以下、本発明の実施の形態に係るハイブリッド式建設機械として、動力源としてエンジンと発電・電動機とを併用したハイブリッド式油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図16を参照しつつ詳細に説明する。
図1において、1はハイブリッド式建設機械の代表例としてのハイブリッド式油圧ショベルを示している。このハイブリッド式油圧ショベル1は、例えば運転質量が6トン未満のミニショベルと呼ばれるもので、旋回動作時に上部旋回体4の後部が下部走行体2の車幅寸法内にほぼ収まる後方超小旋回型の油圧ショベルとして構成されている。
ハイブリッド式油圧ショベル1は、図1ないし図3に示すように、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に設けられた旋回装置3と、前記下部走行体2上に該旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、該上部旋回体4の前側に俯仰動可能に設けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置5とにより構成されている。
下部走行体2は、トラックフレーム2Aと、該トラックフレーム2Aの左,右両側に設けられた駆動輪2Bと、該駆動輪2Bと前,後方向の反対側に位置して前記トラックフレーム2Aの左,右両側に設けられた遊動輪2Cと、前記駆動輪2Bと遊動輪2C(いずれも左側のみ図示)とに亘って巻回された履帯2Dとを含んで構成されている。左,右の駆動輪2Bは、油圧モータからなる左,右の走行用モータ2E,2F(図16参照)によって回転駆動され、これにより、下部走行体2は自走可能となっている。一方、トラックフレーム2Aの中央部の上側には、大径で短尺な筒体2Gが設けられ、該筒体2G上には、旋回装置3が取付けられている。ここで、下部走行体2の走行用モータ2E,2Fは、例えば走行速度を低速段と高速段の2段階に切換えることができる。
作業装置5は、後述する旋回フレーム6に俯仰動可能に取付けられたブーム5Aと、該ブーム5Aの先端部に俯仰動可能に取付けられたアーム5Bと、該アーム5Bの先端部に回動可能に取付けられたバケット5Cと、これらを駆動する油圧アクチュエータとしての油圧シリンダからなるブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5Fとにより構成されている。
上部旋回体4は、後述の旋回フレーム6が旋回装置3を介して下部走行体2上に旋回自在に搭載され、この旋回フレーム6上には、後述のカウンタウエイト8、エンジン11、油圧ポンプ13、アシスト用発電・電動機14、旋回用発電・電動機15、フロア部材16、作動油タンク22、燃料タンク23、蓄電装置24、電気部品取付ブラケット27、旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36、コンタクタボックス37等が設けられている。
6は上部旋回体4の支持構造体を形成する旋回フレームである。この旋回フレーム6は、図4ないし図8に示すように、前,後方向に延びた底板6Aと、該底板6A上に左,右方向に間隔をもって前,後方向に延びて立設された左縦板6B,右縦板6Cと、前記底板6Aの前端部位から左,右方向の左側に延びつつ屈曲して後方に延びた左サイドフレーム6Dと、前記底板6Aの前端部位から左,右方向の右側に延びつつ屈曲して後方に延びた右サイドフレーム6Eと、前記各縦板6B,6Cの後端部に固着された状態で前記底板6A上に左,右方向に延びて立設された後横板6Fと、該後横板6Fの後側に位置して前記底板6A上に立設されたC字形状ないしU字形状の後縦板6Gと、前記各縦板6B,6Cの前側に設けられた支持ブラケット6Hとにより構成されている。この支持ブラケット6Hは、底板6Aよりも前方に突出して設けられ、先端側には作業装置5が左,右方向に揺動可能に取付けられている。
一方、後横板6Fの上側部位には、図11、図12に示すように、左,右の縦板6B,6C間に位置して複数個、例えば2個〜5個のめねじ孔6Jが左,右方向に間隔をもって設けられている。この複数個のめねじ孔6Jは、例えば後横板6Fに穿設した貫通孔にナットを溶接した溶接ナットとして形成されている。ここで、後横板6Fは、後述するカウンタウエイト8のフロア取付ブラケット9と協働して後述する電気部品取付ブラケット27を取付けるものであり、各めねじ孔6Jには、電気部品取付ブラケット27の下側部分を取付けるためのボルト33が螺着される。
