JP2015131805A - プロテアーゼ阻害のためのシリカ - Google Patents

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Abstract

【課題】プロテアーゼを阻害し、ディスペプシア、胃炎、胃潰瘍、胃食道逆流症、咽喉頭酸逆流症、過敏性大腸症候群、直腸関連炎症疾患、炎症性腸疾患等、胃腸菅内の有害なプロテアーゼ活性と関連する疾患に対して有用な物質、及び該物質を含有する医薬組成物の提供。【解決手段】プロテアーゼを阻害するシリカ、及び該シリカを含有する医薬組成物。該シリカとしては、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、非晶質シリカ、コアセルベートシリカ、非晶質シリカゲル、シリカゾル、ヒドロゲルシリカ、およびキセロゲルシリカからなる群より選択されることが好ましい。該シリカは、特に、10〜80nmまでの平均粒径(d50)及び5〜350m2/gまでの表面積を有するものであることが好ましい。該シリカは、懸濁剤の状態であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、プロテアーゼ阻害剤として使用するためのシリカ、前記シリカを含むシリカ懸濁剤、前記シリカおよびシリカ懸濁剤を含む医薬組成物、並びにそれらの使用に関する。
アスパラギン酸プロテアーゼは、pH1.5〜5.5の間で活性なタンパク質分解酵素群である。一般的な酸塩基触媒として機能し、またペプチド結合の切断のために不可欠である酵素活性部位における2つのアスパラギン酸基の存在によって、アスパラギン酸プロテアーゼは特徴付けられる。初期に特定されたアスパラギン酸プロテアーゼの1つはヒト胃ペプシンであり、それには複数のサブタイプ、すなわちペプシン1、3a、3b、3c、およびガストリクシン(gastricsin)がある。
ペプシンは不活性前駆体(酵素前駆体と名付けられた)として胃粘膜で合成され、その後、胃主細胞の刺激が、胃液で塩酸により活性化される胃細胞内腔へ放出される。ペプシンの主な役割は、食事性タンパク質およびペプチドを、吸収するのに適したアミノ酸断片に分解することである。各ペプシンサブタイプのタンパク質分解活性は、胃pH、タンパク質基質の種類、温度、溶質濃度、および基質濃度によって変わる。ペプシンは幅広い範囲のpHで活性があるものの、最適なタンパク質分解活性は通常、約pH2〜3である。
ペプシンは食事性タンパク質を特異的に分解するのではなくて、任意の適当なタンパク質、ペプチド、または糖タンパク質を無差別に切断する。したがってペプシンは、通常の生理機能に不可欠な、構成タンパク質(例えば、コラーゲンおよびエラスチン)および機能タンパク質(例えば、ヘモグロビンおよびアルブミン)を幅広く分解する。これらのタンパク質の無差別な分解(自己消化とも呼ばれる)は、ディスペプシア、胃炎、潰瘍、および胃食道逆流症を含む症状の多くの基礎病理である。これらの病状では、胃腸菅の粘膜が、ペプシンのタンパク質分解活性によって損傷する。
粘膜面には、多くの構成タンパク質および機能タンパク質(例えば、コラーゲン、高分子量タンパク質)が含まれ、それらは細胞外マトリックス(組織の基本骨格)の統合を維持するのに役立つ。胃における粘膜は、複数の防御機構(粘液ゲル層の分泌など)によってペプシン分解から保護される。粘液ゲル層は拡散障壁として働いて、ペプシンと基底粘膜面タンパク質との間の相互作用を妨げる。
しかしながら、粘液層はペプシンによって分解されるので、粘液分泌および分解の間における動的なバランスが存在する。このバランスが乱れ、粘液バリアが損なわれたならば、ペプシンは基底上皮およびコラーゲンを温浸することができ、結果的に組織破壊および胃傷害を起こす。同様に、ペプシンが食道括約筋を超えて食道に逆流する場合、食道粘膜は胃に存在するような保護機構を備えていないので、広範囲な組織損傷が起こり得る。
胃腸粘膜の損傷を防ぐために、ペプシンのタンパク質分解活性の阻害剤が提案されている。
米国特許第3,740,319号および米国特許第3,840,516号が記載するペプスタチンは、ストレプトマイセス株の培養濾液から抽出した化合物である。ペプスタチンは、ペプシンのタンパク質分解活性を阻害することを示し、胃潰瘍を扱う上で予防的な役割を有することを示唆した。
国際公開第01/87282号はアルギン酸塩の使用について記載し、それは、ペプシンタンパク質分解活性を阻害するための、褐藻目に属する藻類から抽出した多糖類である。400kDa未満の分子量を有するアルギン酸塩は、ペプシンおよび胃液のタンパク質分解活性をそれぞれ、70%および55%まで阻害することを示した。
米国特許第3,155,575号は、アルミン酸ナトリウムと反応したキトサンの酸性塩の水性懸濁剤を用いる、胃腸障害治療の製剤に関する。反応した水性懸濁剤は「ラットモデル」において、ペプシンのタンパク質分解活性阻害を示した。
英国特許第1217256号は、リグノスルホン酸の遊離酸および任意の塩を含む、胃潰瘍の治療のための組成物を記載する。リグノスルホン酸は、インビトロ試験方法でカゼイン基質に対して、ペプシンのタンパク質分解活性が減少したことを示した。
また、英国特許第1253317号、米国特許第3,524,859号、米国特許第3,459,758号、および米国特許第3,427,305号に記載されているように、幅広い、小分子の有機化合物は、ペプシンを阻害することが知られている。
Qian et al [Eur Polym J, (2006), 42, 1653-1661] は、メタクリル酸メチルのコポリマーナノ粒子がペプシン活性を減少させたことを記載する。
Mouecoucou et al [J Dairy Sci, (2003), 86, 3857-3865]の報告によると、様々な植物親水コロイドが、ペプシンのペプチド分解能力を低下させた。彼らが示したのは、キシラン、アラビアゴム、および低メトキシル化ペクチンが、ペプシンの存在下で、1〜8kDaの分子量のペプチドの分解を阻害するということである。タンパク質基質に対するペプシン活性を減少することが示されている他の多糖類には、アルギン酸塩[Strugala et al, Int J Pharm, (2005) 304, 40-50]、寒天[Gouda and Johdka, Can J Pharm Sci, (1977), 12, 4-7]、硫酸化多糖類[Levey and Sheinfeld, Gastroenterology (1954), 27, 625-628]、および酸化デンプン硫酸塩 [Namekata, Chem Pharm Bull (1962) 10, 171] が含まれる。
Pearson and Roberts [Clin Sci, (2001), 100, 411-417]は、胃液中で、エカベトナトリウムがペプシン活性を阻害することを示した。阻害の程度は、ペプシンサブタイプに依存した。
Kratzel and Bernkop-Schnurch [Peptides (2000), 21, 289-293]は、ペプスタチンAのトリペプチド誘導体を合成し、それがペプシンインビトロに対して阻害作用を有することを示した。彼らが示すところによると、その誘導体は酵素の分解からペプチド薬剤を保護するのに適用されるかもしれないし、したがって経口バイオアベイラビリティーを増大するために用いられるかもしれない。
Foster et al [Clin Sci, (1994), 87, 719-726]は、polyacrylate Carbopol 934P がペプシン加水分解を阻害することができることから、インビボ粘膜保護剤としての可能性を有することを示した。
