JP7238291B2 - ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型及びその製造方法、並びにビーズ法発泡性合成樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型及びその製造方法、並びにビーズ法発泡性合成樹脂成形品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7238291B2
JP7238291B2 JP2018147050A JP2018147050A JP7238291B2 JP 7238291 B2 JP7238291 B2 JP 7238291B2 JP 2018147050 A JP2018147050 A JP 2018147050A JP 2018147050 A JP2018147050 A JP 2018147050A JP 7238291 B2 JP7238291 B2 JP 7238291B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
slit
synthetic resin
molding
bead method
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018147050A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020019266A (ja
Inventor
隆夫 羽根
輝久二 河野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hane Co Ltd
Original Assignee
Hane Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hane Co Ltd filed Critical Hane Co Ltd
Priority to JP2018147050A priority Critical patent/JP7238291B2/ja
Publication of JP2020019266A publication Critical patent/JP2020019266A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7238291B2 publication Critical patent/JP7238291B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Molding Of Porous Articles (AREA)

Description

本発明は、断熱容器、包装材等に使用されるビーズ法発泡性合成樹脂を成形するための金型及びその製造方法、並びに前記金型を用いて発泡性合成樹脂の成形品を製造するビーズ法発泡性合成樹脂成形品の製造方法に関する。
ビーズ法発泡性合成樹脂成形は、キャビティ型(凹型)及びコア型(凸型)からなる一対の金型により形成される成形空間(キャビティ)に熱可塑性樹脂の発泡性ビーズを充填し、前記発泡性ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して所要形状の成形品を得るものである。
前記一対の金型であるビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型は、外部から成形空間内への蒸気の供給、及び成形空間内からの外部への蒸気の排出をするために、金型の内外に連通する蒸気孔が必要となる。
ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型として、一般的に使用されているコアベントのみにより蒸気孔を設けるのではなく、キャビティ型及びコア型の全面又は一部にスリット状の蒸気孔を直接設け、必要に応じてコアベントを併用するものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型として、コアベントを減らすか又は無くして、キャビティ型及びコア型にスリット状の蒸気孔を直接設けたものがある(例えば、特許文献2参照)。
ここで、特許文献1における金型のスリット状の蒸気孔は、立型マシニングセンターによる溝切り加工で形成される(特許文献1の[0038]の「溝切り機(商品名:VM7 III型、大阪機工社製)」参照)。
また、特許文献2における金型のスリット状の蒸気孔は、横型マシニングセンターの主軸に取り付けたメタルソーにより形成される(特許文献2の[請求項1]及び[0018]参照)。
さらに、特許文献2には、前記スリット状の蒸気孔の形成を、「レーザ加工機又はワイヤ放電加工機による除去加工により行うこともできる」という記載がある(特許文献2の[0019]参照)。
特許第6161162号公報 特許第6245215号公報
金型のスリット状の蒸気孔は、特許文献1のような立型マシニングセンターによる溝切り加工により形成するよりも、特許文献2のように横型マシニングセンターの水平の主軸に取り付けたメタルソーにより形成する方が、メタルソーの外周面の切れ刃による切削加工により効率的に加工できる。
その上、例えば横型マシニングセンターの4軸を活用して、金型の4面に関して手作業による面替えをすることなく一気に加工することにより、さらに効率的な加工が可能になる。
したがって、特許文献2のように横型マシニングセンターの水平の主軸に取り付けたメタルソーにより前記スリット状の蒸気孔を形成することにより、加工時間を短縮できる。
しかしながら、成形品の表面性状の美麗性を高めるために、前記スリット状の蒸気孔の幅、すなわちメタルソーの刃幅(特許文献2では、0.1mm~0.7mmの範囲)を小さくすると、前記スリット状の蒸気孔により所要開口率を確保する必要があることから、より多数の前記スリット状の蒸気孔を形成する必要があるので加工時間が増大してしまう。
よって、特許文献2のような横型マシニングセンターの水平の主軸に取り付けたメタルソーにより金型のスリット状の蒸気孔を効率的に加工する方法においても、加工時間をより短縮するという観点から見ると改良の余地がある。
その上、前記スリット状の蒸気孔の幅を比較的大きくした場合であっても、前記スリット状の蒸気孔の幅が小さい場合よりも前記スリット状の蒸気孔の個数は減るが、依然として前記スリット状の蒸気孔は多数であるので、加工時間をより短縮することが望ましいと言える。
金型にスリット状の蒸気孔を形成する加工時間を短縮するための加工方法として、特許文献2に記載があるレーザ加工機による除去加工が考えられる。
レーザ加工機による除去加工により金型にスリット状の蒸気孔を形成する場合、レーザ加工機のレーザ発振器で出力したレーザ光を集光し、加工ヘッドから所定箇所にレーザ光を照射して対象物を溶融させ、同時に加工ヘッドのレーザと同軸に取り付けたノズルからアシストガスを噴き付け、加工ヘッドを移動させながら対象物の切断を行うレーザ切断の技術を応用することになる。