7は旋回フレーム6に設けられた蓄電装置取付台を示し、該蓄電装置取付台7は、後述の蓄電装置24を旋回フレーム6上に取付けるものであり、旋回フレーム6の一部を構成している。蓄電装置取付台7は、旋回フレーム6の中央付近、具体的には、右縦板6Cの上側位置を右サイドフレーム6Eの前端から後横板6Fまで延びるボックス状の台座として形成されている。ボックス状の蓄電装置取付台7は、その上面が蓄電装置24を取付けるための平坦な取付面部7Aとなり、該取付面部7Aの前端から下側に延びた前面部7Bには、後述するケーブル38等を通すための開口部7Cが形成されている。
8は旋回フレーム6の後端部に取付けられたカウンタウエイトを示している。このカウンタウエイト8は、作業装置5との重量バランスをとるもので、後向きに突出した凸湾曲形状をなしている。カウンタウエイト8の上端面は、図11に示すように、ほぼ平坦な上面8Aとなり、この上面8Aの前側には、カウンタウエイト8の一部を構成するフロア取付ブラケット9が設けられている。
ここで、フロア取付ブラケット9は、後述するフロア部材16の後側が取付けられるものである。フロア取付ブラケット9は、左,右方向に水平に延びた横板部9Aと、該横板部9Aの前端から屈曲して下方に延びた縦板部9Bとにより断面L字状の強度部材として形成されている。横板部9Aは、カウンタウエイト8の上面8Aに一体的にボルト止めされている。一方、縦板部9Bには、左,右方向に間隔をもって複数個、例えば3個のめねじ孔9Cが設けられ、この3個のめねじ孔9Cは、例えば前述した旋回フレーム6のめねじ孔6Jと同様に、溶接ナットとして形成されている。さらに、各めねじ孔9Cには、電気部品取付ブラケット27の上側部分を取付けるためのボルト33が螺着される。
10はフロア取付ブラケット9の右側に位置してカウンタウエイト8から前側に延びて設けられた熱交換器カバーである。この熱交換器カバー10は、後述するエンジン11、熱交換器12の上側を覆う上面部10Aと、該上面部10Aの前側から下側に延びて前記エンジン11、熱交換器12の前側を覆う前面部10Bとにより構成され、該前面部10Bの下側は、例えば蓄電装置取付台7の後部に取付けられている。
11はカウンタウエイト8の前側に位置して旋回フレーム6上に設けられたエンジンを示している。このエンジン11は、旋回フレーム6の後側に位置する後縦板6G上に、左,右方向に延在する横置き状態で搭載されている。エンジン11には、排気ガスを排出するための排気管11Aが設けられ、該排気管11Aには、エンジン11の左側に位置してマフラ11Bが設けられている。このマフラ11Bは、排気ガスの騒音を低減するために備えられている。これ以外にも、エンジン11の出力が排気ガス規制の設定値を越える場合には、マフラ11Bを排気ガス後処理装置に変更することで、エンジン11から排出される排気ガス中の有害物質を除去することができる。一方、エンジン11の右側には、ラジエータ、オイルクーラ等を含む熱交換器12が配設されている。
ここで、エンジン11の性能(出力)について述べる。エンジン11の出力は、図15に示すように、後述する油圧ポンプ13を軽い負荷で駆動するのに必要とされる力を賄い得る大きさに設定されている。具体的には、エンジン11の出力は、下部走行体2を低速段で走行させたときの低速走行時、または作業装置5、旋回装置3を用いて一般的な掘削作業を行ったときの通常の作業時に、油圧ポンプ13を駆動するのに必要な値に設定されている。一方で、油圧ポンプ13の負荷が前記軽い負荷よりも大きくなったとき、例えば、下部走行体2を高速段で走行させたときの高速走行時には、エンジン11の出力に対しアシスト用発電・電動機14の出力をアシストして油圧ポンプ13を駆動する構成としている。
従って、エンジン11は、油圧ポンプ13を軽い負荷で駆動できる出力を有していればよいから、出力に合せて小型化できる上に、このエンジン11に関連する機器、例えばマフラ11B(排気ガス後処理装置)、熱交換器12等も小型化することができる。これにより、エンジン11の周囲には、各機器を小型化したことにより、後述のエンジン前空間26を含む空間を設けることができる。
13はエンジン11の左側に設けられた油圧ポンプを示している。この油圧ポンプ13は、入力軸がエンジン11の出力軸と同軸に設けられ、該エンジン11によって駆動されるものである。油圧ポンプ13は、下部走行体2の各走行用モータ2E,2Fと作業装置5の各シリンダ5D,5E,5Fを駆動するための動力源として、作動油を昇圧して吐出するものである。