Beil et al [Pharmacology, (1993), 47, 141-144]は、次クエン酸ビスマスがインビトロでブタペプシン活性を、pH依存的に阻害することを示した。また、Stables et al [Aliment Pharmacol Ther, (1993), 7, 237-246]は、クエン酸ビスマスおよびラニチジンクエン酸ビスマスのいずれもがペプシン1、2、3、および5を阻害することを見出した。
多数の研究によって、カキ[Faisal et al, Comp Biochem and Physiol B, (1998), 121, 161-168]、Anchusa strigosaの根 [Abuereish, Phytochemistry, (1998), 48, 217-221]、カボチャ師部の滲出物(squash phloem exudates)[Christeller et al, Eur J Biochem (1998), 254, 160]、軟質小麦のふすま[Galleschi et al, Sciences de Aliments, (1997), 17, 173-182]、およびオタネニンジン[Sun et al, Planta Medica, (1992), 58, 432-435]を含む天然源からペプシン阻害剤が同定されている。
国際公開第00/10527号、国際公開第00/10528号、国際公開第00/10529号、および国際公開第00/10530号は、シリカ、チタニア、粘土、およびその混合物から選択されるコロイド性粒子を含む粘膜付着性組成物を開示する。これらの文献の粘膜付着性組成物は蠕動運動に対して抵抗性があり、活性成分を胃腸菅に送達するのに用いられる。しかしながら、活性な胃腸薬物として作用するシリカの能力については、一切、記載がない。
多様な物質について、ペプシンのタンパク質分解活性に対して阻害効果を有することが示さているにもかかわらず、シリカがプロテアーゼ阻害に適していることは、先行技術で触れられていない。
第1の態様において提供されるのは、プロテアーゼを阻害するために使用するシリカである。
第2の態様において提供されるのは、胃腸菅内の有害なプロテアーゼ活性と関連する疾患または症状の、治療または予防のためのシリカである。
第3の態様において提供されるのは、胃腸菅内の有害なタンパク質分解と関連する疾患または症状の、治療または予防のためのシリカである。
第4の態様において提供されるのは、ディスペプシア、胃炎、胃潰瘍、胃食道逆流症、咽喉頭酸逆流症(extra-oesophageal reflux disease)、過敏性大腸症候群、直腸関連炎症疾患、および炎症性腸疾患からなる群より選択される疾患または症状の、治療または予防のためのシリカである。
第5の態様において提供されるのは、イントラ(intra)ムチン相互作用を増加させるために使用するシリカである。
第6の態様において提供されるのは、粘液粘度を増加させるために使用するシリカである。
第7の態様において提供されるのは、粘液ゲル特性を改善するために使用するシリカである。
以下では参照をし易くするために、本発明における、これらの態様およびさらなる態様について、適当な見出しを付けて論じる。しかしながら、各見出しの下に示される内容は、その特定の見出しに限定されるわけではない。
(効果)
本発明は、多くの利益をもたらす。
ペプシン(および類似のタンパク質分解酵素、おそらく腸内の細菌起源のもの)は、決定的な攻撃因子であり、逆流性疾患病状と強く結び付く。シリカによるペプシンのタンパク質分解活性阻害は、逆流または管腔内容物の損傷可能性を減少させることによって、効果的な疾患治療となり得る。本発明のシリカは、タンパク質分解活性(例えば、ペプシン)を阻害するのに有効なので、治療において効果的である。
また、本発明のシリカは、白血球および細菌が存在することに起因して、炎症において増加するフリーラジカルをクエンチする能力を示す。フリーラジカルをクエンチする能力は物質のフリーラジカル除去能力の指標であるから、それは炎症性腸疾患における破壊力を減少させる能力である。
本発明のシリカ[特に小さい粒径(10〜50nm)のもの]は、粘膜層にわたるペプシンの拡散を遅延させることによって、上皮細胞を保護することもできる(つまり、ペプシンが食道粘膜に到着するのを減少させることを示しており、それは病変を妨げるのにとても効果的であり、また逆流症およびディスペプシアの症状に対して有利に作用する)。ペプシンが食道に与える損傷の程度は用量依存的であるから、食道に到達する攻撃因子の量のわずかな減少であっても、患者症状および逆流性疾患病状に対して顕著な効果を有する。
本発明のシリカはまた、機能が低下した粘液ゲルを修復し、ゲル特性を改善することを示す。これらの知見は、粘液層が損なわれ、基底粘膜を保護することができない、潰瘍性大腸炎および胃潰瘍の治療について、治療できる可能性を有する。
本発明のシリカはまた、ペプシンが粘液ゲルを分解するのを防ぎ、またペプシンがゲル形成特性に影響するのを防ぐこともできる。したがって、本発明のシリカは、過剰な攻撃因子(すなわち、ペプシン)が存在するような状況においても保護的であり得る。
(シリカ)
本発明の第1の態様において、プロテアーゼを阻害するために使用するシリカが提供される。
本発明において、プロテアーゼ阻害剤とは、基質に対するプロテアーゼ活性を妨げるのに有能な物質を指す。この観点から、阻害物質によってプロテアーゼ結合部位が占有されることは、阻害効果を示すために要求されないことが理解される。また、阻害剤はプロテアーゼとその基質との接触を妨げる単純なバリア材(barrier material)でないことも理解される。したがって、本発明は、基質に対するプロテアーゼ活性を阻害するために使用するシリカを提供する。
ある態様において、基質に対するプロテアーゼ阻害剤として使用するのに適したシリカであって、シリカがプロテアーゼの結合部位を占有するものが提供される。
(シリカ)
二酸化ケイ素の分野において、シリカは一般的な名前である。それは、例えば、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、非晶質シリカ、コロイドシリカ、コアセルベートシリカ(coacervated silica)、非晶質シリカゲル、(アクア)シリカゾル、ヒドロゲルシリカ、およびキセロゲルシリカ(xerogel silica)などのいくつかの形態で存在するかもしれない。またシリカは、液剤(可溶性ケイ酸塩)、懸濁剤、粉末剤、顆粒剤、または錠剤の形で存在するかもしれない。
本発明のシリカは、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、非晶質シリカ、コアセルベートシリカ、非晶質シリカゲル、(アクア)シリカゾル、および粉末剤からなる群より選択されるかもしれない。
好ましい態様において、本発明のシリカは非晶質シリカである。非晶質シリカが、コロイドシリカとして呼ばれ得ることは、当技術分野に公知である。したがって、非晶質シリカへの言及はコロイドシリカも含むことが理解される。
本発明のシリカは、典型的に、ナノ粒子として存在すべきである。
したがって、ある態様において、本発明のシリカはナノ粒子として存在する。さらなる態様において、シリカは、20,000nm未満の平均粒径(d50)を有する。さらなる態様において、シリカは、18,000nmよりも大きくない平均粒径(d50)を有する。
