JP2015134364A - レーザ加工装置およびレーザ加工方法 - Google Patents

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健二 生田
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俊二 桶本
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Abstract

【課題】加工物の表面の目標点にレーザ光を照射して当該目標点を溶融させて加工するレーザ加工装置において、加工溝内にドロスが溜まらないようにドロスを適切に除去できるようにする。【解決手段】加工物200の表面201の目標点202に対してレーザ光を照射するレーザ照射部10と、目標点202の側方に環状に設けられ加工物200に向けてガスを噴射する4個のガスノズル20と、を備え、各ガスノズル20において、ガスの噴射角度θは、加工物200の表面201に対して同一な鋭角とされており、各ガスノズル20において、ガスの噴射方向軸21は、目標点202から所定距離a1、オフセットして外れた位置を向いており、この所定距離a1はすべてのガスノズル20で同一距離とされ、各ガスノズル20から噴射されたガスは、目標点202回りに旋回する渦流れを形成する。【選択図】図2

Description

本発明は、加工物の表面の目標点にレーザ光を照射して当該目標点を溶融させて加工するレーザ加工装置、および、そのようなレーザ装置を用いたレーザ加工方法に関する。
従来のこの種のレーザ加工装置としては、加工物と対向して設けられ加工物表面の目標点に対してレーザ光を照射するレーザ照射部と、加工中に加工物表面に発生するドロスを除去するために加工物に向けて空気等のガスを噴射するガスノズルとを備えたものが一般的である(たとえば特許文献1参照)。
ここで、このようなレーザ加工の場合、加工物を溶かして目標点に加工溝を形成することで加工を行うため、その溶けた物質が、加工物表面、特に加工溝内に付着する。これがドロスと呼ばれるものである。そこで、従来では、ガスノズルによって、加工物上の目標点に対してレーザ光の照射軸と同軸方向から、ガスを吹き付けることによって、ドロスを除去するようにしている。
特開2002−239770号公報
しかし、上記従来のように、ガスをレーザ光の照射軸と同軸方向から加工物表面に吹きつけると、加工物の表面近傍にガスウォールが発生する。このガスウォールの発生メカニズムについて、図5(a)、(b)を参照して具体的に述べる。なお、図5(a)中の加工溝203は断面を示している。
まず、図5(b)ではガスノズル20からのガス流れを各矢印にて示しているが、この図5(b)に示されるように、ガスウォールGWは、吹き付けガスG1と加工物200の表面201から跳ね返った跳ね返りガスG2とが衝突して圧力が上昇(たとえば0.15MPa以上)することにより発生する圧力壁である。
そして、レーザ加工においては、図5(a)に示されるように、上記ガスノズル20からの吹き付けガスG1を上記同軸方向にて噴射しつつ、レーザ照射部10から加工物200の表面201の目標点202にレーザ光Lを照射することによって、加工溝203が形成される。このとき、図5(a)中の黒点に示されるように、ドロスDが発生する。
ここで、上記ガスウォールGWが発生すると、図5(a)中の矢印Yに示されるように、加工物200の表面201から飛散していくはずのドロスDが、ガスウォールGWによって押さえ付けられてしまい、加工溝203内に残りやすくなる。
特に、複数回のレーザ照射で切断加工する場合は、1回のレーザ照射では加工溝203が貫通しないため、加工完了までに加工溝203内にドロスDが溜まりやすい。そして、加工溝203内にドロスDが付着して残ると、次のレーザ照射時には、ドロスDに遮られて加工物200までレーザ光Lが届きにくくなる。そのため、加工完了までに要するレーザ照射回数が多くなる等の問題が生じる。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、加工物の表面の目標点にレーザ光を照射して当該目標点を溶融させて加工するレーザ加工装置において、加工溝内にドロスが溜まらないようにドロスを適切に除去できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、加工物(200)の表面(201)の目標点(202)にレーザ光を照射して当該目標点を溶融させて加工するレーザ加工装置であって、
