〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1〜図4に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
本実施の形態における粒子測定装置は、外部から空気等の気体を吸引し、該気体に含まれる粒子を慣性力によって分級する粒子分離装置を備え、微粒子から粗大粒子までの量を測定し得る装置である。
〔粒子分離装置を備えた粒子測定装置の構成〕
本実施の形態の粒子分離装置を備えた粒子測定装置の構成について、図1及び図2の(a)(b)に基づいて説明する。図1は、本実施の形態の粒子分離装置20Aを備えた粒子測定装置10Aの構成を示す断面図である。図2の(a)は導入口面積調整プレート41が開いているときの上記粒子分離装置20Aを備えた粒子測定装置10Aの構成を示す斜視図である。図2の(b)は導入口面積調整プレート41が閉じているときの上記粒子分離装置20Aを備えた粒子測定装置10Aの構成を示す斜視図である。
本実施の形態の粒子分離装置20Aを備えた粒子測定装置10Aは、図2の(a)(b)に示すように、粒子検出部としてのセンサ1と、吸気部2と、分粒部3と、流体駆動部としてのファン4とを備えている。粒子測定装置10Aは、単一のファン4を駆動することによって、吸気部2から外部の粒子を含む空気を導入するようになっている。
粒子測定装置10A内に導入された空気は、図2に示すように、該粒子測定装置10A内に形成された気体流路5を通過して、ファン4を介して外部へ排出される。センサ1は、粒子測定装置10A内に形成された気体流路5の途中に設けられており、通過する空気中に含まれる微粒子の量を測定する。
図1に示すように、粒子測定装置10A内に形成された気体流路5は、導入流路5aと、主流路5bと、支流路5cと、排出路である主流排出路5d及び支流排出路5eとから構成されている。尚、本発明においては、気体流路5は、必ずしもこれに限らず、主流排出路5d及び支流排出路5eを含んでいなくてもよい。
導入流路5aは、吸気部2に形成されており、外部から空気等の気体を導入するための流路である。主流路5b及び支流路5cは、導入流路5aから分岐部Aにて2方向に分岐した流路である。また、主流路5bに連結している主流排出路5d、及び支流路5cに連結している支流排出路5eは、いずれも気体を外部へ排出するための流路である。
本実施の形態では、粒子測定装置10Aにおける粒子分離装置20Aは、上記ファン4と気体流路5と後述する流路断面積調整手段とから構成されている。そして、ファン4を駆動することにより、導入流路5aから導入された気体に含まれる粒子を、その慣性力によって、分岐部Aにおいて粗大粒子が含まれる主流路5bと微小粒子が含まれる支流路5cとへ分離つまり分粒させる。尚、導入流路5aから導入された気体に含まれる粒子の分粒の原理、及び流路断面積調整手段による分粒の際の粒子径の変更については、後述する。
微小粒子を測定する測定部であるセンサ1は、支流路5cの途中に設けられており、支流路5cを通過する気体中の微小粒子の量を測定する。具体的には、このセンサ1は、例えば、通過する気流中の微粒子に光を照射し、微粒子から散乱した光を検出するという光散乱法によって、気体中の微小粒子の量を測定する。ただし、センサ1は、必ずしも光散乱法に限らず、重量法によって気体中の微小粒子の量を測定するものであってもよい。また、微小粒子を測定する測定部である粒子検出部は、センサ1に限定されず、例えば、微小粒子を捕集するフィルターを備え、該フィルターによって捕集された微小粒子を測定するものであってもよい。すなわち、粒子検出部は、例えば光散乱を利用した濃度測定装や、成分分析装置、又はフィルターによる粒子捕集装置でもよい。
ファン4は、本実施の形態では、ただ1つ設けられている。そして、導入流路5aから主流路5bを通して主流排出路5dへ向かう気流と、導入流路5aから支流路5cを通して主流排出路5dへ向かう気流とを発生させる流体駆動部として機能する。ファン4における前面の気体吸入面4aは、主流排出路5d及び支流排出路5eに接続されている。
尚、本実施の形態では、上述したように、支流路5cを通る気流についても、支流排出路5eを介してファン4にて排出しており、これによって、流体駆動部を1つのファン4にて構成している。しかし、本発明においては、必ずしもこれに限らず、例えば、支流路5cに別途のファン4を設けることにより、流体駆動部を2つのファン4にて構成することも可能である。
また、本実施の形態における流体駆動部は、ファン4にて構成されている。しかし、必ずしもこれに限らず、導入流路5aから主流路5b又は支流路5cを介して主流排出路5d及び支流排出路5eへ向かう気流を発生させることが可能なものであればよい。例えば、流体駆動部は、ポンプであってもよい。
また、本実施の形態では、主流排出路5d及び支流排出路5eとの間に、例えば仕切板6が設けられており、主流路5bから主流排出路5d及び支流排出路5eを通して、支流路5cに逆流するのを防止するようになっている。ただし、本発明では、この仕切板6は必ずしも存在しなくてもよい。
さらに、本実施の形態の粒子分離装置20Aを備えた粒子測定装置10Aでは、図2の(a)(b)に示すように、導入流路5aの入り口である気体導入口5fには、該気体導入口5fの開口面積を調整する流路断面積調整手段及び遮蔽部材としての導入口面積調整プレート41がスライド可能に配置されている。そして、導入口面積調整プレート41の中央には、開口窓41aが形成されている。これにより、本実施の形態の粒子分離装置20Aを備えた粒子測定装置10Aでは、粒子における粒子径のサイズの変更が可能となっている。
〔粒子分離方法及び粒子測定方法〕
上記構成の粒子分離装置20Aを備えた粒子測定装置10Aにおける粒子の分離方法及び粒子測定方法について、図1及び図3に基づいて説明する。図3は、導入流路5aを通して系内へ導入された含粒子流体の分岐部Aにおける分粒の状態を模式的に示した断面図である。