ここで、図14に示すように、油圧ポンプ13を軽い負荷で駆動するのに必要とされる出力は、エンジン11の出力により賄うことができる。一方、油圧ポンプ13をこれよりも重い負荷で駆動するのに必要とされる出力は、エンジン11の出力に後述するアシスト用発電・電動機14の出力を加える(アシストさせる)ことにより賄うことができる。
14はエンジン11の左側に位置して該エンジン11の出力軸と油圧ポンプ13の入力軸とに接続されたアシスト用発電・電動機(図11参照)である。このアシスト用発電・電動機14は、エンジン11によって回転駆動することにより発電し、またはエンジン11に加えて油圧ポンプ13の駆動を補助するものである。アシスト用発電・電動機14は、後述の三相交流ケーブル35を介してアシスト用インバータ36に電気的に接続されている。
15は旋回装置3の動力源を構成する旋回用発電・電動機を示している。この旋回用発電・電動機15は、旋回フレーム6の底板6Aのほぼ中央部に取付けられた電動モータからなり、減速機構15Aを介して旋回装置3に噛合する歯車(図示せず)を有している。旋回用発電・電動機15は、後述の蓄電装置24からの給電によって前記歯車を回転駆動することにより、旋回装置3を介して下部走行体2上で上部旋回体4を旋回動作させるものである。一方で、旋回用発電・電動機15は、旋回動作を減速するときに発生する回生エネルギを蓄電装置24に蓄えることができる。旋回用発電・電動機15は、三相交流ケーブル35を介して旋回用インバータ34に電気的に接続されている。
16は旋回フレーム6上の左,右方向の一側となる左側寄りに設けられたフロア部材である。このフロア部材16は、その前端位置が後述の傾転支持部材21を介して旋回フレーム6の前端位置に傾転可能(チルトアップ、チルトダウン可能)に支持されている。一方、フロア部材16の後側位置は、カウンタウエイト8の上部に支持されている。フロア部材16は、図4、図7、図9に示すように、前側に位置してオペレータが足を乗せる足乗せ部16Aと、該足乗せ部16Aの後部から上方に立上がった立上がり部16Bと、該立上がり部16Bの上側からエンジン11の上側に向け後側に延びた運転席取付部16Cと、該運転席取付部16Cの後部から斜め上側に延びた背板部16Dと、該背板部16Dの上側から後側に延びた取付板部16Eとを含んで構成されている。
さらに、足乗せ部16Aの前側には、レバー・ペダル取付部16Fが設けられ、該レバー・ペダル取付部16Fには、後述する走行用の操作レバー・ペダル19等が設けられている。レバー・ペダル取付部16Fの下面側には、後述する傾転支持部材21が左,右方向に間隔をもって取付けられている。これにより、フロア部材16は、傾転支持部材21を傾転中心として後側をチルトアップまたはチルトダウンすることができる。フロア部材16をチルトダウンした状態では、後側の取付板部16Eをカウンタウエイト8のフロア取付ブラケット9にボルト止めすることができる。
17はフロア部材16を構成する運転席取付部16C上に設けられた運転席(図2参照)で、該運転席17は、オペレータが着座するものである。運転席17の左,右両側には、作業装置5等を操作するための作業用の操作レバー18が配設されている。さらに、運転席17の前方となるフロア部材16のレバー・ペダル取付部16Fには、下部走行体2を走行させるときに手動操作または足踏み操作によって操作する走行用の操作レバー・ペダル19が設けられている。
20はフロア部材16上に設けられたキャブボックスで、該キャブボックス20は、上,下方向に長尺な有蓋のボックス体として形成されている。このキャブボックス20は、下部がフロア部材16の周囲に取付けられている。なお、キャブボックス20に代え、支柱上にルーフ部が設けられたキャノピを適用することもできる。
ここで、フロア部材16、運転席17、作業用の操作レバー18、走行用の操作レバー・ペダル19、キャブボックス20等は、旋回フレーム6上に搭載された1つのユニットとして構成されている。このキャブユニットは、図7に示すように、フロア部材16のレバー・ペダル取付部16Fが旋回フレーム6の前端部に対し、左,右方向に延びる軸線を回動軸線とするヒンジ構造をもった左,右の傾転支持部材21を介して取付けられている。これにより、キャブユニットは、前側の傾転支持部材21を支点として後側が上,下方向に傾転可能となっている。
22は貯油タンクとしての作動油タンクで(図10参照)、該作動油タンク22は、旋回フレーム6の左,右方向の他側となる右側、具体的には、熱交換器12の前側に位置して右サイドフレーム6Eの近傍に設けられている。この作動油タンク22は、油圧ポンプ13に供給する作動油を貯えるものである。
