加熱調理器。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載の加熱調理器において、
    上記棚受けよりも下方に位置する下段棚受けと、
    上記下段棚受けに係脱自在に係止された下トレイとを備えることを特徴とする加熱調理器。
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載の加熱調理器において、
    上記トレイは、上記側面吹出口から吹き出される熱媒体を上方に案内するガイド面を有しており、
    上記トレイの上記ガイド面は、上記側面吹出口側から中央に向かって徐々に高くなり、かつ、水平方向に対して10度から45度の角度をなす傾斜面を有することを特徴とする加熱調理器。
  7. 請求項1から6のいずれか1つに記載の加熱調理器において、
    上記加熱室の下側に下ヒータがさらに設けられていることを特徴とする加熱調理器。
  8. 請求項1から7のいずれか1つに記載の加熱調理器において、
    上記加熱室の天面に熱媒体を吹き出す天面吹出口が設けられていることを特徴とする加熱調理器。
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