本実施の形態の粒子分離装置20Aを備えた粒子測定装置10Aでは、図1に示すように、ファン4の駆動によって、浮遊粒子を含んだ空気の流体(以下、「含粒子流体」と記す)は、錐状に傾斜した導入流路5aを通って粒子測定装置10A内に気流7aとして導入される。導入流路5aは、気流7aの方向に対して垂直な断面形状において、分岐部Aへ向かうに伴い、流路断面積が小さくなる構成になっている。このため、導入流路5aに導入された含粒子流体は、気流7aに沿って分岐部Aに向かうに伴って加速することになる。そこで、導入流路5aは、流体加速部ともいう。
含粒子流体の気流7aは、分岐部Aにおいて主流7bと支流7cとに分岐する。主流7b及び支流7cは、それぞれ、ファン4によって吸引される主流路5b及び支流路5cを通る。1つのファン4にて主流7b及び支流7cに分岐して吸引することによって、大気等の含粒子流体を、導入流路5aを通して系内へ導入することができる。
系内へ吸引された含粒子流体は、図3に示すように、気流7aが分岐部Aにおいて主流7bと支流7cとに分岐したときに、所望粒径の微小粒子8bを含む含粒子流体と所望粒径以外の粗大粒子8aを含む含粒子流体とに分粒される。このとき、主流7bには、所望粒径以外の粗大粒子8aを含む含粒子流体が含まれる。一方、支流7cには、所望粒径の微小粒子8bを含む含粒子流体が含まれる。
上述した粒子の分粒原理について説明する。
前記ファン4によって系内に吸引された含粒子流体は、図3に示すように、導入流路5aの分岐部Aへ向かうに伴い加速する。分岐部Aにおいて、含粒子流体に含まれる粒子が気流7aの方向に沿う主流7bに沿って運動するか否かは、ストークスの式より、粒子の密度、直径、速度、及び含粒子流体の粘性に依存する。
したがって、含粒子流体に含まれる粒子は、粒径が大きい程速い速度を有するので、含粒子流体の運動方向に沿う。このため、粒径が比較的大きい粗大粒子8aは、慣性力が大きいので、気流7aの方向に沿う主流7bに搬送されて主流路5bから主流排出路5dへ排出される。この結果、支流7c側へは入り込み難くなる。
一方、粒径が比較的小さい微小粒子8bは、慣性力が小さい。それゆえ、微小粒子8bの移動は、含粒子流体の粘性によって支配される。このため、微小粒子8bは、主として主流7bとは逆方向の支流7cに搬送されて、支流路5cへ送り込まれる。尚、一部は、主流7bに搬送されて、主流路5bへ送り込まれる。このように、分岐部Aにおける粒子の速度によって特定粒径以下の粒子のみを支流7cへ導くことが可能になる。
このように、本実施の形態における粒子分離装置20Aでは、上述の流路構成及びファン4の配置等によって、ファン4によって吸引される含粒子流体に含まれる粗大粒子8aは、ファン4が必要駆動電力にて駆動しているときには、分岐部Aにおいて主流路5bに対して逆方向に延びた支流路5cへは混入しないようになっている。一方、微小粒子8bは、主流路5b及び支流路5cの両方に存在する。
次に、支流路5cへ送り込まれた微小粒子8bを含む含粒子流体は、図1に示すように、支流7cに搬送されてセンサ1を通過する。このように、センサ1を通過することによって、含粒子流体に含まれる微小粒子8bの量が測定される。
支流路5cにおいてセンサ1を通過した微小粒子8bを含む含粒子流体は、支流排出路5eへ向かって流出することになる。
一方、導入流路5a、主流路5b及びファン4は、略同一方向に配列して設けられている。このような構成とすることによって、粗大粒子8aは、支流路5cへ逆流することなく、主流路5bへの分岐後、主流排出路5dを介して外部へ排出され易くなる。それゆえ、測定対象でない粗大粒子8aを、効率的に除去することができる。
このように、粗大粒子8aを含む含粒子流体である主流7bは、分岐部Aから下側に配された主流排出路5dへ向かって最短距離になるように延びる主流路5bを通って、主流排出路5dから排出される。一方、微小粒子8bを含む含粒子流体である支流7cは、分岐部Aから、主流路5bとは逆方向に延び、かつセンサ1を介して迂回して支流排出路5eに合流する支流路5cを通って支流排出路5eから排出される。このように、分岐部Aにて粗大粒子8aと微小粒子8bとが分粒されるので、外部から吸引された含粒子流体のうち、粗大粒子8aを含む含粒子流体は、センサ1を通過することなく外部へ排出される。一方、微小粒子8bを含む含粒子流体は、センサ1にて量が測定された後、外部へ排出されることになる。
上述したように、本実施の形態における粒子分離装置20Aにおいては、外部から吸引される含粒子流体の気流7aを、分岐部Aにおいて主流7bと支流7cとに分岐し、この分岐部Aにて粗大粒子8aと微小粒子8bとを分粒している。さらに、主流7b及び主流排出路5dと支流7c及び支流排出路5eとを、一つの気体吸入面4aに合流させて外部へ排出している。また、主流7bと支流7cとの分岐は、単一のファン4によって実現されている。そして、支流路5cの途中にセンサ1を設けたことによって、支流7cの含粒子流体中の微小粒子8bの量を測定している。
それゆえ、2台のポンプという2つの駆動源を用いている特許文献1の技術と比較して、小型であり、かつ安価な微粒子測定器を実現することができる。
