JP2015132531A - 計測ヘッドの移動経路の決定方法、計測装置、およびプログラム - Google Patents

計測ヘッドの移動経路の決定方法、計測装置、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】被検物の形状によらずに、総計測時間の短縮化に有利な計測ヘッドの移動経路の決定方法を提供する。【解決手段】この計測ヘッドの移動経路の決定方法は、被検面の形状情報に基づいて、計測ヘッドの移動方向を決定する第1工程と、計測ヘッドから射出される光で走査される帯領域を決定する第2工程と、第1工程で決定された計測ヘッドの移動方向と、第2工程で決定された帯領域とに基づいて、計測ヘッドの移動経路を決定する第3工程とを含む。特に、第1工程は、一般形を有する2次関数を用いて被検面の形状をフィッティングする第1A工程S201と、第1A工程でフィッティングされた2次関数を主軸変換して標準形にする第1B工程S202と、標準形の自乗項の2つの係数と、標準形に変換するための回転量とに基づいて、計測ヘッドの移動方向を決定する第1C工程S203とを含む。【選択図】図4

Description

本発明は、計測ヘッドの移動経路の決定方法、計測装置、およびプログラムに関する。
従来、部品、または部品を製造するための金型などを被検物として、その被検物の形状を非接触で計測する装置がある。特に、移動体である計測ヘッド(非接触式プローブ)を被検物に対して相対的に移動させつつ、光(被検光)の投受光により被検物の表面までの距離を計測し、最終的に被検物の形状を計測する走査型計測装置がある。また、計測ヘッドは、出射する光を適宜走査させる機構を備える。このような走査型計測装置では、実際の計測に先立ち、計測時の計測ヘッドの移動経路を決定する。特許文献1は、計測ヘッドの移動経路を選定する方法を開示している。特許文献1の選定方法では、最初に手動操作で計測ヘッドと被検物とを相対移動させながら各計測点で計測を行い、このときの移動経路と計測手順とを予め登録する。次に、計測領域(被検面)を格子状に複数の区画に分割し、さらに直交する辺を列および行の幅として列分割および行分割する。このうち、区画を列方向に交互に逆方向へ向かう順路に従った順番で計測点を順次連結した移動経路を第1の移動経路候補とする。一方、区画を行方向に交互に逆方向へ向かう順路に従った順番で計測点を順次連結した経路を第2の移動経路候補とする。そして、第1の移動経路候補と第2の移動経路候補とを比較して総計測時間が短い経路が、実際の計測時の移動経路として選定される。
特許第3927699号公報
しかしながら、特許文献1に示す計測装置では、計測時に計測ヘッドを移動させるための移動機構の構成上、計測ヘッドから出射される光の走査範囲に制約が生じる。したがって、例えば、平面方向であるX軸、Y軸に平行な方向から角度を持つ方向で、平面方向に直交するZ軸方向に形状が変化している(高低差がある)ような被検物を計測しようとすると、その光の走査範囲の制約により、総計測時間が長くなる場合がある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、例えば、被検物の形状によらずに、総計測時間の短縮化に有利な計測ヘッドの移動経路の決定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、光を投受光する計測ヘッドを用いて被検面を計測するときの計測ヘッドの移動経路を決定する方法であって、被検面の形状情報に基づいて、計測ヘッドの移動方向を決定する第1工程と、計測ヘッドから射出される光で走査される帯領域を決定する第2工程と、第1工程で決定された計測ヘッドの移動方向と、第2工程で決定された帯領域とに基づいて、計測ヘッドの移動経路を決定する第3工程と、を含み、第1工程は、一般形を有する2次関数を用いて被検面の形状をフィッティングする第1A工程と、第1A工程でフィッティングされた2次関数を主軸変換して標準形にする第1B工程と、標準形の自乗項の2つの係数と、標準形に変換するための回転量とに基づいて、計測ヘッドの移動方向を決定する第1C工程と、を含む、ことを特徴とする。
本発明によれば、例えば、被検物の形状によらずに、総計測時間の短縮化に有利な計測ヘッドの移動経路の決定方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る計測装置の構成を示す図である。 従来と本実施形態との計測ヘッドの移動経路を比較する図である。 計測ヘッドの移動経路の決定工程を示すフローチャートである。 計測ヘッドの移動方向の決定工程を示すフローチャートである。 被検面のフィッティング形状と座標系の変換とを示す図である。 ガルバノミラー走査による帯領域の決定工程を示すフローチャートである。 ステップS103の工程での処理を説明するための図である。 被検面上の計測領域を帯領域に分割した結果を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面などを参照して説明する。