加工物と対向して設けられ加工物に対してレーザ光を照射するレーザ照射部(10)と、目標点の側方に環状に設けられ加工物に向けてガスを噴射する3個以上のガスノズル(20)と、を備え、ガスノズルのそれぞれにおいて、ガスの噴射角度(θ)は、加工物の表面に対して同一な鋭角とされており、ガスノズルのそれぞれにおいて、ガスの噴射方向軸(21)は、目標点から所定距離(a1)オフセットして外れた位置を向いており、このオフセットの所定距離はすべてのガスノズルで同一距離とされており、それぞれのガスノズルから噴射されたガスは、目標点回りに旋回する渦流れを形成するようになっていることを特徴とする。
それによれば、3個以上のガスノズルを目標点回りに環状に配置し、各ガスノズルのガス噴射方向軸を目標点から同一距離、オフセットさせるとともに、さらにガスの噴射角度を加工物の表面に対して鋭角にすることで斜め方向から噴射する構成となる。
そのため、すべてのガスノズルから噴射されたガスが目標点に集中せず、目標点から同一距離、離れた部位に吹き付けられることになる。これにより、すべてガスノズルからのガスが1点に集中することによるガス圧力の上昇が防止でき、ひいてはガスウォールの形成を防止できる。
また、この構成により、上記した渦流れが形成されるから、目標点に形成される加工溝内のドロスを適切に吹き上げて除去することが可能となる。また、一方向からのガス噴射では、曲線状の溝加工の場合、加工溝内のドロスを除去しにくいが、渦流れなので当該曲線加工にも対応できる。よって、本発明によれば、加工溝内にドロスが溜まらないようにドロスを適切に除去することができる。
また、請求項6に記載の発明は、加工物(200)と対向して設けられ加工物の表面(201)の目標点(202)に対してレーザ光を照射するレーザ照射部(10)と、目標点の側方に環状に設けられ加工物に向けてガスを噴射する3個以上のガスノズル(20)と、を備えるレーザ加工装置を用いて、加工物を加工するレーザ加工方法であり、さらに、次のような特徴点を有するものである。
・レーザ照射部から、目標点にレーザ光を照射して当該目標点を溶融させるレーザ照射工程と、レーザ光の照射時に3個以上のガスノズルから、加工物に向けてガスを噴射するガス噴射工程と、を備えること。
・ガス噴射工程では、ガスノズルのそれぞれにおいて、ガスの噴射角度(θ)を、加工物の表面に対して同一な鋭角とするとともに、ガスの噴射方向軸(21)を、目標点から所定距離(a1)オフセットして外れた位置に向けつつ、このオフセットの所定距離をすべての前記ガスノズルで同一距離とした状態とし、この状態で、それぞれのガスノズルからガスを噴射することにより、当該噴射されたガスによって、目標点回りに旋回する渦流れを形成するようにしたこと。請求項6は、このような特徴点を有するレーザ加工方法を提供するものである。
それによれば、上記請求項1に記載のレーザ加工装置を用いて、加工溝内にドロスが溜まらないようにドロスを適切に除去することのできるレーザ加工方法を実現することができる。
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
本発明の実施形態にかかるレーザ加工装置を示す概略断面図である。 図1中のヘッド近傍を拡大して示す概略断面図である。 図1中の複数個のガスノズルの平面的な配置関係を示す概略平面図である。 図1中のガスノズルによるガスの噴射角度とガス流れの様子を示す図である。 ガスウォールの発生メカニズムを示す図であり、(a)はガスウォールによるドロスの跳ね返りの様子を示す一部切り欠き断面図、(b)はガスウォールを発生するガス流れの様子を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各図相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
まず、本実施形態にかかるレーザ加工装置について、図1〜図4を参照して述べる。このレーザ加工装置は、たとえば自動車などの車両に搭載される車両用の各種電子装置における部品を加工、製造するための装置として適用されるものである。
本実施形態のレーザ加工装置は、加工物200の表面201の目標点202にレーザ光を照射して当該目標点202を溶融させて加工するものである。具体的には、当該目標点202にて加工溝を形成するものである。
このレーザ加工装置は、大きくは、加工物200と対向して設けられ加工物200に対してレーザ光を照射するレーザ照射部10と、目標点202の側方に環状に設けられ加工物200に向けてガスを噴射する3個以上のガスノズル20と、を備えて構成されている。ここでは、ガスノズル20は4個設けられている(図4参照)。
加工物200はSiCやSi等の半導体、金属、セラミックあるいは樹脂等よりなる。ここで、目標点202とは、レーザ光が照射される点(照射点)であり、この目標点202にて加工溝が形成されるようになっている。