ここで、主流路5bの主流7bの流速と支流路5cの支流7cの流速とは、精度の高い調整が必要である。例えば、主流7bの流速が最適値よりも大きく、かつ支流7cの流速が最適値よりも小さい場合、主流路5b側に、粗大粒子8aのみならず微小粒子8bの大半が流れてしまう。その結果、支流路5c側へ流れる微小粒子8bの量が僅少となるため、粗大粒子8aと微小粒子8bとを適切に分別することができない。反対に、主流7bの流速が最適値よりも小さく、かつ支流7cの流速が最適値よりも大きい場合、粗大粒子8aの一部が支流路5c側へ流れてしまい、やはり、粗大粒子8aと微小粒子8bとを適切に分別することができない。主流7bの流速及び支流7cの流速は、それぞれ、主流路5b及び支流路5cの流路抵抗とファン4の排気速度とによって決定される。このうち、流路抵抗は、主流路5b及び支流路5cの形状によって決定される値であり、流路形状を変更しない限り調整することができない。一方、排気速度は、ファン4の出力の調整によってのみ、調整可能な値であり、比較的調整が容易である。このため、特許文献1の技術のように、図11に示す粗大粒子排出用直管部111及び微粒子採取用直管120に対し個別のファンによって排気する構成では、粗大粒子排出用直管部111及び微粒子採取用直管120のそれぞれにおける流体の流速の調整を容易に行うことができる。これに対して、本実施の形態の粒子測定装置10Aでは、単一のファン4によって主流路5b及び支流路5cの両方を排気する。このため、ファン4の出力によってそれぞれの流路における排気速度つまり主流7b及び支流7cの流速を自由に調整することができないという課題が残されている。
また、主流7b及び支流7cの流速に対しファン4の排気速度を十分に活かすためには、ファン4における気体吸入面4aの面積を可能な限り広くし、排気に利用する形態とすることが望ましい。このような形態を採るために、粒子測定装置10Aでは、主流路5b及び主流排出路5dと支流路5c及び支流排出路5eとを合流させた気体吸入面4aをファン4に接続した構成となっている。
このような構成において、ファン4の気体吸入面4aが塞がれている場合、抵抗が大きくなりファン4の駆動源としての性能を十分に発揮することができない。それゆえ、ファン4の性能を十分に発揮するため、粒子測定装置10Aでは、ファン4における吸気側の真上の部分に、気体吸入面4aと同程度の面積を有する空間を設けている。すなわち、気体吸入面4aと主流排出路5d及び支流排出路5eとにより形成された空間を確保している。この結果、主流7bは、主流排出路5dと気体吸入面4aとにより形成された空間を通って外部に排出される。一方、支流7cは、支流排出路5eと気体吸入面4aとにより形成された空間を通って外部に排出される。
ここで、図1に示すように、本実施の形態の粒子測定装置10Aでは、支流路5cの流路長は、主流路5bの流路長よりも長くなっている。このため、主流7bよりも支流7cの方が、流路抵抗が大きい。この結果、分岐部Aでの支流7cの流速を低くすることができる。
このことは、逆に、主流7bと支流7cとが合流する気体吸入面4aでは、主流7bの方が支流7cよりも流速が大きいため、乱流が発生する。その結果、主流排出路5d及び支流排出路5eにおいて、主流7bに含まれる粗大粒子8aの一部が支流路5c側へ逆流するおそれがある。
そこで、本実施の形態における粒子測定装置10Aでは、図1に示すように、主流排出路5dと支流排出路5eとの間に、主流路5bから排出される主流7bと支流路5cから排出される支流7cとを仕切る仕切板6が設けられていることが好ましい。この仕切板6は、主流排出路5dと支流排出路5eとの例えば中央に設けられている。すなわち、仕切板6によって区切られた気体吸入面4aの面積が、主流排出路5dと支流排出路5eとにおいて同じになっている。この仕切板6によって、主流7bと支流7cとの合流が防止される。その結果、主流路5bと支流路5cとの間での粒子の逆流を防止することができる。
尚、仕切板6の位置は、主流排出路5dと支流排出路5eとの中央に限定されない。例えば、仕切板6によって区切られた気体吸入面4aにおいて、主流7bが通過する面積と支流7cが通過する面積とが異なっていてもよい。このように、主流排出路5dと支流排出路5eとにおいて仕切板6を中央からずれた位置に配置することによって、主流7bの流速及び支流7cの流速の比率が変化した粒子測定装置10Aを実現することができる。
また、仕切板6の角度や厚さは、主流路5b側と支流路5c側との間で異なっていてもよい。さらに、図1に示す仕切板6は、平板形状である。しかし、仕切板6の形状は、主流7bと支流7cとの合流を防止する構成であれば、平板形状に限定されず、曲面を有する形状であってもよい。また、仕切板6は、支流排出路5eにおいて支流7cの出口部分を囲うような構造であってもよい。
〔微小粒子の粒子径サイズの変更〕
ところで、上記構成の粒子分離装置20Aを備えた粒子測定装置10Aでは、ファン4に対して図示しない電力供給部から定格電圧が供給されたときに、センサ1は、一定範囲の粒子径サイズの微小粒子のみが含まれる支流7cの粒子測定しかできない。
しかしながら、粒子測定装置10Aにおける実際の測定に際しては、微粒子の粒子径サイズを変更できることが好ましい。
ところで、この種の慣性力を利用して大気中の浮遊粒子を粒子径サイズに応じて分離する粒子分離装置を用いた粒子測定装置において、従来、簡単な構造にて、分離する粒子径のサイズを変更し得る粒子分離装置は無かった。
例えば、特許文献1に開示された粒子測定装置100の粒子分離装置では、前記図11に示すように、微粒子採取用直管120の上下移動によって、分岐直前の流路の部分である円錐形状のノズル部113の位置を調整する。これにより、分岐直前の気流の速度が変更されるので、分離する粒子径のサイズが調整可能となっている。
しかし、このような形態は、微粒子採取用直管120の外壁部分がノズル部113の一部をなすような形態のみにしか適用できず、粒子分離装置の形態が限定される。また、このような形態を採用すると、微粒子採取用直管120全体を可動にする必要があるため、粒子分離装置の構造が複雑になり、コストが増大する問題がある。
そこで、本実施の形態では、気体導入口5fを含む気体流路5のいずれかの位置に配置されて、流路方向に対して垂直方向に動作して該流路の断面積を調整可能な流路断面積調整手段を備えている。これにより、流路断面積調整手段によって、主流路5bと支流路5cとに分離させる分岐部Aの直前の気流速度を調整することが可能となる。