まず、本発明の一実施形態に係る計測ヘッドの移動経路の決定方法の説明に先立ち、本決定方法を採用し得る計測装置の構成について説明する。本実施形態に係る計測装置は、部品、または部品を製造するための金型などを被検物(被計測物)とし、この被検物の形状や位置を非接触で計測する。図1は、本実施形態に係る計測装置100の構成を示す概略図である。なお、以下の各図において、被検物Wが載置された状態での平面内に互いに直交するX軸およびY軸を取り、XY平面に垂直(本実施形態では計測ヘッド4と被検物Wとが向かい合う方向)にZ軸を取っている。また、計測装置100は、一例として、計測ヘッド4と被検物Wとを相対的に移動させながら光を投受光することで3次元計測するものとする。なお、ここでいう移動は、連続動作に限らず、計測時に一旦停止するものとしてもよい。
計測装置100は、定盤1と、定盤1上に支持されるXYZステージ2と、XYZステージ2に回転ステージ3を介して保持される計測ヘッド4と、制御部5とを備える。XYZステージ2は、計測ヘッド4をXYZの各軸に移動可能とする。回転ステージ3は、計測ヘッド4を回転させて、その計測ヘッド4の姿勢を可変とし、不図示であるが、Y軸に対応する第1回転軸と、Z軸に対応する第2回転軸との2つの回転軸を有する。以下、計測時に計測ヘッド4を移動させるための移動機構としてのXYZステージ2や回転ステージ3を総称して「プラットフォーム」という。計測ヘッド4は、定盤1上に保持(載置)されている被検物Wに被検光(被検光束)10を照射し、かつ被検物Wの被検面で発生した反射光または散乱光を検出することで、計測ヘッド4と被検物W(被検面)と間の距離を計測する。なお、計測ヘッド4の構成の詳細については後述する。制御部5は、各駆動系構成要素の駆動量の演算と、それに基づく駆動制御、また、計測ヘッド4の計測動作制御および計測データの格納などを実行する。
計測ヘッド4は、非接触式プローブであり、計測光学系6と、光走査部7とを含む。計測光学系6は、不図示であるが、光源と、光源から照射された光で参照光を生成する生成部と、計測光学系6に戻った光を検出する検出器とを含む。光走査部7は、計測光学系6から出射した被検光10を被検面上の所望の計測点に照射する形態の光束とする。光走査部7としては、例えば、被検光10の走査方向を変更可能とするガルバノミラーを採用し得る。この場合、被検光10は、被検面で反射等した後にガルバノミラーを介して再び計測光学系6に戻り、参照光と結合した干渉光が検出器で検出される。
制御部5は、検出器による検出結果に基づいて、参照光の光路長と被検光の光路長との差を求める。光路長差を求める方法としては、ある基準からの相対距離に基づく方法や、複数の波長計測等による絶対距離に基づく方法がある。そして、制御部5は、本実施形態に係る計測ヘッドの移動経路の決定方法を、例えばプログラムとして実行し得る。なお、本発明の計測ヘッドの移動経路の決定方法は、例えば、計測装置100とは別装置である情報処理装置(コンピューター)で実行し、その結果得られた計測ヘッドの移動経路を計測装置100に適用するものとしてもよい。
次に、計測装置100において、被検面の形状を計測する際に計測ヘッド4を移動させるときの移動経路を決定する方法について説明する。計測ヘッド4の移動経路を可能な限り効率のよいものとすることは、計測装置100における総計測時間を短くするためにも望ましい。ここで、ガルバノミラーによる被検光10の走査方向は、計測ヘッド4自体の移動方向とおおむね垂直な方向である。そして、ガルバノミラーは、被検光10の走査を計測ヘッド4自体の移動よりも高速に行うことができるので、被検光10の走査範囲を大きくし、かつ計測ヘッド4の移動量を少なくすることで、総計測時間を短くし得る。しかしながら、一般に、プラットホームの構成上、被検光10の走査範囲には角度の制約とZ軸方向の制約とがある。ここで、角度の制約とは、ガルバノミラーの角度制約や、精度保証のための被検面への入射角度制約などに起因して決まる制約をいう。また、Z軸方向の制約とは、精度保証のための焦点深度の制約などに起因して決まる制約をいう。したがって、例えば、X、Y軸に平行な方向から角度を持つ方向で、その平面に直交するZ軸方向に形状が変化している(すなわち高低差がある)ような被検物Wを計測すると、被検光10の走査範囲の制約により、総計測時間が反対に長くなる場合がある。そこで、このような場合には、以下のような対策が考えられる。
