JP2015134434A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】固着現象が発生するのは回避できない問題であるとの前提の下で約束された箇所に固着を発生させる。
【解決手段】ダイアフラム式の電磁弁600は、プランジャ604によって駆動されるダイアフラム弁614と固定弁座612とを有している。固定弁座612によって形成される一次側ポート620はチューブ630を介して吸引ポンプに接続されている。ダイアフラム弁614を構成する部材の気密性はチューブ630の材料の気密性に比べて低い。
【選択図】図3

Description

本発明はインクジェット記録装置に関し、より詳しくは、インクジェット記録装置の運転を長期に休止したときに発生し易いインク液(樹脂成分)の固着による運転不良を回避することのできるインクジェット記録装置に関する。
ワークの表面に文字や図形を印字するのにインクジェット記録装置が用いられている(特許文献1)。このインクジェット記録装置は、一般的にインクジェットプリンタと呼ばれている。インクジェットプリンタは、製造ライン上に配置されるヘッドと、ヘッドにインクを供給するコントローラ本体とを有し、インク液の供給を受けたヘッドでインク液を粒子化すると共に帯電させ、帯電したインク粒を偏向させることでワーク表面に印字する。
特許文献1は、コンティニュアス方式のインクジェット記録装置を開示している。具体的に説明すると、特許文献1に開示のインクジェットプリンタは、速乾性のインク液によってノズルが目詰まりするのを防止するために、ワークにインク粒を印字しないときもヘッドに対するインク液の供給が継続され、このインク液はインク受けであるガターを介して回収される。
インクジェットプリンタの運転中、ガターが受け取ったインク液は吸引ポンプによってメインタンクに回収される。このメインタンクはインク液の源であり、このメインタンクからノズルにインク液が供給される。吸引ポンプはガター内のインク液と共にエアを吸い込むため、メインタンクには、回収したインク液と共にエアが入り込む。メインタンク内のエアが増えたときには排気口から外部に排出される。メインタンクの中は、溶剤が気化した溶剤ガスを含んでいる。このことから、メインタンクからエアと共に溶剤ガスが排気口を通じて外部に排出される。
この種のインクジェットプリンタは、ノズルから出たインク液が粒子つまりインク粒になる「粒子化タイミング」で帯電電極より電荷を印加することで帯電したインク粒を生成する。「粒子化タイミング」はインク液の粘度に左右される。このことから、インク液の粘度が高くなったときには、メインタンクに溶剤を供給してインク液の粘度が調整される。
印字作業が終わってインクジェットプリンタの運転を停止する際、インクジェットプリンタの動作を停止する前に立ち下げ処理が実行される。この立ち下げ処理では、先ずノズル内の圧力を抜き、次いで、インク液が流れた経路の洗浄が溶剤(洗浄液)を使って行われる(洗浄工程)。この洗浄工程が終わると、経路にエアを流して乾燥させる乾燥工程が実行され、この乾燥工程が完了した後にインクジェットプリンタの電源がOFFされる。
特開2007−190724号公報
インク液が流れる経路はバルブ、チューブ、ノズル、減圧弁、ポンプ等で構成される。上記の立ち下げ処理によって経路から完全に洗浄液を除去することは事実上困難である。僅かではあるが洗浄液が残留してしまうというのが実情である。
インクジェットプリンタは、ユーザの生産計画に従って運転されるのは勿論であるが、インクジェットプリンタの停止が数週間から数年間続くことがある。インクジェットプリンタの停止期間が長期に亘った場合、経路内の残留した洗浄液の溶剤成分が揮発し、インク液の溶質成分である樹脂が硬化した状態になる。この現象を「固着」という用語で呼んでいる。固着によって経路の一部が閉塞されると、次にインクジェットプリンタを動作させたときに、インク液を循環できない、ノズルからインク液を加圧した状態で噴出させることができない、ガターからインク液を回収できない等、インクジェットプリンタの基本的な機能が消失してしまうという問題が発生する。
残留した洗浄液が固着するまでの形態として2つ考えられる。第1のパターンは、洗浄液がその残留した位置から移動しないで、初期の位置に留まったまま固着する形態である。第2のパターンは、残留した洗浄液が時間の経過と共に移動し、移動先で溶剤が揮発して固着する形態である。
上記第1のパターンの典型例を、図12を参照して説明する。図12の参照符号800はインクジェットプリンタに含まれる逆止弁を示す。逆止弁800の固定弁座802と可動弁体804との間に洗浄液Csが残留した場合(図12の(A))、この洗浄液Csは時間の経過と共に溶剤成分が揮発して樹脂成分が残り、そしてこの樹脂成分Reが硬化して、この硬化した樹脂成分Reで可動弁体804と固定弁座802とが固着した状態になる(図12の(B))。
上記第2のパターンの典型例を、図13を参照して説明する。図13の参照符号810はインク液が流れる経路の一部を構成するチューブを示す。このチューブ810は、一般的には、気密性(ガスバリア性)に優れたPTFEやPFAなどの材料からなるチューブが採用されている。チューブ810が上下に曲がりくねった状態で配置されている場合、その下端屈曲部810aに洗浄液Csが残留し易い(図13の(A))。残留した洗浄液Csには、その一端に蒸気圧Aが加わり、他端に蒸気圧Bと重力とが加わったとしたときに、一端の蒸気圧Aが他端の蒸気圧B+重力+チューブ810との摩擦力よりも勝ったときには(蒸気圧A>(蒸気圧B+重力+摩擦力))、洗浄液Csは上昇して上端屈曲部810bに達し(図13の(B))、この上端屈曲部810bにおいてバランスが取れる位置に留まる(図13の(C))。そして、この状態で時間の経過と共に溶剤成分が揮発して樹脂成分が徐々に硬化し、硬化した樹脂成分Reでチューブ810が閉塞された状態になる(図13の(D))。