レーザ加工機による除去加工でスリット状の蒸気孔を形成する場合、多数のベントホールにコアベントをハンマ等で打ち込む作業が不要になるとともに、メタルソーによる切削加工等の接触加工を行わないので、前記作業や接触加工に耐える強度を備える必要がないことから金型の肉厚を薄くできる。
しかしながら、ビーズ法発泡性合成樹脂成形では、金型により形成される成形空間に加圧した蒸気を吹き込んでビーズ同士を加熱溶融させる必要があるので、その際の圧力に抗する強度及び剛性が金型に求められる。したがって、金型の肉厚には当然制約があり、金型の大きさ等に応じて5~10mm程度の肉厚は必要となる。
また、金型はアルミニウム合金製であるため、レーザ光の反射率が高く、熱伝導率が大きい。
このような特性を有する金型に対して、レーザ加工機による除去加工で所要形状のスリット状の蒸気孔を形成することは難しいことが想定される。そこで、本願の発明者らは、レーザ加工機による除去加工で金型にスリット状の蒸気孔(以下、単に「スリット」という場合がある)を形成する基礎的な実験を行った。
アルミニウム合金鋳物(AC4A)で製作した6.4mmの厚さのキャビティ型及びコア型に対し、0.3mm程度の幅のスリットの加工を目論み、4kWのファイバーレーザ加工機を用い、ピアシング孔を加工する際のアシストガスを酸素、スリットを加工する際のアシストガスを窒素とし、スリットを加工する際のアシストガスである窒素の圧力を、1.5MPaとし、1500mm/minの速度で加工を行った。
その結果、レーザ光の入射面側のスリットは、図10(a)の拡大写真に示すように綺麗であったが、レーザ光の入射面の反対面側のスリットは、研削加工によるドロス除去後である図10(b)の拡大写真に示すように綺麗ではなく、凸凹が多くあり、ドラグラインで大きく波打っていた。
このようにスリットが大きく波打っている場合、その凸凹部へ成形の際に樹脂が入り込んで離型時に樹脂が千切れやすくなり、スリットが詰りやすくなる。その上、スリットに詰った樹脂を除去するための掃除用の板材がスリットに入りにくいので掃除がしにくくなる。
また、ドロス除去前の状態である図11のスリット内面の拡大写真に示すように、レーザ光の入射面の反対面側に近い範囲の条痕が粗く、レーザ光の入射面の反対面にドロスが大量に付着して突出していた。
このようにドロスが突出している面が成形空間側である場合、ドロスを除去するために、研削加工等の機械加工を行う必要がある。
以上のとおり、ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型に対し、レーザ加工機による除去加工でスリット状の蒸気孔を形成することを実用化するのは容易ではなく、前記基礎的な実験の結果における不具合を解消する必要がある。
そこで本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型に対し、レーザ加工機による除去加工でスリット状の蒸気孔を形成することを実用化し、スリット状の蒸気孔を形成する加工時間を短縮できるビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型及びその製造方法、並びにビーズ法発泡性合成樹脂成形品の製造方法を提供する点にある。
本願の発明者らは、ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型に対し、レーザ加工機による除去加工でスリット状の蒸気孔を形成する技術について鋭意検討を行った。
本願の発明者らは、
(a)レーザ加工機による除去加工でスリット状の蒸気孔を形成するビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型は、所要の強度及び剛性を確保するため、その大きさ等に応じて5~10mm程度の比較的厚い肉厚が必要になる、
(b)ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型は、アルムニウム合金製であるのでレーザ光の反射率が高く熱伝導率が大きい、
(c)スリット状の蒸気孔の幅は、成形品の表面性状の美麗性を高めるために小さくするのが好ましい、
という前記金型の特性に着目した。
そして、本願の発明者らは、金型の肉厚が厚くなるほど、母材に熱が逃げやすくなり、レーザ光の入射面の温度が低くなるので、焦点位置より深くなるほど溶融しにくくなり、それにより前記基礎的な実験の結果における不具合が生じていると考えた。
このような知見に基づき、本願の発明者らは、ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型に対し、レーザ加工機による除去加工でスリット状の蒸気孔を形成することを実用化するための金型の形状やレーザ加工機による加工方法について具体的に検討を行い、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
〔1〕キャビティ型及びコア型からなる一対の金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡性ビーズを充填し、前記発泡性ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して所要形状の発泡性合成樹脂の成形品を得るビーズ法発泡性合成樹脂成形に用いる前記金型であって、
前記金型は、アルミニウム合金製であり、
立体形状の前記金型の所要箇所に、前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すための、前記金型自体に直接形成したスリット状の蒸気孔を有し、
前記スリット状の蒸気孔は、レーザ加工機による除去加工で形成されたものであり、
隣接する前記スリット状の蒸気孔の間隔は、10mm~50mmであり、
前記金型に前記スリット状の蒸気孔を設ける箇所における、前記成形空間と反対側の面に、前記スリット状の蒸気孔まわりの肉厚をその他の部分よりも薄肉にする肉盗み部を、一つの前記スリット状の蒸気孔に対して一つ設けてなることを特徴とするビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型。
〔2〕前記肉盗み部は、
前記キャビティ型及び前記コア型を削り出す際に形成、
前記キャビティ型及び前記コア型を鋳造する鋳型で形成、又は
前記キャビティ型及び前記コア型を鋳造した後に機械加工で形成
してなる、
前記〔1〕記載のビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型。
〔3〕前記肉盗み部を設けた箇所の肉厚は、3~6mmであり、
前記肉盗み部を設けない箇所の肉厚は、5~10mmである、
前記〔1〕又は〔2〕に記載のビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型。