図2は、計測ヘッド4の移動経路について、従来の決定方法で考えられるものと、本実施形態におけるものとを比較する概略図である。図2に示す各図は、それぞれ、被検物Wの被検面を示し、実線は、被検面を分割している箇所を示し、破線矢印は、計測ヘッド4の移動経路を示している。また、通常は、このような列方向の経路のみならず、行方向の経路も作成し、最終的には総計測時間のより短い方が採用されることになるが、ここでは簡単のため、列方向の経路のみ例示する。図2(a)は、被検面に形状の変化がほぼない場合の図である。一方、図2(b)〜図2(d)は、被検面の形状に変化がある場合の図であり、左上の領域で円弧上の一点鎖線で示す等高線は、その被検面の形状の変化、特にZ軸方向の変化を示している。まず、図2(a)に示すように、被検面に形状の変化がほぼない場合には、移動経路の分割数を多くする必要はない。しかしながら、図2(b)に示すように、被検面の形状のZ軸方向の変化が大きい領域では、角度の制約とZ軸方向の制約とにより、被検光10の走査範囲が小さくなる。したがって、走査範囲の幅に合わせて図2(a)に示すように被検面の全面を等間隔で列分割すると、Z軸方向の変化が小さく、本来ならば被検光10の走査範囲を大きくしても許容される領域まで無駄に分割される。計測ヘッド4の移動速度には上限があるので、分割数が多くなると、計測ヘッド4の総移動量、すなわちプラットフォームの総駆動量が大きくなり、結果的に総計測時間が長くなる。これに対して、例えば、図2(c)に示すように、被検面の形状のZ軸方向の変化が大きいところが含まれる領域のみ細かく分割し、変化の小さい領域を大きく分割することが考えられる。しかしながら、この方法でも、例えば左下の領域など、Z軸方向の変化が小さいにも関わらず細かく分割されるところが残る。そこで、本実施形態では、図2(d)に示すように、被検面の形状のZ軸方向の変化が大きい方向を計測ヘッド4の移動方向とし、Z軸方向の変化が大きい方向と垂直な方向を被検光10の走査方向とする。以下、計測ヘッド4の計測時の移動経路を決定する方法について具体的に説明する。
図3は、本実施形態における計測ヘッド4の計測時の移動経路の決定工程を示すフローチャートである。まず、制御部5は、被検物Wの形状情報を読み込む(ステップS101)。ここで、形状情報とは、3DのCADデータ、予め計測装置100または別装置で計測したデータ、または被検物Wの形状を表現した式など、被検物Wの3次元形状が分かる情報である。さらに、制御部5は、被検面上の計測領域の情報を読み込む。次に、制御部5は、ステップS101で得られた形状情報に基づいて、ガルバノミラーの走査幅を最大とし得る計測ヘッド4の移動方向を決定する(ステップS102:第1工程)。次に、制御部5は、ガルバノミラーの走査制約を満たしつつ、最大とし得るガルバノミラーの走査による帯領域を決定する(ステップS103:第2工程)。帯領域は、計測ヘッド4を1方向に移動させながらガルバノミラーを走査することによって計測される部分的領域を示す。そして、制御部5は、総計測時間が最も短くなるように、具体的に計測ヘッド4の計測時の移動経路を求める(ステップS104:第3工程)。以下、特にステップS102、S103、およびS104の各工程について詳説する。
まず、ステップS102の工程について詳説する。図4は、ステップS102の計測ヘッド4の移動方向を決定する工程の流れを示すフローチャートである。図5は、座標系の変換を示す図である。図5において、実線は、被検面のZ軸方向の形状の変化を表す等高線を示し、破線と一点鎖線とでそれぞれ示す矢印は、座標系を示している。本図を含め、以下、等高線は、より太線で示されるものがより高く、より細線で示されるものがより低いという意味である。制御部5は、まず、図5の破線矢印で示す直交する2つの軸x、yにおいて、以下の式(1)に示す一般形を有する2次関数を用いて、被検面の形状をフィッティングする(ステップS201:第1A工程)。
F1(x,y)=ax +bx+cy +dx+ey+f (1)
ただし、a、b、c、d、e、fは、それぞれフィッティング係数である。
次に、制御部5は、ステップS201で求めた2次関数F1(x,y)を主軸変換し、以下の式(2)に示す標準形F2(x,y)とする(ステップS202:第1B工程)。
F2(x,y)=a’x +c’y +f (2)
ただし、軸x、yは、軸x、yのシフトと回転とで表される新しい直交座標系であり、図5の一点鎖線矢印に対応する。また、a’、c’は、標準形に変換された自乗項の係数である。ここで、標準形とは、軸をシフトし、主軸変換して回転させることにより、2次成分のみに変換した式をいう。また、主軸変換により、軸x、yと軸x、yとの回転角度を求めることができる。