好ましい態様において、シリカは、10,000nm未満の平均粒径(d50)を有する。さらに好ましい態様において、シリカは、約1nmおよび5,000nmの間の平均粒径(d50)を有する。さらに好ましい態様において、シリカは、4,300nm未満の平均粒径(d50)を有する。さらに好ましい態様において、シリカは、800nm未満の平均粒径(d50)を有する。さらに好ましい態様において、シリカは、180nm未満の平均粒径(d50)を有する。より好ましい態様において、シリカは、5nmおよび100nmの間の平均粒径(d50)を有する。好ましい態様において、シリカは、1から1,800nmまでの平均粒径(d50)を有する。好ましい態様において、シリカは、10から80nmまでの平均粒径(d50)を有する。さらに好ましい態様において、シリカは、80nm未満の平均粒径(d50)を有する。さらに好ましい態様において、シリカは、20nm未満の平均粒径(d50)を有する。平均粒径(d50)が、5nmから約100nmの範囲にあるシリカ(例えば、シリカゾル)は、長時間、顕著に沈殿することなく留まるかもしれないし、または、かなりの程度までは凝集しないかもしれない。
さらに好ましい態様において、シリカは、100nm未満の平均粒径(d50)を有する。さらに好ましい態様において、シリカは、5nmおよび50nmの間の平均粒径(d50)を有する。
特に好ましい態様において、シリカは、約20nmの平均粒径(d50)を有する。
表13および以下のデータは、粒径4300nm未満のシリカが好ましく、また好ましいのは800nm未満であり、より好ましいのは180nm未満であり、さらに好ましいのは80nm未満であり、最も好ましいのは20nm未満であることを示す。
本明細書で用いるように、用語「平均粒径」は、所定のサイズがd50を有する粒子集団を意味する。シリカゾルの平均粒径d50は、表面積滴定により測定し、Transmission Electron Microscopy(TEM)で確認した。他のシリカの種類の平均粒径は、Mastersizerによって測定した。光散乱検出を用いる、Malvern Mastersizer Sを使用して、粒子のサイズを測定した。装置には名目上、1000mlのサンプル分配ユニットと任意の超音波能力が備えられた。我々は300RFレンズで0.05μm〜880μmのサイズの幅を与える単レンズ配置、および2つの後方散乱検出(backscattering)検出器を有する、42成分(element)固体状態検出器アレイを用いた。我々はサンプルを15〜25%の不明瞭化に負荷し、測定パラメーターは80%ポンプスピード、80%攪拌スピード、50%超音波処理、および3分の滞留時間であった。
シリカは20から1200m/gまでの範囲にある表面積を有するかもしれないし、好ましくは、シリカは20から750m/gまでの表面積を有し、より好ましくは、シリカは50から350m/gまでの表面積を有する。
特に好ましい態様において、シリカは、10から80nmまでの平均粒径(d50)および50から350m/gまでの表面積を有する。この態様において、シリカは好ましくは、ゾルの形態である。
(プロテアーゼ)
プロテアーゼは、タンパク質分解を行なう酵素である。したがって、それは、タンパク質のポリペプチド鎖においてアミノ酸を結合させるペプチド結合を加水分解する。
プロテアーゼを、いくつかのグループに分類してもよい。典型的には、それは以下の6のグループに分けられる:セリンプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、およびグルタミン酸プロテアーゼである。
アスパラギン酸プロテアーゼには、ヒト胃ペプシンが含まれる。上述したように、ヒト胃ペプシンには複数のサブタイプがあり、すなわち、ペプシン1、3a、3b、3c、およびガストリクシンがある。
したがって、ある態様において、本発明のプロテアーゼはアスパラギン酸プロテアーゼである。好ましい態様において、本発明のプロテアーゼはペプシンである。
好ましい態様において、本発明のプロテアーゼは哺乳類ペプシンである。
好ましい態様において、本発明のプロテアーゼは、ヒトペプシン、ブタペプシン、ウマペプシン、マウスペプシン、ヒツジペプシン、イヌペプシン、ヤギペプシン、およびウシペプシンからなる群より選択される。
好ましい態様において、本発明のプロテアーゼはヒトペプシンである。
好ましい態様において、本発明のプロテアーゼはヒト胃ペプシンである。好ましくは、本発明のプロテアーゼは、ヒト胃ペプシンのサブタイプである。より好ましくは、本発明のプロテアーゼは、ペプシン1、3a、3b、3c、およびガストリクシンからなる群より選択される。
別の態様において、プロテアーゼはセリンプロテアーゼであり、好ましくはトリプシンである。別の態様において、プロテアーゼはトリプシンである。
好ましい態様において、本発明のプロテアーゼは、ペプシンおよびトリプシンから選択される。
(基質)
上述したプロテアーゼは、基質に作用する。典型的には、単一のプロテアーゼは、いくつかの異なる基質に作用することができる。
本発明によって阻害されるプロテアーゼは、典型的に、胃腸菅に存在または由来するものである。したがって、本発明の基質は、典型的に、胃腸菅にあるかまたは由来する基質である。したがって、本発明の基質には、胃腸菅にあるタンパク質が含まれる。
胃腸菅にあるタンパク質には、典型的に、構成タンパク質、糖タンパク質、および機能タンパク質が含まれる。
構成タンパク質は、胃腸菅の一部を形成するとみなされてもよくて、したがって、本質的に胃腸菅に存在すると考えられる。機能タンパク質は胃腸菅に存在すると考えてもよいものの、必ずしも胃腸菅それ自体の一部ではない。
本発明の構成タンパク質の例は、コラーゲン、ムチン、およびエラスチンである。コラーゲンは、腸に並ぶ上皮細胞の基底膜を形成する。コラーゲンは、広範囲のプロテアーゼ(例えば、ペプシン、さらには特定のマトリックスメタロプロテアーゼ)に分解することができる。
粘液は、タンパク質骨格に糖側鎖を含むムチン糖タンパク質(ムチン)からできている。プロテアーゼによるムチンの分解は、ゲル特性の減少および糖タンパク質の切断を起こす可能性があり、結果的に可溶化する。
ある態様において、本発明の基質は構成タンパク質である。好ましい態様において、構成タンパク質は、コラーゲンおよび/またはムチンである。
ある態様において、粘液は、胃または結腸起源である。
機能タンパク質の例には、胃腸菅に存在するタンパク質が含まれるが、胃腸菅の一部を形成するものは含まれない。したがって、本発明の作用によって保護される機能タンパク質の例は、アルブミンである。
ある態様において、基質は機能タンパク質である。ある態様において、機能タンパク質はアルブミンである。
(シリカ液体投与形態)
好ましい態様において、本発明に使用するために提供されるシリカは、シリカ液体投与形態(liquid dose form)である例えば懸濁剤またはゾルの形態であり、より好ましくはシリカゾルとして提供される。したがって、ある態様において、本発明のシリカは、懸濁剤またはシリカゾルとして存在する。懸濁剤またはゾルの組成物は、特に限定されることはない。しかしながら、ある態様において、懸濁剤またはゾルはアルカリ性培地を含む。別の態様において、懸濁剤またはゾルは酸性培地を含む。
懸濁剤またはゾルがアルカリ性培地を含む場合、アルカリ性培地は好ましくは、水並びにアンモニアおよび/または水酸化ナトリウムを含む。
ある態様において、本発明のシリカ懸濁剤またはゾルはシリカ、水、および安定アルカリ剤(stabilizing alkali)を含む。さらなる態様において、安定アルカリ剤は、アンモニアおよび水酸化ナトリウムから選択される。
ある態様において、シリカは、懸濁剤またはゾルの重量に基づいて約10%から約60%の量で、本発明の懸濁剤またはゾル中に存在するかもしれない。好ましくは、シリカは、懸濁剤またはゾルの重量に基づいて約15%から約60%の量で存在する。好ましくは、シリカは、懸濁剤またはゾルの重量に基づいて約20%から約50%の量で存在する。特に好ましい態様において、シリカは、懸濁剤またはゾルの重量に基づいて約25%またはそれ未満の量で存在する。特に好ましい態様において、シリカは、懸濁剤またはゾルの重量に基づいて約20%またはそれ未満の量で存在する。さらに好ましい態様において、シリカは、懸濁剤またはゾルの重量に基づいて約1%から20%の量で存在する。