これに対するユーザ側の対処法の一例を、図14を参照して説明する。図示の参照符号820は溶剤ポンプを示し、この溶剤ポンプはダイアフラムポンプで構成されている。ダイアフラムポンプは溶剤ポンプに限らずインクポンプなどインクジェットプリンタで一般的に採用されているポンプである。
インク液をノズルに送るインクポンプ830に固着が発生した場合、その対処法として、溶剤ポンプ820を使って、溶剤タンク822から溶剤(洗浄液)をインクポンプ830に送り込むことが行われる(図14の(A))。この溶剤(洗浄液)がインクポンプ830にアクセスできれば、この溶剤によって固着した樹脂成分Reを溶解させてインクポンプ830の機能を復活させることができる(図14の(B))。
しかし、首尾良くインクジェットプリンタの機能を復活させることができたとしても、インク液の流れる経路に送り込んだ大量の溶剤によってインク液の粘度が低下してしまい、この粘度低下によって上述した「粒子化タイミング」にズレが生じて印字に乱れを引き起こしてしまう、という次の問題が発生する。
図15は、固着したインクポンプ830に溶剤ポンプ820を接続しても固着解除ができない場合を例示的に示す。チューブ810に固着が発生してチューブ810を完全に閉塞している場合には、チューブ810の中のエアArが邪魔して溶剤が固着箇所(インクポンプ830)に到達できない。このような状態に陥ったときには専門業者に問題解決を依頼するしかない。
本発明の目的は、固着現象が発生するのは回避できない問題であることとして、約束された箇所に固着を発生させることのできるインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明の更なる目的は、固着現象が発生したときに自己復旧する能力を備えたインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の技術的課題は、本発明によれば、
インク液が流れる経路を構成するチューブ、ダイアフラム式のポンプ、ダイアフラム式の電磁式開閉弁を有するインクジェット記録装置であって、
前記ポンプが前記電磁式開閉弁を経由してインク液を吸引する吸引ポンプであり、
前記ダイアフラム式の電磁式開閉弁が、プランジャによって往復動可能なダイアフラム弁と、該ダイアフラム弁が離着座可能な固定弁座とを有し、
該固定弁座によって形成される一次側ポートが前記チューブを介して前記ポンプに接続され、
前記ダイアフラム弁を構成する部材の気密性が前記チューブの材料の気密性に比べて低いことを特徴とするインクジェット記録装置を提供することにより達成される。
本発明のインクジェット記録装置は、従来と同様に、その動作を停止する前に溶剤(洗浄液)を使ってインク液が流れる経路の洗浄が行われる。そして、インクジェット記録装置を長期間に亘って運転停止したときに、前記チューブに残留する洗浄液を、チューブとダイアフラム弁との間の気密性の違いによって、当該ダイアフラム弁が離着座する固定弁座に向けて移動させることができ、固定弁座で規定される一次側ポート又はその近傍に集まった洗浄液は時間の経過に伴ってインク液の樹脂成分が固着する。すなわち、固着現象の発生を電磁式開閉弁又はその近傍に集中させることができる。
ダイアフラム式の電磁式開閉弁は、典型的には、前記固定弁座がダイアフラム弁に向けて開放した筒状の形状を有し、前記ダイアフラム弁が前記固定弁座に着座する相対的に肉厚の中心部分と、該中心部分の外周側に位置し且つ相対的に肉薄の撓み変形可能な可撓性部分とを有し、該中心部分に前記プランジャが連結されている。
ダイアフラム弁を構成する部材の気密性を前記チューブの材料の気密性に比べて低く設定することにより、チューブ内に残留した洗浄液の蒸気圧はダイアフラム弁の比較的薄肉の可撓性部分を通じて外部に逃げる。これにより、固定弁座によって規定される一次側ポートの蒸気圧は相対的に低く、気密性が相対的に高いチューブ内の残留洗浄液は、この蒸気圧の相違によって電磁式開閉弁の方に引き寄せられることになる。
本発明の好ましい実施形態では、
前記電磁式開閉弁は、電磁式開閉弁がOFFのときに前記プランジャを閉弁方向に付勢するバネを有し、
該バネの付勢力が、前記固定弁座に前記ダイアフラム弁を着座させて、前記電磁式開閉弁を閉弁するのに必要な力よりも大きな力に設定され、
前記電磁式開閉弁をOFFにしたときに、前記バネ付勢力によって前記ダイアフラム弁が圧縮変形する。
この開閉弁のON/OFFを反復することにより、電磁弁内又はその近傍で固着した閉塞膜に対して圧力変動を与えて当該閉塞膜を破壊させることができる。
本発明の好ましい実施形態では、
第1、第2の電磁式開閉弁を含み、
前記ポンプに接続された前記チューブが前記第1の電磁式開閉弁の前記一次側ポートに接続され、該チューブが前記第2の電磁式開閉弁の前記固定弁座の外周側に位置する二次側ポートに更に接続されている。
第2電磁式開閉弁の二次側ポートは、そのダイアフラム弁の比較的肉薄の可撓性部分に臨んでいる。したがって、このダイアフラム弁の可撓性部分の気密性は本質的に低く、このことからチューブに残留した洗浄液の蒸気圧はダイアフラム弁の可撓性部分を通じて外部に容易に逃げることができる。したがって、チューブに大量の洗浄液が残留したとしても、これを第2の電磁式開閉弁の二次側ポートに集めることができる。換言すれば、第1の電磁式開閉弁の一次側ポートに洗浄液が集中するのを回避することができる。
好ましい実施形態では、溶剤タンクに一次側ポートを連結された電磁式開閉弁によって上記第2の電磁式開閉弁が構成される。溶剤ラインは、洗浄液としてのクリーン度が重視されるので、一次側ポートには樹脂成分が存在せず固着しない。また、弁を開けたときに、二次側ポートの固着物を洗い流すことが可能になる。
本発明の作用効果、他の目的は、以下の本発明の好ましい実施例の詳細な説明から明らかになろう。