23は作動油タンク22の左前側の近傍に位置して旋回フレーム6上に設けられた貯油タンクとしての燃料タンクである。この燃料タンク23は、エンジン11に供給する燃料を貯えるものである。
ここで、貯油タンクを構成する作動油タンク22と燃料タンク23は、旋回フレーム6の右縦板6Cよりも右側に配置することにより、フロア部材16(キャブボックス20)との間に空間を形成している。この各タンク22,23とフロア部材16との間の空間には、蓄電装置取付台7上に位置して後述の蓄電装置24を配置することができる。
24は旋回フレーム6上に設けられた蓄電装置で、該蓄電装置24は、燃料タンク23とフロア部材16(キャブボックス20)との間の空間に位置して蓄電装置取付台7上に配設されている。蓄電装置24は、旋回用発電・電動機15およびアシスト用発電・電動機14に対して電力の給電を行うと共に、旋回用発電・電動機15およびアシスト用発電・電動機14から電力の受電(蓄電)を行うもので、例えばリチウムイオンバッテリを用いて構成されている。なお、蓄電装置24としては、リチウムイオンバッテリ以外にも、例えば電気二重層のキャパシタを用いることもできる。蓄電装置24にキャパシタを用いる場合には、蓄電装置24の出力端子にチョッパを接続して設け、該チョッパによって蓄電装置24の出力端子電圧を一定に保持するのが好ましい。
蓄電装置24は、燃料タンク23とキャブボックス20との間の狭い空間に収まるように、左,右方向に扁平で上,下方向に延びた縦長な直方体状に形成されている。蓄電装置24は、図16に示すように、給電用のケーブル38を介して後述のディスコネクトスイッチ25、各インバータ34,36と電気的に接続されている。蓄電装置24は、その下部が蓄電装置取付台7の取付面部7Aに取付けられ、後部が熱交換器カバー10の前面部10Bに取付けられている。
25は蓄電装置24の前部上側に設けられたディスコネクトスイッチである。このディスコネクトスイッチ25は、例えば、蓄電装置24の正側の出力端子に接続して設けられ、操作用のボタン25Aを有している(図4参照)。そして、ディスコネクトスイッチ25は、常時は蓄電装置24と各インバータ34,36との間を接続し、ボタン25Aが操作されることによって蓄電装置24と各インバータ34,36との間を遮断するものである。
26はフロア部材16の運転席取付部16Cの下側であってエンジン11とフロア部材16の立上がり部16Bとの間に形成されたエンジン前空間を示している(図7参照)。このエンジン前空間26には、後述の電気部品取付ブラケット27を介して旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36およびコンタクタボックス37が配置されている。
27はエンジン前空間26内に位置して旋回フレーム6に設けられた電気部品取付ブラケットである。この電気部品取付ブラケット27は、フロア部材16とは別部材として形成されている。電気部品取付ブラケット27は、図11ないし図13に示すように、後述のメインブラケット28、上側取付部29、下側取付部30、防振部材31を含んで構成されている。
28は電気部品取付ブラケット27の本体部分を形成するメインブラケットで、該メインブラケット28は、エンジン11の前側を覆う縦面板28Aと、該縦面板28Aの上部から後側に延びた横面板28Bと、該横面板28Bの後部から上側に延びた上取付代28Cと、前記縦面板28Aの下部から前側に延びた下取付代28Dと、前記縦面板28A、横面板28B、各取付代28C,28Dの右端縁に固着された右面板28Eとによりステップ状に構成されている。
縦面板28Aには、旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36、コンタクタボックス37を取付けるための複数個のめねじ孔(いずれも図示せず)が設けられている。上取付代28Cには、左,右方向に間隔をもって複数個、例えば3個の貫通孔28Fが設けられ、下取付代28Dには、左,右方向に間隔をもって複数個、例えば4個の貫通孔28Gが設けられている。
29は電気部品取付ブラケット27の上側位置に配置された上側取付部で、該上側取付部29は、左,右方向に長尺な略長方形状の板体として形成されている。上側取付部29の上側位置には、カウンタウエイト8を構成するフロア取付ブラケット9の各めねじ孔9Cに対応して3個のボルト挿通孔29Aが設けられている。一方、上側取付部29の下側位置には、後述する防振部材31が複数個取付けられている。