特に好ましい態様において、シリカは1から180nmまでの平均粒径(d50)を有し、懸濁剤またはゾルの重量に基づいて約1から20%の量で懸濁剤またはゾル中に存在する。
本発明のシリカ懸濁剤またはゾルは、さらなる構成要素として、例えば保存剤のように、貯蔵している間、微生物増殖を予防および/または阻害するものも含むかもしれない。
特に好ましい態様において、シリカ懸濁剤またはゾルは、懸濁剤の総重量に基づいて約30%の量ので、約20nmの平均粒径(d50)を有するシリカを含む。
本発明に使用するためのシリカは、シリカあるいは本明細書で記載するシリカ懸濁剤またはシリカゾル、並びに1またはそれ以上の医薬的に許容される担体、賦形剤、補助剤、または希釈剤を含む、医薬組成物の形態で提供されてもよいことがさらに理解される。したがって、本発明のさらなる態様において、シリカ、および1またはそれ以上の医薬的に許容される担体、賦形剤、補助剤、または希釈剤を含む、プロテアーゼ阻害剤として使用するための医薬組成物が提供される。
(適用)
本明細書で記載されるように、本発明は、胃腸菅における不適切なタンパク質分解に関連した症状および疾患(例えば、ディスペプシア、胃炎、胃潰瘍、胃食道逆流症、咽喉頭酸逆流症、過敏性大腸症候群、および炎症性腸疾患)の治療に適している。したがって、ある態様において提供されるのは、ディスペプシア、胃炎、胃潰瘍、胃食道逆流症、咽喉頭酸逆流症、過敏性大腸症候群、および炎症性腸疾患からなる群より選択された疾患または症状の、治療または予防のためのシリカである。さらなる態様において提供されるのは、ディスペプシア、胃炎、胃潰瘍、胃食道逆流症、咽喉頭酸逆流症、および炎症性腸疾患からなる群より選択される疾患または症状の、治療または予防のためのシリカである。
さらに、胃腸菅のフリーラジカル濃度増加に関連する、疾患または症状の治療も考慮される。したがって、ある態様において提供されるのは、胃腸菅のフリーラジカル濃度増加に関連する、疾患または症状の、治療または予防のためのシリカである。
上記は、例えば以下:
i)様々な基質に対するプロテアーゼ阻害、
ii)フリーラジカル除去、並びに
iii)粘液の再生および修復
によって達成できるかもしれない。
理論に縛られなければ、シリカは、おそらく生体分子(例えば、ムコ多糖およびコラーゲン)の架橋結合および構造機構を促進し、ムチン分子の相互作用を強めることによって作用し得る。したがって、ムチンおよびシリカにおける相互作用は、粘液ゲルの生理化学的な特徴を改善するかもしれない。これは、基底粘膜に対して、より大きな保護を与えるかもしれない。
高純度ムチン糖タンパク質については、粘液溶液の流体力学的特徴が大いに増大したように、シリカとの相互作用があった。100nm未満、より好ましくは20nm未満のコロイドシリカの添加は、貯蔵(G´)および損失(G´´)係数を大きく増加させる結果となった。これらのシリカとの相互作用は、粘液と、エカベトナトリウムまたはアルギン酸塩との間で以前に見られたより強いものの、carbopolで見られる領域内ではある。
(治療)
シリカは、治療薬として使用されること、すなわち治療に適用されることが理解される。用語「治療」には、治療効果、軽減効果、および予防効果が含まれる。
治療は、ヒトまたは動物に対してであってもよくて、好ましくはヒトである。
(医薬組成物)
ある態様において本発明は、本発明に使用するための医薬組成物を提供し、それは、シリカおよび適宜含まれる医薬的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤(それらの組み合わせも含む)を含む。
医薬組成物は、ヒトおよび獣医学における、ヒトまたは動物使用のためであるかもしれないし、また典型的に、医薬的に許容される希釈剤、担体、または賦形剤のいずれか1もしくはそれ以上を含む。医薬的に許容される担体または希釈剤は、医薬分野において周知であるし、また、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、 Mack Publishing Co.(A. R. Gennaro edit. 1985)にも記載される。医薬的な担体、賦形剤、または希釈剤の選択は、目的の投与ルートおよび標準的な医薬習慣に従って選択することができる。医薬組成物は、担体、賦形剤、または希釈剤として(あるいは担体、賦形剤、または希釈剤に加えて)、任意の適切な結合剤、滑沢剤、懸濁化剤、コーティング剤、可溶化剤を含んでもよい。
保存剤、安定化剤、染料、および香味剤でさえも、医薬組成物中に提供されるかもしれない。保存剤の例には、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、およびp−ヒドロキシ安息香酸エステルが含まれる。抗酸化剤および懸濁化剤も、用いられるかもしれない。
異なる送達システムに依存する、異なる、組成物/製剤の必要条件が存在するかもしれない。一例として、本発明の医薬組成物は、ミニポンプ(mini−pump)または粘膜経路(例えば、経鼻スプレーとして、吸入用エアロゾル、または経口摂取可能な溶剤/懸濁剤)を用いて送達されるように製剤されるかもしれない。
(組み合わせ医薬)
本発明の化合物は、1またはそれ以上の他の活性薬剤(例えば、1またはそれ以上の他の医薬的な活性薬剤)と組み合わせて用いてもよい。
一例として、本発明の化合物は、他のプロテアーゼ阻害剤と組み合わせて使用してもよい。他のプロテアーゼ阻害剤の例は、上述した参考文献に見つかるかもしれない。
(投与)
典型的には、医師は個々の患者に対して最も適切な投与量を決定するであろうし、それはその患者の年齢、体重、および反応によって変わる。以下の投与量は、平均的なケースの例示である。当然のことながら、用量域よりも高いかまたは低い場合が、その患者にとって良いこともある。
その必要に応じて、薬剤は0.01〜200mg/kg体重の用量で投与してもよくて、例えば、0.1〜150mg/kg、より好ましくは0.1〜100mg/kg体重で投与しても良い。
さらなる例として、本発明の薬剤は、1日に1〜4回(好ましくは1日に1回もしくは2回)の投与計画で投与してもよい。いずれの個々の患者も、具体的な投与量および投与量の頻度を変えてもよく、それはいくつかの要素(用いられる具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性および活性期間、年齢、体重、一般健康、性別、食性、投与の時間および様式、排泄率、薬剤の組み合わせ、特定の症状の重症度、並びに治療を受けている宿主)に従う。
用語「投与」は、これらに限定されないが、例えば、経口摂取できる液剤による送達を含む。
したがって、医薬的投与(および通常は非経口投与)にあたり、本発明のシリカは、通常の医薬的製剤技術および医薬的担体、補助剤、賦形剤、希釈剤などを利用して、いずれの適した方法で製剤することができる。おおよその効果的な投与割合は、平均的体重(70Kg)の患者について、問題となっているシリカの個々の活性に従って、1〜15000mg/日(例えば、10〜10000mg/日、または100〜5000mg/日)の範囲であってもよい。より好ましく、より活性のあるシリカについてのより一般的な投与割合は、200〜2000mg/日、より好ましくは200〜1000mg/日、最も好ましくは200〜500mg/日である。これらは、単回投与計画、分割投与計画、および/または数日間にわたる複数回投与計画で与えられるかもしれない。経口投与は、単位用量あたり、化合物を10〜2000mg含む錠剤、カプセル剤、液剤、または懸濁剤に製剤化されるかもしれない。しかしながら、そのような効果的な日当たり投与量は、活性成分の固有活性および患者の体重に従って変わるだろうし、そのような修飾は医師の技術および判断の範囲内で行なわれる。
(実施例)
以下で本発明をさらに詳しく記載するが、添付する図は単に例示としてのみ用いる。