ここで、分離する粒子径のサイズを変更するために、特許文献1の粒子分離装置では、微粒子採取用直管120の外壁部分がノズル部113の内壁の一部をなすような特殊な形態であり、該微粒子採取用直管120を気流方向に平行方向に移動させるものである。この結果、慣性力を利用して大気中の浮遊粒子を粒子径サイズに応じて分離する一般的な粒子分離装置には、このような構造を採用することができない。
これに対して、本実施の形態の粒子分離装置20Aでは、流路断面積調整手段は、流路方向に対して垂直方向に動作して該流路の断面積を調整するものとなっている。この結果、流路断面積調整手段の構造自体が単純化されており、基本的にはどのような形態の慣性力を利用して大気中の浮遊粒子を粒子径サイズに応じて分離する一般的な粒子分離装置20Aであっても適用可能である。
したがって、簡単な構造にて、分離する粒子径のサイズを変更し得る粒子分離装置20Aを提供することができる。
ここで、本実施の形態では、流路断面積調整手段の一例として、図1及び図2の(a)(b)に示すように、導入流路5aの入り口である気体導入口5fには、該気体導入口5fの開口面積を調整する導入口面積調整プレート41がスライド可能に配置されている。そして、導入口面積調整プレート41の中央には、開口窓41aが形成されている。
このため、図2の(a)に示すように、この導入口面積調整プレート41をスライドして気体導入口5fを開けることによって、気体導入口5fの面積が最大限に大きくなる。一方、図2の(b)に示すように、導入口面積調整プレート41をスライドして気体導入口5fを閉じることによって、気体導入口5fの面積が開口窓41aの面積に狭まる。
このように、導入口面積調整プレート41をスライドさせることによって、気体導入口5fの一部である外周が塞がれ、吸気部分の流入抵抗が増大する。この結果、ファン4が一定駆動であっても導入口面積調整プレート41のスライド前・スライド後において吸気風量は変化する。
この結果、分粒部3の通風面積が変化せずに該分粒部3の風速が変化するので、分粒径も変化させることが可能となる。
尚、上記の説明では、導入口面積調整プレート41をスライドして気体導入口5fを閉じた場合には、気体導入口5fの面積が開口窓41aの面積に狭まるとして説明した。しかし、本実施の形態においては、必ずしもこれに限らない。例えば、後述する導入口面積調整プレート41’のように、開口窓41aが無くてもよい。開口窓41aが存在しなくても、導入口面積調整プレート41’を開閉することによって、気体導入口5fの面積を増減できるためである。
このように、本実施の形態の粒子分離装置20Aでは、外部に面する気体導入口5fから粒子を含む気体を導入する導入流路5a、該導入流路5aにおける外部とは反対側の末端にある分岐部Aにて分岐された主流路5b及び支流路5cを有する気体流路5と、上記気体流路5の下流側に設けられて導入流路5aから主流路5b及び支流路5cへ向かう気流を発生させる流体駆動部としてのファン4を備え、導入流路5aを流れる気流によって加速される粒子の慣性力により、該粒子を主流路5bと支流路5cとへ分離する。そして、気体導入口5fを含む気体流路5、又は気体流路5とファン4との間のいずれかの位置に配置されて、流路方向に対して垂直方向に動作して該流路の断面積を調整可能な流路断面積調整手段を備えている。
これにより、流路断面積調整手段によって、主流路と支流路とに分離させる分岐部の直前の気流速度を調整し、分離する粒子径のサイズを変更することができる。
ここで、本実施の形態の粒子分離装置20Aでは、流路断面積調整手段は、流路方向に対して垂直方向に動作して該流路の断面積を調整するものとなっている。この結果、流路断面積調整手段の構造自体が単純化されており、基本的にはどのような形態の慣性力を利用して大気中の浮遊粒子を粒子径サイズに応じて分離する一般的な粒子分離装置であっても適用可能である。
したがって、簡単な構造にて、分離する粒子径のサイズを変更し得る粒子分離装置20Aを提供することができる。
また、本実施の形態における粒子分離装置20Aでは、流路断面積調整手段は、気体導入口5fに配置されて、該気体導入口5fの開口面積を調整する導入口面積調整プレート41からなっている。
まず、流路断面積調整手段は、流路方向に対して垂直方向に動作して該流路の断面積を調整するものである。ここで、分岐部A直前での気流速度と気体流路5の断面積の関係を、気体流路5全体でみると、分岐部A直前の部分だけは断面積が小さいほど分粒部3直前での気流速度が大きくなる。また、それ以外の部分では、気体流路5の断面積が小さくなると流路抵抗が増大することになるので、分岐部A直前での気流速度が低下する。
そこで、本実施の形態では、導入口面積調整プレート41にて、気体流路5の始点である気体導入口5fの開口面積を調整する。この結果、例えば、気流抵抗を増大させて、分岐部Aの直前での流速を低下させることができる。これにより、同一の気体流路5において、気流速度つまりファン4の能力のみを単純に低下させたとみなすことができる。
ところで、気体流路5の途中で不適切に断面積を変化させた場合、その部分で粒子の反射や乱流等の悪影響が発生し易いので、気体流路5の断面積の調整は精度が要求される。
しかし、本実施の形態のように、気体流路5の始点である気体導入口5fの開口面積を導入口面積調整プレート41によって調整する場合は、このような問題は発生し難い。
また、本実施の形態における粒子分離装置20Aでは、流路断面積調整手段としての導入口面積調整プレート41は、気体流路5内において気流の一部を遮蔽する遮蔽部材からなっており、流路方向に対して垂直方向に動作して該気体流路内の遮蔽面積を変化させることによって、該気体流路の断面積を調整する。
すなわち、流路断面積調整手段は、気体流路5とは別部材である導入口面積調整プレート41等の遮蔽部材にて、流路方向に対して垂直方向に動作して該気体流路5内の遮蔽面積を変化させることによって、該気体流路5の断面積を調整する。したがって、流路断面積調整手段を簡単な構成にて作製することが可能である。