30は電気部品取付ブラケット27の下側位置に配置された下側取付部で、該下側取付部30は、横板30Aと縦板30Bとからアングル状に形成されている。前記縦板30Bには、旋回フレーム6の後横板6Fに設けためねじ孔6Jに対応して複数個のボルト挿通孔30Cが設けられている。一方、横板30Aには、後述する防振部材31が複数個取付けられている。
31は上側取付部29の下側部位と下側取付部30の横板30Aとにそれぞれ設けられた複数個の防振部材である。この複数個の防振部材31は、例えばゴム等の弾性部材の先端におねじ部31Aを固着することにより形成されている。各防振部材31は、前記弾性部材側を上側取付部29、下側取付部30に対して取付けている。
ここで、下側に3個の防振部材31が取付けられた上側取付部29は、各防振部材31のおねじ部31Aをメインブラケット28の上取付代28Cに設けた各貫通孔28Fに挿通し、このおねじ部31Aにナット32を螺着することにより、メインブラケット28の上側に取付けられている。一方、上側に4個の防振部材31が取付けられた下側取付部30は、各防振部材31のおねじ部31Aをメインブラケット28の下取付代28Dに設けた各貫通孔28Gに挿通し、このおねじ部31Aにナット32を螺着することにより、メインブラケット28の下側に取付けられている。
このように組立てられた電気部品取付ブラケット27は、図12に示すように、上側取付部29をカウンタウエイト8を構成するフロア取付ブラケット9の縦板部9Bに対面させ、ボルト挿通孔29Aに挿通したボルト33をフロア取付ブラケット9のめねじ孔9Cに螺着することにより、電気部品取付ブラケット27の上側部分をカウンタウエイト8の前部に対して防振状態で取付けることができる。一方、下側取付部30の縦板30Bを旋回フレーム6の後横板6Fに対面させ、ボルト挿通孔30Cに挿通したボルト33を後横板6Fのめねじ孔6Jに螺着することにより、電気部品取付ブラケット27の下側部分を旋回フレーム6に対して防振状態で取付けることができる。
34は旋回用発電・電動機15を制御するために該発電・電動機15に電気的に接続された旋回用インバータである。この旋回用インバータ34は、電気部品取付ブラケット27のメインブラケット28、具体的には、メインブラケット28の縦面板28Aのうち、蓄電装置24側となる右側位置に取付けられている。これにより、図10に示すように、旋回用インバータ34は、旋回フレーム6のほぼ中央位置に配置された旋回用発電・電動機15に対して直ぐ後方、即ち、アシスト用インバータ36に比べて旋回用発電・電動機15に近い位置に配置されている。
旋回用インバータ34は、複数のスイッチング素子(図示せず)等を組合せることにより構成されている。旋回用インバータ34は、旋回用発電・電動機15の回生時には、旋回用発電・電動機15による交流の回生電力を直流電力に変換して蓄電装置24に供給する。一方、旋回用発電・電動機15の旋回駆動時には、蓄電装置24からの直流電力を交流の駆動電力に変換して旋回用発電・電動機15に供給する。
旋回用インバータ34は、旋回用発電・電動機15に三相交流ケーブル35を用いて接続されている。旋回用インバータ34と旋回用発電・電動機15とは、前,後方向で対向するように近い位置に配置されている。これにより、両者を接続する前記三相交流ケーブル35も短く形成することができる。
36はアシスト用発電・電動機14を制御するために該発電・電動機14に電気的に接続されたアシスト用インバータである。このアシスト用インバータ36は、旋回用インバータ34の左側(蓄電装置24と離れる側)に並べてメインブラケット28の縦面板28Aに取付けられている。これにより、アシスト用インバータ36は、エンジン11の左側に配置されたアシスト用発電・電動機14に対し、旋回用インバータ34よりも近い位置に配置されている。
このアシスト用インバータ36は、旋回用インバータ34と同様に、複数のスイッチング素子(図示せず)等を組合せることにより構成されている。アシスト用インバータ36は、アシスト用発電・電動機14の発電時には、該アシスト用発電・電動機14による交流の発電電力を直流電力に変換して蓄電装置24に供給する。一方、アシスト用発電・電動機14の駆動時には、アシスト用インバータ36は、蓄電装置24からの直流電力を交流の駆動電力に変換してアシスト用発電・電動機14に供給する。
アシスト用インバータ36は、前述した旋回用インバータ34、旋回用発電・電動機15間と同様に、アシスト用発電・電動機14に三相交流ケーブル35を用いて接続されている。そして、アシスト用インバータ36とアシスト用発電・電動機14とは、近い位置に配置しているから、両者を接続する三相交流ケーブル35も短く形成することができる。