〔4〕キャビティ型及びコア型からなる一対の金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡性ビーズを充填し、前記発泡性ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して所要形状の発泡性合成樹脂の成形品を得るビーズ法発泡性合成樹脂成形に用いる前記金型の製造方法であって、
前記金型は、アルミニウム合金製であり、
前記一対の金型を、削り出し及び/又は鋳造により形成する金型形成工程と、
前記一対の金型に対して、スリット状の蒸気孔をレーザ加工機による除去加工で形成する蒸気孔形成工程と、
を含み、
隣接する前記スリット状の蒸気孔の間隔は、10mm~50mmであり、
前記金型形成工程で前記一対の金型を形成する際に、前記金型の成形空間と反対側の面に、前記スリット状の蒸気孔を形成する箇所及びそのまわりの肉厚を、その他の部分よりも薄肉にする肉盗み部を形成、又は、
前記金型形成工程で前記一対の金型を形成した後に機械加工で前記肉盗み部を形成し、
前記肉盗み部は、一つの前記スリット状の蒸気孔に対して一つ設けられ、
前記蒸気孔形成工程では、
前記レーザ加工機がピアシング孔を除去加工で開けた後に、前記レーザ加工機が前記スリット状の蒸気孔を除去加工する際のアシストガスを空気とし、
前記レーザ加工機の加工ヘッドにおける、レーザと同軸に取り付けたノズルから噴出する前記空気の圧力を、0.5~2.0MPaしてなることを特徴とするビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型の製造方法。
〔5〕前記ピアシング孔を除去加工する際のアシストガスを空気としてなる、
前記〔4〕に記載のビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型の製造方法。
〔6〕前記金型における前記スリット状の蒸気孔を形成する箇所の肉厚は、3~6mmである、
前記〔4〕又は〔5〕に記載のビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型の製造方法。
〔7〕前記レーザ加工機は、ファイバーレーザ加工機である、
前記〔4〕~〔6〕の何れか1項に記載のビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型の製造方法。
〔8〕前記〔1〕~〔3〕の何れかに記載のビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型、又は、前記〔4〕~〔7〕の何れか1項に記載のビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型の製造方法で製造されたビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型を用い、
前記金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡性ビーズを充填し、前記発泡性ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥することにより所要形状の発泡性合成樹脂の成形品を製造するビーズ法発泡性合成樹脂成形品の製造方法。
本発明に係るビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型、及びビーズ法発泡性合成樹脂成形品の製造方法によれば、主に以下のような顕著な作用効果を奏する。
(1)スリット状の蒸気孔(スリット)まわりの肉厚をその他の部分よりも薄肉にする肉盗み部を、一つのスリットに対して一つ設けることにより、レーザ加工機による除去加工でスリットを設ける箇所の肉厚を比較的薄くしていることから、母材に熱が逃げにくくなり、レーザ光の入射面の温度が低くなる傾向を防止できると共に、レーザ光の焦点位置より深い箇所が溶融しにくくならない。
(2)したがって、肉厚が比較的厚い金型にレーザ加工機による除去加工でスリットを形成する場合のようにレーザ光の入射面の反対面側のスリットの形状が大きく波打つことがなくなる。よって、成形の際にスリットの凸凹部へ樹脂が入り込んで離型時に樹脂が千切れやすくなってしまうという欠点が生じ難く、その結果スリットが詰りにくく、掃除用の板材をスリットの中に侵入させることによりスリットの掃除を容易に行うことが可能となる。
(3)また、肉厚が比較的厚い金型にレーザ加工機による除去加工でスリットを形成する場合のようにレーザ光の入射面の反対面側に近い範囲の条痕が粗くならず、レーザ光の入射面の反対面に付着するドロスを低減できる。よって、金型の成形空間側に付着したドロスを除去する機械加工の作業時間を大幅に短縮できる。
(4)一つのスリットに対して一つの肉盗み部を設けることによりスリットを設ける箇所の肉厚が薄くなることから、レーザ加工機による除去加工で金型にスリットを形成する際の加工速度を速くできるので、加工時間を短縮できる。
(5)スリットの近傍にのみ肉盗み部があるので金型の強度低下が少なく、肉盗み部を設けることにより金型の軽量化もできるので金型の取り扱いが容易になる。
(6)一つのスリットに対して一つの肉盗み部を設けることにより金型の熱容量が小さくなることから、ビーズ法発泡性合成樹脂成形における加熱冷却時間を短縮でき、それにより成形時間を短縮できるので生産性を向上できるとともに、省エネルギー化を図ることができる。
本発明に係るビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型の製造方法によれば、主に以下のような顕著な作用効果を奏する。
(1)スリット状の蒸気孔を除去加工する際のアシストガスが空気であるので、前記アシストガスを窒素とした場合と比べて、体積比で空気に約20%含まれる酸素による酸化反応熱が、アシストガスを100%酸素にした場合のように急激に作用しない範囲で、アルミニウム合金を溶融させるために効果的に作用する。
(2)したがって、スリット内面の条痕が細かくなり、ドラグラインの波打ちも小さく、レーザ光の入射面の反対面に付着するドロスの量も大幅に少なくなる。
(3)ピアシング孔を除去加工する際のアシストガスを空気にすることにより、アシストガスを100%酸素にした場合のように酸化反応熱が急激に作用しないため、ピアシング孔の径が適正な範囲に収まる。
(4)アシストガスを空気にすることにより、コンプレッサーを供給源にできるため、他のガスと比べてランニングコストを大幅に低減できるとともに、圧力を適正化することにより、一層ランニングコストを低減できる。
(5)スリット状の蒸気孔を除去加工する際のアシストガスを空気とし、アシストガスである空気の圧力を0.8~1.2MPaとすることにより、レーザ光の入射面の反対面側のスリットの凸凹をより少なくできる。