図1はグラフを示す。
(物質)
本研究で用いたシリカ物質は、Precision Colloids LLC, Cartersville USA および INEOS Silicas,Warrington UK から入手した。用いられた他の試薬は、標準的な研究室からの提供により得た。
液体またはゾルの形で提供されるシリカ物質は、脱イオン水中で1回希釈して必要濃度にして、徹底的に振盪した。この貯蔵液から、ある容量(以下の各試験方法で特定されるような量)を取って、試験溶液(すなわち、ペプシンおよび/または基質を含む試験溶液)における必要な最終濃度を提供した。
粉末剤の形であるシリカ物質は、脱イオン水中で分散させ、必要な濃度まで希釈して、徹底的に振盪した。この貯蔵液から、ある容量(以下の各試験方法で特定されるような量)を取って、試験溶液(すなわち、ペプシンおよび/または基質を含む試験溶液)における必要な最終濃度を提供した。
Figure 2015131805
Figure 2015131805
(pH測定)
ゾルの形態で供給されるシリカ物質のpHは、供給された状態で測定した。粉末の形態で供給されるシリカ物質のpHは、5%w/vの懸濁剤から測定した。
(実施例18および19の製剤:コロイド状に製粉したシリカ)
ガシル(Gasil)HP270を所定の粒径のコロイド状に製粉するのに用いた装置は以下:
Eiger Torrance minimill 250
182ml Zirconium beads
Zirconium beads(182ml)を用いて、製粉機メーカーの使用説明書に従って、製粉機を組み立てた。
12%w/v固形成分含有量とのガシルHP270スラリーを製造し(120gを、100mlの脱塩した水中)、オーバーヘッドパドル攪拌機(overhead paddle stirrer)を用いて10分間、攪拌した。スラリーを製粉機に移し、4000rpmで60分間、製粉した。一定分量を10分毎に取って、Malvern Mastersizerによる粒径分布(PSD)分析をして、製粉の進行状況を評価した。
Malvern Mastersizer方法のパラメータは、以下:
ポンプ、スターラー、および超音波診断セット(50%で)
2.5分の分散時間
(実施例22:か焼エアロジル)
エアロジル(10g)を12cmの皿に置き、次いで300℃の炉中で2時間、か焼し、デシケーターに移して冷却した。
(ペプシン溶液)
ペプシン(EC.3.4.23.1)は以下の形態であった:
A)ブタペプシンA(Sigma P−7012)であり、2500〜3500単位/mgタンパク質の特定化を伴う。ペプシンを0.01MのHCl(pH2.2)中に溶解して、0〜100μg/mlの濃度とした。
B)HCl(0.01M)中で希釈されたヒト胃液(0〜100μg/mlのブタペプシンと同等の濃度)。
C)HCl(0.01M)中で希釈された精製ヒトペプシン3(0〜100μg/mlのブタペプシンと同等の濃度)。
D)ブタペプシンA(Sigma P−7012)であり、2500〜3500単位/mgタンパク質の特定化を伴う。ペプシンを、pH2のグリシン/HCl緩衝液に溶解し、1mg/mlの濃度にした。
E)ブタペプシンA(Sigma P−7012)であり、2500〜3500単位/mgタンパク質の特定化を伴う。ペプシンをHCl(0.01M)中に溶解し、3mg/mlの濃度にした。
(方法)
(試験方法1:シリカとコラーゲン基質によるペプシン阻害)
ペプシン活性は、Moore (1969) Anal Biochem. 32:122-127; Chavira et al. (1984) Anal Biochem.136:446-460 and Will et al. (1984) Clin Chem. 30:707-711 の方法に基づくAzocollアッセイを用いて検出した。この方法は、コラーゲン分解活性に関する、試験物質の阻害効果を評価する。ペプシンのコラーゲン分解活性は、Azocoll消化アッセイを用いて測定した。Azocollは、市販品として入手可能なアゾ染料標識されたコラーゲンタイプI基質であり、ウシ皮由来である。ペプシンの存在下、赤いアゾ染料はコラーゲンから遊離し、生じる色の変化を検出することができ、それはコラーゲン分解活性と関連付けられる。
コラーゲン基質はアゾ染料標識されたタイプIコラーゲンであり、Azocoll(Calbiochem 194933)は、>100メッシュの特定化を伴う。AzocollをpH2.0のグリシン/HCl緩衝液中に溶解し、濃度を0.25%として、磁気追従(magnetic follower)を用いて継続的に撹拌し、沈降を妨げた。
シリカによるペプシン阻害は、次いで以下のように測定された。
各試験物質(シリカ)について、菅の中で3つの混合液を作り、各々は、0、50、もしくは100μg/ml濃度のペプシン溶液(200μl)のいずれかと200μlの試験物質(シリカ)を混合してなる(これにより、ペプシン0、25、50μg/mlの最終濃度を得た)。ペプシン溶液A、B、およびCを用いた。
Azocoll溶液(1000μl)を各菅に加え、徹底的に混合した。菅を37℃で2時間、振盪しながら(1200rpm)インキュベートし、頻繁に逆転させて、いかなる沈殿作用も妨害した。次いで、菅を4000rpmで20分間、遠心分離した。遠心分離後、200μlの上澄みをマイクロプレートに移し、490nmで光学濃度(OD)を測定した(マイクロプレートリーダーを用いる)。490nmで測定されたODは、可溶なアゾ染料の放出に起因する、タイプIコラーゲン分解の指標である。
ペプスタチンA溶液(5μg/ml)をHCl(0.01M)中で調製し、次いで、50μg/mlペプシン標準溶液で希釈し(1:2)、ポジティブコントロールとして用いた。ネガティブコントロールは蒸留水であり、50μg/mlペプシン標準溶液で希釈した(1:2)。
50μg/mlペプシンにおける、ペプシン活性のパーセント阻害は、式1を用いて、転正(cal.)曲線によって測定した。
式1:%ペプシン阻害=(ODcal−ODtest)/(ODcal×100)
ここで、
ODcal=50μg/mlの濃度で転正曲線から決定されたOD値
ODtest=50μg/mlの濃度の試験試料から決定されたOD値
シリカによるコラーゲン基質に対するペプシン活性のパーセント阻害(実施例1〜22)を測定し、表2、3、4、および13でデータに示した。
(試験方法2:タンパク質基質としてのサクシニルアルブミンとシリカとによるペプシン阻害)
ペプシン活性は、Hutton et al (1986) Biochem Soc Trans. 14:735-736 のN末端アッセイであり、Strugala et al (2005) Int J Pharm. 304:40-50 に詳述されているものを用いて検出した。タンパク質分解酵素としてペプシン(ディスペプシアに関する)を用い、またタンパク質基質としてサクシニルアルブミンを用いるN末端アッセイは、タンパク質基質が消化されたときに新たに形成されたN末端を検出する比色法である。
タンパク質基質はサクシニルアルブミン(市販品として入手不可)であり、それは以下のように製造した。ウシ血清アルブミン(フラクションV)をリン酸緩衝生理食塩水(pH7.5で、濃度が0.2mg/ml)に溶解し、磁性撹拌機を用いて絶えず混合した。コハク酸無水物(0.014mg/ml)をゆっくり加え、その間、NaOH(2M)を滴下して加え、pHを7.5に維持した。混合物を余すところなく、脱イオン水に対して透析し、凍結乾燥した。次いで、サクシニルアルブミンをHCl(0.01M)中に溶解して、濃度を10mg/mlとし、HCl(1M)の滴下添加によりpHを2.2に調整して、基質を溶解した。
各試験物質(シリカ)について、3つの混合液を作り、各々は、0、50、もしくは100μg/ml濃度のペプシン溶液(10μl)のいずれかと10μlの試験物質(シリカ)を混合して、ペプシン0、25、50μg/mlの最終濃度を得た。ペプシン溶液A、B、およびCを用いた。