実施例のカートリッジ式インクジェットプリンタを含む自動印字システムの全体構成図である。 インクジェットプリンタの液流れの回路図である。 本発明に適用可能な第1の例の電磁式の開閉弁の構造を説明するための図である。 図3に図示の電磁式開閉弁の作用を説明するための図であり、(A)はインクジェットプリンタの作動を停止した時点で残留した洗浄液の状態を説明するための図であり、(B)はインクジェットプリンタの作動停止から有る程度の日時が経過したときに洗浄液が移動することを説明するための図であり、(C)は洗浄液が固着して閉塞膜を作ったときの状態を説明するための図である。 本発明に適用可能な第2の例の電磁式の開閉弁の概念を説明するための図であり、(A)は開弁状態を示し、(B)は閉弁状態を示し、(C)はバネ力によってダイアフラム弁を固定弁座に更に押し込んで少なくともそのいずれか一方が圧縮変形して閉塞膜に相対的に高い圧力を与えている状態を説明するための図である。 図5に図示の電磁式開閉弁のON/OFFを反復したときに閉塞膜に加わる圧力の変動を説明するための図である。 隣接する電磁式開閉弁の二次側ポートに洗浄液を集めることのできる配置例を説明するための図であって、(A)は従来の一つの配置例を示し、(B)は従来の他の配置例を示し、(C)は本発明の配置例を示す図である。 図7の(C)の配置例による作用効果を説明するための図であり、(A)はインクジェットプリンタの作動を停止した時点で残留した洗浄液の状態を説明するための図であり、(B)はインクジェットプリンタの作動停止から有る程度の日時が経過したときに洗浄液が移動することを説明するための図であり、(C)は隣接する電磁式開閉弁の二次側ポートに洗浄液が集まって、ここに固着して閉塞膜を作ったときの状態を説明するための図である。 長期間に亘る作動停止の後にインクジェットプリンタの動作を開始するときに、本発明に関連した固着解除制御を行うことに関連した一連の手順を説明するためのフローチャートである。 本発明に関連した固着解除制御の具体例を説明するためのフローチャートである。 本発明に関連した固着解除制御の他の具体例を説明するためのフローチャートである。 従来の問題点を説明するための図である。長期間に亘るインクジェットプリンタの作動停止によって逆止弁に固着の問題が発生する例を説明するための図であり、(A)はインクジェットプリンタの作動を停止した時点で逆止弁に残留した洗浄液の状態を説明するための図であり、(B)はその場で固着した状態を説明するための図である。 従来の問題点を説明するための図である。長期間に亘るインクジェットプリンタの作動停止によってチューブに固着の問題が発生する例を説明するための図であり、インクジェットプリンタの作動を停止した時点でチューブの一部に残留した洗浄液が時間の経過に伴って移動し、そして固着によって閉塞膜を形成する例を説明するための図である。 逆止弁に固着が発生したときの対処法として、この逆止弁に溶剤をポンプで送り込む従来例を説明するための図である。 図14に関連して、ポンプで溶剤を逆止弁に送っても、途中のチューブに閉塞膜が発生しているときには、逆止弁の固着を解除できないことを説明するための図である。
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
自動印字システム及びインクジェットプリンタ
図1は、カートリッジ式インクジェット記録装置を含む自動印字システムの一例の概略を示す図である。図示の自動印字システム1は、実施例のインクジェット記録装置2、ワーク検出センサ4、搬送速度センサ6及びディスプレイ装置8などで構成されている。
インクジェット記録装置2は一般的に「インクジェットプリンタ」と呼ばれていることから、このインクジェットプリンタという用語を使って説明すると、このインクジェットプリンタ2はインクを連続的に噴射するコンティニュアス方式のプリンタである。実施例のインクジェットプリンタ2は、ワーク搬送ライン10に設置されてワーク搬送ライン10を流れるワークWに文字や図形を印字するのに用いられる。印字対象物であるワークWは、例えば電子部品、プラスチック袋などである。ワーク検出センサ4は、ワークWの有無を検出して印字を開始するトリガを出力し、このトリガ信号を受けてワークWに対する印字が開始される。
インクジェットプリンタ2は、ワーク搬送ライン10の近傍に設置されるプリンタ本体200と、ワーク搬送ライン10に設置されるヘッド300とを有し、プリンタ本体200とヘッド300とは可撓性ホース12によって連結されている。プリンタ本体200とヘッド300とは、これらの間で速乾性のインク液が循環され、そして、ヘッド300は、次々と搬送されてくるワークWに対してドット印字を実行する。図1の矢印はワークWの搬送方向を示す。
回路構成(図2)
図2は、カートリッジ式インクジェットプリンタ2での液流れの回路図である。図2を参照して、その概要を説明すると、プリンタ本体200はメインタンク202及びコンディショニングタンク204を有し、このメインタンク202及びコンディショニングタンク204に充満した気体は排気管206を介して大気中に排出される。
メインタンク202内のインク液はインク循環管208によって循環される。このインク循環管208には、メイン経路切替弁210、ダイアフラムポンプで構成された循環ポンプ212などがインク液の流通方向に沿ってこの順序で介装され、循環ポンプ212によってメインタンク202内のインク液がインク循環管208を通じて循環される。図中、Fはフィルタである。
また、インク循環管208には、このインク循環管208を流れるインク液の一部を取り込んで、そのインク液の粘度を検出するための粘度計214が介装されている。この粘度計214で検出されるインク液の粘度によってメインタンク202内のインク液の濃度が監視される。
メインタンク202へのインク液の補充はインクカートリッジ400によって行われる。インクカートリッジ400はインク補給管220を介して上記メイン経路切替弁210に接続され、このメイン経路切替弁210を制御することにより、インクカートリッジ400のインクがメインタンク202に供給される。