ここで、標準形F2(x,y)を求める方法をより具体的に説明する。式(1)をシフトしたものを行列式で表すと、式(3)となる。
Figure 2015132531
そして、以下の式(4)を定義し、Aの直交行列を求める。
Figure 2015132531
固有値をλとすると、固有方程式は、以下の式(5)で表される。
D(λ)=(a−λ)(c−λ)−(b/2)=0 (5)
この式(5)を解くと、固有値λ、λが求められる。AX=λXより、固有値λの時の固有ベクトルは、以下のベクトル(6)と、固有値λの時の固有ベクトルは、以下のベクトル(7)となるので、直交行列Vは、式(8)となる。
Figure 2015132531
Figure 2015132531
Figure 2015132531
この直交行列Vを用いて、以下の式(9)を変換する。
Figure 2015132531
そして、式(3)、式(8)、式(9)より、式(10)が求められる。
Figure 2015132531
このとき、式(11)が成り立つので、この式より回転角度を求めることができる。
Figure 2015132531
そして、制御部5は、式(10)より求められる標準形F2の自乗項の係数a’、c’と式(11)より求められる回転量(回転角度)とに基づいて、計測ヘッド4の移動方向を決定する(ステップS203:第1C工程)。このとき、係数a’、c’が同符号、すなわちともに正または負の場合には、係数a’、c’の絶対値の大きい方を計測ヘッド4の移動方向とし、小さい方をガルバノミラーの走査方向とする。一方、係数a’、c’が異符号の場合には、負の方を計測ヘッド4の移動方向とし、正の方をガルバノミラーの走査方向とする。
例えば、図5中の等高線は、ステップS201にて一般形を有する2次関数で被検面の形状をフィッティングした結果を示す。そして、このときのフィッティング係数は、a=−0.01、b=−0.02、c=−0.001、d=0.4、e=0.5、およびf=0.6である。また、フィッティング残差は、許容できるものとする。次に、ステップS202として、式(10)に各係数を代入すると、式(12)となる。
Figure 2015132531
式(12)より、a’=−0.0165、およびc’=0.0055が求められる。また、式(11)より、直交軸x、yは、主軸x、yを32.9°回転したものと求められる。これにより、ステップS203では、制御部5は、軸xの方向を計測ヘッド4の移動方向と、一方、軸yの方向をガルバノミラーの走査方向とを決定する。また、直交軸が32.9°回転していることから、制御部5は、計測ヘッド4の移動方向とガルバノミラーの走査方向とを、それぞれ、軸x、yを32.9°傾けた方向と決定する。
次に、ステップS103の工程について詳説する。図6は、ステップS103のガルバノミラー走査による帯領域を決定する工程の流れを示すフローチャートである。図7は、ステップS103の工程での処理を説明するための概略図である。図7に示す等高線は、被検面の形状のZ軸方向の変化を示している。制御部5は、このステップS103において、ガルバノミラー走査による帯領域を、角度の制約を満たす最大の値となるように決定する。
まず、制御部5は、被検面上でガルバノミラー走査による帯領域を仮決めする(ステップS301:第2A工程)。図7中の(A)は、図5に示すx、y座標系において、軸xに平行となる帯領域で切り抜き、被検面の端から仮決めした一例を示す図である。
次に、制御部5は、ステップS301で仮決めされた形状から、各方向(各成分)についてプラットフォームでならえる形状を減算する(ステップS302:第2B工程)。ステップS102で求めた方向に計測ヘッド4を移動した場合、X、Y、Z、および回転を用いてプラットフォームでならえる形状である図7中の(B)および(C)を減算すると(D)にような形状となる。ただし、(B)は、軸y回りに回転する成分であるθy2成分であり、(C)は、y方向の傾き成分である。
次に、制御部5は、ステップS302で求められた形状から、ガルバノミラーの走査面を減算する(ステップS303:第2C工程)。ガルバノミラーの走査面は、ガルバノミラーの回転中心からワーキングディスタンスを半径とする円弧面である。ガルバノミラーにより走査された被検光10は、計測ヘッド4がx方向へ移動中、おおむねy方向に走査するので、図7中の(E)に示すような走査面となる。この走査面からの差分を求めると(F)のような形状となる。なお、このステップS303と上記のステップS302との実行順序は、反対でもよい。