本発明の実施の形態に係るビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型のキャビティ型の斜視図である。 同じく分解斜視図である。 キャビティ型の要部拡大側面図である。 キャビティ型の本体の要部拡大部分断面斜視図である。 キャビティ型の底板の要部拡大部分断面斜視図である。 同じく縦断面側面図である。 スリットを加工する際のアシストガスが空気(1.5MPa)である場合の例を示す、スリット内面の拡大写真である。 肉盗み部の深さを変えることによりスリット状の蒸気孔まわりの肉厚を変えた例を示すスリット内面の拡大写真であり、(a)は前記肉厚が7.2mm、(b)は前記肉厚が6.1mm、(c)は前記肉厚が3.9mmである場合を示している。 レーザ光の入射面の反対面側のスリットの拡大写真であり、(a)はスリットを加工する際のアシストガスが窒素(1.5MPa)である場合、(b)は前記アシストガスが空気(1.0MPa)である場合、(c)は前記アシストガスが空気(1.5MPa)である場合、(d)は前記アシストガスが空気(2.0MPa)である場合を示している。 スリットを加工する際のアシストガスが窒素(1.5MPa)である場合の例を示す、(a)はレーザ光の入射面側のスリットの拡大写真であり、(b)はレーザ光の入射面の反対面側のスリットの拡大写真である。 図10の例におけるスリット内面の拡大写真である。
以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型は、キャビティ型(凹型)及びコア型(凸型)からなる一対の金型であるが、以下に示す図1ないし図6の例ではキャビティ型を代表させて説明する。
<ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型>
本発明の実施の形態に係るビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型1は、アルミニウム合金製であり、図1の斜視図に示すキャビティ型(凹型)2、及び図示しないコア型(凸型)からなり、削り出し及び/又は鋳造により立体形状に形成されたものであり、図示しない一般的な成形装置に取り付けて使用される。
本発明において、立体形状の金型を形成する「削り出し及び/又は鋳造」は、削り出し単体の金型、部分的な削り出し部分を組み立ててなる金型、鋳造単体の金型、部分的な鋳造部分を組み立ててなる金型、削り出し部分と鋳造部分を組み立ててなる金型等を含む広い概念を意味する。
図2の分解斜視図に示すように、キャビティ型2は、本体3及び底板4からなり、底板4の通孔4A,4A,…にボルト5,5,…を通して本体3の螺孔3A,3A,…に螺合することにより、本体3に底板4を組み付ける。図1及び図2に示す例では、寸法精度を出すために、別体として形成した本体3及び底板4をボルトにより締結してキャビティ型2としているが、キャビティ型2を最初から一体のものとして形成してもよい。
<ビーズ法発泡性合成樹脂成形>
ビーズ法発泡性合成樹脂成形は、ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型1を取り付けた成形装置を用いて、金型1により形成される成形空間に、原料充填口6,6から熱可塑性樹脂の発泡性ビーズを充填し、前記発泡性ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥した後に離型ピン用開口7,7,…から離型ピンを挿入して押し出すことにより、所要形状の発泡性合成樹脂の成形品を得るものである。
金型に充填する発泡性ビーズとは、発泡性ビーズを予備発泡して得られる予備発泡ビーズをも包含する概念である。
ビーズ法発泡性合成樹脂成形に用いる発泡性合成樹脂としては、例えば発泡性ポリオレフィン系樹脂又は発泡性ポリスチレン系樹脂を用いる。
前記発泡性合成樹脂が発泡性ポリオレフィン系樹脂であると、ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型1を用いて、強度や耐熱性に優れるとともに耐油性及び耐薬品性も有している成形品を成形できる。
また、前記発泡性合成樹脂が発泡性ポリスチレン系樹脂であると、ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型1を用いて、断熱性や衝撃吸収性に優れるともに軽量で低コストな成形品を成形できる。
<スリット状の蒸気孔(スリット)、及び肉盗み部>
図1及び図2に示すように、キャビティ型2には、それらの所要箇所に、内外に連通して蒸気を通すための蒸気孔A,A,…が、レーザ加工機による除去加工でスリット状に直接形成される。なお、図示しないコア型にも、同様のスリット状の蒸気孔A,A,…を、レーザ加工機による除去加工で直接形成する。
また、ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型1にスリットA,A,…を設ける箇所における、成形空間(成形空間側の面C)と反対側の面Dには、スリットA,A,…まわりの肉厚をその他の部分よりも薄肉にする肉盗み部B,B,…を設ける。
肉盗み部B,B,…は、
(a)ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型1をマシニングセンタ等で削り出す際に形成、
(b)ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型1を鋳造する鋳型で形成、及び
(c)ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型1を鋳造した後にマシニングセンタ等による機械加工で形成、
の何れかで形成する。
<ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型の製造方法>
ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型1の製造方法は、一対の金型(キャビティ型及びコア型)を、削り出し及び/又は鋳造により形成する金型形成工程と、前記一対の金型に対して、スリット状の蒸気孔A,A,…をレーザ加工機による除去加工で形成する蒸気孔形成工程とを含む。
前記蒸気孔形成工程では、先ずピアシング孔を開け、加工ヘッドを移動させながらスリット状の蒸気孔A,A,…を形成する。
レーザ加工機による除去加工は、レーザ発振器で出力したレーザ光を集光し、加工ヘッドから金型1の所定箇所にレーザ光を照射して所定箇所を溶融させ、同時に加工ヘッドのレーザと同軸に取り付けたノズルからアシストガスを噴き付けて溶融した金属をスリットAから排出することにより行う。
レーザ加工機がピアシング孔を加工する際のアシストガスは、例えば酸素又は空気とし、レーザ加工機がスリットを加工する際のアシストガスは、例えば窒素又は空気とする。
金型1にスリットAを形成するレーザ加工機は、ファイバーレーザ加工機を用いるのが好ましい。