37は旋回用インバータ34およびアシスト用インバータ36と蓄電装置24との間に設けられたコンタクタボックスを示している。このコンタクタボックス37は、各インバータ34,36よりも蓄電装置24から離間した左側位置に配置されている。コンタクタボックス37は、例えば、1個のメイン電圧伝達用コンタクタ、各インバータ34,36に対応して2個のインバータ用コンタクタ、充電用リレー等(いずれも図示せず)を内蔵している。各インバータ用コンタクタのうち、一方のインバータ用コンタクタは、旋回用インバータ34と蓄電装置24との間の接続と遮断を行うものである。他方のインバータ用コンタクタは、アシスト用インバータ36と蓄電装置24との間の接続と遮断を行うものである。これらのコンタクタは、例えばイグニッションキー(図示せず)、ディスコネクトスイッチ25のボタン25Aの操作に応じて、接続状態と遮断状態とが切換わる。
ここで、旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36およびコンタクタボックス37は、エンジン前空間26内に配置された電気部品取付ブラケット27に左,右方向に並べて配置されている。この場合、旋回用インバータ34が平面視で蓄電装置24に最も接近した位置に配置され、アシスト用インバータ36が旋回用インバータ34の左側に並べて配置され、コンタクタボックス37が各インバータ34,36よりも蓄電装置24から離間した左側位置に配置されている。
このように、旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36およびコンタクタボックス37を所望の順番で配置することにより、旋回用インバータ34と旋回用発電・電動機15とを近い位置に配置でき、アシスト用インバータ36とアシスト用発電・電動機14とを近い位置に配置できる。これにより、インバータ34,36と発電・電動機15,14とを接続する三相交流ケーブル35を短く形成することができる。しかも、蓄電装置24、各インバータ34,36、コンタクタボックス37間を接続する給電用のケーブル38も短く形成でき、配線作業も容易に行うことができる。
なお、39はフロア部材16の右側に位置して設けられた外装カバーで、該外装カバー39は、熱交換器12、作動油タンク22、燃料タンク23等を覆うものである。外装カバー39は、後側に位置して熱交換器12の上側を覆う後カバー39Aと、該後カバー39Aの前側に開閉可能に設けられ、作動油タンク22、燃料タンク23を覆う右前カバー39Bと、燃料タンク23の左面から上面を覆うようにキャブボックス20の側面に対面して設けられた仕切カバー39Cとにより構成されている。
40は旋回フレーム6上に設けられたコントロールバルブである(図10、図16参照)。このコントロールバルブ40は、下部走行体2の走行用モータ2E,2F、作業装置5の各シリンダ5D,5E,5Fを制御する複数個の油圧制御弁により形成されている。コントロールバルブ40は、油圧ポンプ13から供給される圧油を作業用の操作レバー18の操作に応じ、この操作に対応した油圧アクチュエータに圧油を供給するものである。
本実施の形態によるハイブリッド式油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、この油圧ショベル1の動作について説明する。
まず、オペレータは、フロア部材16上に搭乗して運転席17に着座する。この状態で走行用の操作レバー・ペダル19を操作することにより、コントロールバルブ40から下部走行体2の走行用モータ2E,2Fに圧油を供給し、左,右の駆動輪2Bを駆動してハイブリッド式油圧ショベル1を前進または後退させることができる。
一方、運転席17に着座したオペレータは、作業用の操作レバー18を操作することにより、旋回装置3(旋回用発電・電動機15)によって上部旋回体4を旋回させたり、作業装置5を俯仰動させたりして土砂の掘削作業等を行うことができる。
ここで、エンジン11とアシスト用発電・電動機14とによって油圧ポンプ13を駆動する場合について、図14、図15を用いて説明する。41はエンジン11の定格出力である定格出力特性線を示し、42は油圧ポンプ13の特性線(P−Q線図)を示している。この特性線42は、エンジン11を定格出力(エンジン11の定格出力特性線41)内において駆動したときの油圧ポンプ13のP−Q特性である。43はエンジン11の定格出力にアシスト用発電・電動機14の出力をアシストさせたときの合計出力特性線である。