対照試験においては、NaHCOの添加後に10μlの100μg/mlペプシンのみを含む10μl試験物質も準備した。これは、試験物質によるアッセイにおける矛盾干渉(conflict interference)を考慮するためである。
サクシニルアルブミン溶液(50μl)を加え、37℃で30分間、振盪しながら(600rpm)インキュベートした。
ペプシン活性を、4%NaHCO(50μl)を添加することによりクエンチした。50℃で10分間、インキュベーションしながら、1%トリニトロベンゼンスルホン酸(50μl)を加えて、色が生成した。10%ドデシル硫酸ナトリウム(50μl)および1MのHCl(25μl)を加えて、反応を終了した。
405nmで光学濃度(OD)を測定し、関連する対照試験のOD(405nm)を試験標準曲線(test standard curve)のOD(405nm)から引き算した。0μg/mlペプシンを含む試験物質のOD(405nm)は、405nmで0.000のODに規格化した。
50μg/mlペプシンにおけるペプシン活性のパーセント阻害は、式1で測定され、データを表13に示した。
(試験方法3:流体力学的パラメーターおよびサイズ排除クロマトグラフィーで測定された、シリカによる分解された粘液の回復および保護)
溶液の粘液溶解薬活性を決定するための一連の方法が存在する。これらには、粘度測定法、流体力学、ゲル濾過、およびムチンの代謝回転を特定するためのポリアクリルアミドゲル電気泳動法が含まれる。
基質は、ブタの胃(屠殺場から入手)から取られた天然の粘液ゲルである。粘液は、タンパク質骨格が糖側鎖からなるムチン糖タンパク質(GP)でできている。粘液の分解はゲル特性の損失をもたらし、またGP分子の切断は、その可溶化および分子量の減少をもたらす。
粘液ゲルの消化のインビトロモデルは、約1g天然のブタの胃粘液を5mlの試験溶液と混合して含む菅を準備して、これを37℃で維持した。この混合物から、各時点で1mlをサンプルし、未使用の試験溶液でサンプルしたものを置き換えた。
試験溶液は、以下:
ペプシン溶液D
ペプシン溶液D+シリカ
1mlの試験溶液を0、4、8、および24時間でサンプリングし、未使用の試験溶液に取り替えた。粘液ゲルの状態は視覚的および流体力学的に評価され、また可溶化されたGPの分解特性は、セファロースCL−2B(40×1cmカラム)を用いるサイズ排除カラムクロマトグラフィーによって測定した。150μl試験サンプルを積み、塩アジド(0.2M NaCl/0.02%Naアジド)で溶離し、48×1mlフラクションを回収した。各フラクションの粘液GPレベルを、Mantle & Allen (1978) Biochem Soc Trans. 6:601-609 に記載されるような過ヨウ素酸シッフ(PAS)アッセイで測定した。ゲル特性は、粘度および流体力学的データを用いて研究した。
粘度および流体力学データ分析:
ゲル特性を、円錐と平板の幾何配置(Cone and Plate geometry)(CP 4℃/40mm)を用いる、Bohlin CVOで制御されたストレス・レオメータで振動流体力学により測定した。
振幅スイープを行なって試験物質の線形粘弾性領域(linear viscoelastic region)(LVER)を見つけて、次いで中間点での振幅を周波数掃引に適用した。測定は、37℃で、0.1〜100Hzの範囲にわたる周波数振動で行なった。
得られたパラメーターは、
G´(Gプライム):弾性または貯蔵係数であり、固体様振る舞いの尺度(単位=Pa);
G´´(Gダブルプライム):粘性または損失係数であり、液体様振る舞いの尺度(単位=Pa);
δ(デルタ):位相角であり、ゲル強度の尺度。
Tanδ=G´´/G´。
δ<45℃であるならば、物質はゲルであり(G´が優性)、位相角が小さいほどゲルは強い。
(試験方法4:フリーラジカルの存在下における、シリカの作用)
フリーラジカル生成系は、過酸化水素、アスコルビン酸塩、FeSO、およびEDTAである。この反応はフェントン反応として知られており、ヒドロキシル、スーパーオキサイド、およびアスコルビン酸塩ラジカルを生成する。希釈剤としてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)を用いて、0.5mM アスコルビン酸塩、0.5mM FeSO、0.5mM EDTAを含む貯蔵液を製造した。使用の直前に、102μlの30%H(9.8M)を、20mlの貯蔵液に加え、フリーラジカル産生を開始させた(容器は光から保護される)。標準的な曲線を作成し、それには、0、2.5、5、7.5、および10mMのHが含まれる。
2−デオキシ−D−リボース(30.8mM)のPBS溶液(100μl)を、1000μlのフリーラジカル反応混合液に加えた(最終濃度2.8mM)。
このアッセイのポジティブコントロールは、100μMの没食子酸プロピル(PG)である。ネガティブコントロールは、ミリポア水(または試験物質の希釈液)である。
1000μlの標準/サンプル/コントロールを標識した試験管に加え、続いて30.8mMのデオキシリボース混合溶液(100μl)を加えた。振盪しながら、37℃で1時間、水浴中でインキュベーションした後、1%チオバルビツール酸溶液(1000μl)および2.8%トリクロロ酢酸溶液(1000μl)を加えた。乾燥した蓄熱ヒーター(dry block heater)により100℃で15分間、加熱し、次いで菅を冷却した。ブタン−1−オール(2000μl)を加え、次いで4000gで2分間、遠心分離し、有機上層を使い捨てのキュベットにデカントし、分光計を用いてOD532nmを読んだ。
算出:
%阻害=(ODcal-ODtest)/ODcal×100
ここで、
ODcal=5mMのHで転正曲線から決定されたフリーラジカル活性
ODtest=5mMのHで試験サンプルから決定されたフリーラジカル活性
(試験方法5:ペプシン拡散に対する、シリカのバリア特性)
ペプシンのインビトロ拡散を、フランツ(Franz)細胞モデルを用いて測定した。フランツタイプ拡散細胞は、拡散および薬物送達を評価するための確立された技術であって、T.Franz博士によって開発された。フランツ細胞は、皮膚における局所的な薬剤の拡散を測定する目的で皮膚および経皮分野において有名であるものの、バッカルおよび経口吸収を含む幅広い投与にも用いられる。
研究で用いたフランツ細胞の寸法は以下:
ドナーチャンバー(Donor chamber):1.5ml
膜:オクタノール中に浸したミリポアPTFE膜、細孔径が0.45μm
受容体チャンバー:5ml
開口部:9mm直径
拡散面積:63.6mm
フランツ細胞は、磁性撹拌機プレートが組み込まれたサーモスタット制御の加熱ブロックを用いて、37℃で維持した。
受容体チャンバーにおける興味ある化合物は、チャート式記録計およびmmでの反応尺度への出力を有する検出器およびHPLCポンプ(1ml/分)を用いる、継続的なクローズドシステムUV分光測定により検出した。
受容体チャンバーにHCl(0.01M)を満たし、膜を適当な位置に固定した。ペプシン溶液E(500μl)をドナーチャンバーで処理した。受容体チャンバーにペプシンが存在するか否かは、30分にわたる280nm(A280)の波長で吸光度により検出した。ペプシン拡散がシリカに与える影響は、ペプシン用量の処理前に、膜への0.1ml用量の処理によって評価した。
フランツ細胞の試験において、以下は、胃・食道逆流モデルのインビボ構成要素に関連する。
ドナーチャンバー:食道細胞内腔であり、リフラックサート(refluxate)を表す
膜:食道扁平上皮膜
受容体チャンバー:食道細胞の細胞質
拡散のパーセント遅延は、30分での平均応答から算出し、以下の式を用いた:
(コントロールの応答−試験したものの応答)/コントロールの応答×100
(試験方法6:トリプシン活性アッセイ)
pH7.6で、基質ベンゾイル−L−アルギニンエチルエステル(BAEE)を用いる、持続的な速度の(rate)分光光度法アッセイによりトリプシン活性を測定した。アルギニン残基の開裂は新たな生成物を生み出し、それは253nmで検出することができる。253nmで吸光度を時間とともに30℃でモニターし、加水分解の最大速度を算出した。
トリプシン(EC3.4.21.4)は、タイプIウシ膵臓トリプシン(Sigma T8003)を用いた。HCl(1mM)中で希釈したトリプシン(500μ/ml)の溶液を用いた。
基質は、Nα−ベンゾイル−L−アルギニンエチルエステル塩酸塩(BAEE)(Sigma B4500)を用いた。67mMのナトリウムリン酸緩衝液(pH7.6)中において、0.25mM溶液を製造した。
ポジティブコントロールは、大豆トリプシン阻害剤(Sigma 93618)であり、500μ/mlで、67mMのナトリウムリン酸緩衝液(pH7.6)中、希釈した。
BAEE溶液(3000μl)をキュベットにピペットで入れて、30℃に平衡化した。安定になるまで、UV分光測定により、253nmで吸光度をモニターした。試験溶液(200μl)を、逆転させて直ちに混合しながら、加えた。253nmで吸光度を5分間、記録した。1秒あたり、253nmで吸光度の変化(ΔA253nm/s)を算出した。
試験で用いた条件は、100μlのトリプシン(500μ/ml)+100μlの下記いずれか:
1)1mMHCl(酵素単独)
2)大豆トリプシン阻害剤(500μ/ml)
3)シリカ溶液
シリカからのバックグランド(background)は、100μlのシリカ+100μlの1mM HCl(酵素なし)を用いて評価した。
算出:
%トリプシン阻害={(ΔA253nm/s トリプシン−ΔA253nm/s 試験)÷ΔA253nm/s トリプシン}×100
(結果)
Figure 2015131805
Figure 2015131805
ペプシン溶液Aを用いる最終反応液において、pH2.2および0.4%シリカで、試験方法1によりペプシン阻害を測定した。
表2で表されるデータは、コラーゲン基質に対してペプシン阻害する際の、シリカ粒径の影響を示す。すなわち、シリカ粒径が4300nm未満であることが好ましく、より好ましくは80nm未満である。シリカは、ゾルの形態で投与されることが好ましい。これらのことは、図1でグラフを用いて示す。
Figure 2015131805
Figure 2015131805
表3は、高濃度のシリカで、コラーゲン基質とのペプシン活性が完全に阻害され得ることを示す。%シリカ濃度は、好ましくは0.1%以上であり、より好ましくは0.4%以上であるものの、2%未満であることが好ましい。これらの値はアッセイ反応混合物におけるシリカの最終濃度であり、加える値ではないので、より高いかもしれない治療用量としては関連しないかもしれない。
Figure 2015131805
表4はシリカが、ヒト由来(ヒト胃液および単離されたヒトペプシン3)のペプシンを阻害することができることを示す。阻害の程度は、ブタペプシンに対して得られる値(各々、93%、42%、および98%である)と似ている。
Figure 2015131805
表5は以下のことを示す。シリカと天然粘液の混合物が、天然の胃ブタ粘液の流体力学的特性における顕著な増加(G´およびG´´の増加)をもたらし、これは、相乗的相互作用のように、シリカの添加によって天然粘液のゲルが変わることを示唆する。混合物はG´優位に留まるから、ふさわしいゲルである。位相角(δ)が7°から約17℃へとわずかに高くなったことは、ゲルが、天然の粘液−粘液相互作用ほど強くはなかったものの、それでも良好な粘液ゲルとして予想される範囲内にあることを示す。
典型的には、健康的な胃粘液では位相角(δ)が7〜10°であるのに対して、健康的な結腸粘液ではその範囲が10〜15°である。位相角(δ)が20°を超える場合はあまりにも液体様である粘液層を示すのに対して、7°未満の粘液はあまりにも弾性があるか、または固体様の性質が強いと考えられるので流動能力を欠く。それぞれ29.93および55.7という大きすぎる位相角(δ)において、37℃で4日間、貯蔵するか(表6)、またはペプシンで分解して(表7)得られた分解粘液は、シリカの存在下で位相角(δ)の低下が示された。
Figure 2015131805
表6で記載された分解粘液は、まずは4日間、37°で貯蔵することにより分解した。その分解粘液に対して、表6で示されるように、異なる用量でシリカを加えた。弱められた粘液ゲルは、ゲル形成能力が減少し、基底粘膜を保護することができないような、潰瘍性大腸炎および胃潰瘍病状のモデルである。表6は以下のことを示す。シリカ用量の増加は、粘液ゲルの回復をもたらし、それは、約15°の位相角で示されるような健康な粘液に欲求されるゲル強度の範囲内でもたらされ、また他の2つの評価した流体力学的パラメーター(G´およびG´´)も変化させる。(G´)は用量依存的に増加するのに対して、流速の尺度としての液体様特性(G´´)は、シリカ投与量の高い場合でも比較的、一定に留まる。ゲル強度の尺度としての位相角(δ)は、用量依存的に減少し、天然の粘液ゲルのそれに接近する。これの治療的利点は、粘液層が損なわれた場合の、潰瘍性大腸炎および胃潰瘍の治療である。
Figure 2015131805
シリカ(ペプシンおよび粘液で共インキュベート)は、ペプシンによって分解された粘液を用量依存的に保護することができた(表7の実施例10)。シリカが存在しない場合、粘液はペプシンによって完全に分解され、もはやゲルでなかった(δ>45)。1〜20%で投与された場合、好ましい粒径1〜180nmのシリカと粘液のインキュベーションは、ペプシンによるゲル特性の損失を防ぐことができた(表7)。これを、インキュベーション溶液で測定されたムチン糖タンパク質の可溶化における減少によって、繰り返した(表8)。特に、高分子量糖タンパク質分子(重合体構造を示す)の見かけの相当な妨害があり、したがって粘液ゲルのゲル特性はシリカの存在下で維持された。しかしながら、ペプシンによる分解から粘液を保護する能力は、シリカの物性に応じて変わった。シリカは、好ましくは粒径10〜180nmにあり、好ましくはシリカゾルの形態で投与され、また1〜20%で投与される。実施例21はペプシンの存在下で粘液分解の著しい阻害を示したものの(表7)、高分子量の見かけの減少を示さなかった(表8)。これは他の、小さい粒径(<180nm)のシリカの振る舞いと逆であった。したがって、シリカゾルとアエロジルの形態にあるシリカとの間で作用様式が異なることを示した。
Figure 2015131805
Figure 2015131805
シリカは、ペプシンの拡散を阻害することができた(表9を参照)。ペプシンが下層に達するのを防ぐこのような能力は、病変発生を妨げるのに有効であるし、またゆえに、逆流症およびディスペプシアの病状に有効である。
Figure 2015131805
シリカは、表10で示すように、フリーラジカルを除去することができる。このことは、炎症から生じ得る損傷を制御することと関連しているかもしれない。
Figure 2015131805
Figure 2015131805
シリカは、トリプシン(それはセリンプロテアーゼである)の酵素活性を阻害することができる(最終濃度250μ/ml)。活性は、試験方法6を用いてpH7.6で観察され、表11および12で示した。
Figure 2015131805
試験方法1および2はペプシン溶液Aを用い、試験方法3はペプシン溶液Dを用いた。
表13に表されるデータは、総合的な能力で最も高かったものを示す。すなわち、シリカが、臨床的に関連性のある以下の3つの基質:
コラーゲン(基底膜および皮膚の構成成分)、
タンパク質(細胞の構成要素)、および