ファイバーレーザは、レーザ媒質を細いファイバー状にし、この中に励起用の半導体レーザを導光することにより発振する、ファイバーそのものを増幅器にしたレーザ発振器であり、発振効率が高く、ビーム品質に優れている。
ファイバーレーザは、波長が短いため(1.06μm)反射率が低くなるとともに、スポット径を小さく絞ることができるため高エネルギー密度が得られるので、アルミニウム合金等の高反射材料へのスリットAの加工に適しており、スリットAの幅をより小さく加工できる。
ファイバーレーザを使用することにより、レーザ発振器用ガスは不要となり、アシストガスや電気代を、CO2レーザと比較して約70%~80%削減できる。
以上のとおり、金型1にスリットAを形成するレーザ加工機として、ファイバーレーザ加工機を用いるのが好適であるが、CO2レーザ加工機等のレーザ加工機を用いてもよい。
また、二次元レーザ加工機よりも三次元レーザ加工機を使用するのが好ましい。三次元レーザ加工機を使用することにより、金型1を一度機械にセットすれば、立体形状の金型1の製品に接する面全てにスリットA,A,…を加工できるため、加工時間をより短縮できるためである。
肉盗み部B,B,…が形成されたキャビティ型及びコア型に対して、キャビティ型は、例えば、成形空間と反対側からレーザ光を照射することによりスリットA,A,…を形成し、コア型は、例えば、成形空間側からレーザ光を照射することによりスリットA,A,…を形成する。キャビティ型に対して成形空間と反対側(ジャケット側)からレーザ光を照射するのは、キャビティ型の成形空間側にはレーザ加工機の加工ヘッドを入れるのが困難であるためである。
なお、本実施の形態のように、本体3と底板4を組み付けてキャビティ型2を形成する場合には、底板4に対しては、成形空間側からレーザ光を照射することによりスリット状の蒸気孔A,A,…を形成できる。
<スリット及び肉盗み部の諸元>
次に、スリット状の蒸気孔A、及び肉盗み部Bの寸法等の諸元について説明する。
図3の要部拡大側面図、図4の要部拡大部分断面斜視図、及び図5の要部拡大部分断面斜視図に示す、スリットAの幅Eは、0.1mm~1.0mmとするのが好ましい。
肉盗み部Bの幅Fは、肉盗み部Bがある側からレーザ光を照射する場合は、前記加工ヘッドとの干渉を避けるために10mm以上とするのが好ましい。
肉盗み部Bの幅Fは、コア型のように肉盗み部Bがない成形空間側からレーザ光を照射する場合は、前記加工ヘッドとの干渉を避ける必要がないので、10mm未満としてもよく、例えば2~5mmとしてもよい。
図3の要部拡大側面図に示す、スリットAの長さIは、10mm~100mmとし、肉盗み部Bの長さJは、スリットAの長さIよりも10mm以上長くするのが好ましい。
また、隣接するスリットA,Aの間隔Kは、10mm~50mmとするのが好ましい。
さらに、図6の縦断面側面図に示す、肉盗み部Bを設けた箇所の肉厚Gは、3mm~6mm、より好ましくは3~4mmとし、肉盗み部Bを設けない箇所の肉厚Hは、5mm~10mmとするのが好ましい。
<肉盗み部を設けたことによる作用効果>
ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型1にスリットAを設ける箇所における、成形空間(成形空間側の面C)と反対側の面Dに、スリットAまわりの肉厚Gをその他の部分よりも薄肉にする肉盗み部Bを設けることにより、レーザ加工機による除去加工でスリットAを設ける箇所の肉厚Gを比較的薄くしている。
それにより、母材に熱が逃げにくくなり、レーザ光の入射面の温度が低くならず、レーザ光の焦点位置より深い箇所が溶融しにくくならない。
したがって、肉厚が比較的厚い金型にレーザ加工機による除去加工でスリットを形成する場合のようにレーザ光の入射面の反対面側のスリットの形状が大きく波打つことがなくなる。よって、成形の際にスリットの凸凹部へ樹脂が入り込んで離型時に樹脂が千切れやすくなってしまうという欠点が生じ難く、その結果スリットが詰りにくく、掃除用の板材をスリットの中に侵入させることによりスリットの掃除を容易に行うことが可能となる。
その上、肉厚が比較的厚い金型にレーザ加工機による除去加工でスリットを形成する場合のようにレーザ光の入射面の反対面側に近い範囲の条痕が粗くならず、レーザ光の入射面の反対面に付着するドロスを低減できる。よって、金型の成形空間側に付着したドロスを除去する機械加工の作業時間を大幅に短縮できる。
また、肉盗み部B,B,…を設けることによりスリットAを設ける箇所の肉厚Gが薄くなることから、レーザ加工機による除去加工で金型1にスリットAを形成する際の加工速度を速くできるので、加工時間を短縮できる。
さらに、スリットAの近傍にのみ肉盗み部Bがあるので、金型1の強度低下が少ない。
さらにまた、肉盗み部B,B,…を設けることにより金型1の軽量化もできるので、金型の取り扱いが容易になる。
また、肉盗み部B,B,…を設けることにより金型1の熱容量が小さくなることから、ビーズ法発泡性合成樹脂成形における加熱冷却時間を短縮でき、それにより成形時間を短縮できるので生産性を向上できるとともに、省エネルギー化を図ることができる。
<スリット状の蒸気孔を除去加工する際のアシストガスの比較>
図11に示すスリット内面の拡大写真は、前記のとおり、アルミニウム合金鋳物(AC4A)で製作した6.4mmの厚さの金型に対し、4kWのファイバーレーザ加工機を用い、スリットを加工する際のアシストガスを窒素とし、レーザと同軸に取り付けたノズルから噴出する窒素の圧力を1.5MPaとし、1500mm/minの速度で加工を行った場合のものである。
それに対して、図7に示すスリット内面の拡大写真は、アルミニウム合金鋳物(AC4A)で製作した8.0mmの厚さの金型に対し、3kWのファイバーレーザ加工機を用い、スリットを加工する際のアシストガスを空気とし、レーザと同軸に取り付けたノズルから噴出する空気の圧力を1.5MPaとし、800mm/minの速度で加工を行った場合のものである。
図11のように前記アシストガスが窒素である場合と比較して、図7のように前記アシストガスが空気である場合は、スリット内面の条痕が細かくなり、レーザ光の入射面の反対面に付着するドロスの量も大幅に少なくなることが分かる。
その理由は、図7では8.0mmと比較的厚みのあるアルミニウム合金製の金型に対して、前記アシストガスが空気であるので、前記アシストガスを窒素とした場合と比べて、体積比で空気に約20%含まれる酸素による酸化反応熱が、アシストガスを100%酸素にした場合のように急激に作用しない範囲で、アルミニウム合金を溶融させるために効果的に作用したためであると考えられる。
レーザ加工機がピアシング孔を除去加工で開ける際におけるアシストガスについても、酸素から空気に変更すると、前記アシストガスが酸素である場合のようにピアシング孔の径が極端に大きくなったりばらつくことはなく、ピアシング孔の径が比較的小さくなることが分かった。その理由は、アシストガスを100%酸素にした場合のように酸化反応熱が急激に作用しないためであると考えられる。