下部走行体2を低速で走行させる場合(低速走行時領域44)、または旋回装置3、作業装置5を用いて通常の作業を行う場合(通常作業時領域45)には、油圧ポンプ13を軽い負荷で駆動すればよい。従って、これらの低速走行時領域44、通常作業時領域45を使用する場合には、エンジン11の定格出力だけで油圧ポンプ13を駆動するのに必要な力を賄うことができる。
一方、下部走行体2を高速で走行させる場合(高速走行時領域46)には、油圧ポンプ13の負荷は、前記軽い負荷よりも大きくなるから、エンジン11だけでは、油圧ポンプ13の大きな負荷圧がエンジン11に作用してエンジンストールを起こす虞がある。このように、高速走行時領域46を使用する場合、蓄電装置24からアシスト用発電・電動機14に給電し、該アシスト用発電・電動機14を駆動してエンジン11をアシストする必要がある。即ち、この場合の出力は、エンジン11の定格出力特性線41にアシスト用発電・電動機14の出力を加算した合計出力特性線43として示される。これにより、油圧ポンプ13を重い負荷に抗して駆動することができる。なお、油圧ポンプ13の負荷が大きくなる場合として、高速走行時領域46を例示したが、作業用のアタッチメントを追加して油圧アクチュエータが増えたり、油圧アクチュエータが大型化して重負荷となった場合を含むものである。
かくして、本実施の形態によれば、旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36およびコンタクタボックス37は、フロア部材16の運転席取付部16Cの下側であってエンジン11とフロア部材16の立上がり部16Bとの間に形成されたエンジン前空間26内に配置される。
従って、フロア部材16の立上がり部16Bとエンジン11との間に設けられたエンジン前空間26を利用することにより、上部旋回体4には、油圧ショベル1をハイブリッド化するときに用いられる旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36およびコンタクタボックス37を配置することができる。
この結果、動力源としてエンジンだけを搭載した既存の油圧ショベルを活用し、この小型の油圧ショベルをハイブリッド化する場合には、エンジン前空間26を利用することにより、旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36およびコンタクタボックス37を容易に搭載することができる。
また、エンジン前空間26内では、旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36およびコンタクタボックス37を左,右方向に並べて配置している。これにより、後側を持ち上げるようにフロア部材16を傾転(チルトアップ)させた状態では、エンジン前空間26を外部に大きく開放することができる。従って、大きく開放されたエンジン前空間26を利用することにより、旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36、コンタクタボックス37を接続するときの作業性、点検、修理等のメンテナンス作業性を向上することができる。
旋回フレーム6には、エンジン前空間26に位置してフロア部材16とは別部材からなる電気部品取付ブラケット27を設けている。従って、電気部品取付ブラケット27に旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36、コンタクタボックス37を取付けることにより、これらの電気部品を1つの電気部品ユニットとして旋回フレーム6に取付けることができる。この結果、旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36、コンタクタボックス37は、電気部品取付ブラケット27を介してエンジン前空間26に容易に設けることができ、組立作業性、メンテナンス作業性を向上することができる。
ここで、電気部品取付ブラケット27は、メインブラケット28と上側取付部29、下側取付部30との間にそれぞれ複数個の防振部材31を設けている。従って、メインブラケット28に取付けられた旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36、コンタクタボックス37を防振状態で支持することができる。これにより、各インバータ34,36、コンタクタボックス37内のコンタクタ等の耐久性を高めることができる。