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、導入口面積調整プレート41には、開口窓41aが形成されていたが、特にこれに限定するものではない。
例えば、図4の(a)(b)に示すように、前記開口窓41aが存在しない導入口面積調整プレート41’を有する粒子分離装置20A’を備えた粒子測定装置10A’とすることも可能である。
すなわち、上記粒子測定装置10A’においても粒子測定装置10Aと同様に、粒子分離装置20A’にて分粒した後の粒子をセンサ1に通過させることによって粒子径の測定を行う。
通常、光散乱を用いたセンサ1は、無埃時のセンサ出力つまりベース出力と有埃時のセンサ出力との差分により、大気中の粒子の有無や濃度を測定する。ここで、無埃時とは、いわゆる工場出荷時のセンサ出力である。ところで、センサ1を長期間使用すると、照射部の経年変化による出力低下、及び受光部等への埃の堆積による出力低下により、正確に測定することができなくなる。
この問題を解決するために、通常、センサ1の稼働中に工場出荷時よりも出力が低くなった場合、新たにその値をベース出力とする場合がある。しかしながら、常に多塵環境でのみ使用する場合、センサ出力が経年変化で低下したとしても粒子測定装置10Aは埃を感知し、工場出荷時の出力を下回ることは無い。このため、ベース出力を変更することができない。
そこで、本実施の形態の粒子分離装置20Aを備えた粒子測定装置10Aに備えられた導入口面積調整プレート41の変形例の1つとして、粒子分離装置20A’を備えた粒子測定装置10A’では、図4の(b)に示すように、開口窓41aのない導入口面積調整プレート41’にて気体導入口5fに蓋をして粒子測定を行う。
この場合、気体導入口5fから新たに埃が流入することはなく、かつファン4は駆動しているので、センサ1の内部の埃はセンサ1の外に排出される。したがって、無埃時状態でのセンサ出力を得ることができるので、その値をベース出力に変更することにより、その後、正確な粒子測定をすることが可能となる。
尚、厳密には、気体導入口5fが塞がれると、ファン4は空転し、センサ1の内部の埃がセンサ1の外には排出はされない。ただし、現実には、気体導入口5fを塞いでも完全密閉にはならず、微小な隙間から吸気されるため、内部の埃はセンサ1の外に排出される。この結果、微小隙間から粒子が新たに入ってくるので、完全にセンサ1の内部は無埃にはならないが、多塵環境にてベース出力測定するよりは良好である。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施形態について、図5〜図7に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態1の粒子分離装置20Aを備えた粒子測定装置10Aでは、流路断面積調整手段は気体導入口5fに設けた導入口面積調整プレート41からなっていた。しかし、本実施の形態の粒子分離装置20Bを備えた粒子測定装置10Bでは、図5〜図7の(a)(b)に示すように、流路断面積調整手段は、流体駆動部としてのファン4の直前に配置されて、ファン4の吸気面積を調整する絞り42からなっている点が異なっている。
本実施の形態の粒子分離装置20Bを備えた粒子測定装置10Bの構成について、図5〜図7の(a)(b)に基づいて説明する。図5は、本実施の形態における粒子分離装置20Bを備えた粒子測定装置10Bの構成を示す断面図である。図6は、上記粒子分離装置20Bを備えた粒子測定装置10Bの構成の一部を破断して示す分解斜視図である。
本実施の形態の粒子分離装置20Bを備えた粒子測定装置10Bでは、図5及び図6に示すように、流路断面積調整手段は、流体駆動部としてのファン4の直前に配置されて、ファン4の吸気面積を調整する絞り42からなっている。すなわち、絞り42は、本実施の形態では、ファン4の直前である排出路としての主流排出路5d及び支流排出路5eとファン4との間に設けられている。そして、この絞り42によって、気体流路5の終点であるファン4の吸気面積を調整するようになっている。
この結果、気体流路5の気流抵抗を増大させて、分岐部A直前での流速を低下させることができる。これにより、同一の気体流路5において、気流速度つまりファン4の能力のみを単純に低下させたとみなすことができる。
すなわち、気体流路5の途中で不適切に断面積を変化させた場合、その部分で粒子の反射や乱流等の悪影響が発生し易いので、気体流路5の断面積の調整は精度が要求される。しかし、本実施の形態のように、気体流路5の終点であるファン4の吸気面積を調整する場合は、このような問題は発生し難い。
ここで、絞り42の構成について、図7の(a)(b)に基づいて説明する。図7の(a)は粒子分離装置20Bに備えられた絞り42を示すものであって、開状態の絞り42の構成を示す斜視図である。図7の(b)は粒子分離装置20Bに備えられた、閉状態の絞り42の構成を示す斜視図である。
本実施の形態の絞り42は、図7の(a)(b)に示すように、いわゆるカメラ等の光学機器において、光の量を調整するために、光を遮り、一部だけを通す板状のもの、又はそこにあけた孔と同じ構造のものからなっている。
したがって、絞り42は、孔の大きさを微調整できるようにするために複数の板42aを重ね合わせたものからなっており、孔は円形又は多角形にてなっている。本実施の形態の絞り42では、図7の(a)に示す孔の大きさを大きくした開状態と、図7の(b)に示す孔の大きさを小さくした閉状態とがあり、複数の板42aを調節することにより、孔の大きさを自在に制御できるようになっている。尚、本実施の形態では、閉状態においては、孔を完全に閉じた状態とすることができるようになっている。ただし、必ずしもこれに限らず、閉状態においても、孔が少し開いた状態となっていてもよい。
このように、本実施の形態の粒子分離装置20Bを備えた粒子測定装置10Bでは、流路断面積調整手段は、気体流路5と流体駆動部としてのファン4との間であるファン4の直前に配置されて、ファン4の吸気面積を調整する絞り42からなっている。