例えば、圧力1.5MPaで比較すると、ピアシング孔の径は、アシストガスが酸素である場合は約0.8mmであったが、アシストガスが空気である場合は約0.5mmであった。
<スリット状の蒸気孔まわりの肉厚>
図8に示すスリット内面の拡大写真は、アルミニウム合金鋳物(AC4A)で製作した8.7mmの厚さの金型に形成する肉盗み部の深さを変えることにより、スリット状の蒸気孔まわりの肉厚を変えた例を示している。スリット状の蒸気孔まわりの肉厚は、図8(a)が7.2mm、図8(b)が6.1mm、図8(c)が3.9mmである。
図8(a)ないし図8(c)において、金型の成形空間側、すなわち肉盗み部が無い側をレーザ光の入射面としており、3kWのファイバーレーザ加工機を用い、スリットを加工する際のアシストガスを空気とし、レーザと同軸に取り付けたノズルから噴出する空気の圧力を1.5MPaとし、800mm/minの速度で加工を行った結果である。
図8(a)ないし図8(c)から、スリット状の蒸気孔まわりの肉厚が薄くなるほど、スリット内面の条痕が細かく、ドラグラインの波打ちも小さく、レーザ光の入射面の反対面のドロスの付着が少ないことが分かる。また、図8(b)のように前記肉厚が6.1mmであれば、ドラグラインの波打ちやドロスの付着をかなり抑制できることも分かる。
また、図8(a)ないし図8(c)では、加工速度は同じであるが、金型の肉厚が薄いほど加工速度を速くできる。
以上より、
(a)スリット状の蒸気孔まわりの肉厚が薄いほどスリット状の蒸気孔の加工速度を速くできるが、所要の金型の強度を確保できる肉厚は必要であること、
(b)ドラグラインの波打ちを小さくしながらドロスの付着をなるべく少なくしたいこと、
から、
ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型のスリット状の蒸気孔まわりの肉厚は、前記のとおり、3mm~6mm、より好ましくは3~4mmとするのが好適である。
<アシストガスの圧力>
図9に示すドロス除去後であるレーザ光の入射面の反対面側のスリットの拡大写真において、図9(a)は、図10(b)に相当する。すなわち図9(a)は、アルミニウム合金鋳物(AC4A)製の金型の肉厚が6.4mmで、スリットを加工する際のアシストガスが窒素であり、その圧力が1.5MPaである場合であり、図9(b)ないし(d)との比較用に示したものである。
図9(b)ないし(d)は、アルミニウム合金鋳物(AC4A)製の金型の肉厚が8.0mmで、スリットを加工する際のアシストガスが空気である場合を示しており、前記空気の圧力は、図9(b)が1.0MPa、図9(c)が1.5MPa、図9(d)が2.0MPaである。
図9(b)ないし図9(d)は、ドロス除去後の写真であるが、ドロスの量は、アシストガスの圧力が高いほど少なかった。
また、前記アシストガスが窒素の場合よりも前記アシストガスが空気の場合の方がドロスの量が少なかった。
前記アシストガスが窒素である図9(a)と、前記アシストガスが空気である図9(b)ないし図9(d)とを比較すると、前記アシストガスが窒素である場合よりも前記アシストガスが空気である場合の方がスリットの幅を小さくできることが分かる。
すなわち、レーザ光の入射面の反対面側のスリットの幅は、図9(a)が0.35~0.46mmであるのに対して、図9(b)は約0.27mm、図9(c)は0.27~0.44mm、図9(d)は0.24~0.37mmであった。
また、図9(b)のアシストガスが空気で圧力が1.0MPaである場合は、レーザ光の入射面の反対面側のスリットが綺麗で凸凹が少ないことが分かる。
アシストガスを空気にすることにより、コンプレッサーを供給源にできるため、他のガスと比べてランニングコストを大幅に低減できるとともに、圧力を適正化することにより、一層ランニングコストを低減できる。
すなわち、レーザ加工機がピアシング孔を除去加工で開けた後に、スリット状の蒸気孔を除去加工する際のアシストガスを空気とし、実用的な範囲として、アシストガスである空気の圧力は、0.5~2.0MPaであるのが好ましい。そして、レーザ光の入射面の反対面側のスリットの凸凹をより少なくするために、前記空気の圧力を、0.8~1.2MPaとするのが一層好ましい。
<スリット状の蒸気孔をレーザ加工機で形成することによるその他の作用効果>
特許文献1のような立型マシニングセンターによる溝切り加工で金型1にスリットAを形成する方法、及び特許文献2のようなメタルソーによる切削加工で金型1にスリットAを形成する方法では、スリットAの幅Eを変える場合には、スリット幅に応じて工具やメタルソーを交換する必要が有るのに対し、レーザ加工機による除去加工で金型1にスリットAを形成する方法によれば、焦点距離や焦点位置等を調整することでスリットAの幅Eを容易に変更できる。
その上、メタルソーによる切削加工で金型1にスリットAを形成する場合、メタルソーを保持する回転軸にある程度の太さが必要で有ることから、切り込める距離に制限があるので、干渉を避けるために加工前の計算・シミュレーションをする必要があり、その時間が嵩むのに対し、レーザ加工機による除去加工で金型1にスリットAを形成する場合は、前記加工前の計算・シミュレーションに時間が掛からない。
その上さらに、メタルソーによる切削加工で金型1にスリットAを形成する場合、メタルソーの直径と切り込める距離によりスリットAの長さIに制限があるのに対し、レーザ加工機による除去加工で金型1にスリットAを形成する場合は、そのような制限がなく、スリットAの長さIが極端に短い加工もできるので、より細かな箇所にスリットAを入れることができる。それにより、従来はビーズ法発泡性合成樹脂成形が困難であった製品、前記成形ができないと判断されていた製品の中の一部において、前記成形ができるようになる。
その上、メタルソーによる切削加工で金型1にスリットAを形成する場合は、直線状のスリットAしか形成できなかったのに対し、レーザ加工機による除去加工で金型1にスリットAを形成する場合は、成形品に模様を付与する等の必要に応じて、曲線状やジグザグ状のスリットAを形成できる。
その上さらに、レーザ加工機による除去加工で金型1にスリットAを形成することにより、金型1にシリアル番号等を設ける必要がある場合、そのレーザ加工機で金型1にシリアル番号等をマーキングできる。
以上の実施の形態の記載はすべて例示であり、これに制限されるものではない。本発明の範囲から逸脱することなく種々の改良及び変更を施すことができる。
1 ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型
2 キャビティ型
3 本体
3A 螺孔
4 底板
4A 通孔
5 ボルト
6 原料充填口
7 離型ピン用開口
A スリット状の蒸気孔(スリット)
B 肉盗み部
C 成形空間側の面
D 成形空間と反対側の面
E スリット状の蒸気孔の幅
F 肉盗み部の幅
G 肉盗み部を設けた箇所の肉厚
H 肉盗み部を設けない箇所の肉厚
I スリット状の蒸気孔の長さ
J 肉盗み部の長さ
K 隣接するスリット状の蒸気孔の間隔