次に、制御部5は、現在検討している帯領域について、ステップS303までで求められた残差形状である図7中の(F)が、その帯領域内のすべてでZ閾値(すなわちZ軸方向の制約)以内に収まるかどうかを判断する(ステップS304:第2D工程)。ここで、制御部5は、(F)がZ閾値以内に収まらないと判断した場合には(No)、ステップS301に戻り、ガルバノミラーで制御可能な最小角度ピッチ分だけ帯領域を狭めた上で、再度ステップS302〜S304を実行し、Z閾値以内となるまで繰り返す。一方、制御部5は、(F)がZ閾値以内に収まると判断した場合には(Yes)、次の帯領域について、ステップS301〜S304の工程を同様に実行し、計測領域をすべて計測できるように帯領域を決定する(ステップS305)。図8は、ステップS103の工程により、被検面上の計測領域のすべてを帯領域に分割した結果を実線で示す図である。
次に、ステップS104の工程について詳説する。ステップS104は、ステップS103にて分割した各帯領域を、総計測時間が最も短くなるように計測ヘッド4の移動経路を決定する工程である。制御部5は、図8に示すような結果に対して、例えば、上記の図2(d)に示すように、図の左下から計測を開始し、計測ヘッド4の移動方向が隣り合う帯領域と交互に逆方向になるような順路を順番に連結し、計測ヘッド4の移動経路と決定し得る。なお、例えば、原点位置、計測前の計測ヘッド4の位置、または次の計測開始位置によっては、図8に示すような左下からではなく、右上から計測を開始してもよい。または、制御部5は、各帯領域間の移動時間または移動距離をパラメーターとして、巡回セールスマン問題を解き、総計測時間が最も短くなるような移動経路を求めてもよい。
このように、本実施形態に係る計測ヘッド4の移動経路の決定方法では、被検光10の走査範囲を最大として、被検面の分割数を少なくできる。したがって、被検物Wが、例えば、Z軸方向に変化が大きく、すなわち高低差が大きい形状を有する場合であっても、プラットフォームの総駆動量を従来よりも減らすことができ、その結果、総計測時間をより短くすることができる。
以上のように、本実施形態によれば、被検物の形状によらずに、総計測時間の短縮化に有利な計測ヘッドの移動経路の決定方法、および計測装置を提供することができる。
なお、本実施形態では、ステップS201において被検面の形状を2次関数でフィッティングした残差が許容できるとした。これに対して、フィッティング残差が許容値を超える場合には、被検面を分割し、各々の分割領域でフィッティング残差が許容値内に入るようにしてもよい。この場合、各分割領域について、上記のように計測ヘッド4の移動方向を求め、各領域間の移動時間または移動距離をパラメーターとして巡回セールスマン問題を解き、最終的に総計測時間が最も短くなるような計測ヘッド4の移動経路を求めればよい。または、各分割領域におけるすべての帯領域について、各帯領域間の移動時間または移動距離をパラメーターとして巡回セールスマン問題を解き、最終的に総計測時間が最も短くなるような計測ヘッド4の移動経路を求めてもよい。
また、本実施形態は、計測ヘッド4において、計測ヘッド4内で被検光10を走査する機構としてガルバノミラーを挙げ、点計測を行う方法を例示した。ただし、本発明はこれに限定されず、ガルバノミラー以外の走査機構を採用したり、点計測以外の計測方法を行ってもよい。例えば、計測ヘッド4にライン状の被検光が射出される光切断方式のヘッドを用いた場合には、ガルバノ走査方向をライン方向と置き換えることにより、本実施形態と同様の手順で実施することが可能である。また、本実施形態では、ステップS304においてガルバノミラー走査による帯領域がZ閾値を超えた場合には、ガルバノミラーで制御可能な最小角度ピッチ分だけ帯領域を狭める。ただし、本発明はこれに限定されず、例えば、あらかじめ定められたピッチで帯領域を狭めてもよいし、ステップS303までで求めた残差形状とZ閾値とに基づいて帯領域を狭める量を求めてもよい。また、図7のフローで求められた帯領域の測定データを取得する方法は、測定時にガルバノミラーの走査範囲を狭めてもよいし、測定時の走査範囲は変えず、測定データを処理する際にZ閾値以内に収まる帯領域のデータのみ有効データとして使用するとしてもよい。さらに、本実施形態では、計測ヘッド4の移動方向を求める手順を例示したが、本発明はこれに限定されず、プラットフォームが斜め方向に駆動できない制約がある場合には、被検面を上記のように求めた角度だけ回転させて対応してもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
2 XYZステージ
4 計測ヘッド
5 制御部