この結果、気体流路5の気流抵抗を増大させて、分岐部A直前での流速を低下させることができる。したがって、流路断面積調整手段が絞り42からなるという簡単な構造にて、分離する粒子径のサイズを変更し得る粒子分離装置20Bを提供することができる。
また、本実施の形態の粒子分離装置20Bは、流路断面積調整手段としての絞り42は、気体流路5内において気流の一部を遮蔽する遮蔽部材からなっている。そして、絞り42は、流路方向に対して垂直方向に動作して気体流路5内の遮蔽面積を変化させることによって、該気体流路5の断面積を調整する。したがって、流路断面積調整手段を簡単な構成にて作製することが可能である。
尚、本実施の形態では、流路断面積調整手段としての絞り42は、ファン4の直前として、気体流路5とファン4との間に設けられている。しかし、本発明においては、必ずしもこれに限らず、絞り42は、例えば、気体流路5の終端部に設けることも可能である。これによっても、ファン4の直前の吸気面積を調整するという効果を奏するためである。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、図8に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1及び実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態1の粒子分離装置20Aを備えた粒子測定装置10Aでは、流路断面積調整手段は気体導入口5fに設けた導入口面積調整プレート41からなっていた。また、前記実施の形態2の粒子分離装置20Bを備えた粒子測定装置10Bでは、流路断面積調整手段はファン4の直前に配置されて、ファン4の吸気面積を調整する絞り42からなっていた。
しかし、本実施の形態の粒子分離装置20Cを備えた粒子測定装置10Cでは、図8に示すように、流路断面積調整手段は、導入流路5aの気体導入口5fから分岐部Aの間に配置されて、該導入流路5aの断面積を調整する導入流路面積調整プレート43からなっている点が異なっている。
本実施の形態の粒子分離装置20Cを備えた粒子測定装置10Cの構成について、図8に基づいて説明する。図8は、本実施の形態における粒子分離装置20Cを備えた粒子測定装置10Cの構成を示す断面図である。
本実施の形態の粒子分離装置20Cを備えた粒子測定装置10Cでは、図8に示すように、流路断面積調整手段は、導入流路5aの気体導入口5fから分岐部Aの間に配置されて、該導入流路5aの断面積を調整する導入流路面積調整プレート43からなっている。
すなわち、本実施の形態の流路断面積調整手段は、気体流路5の始点又は終点以外の部分において、断面積を調整する導入流路面積調整プレート43からなっている。この導入流路面積調整プレート43は、導入流路5aの気体導入口5fから分岐部Aの間に配置されて、該導入流路5aの断面積を調整するものとなっている。
ここで、分岐部Aの直前の気流速度を制御するためには、分岐部Aの直前の導入流路5aの断面積が最も影響する。このため、この部分の断面積を調整することによって、分離する粒子のサイズを調整する。この調整は、実施の形態1又は実施の形態2にて説明した気体流路5の始点又は終点にて断面積を調整する場合に比べると、調整に精度が要求される。しかし、分岐部Aの直前の気流速度に大きく影響を与える導入流路5aの部分の断面積を調整するので、調整の範囲を広くとることができる。
上記平板からなる導入流路面積調整プレート43は、図8に示すように、気体流路5内において気流の一部を遮蔽する別部材の遮蔽部材からなっている。そして、この導入流路面積調整プレート43には、中央に開口部43aが穿設されている。このため、流路方向に対して垂直方向に設置されて気体流路5内の遮蔽面積を変化させることによって、気体流路5の断面積を調整可能となっている。
上記導入流路面積調整プレート43を設置するには、吸気部2が断面錐状になっているので、所定サイズの平板からなる導入流路面積調整プレート43を水平にして気体導入口5fから挿入するだけでよい。これにより、導入流路面積調整プレート43が導入流路5aの内部壁に引っ掛かるので、導入流路面積調整プレート43を導入流路5aの中間位置に容易に固定することが可能である。
このように、本実施の形態の粒子分離装置20Cを備えた粒子測定装置10Cでは、流路断面積調整手段は、導入流路5aの気体導入口5fから分岐部Aの間に配置されて、該導入流路5aの断面積を調整する導入流路面積調整プレート43からなっている。
ここで、分岐部Aの直前での気流速度と気体流路5の断面積の関係を、気体流路5全体でみると、分岐部Aの直前の部分だけは断面積が小さいほど分岐部Aの直前での気流速度が大きくなる。
この結果、本実施の形態では、導入流路面積調整プレート43にて、分岐部Aの直前での気流速度を大きくすることにより、分離する粒子径のサイズを変更し得る粒子分離装置20Bを提供することができるものとなっている。
また、本実施の形態の粒子分離装置20Cでは、流路断面積調整手段としての導入流路面積調整プレート43が、気体流路5内において気流の一部を遮蔽する平板の遮蔽部材からなっている。したがって、流路断面積調整手段を簡単な構成にて作製することが可能である。
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について、図9及び図10に基づいて説明すれば、以下のとおりである。尚、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜実施の形態3と同じである。また、説明の便宜上、前記実施の形態1〜実施の形態3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