メインタンク202への溶剤の補充は溶剤カートリッジ500によって行われる。溶剤カートリッジ500には、インク液の粘度を一定に保持するための溶剤である例えばメチルエチルケトン(MEK)が収容されている。
プリンタ本体200は、溶剤カートリッジ500の近傍に光学式空検出機構700を有し、この光学式空検出機構700によって溶剤カートリッジ500の空状態を検出する。溶剤カートリッジ500は、光学式空検出機構700及び溶剤補給管222を介して上記メイン経路切替弁210に接続され、このメイン経路切替弁210を制御することにより、溶剤カートリッジ500の溶剤がメインタンク202に供給され、この溶剤によってメインタンク202内のインクの濃度調整が行われる。すなわち、メインタンク202内のインクを、インク循環管208を通じて循環させながら粘度計214によってインクの濃度を検出し、この検出した濃度に対応した量の溶剤を溶剤カートリッジ500からメインタンク202に供給することにより、メインタンク202内のインクの濃度調整が行われる。
メインタンク202はインク供給管230を通じてヘッド300に接続されている。インク供給管230には、ダイアフラムポンプで構成されたインクポンプ232が介装され、このインクポンプ232によってメインタンク202のインクがヘッド300に供給される。
ヘッド300は、周知のように、加圧器(加振部)、ピエゾ素子、ノズル、帯電電極、偏向電極などの機構部品302を備え、この機構部品302によって帯電インク粒の着弾位置が偏向されることによりワークWに対する印字が行われる。
インク供給管230には、インクポンプ232の下流側に、インクの流れ方向に順に、減圧弁234、圧力計236が介装され、圧力計236で検出される圧力に応じてインクポンプ232の吐出圧が調整される。
ヘッド300は、インク粒を受け入れるためのガター304を有している。ガター304はインク回収管240を通じてメインタンク202に接続され、このインク回収管240には、ダイアフラムポンプで構成されたガターポンプ242、第2の経路切替弁244が介装されている。ガター304で受け止められたインクはガターポンプ242によってプリンタ本体200に回収される。
溶剤カートリッジ500は、上述した光学式空検出機構700及びヘッド洗浄管250を通じてヘッド300に接続され、このヘッド洗浄管250には、ダイアフラムポンプで構成された洗浄ポンプ252が介装されている。インクジェットプリンタ2の立ち上げ時や立ち下げ時には溶剤カートリッジ500からヘッド300に溶剤が供給され、この溶剤によってノズル、帯電電極、偏向電極などのヘッド300内の機構部品302が洗浄される。洗浄に用いられた溶剤はガター304で受け止められ、インク回収管240を介してプリンタ本体200に回収される。
ガター304で受け止められたインク又は溶剤は、インク回収管240に介装された第2の経路切替弁244によってメインタンク202又はコンディショニングタンク204に回収される。コンディショニングタンク204には回収した溶剤が蓄えられ、このコンディショニングタンク204の溶剤は、溶剤カートリッジ500内の溶剤よりも優先してメインタンク202に供給され、インクの濃度調整に使用される。
プリンタ本体200とヘッド300との間のインク液の循環、メインタンク202に対する溶媒の補充つまりメインタンク202内のインク液の粘度の調整、メインタンク202内のインク液の循環、ヘッド300の構成、プリンタ本体200の回路の詳細に関して特許文献1(特開2007−190724号公報)に詳しく説明されている。実施例のインクジェットプリンタ2の基本構成は、特許文献1に開示のインクジェットプリンタと実質的に同じであることから、この特許文献1の記載を本明細書に援用することにより、これ以上の詳しい説明は省略する。
インクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500のボトル
インクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500の容器部分を構成するボトルは合成樹脂で作られた成型品である。ボトルは、その内容物である液体(インク又は溶剤)を吸い出すと、これに対応してボトルが潰れて容積が小さくなる。このボトルの潰れ変形に関し、ボトルはその高さ方向の寸法の変化が殆ど無く、幅方向の寸法が小さくなることで減容化するように設計されている。溶剤カートリッジ500には、適量のエアを入れた状態で密止されている。溶剤カートリッジ500が空になると、この溶剤カートリッジ500からエアがプリンタ本体200に吸い出され、このエアと溶剤との屈折率の相違などを利用して、溶剤カートリッジ500からエアが流出したことを光学式空検出機構700で検知することで溶剤カートリッジ500が空になったことが検出される。
電磁弁
図2に図示の回路において、メイン経路切替弁210、第2の経路切替弁244及び弁11S、弁2Sなどは電磁弁で構成されている。電磁弁は、周知のように、電磁石(ソレノイド)の磁力を用いてプランジャを変位させることでバルブを開閉させる。インクジェットプリンタ2に含まれる電磁弁のうち、インク液が通過する電磁弁は図3に図示の構成が採用されている。
図3に図示の電磁弁600を説明すると、図3の(A)は電磁弁600がオフ状態つまり閉弁状態を示し、図3の(B)は電磁弁600がオン状態つまり開弁状態を示す。電磁弁600は、従来と同様にコイル602と可動鉄心つまりプランジャ604とを有している。プランジャ604は、固定鉄心606との間に介装されたバネ608によって伸長方向つまり電磁弁600の閉じ方向に付勢されている。