図1に示されるように、レーザ照射部10は、レーザ光を発振する光源11と、光源11から発振されたレーザ光を目標点202にて集約するためのレンズ12とにより構成されている。ここで、光源11から発振されるレーザ光としては、YAG、CO2(二酸化炭素)、半導体等のレーザが挙げられる。そして、図1に示されるレーザ光の照射軸13に沿って、レーザ光はレーザ照射部10から目標点202に到達する。
なお、本実施形態では、図1に示されるように、レーザ照射部10の下方において、後述する中空部51とレーザ照射部10との間、具体的には中空部51とレンズ12との間には、レーザ照射部10を保護する保護フィルタ14が設けられている。この保護フィルタ14は、レーザ光を透過するがドロス等の汚れを透過しないものであり、材質は限定しないが、たとえばガラス等よりなる。
そして、図1、図2に示されるように、4個のガスノズル20は、一体部材30におけるヘッド40に一体に設けられている。ここで、一体部材30は、目標点202とレーザ照射部10および保護フィルタ14との間に配置されたもので、ヘッド40と中空構造体50とが一体化されたものである。
中空構造体50は、レーザ光の照射軸13方向に延びる中空部51を有する円筒状をなすものである(図1、図2参照)。この中空部51は、目標点202に面して開口する円柱状の空間形状をなしており、レーザ照射部10からのレーザ光を目標点202まで通すものである。
図1、図2に示されるように、ヘッド40は、中空構造体50の先端部(目標点202側の端部)に位置し、円筒形状である中空構造体50よりも外径が大きく突出する円筒形状をなしている。このようなヘッド40および中空構造体50よりなる一体部材30は、アルミニウム等の金属よりなる。
ここで、一体部材30の表面、特に、レーザ光に面する表面である中空部51の内面やヘッド40の表面には、黒色処理がなされ、レーザ光によるダメージを防止するようにしている。このような黒色処理は、たとえば、アルミニウムに対するアルマイト処理等によりなされている。
そして、図1〜図4に示されるように、それぞれのガスノズル20は、ヘッド40内にて細長の直線的な円筒状の通路として構成されている。このガスノズル20は、限定するものではないが、たとえば直径1mmの円筒とされる。それぞれのガスノズル20からは、加工物200の表面201に向けてガスが噴射されるようになっている。
このガスは典型的には空気だが、その他、窒素や不活性ガス等が使用される。具体的には、ガスノズル20に対して、図示しない配管を介して工業エアやガスボンベからガスが送られるようになっている。ここで、ガスの噴射圧、すなわち吹き付け圧力は、限定するものではないが、たとえば0.6MPa程度である。
また、本実施形態では、図2、図3に示されるように、4個のガスノズル20のそれぞれにおいて、ガスの噴射角度θは、加工物200の表面201に対して4個ともに同一な鋭角とされている。ここでは、ガスの噴射角度θとは、円筒状通路であるガスノズル20の中心軸と加工物200の表面201とのなす角度である。
ここで、このガスの噴射角度θは30°以下であることが望ましい。本発明者の実験やシミュレーションによれば、ガスの噴射角度θを30°以下とすれば、跳ね返りガスG2が少なくなり、圧力上昇が抑えられ、ガスウォールの発生を防止できることを確認している。
なお、ガスの噴射角度θが30°を超えると、図3中の矢印に示されるように、吹き付けガスG1と跳ね返りガスG2とが発生し、これらが衝突することでガスウォールGWが発生しやすくなる。さらに、ガスの噴射角度θを25°以下とすれば、より確実にガスウォールGWの発生防止を行える。
また、本実施形態では、図4に示されるように、目標点202の側方に環状に設けられた4個のガスノズル20は、目標点202を中心に対称的に配置されている。そして、図2、図4に示されるように、ガスノズル20のそれぞれにおいて、ガスの噴射方向軸21は、目標点202から所定距離a1、オフセットして外れた位置を向いており、このオフセットの所定距離a1はすべてのガスノズル20で同一距離とされている。
なお、本実施形態では、ガスの噴射方向軸21は、上記した円筒状通路であるガスノズル20の中心軸であり、この噴射方向軸21と加工物200の表面201とのなす角度が、上記したガスの噴射角度θである。
つまり、上記オフセット構成とは、ガスの噴射方向軸21が、目標点202を向いておらず、目標点202よりも外側に所定距離a1、離れた点を向いていることを意味する。さらに言うならば、それぞれのガスノズル20におけるガスの噴射方向軸21が加工物200の表面201と交わる点は、目標点202を中心として当該所定距離a1を半径とする円周上に位置している。