一方、蓄電装置24は、フロア部材16と燃料タンク23との間に配置しているから、エンジン11とフロア部材16の立上がり部16Bとの間のエンジン前空間26内に配置された旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36、コンタクタボックス37と接近した位置に配置することができる。これにより、蓄電装置24と旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36、コンタクタボックス37との間を給電用のケーブル38を用いて容易に接続することができる。
しかも、旋回用インバータ34を平面視で蓄電装置24に最も接近した位置に配置し、アシスト用インバータ36を旋回用インバータ34の左側に並べて配置し、コンタクタボックス37を各インバータ34,36よりも蓄電装置24から離間した左側位置に配置する構成としている。従って、旋回用インバータ34と旋回用発電・電動機15とを前,後方向で対向した近い位置に配置でき、アシスト用インバータ36もエンジン11の左側に配置されたアシスト用発電・電動機14と近い位置に配置できる。これにより、インバータ34,36と発電・電動機15,14とを接続する三相交流ケーブル35の長さ寸法を短く形成することができる。この三相交流ケーブル35の長さ寸法を短く形成した場合、発熱による劣化を抑制することができ、耐久性、信頼性等を向上することができる。
また、蓄電装置24(ディスコネクトスイッチ25)、各インバータ34,36、コンタクタボックス37間を接続する給電用のケーブル38も短く形成できるから、ケーブル38の配線作業を容易に行うことができる。
さらに、エンジン11は、その出力を、油圧ポンプ13を軽い負荷で駆動するのに必要とされる力を賄う値に設定している。即ち、低速走行時領域44、通常作業時領域45では、定格出力特性線41として示されるエンジン11の定格出力だけで油圧ポンプ13を駆動することができる。従って、エンジン11には、出力が小さな小型(小排気量)のものを用いることができる。これにより、エンジン11から排出される排気ガスを清浄化するための排気ガス規制に対し、エンジン11の出力を規制対象外まで小さく抑えて、規制による負担を軽減することができる。この結果、既存の油圧ショベルを安価にハイブリッド化することができる。しかも、出力が小さなエンジン11は、全体的に小型になるから、エンジン11の周囲には、機器類を配置するための空間を確保することができ、エンジン11の小型化に伴って上部旋回体4を小型化することもできる。
一方、高速走行時領域46(重負荷時)では、エンジン11の定格出力だけでは油圧ポンプ13を駆動することができない。そこで、エンジン11の定格出力にアシスト用発電・電動機14の出力をアシストさせて出力を加え、合計出力特性線43として示される出力特性とすることにより、負荷圧が大きな油圧ポンプ13を駆動することができる。
なお、実施の形態では、フロア部材16とは別部材からなる電気部品取付ブラケット27に旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36、コンタクタボックス37を取付け、この電気部品取付ブラケット27を旋回フレーム6とカウンタウエイト8のフロア取付ブラケット9に取付ける構成とした場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、エンジン前空間26に位置する旋回フレーム6の後横板6Fを上側に延ばし、この後横板6Fに旋回用インバータ34、アシスト用インバータ36、コンタクタボックス37を取付ける構成としてもよい。
実施の形態では、蓄電装置24をフロア部材16と燃料タンク23との間に位置して旋回フレーム6上に配置した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば、蓄電装置をフロア部材の下側等、他の場所に配置する構成としてもよい。
さらに、実施の形態では、ハイブリッド式建設機械として後方超小旋回型のハイブリッド式油圧ショベル1を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、超小旋回型のハイブリッド式油圧ショベル、上部旋回体の旋回半径が下部走行体の車幅寸法から突出する一般的なハイブリッド式油圧ショベル等にも適用することができる。また、ホイール式の下部走行体を備えた建設機械にも適用することができる。