電磁弁600は円周支持リング(ボディと呼ぶこともできる)610を有し、その中心部分に円筒状の固定弁座612が位置決めされている。この固定弁座612に対して離着座する可動弁体614はプランジャ604に連結され、プランジャ604が上下に変位することにより可動弁体614が固定弁座612から離着座する。
実施例に含まれる電磁弁600(1)(図3、図4)
図3は、円周支持リング610には可動弁体614の外周縁部が固定されている。この円周支持リング610は肉厚のリング状の形状を有し、金属製であってもよいし合成樹脂製であってもよい。円周支持リング610と同心の且つ円周支持リング610に包囲された固定弁座612の先端面612aつまり可動弁体614が離着座する面612aは外方且つ下方に向けて傾斜したテーパ面で構成されている。
円筒状の固定弁座612で囲まれた第1ポート620は一次側ポートと呼ばれており、この一次側ポート620に接続された第1経路622を介して循環ポンプ212(インクポンプ232、ガターポンプ242)に接続される。一次側ポート620は高圧に耐える構造であることから高圧側ポートとも呼ばれる。第1経路622は一般的にチューブ630(後に説明する)で構成される。
他方、固定弁座612の外周側つまり固定弁座612と円周支持リング610とで規定される第2ポート624は二次側ポートと呼ばれており、第2経路626を通じてメインタンク202などに接続される。二次側ポート624は構造上高圧に耐えることのできない構造であることから低圧側ポートとも呼ばれる。第2経路626は一般的にチューブ630(後に説明する)で構成される。
可動弁体614は、撓み変形可能な樹脂製のダイアフラム弁で構成され、その中心部分614aが肉厚であり、この中心部分614aと上述した固定弁座612とが協働して一次側経路622と二次側経路626との連通を開閉する弁を構成する。可動弁体614の中心部分614aよりも外周の可動部分614bは薄肉である。
可動弁体(ダイアフラム弁)614は、例えば、その表面にPTFE層を含まないゴムだけの材料で構成されている。また、上述したチューブ630はPTFE材料で構成されている。チューブ630は、表面にPTFE層を有する材料又はFFAなどの溶融フッ素系樹脂又はメタルシートで構成してもよい。
すなわち、可動弁体(ダイアフラム弁)614は、チューブ630と対比したときに、相対的に気密性(ガスバリア性)が低い。換言すれば、チューブ630は固定弁座612及び可動弁体614に比べて気密性(ガスバリア性)が高い。ガスバリア性の相違による作用効果を図3、図4を参照して説明する。
先ず、上述したように、可動弁体(ダイアフラム弁)614は、その中心部分614aが肉厚である。したがって、この電磁弁600(1)が閉弁している状態では、一次側ポート620を臨む可動弁体614の肉厚且つ投影面積が小さい中心部分614aを通過する揮発量は比較的少なく、その一方で、二次側ポート624を臨む可動弁体614の比較的肉薄且つ投影面積が大きい可動部分614bを通過する揮発量は比較的多い(図3の(A))。
電磁弁600(1)が開弁している状態を示す図3の(B)を参照して、可動弁体(ダイアフラム弁)614は固定弁座612から離れて一次側ポート620と二次側ポート624とが連通した状態にある。つまり電磁弁600(1)が開弁した状態であり、一次側ポート620と二次側のポート624とを通じて洗浄液やインク液が流動する。
インクジェットプリンタ2の動作を停止した後、経時的な変化を図示した図4を参照して、図4の(A)はインクジェットプリンタ2の動作を停止した直後に洗浄液Csがチューブ630に残留している状態を示す。図4の(B)はインクジェットプリンタ2の動作を停止してからの液の移動方向を示す。図4の(C)はインクジェットプリンタ2の動作を停止してから時間が経過した状態を示す。これら図4の(A)〜(C)では、勿論、電磁弁600は閉弁状態である。
インクジェットプリンタ2は、その動作を停止する前に、立ち下げ処理が実行される。立ち下げ処理では、ヘッド300に含まれる機構部品302(図2)内の圧力を抜くことによりヘッド300に残留するインク液を抜き去る処理が実行される。次いで、溶剤カートリッジ500の溶剤(洗浄液)を使ってインク液が通る経路の洗浄が開始される。この洗浄液(溶剤)はメインタンク202又はコンディショニングタンク204に回収される。この洗浄工程は次の乾燥工程によって終わる。乾燥工程では、洗浄液の供給を停止した状態で循環ポンプ212(加えてガターポンプ242)を動作させることで機構部品302の主要な要素であるノズルの吐出口又はガターからエアを吸い込んで、このエアによって経路から洗浄液を除去する。
図4の(A)を参照して、チューブ630の所々に残留した洗浄液Csの間にエアArが位置している。時間の経過と共に、洗浄液Csの気化が始まりエア部分Arの圧力が高くなる。すなわち、チューブ630は気密性の高いPTFEなどの材料で作られているため、隣接する洗浄液Cs、Csの間のエア部分Arに上昇した蒸気圧が加わって当該エア部分Arの圧力が上昇する(例えば20kPa〜40kPa)。
他方、電磁弁600(1)に隣接した空間では、相対的に低い圧力状態が維持される。すなわち、洗浄液Csが気化しても、例えばゴム単層の可動弁体614のガス透過性が比較的高いため、この可動弁体(ダイアフラム弁)614で閉じられた一次側ポート620のガスは可動弁体614を通過して大気に逃げる。また、固定弁座612、可動弁体614の界面からリークし、二次側ポートに逃げることもある。このことから可動弁体614で覆われた一次側ポート620の部分の蒸気圧による圧力上昇は比較的小さいため、一次側ポート620の部分の圧力と、チューブ630の中の隣接する洗浄液Cs、Cs間のエア部分Arの圧力との間に圧力勾配が発生する。そして、この圧力勾配によって、チューブ630に残留する洗浄液Csは電磁弁600の一次側ポート620に接近する方向に移動し始める(図4の(B))。更に時間が経過すると、チューブ630に残留する洗浄液Csは電磁弁600の近傍に引き寄せられた位置で硬化した樹脂成分Reの閉塞膜になる(図4の(C))。これにより、チューブ630に残留する洗浄液Csを電磁弁600の近傍に集めることができる。換言すれば、インクポンプ232、循環ポンプ212などに洗浄液Csが残留して、その場で固着するのを防止することができる。