たとえば、このオフセットの所定距離a1は、限定するものではないが、各ガスノズル20について0.5mmである。なお、オフセットの所定距離a1がすべてのガスノズル20で同一距離であることとは、完全に同一であることのみを意味するものではなく、加工誤差や組み付け誤差等を含めて均等論の範囲で同一であることを意味するものであることはもちろんである。
そして、本実施形態では、3個以上(本実施形態では4個)のガスノズル20を目標点202回りに環状に配置し、さらに上記オフセット構成とすることで、それぞれのガスノズル20から噴射されたガスは、加工物200の表面201上にて目標点202回りに旋回する渦流れF1を形成するようになっている。
ここで、渦流れF1は、図1中の2個の波線矢印で示してある。この渦流れF1は、上記オフセット構成により、各ガスノズル20からのガスが合成された流れとなって、当該ガスが目標点202回りに旋回するものであり、加工物200の表面201の上方に向かって旋回していくものである。
ここでは、目標点202の上方に中空構造体50の中空部51が設けられているため、図1に示されるように、渦流れF1は、レーザ照射部10に向かって中空部51内を昇っていく。これにより、渦流れF1とともにドロスが中空部51に入っていくようにすることができるため、ドロスが加工物200の表面201に散在しにくくなるという利点がある。
さらに言えば、中空部51の開口サイズは、上記したオフセットの所定距離a1を半径とする円よりも大きいことが望ましい。それによれば、中空部51の開口サイズを渦流れF1における旋回の直径よりも大きいものにできることから、ドロスが、渦流れF1とともに、より中空部51に入り込みやすくなる。
ここで、図2に示されるようにヘッド40の先端面と加工物200の表面201とは離れていることはもちろんであるが、これら両者の距離a2は、たとえば1mm程度であることが望ましい。これにより、渦流れF1が適切に中空部51に入っていく。この距離a2が大きすぎると、渦流れF1の一部が中空部51に入らず、ヘッド40の先端面に沿って中空部51の側方にはみ出してしまいやすくなる。
また、本実施形態では、ここで、図1に示されるように、一体部材30は、中空構造体50における上端側(レーザ照射部10側)にて、金属等よりなる支持部材70に固定されて支持されている。また、上述したが、レーザ照射部10と中空部51との間には、保護フィルタ14が設けられている。
ここにおいて、本実施形態では、保護フィルタ14の側方に位置する支持部材70の部分に、ブローガスノズル60が設けられている。このブローガスノズル60は、中空部51と保護フィルタ14との間に対して、レーザ光の照射軸13と直交する方向にブローガスBGを噴射するものである。
このブローガスBGは、上記ガスノズル20からのガスと同様、典型的には空気だが、その他、窒素や不活性ガス等が使用される。具体的には、ブローガスノズル60に対して、図示しない配管を介して工業エアやガスボンベからガスが送られるようになっている。このブローガスBGの噴射圧、すなわち吹き付け圧力は、限定するものではないが、たとえば最大0.6MPa程度である。
このブローガスノズル60を備えた構成によれば、渦流れF1によって中空部51からレーザ照射部10側へ上がってくるドロスを、保護フィルタ14に到達する前にブローガスBGで吹き飛ばして除去できる。そのため、保護フィルタ14へのドロスの付着を防止することができる。
もし、ドロスが保護フィルタ14に付着してしまうと、保護フィルタ14を通過するレーザ透過率が低下し、レーザ光による加工物200の加工ができなくなってしまう。しかし、本実施形態によれば、そのような不具合を回避できる。
なお、中空部51と保護フィルタ14とが接近し過ぎて当該両者の間隔が狭くなりすぎると、当該間隔にブローガスノズル60を通過させてドロスを除去するには、かなりの吹き付け圧力を要するものになってしまう。そのため、当該間隔は或る程度の広さを持つことが望ましい。
限定するものではないが、たとえば、図1に示されるブローガスノズル60の中心軸と保護フィルタ14との距離a3は10mm程度、ブローガスノズル60の中心軸と中空部51との距離は15mm程度である。
以上のように、本実施形態によれば、4個のガスノズル20を加工物200の表面201上にて目標点202回りに環状に配置し、各ガスノズル20のガスの噴射方向軸21を目標点202から同一の所定距離a1、オフセットさせている。さらに、ガスの噴射角度θを加工物200の表面201に対して鋭角にすることで斜め方向から噴射する構成とされている。