粘液(胃腸菅に並ぶ保護的なゲル)
に対して、胃酵素ペプシン活性を阻害することができるかを示す。
表13は、10から80nmまでの粒径のシリカ、および/または50から350m/gまでの表面積のシリカ、および/またはゾルの形態であるシリカが、総合的に最も良い結果を出したことを示す。表面積があまりにも大きければ、ペプシン活性部位への貫通(penetration)および/または粘液層への貫通が制限されるかもしれないし、表面積があまりにも小さければ、シリカとペプシンとが接触する表面積が、ペプシン阻害を行なうのに十分でないかもしれない。
表13および上記のデータは、粒径4300nm未満のシリカが好ましく、より好ましいのは800nm未満であり、より好ましいのは180nm未満であり、さらに好ましいのは80nm未満であり、最も好ましいのは20nm未満であることを示す。シリカは、好ましくはヒドロゲルの懸濁剤(すなわち、ルシライト)の形態で投与され、より好ましくはスポンジ・タイプのシリカの懸濁剤(すなわち、ガシルタイプ)、より一層好ましいのは懸濁剤(すなわち、製粉したガシル)としてであり、さらに好ましいのはコロイドシリカの懸濁剤(カオリン、アエロジル)としてであり、最も好ましいのはゾルの形態(すなわち、ナノゾル)である。上述したシリカタイプは、粉末の形態で投与されるてもよい。
本発明に記載した態様の様々な修飾および変更をすることは、本発明の範囲と精神から逸脱しない範囲で当業者にとって明らかなことである。本発明は特定の好ましい態様との関連で記載しているものの、特許請求される本発明が、そのような特定の態様によって不当に制限されるべきでないことは理解されよう。実際、本発明を実行するために記載された形態の様々な修飾は関連分野の当業者にとって明らかなことであり、特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。

Claims (44)

  1. プロテアーゼを阻害するために使用するシリカ。
  2. 胃腸菅内の有害なプロテアーゼ活性と関連する疾患または症状の、治療または予防のためのシリカ。
  3. 胃腸菅内の有害なタンパク質分解と関連する疾患または症状の、治療または予防のためのシリカ。
  4. ディスペプシア、胃炎、胃潰瘍、胃食道逆流症、咽喉頭酸逆流症(extra-oesophageal reflux disease)、過敏性大腸症候群、直腸関連炎症疾患、および炎症性腸疾患からなる群より選択される疾患または症状の、治療または予防のためのシリカ。
  5. プロテアーゼが、セリンプロテアーゼ、スレオニンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、およびグルタミン酸プロテアーゼからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか一つのシリカ。
  6. プロテアーゼが、セリンプロテアーゼおよびアスパラギン酸プロテアーゼからなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか一つのシリカ。
  7. プロテアーゼが、アスパラギン酸プロテアーゼである、請求項5のシリカ。
  8. アスパラギン酸プロテアーゼが、ペプシンである、請求項7のシリカ。
  9. ペプシンが、ヒトペプシン、ブタペプシン、ウマペプシン、マウスペプシン、ヒツジペプシン、およびウシペプシンからなる群より選択される、請求項8のシリカ。
  10. ペプシンが、ヒトペプシンである、請求項9のシリカ。
  11. ペプシンが、ヒト胃ペプシンである、請求項10のシリカ。
  12. ヒト胃ペプシンが、ペプシン1、ペプシン3a、ペプシン3b、ペプシン3c、およびガストリクシン(gastricsin)のいずれかから選択される、請求項11のシリカ。
  13. プロテアーゼが、セリンプロテアーゼである、請求項5のシリカ。
  14. セリンプロテアーゼが、トリプシンである、請求項13のシリカ。
  15. シリカが、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、非晶質シリカ、コアセルベートシリカ(coacervated silica)、非晶質シリカゲル、(アクア)シリカゾル、ヒドロゲルシリカ、およびキセロゲルシリカ(xerogel silica)からなる群より選択される、請求項1〜14のいずれか一つのシリカ。
  16. シリカが、非晶質シリカである、請求項15のシリカ。
  17. シリカが、ナノ粒子として存在する、請求項1〜16のいずれか一つのシリカ。
  18. シリカが、20,000nm未満の平均粒径(d50)を有する、請求項17のシリカ。
  19. シリカが、10,000nm未満の平均粒径(d50)を有する、請求項18のシリカ。
  20. シリカが、1nmおよび5,000nmの間の平均粒径(d50)を有する、請求項19のシリカ。
  21. シリカが、5nmおよび100nmの間の平均粒径(d50)を有する、請求項20のシリカ。
  22. シリカが、5nmおよび50nmの間の平均粒径(d50)を有する、請求項21のシリカ。
  23. シリカが、10から80nmまでの平均粒径(d50)および50から350m/gまでの表面積を有する、請求項1〜22のいずれか一つのシリカ。
  24. プロテアーゼが、胃腸菅にある構成タンパク質、胃腸菅にある糖タンパク質、胃腸菅にある機能タンパク質、およびそれらの組み合わせから選択される基質に対する活性について阻害される、請求項1〜23のいずれか一つのシリカ。
  25. 基質が、胃腸菅にある糖タンパク質または胃腸菅にある構成タンパク質である、請求項24のシリカ。
  26. 基質が、胃腸菅にある構成タンパク質である、請求項24のシリカ。
  27. 基質が、コラーゲンおよびムチンから選択される、請求項26のシリカ。
  28. 基質が、胃腸菅にある機能タンパク質である、請求項24のシリカ。
  29. 機能タンパク質が、アルブミンである、請求項28のシリカ。
  30. シリカが、シリカ懸濁剤の形態である、請求項1〜29のいずれか一つのシリカ。
  31. 懸濁剤が、アルカリ性懸濁剤である、請求項30のシリカ。
  32. 懸濁剤が、水を含み、またアンモニアまたは水酸化ナトリウムから選択されるアルカリ性培地を含む、請求項31のシリカ。
  33. シリカが、懸濁剤の重量に基づいて10%から50%の量で懸濁剤中に存在する、請求項30〜32のいずれか一つのシリカ懸濁剤。
  34. シリカが、懸濁剤の重量に基づいて15%から45%の量で懸濁剤中に存在する、請求項30〜33のいずれか一つのシリカ懸濁剤。
  35. シリカが、懸濁剤の重量に基づいて25%未満の量で懸濁剤中に存在する、請求項34のシリカ懸濁剤。
  36. 保存剤をさらに含む、請求項24〜29のいずれか一つのシリカ懸濁剤。
  37. イントラ(intra)ムチン相互作用を増加させるのに使用するための、請求項1〜36のいずれか一つのシリカ。
  38. 粘液粘度を増加させるのに使用するための、請求項1〜37のいずれか一つのシリカ。
  39. 粘液ゲル特性を改善するのに使用するための、請求項1〜38のいずれか一つのシリカ。
  40. ムチンが結腸ムチンもしくは胃ムチンであるか、または粘液が結腸粘液もしくは胃粘液である、請求項37、38、または39のシリカ。
  41. 実施例に関して、本明細書中で実質的に定義されるシリカ。
  42. 実施例に関して、本明細書中で実質的に定義されるシリカ懸濁剤。
  43. 実施例に関して、本明細書中で実質的に定義される使用。
  44. 実施例に関して、本明細書中で実質的に定義される医薬組成物。
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