実施例に含まれる他の電磁弁(図5、図6)
実施例に含まれる他の電磁弁600(2)は、プランジャ604を付勢するバネ608として、高い付勢力(例えば5N)を備えたバネが採用されており、閉弁した後に約1MPa以上の最大ポンプ圧を発生するように設計されている。この最大ポンプ圧は、ダイアフラムポンプのポンプ圧よりも大きい。図5に図示の電磁弁600(2)において、プランジャ604のストローク量は約1mmである。
電磁弁600(2)の動作を説明する図5を参照して、図5の(A)は開弁状態を示す。図5の(B)は可動弁体(ダイアフラム弁)614が固定弁座612に着座して、一次側、二次側のポート620、624の連通を遮断した状態を示す。図5の(C)はバネ力によって可動弁体614が固定弁座612に押し付けられ、可動弁体614が圧縮変形した状態を示す。
図5の(B)の閉弁状態から更にプランジャ604をバネ608で押し下げて可動弁体614が圧縮変形した図5の(C)の状態を作ることによって、固定弁座612の中に高い圧力を印加することができる。図5の(B)、(C)は、一次側ポート620が、硬化した樹脂Reの閉塞膜で閉塞している状態を図示している。
図5の(C)の状態において、固定弁座612の内径が1.5mmであり、バネ608のバネ力が5Nであるとき、50%の分力が樹脂Reの閉塞膜に作用すると仮定して、この樹脂Reの閉塞膜に1.4MPaの圧力が作用する。この圧力は、上述したようにダイアフラムポンプのポンプ圧よりも大きい。
図6は、電磁弁600(2)のON/OFFを反復したときの圧力変化を示す。すなわち、図6は、電磁弁600(2)のON/OFFを反復して、図5の(A)の状態と図5の(C)の状態とを反復的に作ったときに、上記図5の(C)の状態つまり一次側ポート620で固着している樹脂Reの膜に加わる圧力の変化を示す。この高い圧力(1.4Mpa)を樹脂Reの膜に間欠的に加えることにより樹脂Reの閉塞膜に疲労を与えて、この閉塞膜を破壊することができる。
この電磁弁600(2)と、図3、図4を参照して説明した電磁弁600(1)とを組み合わせると、図3、図4の電磁弁600(1)又はその近傍に洗浄液Csを集め、そして、電磁弁600(2)又はその近傍に発生した閉塞膜を前述した圧力変動(図6)によって破壊することができる。
勿論、図3、図4を参照して説明した電磁弁600(1)と、図5、図6を参照して説明した電磁弁600(2)とは独立して回路に組み込んでもよい。すなわち、図5、図6を参照して説明した電磁弁600(2)として従来の電磁弁を採用してもよい。
電磁弁の配置(図7、図8)
図7の(A)及び(B)は従来の電磁弁の配置を説明するための図である。図7の(C)は実施例に関連した電磁弁の配置を説明するための図である。図7の(A)、(B)を参照して、従来の電磁弁の配置を説明すると、溶剤タンク又は溶剤カートリッジ500、インクタンク又はインクカートリッジ400、メインタンク202に対して電磁弁600の一次側ポート620(図7の(A))又は二次側ポート624(図7の(B))が接続され、吸引ポンプ(図2の例えば循環ポンプ212やインクポンプ232が相当する)に対して電磁弁600の二次側ポート624(図7の(A))又は一次側ポート620(図7の(B))が接続されている。すなわち、電磁弁600の使い方として、従来は、ポンプに対して複数の電磁弁600の一次側又は二次側のポートが一意に接続されている。
洗浄液の残留量は循環ポンプの一次側の方が二次側よりも多い傾向にある。なお、循環ポンプの一次側に、一次側ポートのみ配置すると、一次側ポートに残留する量が多くなる。一次側ポート620に残留する洗浄液の量が多すぎると、固着した樹脂成分Reを解除するのが難しくなる。
実施例に関連した電磁弁の配置を図示した図7の(C)を参照して、溶剤タンク又は溶剤カートリッジ500と吸引ポンプ(図2の例えば循環ポンプ212やインクポンプ232が相当する)との間の電磁弁600は、その一次側ポート620が溶剤タンク又は溶剤カートリッジ500に接続され、二次側ポート624が吸引ポンプに接続されている。他方、インクタンク又はインクカートリッジ400、メインタンク202に対して電磁弁600の二次側ポート624が接続され、吸引ポンプに対して電磁弁600の一次側ポート620が接続されている。
入手可能な電磁弁は一つの一次側ポートと複数の二次側ポートを備えている。実施例では、各電磁弁は一次側ポートを一つ、二次側ポートを4つ備えている。図8は、隣接する2つの電磁弁600を使う例を示す。2つの電磁弁600を識別するために第1の電磁弁には「A」を付記し、第2の電磁弁には「B」を付記して図示してある。各電磁弁600A、600Bは、夫々、一つの一次側ポート620と、複数の二次側ポート624とを備えていると理解されたい。
図8を参照して、吸引ポンプ(図2の例えば循環ポンプ212やインクポンプ232が相当する)に、PTFE材料などで作られたチューブ630を介して第1電磁弁600A(例えば図7の(C)に図示のインクタンク又はインクカートリッジ400と吸引ポンプとの間の電磁弁に相当する)の一次側ポート620が接続されている。この第1電磁弁600Aの一次側ポート620は、更に、これに隣接した第2の電磁弁600Bの予備の二次側ポート624が接続されている。この第2の電磁弁600Bは、図7の(C)に図示の溶剤タンク又は溶剤カートリッジ500と吸引ポンプとの間の電磁弁に相当する。必要であれば、第2の電磁弁600Bの別の予備の二次側ポート624を付加的に使ってもよい。勿論、図示を省略したが第3の電磁弁の予備の二次側ポートを付加的に使ってもよい。