そのため、本実施形態のレーザ加工装置によれば、すべてのガスノズル20から噴射されたガスが目標点202に集中することなく、目標点202から同一距離、離れた部位に吹き付けられることになる。これにより、すべてガスノズル20からのガスが1点に集中することによるガス圧力の上昇が防止でき、ひいてはガスウォールGWの形成を防止することができる。
また、ガスの噴射角度θを30°以下とした場合でも、当該ガスの1点集中による圧力上昇が発生するとガスウォールGWが発生する可能性があるが、所定距離a1、オフセットする構成によって、当該ガスの一点集中が防止できるので、ガスウォールGW発生の懸念は無くなる。
また、上記オフセット構成により、上記渦流れF1が形成されるから、目標点202に形成される加工溝内のドロスを適切に吹き上げて除去することが可能となる。さらに、上述のように、渦流れF1を中空部51内に入って行くようにすることで、加工物200の表面201におけるドロスの散在を防止することができ、好ましい。
また、仮に、ガスノズル20が1個の場合、ガスの噴射は一方向からとなる。この場合、直線的な加工溝を形成する場合にはさほど問題無いが、曲線状の加工溝を形成する場合には、曲がっていく加工溝内にガスを吹き付けるために1個のガスノズル20を回転させる等の動作が必要となる。
しかし、本実施形態では、4個のガスノズル20からのガスによってガスの渦流れF1が形成されるので、加工溝が曲がって行ったとしても、それに合わせて各ガスノズル20を移動させることなく、加工溝内のドロスを、ガスによって吹き上げることが可能となる。つまり、本実施形態によれば、曲線加工にも適切に対応が可能となる。
このように、本実施形態によれば、加工物200の表面201の目標点202にレーザ光を照射して当該目標点202を溶融させて加工するレーザ加工装置として、曲線加工にも適切に対応しつつ、加工溝内にドロスが溜まらないようにドロスを適切に除去できる装置が提供される。
また、本実施形態では、すべてのガスノズル20は、ヘッド40に一体に設けられることで単一の部材で構成されている。そのため、各ガスノズル20が独立した部材である場合に比べて、ガスノズル20を装置に組み付ける際に、当該組み付けの簡素化や、当該組み付けによる各ガスノズル20同士の位置ずれを防止できる等の利点がある。
また、本実施形態によれば、本実施形態のレーザ加工装置を用いて、曲線加工にも適切に対応しつつ、加工溝内にドロスが溜まらないようにドロスを適切に除去できるレーザ加工方法が提供される。
具体的に、このレーザ加工方法は、加工物200と対向して設けられ加工物200の表面201の目標点202に対してレーザ光を照射するレーザ照射部10と、目標点202の側方に環状に設けられ加工物に向けてガスを噴射する4個のガスノズル20と、を備えるレーザ加工装置を用いて、加工物200を加工するレーザ加工方法である。
このレーザ加工方法では、レーザ照射部10から、目標点202にレーザ光を照射して当該目標点202を溶融させるレーザ照射工程と、レーザ光の照射時に4個のガスノズル20から、加工物200に向けてガスを噴射するガス噴射工程と、を備える。つまり、加工物200を加工するレーザ照射工程と、加工時に発生するドロスを除去するガス噴射工程とを、同時に行うことで、加工を行うものである。
ここにおいて、上記ガス噴射工程では、ガスノズル20のそれぞれにおいて、ガスの噴射角度θを、加工物200の表面201に対して同一な鋭角とする。それとともに、ガスの噴射方向軸21を、目標点202から所定距離a1、オフセットして外れた位置に向けつつ、このオフセットの所定距離a1をすべてのガスノズル20で同一距離とした状態とする。
そして、上記ガス噴射工程では、この状態で、それぞれのガスノズル20からガスを噴射することにより、当該噴射されたガスによって、目標点200回りに旋回する渦流れF1を形成するようにしている。本実施形態によれば、このような特徴点を有するレーザ加工方法が実現される。
それによれば、上記した本実施形態のレーザ加工装置を用いて、加工溝内にドロスが溜まらないようにドロスを適切に除去することのできるレーザ加工方法を提供することができるのである。
(他の実施形態)
なお、ガスノズル20は、上記した目標点202回りの環状配置、噴射角度θおよびオフセット構成を持つものであれば、3個以上であればよい。3個以上であれば上記渦流れF1を形成できるためである。すなわち、ガスノズル20は上記した4個以外にも、3個でもよいし、5個以上であってもよい。
また、上記したオフセットの所定距離a1、加工物200の表面201とヘッド40との距離a2については、ガスノズル20の径、ヘッド40の径、中空部51の径等のパラメータにより、適宜変動するものである。
また、上記したレーザ加工装置におけるレーザ照射部10、保護フィルタ14、支持部材70、および、一体部材30といった各部材は、適宜、図示しない筺体等に固定されて組み付けられたものであることはもちろんである。