前記実施の形態1〜実施の形態3にて説明した粒子分離装置20A・20B・20Cでは、流路断面積調整手段としての導入口面積調整プレート41、絞り42及び導入流路面積調整プレート43はそれぞれ遮蔽部材からなっていた。しかし、本実施の形態の粒子分離装置20Dでは、流路断面積調整手段は、気体流路5を構成する壁部の一部の位置を、流路方向に対して垂直方向に変化させることよって、該気体流路5の断面積を調整するようになっている点が異なっている。
本実施の形態の粒子分離装置20Dを備えた粒子測定装置10Dの構成について、図9の(a)(b)(c)に基づいて説明する。図9の(a)は本実施の形態における粒子分離装置20Dを備えた粒子測定装置10Dの構成を示す斜視図である。図9の(b)は上記粒子分離装置20Dを備えた粒子測定装置10Dの構成を示す側面図である。図9の(c)は上記粒子分離装置20Dを備えた粒子測定装置10Dの構成を示す断面図である。
本実施の形態の粒子分離装置20Dを備えた粒子測定装置10Dでは、図9の(a)(b)(c)に示すように、流路断面積調整手段は、気体流路5を構成する壁部の一部の位置を、流路方向に対して垂直方向に変化させることよって、該気体流路5の断面積を調整する。
具体的には、本実施の形態の粒子分離装置20Dでは、気体流路5を構成する吸気部2及び分粒部3の外壁を別部材にて構成し、気体流路5の断面幅の異なるものに取り替え可能な流路断面積調整手段としての交換壁44を備えている。この交換壁44は、気体流路5の一部を構成する断面コの字状の交換壁44を粒子測定装置10Dの本体に取り付けるものとなっている。これによって、結果的に、交換壁44が気体流路に対して垂直に平行移動するものとなっており、気体流路5の幅自体つまり気体流路5の断面積を変化させるものとなっている。
この交換壁44は、本実施の形態では、複数種類用意されている。その結果、各種の幅の交換壁44に取り替えることによって、気体流路5の気流抵抗を増大又は減少させて、分岐部A直前での流速を低下又は増加させることができる。したがって、流路断面積調整手段が交換壁44からなるという簡単な構造にて、分離する粒子径のサイズを変更し得る粒子分離装置20Dを提供することができるものとなっている。
ここで、上記の説明では、気体流路5の全体の断面積を増減させるために、流路断面積調整手段を交換壁44にて形成することにより、気体流路5の断面積を変化させるものとなっていた。
しかしながら、気体流路5の全体の断面積を増減させるための流路断面積調整手段の具体的構成として、他の構成とすることも可能である。
例えば、図10の(a)(b)(c)に示すように、気体流路5の全体の断面積を増減させるために、気体流路5を構成する吸気部2及び分粒部3の外壁を水平方向にスライド自在の流路断面積調整手段としてのスライド壁45を有する粒子分離装置20Dを備えた粒子測定装置10Dとすることも可能である。
この流路断面積調整手段としてのスライド壁45は、例えば、気体流路に対して垂直な方向の側面壁が伸縮自在のジャバラにてなっている。この結果、スライド壁45を気体流路に対して垂直な方向に例えば手によって伸縮させることにより、気体流路の断面積を変化させることが可能となる。そして、このスライド壁45では、気体流路の断面積を自在に変化させることができるので、交換壁44に比べて利便性が高い。
このように、本実施の形態の粒子分離装置20Dを備えた粒子測定装置10Dでは、気体流路5を構成する壁部の一部の位置を、流路方向に対して垂直方向に変化させることよって、該気体流路5の断面積を調整する流路断面積調整手段としての交換壁44又はスライド壁45を有している。
この結果、流路断面積調整手段としての交換壁44又はスライド壁45は、気体流路5の一部を構成する壁部自体が気体流路5に対して垂直に動作することによって気体流路5の幅自体を変化させる。したがって、気体流路5全体の断面積が増減することによって風速つまり粒子速度も増減するので、分岐部Aの風速も変化し、分粒径を変更することが可能となる。
ここで、気体流路5の壁部自体を動作させて該気体流路5の断面積を変化させることは、特許文献1に近い概念といえる。しかし、特許文献1では、微粒子採取用直管120の外壁部分がノズル部113の内壁の一部をなすような特殊な形態であり、該微粒子採取用直管120を気流方向に平行方向に移動させるものである。これに対して、本実施の形態では、気体流路5を構成する壁の一部を単独で気体流路5に対して垂直な方向に動作させるものであり、基本的にはどのような形態の粒子分離装置であっても採用可能であり、構造自体も単純化できる。
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、流路断面積調整手段としての交換壁44又はスライド壁45のみについて説明したが、特にこれに限定するものではない。
例えば、本実施の形態の流路断面積調整手段としての交換壁44又はスライド壁45の構成に加えて、前記実施の形態1〜3にて説明した遮蔽部材からなる流路断面積調整手段を付加することも可能である。
これにより、流路断面積調整手段の機能が拡張されることになる。
〔まとめ〕
本発明の態様1における粒子分離装置20Aは、外部に面する気体導入口5fから粒子を含む気体を導入する導入流路5a、該導入流路5aにおける外部とは反対側の末端にある分岐部Aにて分岐された主流路5b及び支流路5cを有する気体流路5と、上記気体流路5の下流側に設けられて上記導入流路5aから主流路5b及び支流路5cへ向かう気流を発生させる流体駆動部(ファン4)とを備え、上記導入流路5aを流れる気流によって加速される粒子の慣性力により、該粒子を上記主流路5bと支流路5cとへ分離する粒子分離装置20Aであって、上記気体導入口5fを含む気体流路5、又は気体流路5と流体駆動部(ファン4)との間のいずれかの位置に配置されて、流路方向に対して垂直方向に動作して該流路の断面積を調整可能な流路断面積調整手段を備えていることを特徴としている。