Claims (8)

  1. キャビティ型及びコア型からなる一対の金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡性ビーズを充填し、前記発泡性ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して所要形状の発泡性合成樹脂の成形品を得るビーズ法発泡性合成樹脂成形に用いる前記金型であって、
    前記金型は、アルミニウム合金製であり、
    立体形状の前記金型の所要箇所に、前記金型の内外に連通して前記蒸気を通すための、前記金型自体に直接形成したスリット状の蒸気孔を有し、
    前記スリット状の蒸気孔は、レーザ加工機による除去加工で形成されたものであり、
    隣接する前記スリット状の蒸気孔の間隔は、10mm~50mmであり、
    前記金型に前記スリット状の蒸気孔を設ける箇所における、前記成形空間と反対側の面に、前記スリット状の蒸気孔まわりの肉厚をその他の部分よりも薄肉にする肉盗み部を、一つの前記スリット状の蒸気孔に対して一つ設けてなることを特徴とするビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型。
  2. 前記肉盗み部は、
    前記キャビティ型及び前記コア型を削り出す際に形成、
    前記キャビティ型及び前記コア型を鋳造する鋳型で形成、又は
    前記キャビティ型及び前記コア型を鋳造した後に機械加工で形成
    してなる、
    請求項1に記載のビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型。
  3. 前記肉盗み部を設けた箇所の肉厚は、3~6mmであり、
    前記肉盗み部を設けない箇所の肉厚は、5~10mmである、
    請求項1又は2に記載のビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型。
  4. キャビティ型及びコア型からなる一対の金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡性ビーズを充填し、前記発泡性ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥して所要形状の発泡性合成樹脂の成形品を得るビーズ法発泡性合成樹脂成形に用いる前記金型の製造方法であって、
    前記金型は、アルミニウム合金製であり、
    前記一対の金型を、削り出し及び/又は鋳造により形成する金型形成工程と、
    前記一対の金型に対して、スリット状の蒸気孔をレーザ加工機による除去加工で形成する蒸気孔形成工程と、
    を含み、
    隣接する前記スリット状の蒸気孔の間隔は、10mm~50mmであり、
    前記金型形成工程で前記一対の金型を形成する際に、前記金型の成形空間と反対側の面に、前記スリット状の蒸気孔を形成する箇所及びそのまわりの肉厚を、その他の部分よりも薄肉にする肉盗み部を形成、又は、
    前記金型形成工程で前記一対の金型を形成した後に機械加工で前記肉盗み部を形成し、
    前記肉盗み部は、一つの前記スリット状の蒸気孔に対して一つ設けられ、
    前記蒸気孔形成工程では、
    前記レーザ加工機がピアシング孔を除去加工で開けた後に、前記レーザ加工機が前記スリット状の蒸気孔を除去加工する際のアシストガスを空気とし、
    前記レーザ加工機の加工ヘッドにおける、レーザと同軸に取り付けたノズルから噴出する前記空気の圧力を、0.5~2.0MPaしてなることを特徴とするビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型の製造方法。
  5. 前記ピアシング孔を除去加工する際のアシストガスを空気としてなる、
    請求項4に記載のビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型の製造方法。
  6. 前記金型における前記スリット状の蒸気孔を形成する箇所の肉厚は、3~6mmである、
    請求項4又は5に記載のビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型の製造方法。
  7. 前記レーザ加工機は、ファイバーレーザ加工機である、
    請求項4~6の何れか1項に記載のビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型の製造方法。
  8. 請求項1~3の何れか1項に記載のビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型、又は、請求項4~7の何れか1項に記載のビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型の製造方法で製造されたビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型を用い、
    前記金型により形成される成形空間に熱可塑性樹脂の発泡性ビーズを充填し、前記発泡性ビーズを蒸気で加熱して融着させ、冷却及び乾燥することにより所要形状の発泡性合成樹脂の成形品を製造するビーズ法発泡性合成樹脂成形品の製造方法。
JP2018147050A 2018-08-03 2018-08-03 ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型及びその製造方法、並びにビーズ法発泡性合成樹脂成形品の製造方法 Active JP7238291B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018147050A JP7238291B2 (ja) 2018-08-03 2018-08-03 ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型及びその製造方法、並びにビーズ法発泡性合成樹脂成形品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018147050A JP7238291B2 (ja) 2018-08-03 2018-08-03 ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型及びその製造方法、並びにビーズ法発泡性合成樹脂成形品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020019266A JP2020019266A (ja) 2020-02-06
JP7238291B2 true JP7238291B2 (ja) 2023-03-14