インクジェットプリンタ2の動作を停止した後、経時的な変化を図示した図8の(A)はインクジェットプリンタ2の動作を停止した直後に洗浄液Csがチューブ630に残留している状態を示す。図8の(B)はインクジェットプリンタ2の動作を停止した後の洗浄液Csの移動方向を示す。図8の(C)はインクジェットプリンタ2の動作を停止してから時間が経過した状態を示す。これら図8の(A)〜(C)では、勿論、電磁弁600はOFFであり閉弁状態である。
インクジェットプリンタ2の動作を停止したときにチューブ630に残留した洗浄液Cs(図8の(A))は、図4を参照して前述したように、時間の経過と共に、洗浄液Csの気化が始まりエア部分Arの圧力が高くなる。すなわち、チューブ630は気密性の高いPTFEなどの材料で作られているため、隣接する洗浄液Cs、Csの間のエア部分Arに上昇した蒸気圧が加わって当該エア部分Arの圧力が上昇する。
他方、第1電磁弁600A及び追加の第2電磁弁600Bに隣接した空間では、相対的に低い圧力状態が維持される。また、図3を参照して前述したように、第1電磁弁600Aの一次側ポート620よりも、追加の第2電磁弁600Bの二次側ポート624の方が相対的に低い圧力状態になる。この圧力勾配によって、チューブ630に残留している洗浄液Csは、第1、第2の電磁弁600A、600Bに引き寄せられ(図8の(B))、また、第2電磁弁600Bに多くの洗浄液Csが集まる(図8の(C))。
第1電磁弁600Aよりも相対的に低圧の追加の第2電磁弁600Bを使うことで、残留する洗浄液Csを集める効果を増強することができる。また、残留する洗浄液Csが比較的多い場合に、これを第1電磁弁600Aの一次側ポート620に集めた場合、一次側ポート620で固着した閉塞膜を解除するのは難儀であるが、第1、第2の電磁弁600A、600Bに分散して洗浄液Csを集めることで、この問題を解消することができる。
追加の第2の電磁弁600Bとして、溶剤タンク又は溶剤カートリッジ500と吸引ポンプとの間に介装した電磁弁を採用するのが良い。これにより、第2電磁弁600Bの上記の予備の二次側ポート624に固着が発生しても、この第2電磁弁600Bの他の二次側ポート624には固着が発生していないため、この第2電磁弁600Bの動作によって他のポートから回り込んだ溶剤が、固着している二次側ポート624に入り込んで、この溶剤によって閉塞膜を溶解させることができる。また、この追加の第2電磁弁600Bの閉塞膜を溶解できれば、第1電磁弁600Aの一次側ポート620に溶剤が入り込むため、この溶剤によって一次側ポート620の閉塞膜を溶解させることができる。勿論、追加の第2の電磁弁600Bは、溶剤タンク又は溶剤カートリッジ500と吸引ポンプとの間に介装した電磁弁に限定されないのは言うまでもない。
第1、第2の電磁弁600A、600Bは、図3を参照して説明した電磁弁600(1)を採用してもよいが、可動弁体614として、ガスバリア層(PTFE)を有する材料の可動弁体を備えた従来の電磁弁を採用してもよい。また、第1の電磁弁600Aとして、図5を参照して説明した電磁弁600(2)を採用してもよい。
図5、図6を参照して説明した固着解除方法や図8を参照して説明した複数の電磁弁の配置を使った固着解除方法を、例えば次のように実行するのがよい。
(1)インクジェットプリンタ2を長期間に亘って動作停止した後にインクジェットプリンタ2の電源をONしたときに、ユーザに注意を促す表示を行って、ユーザの指令に基づいて固着解除方法を実行する。
(2)インクジェットプリンタ2の電源をONした後に従来から行われている立ち上がり処理を実行し、固着によるエラーが発生した時に、固着解除方法のやり方を表示してユーザが実行することを促す。
(3)インクジェットプリンタ2の電源をONした時に固着解除方法を実行する。
図9はインクジェットプリンタ2の起動時の手順の一例を説明するためのフローチャートである。図9を参照して、電源がONされると(S1)、ステップS2でインクジェットプリンタ2の停止時間が所定時間以上であったか否かを判別し、YESつまり長期間に亘って動作停止していたときにはステップS3に進んでユーザに注意を促す表示を行う。ステップS2でNOつまり比較的短時間の動作停止のときにはこの表示は行わない(S4)。
上記ステップS3で注意を促した後にステップS5に進んで、ユーザが注意表示を見て固着解除制御を行ったか否かを確認した後に、次のステップS6でインクジェットプリンタ2の従来から既知の立ち上げ処理を行う。この立ち上げ処理で固着によるエラーが発生したときにはステップS7からS8に進んで固着解除制御(図6)を実行し、再度、ステップS6に戻って立ち上げ処理を実行し、このループは固着が解除されるまで行われる(S7、S9)。
図10は、固着解除制御の一例を説明するためのフローチャートである。なお、このフローチャートの制御は、図2に図示のメイン経路切替弁210に含まれる電磁弁13Sが、図8を参照して説明した第2の電磁弁600Bに相当し、他の電磁弁5S、8S、9Sは図8の第1の電磁弁600Aに相当していることを前提としている。すなわち、図2の回路は、電磁弁5Sとメイン経路切替弁210との間の通路長が長いため洗浄液の残留量が多く、固着の問題が起こり易い回路構成となっている。メイン経路切替弁210に含まれる電磁弁13Sだけ二次側ポート624(図8)を循環ポンプ212に接続し、この電磁弁13Sの二次側ポート624は他の電磁弁5S、8S、9Sの一次側ポート620に連結され、また、他の電磁弁5S、8S、9Sの一次側ポート620は循環ポンプ212に接続されている。すなわち、この他の電磁弁5S、8S、9Sを第1電磁弁600Aとし、この第1電磁弁600Aに対する第2電磁弁600B(図8)が電磁弁13S(図2)である。
この構成により、前述した理由により、電磁弁13Sに多くの洗浄液が集まり、他の電磁弁5S、8S、9Sに集まる洗浄液の量を低減することができる。