また、レーザ加工装置としては、少なくとも上記したレーザ照射部10と、複数個のガスノズル20を有するものであればよく、たとえば、上記した中空構造体50やブローガスノズル60は省略された構成であってもよい。
仮に、中空構造体50やブローガスノズル60が省略されたものであっても、上記したオフセット構成を備えていることにより、ガスウォール発生防止および渦流れF1による加工溝内のドロス除去という格段の効果が発揮されることは言うまでもない。
また、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能であり、また、上記各実施形態は、上記の図示例に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
10 レーザ照射部
20 ガスノズル
21 ガスの噴射方向軸
200 加工物
201 加工物の表面
202 目標点
a1 オフセットの所定距離
θ ガスの噴射角度

Claims (7)

  1. 加工物(200)の表面(201)の目標点(202)にレーザ光を照射して当該目標点を溶融させて加工するレーザ加工装置であって、
    前記加工物と対向して設けられ前記加工物に対して前記レーザ光を照射するレーザ照射部(10)と、
    前記目標点の側方に環状に設けられ前記加工物に向けてガスを噴射する3個以上のガスノズル(20)と、を備え、
    前記ガスノズルのそれぞれにおいて、前記ガスの噴射角度(θ)は、前記加工物の表面に対して同一な鋭角とされており、
    前記ガスノズルのそれぞれにおいて、前記ガスの噴射方向軸(21)は、前記目標点から所定距離(a1)オフセットして外れた位置を向いており、このオフセットの所定距離はすべての前記ガスノズルで同一距離とされており、
    それぞれの前記ガスノズルから噴射された前記ガスは、前記目標点回りに旋回する渦流れを形成するようになっていることを特徴とするレーザ加工装置。
  2. 前記ガスの噴射角度は30°以下であることを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
  3. 前記目標点と前記レーザ照射部との間には、前記レーザ光の照射軸(13)方向に延びるとともに前記目標点に面して開口する円柱状の空間形状をなし、且つ、前記レーザ光が通る中空部(51)を有する中空構造体(50)が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ加工装置。
  4. 前記中空部の開口サイズは、前記オフセットの所定距離を半径とする円よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載のレーザ加工装置。
  5. 前記レーザ照射部と前記中空部との間には、前記レーザ照射部を保護する保護フィルタ(14)が設けられており、
    前記保護フィルタの側方には、前記中空部と前記保護フィルタとの間に対して、前記レーザ光の照射軸と直交する方向にブローガスを噴射するブローガスノズル(60)が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載のレーザ加工装置。
  6. 加工物(200)と対向して設けられ前記加工物の表面(201)の目標点(202)に対してレーザ光を照射するレーザ照射部(10)と、前記目標点の側方に環状に設けられ前記加工物に向けてガスを噴射する3個以上のガスノズル(20)と、を備えるレーザ加工装置を用いて、
    前記加工物を加工するレーザ加工方法であって、
    前記レーザ照射部から、前記目標点に前記レーザ光を照射して当該目標点を溶融させるレーザ照射工程と、
    前記レーザ光の照射時に前記3個以上のガスノズルから、前記加工物に向けて前記ガスを噴射するガス噴射工程と、を備えており、
    前記ガス噴射工程では、前記ガスノズルのそれぞれにおいて、前記ガスの噴射角度(θ)を、前記加工物の表面に対して同一な鋭角とするとともに、前記ガスの噴射方向軸(21)を、前記目標点から所定距離(a1)オフセットして外れた位置に向けつつ、このオフセットの所定距離をすべての前記ガスノズルで同一距離とした状態とし、
    この状態で、それぞれの前記ガスノズルから前記ガスを噴射することにより、当該噴射された前記ガスによって、前記目標点回りに旋回する渦流れを形成するようにしたことを特徴とするレーザ加工方法。
  7. 前記ガスの噴射角度を30°以下とすることを特徴とする請求項6に記載のレーザ加工方法。
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