7 光走査部

Claims (11)

  1. 光を投受光する計測ヘッドを用いて被検面を計測するときの前記計測ヘッドの移動経路を決定する方法であって、
    前記被検面の形状情報に基づいて、前記計測ヘッドの移動方向を決定する第1工程と、
    前記計測ヘッドから射出される光で走査される帯領域を決定する第2工程と、
    前記第1工程で決定された前記計測ヘッドの移動方向と、前記第2工程で決定された前記帯領域とに基づいて、前記計測ヘッドの移動経路を決定する第3工程と、を含み、
    前記第1工程は、一般形を有する2次関数を用いて前記被検面の形状をフィッティングする第1A工程と、
    前記第1A工程でフィッティングされた2次関数を主軸変換して標準形にする第1B工程と、
    前記標準形の自乗項の2つの係数と、該標準形に変換するための回転量とに基づいて、前記計測ヘッドの移動方向を決定する第1C工程と、を含む、
    ことを特徴とする計測ヘッドの移動経路の決定方法。
  2. 前記第1C工程では、
    前記標準形の自乗項の2つの係数が同符号の場合には、絶対値の符号が大きい方を前記計測ヘッドの移動方向と決定し、
    前記標準形の自乗項の2つの係数が異符号の場合には、負の方を前記計測ヘッドの移動方向と決定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の計測ヘッドの移動経路の決定方法。
  3. 前記第2工程は、
    前記帯領域を仮決めする第2A工程と、
    前記第2A工程で仮決めされた帯領域から、前記計測ヘッドの移動機構、または、前記計測ヘッドを回転させる機構でならえる形状を減算する第2B工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の計測ヘッドの移動経路の決定方法。
  4. 前記第2工程は、
    前記帯領域を仮決めする第2A工程と、
    前記第2A工程で仮決めされた帯領域から、前記光による走査面を減算する第2C工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の計測ヘッドの移動経路の決定方法。
  5. 前記第2工程は、前記第2A工程で仮決めされた帯領域について、前記第2B工程、または前記第2C工程で得られた残差形状が、前記計測ヘッドと前記被検物とが向き合う方向の閾値に収まっているかどうかを判断する第2D工程を含み、
    前記第2D工程では、
    前記残差形状が前記閾値に収まっていると判断された場合には、前記第2A工程で仮決めされた領域を前記帯領域として決定し、
    前記残差形状が前記閾値を超えると判断された場合には、前記第2A工程で帯領域を狭めた上で、再度、前記第2B工程または前記第2C工程、および前記第2D工程を行うと判断する、
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の計測ヘッドの移動経路の決定方法。
  6. 前記第3工程では、前記第3工程で得られた各帯領域を、総計測時間が最小となる順番で計測するように、前記計測ヘッドの移動経路を決定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の計測ヘッドの移動経路の決定方法。
  7. 前記第3工程では、前記計測ヘッドの移動経路を、隣り合う前記帯領域を交互に逆方向に向かう順路に従った順番で連結した経路とすることを特徴とする請求項6に記載の計測ヘッドの移動経路の決定方法。
  8. 前記第3工程では、前記計測ヘッドの移動経路を、前記帯領域の間の移動時間または移動距離をパラメーターとして、巡回セールスマン問題を解いて求めることを特徴とする請求項6に記載の計測ヘッドの移動経路の決定方法。
  9. 前記第3工程では、フィッティング残差が許容値を超える場合には、前記被検面を分割し、各々の分割領域で前記フィッティング残差を前記許容値内に入れることを特徴とする請求項1に記載の計測ヘッドの移動経路の決定方法。
  10. 光を投受光する計測ヘッドを用いて被検物を計測する計測装置であって、
    請求項1ないし8のいずれか1項に記載の計測ヘッドの移動経路の決定方法を用いて前記計測ヘッドの移動経路を決定する制御部を備えることを特徴とする計測装置。
  11. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の計測ヘッドの移動経路の決定方法を情報処理装置に実行させることを特徴とするプログラム。
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