図10を参照して、ステップS10において、インクポンプ232及び循環ポンプ212がONされ、電磁弁3S(図2)が開弁される。この状態において、電磁弁13S(図2)の反復した開閉が実行される(図10のS11)。例えば、0.5秒間ON、0.5秒間OFFが反復的に実行される。これにより、仮に電磁弁5S、8S、9Sのいずれか又は全てが固着していても、電磁弁13Sから電磁弁5S、8S、9S(図2)に溶剤が流れ、これにより電磁弁5S、8S、9Sの固着解除が可能になる。
なお、図2の電磁弁13Sは溶剤カートリッジ500に連なっているため、この電磁弁13Sの二次側ポート624(図8)の固着解除は容易である。
次に、ステップS12において、電磁弁13Sが15秒間、閉弁される。これにより循環ポンプ212ないしメイン経路切替弁210間の経路の負圧が生成される。ステップS12で負圧を生成した後、電磁弁13Sが1秒間開弁されると共にインクポンプ232及び循環ポンプ212がOFFされる(S13)。これにより、溶剤補給管222の溶剤が210から212を通り、210の固着箇所に到達することができる。
次にステップS14に進んで、電磁弁13Sの閉弁状態を維持したまま電磁弁1S、3S、5S、8S、9S、10S、11Sの開閉(例えば0.5秒間ON、次に0.5秒間OFF)が繰り返される。これら電磁弁1S、3S、5S、8S、9S、10S、11Sは図5、図6の構成が採用されているため、このON/OFFを例えば60回繰り返すことにより電磁弁1S、3S、5S、8S、9S、10S、11Sの固着を強制解除することができる。このON/OFFの反復が完了したらステップS15で上記の電磁弁1S、3S、5S、8S、9S、10S、11SがOFFされる。
図11は、図2の電磁弁4Sを開弁することによる廃液処理のための手順の一例を説明するためのフローチャートである。この電磁弁4S(図2)は図5、図6の構成が採用されている。図11のステップS20において電磁弁4Sの反復した開閉(例えば0.5秒間ON、次に0.5秒間OFF)が実行される。反復回数は例えば10回である。これにより、電磁弁4Sの一次側ポート620に固着が発生していたとしても、図5、図6を参照して説明した圧力変動によって固着を強制的に破壊することができる。次いでステップS21で電磁弁4SをOFFにした後に廃液処理が実行される(S22)。この廃液処理では、電磁弁4Sは開弁状態が維持される。
2 インクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)
200 プリンタ本体
202 メインタンク
204 コンディショニングタンク
212 循環ポンプ
400 インクカートリッジ
500 溶剤カートリッジ
600 ダイアフラム式の電磁式開閉弁
602 コイル
604 可動鉄心(プランジャ)
606 固定鉄心
608 バネ
610 円周支持リング(ボディ)
612 固定弁座
612a 固定弁座の先端面(テーパ面)
614 可動弁体(ダイアフラム弁)
614a ダイアフラム弁の中心部分(肉厚部分)
614b ダイアフラム弁の可動部分
620 第1ポート(固定弁座で囲まれた一次側ポート)
624 第2ポート(固定弁座と円周支持リングで規定される二次側ポート)
630 チューブ

Claims (7)

  1. インク液が流れる経路を構成するチューブ、ダイアフラム式のポンプ、ダイアフラム式の電磁式開閉弁を有するインクジェット記録装置であって、
    前記ポンプが前記電磁式開閉弁を経由してインク液を吸引する吸引ポンプであり、
    前記ダイアフラム式の電磁式開閉弁が、プランジャによって往復動可能なダイアフラム弁と、該ダイアフラム弁が離着座可能な固定弁座とを有し、
    該固定弁座によって形成される一次側ポートが前記チューブを介して前記ポンプに接続され、
    前記ダイアフラム弁を構成する部材の気密性が前記チューブの材料の気密性に比べて低いことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記固定弁座が前記ダイアフラム弁に向けて開放した筒状の形状を有し、
    前記ダイアフラム弁が前記固定弁座に着座する相対的に肉厚の中心部分と、該中心部分の外周側に位置し且つ相対的に肉薄の撓み変形可能な可撓性部分とを有し、
    該中心部分に前記プランジャが連結されている、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記電磁式開閉弁は、電磁式開閉弁がOFFのときに前記プランジャを閉弁方向に付勢するバネを有し、
    該バネの付勢力が、前記固定弁座に前記ダイアフラム弁を着座させて、前記電磁式開閉弁を閉弁するのに必要な力よりも大きな力に設定され、
    前記電磁式開閉弁をOFFにしたときに、前記バネ付勢力によって前記ダイアフラム弁が圧縮変形する、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記電磁式開閉弁のON/OFFを反復させる固着解除制御手段を更に有する、請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記電磁式開閉弁が第1、第2の電磁式開閉弁を含み、
    前記ポンプに接続された前記チューブが前記第1の電磁式開閉弁の前記一次側ポートに接続され、該チューブが前記第2の電磁式開閉弁の前記固定弁座の外周側に位置する二次側ポートに更に接続されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記第2の電磁式開閉弁の一次側ポートが溶剤タンクに接続されている、請求項5に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記ポンプが前記インク液を循環させるための循環ポンプである、請求項5に記載のインクジェット記録装置。
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