上記の発明によれば、粒子分離装置は、気体流路と、該気体流路の下流側に設けられて上記導入流路から主流路及び支流路へ向かう気流を発生させる流体駆動部とを備えている。そして、導入流路を流れる気流によって加速される粒子の慣性力により、該粒子を主流路と支流路とへ分離する。
ところで、この種の慣性力を利用して大気中の浮遊粒子を粒子径サイズに応じて分離する粒子分離装置を用いた粒子測定装置において、従来、簡単な構造にて、分離する粒子径のサイズを変更し得る粒子分離装置は無かった。
そこで、本発明では、気体導入口を含む気体流路、又は気体流路と流体駆動部との間のいずれかの位置に配置されて、流路方向に対して垂直方向に動作して該流路の断面積を調整可能な流路断面積調整手段を備えている。これにより、流路断面積調整手段によって、主流路と支流路とに分離させる分岐部の直前の気流速度を調整し、分離する粒子径のサイズを変更することができる。
また、流路断面積調整手段の構造自体が単純化されており、基本的にはどのような形態の慣性力を利用して大気中の浮遊粒子を粒子径サイズに応じて分離する一般的な粒子分離装置であっても適用可能である。
したがって、簡単な構造にて、分離する粒子径のサイズを変更し得る粒子分離装置を提供することができる。
本発明の態様2における粒子分離装置20Aは、態様1における粒子分離装置において、前記流路断面積調整手段は、前記気体導入口5fに配置されて、該気体導入口5fの開口面積を調整するとすることができる。
前述したように、流路断面積調整手段は、流路方向に対して垂直方向に動作して該流路の断面積を調整するものである。ここで、分岐部直前での気流速度と気体流路の断面積の関係を、気体流路全体でみると、分岐部直前の部分だけは断面積が小さいほど分岐部直前での気流速度が大きくなる。また、それ以外の部分では、気体流路の断面積が小さくなると流路抵抗が増大することになるので、分岐部直前での気流速度が低下する。
そこで、本発明では、気体流路の始点である気体導入口の開口面積を調整する。この結果、例えば、気流抵抗を増大させて、分岐部直前での流速を低下させることができる。これにより、同一の気体流路において、気流速度つまり流体駆動部の能力のみを単純に低下させたとみなすことができる。気体流路の途中で不適切に断面積を変化させた場合、その部分で粒子の反射や乱流等の悪影響が発生し易いので、気体流路の断面積の調整は精度が要求される。しかし、本発明のように、気体流路の始点である気体導入口の開口面積を調整する場合は、このような問題は発生し難い。
本発明の態様3における粒子分離装置20Bは、態様1における粒子分離装置において、前記流路断面積調整手段は、前記流体駆動部(ファン4)の直前に配置されて、該流体駆動部(ファン4)の吸気面積を調整するとすることができる。
本発明では、気体流路の終点である流体駆動部の直前の吸気面積を調整する。この結果、例えば、気流抵抗を増大させて、分岐部直前での流速を低下させることができる。これにより、同一の気体流路において、気流速度つまり流体駆動部の能力のみを単純に低下させたとみなすことができる。気体流路の途中で不適切に断面積を変化させた場合、その部分で粒子の反射や乱流等の悪影響が発生し易いので、気体流路の断面積の調整は精度が要求される。しかし、本発明のように、気体流路の終点である流体駆動部の吸気面積を調整する場合は、このような問題は発生し難い。
本発明の態様4における粒子分離装置20Cは、態様1における粒子分離装置において、前記流路断面積調整手段は、前記導入流路5aの気体導入口5fから分岐部Aの間に配置されて、該導入流路5aの断面積を調整するとすることができる。
本発明では、気体流路の始点又は終点以外の部分において、断面積を調整するものであり、具体的には、導入流路の気体導入口から分岐部の間に配置されて、該導入流路の断面積を調整する。
すなわち、分岐部の直前の気流速度を制御するためには、分岐部の直前の導入流路の断面積が最も影響する。このため、この部分の断面積を調整することによって、分離する粒子のサイズを調整する。この調整は、気体流路の始点又は終点にて断面積を調整する場合に比べると、調整に精度が要求される。しかし、分岐部の直前の気流速度に大きく影響を与える導入流路の部分の断面積を調整するので、調整の範囲を広くとることができる。
本発明の態様5における粒子分離装置20A・20B・20Cは、態様1〜4のいずれか1の粒子分離装置において、前記流路断面積調整手段は、前記気体流路5内において気流の一部を遮蔽する遮蔽部材(導入口面積調整プレート41、絞り42、導入流路面積調整プレート43)からなっており、上記遮蔽部材(導入口面積調整プレート41、絞り42、導入流路面積調整プレート43)は、流路方向に対して垂直方向に動作して該気体流路5内の遮蔽面積を変化させることによって、該気体流路5の断面積を調整するとすることができる。
これにより、流路断面積調整手段は、気体流路とは別部材である例えば導入口面積調整プレート又は絞り等の遮蔽部材からなっている。そして、遮蔽部材は、流路方向に対して垂直方向に動作して該気体流路内の遮蔽面積を変化させることによって、該気体流路の断面積を調整する。
したがって、流路断面積調整手段を簡単な構成にて作製することが可能である。
本発明の態様6における粒子分離装置20Dは、態様1〜5のいずれか1の粒子分離装置において、前記流路断面積調整手段(交換壁44、スライド壁45)は、前記気体流路5を構成する壁部の一部の位置を、流路方向に対して垂直方向に変化させることよって、該気体流路5の断面積を調整するとすることができる。
これにより、流路断面積調整手段は、気体流路の一部を構成する壁部自体が気体流路に対して垂直に動作することによって気体流路の幅自体を変化させる。この結果、気体流路全体の断面積が増減することによって風速つまり粒子速度も増減するので、分岐部の風速も変化し、分粒径を変更することが可能となる。
尚、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。