Family

ID=69589394

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018147050A Active JP7238291B2 (ja) 2018-08-03 2018-08-03 ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型及びその製造方法、並びにビーズ法発泡性合成樹脂成形品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7238291B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000263580A (ja) 1999-03-17 2000-09-26 Hamani Kasei Kk 発泡樹脂製品、発泡樹脂成形型及び発泡樹脂製品の成型方法
JP2015134364A (ja) 2014-01-16 2015-07-27 株式会社デンソー レーザ加工装置およびレーザ加工方法
JP2018020573A (ja) 2014-05-07 2018-02-08 株式会社羽根 ビーズ法発泡合成樹脂成形用金型、及びビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000263580A (ja) 1999-03-17 2000-09-26 Hamani Kasei Kk 発泡樹脂製品、発泡樹脂成形型及び発泡樹脂製品の成型方法
JP2015134364A (ja) 2014-01-16 2015-07-27 株式会社デンソー レーザ加工装置およびレーザ加工方法
JP2018020573A (ja) 2014-05-07 2018-02-08 株式会社羽根 ビーズ法発泡合成樹脂成形用金型、及びビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020019266A (ja) 2020-02-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7100659B2 (ja) 切削インサートのセットおよび切削インサートのセットを作る方法
JP2005509541A (ja) パーティクルフォーム成形品を製造するための形成工具
CN105522206A (zh) 铝合金薄壁型腔零件的加工方法
Xie et al. Dressing of resin-bonded superabrasive grinding wheels by means of acousto-optic Q-switched pulsed Nd: YAG laser
KR20180021186A (ko) 3차원 형상 조형물의 제조 방법
EP2560804B1 (en) Method of manufacturing a mold with conformal cooling passages
JP6369615B2 (ja) ビーズ法発泡合成樹脂成形用金型、及びビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法
US20110049748A1 (en) Method for deburring a ceramic foundry core
JP7238291B2 (ja) ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型及びその製造方法、並びにビーズ法発泡性合成樹脂成形品の製造方法
GB2548629A (en) Honeycomb structured mould insert fabrication
JP7024365B2 (ja) ビーズ法発泡合成樹脂成形用金型、及びビーズ法発泡合成樹脂成形品の製造方法
JP7160055B2 (ja) スリット状蒸気孔を備えたビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型の製造方法、及び前記金型、並びに前記金型の前記スリット状蒸気孔の洗浄方法
JP2004017099A (ja) 中空製品の製造方法
US9511418B2 (en) Method of casting parts using heat reservoir, gating used by such method, and casting made thereby
JP2018176473A (ja) 発泡成形用金型およびその製造方法
JP2002011546A (ja) 金型装置ならびに鋳造物・筐体部品の製造方法
JP2005081437A (ja) アルミニウム又はアルミニウム合金鋳物の鋳造方法
JP7333541B2 (ja) 発泡成形型及び発泡成型装置
Otanocha et al. High power picosecond laser surface micro-texturing of H13 tool steel and pattern replication onto ABS plastics via injection moulding
JP3478802B2 (ja) 異形加工物の固定装置および異形加工物の加工方法
JP2000141464A (ja) 冷却速度に部分的な差のある中空成形品のブロー成形方法及び成形装置
JP3189305B2 (ja) 発泡合成樹脂成形品の成形方法
JP6891853B2 (ja) ビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型のキャビティ型、及びビーズ法発泡性合成樹脂成形用金型、並びにビーズ法発泡性合成樹脂成形品の製造方法
JPH0632344Y2 (ja) 原料充填器を備えた発泡成形機
JP2006205685A (ja) 複合成形品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210513

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220428

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220517

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20220712

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220803

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221004

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221014

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230131

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230213

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7238291

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150